JP2010270107A - 変性金属錯体 - Google Patents

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忠史 松永
Nobuyoshi Koshino
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Abstract

【課題】燃料電池用電極触媒等に用いた場合に、優れた触媒寿命を示す変性金属錯体を提供する。
【解決手段】(1)金属錯体と、(2)プリン塩基以外の、ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つ多環式有機化合物、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜95質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体;(1)金属錯体と、(2)プリン塩基以外の、ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つ多環式有機化合物と、(3)炭素材料、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒等に有用な変性金属錯体に関する。
変性金属錯体は、レドックス触媒として作用することから、有機化合物、高分子化合物の製造の材料や、添加剤、改質剤、電池、センサー、エレクトロルミネッセンス素子等の材料として使用されている。この変性金属錯体としては、フタロシアニン、ポルフィリン等の大環状骨格を持つ金属錯体を、カーボンブラックと共に加熱処理することにより得られる化合物が提案されている(特許文献1)。
特開2006−314871号公報
しかし、この変性金属錯体は、燃料電池用電極触媒等に用いた場合には、触媒寿命が十分ではなかった。
そこで、本発明は、燃料電池用電極触媒等に用いた場合に、優れた触媒寿命を示す変性金属錯体を提供することを目的とする。
本発明は第一に、(1)金属錯体と、(2)ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つプリン塩基以外の多環式有機化合物、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜95質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体を提供する。
本発明は第二に、(1)金属錯体と、(2)ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つプリン塩基以外の多環式有機化合物と、(3)炭素材料、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体を提供する。
本発明は第三に、前記変性金属錯体と、カーボンブラック若しくは高分子、又はこれらの両方、とを含む組成物を提供する。
本発明は第四に、前記変性金属錯体又は前記組成物からなる燃料電池用電極触媒を提供する。
本発明の変性金属錯体は、燃料電池用電極触媒等に用いた場合に、優れた触媒寿命を示す。
以下、本発明の変性金属錯体について説明する。
<第一の実施形態である変性金属錯体>
本発明の第一の実施形態である変性金属錯体は、(1)金属錯体と、(2)ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つプリン塩基以外の多環式有機化合物、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜95質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体である。
・金属錯体
金属錯体は、金属原子(以下、金属イオンの状態を含む。)と有機配位子とを有し、有機配位子を結合する原子の一部と金属原子との間に配位結合を持つ化学種である。
金属錯体を構成する有機配位子としては、シッフ塩基、ポルフィリン、フタロシアニン等が挙げられ、以下の構造式(a)〜(v)で表される化合物が好ましい。
これらの中でも、金属錯体の安定性の観点からは、以下の構造式(a)〜(r)で表される化合物(フェノール骨格を含む化合物)がより好ましい。
また、化学的安定性、熱的安定性の観点からは、以下の構造式(a)〜(n)で表される化合物(ピリジン骨格若しくはピロール骨格、又はこれらの両方を含む化合物)がより好ましい。
以上の観点を全て考慮すると、以下の構造式(f)又は(j)で表される化合物が特に好ましい。
なお、前記金属錯体において、フェノール骨格が存在する場合、該フェノール骨格中のヒドロキシ基がプロトンを放出してフェノラート骨格となり、金属原子と配位していてもよく、ピロール骨格が存在する場合、該ピロール骨格中のプロトンを放出して、金属原子と配位していてもよい。
Figure 2010270107
前記構造式(a)〜(v)で表される化合物は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲノ基;ヒドロキシ基;カルボキシル基;メルカプト基;スルホン酸基;ニトロ基;ホスホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基を有するシリル基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、n−へキシル基、ノルボニル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、アダマンチル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−オクタデシル基、n−ドコシル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基等のシクロアルキル基等の、直鎖、分岐又は環状であり、炭素数1〜50の1価の飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピオキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状であり、炭素数1〜50のアルコキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基等の炭素数6〜60のアリール基等が挙げられ、好ましくは、ハロゲノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、クロロ基、ブロモ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基である。なお、本明細書において、「置換基」という場合には同様である。
前記有機配位子は、通常、ヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が金属原子と配位結合することにより、金属錯体を形成する。また、金属錯体中に2個以上の金属原子が存在する場合には、該金属原子同士がヘテロ原子を介して架橋配位していてもよい。
前記金属原子は、入手のし易さ、取り扱い易さの観点から、第4周期から第6周期に属する遷移金属の金属原子であることが好ましい。ここで、「遷移金属」とは、不完全なd軌道又は不完全なf軌道を有する金属(無電荷の原子、荷電しているイオンのいずれでもよい。)を意味する。
遷移金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀が挙げられ、触媒性能の観点から、好ましくは、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金であり、より好ましくは、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ロジウム、銀、白金であり、更に好ましくは、コバルト、鉄、銅であり、特に好ましくは、コバルトである。
金属錯体は、中性分子、金属錯体を電気的に中性にする対イオンを有していてもよい。
中性分子としては、溶媒和して溶媒和塩を形成する分子等が挙げられ、好ましくは、水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1,1−ジメチルエタノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサンであり、より好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンである。
対イオンには、金属原子が正の電荷を有するので、該金属原子を電気的に中性にする陰イオンが選ばれる。対イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、チオシアン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アセチルアセトナート、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン等が挙げられ、好ましくは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、アセチルアセトナート、テトラフェニルホウ酸イオンである。なお、対イオンが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。また、中性分子とイオンとが共存していてもよい。
以上の金属錯体は、混合物を調製する際に、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・多環式有機化合物
前記多環式有機化合物は、ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つプリン塩基以外の多環式有機化合物であるが、好ましくは、2個以上のヘテロ原子を同一の環に持つ5員環又は6員環を有する多環式有機化合物であり、より好ましくは、2個のヘテロ原子を同一の環に持つ5員環を有する多環式有機化合物である。ここで、「同一の環」は、複数の単環を有する縮環では、該縮環を構成する単環のうちの1個を意味する。
ヘテロ原子としては、触媒性能の観点から、窒素原子、酸素原子、リン原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子が好ましく、窒素原子、リン原子がより好ましく、窒素原子が特に好ましい。
前記多環式有機化合物は、融点、沸点(特には、200℃以上)の観点から、ヘテロ原子を多く含む多環式有機化合物であることが好ましい。このような多環式有機化合物としては、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、4−アザベンズイミダゾール、5−アザベンズイミダゾール、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、プテリジン、シンノリン、ベンズトリアゾール、ベンズチアジアゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エンが挙げられ、好ましくは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、フタラジン、キノキサリン、プテリジン、シンノリン、ベンズトリアゾールであり、さらに好ましくは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、フタラジン、キノキサリン、プテリジン、シンノリン、ベンズトリアゾールである。なお、これらの多環式有機化合物は、置換基を有していてもよい。
前記多環式有機化合物は、熱安定性の観点から、下記式(1):
Figure 2010270107
(式中、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、同一又は異なり、窒素原子又は下記式:
Figure 2010270107
(式中、Rβは、水素原子又は置換基を表す。)
で表される基であり、Z6は、下記式:
Figure 2010270107
(式中、Rαは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基である。)
のいずれで表される2価の基である。)
で表される多環式有機化合物であることが好ましい。
前記式(1)中のRαで表される1価の炭化水素基は、炭素数が1〜30であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜7であることが特に好ましい。
前記式(1)で表される多環式有機化合物としては、ベンズトリアゾール、ベンズチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられ、ベンズイミダゾールが好ましい。なお、これらの多環式有機化合物は、置換基を有していてもよい。ここで、置換基を有していてもよいベンズイミダゾールとしては、ベンズイミダゾール;1−メチルベンズイミダゾール等のメチルベンズイミダゾール;4−アザベンズイミダゾール、5−アザベンズイミダゾール等のアザベンズイミダゾール;2−フェニルベンズイミダゾール等のフェニルベンズイミダゾール等が挙げられ、ベンズイミダゾール、1−メチルベンズイミダゾール、4−アザベンズイミダゾール、5−アザベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾールが好ましい。
以上の多環式有機化合物は、混合物を調製する際に、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・混合物
金属錯体と多環式有機化合物とは、適切な分散媒に分散させて混合してもよいし、乾式で混練してもよいが、より均質な混合物が得られることから、適切な分散媒に分散させて混合することが好ましい。また、金属錯体と多環式有機化合物とは、別個に分散させてから混合してもよいし、両方を一斉に分散させてもよい。
前記混合物を調製する際、金属錯体と多環式有機化合物の量は、混合物を100質量部としたとき、金属錯体の量が、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。また、金属錯体の量の上限は、70質量部であることが好ましく、60質量部であることがより好ましく、50質量部であることが特に好ましい。多環式有機化合物の量は、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。また、多環式有機化合物の量の上限は、49質量部であることが好ましく、40質量部であることがより好ましく、30質量部であることが特に好ましい。なお、混合物には、金属錯体、多環式有機化合物以外の成分を含んでいてもよい。
<第二の実施形態である変性金属錯体>
本発明の第二の実施形態である変性金属錯体は、(1)金属錯体と、(2)ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つプリン塩基以外の多環式有機化合物と、(3)炭素材料、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体である。
本発明の第二の実施形態である変性金属錯体において、(1)金属錯体、(2)ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つプリン塩基以外の多環式有機化合物は、本発明の第一の実施形態である変性金属錯体の項で説明し例示したものと同じである。
炭素材料としては、黒鉛、無定形炭素、カーボンブラック、活性炭が例示される。これらの炭素材料は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。炭素材料の中でも、担体として用いる場合にはカーボンブラックが好ましい。さらに、カーボンブラックとしては、ノーリット、ケッチェンブラック、バルカン、ブラックパール、アセチレンブラック等の導電性カーボン粒子;C60、C70等のフラーレン;カーボンナノチューブ;カーボンナノホーン;カーボン繊維等が挙げられる。
金属錯体と多環式有機化合物と炭素材料とは、適切な分散媒に分散させて混合してもよいし、乾式で混練してもよいが、より均質な混合物が得られることから、適切な分散媒に分散させて混合することが好ましい。また、金属錯体と多環式有機化合物と炭素材料とは、別個に分散させてから混合してもよいし、三種を一斉に分散させてもよい。
前記混合物を調製する際、金属錯体と多環式有機化合物と炭素材料の使用量は、混合物を100質量部としたとき、金属錯体の量が、1〜70質量部であることが好ましく、2〜60質量部であることがより好ましく、3〜50質量部であることが特に好ましく、多環式有機化合物の量が、1〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましく、1〜20質量部であることが特に好ましく、炭素材料の量が、1〜90質量部であることが好ましく、5〜90質量部であることがより好ましく、10〜90質量部であることが特に好ましい。なお、混合物は、金属錯体、多環式有機化合物、炭素材料以外の成分を含んでいてもよい。
一般的に、炭素材料は表面が酸化されているので、その表面には、カルボキシル基が存在している。これに塩基を加えると、炭素材料のカルボン酸塩となる。本発明において、金属錯体が、炭素材料のカルボン酸塩と反応して金属錯体−炭素材料複合体となると、炭素材料と金属錯体との相互作用が強まるので好ましい。そのため、本発明に用いられる混合物は、塩基を含むことが好ましい。塩基としては、酸性度定数(pKa)が5.5を超える塩基、酸性度定数(pKa)が5.5を超える無機水酸化物、酸性度定数(pKa)が5.5を超える無機水素化物が好ましい。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシドが挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水素化カリウム、カリウム-tert-ブトキシドが好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。
一方、多環式有機化合物が、プロトン性水素を有する場合には、塩基存在下では、多環式有機化合物中のプロトン性水素原子を引き抜かれて塩を形成することがある。この塩も錯体との相互作用が強く好ましい。そのため、本発明に用いられる混合物は、塩基を含むことが好ましい。
塩基は、金属錯体、多環式有機化合物及び炭素材料と共に、適切な分散媒に分散させて混合してもよいし、乾式で混練してもよいが、反応性を高めるために、適切な分散媒に分散させて混合することが好ましい。また、塩基、金属錯体、多環式有機化合物及び炭素材料は、別個に任意の順番で分散媒に分散させてから混合してもよいし、全てを一斉に分散液に分散させてもよいが、炭素材料及び多環式有機化合物と、塩基との相互作用の観点からは、(1)塩基と炭素材料とを混合した後、それを金属錯体及び多環式有機化合物に加える方法、(2)塩基と多環式有機化合物とを混合した後、それを金属錯体及び炭素材料に加える方法、(3)塩基、炭素材料及び多環式有機化合物を混合した後、それに金属錯体を加える方法が好ましい。
塩基を混合する際の分散媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1,1−ジメチルエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゾニトリルが例示され、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ベンゾニトリルであり、より好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルである。
また、混合の時間は、各成分を十分に混合できる時間であればよいが、1〜24時間が好ましく、2〜12時間がより好ましい。
混合の温度は、限定されないが、塩基と炭素材料、塩基と多環式有機化合物、又は、塩基と炭素材料と多環式有機化合物の混合(金属錯体を含まずに混合する場合)は、各反応が進行しやすいので、室温又は加熱(好ましくは40〜130℃)下で行うことが好ましい。また、金属錯体を含めて混合する場合には、混合の温度は、耐久性が向上するので、室温〜50℃が好ましい。
<第一・第二の実施形態である変性金属錯体についての共通部分>
前記混合物は、そのまま変性処理してもよいが、予め15〜200℃、1333Pa以下の減圧下で、6時間以上、真空乾燥機等により乾燥させた後に変性処理することが好ましい。
変性処理は、質量減少を伴う方法であればよく、加熱、放射線照射、放電が好ましく、加熱がより好ましい。
変性処理は、処理前後の質量減少率(即ち、処理前の混合物の質量に対する、処理後に得られる変性金属錯体の質量の減少率)が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは14質量%以上となるまで行えばよい。また、質量減少率の上限は、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%、更に好ましくは60質量%である。
また、処理後の変性金属錯体は炭素含有率が高いと安定性が良好であるので、この炭素含有率が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、とりわけ好ましくは40質量%以上であり、殊更に好ましくは90〜95質量%となるように前記変性処理を行うことがよい。
加熱では、加熱温度を、200℃以上とすることが好ましく、300℃以上とすることがより好ましく、780℃以上とすることが特に好ましい。この加熱温度の上限は、好ましくは1200℃であり、より好ましくは1000℃であり、更に好ましくは820℃であり、特に好ましくは800℃である。
加熱では、加熱時間を、変性処理を行う雰囲気や加熱温度によって調整すればよく、変性処理を行う雰囲気とするためのガスを密閉又は通気させた状態において、室温から徐々に温度を上昇させ目的とする温度に到達後、すぐに冷却してもよいが、目的とする温度に到達後、温度を維持することで、徐々に金属錯体を加熱することが、耐久性をより向上させることができるため好ましい。ここで、目的とする温度に到達後の保持時間は、好ましくは1〜100時間であり、より好ましくは1〜40時間であり、さらに好ましくは1〜10時間であり、特に好ましくは1〜3時間である。
加熱は、オーブン、ファーネス、IHホットプレート等の装置で行うことができる。
加熱は、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、アセトニトリルガスの雰囲気、又はこれらのうちの二種以上の混合ガスの雰囲気で行うことが好ましく、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、ネオンガス、アルゴンガス、又はこれらのうちの二種以上の混合ガスの雰囲気で行うことがより好ましく、水素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、アルゴンガス、又はこれらのうちの二種以上の混合ガスの存在下で行うことが特に好ましい。
放射線照射では、α線、β線、中性子線、電子線、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、電波、レーザー等の電磁波、粒子線等の放射線、好ましくは、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、レーザー、より好ましくは、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、レーザーを照射すればよい。
放電では、コロナ放電、グロー放電、プラズマ(低温プラズマを含む)等が挙げられ、低温プラズマが好ましい。
なお、放射線照射、放電は、通常、高分子フィルムの表面改質処理に用いられる機器、処理方法に準じて行うことが可能であり、例えば、文献(日本接着学会編、「表面解析・改質の化学」、日刊工業新聞社、2003年12月19日発行)等に記載された方法を用いることができる。
放射線照射、放電は、通常、10時間以内、好ましくは3時間以内、より好ましくは1時間以内、特に好ましくは30分以内で行えばよい。
<組成物>
本発明の変性金属錯体は、そのまま単独で用いてもよいが、その他の成分と併用して組成物として用いてもよい。ここで、その他の成分としては、担体、添加剤、カーボンブラック、高分子等が挙げられる。なお、本発明の組成物において、各成分は、それぞれ一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、その他の成分の合計含有量は、本発明の変性金属錯体100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、30〜200質量部がより好ましい。
本発明の組成物において、カーボンブラックの含有量は、本発明の変性金属錯体100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、30〜200質量部がより好ましい。
本発明の組成物において、高分子の含有量は、本発明の変性金属錯体100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、30〜200質量部がより好ましい。
本発明の組成物に用いられる変性金属錯体、本発明の組成物は、いずれも、加工して、形状を変えてもよい。
<用途>
本発明の変性金属錯体は、特に、変性金属錯体と、カーボンブラック若しくは高分子、又はこれらの両方、とを含む組成物の態様で燃料電池用電極触媒として用いると、変性金属錯体の安定性及び触媒活性の観点から好ましい。該組成物中の変性金属錯体の量は、通常、25〜91重量%、好ましくは、33〜77重量%であり、カーボンブラック若しくは高分子、又はこれらの合計量は、通常、5〜75重量%である。
高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等が挙げられる。
また、本発明の変性金属錯体、組成物(以下、「本発明の変性金属錯体等」という。)の用途としては、燃料電池用の電極触媒や膜劣化防止剤(例えば、固体高分子電解質型燃料電池用や水電気分解用のイオン伝導膜の劣化防止剤)、過酸化水素等の過酸化物の分解触媒、芳香族化合物の酸化カップリング触媒、排ガス・排水浄化用触媒(例えば、脱硫・脱硝触媒)、色素増感太陽電池の酸化還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触媒、酸素センサー、医農薬や食品の抗酸化剤等が挙げられる。
本発明の変性金属錯体を芳香族化合物の酸化カップリング触媒として用いる場合、ポリフェニレンエーテルやポリカーボネート等のポリマー製造に関わる触媒として使用することができる。使用形態としては、前記変性金属錯体を反応溶液に直接添加する方法や、ゼオライトやシリカ等に担持させる方法が挙げられる。
本発明の変性金属錯体を脱硫・脱硝触媒としても用いる場合、使用形態としては、工場からの排ガスが通気する塔に充填する方法や、自動車のマフラーに充填する方法が挙げられる。
本発明の変性金属錯体を改質水素製造用触媒として使用する場合、使用形態としては、Chemical Communication,3385(2005)に記載の方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
<合成例1>(金属錯体(A)の合成)
金属錯体(A)を以下の反応式に従って合成した。
Figure 2010270107
反応式左側の化合物(X)(配位子となる化合物)は、Tetrahedron.,1999,55,8377に基づき合成した。窒素雰囲気下において、1.388gの化合物(X)と1.245gの酢酸コバルト4水和物とを含んだ2−メトキシエタノール200ml溶液を500mlのナスフラスコに入れ、80℃に加熱しながら2時間攪拌したところ、褐色固体が生成した。この褐色固体を濾取し、2−メトキシエタノール20mlで洗浄した後、乾燥させることにより、反応式右側の化合物(金属錯体(A))を得た(収量1.532g、収率74%)。
元素分析値(%):Calcd for C4950Co248;C,62.56;H,5.36;N,5.96;Co, 12.53.Found:C,62.12;H,5.07;N,6.03;Co, 12.74.
ESI−MS[M―CH3COO]+:805.0
<合成例2>(金属錯体(P)の合成)
Figure 2010270107
反応式左側の化合物(Y)(配位子となる化合物)は、特開2009-173627号公報に基づき合成した。窒素雰囲気下において、0.045gの化合物(Y)と0.040gの酢酸コバルト4水和物とを含んだ、3mLのメタノールと3mLのクロロホルムとの混合溶液を、80℃に加熱しながら5時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、反応式右側の化合物(金属錯体(P))を得た。
ESI−MS[M+・]:866.0
<実施例1>
窒素雰囲気下において、0.020gの金属錯体(A)と0.020gのベンズイミダゾールとを含んだエタノール10ml溶液を5時間攪拌した。これに、カーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)を金属錯体(A)に対して、カーボン担体:金属錯体(A)=4:1の質量比で混合し、得られた混合溶液を、室温にて攪拌後、200Paの減圧下で12時間乾燥させることにより、混合物(B)を調製した。
次いで、混合物(B)を、管状炉を用いて、窒素雰囲気下、800℃で1時間加熱することにより、変性金属錯体(G)を得た。用いた管状炉及び加熱条件を以下に示す。また、加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
管状炉:プログラム制御開閉式管状炉EPKRO−14R、いすゞ製作所製
熱処理雰囲気:窒素ガスフロー(200ml/分)
昇温速度及び降温速度:200℃/時間
<実施例2>
実施例1において、ベンズイミダゾールに代えて、1−メチルベンズイミダゾールを用いた以外は、実施例1と同様にして、混合物(以下、「混合物(C)」という。)を調製し、加熱することにより、変性金属錯体(H)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、ベンズイミダゾールに代えて、4−アザベンズイミダゾールを用いた以外は、実施例1と同様にして、混合物(以下、「混合物(D)」という。)を調製し、加熱することにより、変性金属錯体(I)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、ベンズイミダゾールに代えて、5−アザベンズイミダゾールを用いた以外は、実施例1と同様にして、混合物(以下、「混合物(E)」という。)を調製し、加熱することにより、変性金属錯体(J)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
<実施例5>
実施例1において、ベンズイミダゾールに代えて、2−フェニルベンズイミダゾール(TCI社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、混合物(以下、「混合物(F)」という。)を調製し、加熱することにより、変性金属錯体(K)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
<実施例6>
窒素雰囲気下にて、0.118gのベンズイミダゾールと0.056gの水酸化カリウムとを含んだエタノール10ml溶液を、100℃に加熱して、5時間攪拌した。こうして得られた溶液を0.2mlとり、窒素雰囲気下にて、0.018gの金属錯体(P)を含んだエタノール溶液に加えて、室温で5時間攪拌した。これに、カーボン担体(カーボンブラック、商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)を金属錯体(P)に対して、カーボン担体:金属錯体(P)=4:1の質量比で混合し、得られた混合溶液を、室温にて攪拌後、200Paの減圧下で12時間乾燥させることにより、混合物(Q)を調製した。
次いで、混合物(Q)を、管状炉を用いて、窒素雰囲気下、800℃で1時間加熱することにより、変性金属錯体(R)を得た。用いた管状炉及び加熱条件を以下に示す。また、加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
<実施例7>
実施例1において、金属錯体(A)に代えて、金属錯体(P)を用いた以外は、実施例1と同様にして、混合物(以下、「混合物(S)」という。)を調製し、加熱することにより、変性金属錯体(T)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表1に示す。
Figure 2010270107
<評価>
(電極の作製)
電極には、ディスク部がグラッシーカーボン(直径4.0mm)、リング部が白金(リング内径5.0mm、リング外径7.0mm)であるリングディスク電極を用いた。変性金属錯体(G)2mgを入れたサンプル瓶へ、水0.6mL、エタノール0.4mL、ナフィオン(登録商標)溶液(Aldrich製、5質量%溶液)20μLを加えた後、超音波で分散させた。得られた懸濁液4.4μLを上記電極のディスク部に滴下した後、室温にて12時間乾燥させることにより、測定用電極を得た。
(回転リングディスク電極による酸素還元能の評価)
測定用電極を回転させることにより、その時点の酸素還元反応の電流値の測定・評価を行った。電流値の測定は、室温において、酸素を飽和させた状態、窒素を飽和させた状態でそれぞれ行い、酸素を飽和させた状態での測定で得られた電流値から、窒素を飽和させた状態での測定で得られた電流値を引いた値を酸素還元の電流値とした。得られた結果を表2に示す。なお、測定装置及び測定条件は、以下の通りである。
−測定装置−
ビー・エー・エス株式会社製
RRDE−2回転リングディスク電極装置
ALSモデル701Cデュアル電気化学アナライザー
−測定条件−
セル溶液:0.05mol/L硫酸水溶液(酸素飽和)
溶液温度:25℃
参照電極:銀/塩化銀電極(飽和塩化カリウム)
カウンター電極:白金ワイヤー
掃引速度:5mV/秒
電極回転速度:600rpm
(回転リングディスク電極による変性金属錯体の耐久性の評価)
「回転リングディスク電極による酸素還元能の評価」の測定条件にて酸素バブリングで電位を0.05V〜1.00Vで10回サイクルした後、酸素を飽和させた状態で酸素還元反応の電流値を測定した。サイクル試験の開始前の電流密度に対する、10回サイクル後の電流密度の割合を算出した。得られた結果を表2に示す。
以上において、変性金属錯体(G)に代えて、変性金属錯体(H)〜(K)を用いた以外は、同様の条件にして、電極を作製し、酸素還元能の評価及び耐久性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。なお、触媒活性は、可逆水素電極に対して0.6Vにおける電流密度を示す。
Figure 2010270107
<比較例1>
窒素雰囲気下において、0.020gの金属錯体(A)を含んだエタノール10ml溶液に、カーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)を金属錯体(A)に対して、カーボン担体:金属錯体(A)=4:1の質量比で混合し、得られた混合溶液を、室温にて攪拌後、200Paの減圧下で12時間乾燥させることにより、混合物(L)を調製した。次いで、実施例1と同様にして、混合物(L)を、管状炉を用いて加熱し、変性金属錯体(M)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表3に示す。
Figure 2010270107
この変性金属錯体(M)について、前記評価と同様にして、電極を作製し、酸素還元能の評価及び耐久性の評価を行った。得られた結果を表4に示す。なお、触媒活性は、可逆水素電極に対して0.6Vにおける電流密度を示す。
Figure 2010270107
<比較例2>
0.020gの金属錯体(A)と0.020gのアデニンとを含んだエタノール10ml溶液を5時間攪拌した。これに、カーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)を金属錯体(A)に対して、カーボン担体:金属錯体(A)=4:1の質量比で混合し、得られた混合溶液を、室温にて攪拌後、200Paの減圧下で12時間乾燥させることで、混合物(N)を調製した。次いで、実施例1と同様にして、混合物(N)を、管状炉を用いて加熱し、変性金属錯体(O)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表5に示す。
Figure 2010270107
この変性金属錯体(O)について、前記評価と同様にして、電極を作製し、酸素還元能の評価及び耐久性の評価を行った。得られた結果を表6に示す。なお、触媒活性は、可逆水素電極に対して0.6Vにおける電流密度を示す。
Figure 2010270107
<比較例3>
0.020gの金属錯体(P)を含んだエタノール10ml溶液にカーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン製)を金属錯体(P)に対して、カーボン担体:金属錯体(P)=4:1の質量比で混合し、得られた混合溶液を、室温にて攪拌後、200Paの減圧下で12時間乾燥させることで、混合物(U)を調製した。次いで、実施例1と同様にして、混合物(U)を、管状炉を用いて加熱し、変性金属錯体(V)を得た。加熱(変性処理)前後の質量減少率を、加熱前後の炭素含有率(元素分析値)と共に、表7に示す。
Figure 2010270107
この変性金属錯体(V)について、前記評価と同様にして、電極を作製し、酸素還元能の評価及び耐久性の評価を行った。得られた結果を表8に示す。なお、触媒活性は、可逆水素電極に対して0.6Vにおける電流密度を示す。
Figure 2010270107

Claims (15)

  1. (1)金属錯体と、(2)プリン塩基以外の、ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つ多環式有機化合物、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜95質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体。
  2. (1)金属錯体と、(2)プリン塩基以外の、ヘテロ原子2個以上を同一の環に有する骨格を持つ多環式有機化合物と、(3)炭素材料、とを含む混合物を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%となるまで変性処理することにより得られる変性金属錯体。
  3. 前記金属錯体が、フェノール骨格を含む金属錯体である請求項1又は2に記載の変性金属錯体。
  4. 前記金属錯体が、ピロール骨格若しくはピリジン骨格、又はこれらの両方を含む金属錯体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  5. 前記金属錯体が、第4周期から第6周期に属する遷移金属の金属錯体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  6. 前記第4周期から第6周期に属する遷移金属の金属錯体が、コバルト錯体である請求項5に記載の変性金属錯体。
  7. 前記多環式有機化合物が、2個以上のヘテロ原子を同一の環に持つ5員環又は6員環を有する多環式有機化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  8. 前記ヘテロ原子が、窒素原子、酸素原子、リン原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子である請求項1〜7のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  9. 前記ヘテロ原子が、窒素原子である請求項8に記載の変性金属錯体。
  10. 前記多環式有機化合物が、下記式(1):
    Figure 2010270107
    (式中、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、同一又は異なり、窒素原子又は下記式:
    Figure 2010270107
    (式中、Rβは、水素原子又は置換基を表す。)
    で表される基であり、Z6は、下記式:
    Figure 2010270107
    (式中、Rαは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基である。)
    のいずれかで表される2価の基である。)
    で表される多環式有機化合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  11. 前記式(1)で表される多環式有機化合物が、置換基を有していてもよいベンズイミダゾールである請求項10に記載の変性金属錯体。
  12. 前記炭素材料がカーボンブラックである請求項2〜11のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  13. 前記変性処理が、200〜1200℃での加熱である請求項1〜12のいずれか一項に記載の変性金属錯体。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の変性金属錯体と、カーボンブラック若しくは高分子、又はこれらの両方、とを含む組成物。
  15. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の変性金属錯体又は請求項14に記載の組成物からなる燃料電池用電極触媒。
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