JP5382211B2 - 車両用シフト制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、パーキングロック装置を作動させて車両の走行に関わるシフトポジションを電気的に切り替える車両用シフト制御装置に関するものである。
所定の要求信号に基づいてパーキングロック装置を作動させて、車両の走行に関わるシフトポジションをパーキングポジションと非パーキングポジションとで電気的に切り替える所謂シフトバイワイヤ(SBW)方式を採用した車両用シフト制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の制御装置がそれである。この特許文献1には、例えば「パワースイッチ短押し+所定車速以下」の条件が成立すると、「パーキングポジションへの切替え+電源オフ(イグニションオフ且つアクセサリ電源オフ)」の所謂オートP作動を実行することが記載されている。加えて、例えば「パワースイッチ長押し」の条件が成立すると、「イグニションオフ(アクセサリ電源オン)」の緊急停止処理を実行することが記載されている。従って、例えば所定車速を超える車両走行中であっても、「パワースイッチ長押し」により車両の電源供給状態を車両走行不能とする電源状態とすることができる。
ところで、上記緊急停止処理を上記「パワースイッチ長押し」以外の態様で実行可能とすることが考えられる。例えば、上記緊急停止処理を「複数回連続したパワースイッチ短押し」で実行可能とすることが考えられる。しかしながら、ユーザが上記オートP作動を意図して(例えば短押し中に所定車速以下となることを見越して)、或いは単発の短押し操作のつもりが誤って、上記「複数回連続したパワースイッチ短押し」操作を実行した場合に、上記オートP作動と上記緊急停止処理とを区別し難くなると言う問題が生じる可能性がある。つまり、ユーザの操作意思を適確に反映できない可能性がある。尚、上述したような課題は未公知である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、パーキングロックを行う為のパーキングポジションへの電気的な切替制御において、ユーザの操作意思を適確に反映することができる車両用シフト制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 所定の要求信号に基づいてパーキングロック装置を作動させてロック状態と非ロック状態とを切り替えることにより車両の走行に関わるシフトポジションをパーキングポジションと非パーキングポジションとで電気的に切り替える車両用シフト制御装置であって、(b) 前記車両は、車両走行を可能とする為の第一状態と、車両走行に関わる機能をオフとし且つ車両走行に関わらない機能をオンとする為の第二状態と、車両走行に関わる機能と車両走行に関わらない機能とを共にオフとする為の第三状態とに、車両状態を切り換え可能であり、(c) 前記第一状態において、前記車両状態を切り替える為の操作が為された場合には、車速が車両停止状態を判断する為の所定車速以下であることを条件として、前記パーキングポジション以外のシフトポジションからそのパーキングポジションへの切替えを実行すると共にその切替え完了後に前記車両状態を前記第三状態へと切り替える一方で、車両走行中に複数回連続する前記操作が為された場合には、前記車両状態を強制的に前記第二状態へと切り替えるものであり、(d) 前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記第二状態への切替えに先立って、前記パーキングポジションへの切替えを実行することにある。
このようにすれば、前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記第二状態への切替えに先立って、前記パーキングポジションへの切替えが実行されるので、例えば車両走行中に複数回連続する前記操作が為されたことで前記車両状態が強制的に前記第二状態へと切り替えられると前記操作の少なくとも1回が前記所定車速以下で為されたにも拘わらずその第二状態の為にパーキングポジションへの切替えが実行されない恐れがあることに対して、確実にパーキングポジションへの切替えが実行される。つまり、例えばユーザがパーキングポジションへの切替えと第三状態への切り替えとを期待して前記所定車速近傍で前記複数回連続する操作を行った場合に、ユーザの意図に沿ってパーキングロックが実行されて車両を固定させることができる。よって、パーキングロックを行う為のパーキングポジションへの電気的な切替制御において、ユーザの操作意思を適確に反映することができる。
ここで、好適には、前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記パーキングポジションへの切替え完了後に、更に、前記車両状態を前記第二状態から前記第三状態へ切り替えることにある。このようにすれば、例えば前記第二状態のまま放置されることによるバッテリ上がりを適切に回避することができる。つまり、前記第二状態への切替えに先立って前記パーキングポジションへの切替えを実行することによりパーキングポジションへは確実に切り替えられるものの、強制的な第二状態への切替えが為されることでパーキングポジションへの切替え完了後に第三状態へと切り替えられない恐れがあることに対して、パーキングポジションへの切替え完了後に確実に第三状態への切替えが実行される。
また、好適には、前記車両状態を切り替える為の車両状態切替制御装置と、前記所定の要求信号に基づいて前記パーキングロック装置の前記ロック状態と前記非ロック状態とを切り替える為のパーキングロック制御装置とを備え、前記車両状態切替制御装置は、前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記パーキングロック制御装置による前記パーキングポジションへの切替えを実行するまでの時間として予め設定された所定切替時間が経過した後に、前記第二状態への切替えを実行することにある。このようにすれば、例えば強制的な第二状態への切替えが為されることで前記所定の要求信号のやり取りや前記パーキングロック装置の作動自体が実行されない恐れがあることに対して、強制的な第二状態への切替えが少なくとも前記所定の要求信号のやり取りや前記パーキングロック装置の作動自体に要する所定切替時間分遅延されることによりパーキングポジションへの切替えが可能となる。
また、好適には、前記車両状態を切り替える為に操作されるモーメンタリ式の押しボタンスイッチを備え、前記車両状態を切り替える為の操作は、前記押しボタンスイッチの押し操作であり、前記複数回連続する操作は、連続する前記押し操作の各操作間隔が所定時間以内であり且つその押し操作の回数が所定回数以上為された複数回連続するその押し操作である。このようにすれば、例えばユーザの操作意思を適確に反映することができる。
また、好適には、前記車両状態は、前記車両の電源供給状態であって、前記第一状態は、車両走行を可能とする為の電源オン状態であり、前記第二状態は、車両走行に関わる電源をオフとし且つ車両走行に関わらない電源をオンとする為の電源一部オン状態であり、前記第三状態は、車両走行に関わる電源と車両走行に関わらない電源とを共にオフとする為の電源オフ状態である。このようにすれば、例えば車両走行中に複数回連続する前記操作が為されたことで前記電源供給状態が強制的に前記電源一部オン状態へと切り替えられると前記操作の少なくとも1回が前記所定車速以下で為されたにも拘わらずその電源一部オン状態の為にパーキングポジションへの切替えが実行されない恐れがあることに対して、確実にパーキングポジションへの切替えが実行される。つまり、例えばユーザがパーキングポジションへの切替えと電源オフ状態への切り替えとを期待して前記所定車速近傍で前記複数回連続する操作を行った場合に、ユーザの意図に沿ってパーキングロックが実行されて車両を固定させることができる。また、前記パーキングポジションへの切替え完了後に、更に、前記電源供給状態を前記電源一部オン状態から前記電源オフ状態へ切り替えるようにすることで、例えば前記電源一部オン状態のまま放置されることによるバッテリ上がりを適切に回避することができる。つまり、前記電源一部オン状態への切替えに先立って前記パーキングポジションへの切替えを実行することによりパーキングポジションへは確実に切り替えられるものの、強制的な電源一部オン状態への切替えが為されることでパーキングポジションへの切替え完了後に電源オフ状態へと切り替えられない恐れがあることに対して、パーキングポジションへの切替え完了後に確実に電源オフ状態への切替えが実行される。
また、好適には、前記車両状態は、前記車両の電源供給状態であって、前記第一状態は、車両走行を行う為の走行電源オン状態であり、前記第二状態は、車両走行を不能とし且つ車両走行に関わらない電源をオンとする為の走行電源オフ状態であり、前記第三状態は、車両走行に関わる電源と車両走行に関わらない電源とを共にオフとする為の車両電源オフ状態である。このようにすれば、例えば車両走行中に複数回連続する前記操作が為されたことで前記電源供給状態が強制的に前記走行電源オフ状態へと切り替えられると前記操作の少なくとも1回が前記所定車速以下で為されたにも拘わらずその走行電源オフ状態の為にパーキングポジションへの切替えが実行されない恐れがあることに対して、確実にパーキングポジションへの切替えが実行される。つまり、例えばユーザがパーキングポジションへの切替えと車両電源オフ状態への切り替えとを期待して前記所定車速近傍で前記複数回連続する操作を行った場合に、ユーザの意図に沿ってパーキングロックが実行されて車両を固定させることができる。また、前記パーキングポジションへの切替え完了後に、更に、前記電源供給状態を前記走行電源オフ状態から前記車両電源オフ状態へ切り替えるようにすることで、例えば前記走行電源オフ状態のまま放置されることによるバッテリ上がりを適切に回避することができる。つまり、前記走行電源オフ状態への切替えに先立って前記パーキングポジションへの切替えを実行することによりパーキングポジションへは確実に切り替えられるものの、強制的な走行電源オフ状態への切替えが為されることでパーキングポジションへの切替え完了後に車両電源オフ状態へと切り替えられない恐れがあることに対して、パーキングポジションへの切替え完了後に確実に車両電源オフ状態への切替えが実行される。
また、好適には、前記電源供給状態を切り替える為の電源制御装置と、前記所定の要求信号に基づいて前記パーキングロック装置の前記ロック状態と前記非ロック状態とを切り替える為のパーキングロック制御装置とを備え、前記電源制御装置は、前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記パーキングロック制御装置による前記パーキングポジションへの切替えを実行するまでの時間として予め設定された所定切替時間が経過した後に、前記電源一部オン状態或いは走行電源オフ状態への切替えを実行することにある。このようにすれば、例えば強制的な電源一部オン状態或いは走行電源オフ状態への切替えが為されることで前記所定の要求信号のやり取りや前記パーキングロック装置の作動自体が実行されない恐れがあることに対して、強制的な電源一部オン状態或いは走行電源オフ状態への切替えが少なくとも前記所定の要求信号のやり取りや前記パーキングロック装置の作動自体に要する所定切替時間分遅延されることによりパーキングポジションへの切替えが可能となる。
本発明において、好適には、前記車両は、駆動力源の動力を変速機を介して駆動輪へ伝達するものである。また、前記変速機は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式多段変速機、常時噛み合う複数対の変速ギヤを2軸間に備えてそれら複数対の変速ギヤのいずれかを同期装置によって択一的に動力伝達状態とする同期噛合型平行2軸式変速機、その同期噛合型平行2軸式変速機ではあるが油圧アクチュエータにより駆動される同期装置によって変速段が自動的に切換られることが可能な同期噛合型平行2軸式自動変速機、上記同期噛合型平行2軸式自動変速機であるが入力軸を2系統備えて各系統の入力軸にクラッチがそれぞれつながり更にそれぞれ偶数段と奇数段へと繋がっている型式の変速機である所謂DCT(Dual Clutch Transmission)、動力伝達部材として機能する伝動ベルトが有効径が可変である一対の可変プーリに巻き掛けられ変速比が無段階に連続的に変化させられる所謂ベルト式無段変速機、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンとその軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧されそのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機、エンジンからの動力を第1電動機及び出力軸へ分配する例えば遊星歯車装置で構成される差動機構とその差動機構の出力軸に設けられた第2電動機とを備えてその差動機構の差動作用によりエンジンからの動力の主部を駆動輪側へ機械的に伝達しエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機への電気パスを用いて電気的に伝達することにより電気的に変速比が変更される所謂電気式無段変速機として機能する自動変速機、或いはエンジン軸や出力軸などに動力伝達可能に電動機が備えられる所謂パラレル式のハイブリッド車両に搭載される自動変速機などにより構成される。また、前記駆動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが広く用いられる。更に、補助的な走行用動力源として、電動機等がこのエンジンに加えて用いられても良い。或いは、走行用駆動力源として電動機のみが用いられても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10を構成するエンジン12から駆動輪14までの動力伝達経路の概略構成を説明する図であると共に、パーキングロック装置16などを制御する為に車両10に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。図1において、車両10は、パーキングロック装置16、変速機18、シフト操作装置30などを備え、車両10の走行に関わるシフトポジションすなわち変速機18のシフトポジション(シフトレンジ)を電気的に切り替えるシフトバイワイヤ(SBW)方式を採用している。また、変速機18は、例えば車両10において横置きされるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、走行用駆動力源としての内燃機関であるエンジン12の動力をカウンタギヤ対20の一方を構成する変速機18の出力回転部材としての出力歯車22から、動力伝達装置としてのカウンタギヤ対20、ファイナルギヤ対24、差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)26、及び一対の車軸(ドライブシャフト(D/S))28等を順次介して一対の駆動輪14へ伝達する。これら変速機18、カウンタギヤ対20、ファイナルギヤ対24、差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)26等によりトランスアクスル(T/A)が構成される。尚、以下においては、駆動力源としてのエンジン12及び電動機Mを備えたハイブリッド車両に本発明の電子制御装置100が適用された場合の例について説明するが、本発明の電子制御装置100が適用される車両は通常のエンジン車両、ハイブリッド車両、電動車両などどのような形式の車両であっても構わない。
また、車両10には、パーキングロック装置16の作動状態などを制御する為の車両用シフト制御装置を含む電子制御装置100が備えられている。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御や電動機Mの駆動制御等のハイブリッド駆動制御、変速機18の変速制御、シフトバイワイヤ方式を用いた変速機18のシフトポジションの切替制御、パーキングロック装置16の作動状態の切替制御などを実行する。
電子制御装置100には、例えばシフトレバー32の操作位置(操作ポジション)PSHを検出する為の位置センサであるシフトセンサ36及びセレクトセンサ38(図2参照)からの操作ポジションPSHに応じたシフトレバー位置信号、ユーザにより操作されて変速機18のシフトポジションをパーキングポジション(Pポジション)以外の非PポジションからPポジションへ切り替える為のPスイッチ34におけるスイッチ操作を表すPスイッチ信号、パーキングロック(Pロック)を作動或いは解除して変速機18のシフトポジションをPポジションと非Pポジションとの間で切り替える為のパーキングロック装置16におけるPロックの作動状態を表すP位置信号、ユーザにより操作されて車両10の電源供給の切替状態すなわち電源供給状態を切り替える為の車両電源スイッチ40におけるスイッチ操作を表すパワースイッチ信号SWON、常用ブレーキの作動を検出する為の不図示のフットブレーキペダルが操作されたことを示すブレーキスイッチ42からのブレーキオン状態を表すブレーキ操作信号BON、出力回転センサ44からの出力歯車22の回転速度(出力回転速度)NOUTを表す出力回転速度信号、電動機回転センサ(例えばレゾルバ)46からの電動機Mの回転速度(電動機回転速度)NMを表す電動機回転速度信号、車輪速センサ48からの各車輪の回転速度(車輪速)を表す車速Vに対応する車輪速パルス信号NWなどが、それぞれ供給される。
尚、車両電源スイッチ40は、例えば運転席の近傍に配設され、車両10の電源供給状態を切り替える為に操作されるモーメンタリ式の押しボタンスイッチである。従って、本実施例では、車両電源スイッチ40におけるスイッチ操作とは、この押しボタンスイッチの押し操作であり、この押し操作の間だけパワースイッチ信号SWONが出力される、すなわちパワースイッチ信号SWONがON状態とされる。
また、電子制御装置100からは、例えばエンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号や変速機18内の電動機Mの駆動制御の為のモータ制御指令信号や変速機18の変速制御の為の変速制御指令信号などのハイブリッド制御指令信号、変速機18のシフトポジションを切り替える為のシフトポジション切替制御指令信号、公知のコンビネーションメータ50内に設けられたスピードメータ52を作動させる為の車速表示制御指令信号、コンビネーションメータ50内に設けられたシフトポジションインジケータ54を作動させる為のシフトポジション表示制御指令信号、Pポジションインジケータランプ56を作動させてPロック状態を表示する為のPロック表示制御指令信号、パーキングロック装置16の切替制御の為のP切替制御指令信号などが、それぞれ出力される。
具体的には、電子制御装置100は、電源制御用コンピュータ(以下、「PM−ECU」と表す)102、ハイブリッド制御用コンピュータ(以下、「HV−ECU」と表す)104、パーキング制御用コンピュータ(以下、「P−ECU」と表す)106、電子制御ブレーキ用コンピュータ(以下、「スキッドコントロールECU」と表す)108、メータ制御用コンピュータ(以下、「メータECU」と表す)110などを備えている。
PM−ECU102は、例えばユーザにより操作される車両電源スイッチ40からのパワースイッチ信号SWONに基づいて、車両状態を切り替える為の車両状態切替制御装置すなわち車両10の電源供給状態を切り替える為の電源制御装置として機能する。ここで、本実施例において、車両10は、例えば車両走行を可能とする為の第一状態と、車両走行に関わる機能をオフとし且つ車両走行に関わらない機能をオンとする為の第二状態と、車両走行に関わる機能と車両走行に関わらない機能とを共にオフとする為の第三状態とに、車両状態を切り換え可能である。
具体的には、車両10は、上記第一状態としての例えばコンビネーションメータ50を点灯して車両走行を可能とする為の電源オン状態(IG-ON状態)と、上記第二状態としての例えばコンビネーションメータ50を消灯して車両走行に関わる電源をオフとし且つ車両走行に関わらない電源をオンとして車両10の一部の機能を稼働可能とする為の電源一部オン状態(ACC-ON状態、IG-OFF状態)と、上記第三状態としての例えば車両走行に関わる電源と車両走行に関わらない電源とを共にオフとして車両10の一部の機能も稼働不能とする為の電源オフ状態(ALL-OFF状態、IG/ACC-OFF状態)とに、電源供給状態を切り換え可能である。ここで、上記電源一部オン状態(ACC-ON状態)及び電源オフ状態(ALL-OFF状態)は、何れも車両走行に関わる電源をオフとして車両走行を不能とする為の走行用電源オフ状態(IG-OFF状態)であり、電源オフ状態(ALL-OFF状態)は、全電源オフ状態というべきものでもある。
尚、上記電源一部オン状態(ACC-ON状態)において車両10の一部の機能のみ稼働可能とすることは、例えばナビやオーディオ類58を稼働可能とする為の通電であったり、不図示のバッテリ電源取出ソケットへの通電などである。また、上記電源オン状態(IG-ON状態)は、例えば車両走行に関わるハイブリッド制御指令信号により車両走行を制御できる状態であって、アクセルオンすれば車両10が発進・走行できる走行可能状態(READY-ON状態)であるが、特に区別しない場合には、ハイブリッド制御指令信号により車両走行を制御する以外の他の機能は制御できる状態(例えば変速機18のシフトポジションを切替制御できる状態等)であって、エンジン12が起動せず且つ電動機Mを駆動できない状態すなわちアクセルオンとしても車両10が発進・走行できない状態も含むものとする。また、例えば上記IG-ON状態はPM−ECU102により不図示のACCリレー及びIGリレーが共にオン状態とされた状態であり、上記ACC-ON状態はPM−ECU102により上記ACCリレーのみがオン状態とされた状態である。また、例えば上記ALL-OFF状態はPM−ECU102により上記ACCリレー及びIGリレーが共にオフ状態とされた状態であり、上記IG-OFF状態はPM−ECU102により少なくとも上記IGリレーがオフ状態とされた状態である。
具体的には、PM−ECU102は、例えばPポジションにあるときに、ブレーキオン状態BONでパワースイッチ信号SWONの入力を検知すると、車両10の電源供給状態を何れの状態からもIG-ON状態(READY-ON状態のみ)へ切り替える。また、PM−ECU102は、Pポジションにあるときに、IG-ON状態で車速Vが所定車速V’以下(或いは所定車速V’未満でも良い)であり且つパワースイッチ信号SWONの入力を検知すると、車両10の電源供給状態をALL-OFF状態へ切り替える。また、PM−ECU102は、Pポジションにあるときに、ブレーキオン状態BONでない状態でパワースイッチ信号SWONの入力を検知すると、車両10の電源供給状態をALL-OFF状態→ACC-ON状態→IG-ON状態(READY-ON状態含まず)→ALL-OFF状態→・・・の順でパワースイッチ信号SWONの入力毎に切り替える。また、PM−ECU102は、非Pポジションにあるときに、ACC-ON状態であり且つパワースイッチ信号SWONの入力を検知すると、車両10の電源供給状態をIG-ON状態(READY-ON状態含まず)へ切り替える。また、PM−ECU102は、非Pポジションにあるときに、IG-ON状態で車速Vが所定車速V’以下であり且つパワースイッチ信号SWONの入力を検知すると、シフトポジションをPポジションとする為の所定の要求信号の1つとしてのオートP要求信号をHV−ECU104へ出力し、パーキングロック装置16を作動させることにより非PポジションからPポジションへの切替えを実行させると共に、Pポジションの確定後(Pポジションへの切替え完了後)に車両10の電源供給状態をALL-OFF状態へ切り替える(この一連の作動を「オートP作動」という)。
尚、上記所定車速V’は、例えば車両停止状態であると判断する為の予め実験的に求められて記憶された車両停止判定車速(例えば2〜3km/h)であり、所定停止車速というべきものでもある。従って、PM−ECU102は、車速Vが所定車速V’を超える車両走行中においてはパワースイッチ信号SWONの入力を検知しても、車両電源スイッチ40の操作をキャンセルする(すなわち車両電源スイッチ40からのパワースイッチ信号SWONを無効とする)ことにより上記「オートP作動」を実行しない。但し、PM−ECU102は、車両走行中(例えば車速Vが上記所定車速V’を超える車両走行中)にユーザによって車両電源スイッチ40が長押し操作されることにより数秒間以上(例えば3秒以上)継続してパワースイッチ信号SWONの入力を検知すると、車両10の電源供給状態を強制的にIG-ON状態からACC-ON状態へと切り替える(この作動を「緊急停止処理(或いは緊急IG-OFF作動)」という)。また、PM−ECU102は、車両走行中にユーザによって車両電源スイッチ40が複数回連続して短押し操作されることによりパワースイッチ信号SWONの検出間隔が所定時間Tsw以内(以下)であり且つパワースイッチ信号SWONの検出回数が所定回数Nsw以上為された複数回連続するパワースイッチ信号SWONの入力を検知することによっても、上記「緊急IG-OFF作動」を実行する。上記検出間隔は、例えば車両電源スイッチ40の前回操作と今回操作との間隔に相当するものであり、前回のパワースイッチ信号SWONの立ち上がりから今回のパワースイッチ信号SWONの立ち上がりまでの時間である。また、上記所定時間Tswは、例えばユーザによる連続した車両電源スイッチ40の操作であることを判断する為の予め実験的に求められて記憶されたスイッチ操作判定間隔(例えば1sec)である。また、上記所定回数Nswは、例えばユーザが車両停止を意図して行った連続スイッチ操作(連続スイッチ短押し)であることを判断する為の予め実験的に求められて記憶された連続スイッチ操作判定回数(例えば3回)である。また、PM−ECU102は、上記「緊急IG-OFF作動」を実行する際には、シフトポジションをニュートラルポジション(Nポジション)とする信号をHV−ECU104へ出力する。
HV−ECU104は、例えば変速機18の作動を統括的に制御する。例えば、HV−ECU104は、PM−ECU102により車両10の電源供給状態がIG-ON状態(READY-ON状態のみ)へ切り替えられると、車両走行を可能とする為のハイブリッドシステムを起動し、車両走行に関わるハイブリッド制御指令をエンジン12、電動機M、及び変速機18へ出力して車両走行を制御する。また、HV−ECU104は、シフトセンサ36及びセレクトセンサ38からの操作ポジションPSHに応じたシフトレバー位置信号に基づいてシフトポジション切替制御指令を変速機18へ出力してシフトポジションを切り替える。この際、変速機18のシフトポジションがPポジションにある場合には、HV−ECU104は、上記シフトレバー位置信号に基づいて変速機18のシフトポジションをPポジションから非Pポジションへ切り替える為の所定の要求信号の1つとしてのP解除切替要求信号をP−ECU106へ出力する。また、HV−ECU104は、Pスイッチ34からのPスイッチ信号に基づいて変速機18のシフトポジションを非PポジションからPポジションへ切り替える為の所定の要求信号の1つとしてのPロック切替要求信号をP−ECU106へ出力する。また、HV−ECU104は、PM−ECU102からの前記オートP要求信号に基づいて変速機18のシフトポジションを非PポジションからPポジションへ切り替える為の上記Pロック切替要求信号をP−ECU106へ出力する。また、HV−ECU104は、シフトポジションの状態を表示する為のシフトポジション表示信号をメータECU110へ出力する。また、HV−ECU104は、P−ECU106からのPポジションであることを示すPロック状態信号に基づいてPロック状態(Pポジション)であることを表示する為のパーキングロック表示制御指令信号(Pロック表示制御指令信号)をPスイッチ34へ出力し、Pスイッチ34内のPポジションインジケータランプ56を点灯してPロック状態にあることを明示する。
P−ECU106は、例えばHV−ECU104からのP切替要求信号(Pロック切替要求信号、P解除切替要求信号)に基づいてシフトポジションをPポジションと非Pポジションとの間で切り替える為に、パーキングロック装置16の駆動を制御してパーキングロックを作動させるか或いは解除させる。つまり、P−ECU106は、所定の要求信号としてのP切替要求信号(Pロック切替要求信号、P解除切替要求信号)に基づいてパーキングロック装置16のロック状態(Pロック状態)と非ロック状態(非Pロック状態)とを切り替える為のパーキングロック制御装置として機能する。また、P−ECU106は、パーキングロック装置16からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて変速機18のシフトポジションがPポジションであるか非Pポジションであるかを判断し、その判断した結果をPロック状態信号としてPM−ECU102、HV−ECU104等へ出力する。
スキッドコントロールECU108は、例えば各センサ、HV−ECU104などとの通信により回生協調制御やABS(アンチロック・ブレーキ・システム)作動制御やブレーキアシスト制御などのブレーキ制御を実行する。また、スキッドコントロールECU108は、車輪速センサ48から出力される車輪速パルス信号NWを車速Vを表す車速信号V1へ変換し、例えばCAN(Controller Area Network)通信やLIN(Local Interconnect Network)通信など車載向けの多重通信を行う為の多重通信線60を介してその車速信号V1を他のECU等へ送信する。また、スキッドコントロールECU108は、その車輪速パルス信号NWを車速パルス信号に変換し、じか線62を介してその車速パルス信号をメータECU110へ出力する。このじか線62は、各種制御を実行するに際して、通信相手のECUやセンサ毎に例えばワイヤーハーネスを1対1に直接結んで構成されたメタルワイヤなどの通信線である。
メータECU110は、例えばスキッドコントロールECU108から出力される車速パルス信号に基づいてメータ表示用車速信号V2を決定し、現在の車速Vを表示する為の車速表示制御指令信号を出力して、スピードメータ52を作動させることにより現在の車速Vを表示する。また、メータECU110は、HV−ECU104から出力されるシフトポジション表示信号に基づいたシフトポジションの状態を表示する為のシフトポジション表示制御指令信号を出力し、現在のシフトポジションの状態をシフトポジションインジケータ54に表示する。
図2は、変速機18において複数種類のシフトポジションを人為的操作により切り替える切替装置(操作装置)としてのシフト操作装置30の一例を示す図である。このシフト操作装置30は、例えば運転席の近傍に配設され、複数の操作ポジションPSHへ操作されるモーメンタリ式の操作子すなわち操作力を解くと元位置(初期位置)へ自動的に復帰する自動復帰式の操作子としてのシフトレバー32を備えている。また、本実施例のシフト操作装置30は、変速機18のシフトポジションをパーキングポジション(Pポジション)としてパーキングロックする為のモーメンタリ式の操作子としてのPスイッチ34をシフトレバー32の近傍に別スイッチとして備えている。
シフトレバー32は、図2に示すように車両の前後方向または上下方向すなわち縦方向に配列された3つの操作ポジションPSHであるR操作ポジション(R操作位置)、N操作ポジション(N操作位置)、D操作ポジション(D操作位置)と、それに平行に配列されたM操作ポジション(M操作位置)、B操作ポジション(B操作位置)とへそれぞれ操作されるようになっており、操作ポジションPSHに応じたシフトレバー位置信号をHV−ECU104へ出力する。また、シフトレバー32は、R操作ポジションとN操作ポジションとD操作ポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、M操作ポジションとB操作ポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、更に、N操作ポジションとB操作ポジションとの相互間で上記縦方向に直交する車両の横方向に操作可能とされている。
Pスイッチ34は、例えばモーメンタリ式の押しボタンスイッチであって、ユーザにより押込み操作される毎にPスイッチ信号をHV−ECU104へ出力する。例えば変速機18のシフトポジションが非PポジションにあるときにPスイッチ34が押されると、車速Vが車両停止(或いは略停止状態)にあることを判断する為の予め設定されたPロック許可車速Vp以下であるなどの所定の条件が満たされていれば、HV−ECU104からのPロック切替要求信号に基づいてP−ECU106によりシフトポジションがPポジションとされる。このPポジションは、変速機18内の動力伝達経路が遮断され、且つ、パーキングロック装置16により駆動輪14の回転を機械的に阻止するパーキングロックが実行される駐車ポジションである。また、このPスイッチ34にはPポジションインジケータランプ56が内蔵されており、P−ECU106からのPロック状態信号がPポジションであることを示すものであれば、HV−ECU104によりPポジションインジケータランプ56が点灯される。
シフト操作装置30のM操作ポジションはシフトレバー32の初期位置(ホームポジション)であり、M操作ポジション以外の操作ポジションPSH(R,N,D,B操作ポジション)へシフト操作されていたとしても、運転者がシフトレバー32を解放すればすなわちシフトレバー32に作用する外力が無くなれば、バネなどの機械的機構によりシフトレバー32はM操作ポジションへ戻るようになっている。シフト操作装置30が各操作ポジションPSHへシフト操作された際には、HV−ECU104により操作ポジションPSHに対応したシフトレバー位置信号に基づいてそのシフト操作後の操作ポジションPSHに対応したシフトポジションに切り替えられると共に、現在の操作ポジションPSHすなわち変速機18のシフトポジションの状態がシフトポジションインジケータ54に表示される。
各シフトポジションについて説明すると、シフトレバー32がR操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるRポジションは、車両10を後進させる駆動力が駆動輪14に伝達される後進走行ポジションである。また、シフトレバー32がN操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるニュートラルポジション(Nポジション)は、変速機18内の動力伝達経路が遮断されるニュートラル状態とする為の中立ポジションである。また、シフトレバー32がD操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるDポジションは、車両10を前進させる駆動力が駆動輪14に伝達される前進走行ポジションである。例えば、HV−ECU104は、シフトポジションがPポジションであるときに、シフトレバー位置信号に基づいて車両10の移動防止(パーキングロック)を解除する所定の操作ポジションPSH(具体的には、R操作ポジション、N操作ポジション、又はD操作ポジション)へシフト操作されたと判断した場合には、ブレーキオン状態BONであるなどの所定の条件が満たされていれば、パーキングロックを解除させるP解除切替要求信号をP−ECU106へ出力する。P−ECU106は、HV−ECU104からのP解除切替要求信号に基づいてパーキングロック装置16に対してパーキングロックを解除するP切換制御指令信号を出力してパーキングロックを解除させる。そして、HV−ECU104は、そのシフト操作後の操作ポジションPSHに対応したシフトポジションへ切り換える。
また、シフトレバー32がB操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるBポジションは、Dポジションにおいて例えば電動機Mに回生トルクを発生させる回生制動などによりエンジンブレーキ効果を発揮させ駆動輪14の回転を減速させる減速前進走行ポジション(エンジンブレーキレンジ)である。従って、HV−ECU104は、現在のシフトポジションがDポジション以外のシフトポジションであるときにシフトレバー32がB操作ポジションへシフト操作されてもそのシフト操作を無効とし、DポジションであるときのみB操作ポジションへのシフト操作を有効とする。例えば、Pポジションであるときに運転者がB操作ポジションへシフト操作したとしてもシフトポジションはPポジションのまま継続される。
本実施例のシフト操作装置30では、シフトレバー32に作用する外力が無くなればM操作ポジションへ戻されるので、シフトレバー32の操作ポジションPSHを視認しただけでは選択中のシフトポジションを認識することは出来ない。そのため、運転者の見易い位置にシフトポジションインジケータ54が設けられており、選択中のシフトポジションがシフトポジションインジケータ60に表示されるようになっている。
本実施例では所謂シフトバイワイヤ(SBW)方式を採用しており、シフト操作装置30は上記縦方向である第1方向P1とその方向P1と交差する(図2では直交する)横方向である第2方向P2とに2次元的にシフト操作されるので、その操作ポジションPSHを位置センサの検出信号として電子制御装置100に出力する為に、上記第1方向P1のシフト操作を検出する第1方向検出部としてのシフトセンサ36と上記第2方向P2のシフト操作を検出する第2方向検出部としてのセレクトセンサ38とを備えている。シフトセンサ36とセレクトセンサ38との何れも操作ポジションPSHに応じた検出信号(シフトレバー位置信号)としての電圧を電子制御装置100に対し出力し、その検出信号電圧に基づき電子制御装置100は操作ポジションPSHを認識(判定)する。すなわち、上記第1方向検出部(シフトセンサ36)と第2方向検出部(セレクトセンサ38)とが全体として、シフト操作装置30の操作ポジションPSHを検出する操作ポジション検出部を構成していると言える。
操作ポジションPSHの認識について一例を示せば、シフトセンサ36の検出信号電圧VSFは、R操作ポジションを示す第1方向第1位置P1_1、M操作ポジションもしくはN操作ポジションを示す第1方向第2位置P1_2、及びB操作ポジションもしくはD操作ポジションを示す第1方向第3位置P1_3の各位置に対応する電圧レベル(例えばlow範囲、mid範囲、high範囲内の各電圧)になる。また、セレクトセンサ38の検出信号電圧VSLは、M操作ポジションもしくはB操作ポジションを示す第2方向第1位置P2_1、及びR操作ポジション、N操作ポジション、もしくはD操作ポジションを示す第2方向第2位置P2_2の各位置に対応する電圧レベル(例えばlow範囲、high範囲内の各電圧)になる。HV−ECU104は、このように変化する上記検出信号電圧VSF,VSLを検出することにより、各電圧レベルの組み合わせによって操作ポジションPSH(R、N、D、M、B操作ポジション)を認識する。
図3は、駆動輪14の回転を機械的に阻止するパーキングロック装置16の構成を説明する図である。図3において、パーキングロック装置16は、Pロック機構66、Pロック駆動モータ68、エンコーダ70などを備え、電子制御装置100からの制御信号に基づき車両10の移動を防止する為に作動するアクチュエータである。
Pロック駆動モータ68は、例えばSRモータにより構成され、P−ECU106からの指令を受けてシフトバイワイヤシステムによってPロック機構66を駆動する。エンコーダ70は、例えばPロック駆動モータ68と一体的に回転し、Pロック駆動モータ68の移動量(回転量)に応じた計数値(エンコーダカウント)を取得するためのパルス信号をP−ECU106へ供給する。
Pロック機構66は、Pロック駆動モータ68により回転駆動されるシャフト72、シャフト72の回転に伴って回転することにより、Pポジションに対応するPロックポジションとPポジション以外の各シフトポジション(非Pポジション)に対応する非Pロックポジションとを切り替える為のPロック位置決め部材として機能するディテントプレート74、ディテントプレート74の回転に伴って動作するロッド76、例えば変速機18の出力歯車22に同心上に固定されて駆動輪14と連動して回転するパーキングギヤ78(図1参照)、パーキングギヤ78を回転阻止(ロック)するためのパーキングロックポール80、ディテントプレート74の回転を制限してシフトポジションを固定するディテントスプリング82、及びころ84を備えている。
図3は、非パーキングロックポジションであるときの状態を示している。この状態から、シャフト72を矢印Cの方向に回転させると、ロッド76が矢印Aの方向に押され、パーキングロックポール80が矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート74の回転に伴って、非パーキングロックポジションにあったディテントスプリング82のころ84は、山88を乗り越えてパーキングロックポジションへ移る。ころ84がパーキングロックポジションに来るまでディテントプレート74が回転したとき、パーキングロックポール80は、パーキングギヤ78と噛み合う位置まで押し上げられる。これにより、パーキングギヤ78の回転が機械的に阻止され、シフトポジションがPポジションに切り替わる。
ここで、前述したように、本実施例の車両10においては、非Pポジション且つIG-ON状態で車速Vが所定車速V’以下であるときの「車両電源スイッチ40の押し操作」によって前記「オートP作動」を実行する。一方、車両走行中の「車両電源スイッチ40の長押し操作」によって前記「緊急IG-OFF作動」を実行するという態様の他に、車両走行中の「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」によってもその「緊急IG-OFF作動」を実行する。ところで、ユーザが上記「オートP作動」を意図(期待)して、例えば所定車速V’を超える車速Vからの減速中に所定車速V’以下となることを見越して、上記「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」を実行することが想定される。このような場合、上記「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回が所定車速V’以下で為されると、以下に示す現象が発生する可能性がある。
先ず、図1を参照して前記「オートP作動」の一連の流れの一例を下記(1)−(10)にて簡単に説明する。(1)車両電源スイッチ40の操作に伴うパワースイッチ信号SWONがPM−ECU102に入力される。(2)PM−ECU102により車速Vが所定車速V’以下であるか否かに基づいてパワースイッチ信号SWONが有効であるか判定される。(3)車速Vが所定車速V’以下であればPM−ECU102から多重通信線60を介してオートP要求信号がHV−ECU104へ出力される。(4)HV−ECU104により車速Vが所定車速V’以下であるか否かに基づいてPロック切替要求信号を出力しても良いかが判定される。(5)車速Vが所定車速V’以下であればHV−ECU104からPロック切替要求信号がP−ECU106へ出力される。(6)P−ECU106によりパーキングロック装置16の駆動が制御されてパーキングロックが作動させられるすなわちシフトポジションがPポジションへ切り替えられる。(7)P−ECU106によりシフトポジションがPポジションであると判断されるとすなわちパーキングロックの作動が完了したと判断されると、その判断結果がPロック状態信号としてHV−ECU104へ出力される。(8)HV−ECU104により車速Vが所定車速V’以下であるか否かに基づいてオートP完了信号を出力しても良いかが判定される。(9)車速Vが所定車速V’以下であればHV−ECU104から多重通信線60を介してオートP完了信号がPM−ECU102へ出力される。(10)PM−ECU102によりオートP完了信号に基づいて車両10の電源供給状態がALL-OFF状態へ切り替えられる。上記(1)−(10)に示した「オートP作動」の一連の流れのうちで、例えば上記(3)に示すオートP要求信号及び上記(9)に示すオートP完了信号は、多重通信線60を介して送受信される。この多重通信線60を介した信号の送受信は、車両10の電源供給状態がIG-OFF状態であるときには不能とされる。
その為、前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下で為された場合、例えばPM−ECU102から多重通信線60を介してオートP要求信号がHV−ECU104へ向けて送信されるものの、HV−ECU104がそのオートP要求信号を受信する前に、或いはP−ECU106によりパーキングロック装置16が作動させられる前に、前記「緊急IG-OFF作動」が実行されて車両10の電源供給状態がACC-ON状態とされてしまうと、シフトポジションがPポジションへ切り替えられず、結果的に、車両10はACC-ON状態のNポジションとされる(現象1)。一方で、同様に前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下で為された場合、例えばPM−ECU102から多重通信線60を介して送信されたオートP要求信号をHV−ECU104が受信し、HV−ECU104から出力されたPロック切替要求信号に基づいてP−ECU106によりパーキングロック装置16が作動させられてシフトポジションがPポジションへ切り替えられるものの、HV−ECU104から多重通信線60を介してオートP完了信号がPM−ECU102へ向けて送信される前に、或いはオートP完了信号が送信されたとしてもPM−ECU102がそのオートP完了信号を受信する前に、前記「緊急IG-OFF作動」が実行されて車両10の電源供給状態がACC-ON状態とされてしまうと、PM−ECU102はそのオートP完了信号を受信できず、結果的に、車両10はACC-ON状態のPポジションとされる(現象2)。このように、「車両電源スイッチ40の押し操作」が所定車速V’以下で為されたとしても、前記「オートP作動」が実行されない現象が発生する。また、その現象は、前記「緊急IG-OFF作動」の実行時期によって一律のものではない。従って、ユーザの操作意思を適確に反映できない可能性がある。
つまり、上記現象1、2の何れにおいても、例えばユーザによる車両電源スイッチ40の操作が前記「オートP作動」を期待したものであるときには、その「オートP作動」が実行されたと勘違いしてユーザはACC-ON状態のまま車両10から離れる場合が想定され、その場合にはバッテリ上がりを起こす可能性がある。特に、上記現象2では、バッテリ上がりを起こした場合に非Pポジションへの切替え(Pロック状態の解除)ができなくなる可能性がある。また、特に、上記現象1では、ユーザはNポジションのまま車両10から離れる可能性がある。このように、ユーザの操作意思を適確に反映できない可能性がある。
そこで、本実施例の電子制御装置100は、例えば確実にPポジション(パーキングポジション)への切替えが実行される為に、前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、前記「緊急IG-OFF作動」に先立ってすなわち前記「緊急IG-OFF作動」におけるACC-ON状態への切替えに先立って、Pポジションへの切替えを実行する。具体的には、電子制御装置100は、例えば「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、前記オートP要求信号が出力されてからパーキングロック制御装置16によるPポジションへの切替えを実行するまでの時間として予め実験的に求められて設定(記憶)された所定切替時間TPが経過した後に、ACC-ON状態への切替えを実行する。つまり、電子制御装置100は、例えば「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、前記「緊急IG-OFF作動」の実行を前記所定切替時間TP分だけ遅延する。この所定切替時間TPは、例えばPM−ECU102から多重通信線60を介して出力されたオートP要求信号をHV−ECU104が確実に受信し、P−ECU106によりパーキングロック装置16が作動させられてシフトポジションがPポジションへ確実に切り替えられる為に必要な時間として予め求められた「緊急IG-OFF作動」の実行待機時間(例えば1秒前後の時間)である。
また、電子制御装置100は、例えばACC-ON状態のまま放置されることによるバッテリ上がりを適切に回避する為に、前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、上記Pポジションへの切替え完了後に、更に、車両10の電源供給状態をACC-ON状態からALL-OFF状態へ切り替える。
より具体的には、図4は、電子制御装置100による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、スイッチ操作判定部すなわちスイッチ操作判定手段112は、例えばユーザにより車両電源スイッチ40の操作が為されたか否かを判定する。例えば、スイッチ操作判定手段112は、パワースイッチ信号SWONが立ち上がったか否かに基づいて車両電源スイッチ40の操作が為されたか否かを判定する。また、スイッチ操作判定手段112は、例えば車両電源スイッチ40の操作が為されたことを判定した場合には、パワースイッチ信号SWONの立ち上がりの検出間隔すなわち車両電源スイッチ40の前回操作と今回操作との間隔が所定時間Tsw以下であるか否かを判定する。また、スイッチ操作判定手段112は、例えばパワースイッチ信号SWONの検出間隔が所定時間Tsw以下であると判定した場合には、前回の連続スイッチ操作カウンタNに「1」を加算して新たな連続スイッチ操作カウンタN(=N+1)とする計数手段として機能する。一方で、スイッチ操作判定手段112は、例えばパワースイッチ信号SWONの検出間隔が所定時間Tswを超えていると判定した場合には、連続スイッチ操作カウンタNを初期値(N=1)とする。更に、スイッチ操作判定手段112は、例えば連続スイッチ操作カウンタNが所定回数Nsw以上であるか否か、すなわち前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」が為されたか否かを判定する。つまり、スイッチ操作判定手段112は、例えば連続スイッチ操作カウンタNが所定回数Nsw以上であるか否かを判定することで、前記「緊急IG-OFF作動」を実行させるか否かを判定する緊急停止処理判定手段(或いは緊急IG-OFF作動判定手段)として機能する。
車速判定部すなわち車速判定手段114は、例えば車速Vが所定車速V’以下であるか否かを判定する。
オートP作動要求部すなわちオートP作動要求手段116は、例えばスイッチ操作判定手段112により車両電源スイッチ40の操作が為されたと判定されたときに車速判定手段114により車速Vが所定車速V’以下であると判定された場合には、前記オートP要求信号を出力する。
P作動制御部すなわちP作動制御手段118は、例えばオートP作動要求手段116により前記オートP要求信号が出力された場合には、Pロック切替要求信号を出力し、そのPロック切替要求信号に基づいてパーキングロック装置16の駆動を制御してパーキングロックを作動させるすなわちシフトポジションをPポジションへ切り替える。
P位置確定判定部すなわちP位置確定判定手段120は、例えばパーキングロック装置16の作動によりPポジション(Pロック状態)が確定しているか否かを、パーキングロック装置16からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて判定する。つまり、P位置確定判定手段120は、上記P位置信号に基づいて変速機18のシフトポジションがPポジションであるか否かを判断する。
オートP要求有無判定部すなわちオートP要求有無判定手段122は、例えばオートP作動要求手段116により前記オートP要求信号の出力が為されているか否かを判定する。
P切替時間判定部すなわちP切替時間判定手段124は、例えばスイッチ操作判定手段112により連続スイッチ操作カウンタNが所定回数Nsw以上であると判定され、且つオートP要求有無判定手段122により前記オートP要求信号の出力が為されていると判定された場合には、オートP作動要求手段116により前記オートP要求信号が出力されてからのタイマカウンタTをカウントアップ(計数)する。また、P切替時間判定手段124は、例えば上記タイマカウンタTが前記所定切替時間TP以上となったか否かを判定する。
電源供給切替制御部すなわち電源供給切替制御手段126は、例えばスイッチ操作判定手段112により連続スイッチ操作カウンタNが所定回数Nsw以上であると判定されたときにオートP要求有無判定手段122により前記オートP要求信号の出力が為されていないと判定された場合には、或いはP切替時間判定手段124により上記タイマカウンタTが前記所定切替時間TP以上となったと判定された場合には、車両10の電源供給状態を前記「緊急IG-OFF作動」の為のACC-ON状態へ切り替える。また、電源供給切替制御手段126は、例えばACC-ON状態への切替えを実行した後に、P位置確定判定手段120によりシフトポジションがPポジションであると判定された場合には、車両10の電源供給状態を上記ACC-ON状態からALL-OFF状態へ切り替える。一方で、電源供給切替制御手段126は、例えばACC-ON状態への切替えを実行した後に、P位置確定判定手段120によりシフトポジションがPポジションでないと判定された場合には、前記「緊急IG-OFF作動」の為のACC-ON状態をそのまま継続(維持)する。
図5は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわちPポジションへの電気的な切替制御においてユーザの操作意思を適確に反映する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。また、図6は、図5のフローチャートに示す制御作動に対応するタイムチャートである。
図5において、先ず、スイッチ操作判定手段112に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えばパワースイッチ信号SWONが立ち上がったか否かに基づいて車両電源スイッチ40の操作が為されたか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は車速判定手段114に対応するS20において、例えば車速Vが所定車速V’以下であるか否かが判定される(図6のt1時点、t2時点、及びt3時点)。このS20の判断が肯定される場合はオートP作動要求手段116に対応するS30において、例えば前記オートP要求信号が出力される(図6のt3時点)。一方、上記S20の判断が否定される場合は或いは上記S30に続いてスイッチ操作判定手段112に対応するS40において、例えばパワースイッチ信号SWONの立ち上がりの検出間隔すなわち車両電源スイッチ40の前回操作と今回操作との間隔が所定時間Tsw以下であるか否かが判定される(図6のt1時点、t2時点、及びt3時点)。このS40の判断が否定される場合は同じくスイッチ操作判定手段112に対応するS50において、例えば連続スイッチ操作カウンタNが初期値(N=1)とされ、本ルーチンが終了させられる(図6のt1時点)。一方、上記S40の判断が肯定される場合は同じくスイッチ操作判定手段112に対応するS60において、例えば前回の連続スイッチ操作カウンタNに「1」が加算されて新たな連続スイッチ操作カウンタN(=N+1)とされる(図6のt2時点及びt3時点)。次いで、同じくスイッチ操作判定手段112に対応するS70において、例えば連続スイッチ操作カウンタNが所定回数Nsw(例えば3回)以上であるか否が判定される。このS70の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合はオートP要求有無判定手段122に対応するS80において、例えば前記オートP要求信号の出力が為されているか否かが判定される(図6のt3時点)。
上記S80の判断が肯定される場合はP切替時間判定手段124に対応するS90において、例えば上記S30にて前記オートP要求信号が出力されてからのタイマカウンタTがカウントアップ(計数)される。次いで、同じくP切替時間判定手段124に対応するS100において、例えば上記タイマカウンタTが前記所定切替時間TP以上となったか否かが判定される。このS100の判断が否定される場合は上記S90に戻る。そして、上記S80の判断が否定されるか或いは上記S100の判断が肯定される場合(図6のt4時点)は電源供給切替制御手段126に対応するS110において、例えば車両10の電源供給状態が前記「緊急IG-OFF作動」の為のACC-ON状態へ切り替えられる。次いで、P位置確定判定手段120に対応するS120において、例えばパーキングロック装置16からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて、Pポジション(Pロック状態)が確定しているか否かすなわちシフトポジションがPポジションであるか否かが判定される。このS120の判断が肯定される場合は電源供給切替制御手段126に対応するS130において、例えば車両10の電源供給状態が上記ACC-ON状態からALL-OFF状態へ切り替えられる(図6のt5時点)。一方、上記S120の判断が否定される場合は同じく電源供給切替制御手段126に対応するS140において、例えば前記「緊急IG-OFF作動」の為のACC-ON状態がそのまま継続(維持)される。
図6において、前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる為の複数回連続したパワースイッチ信号SWONのうちの少なくとも1回が所定車速V’以下で為された場合に、Pポジションへの切替えが完了する時点(図6のA時点)よりも前に前記「緊急IG-OFF作動」の実行により車両10の電源供給状態がACC-ON状態とされると、シフトポジションがPポジションへ切り替えられずに、車両10はACC-ON状態のNポジションとされる(前記現象1に対応)。また、上記と同様の場合に、オートP完了信号を受信する時点(図6のB時点)よりも前に「緊急IG-OFF作動」の実行により車両10の電源供給状態がACC-ON状態とされると、シフトポジションはPポジションへ切り替えられるものの電源供給状態がALL-OFF状態へ切り替えられずに、車両10はACC-ON状態のPポジションとされる(前記現象2に対応)。このような現象に対して、前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる為の複数回連続したパワースイッチ信号SWONのうちの少なくとも1回が所定車速V’以下で為された場合に、前記所定切替時間TP経過後に車両10の電源供給状態がACC-ON状態とされることから、シフトポジションは確実にPポジションへ切り替えられる。加えて、車両10がACC-ON状態のPポジションとされると、車両10の電源供給状態がそのACC-ON状態からALL-OFF状態へ切り替えられることから、車両10は確実にALL-OFF状態のPポジションとされる。
上述のように、本実施例によれば、前記「緊急IG-OFF作動」の実行条件を成立させる「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、前記「緊急IG-OFF作動」に先立ってすなわち前記「緊急IG-OFF作動」におけるACC-ON状態への切替えに先立って、Pポジションへの切替えが実行されるので、例えば「緊急IG-OFF作動」の実行により強制的にACC-ON状態へと切り替えられると「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下で為されたにも拘わらずACC-ON状態の為にPポジションへの切替えが実行されない恐れがあることに対して、確実にPポジションへの切替えが実行される。つまり、例えばユーザが「オートP作動」を期待して所定車速V’近傍で「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」を行った場合に、ユーザの意図に沿ってPロックが実行されて車両10を固定させることができる。よって、Pロックを行う為のPポジションへの電気的な切替制御において、ユーザの操作意思を適確に反映することができる。
また、本実施例によれば、前記「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、上記Pポジションへの切替え完了後に、更に、車両10の電源供給状態をACC-ON状態からALL-OFF状態へ切り替えるので、例えばACC-ON状態のまま放置されることによるバッテリ上がりを適切に回避することができる。つまり、ACC-ON状態への切替えに先立ってPポジションへの切替えを実行することによりPポジションへは確実に切り替えられるものの、強制的なACC-ON状態への切替えが為されることでPポジションへの切替え完了後にALL-OFF状態へと切り替えられない恐れがあることに対して、Pポジションへの切替え完了後に確実にALL-OFF状態への切替えが実行される。
また、本実施例によれば、前記「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」のうちの少なくとも1回の操作が所定車速V’以下であるという条件下で為された場合には、前記所定切替時間TPが経過した後に、ACC-ON状態への切替えを実行するので、例えば強制的なACC-ON状態への切替えが為されることでオートP要求信号等の所定の要求信号のやり取りやパーキングロック装置16の作動自体が実行されない恐れがあることに対して、強制的なACC-ON状態への切替えが少なくともその所定の要求信号のやり取りやパーキングロック装置16の作動自体に要する所定切替時間TP分遅延されることによりPポジションへの切替えが可能となる。
また、本実施例によれば、車両10の電源供給状態を切り替える為の操作は車両電源スイッチ40の押し操作であり、前記「車両電源スイッチ40の複数回連続した短押し操作」は、連続するその押し操作の各操作間隔が所定時間Tsw以内であり且つその押し操作の回数が所定回数Nsw以上為された複数回連続するその押し操作であるので、例えばユーザの操作意思を適確に反映することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例において、車両状態における第一状態は車両10の電源供給状態における電源オン状態(IG-ON状態)であり、車両状態における第二状態は車両10の電源供給状態における電源一部オン状態(ACC-ON状態、IG-OFF状態)であり、車両状態における第三状態は車両10の電源供給状態における電源オフ状態(ALL-OFF状態、IG/ACC-OFF状態)であった。また、上記電源オン状態(IG-ON状態)は、例えば車両走行に関わるハイブリッド制御指令信号により車両走行を制御できる状態であって、アクセルオンすれば車両10が発進・走行できる走行可能状態(READY-ON状態)であるが、特に区別しない場合には、ハイブリッド制御指令信号により車両走行を制御する以外の他の機能は制御できる状態であって、エンジン12が起動せず且つ電動機Mを駆動できない状態すなわちアクセルオンとしても車両10が発進・走行できない状態も含むものとした。ここで、上記第二状態は、車両走行に関わる機能をオフとし且つ車両走行に関わらない機能をオンとする為の車両状態であれば良く、例えば電源オン状態(IG-ON状態)のうちで走行可能状態(READY-ON状態)とならないようなアクセルオンとしても車両10が発進・走行できない走行不能状態(READY-OFF状態)を含むものであっても良い。
つまり、本実施例において、車両状態における第一状態は、例えば車両走行を行う為の車両10の電源供給状態における走行電源オン状態(IG-ON状態+READY-ON状態)であり、車両状態における第二状態は、例えば車両走行を不能とし且つ車両走行に関わらない電源をオンとする為の車両10の電源供給状態における走行電源オフ状態(IG-ON状態+READY-OFF状態、或いはACC-ON状態)であり、車両状態における第三状態は、例えば車両走行に関わる電源と車両走行に関わらない電源とを共にオフとする為の車両10の電源供給状態における電源オフ状態(ALL-OFF状態)である。尚、例えばハイブリッド車両以外の通常のエンジン車両において、走行電源オン状態(IG-ON状態+READY-ON状態)から走行電源オフ状態(IG-ON状態+READY-OFF状態)への切替えは、例えばエンジン12のみを運転状態(稼働状態)から停止状態へと制御することである。
図7は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわちPポジションへの電気的な切替制御においてユーザの操作意思を適確に反映する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。また、この図7は図5のフローチャートに対応するものであり、主に相違するステップについて以下に説明する。
図7において、前記S80の判断が否定されるか或いは前記S100の判断が肯定される場合は電源供給切替制御手段126に対応するS110’において、例えば車両10の電源供給状態が前記「緊急停止処理」の為の走行電源オフ状態(IG-ON状態+READY-OFF状態、或いはACC-ON状態)へ切り替えられる。次いで、P位置確定判定手段120に対応するS120において、例えばPポジションが確定しているか否かが判定される。このS120の判断が肯定される場合は電源供給切替制御手段126に対応するS130’において、例えば車両10の電源供給状態が上記走行電源オフ状態(IG-ON状態+READY-OFF状態、或いはACC-ON状態)からALL-OFF状態へ切り替えられる。一方、上記S120の判断が否定される場合は同じく電源供給切替制御手段126に対応するS140’において、例えば前記「緊急停止処理」の為の走行電源オフ状態(IG-ON状態+READY-OFF状態、或いはACC-ON状態)がそのまま継続(維持)される。
上述のように、本実施例によれば、前述の実施例に替えて、車両状態における第一状態を車両10の電源供給状態における走行電源オン状態(IG-ON状態+READY-ON状態)とし、車両状態における第二状態を車両10の電源供給状態における走行電源オフ状態(IG-ON状態+READY-OFF状態、或いはACC-ON状態)としたものであり、第一状態、第二状態、及び第三状態における各車両状態は実質的に前述の実施例と同じであるので、本実施例においても、前述の実施例と同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、「緊急IG-OFF作動」の実行を遅延させる為の前記所定切替時間TPはパーキングロック装置16が作動させられてシフトポジションがPポジションへ確実に切り替えられる為に必要な時間であったが、ACC-ON状態であってもP−ECU106によりパーキングロック装置16が作動させられてシフトポジションがPポジションへ切り替えられることが可能である場合には、前記所定切替時間TPは、例えばPM−ECU102から多重通信線60を介して出力されたオートP要求信号をHV−ECU104が確実に受信する為に必要な時間として予め求められた「緊急IG-OFF作動」の実行待機時間であっても良い。このような場合には、例えば車両10の電源供給状態がIG-OFF状態であるときには不能とされるような多重通信線60を介してオートP要求信号やオートP完了信号等の信号を送受信することを前提とするものである。このようにしても本発明は適用され得る。
また、前述の実施例では、パーキングロック装置16の作動状態の切替制御や車両10の電源供給状態の切替制御に関与するコンピュータとして、PM−ECU102、HV−ECU104、及びP−ECU106の3つのコンピュータ(ECU)を例示したが、これに限らず種々の態様を採用することができる。例えば、ハイブリッド制御に関わる機能等のHV−ECU104が有する機能を組み込んだPM−ECU102とP−ECU106との2つのコンピュータ(ECU)を備え、PM−ECU102とP−ECU106との間でやり取りする信号等をHV−ECU104を介することなく直接的に送受信するような態様であっても良い。また、HV−ECU104の機能を組み込んだPM−ECU102において、HV−ECU104とPM−ECU102との間の信号の送受信を、内部的に処理するような態様としても良いし、PM−ECU102の外部の多重通信線60を介して処理するような態様としても良い。また、例えばPM−ECU102、HV−ECU104、及びP−ECU106の機能を1つのコンピュータ(ECU)にて実現するような態様であっても良い。このようにしても本発明は適用され得る。
また、前述の実施例では、電源供給切替制御手段126は、P切替時間判定手段124により上記タイマカウンタTが前記所定切替時間TP以上となったと判定された場合に、車両10の電源供給状態を前記「緊急IG-OFF作動」の為のACC-ON状態へ切り替えたが、スイッチ操作判定手段112により連続スイッチ操作カウンタNが所定回数Nsw以上であると判定され且つオートP要求有無判定手段122により前記オートP要求信号の出力が為されていると判定された場合には、「緊急IG-OFF作動」よりも「オートP作動」を優先して実行するようにしても良い。
また、前述の実施例では、上記「緊急IG-OFF作動」を実行するときの条件成立を判定する際の車両走行中として車速Vが所定車速V’を超える車両走行中を例示したが、必ずしも車速Vが所定車速V’を超える車両走行中とする必要はない。例えば、上記車両走行中として車速Vが所定車速V’よりも高車速な所定車速V2’を超える車両走行中であっても良いし、上記車両走行中として車速Vが所定車速V’よりも低車速な所定車速V3’を超える車両走行中であっても良い。
また、前述の実施例では、多重通信線60を介して送受信される車速信号V1と、メータ表示用車速信号V2との2つの車速信号を用いたが、必ずしも2つの車速信号を用いる必要はなく、何れか1つの車速信号を用いるような態様でも良いことは言うまでもない。また、車輪速センサ48から出力される車輪速パルス信号NWに基づいた車速Vを用いることの他に、例えば出力回転センサ44から出力される出力回転速度NOUTに基づいた車速Vを用いるなどの態様でも良い。
また、前述の実施例の車両電源スイッチ40は、モーメンタリ式の押しボタンスイッチであったが、それに替えて、例えばモーメンタリ式のレバースイッチやスライド式スイッチ等であっても良い。
また、前述の実施例において、シフトレバー32は2次元的にシフト操作されるものであるが、一軸に沿ってシフト操作されるものであってもよいし、3次元的にシフト操作されるものであってもよい。
また、前述の実施例において、シフトレバー32の位置を検出する位置センサとしてシフトセンサ36とセレクトセンサ38とを備えているが、位置センサの数は2つに限定されるわけではない。
また、前述の実施例のシフトレバー32は、複数種類のシフトポジションPSHにシフト操作されるモーメンタリ式のレバースイッチであったが、それに替えて、例えば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等であっても良い。更に言えば、シフト操作装置30は、手動操作ではなく、足によりシフト操作されてもよいし、運転者の音声に反応してシフト操作されてもよい。また、Pスイッチ34と分離されていたが、パーキングポジションを更に備えて、Pスイッチ34の機能を有する構成であっても良い。また、Pスイッチ34を含めモーメンタリ式でなくても良い。このようにしても本発明は適用され得る。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
16:パーキングロック装置
40:車両電源スイッチ(押しボタンスイッチ)
100:電子制御装置(車両用シフト制御装置)
102:電源制御用コンピュータ(電源制御装置、車両状態切替制御装置)
106:パーキング制御用コンピュータ(パーキングロック制御装置)
16:パーキングロック装置
40:車両電源スイッチ(押しボタンスイッチ)
100:電子制御装置(車両用シフト制御装置)
102:電源制御用コンピュータ(電源制御装置、車両状態切替制御装置)
106:パーキング制御用コンピュータ(パーキングロック制御装置)
Claims (7)
- 所定の要求信号に基づいてパーキングロック装置を作動させてロック状態と非ロック状態とを切り替えることにより車両の走行に関わるシフトポジションをパーキングポジションと非パーキングポジションとで電気的に切り替える車両用シフト制御装置であって、
前記車両は、車両走行を可能とする為の第一状態と、車両走行に関わる機能をオフとし且つ車両走行に関わらない機能をオンとする為の第二状態と、車両走行に関わる機能と車両走行に関わらない機能とを共にオフとする為の第三状態とに、車両状態を切り換え可能であり、
前記第一状態において、前記車両状態を切り替える為の操作が為された場合には、車速が車両停止状態を判断する為の所定車速以下であることを条件として、前記パーキングポジション以外のシフトポジションから該パーキングポジションへの切替えを実行すると共に該切替え完了後に前記車両状態を前記第三状態へと切り替える一方で、車両走行中に複数回連続する前記操作が為された場合には、前記車両状態を強制的に前記第二状態へと切り替えるものであり、
前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記第二状態への切替えに先立って、前記パーキングポジションへの切替えを実行することを特徴とする車両用シフト制御装置。 - 前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記パーキングポジションへの切替え完了後に、更に、前記車両状態を前記第二状態から前記第三状態へ切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車両用シフト制御装置。
- 前記車両状態を切り替える為の車両状態切替制御装置と、前記所定の要求信号に基づいて前記パーキングロック装置の前記ロック状態と前記非ロック状態とを切り替える為のパーキングロック制御装置とを備え、
前記車両状態切替制御装置は、前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記パーキングロック制御装置による前記パーキングポジションへの切替えを実行するまでの時間として予め設定された所定切替時間が経過した後に、前記第二状態への切替えを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シフト制御装置。 - 前記車両状態を切り替える為に操作されるモーメンタリ式の押しボタンスイッチを備え、
前記車両状態を切り替える為の操作は、前記押しボタンスイッチの押し操作であり、
前記複数回連続する操作は、連続する前記押し操作の各操作間隔が所定時間以内であり且つ該押し操作の回数が所定回数以上為された複数回連続する該押し操作であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用シフト制御装置。 - 前記車両状態は、前記車両の電源供給状態であって、
前記第一状態は、車両走行を可能とする為の電源オン状態であり、
前記第二状態は、車両走行に関わる電源をオフとし且つ車両走行に関わらない電源をオンとする為の電源一部オン状態であり、
前記第三状態は、車両走行に関わる電源と車両走行に関わらない電源とを共にオフとする為の電源オフ状態であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用シフト制御装置。 - 前記車両状態は、前記車両の電源供給状態であって、
前記第一状態は、車両走行を行う為の走行電源オン状態であり、
前記第二状態は、車両走行を不能とし且つ車両走行に関わらない電源をオンとする為の走行電源オフ状態であり、
前記第三状態は、車両走行に関わる電源と車両走行に関わらない電源とを共にオフとする為の車両電源オフ状態であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用シフト制御装置。 - 前記電源供給状態を切り替える為の電源制御装置と、前記所定の要求信号に基づいて前記パーキングロック装置の前記ロック状態と前記非ロック状態とを切り替える為のパーキングロック制御装置とを備え、
前記電源制御装置は、前記複数回連続する操作のうちの少なくとも1回の操作が前記所定車速以下であるという条件下で為された場合には、前記パーキングロック制御装置による前記パーキングポジションへの切替えを実行するまでの時間として予め設定された所定切替時間が経過した後に、前記電源一部オン状態或いは走行電源オフ状態への切替えを実行することを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用シフト制御装置。
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