ここで、好適には、ニュートラルレンジとは、車両の動力伝達経路が遮断された状態であって、エンジンの動力が駆動輪に伝達されない状態に対応している。また、パーキングレンジとは、ニュートラルレンジと同様に車両の動力伝達経路が遮断され、且つ、駆動輪がパーキングロック機構などによって機械的にロックされた状態に対応している。
また、好適には、前記駆動装置は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式多段変速機、常時噛み合う複数対の変速ギヤを2軸間に備えてそれら複数対の変速ギヤのいずれかを同期装置によって択一的に動力伝達状態とする同期噛合型平行2軸式変速機ではあるが、油圧アクチュエータにより駆動される同期装置によって変速段が自動的に切換られることが可能な同期噛合型平行2軸式自動変速機、動力伝達部材として機能する伝動ベルトが有効径が可変である一対の可変プーリに巻き掛けられ変速比が無段階に連続的に変化させられる所謂ベルト式無段変速機、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンとその軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧されそのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機、エンジンからの動力を第1電動機および出力軸へ分配する例えば遊星歯車装置で構成される差動機構とその差動機構の出力軸に設けられた第2電動機とを備えてその差動機構の差動作用によりエンジンからの動力の主部を駆動輪へ機械的に伝達しエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機への電気パスを用いて電気的に伝達することにより電気的に変速比が変更される自動変速機、或いはエンジン軸や出力軸などに動力伝達可能に電動機が備えられる所謂パラレル式のハイブリッド車両に搭載される自動変速機などにより構成される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両のシフト制御装置(以下、「シフト制御装置」と表す)10の概略構成を説明する図である。このシフト制御装置10は、電子制御部20、シフト操作装置30、駆動装置40、パーキングロック装置50などを備え、電気制御により駆動装置40のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤ方式のシフト制御装置として機能する。尚、以下においては、駆動力源としてエンジンと電動機とを備えたハイブリッド車両に好適に用いられる駆動装置40に本発明のシフト制御装置10が適用された場合の例について説明するが、本発明のシフト制御装置10が適用される車両は通常のエンジン車両、ハイブリッド車両、電動車両など、どのような形式の車両であっても構わない。
電子制御部20は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、不図示のエンジンや駆動装置40に備えられたモータMGに関するハイブリッド駆動制御等の駆動制御、シフトバイワイヤ方式を用いた駆動装置40のシフトレンジの切替制御などを実行する。
電子制御部20には、例えばシフトレバー32の操作位置(シフトポジション)PSHを検出する為の位置センサであるシフトセンサ36及びセレクトセンサ38(図2参照)からのシフトポジションPSHに応じた位置信号、ユーザにより操作されて駆動装置40のシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)とパーキングレンジ以外の非Pレンジとの間で切り替える為のPスイッチ34におけるスイッチ操作を表すPスイッチ信号、パーキングロックを作動或いは解除して駆動装置40のシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替える為のパーキングロック装置50におけるパーキングロックの作動状態を表すP位置信号PPOS、ユーザにより操作されて車両電源のオン状態(車両電源ON、イグニッションオン)とオフ状態(車両(ECU)電源OFF、イグニッションオフ)とを切り替える為の車両電源スイッチ80におけるスイッチ操作を表すパワースイッチ信号、車速センサ82からの駆動装置40の出力回転速度に対応する車速Vを表す車速信号、ブレーキスイッチ84からのフットブレーキ操作BONを表すブレーキ操作信号などがそれぞれ供給される。
また、電子制御部20からは、例えばエンジン出力を制御するエンジン出力制御指令信号、駆動装置40内の電動機の作動を指令するハイブリッドモータ制御指令信号、駆動装置40のシフトレンジを切り替える為のシフトレンジ切換制御指令信号、インジケータ(表示装置)90を作動させて駆動装置40におけるシフトレンジの切替状態を表示する為のシフトレンジ表示信号及びパーキングロック状態を表示する為のパーキングロック表示信号、パーキングロック装置50の作動を指令するP切換制御指令信号等が、それぞれ出力される。
具体的には、電子制御部20は、電源制御用コンピュータ(以下、「PM−ECU」と表す)22、ハイブリッド制御用コンピュータ(以下、「HV−ECU」と表す)24、パーキング制御用コンピュータ(以下、「P−ECU」と表す)26を備えている。なお、PM−ECU22は、車両のの電源切替制御を実行するコンピュータであって、本実施例では通常HV−ECU24に組み込まれているが、ハード的に独立した構成であっても構わない。
PM−ECU22は、例えばユーザにより操作される車両電源スイッチ80からのパワースイッチ信号に基づいてオン状態(車両電源ON)とオフ状態(車両電源OFF)とを切り替える。例えば、PM−ECU22は、車両電源OFFのときにフットブレーキ操作BONを表すブレーキ操作信号の入力及びパワースイッチ信号の入力を検知すると、車両電源ONと車両電源OFFとを切り替える為の電源リレーIGCTをオン状態として車両電源ONへ切り替えると共に車両走行を可能とする為のハイブリッドシステムを起動する信号をHV−ECU24へ出力する。また、PM−ECU22は、車両電源ONのときに車両停止状態を表す信号(Pレンジ判定信号、ブレーキ操作信号BON、車速信号等)の入力及びパワースイッチ信号の入力を検知すると、上記電源リレーIGCTをオフ状態として車両電源OFFへ切り替える。ここで、車両電源OFFへ切り替える際にP−ECU26から入力されるPロック状態信号がパーキングロック装置50におけるパーキングロックの解除中を表す状態信号である場合には、PM−ECU22は、パーキングロック装置50におけるパーキングロックを作動させてシフトレンジをPレンジとする信号をP−ECU26へ出力する(この制御を「オートパーキング制御」という)。
HV−ECU24は、例えば駆動装置40の作動を統括的に制御する。例えば、HV−ECU24は、PM−ECU22からの信号に基づいてハイブリッドシステムを起動し、車両走行に関わるハイブリッドモータ制御指令を駆動装置40へ出力して車両走行を制御する。また、HV−ECU24は、シフトセンサ36及びセレクトセンサ38からのシフトポジションPSHに応じたシフト操作装置30における操作位置信号に基づいて車両のシフトレンジ切換制御指令を駆動装置40へ出力してシフトレンジの切替えを電気的に制御する。また、HV−ECU24は、Pスイッチ34からのPスイッチ信号に基づいて駆動装置40のシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるP切替信号PCONをP−ECU26へ出力する。また、HV−ECU24は、シフトレンジの状態を表示する為の表示信号をインジケータ90へ出力する。インジケータ90は、HV−ECU24が出力した表示信号に基づいてシフトレンジの状態を表示する。
P−ECU26は、例えばHV−ECU24からのP切替信号PCONに基づいてシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替える為に、パーキングロック装置50の駆動を制御してパーキングロックを作動させるか或いは解除させる。また、P−ECU26は、パーキングロック装置50からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号PPOSに基づいて駆動装置40のシフトレンジがPレンジであるか非Pレンジであるかを判断し、その判断した結果をPロック状態信号としてPM−ECU22へ出力する。
上記PM−ECU22、HV−ECU24、およびP−ECU26には、補機バッテリ23から電力が供給される。補機バッテリ23には、DCDCコンバータ27によってHV−バッテリ25の電圧を所定の電圧まで降圧させて充電される。補機バッテリ23の補機電圧Volは、DCDCコンバータ27のコンバータ制御回路によって監視され、出力端子の電圧が一定になるように制御される。
図2は、駆動装置40において複数種類のシフトレンジを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置30の一例を示す図である。このシフト操作装置30は、例えば運転席の近傍に配設され、複数のシフトポジションPSHへ操作されるモーメンタリ式の操作子すなわち操作力を解くと元位置(初期位置)へ自動的に復帰する自動復帰式の操作子としてのシフトレバー32を備えている。また、本実施例のシフト操作装置30は、駆動装置40のシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)としてパーキングロックする為のPスイッチ34をシフトレバー32の近傍に別スイッチとして備えている。
シフトレバー32は、図2に示すように車両の前後方向または上下方向すなわち縦方向に配列された3つのシフトポジションPSHであるRポジション(R位置)、Nポジション(N位置)、Dポジション(D位置)と、それに平行に配列されたMポジション(M位置)、Bポジション(B位置)とへそれぞれ操作されるようになっており、シフトポジションPSHに応じた位置信号をHV−ECU24へ出力する。また、シフトレバー32は、RポジションとNポジションとDポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、MポジションとBポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、更に、NポジションとMポジションとの相互間で上記縦方向に直交する車両の横方向に操作可能とされている。
Pスイッチ34は、例えばモーメンタリ式の押しボタンスイッチであって、ユーザにより押込み操作される毎にPスイッチ信号をHV−ECU24へ出力する。例えば駆動装置40のシフトレンジが非PレンジにあるときにPスイッチ34が押されると、フットブレーキが踏まれており車両が停止状態であるなどの所定の条件が満たされていれば、HV−ECU24からのP切替信号PCONに基づいてP−ECU26によりシフトレンジがPレンジとされる。このPレンジは、駆動装置40内の動力伝達経路が遮断され、且つ、パーキングロック装置50により駆動輪の回転を機械的に阻止するパーキングロックが実行される駐車レンジである。
シフト操作装置30のMポジションはシフトレバー32の初期位置(ホームポジション)であり、Mポジション以外のシフトポジションPSH(R,N,D,Bポジション)へシフト操作されていたとしても、運転者がシフトレバー32を解放すればすなわちシフトレバー32に作用する外力が無くなれば、バネなどの機械的機構によりシフトレバー32はMポジションへ戻るようになっている。シフト操作装置30が各シフトポジションPSHへシフト操作された際には、HV−ECU24によりシフトポジションPSH(位置信号)に基づいてそのシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジに切り替えられると共に、現在のシフトポジションPSHすなわち駆動装置40のシフトレンジの状態がインジケータ90に表示される。
各シフトレンジについて説明すると、シフトレバー32がRポジションへシフト操作されることにより選択されるRレンジは、車両を後進させる駆動力が駆動輪に伝達される後進走行レンジである。また、シフトレバー32がNポジションへシフト操作されることにより選択されるニュートラルレンジ(Nレンジ)は、駆動装置40内の動力伝達経路が遮断されるニュートラル状態とするための中立レンジである。また、シフトレバー32がDポジションへシフト操作されることにより選択されるDレンジは、車両を前進させる駆動力が駆動輪に伝達される前進走行レンジである。例えば、HV−ECU24は、シフトレンジがPレンジであるときに、車両の移動防止(パーキングロック)を解除する所定のシフトポジションPSH(具体的には、Rポジション、Nポジション、又はDポジション)へシフト操作されたと判断した場合には、パーキングロックを解除させるP切替信号PCONをP−ECU26へ出力する。P−ECU26は、HV−ECU24からのP切替信号PCONに基づいてパーキングロック装置50に対してパーキングロックを解除するP切換制御指令信号を出力してパーキングロックを解除させる。そして、HV−ECU24は、そのシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジへ切り換える。
また、シフトレバー32がBポジションへシフト操作されることにより選択されるBレンジは、Dレンジにおいて例えば電動機に回生トルクを発生させるなどによりエンジンブレーキ効果を発揮させ駆動輪の回転を減速させる減速前進走行レンジ(エンジンブレーキレンジ)である。従って、HV−ECU24は、現在のシフトレンジがDレンジ以外のシフトレンジであるときにシフトレバー32がBポジションへシフト操作されてもそのシフト操作を無効とし、DレンジであるときのみBポジションへのシフト操作を有効とする。例えば、Pレンジであるときに運転者がBポジションへシフト操作したとしてもシフトレンジはPレンジのまま継続される。
本実施例のシフト操作装置30では、シフトレバー32に作用する外力が無くなればMポジションへ戻されるので、シフトレバー32のシフトポジションPSHを視認しただけでは選択中のシフトレンジを認識することは出来ない。そのため、運転者の見易い位置にインジケータ90が設けられており、選択中のシフトレンジがPレンジである場合も含めてインジケータ90に表示されるようになっている。
本実施例のシフト制御装置10は所謂シフトバイワイヤを採用しており、シフト操作装置30は上記縦方向である第1方向とその方向と交差する(図2では直交する)横方向である第2方向とに2次元的にシフト操作されるので、そのシフトポジションPSHを位置センサの検出信号として電子制御部20に出力するために、上記第1方向のシフト操作を検出する第1方向検出部としてのシフトセンサ36と上記第2方向のシフト操作を検出する第2方向検出部としてのセレクトセンサ38とを備えている。シフトセンサ36とセレクトセンサ38との何れもシフトポジションPSHに応じた検出信号(位置信号)としての電圧を電子制御部20に対し出力し、その検出信号電圧に基づき電子制御部20はシフトポジションPSHを認識(判定)する。すなわち、上記第1方向検出部(シフトセンサ36)と第2方向検出部(セレクトセンサ38)とが全体として、シフト操作装置30のシフトポジションPSHを検出するシフトポジション検出部を構成していると言える。
シフトポジションPSHの認識について一例を示せば、図3に示すようにシフトセンサ36の検出信号電圧VSFは、前記縦方向(第1方向)のシフトポジションPSHがB又はDポジションであればlow範囲内の電圧になり、M又はNポジションであれば上記low範囲より高電圧のmid範囲内の電圧になり、Rポジションであれば上記mid範囲より高電圧のhigh範囲内の電圧になる。また、図4に示すようにセレクトセンサ38の検出信号電圧VSLは、前記横方向(第2方向)のシフトポジションPSHがM又はBポジションであればlow範囲内の電圧になり、R、N又はDポジションであれば上記low範囲より高電圧のhigh範囲内の電圧になる。HV−ECU24はこのように変化する上記検出信号電圧VSF,VSLを検出することにより、図5の図表に示すように、「VSF=mid,VSL=high」であればシフトポジションPSHはNポジションであると認識し、「VSF=high,VSL=high」であればシフトポジションPSHはRポジションであると認識し、「VSF=low,VSL=high」であればシフトポジションPSHはDポジションであると認識し、「VSF=mid,VSL=low」であればシフトポジションPSHはMポジションであると認識し、「VSF=low,VSL=low」であればシフトポジションPSHはBポジションであると認識する。尚、図3においては、low範囲、mid範囲、high範囲の各範囲は連続するものであるが、それら各範囲間に判定不定の不感帯を設けても良い。また、シフトセンサ36、37の検出信号電圧VSFの特性すなわち縦方向のシフトポジションPSHに対するlow〜highの特性は、逆のhigh〜lowであっても良い。同様に、図4においては、low範囲とhigh範囲とは連続するものであるが、それらの範囲間に判定不定の不感帯を設けても良い。また、セレクトセンサ38、39の検出信号電圧VSLの特性すなわち横方向のシフトポジションPSHに対するlow〜highの特性は、逆のhigh〜lowであっても良い。
このようにしてHV−ECU24によりシフトポジションPSHは認識されるが、誤操作や誤認識(判定)等の防止のため、各シフトポジションPSHへシフト操作されれば直ちにそのシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジへと切り換えられるわけでは無く、各シフトポジションPSHもしくは各シフトレンジにつき所定のレンジ確定時間(シフト操作確定時間)が予め設定されている。例えば、HV−ECU24は、シフト操作後のシフトポジションPSHでシフトレバー32が留まっている時間である滞留時間が上記所定のレンジ確定時間以上になった場合にそのシフト操作を確定しシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジへと切り換える。PレンジからNレンジへと切り換えられる場合を例に説明すると、シフトレンジがPレンジであるときにMポジションからNポジションへシフト操作された場合において、HV−ECU24は、シフトシフトレバー32のNポジションでの滞留時間が、Nポジションへのシフト操作を確定する為の上記所定のレンジ確定時間であるニュートラルレンジ確定時間以上になった場合に、そのシフト操作後のシフトポジションPSHがNポジションであると確定(判定)し、駆動装置40のシフトレンジをPレンジからNレンジに切り替える。
図6は、駆動輪の回転を機械的に阻止するパーキングロック装置50の構成を説明する図である。図6において、パーキングロック装置50は、Pロック機構52、Pロック駆動モータ54、エンコーダ56などを備え、電子制御部20からの制御信号に基づき車両の移動を防止するために作動するアクチュエータである。
Pロック駆動モータ54は、スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)により構成され、P−ECU26からの指令(制御信号)を受けてシフトバイワイヤシステムによってPロック機構52を駆動する。エンコーダ56は、A相、B相及びZ相の信号を出力するロータリエンコーダであって、Pロック駆動モータ54と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知してその回転状況を表す信号すなわちPロック駆動モータ54の移動量(回転量)に応じた計数値(エンコーダカウント)を取得するためのパルス信号をP−ECU26へ供給する。P−ECU26は、エンコーダ56から供給される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行う。
Pロック機構52は、Pロック駆動モータ54により回転駆動されるシャフト58、シャフト58の回転に伴って回転するディテントプレート60、ディテントプレート60の回転に伴って動作するロッド62、駆動輪と連動して回転するパーキングギヤ64、パーキングギヤ64を回転阻止(ロック)するためのパーキングロックポール66、ディテントプレート60の回転を制限してシフトポジションを固定するディテントスプリング68、及びころ70を備えている。パーキングギヤ64は、それがロックされれば駆動輪もロックされる関係にあれば設けられる場所に制限は無いが、例えば駆動装置40の出力回転部材に固定されている。
ディテントプレート60は、シャフト58を介してPロック駆動モータ54の駆動軸に作動的に連結されており、ロッド62、ディテントスプリング68、ころ70などと共にPロック駆動モータ54により駆動されてPレンジに対応するパーキングロックポジションとPレンジ以外の各シフトレンジに対応する非パーキングロックポジションとを切り替えるためのパーキングロック位置決め部材として機能する。シャフト58、ディテントプレート60、ロッド62、ディテントスプリング68、及びころ70は、パーキングロック切替機構の役割を果たす。
図6は、非パーキングロックポジションであるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール66がパーキングギヤ64をロックしていないので、駆動輪の回転はPロック機構52によっては妨げられない。この状態から、Pロック駆動モータ54によりシャフト58を図6に示す矢印Cの方向に回転させると、ディテントプレート60を介してロッド62が図6に示す矢印Aの方向に押され、ロッド62の先端に設けられたテーパー部材72によりパーキングロックポール66が図6に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート60の回転に伴って、ディテントプレート60の頂部に設けられた2つの谷のうち一方、すなわち非パーキングロックポジションにあったディテントスプリング68のころ70は、山74を乗り越えて他方の谷、すなわちパーキングロックポジションへ移る。ころ70は、その軸心を中心として回転可能にディテントスプリング68に設けられている。ころ70がパーキングロックポジションに来るまでディテントプレート60が回転したとき、パーキングロックポール66は、パーキングギヤ64と噛み合う位置まで押し上げられる。これにより、パーキングギヤ64と連動して回転する駆動輪の回転が機械的に阻止され、シフトレンジがPレンジに切り換わる。
図7は、エンコーダ56から出力される計数値CP(エンコーダカウントCP)とシャフト58の回転角度(rad)との相関関係を示す図である。上記相関関係は、予めP−ECU26にモータデータとして記憶されている。モータデータは、エンコーダ56から出力されるパルス信号であるエンコーダカウントCPとシャフト58の回転角度とに関して、例えば車両電源ONされたときのシフトレンジであるPレンジに対応する回転位置を基準位置(基準角度)として予め工場出荷時等に求められた相関関係である。したがって、P−ECU26は、エンコーダ56によってエンコーダカウントCPを検出し、そのエンコーダカウントCPに基づいてシャフト58をPレンジまたは非Pレンジに対応する回転角度まで回転させる。例えば、エンコーダカウントCPが零に制御されると、基準位置であるPレンジとなり、エンコーダカウントCPがCPRNDに制御されると、非Pレンジとなる。また、P−ECU26は、エンコーダカウントCPに基づいて判断されるパーキングロック装置50の作動状態を表すP位置信号PPOSをPM−ECU22へ出力する。
ところで、車両電源OFF(オフ状態)に切り替える場合、シフトレンジがPレンジとなったことを条件として車両電源OFFされる。また、シフトレンジがPレンジでないことを判断すると、パーキングロック装置50におけるパーキングロックを作動させてシフトレンジがPレンジになったことを検出した場合に車両電源OFFされる(オートパーキング作動)。ところで、バッテリ上がりなどにより補機バッテリ23の補機電圧Volが低下すると、エンコーダ56によって検出されるエンコーダカウントCPに基づくP位置信号PPOSの信頼性が低下する。これに伴い、補機電圧Volが予め設定されている所定電圧Va未満となると、HV−ECU24は、駆動装置40をNレンジ(ニュートラルレンジ)に切り替えるフェールセーフ制御を実行する。また、P−ECU26は、補機バッテリ23が低電圧状態であってもHV−ECU24からP切替信号PCONが出力されると、出来る限りPレンジへの切り替えを実施する。したがって、パーキングロック装置50が実際にパーキングロック状態に切り替えられた状態であっても、P位置信号PPOSの信頼性低下に伴い制御的にNレンジと判断されてしまうため、車両電源の電源リレーIGCTをオフ状態に切り換えて車両電源OFFとすることができない。これより、電圧状態がさらに低下して、車両の起動が困難となるなどの問題が生じる可能性がある。なお、本発明の電圧状態とは、本実施例において、補機バッテリ23の補機電圧Volの状態に相当する。
そこで、本実施例では、補機電圧Volが低電圧状態となっても、駆動装置40のシフトレンジを判断可能なシフトレンジ判定手段を備えることで、低電圧状態での車両電源OFF(オフ状態)を可能とする。以下、上記制御について詳細に説明する。
図8は、シフト制御装置10(電子制御部20)による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図8において、第1シフトレンジ判定手段100および第2シフトレンジ判定手段102は、それぞれ異なる方法で車両(駆動装置40)のシフトレンジを判定する手段である。
先ず、第1シフトレンジ判定100および第2シフトレンジ判定手段102へパーキングロック装置50が作動または解除されているかを判定するためのP位置信号PPOSを出力するP位置信号検出手段104について説明する。P位置信号検出手段104は、駆動装置40においてパーキングロック装置50のエンコーダ56から検出されるエンコーダカウントCPに基づいて判定される、パーキングロック装置50の作動状態を表すP位置信号PPOSを検出する。例えば、エンコーダ56より検出されたエンコーダカウントCPが零(CP=0)である場合、P位置信号検出手段104は、パーキングロック装置50がパーキングロックされたときの作動状態を表すP位置信号PPOS(PPOS=Pと表す)を検出する。一方、エンコーダ56より検出されたエンコーダカウントCPがCPRNDである場合、P位置信号検出手段104は、パーキングロック装置50のパーキングロックが解除されたときの作動状態を表すP位置信号PPOS(PPOS=NPと表す)を検出する。そして、P位置信号検出手段104は、検出されたP位置信号PPOSを第1シフトレンジ判定手段100および第2シフトレンジ判定手段102へ供給する。
また、P切替信号検出手段106は、Pスイッチ34のスイッチ操作に基づいて出力されるP切替信号PCON、或いは車両電源スイッチ80によるオートパーキング作動時において出力されるP切替信号PCONを検出する。そして、P切替信号PCONの出力が検出されると、P切替信号検出手段106は、そのP切替信号PCONを第1シフトレンジ判定手段100へ出力する。
電圧検出手段108は、補機バッテリ23の補機電圧Volを検出する。補機電圧Volは、DCDCコンバータ27の制御回路によって逐次監視されており、電圧検出手段108は、上記制御回路から出力される電圧信号に基づいて電圧Volを検出する。そして、電圧検出手段108は、検出された補機電圧Volを第2シフトレンジ判定手段102、後述するフェールセーフ手段110、およびレンジ切替判定手段114へ出力する。
第2シフトレンジ判定手段102は、駆動装置40から検出される実際のシフトレンジ位置(実シフトレンジ位置)、および車両の状態に基づいて駆動装置40のシフトレンジを判定する。第2シフトレンジ判定手段102には、駆動装置40内に設けられているモータMG等を制御する制御指令やP位置信号検出手段104からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号PPOS、電圧検出手段108からの補機電圧Vol等の各種信号が供給され、上記各種信号に基づいてシフトレンジ(実シフトレンジ位置)を判定する。なお、上記より上記P位置信号PPOSやモータMG等を制御する制御指令等に基づいて判定されるシフトレンジが、本発明の駆動装置側から検出される実シフトレンジ位置に相当し、補機電圧Volが本発明の車両の状態に相当している。
例えば、補機電圧Volが所定電圧Va以上であって、P位置信号PPOSがパーキングロック装置50がパーキングロックされているときの作動状態を表す信号(PPOS=P)が供給されると、第2シフトレンジ判定手段102は、シフトレンジをPレンジと判定する。また、例えば補機電圧Volが所定電圧Va以上であって、P位置信号PPOSがパーキングロック位置50のパーキングロックが解除されているときの作動状態を表す信号(PPOS=NP)が出力されると、第2シフトレンジ判定手段102は、駆動装置40のシフトレンジを非Pレンジ(B、R、N、D)と判定する。さらに、第2シフトレンジ判定手段102は、駆動装置40内のモータMGの制御指令等に基づいて、具体的なシフトレンジ(B、R、N、D)を判定する。なお、第2シフトレンジ判定手段102は、補機電圧Volが所定電圧Va以上である場合に実施される。言い換えれば、補機電圧Volが所定電圧Va未満であれば、シフトレンジ判定の信頼性が低下するために判定不可能となる。これより、第2シフトレンジ判定手段102は補機電圧Volを考慮してシフトレンジが判定される。
ここで、補機電圧Volが低下して所定電圧Va未満となると、第2シフトレンジ判定手段102のシフトレンジ判定の信頼性が低下する。なお、所定電圧Vaは、予め設定される電圧であり、各種ECUや電子機器が正常に作動する閾値となる電圧に設定されている。したがって、補機電圧Volが所定電圧Va未満では、シフトレンジが誤判定される可能性が生じるため、フェールセーフ手段110は、走行を禁止するフェールセーフを実施する。具体的には、フェールセーフ手段110は、補機電圧Volが所定電圧Va未満となると、例えばモータMGを空転状態にする、或いは動力伝達用のクラッチを解放するなどして、駆動装置40のシフトレンジをNレンジに切り替える。上記のように、フェールセーフ(Nレンジ切替)によって車両の走行を禁止することで、車両の安全性が確保される。
ところで、上述したようにフェールセーフ手段110によって制御的には駆動装置40がNレンジに切り替えられるが、補機電圧Volが所定電圧Va未満の状態であってもPレンジへの切替要求があれば、できる限りPレンジへの切替制御が実施される。しかしながら、第2シフトレンジ判定手段102のシフトレンジの信頼性が低いためシフトレンジを確定することが不可能となる。図8において、電源切替制御手段112は、車両電源ON状態から電源OFFへ切り替えるための電源スイッチ80によるパワースイッチ信号入力を検出すると共に、駆動装置40のシフトレンジがPレンジと判定された場合に、電源リレーIGCTをオフ状態として車両電源OFFとする制御を実行する。しかしながら、補機電圧Volが所定電圧Va未満であると、Pレンジの判定が不可能となるため、電源切替制御手段112の実施条件が否定されるために車両電源OFFすることができなくなる。
これに対して、第1シフトレンジ判定手段100は、第2シフトレンジ判定手段102よりも低電圧までシフトレンジ判定可能、具体的には、補機電圧Volが所定電圧Va未満(低電圧状態)であってもシフトレンジの判定が可能な手段である。補機電圧Volが所定電圧Va未満であるときにはフェールセーフ手段110が実行されるため、駆動装置40のシフトレンジは制御的にはNレンジとなる。他方では、Pレンジへの切替要求があればPレンジへの切替制御が実施されることもあり、Nレンジの状態でパーキングロック装置50がパーキングロックに切り替えられることもありうることから、補機電圧Volが所定電圧Va未満であるときの駆動装置40のシフトレンジは、PレンジおよびNレンジのいずれかに限定される。したがって、第1シフトレンジ判定手段100は、シフトレンジがPレンジおよびNレンジのいずれであるかを判定することでシフトレンジが確定される。
第1シフトレンジ判定手段100は、駆動装置40側から検出される実シフトレンジ位置、およびシフト操作装置30の操作位置を示す位置信号に基づくシフトレンジ位置に、基づいてシフトレンジを判定する。第1シフトレンジ判定手段100には、駆動装置40のパーキングロック装置50の作動状態であるP位置信号PPOSがP位置信号検出手段104から供給される。なお、このときのP位置信号PPOSは、補機電圧Volが所定電圧Va未満であるときに検出されるものであるが、第1シフトレンジ判定手段100は、上記P位置信号PPOSを判定要素の1つとする。また、シフト操作装置30のPスイッチ34のスイッチ操作に基づくP切替信号PCON、或いは、車両電源スイッチ80のスイッチ操作に伴うP切替信号PCON(オートパーキング作動時)が第1シフトレンジ判定手段100へ供給される。
そして、第1シフトレンジ判定手段100は、供給されたP切替信号PCONおよびP位置信号PPOSに基づいて、シフトレンジを判定する。例えば、第1シフトレンジ判定手段100は、P切替信号PCONが供給されると共に、P位置信号PPOSがパーキングロックを表す信号状態(PPOS=P)であったとき、シフトレンジをPレンジと判定する。一方、第1シフトレンジ判定手段100は、P切替信号PCONが供給されるにも拘わらず、P位置信号PPOSがパーキングロック解除を表す信号(PPOS=NP)であるとき、シフトレンジをNレンジと判定する。上記のように、P切替信号PCONとP位置信号PPOSとに基づいてシフトレンジを判定することで、補機電圧Volが所定電圧Va未満であってもシフトレンジの信頼性が向上するので、第1シフトレンジ判定手段100によるシフトレンジの判定が可能となる。なお、P位置信号PCONに基づいて判定されるシフトレンジが、本発明のシフト操作装置の操作位置に応じた位置信号に基づくシフトレンジ位置に相当する。
レンジ判定切替手段114は、電圧検出手段108によって検出される補機バッテリ23の補機電圧Volが所定電圧Va以上か否かに基づいて、駆動装置40のシフトレンジを判定する際のシフトレンジ判定手段を選択的に切り替える。具体的には、レンジ判定切換手段114は、補機電圧Volが所定電圧Va以上であるとき、シフトレンジ判定を第2シフトレンジ判定手段102に切り替える。また、補機電圧Volが所定電圧Va未満となると、第2シフトレンジ判定手段102によるシフトレンジ判定の信頼性が低下するに伴い、シフトレンジ判定を第1シフトレンジ判定手段100に切り替える。そして、選択されたシフトレンジ判定手段を用いて、シフトレンジを判定する。
そして、電源切替制御手段112は、レンジ判定切換手段114によって選択的に用いられるシフトレンジ判定手段(100、102)のいずれかから判定されるシフトレンジに基づいて電源切替制御を実行する。具体的には、車両電源スイッチ80のスイッチ操作によるパワースイッチ信号が検出されると共に、シフトレンジがPレンジと判定されると電源リレーIGCTをオフ状態に切り替える(電源OFF)。したがって、補機電圧Volが所定電圧Va未満であってもPレンジの判定が可能となるので、車両電源OFFするに際して実施可能な補機電圧Volの電圧範囲が拡大されることとなる。なお、車両電源がOFFされると、P−ECU26等への電力供給が停止されるため、さらなる補機バッテリ23の電圧低下が防止される。
また、レンジ判定切換手段114に、第1シフトレンジ判定手段100と第2シフトレンジ判定手段102とを選択的に用いるか否かを車両の制御対象に応じて判断させても構わない。ここでいう車両の制御対象とは、車両電源切替制御やインジケータ90によるシフトレンジの表示制御等に相当する。例えば、車両の制御対象が車両電源切替制御の場合、レンジ判定切換手段114は、第1シフトレンジ判定手段100および第2シフトレンジ判定手段102を選択的に用いる判断をする。一方、車両の制御対象がシフトレンジの表示制御である場合、レンジ判定切換手段114は、低電圧時であっても第2シフトレンジ判定手段102を用いる判断をする。上記のように制御対象に応じて、第1シフトレンジ判定手段100と第2シフトレンジ判定手段102とを選択的に用いる制御を実施するか否かが判断されることで、第1シフトレンジ判定手段100と第2シフトレンジ判定手段102とを選択的に用いる制御を常時実施することがなくなり、制御の負担が軽減される。
図9は、電子制御部20の制御作動の要部すなわち補機電圧Volが低下した場合であってもシフトレンジ判定が可能となることで、運転者によって車両電源OFF可能な電圧範囲を拡大することができる制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。なお、図9のフローチャートにおいては、運転者によって車両電源OFF操作(車両電源スイッチ80のスイッチ操作による電源OFF操作)が実行されたことを前提とする。
運転者によって車両電源OFF操作が実行されると、電圧検出手段108およびレンジ判定切換手段114に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、補機バッテリ23の補機電圧Volが検出され、その補機電圧Volが所定電圧Va未満であるか否かが判定される。SA1が否定されると、補機電圧Volが所定電圧Va以上であるため、第2シフトレンジ判定手段102によるシフトレンジ判定が可能となる。そして、第2シフトレンジ判定手段102に対応するSA2では、パーキングロック装置50におけるパーキングロックの作動状態を表すP位置信号PPOSに基づいて、駆動装置40のシフトレンジがPレンジであるか否かが判定される。SA2が否定されると、駆動装置40のシフトレンジが非Pレンジと判定され、電源切替制御手段112に対応するSA6において、車両電源の電源リレーIGCTがオフされず、オン状態(車両電源ON)で継続される。一方、SA2が肯定されると、駆動装置40のシフトレンジがPレンジと判定され、電源切替制御手段112に対応するSA3において、車両電源の電源リレーIGCTがオフされて車両電源がオフ状態(車両電源OFF)となる。
SA1に戻り、SA1が肯定されると、補機電圧Volが所定電圧Va未満であるため、第1シフトレンジ判定手段100によるシフトレンジ判断が可能となる。なお、SA1が肯定された場合、フェールセーフが実施されて駆動装置40がNレンジとされる。そして、第1シフトレンジ判定手段100に対応するSA4において、パーキングロック装置50をPレンジへ切り替えるP切替信号PCONが出力されたか否か、すなわちPレンジへの切替要求が出力されたか否かが判定される。SA4が否定されると、電源切替制御手段112に対応するSA6において、車両電源の電源リレーIGCTがオフされず、オン状態(車両電源ON)で継続される。
一方、SA4が肯定されると、第1シフトレンジ判定手段100に対応するSA5において、パーキングロック装置50におけるパーキングロックの作動状態を表すP位置信号PPOSが、パーキングロック状態を表す状態信号(PPOS=P)であるか否かが判定される。SA5が否定されると、P切替信号PCONが出力されたにも拘わらず、P切替信号PPOSがパーキングロック解除を表す信号(PPOS=NP)を出力しているため、シフトレンジがNレンジと判定される。したがって、電源切替制御手段112に対応するSA6において、車両電源の電源リレーIGCTがオフされず、オン状態(車両電源ON)で継続される。
一方、SA5が肯定されると、P切替信号PCONが出力されると共に、P切替信号PPOSがパーキングロックを表す信号(PPOS=P)を出力しているため、シフトレンジがPレンジと判定される。したがって、電源切替制御手段112に対応するSA3において、車両電源の電源リレーIGCTがオフされて車両電源がオフ状態(車両電源OFF)となる。
上述のように、本実施例によれば、駆動装置40のシフトレンジを判定する第1シフトレンジ判定手段100と、その第1シフトレンジ判定手段100とは異なる方法でシフトレンジを判定する第2シフトレンジ判定手段102とを、備え、第1シフトレンジ判定手段100は、第2シフトレンジ判定手段102よりも低電圧までシフトレンジ判定可能であり、車両の電圧状態に応じて第1シフトレンジ判定手段100と第2シフトレンジ判定手段102とを選択的に用いてシフトレンジ判定を行うように構成されている。このようにすれば、第1シフトレンジ判定手段100および第2シフトレンジ判定手段102を電圧状態に応じて選択的に用いることで、車両の電圧状態に拘わらず、信頼性の高いシフトレンジ情報を得ることができる。したがって、例えば駆動装置40内に備えられるパーキング機構50のパーキングロックが成立した場合に車両電源が遮断(イグニッションオフ)される構成において、車両電源が低電圧状態であってもパーキングロック状態の判定が可能となるため、イグニッションオフされる範囲、またはECU電源オフされる範囲を拡げることができる。
また、本実施例によれば、第1シフトレンジ判定手段100は、駆動装置40から検出される実シフトレンジ位置、およびシフト操作装置30の操作位置に応じた位置信号に基づくシフトレンジ位置からシフトレンジを判定するものであり、第2シフトレンジ判定手段102は、駆動装置40から検出される実シフトレンジ位置、および車両の状態に基づいて前記シフトレンジを判定するものである。このようにすれば、例えば通常電圧状態では前記第2シフトレンジ判定手段102によってシフトレンジが判定され、車両電源の電圧が低下すると、第1シフトレンジ判定手段100によってシフトレンジを判定することで、シフトレンジ判定可能な電圧範囲を拡げることができる。
また、本実施例によれば、選択的に用いられる第1シフトレンジ判定手段100および第2シフトレンジ判定手段102のいずれかから判定されるシフトレンジに基づいて、電源切替制御が実施されるため、電源切替制御を実施可能な電圧範囲を拡げることができる。
また、本実施例によれば、電源切替制御は、シフトレンジがパーキングレンジと判定された場合に車両電源をオフ状態へ切り替えるため、車両電源が遮断される電圧範囲が拡げられ、さらなる電圧低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、車両の電圧状態が所定電圧Va以下となると、フェールセーフによってシフトレンジがNレンジ(ニュートラルレンジ)に切り替えられるため、シフトレンジがNレンジおよびPレンジ(パーキングレンジ)の何れかに限定される。したがって、電圧状態が所定電圧Va未満では、第1シフトレンジ判定手段100によって上記何れのシフトレンジであるかが判定されることで、正確なシフトレンジを判定することができる。
また、本実施例によれば、車両の制御対象に応じて、第1シフトレンジ判定手段100と第2シフトレンジ判定手段102とを、選択的に用いるか否かが判断されるため、例えば車両の電源切替制御においては第1シフトレンジ判定手段100と第2シフトレンジ判定手段102とを選択的に用い、シフト位置表示については、低電圧時であっても第2シフトレンジ判定手段102(または第1シフトレンジ判定手段100)を用いるようにすることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、シフトレバー32は2次元的にシフト操作されるものであるが、一軸に沿ってシフト操作されるものであってもよいし、3次元的にシフト操作されるものであってもよい。
また、前述の実施例において、シフトレバー32の位置を検出する位置センサとしてシフトセンサ36とセレクトセンサ38とを備えているが、位置センサの数は2つに限定されるわけではない。
また、前述の実施例のシフトレバー32は、複数種類のシフトポジションPSHにシフト操作されるモーメンタリ式のレバースイッチであったが、それに替えて、例えば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等であっても良い。更に言えば、シフト操作装置30は、手動操作ではなく、足によりシフト操作されてもよいし、運転者の音声に反応してシフト操作されてもよい。
また、前述の実施例において、駆動装置40のシフトレンジは、エンコーダ56のエンコーダカウントCPに基づいて検出されるが、例えばニュートラルスタートスイッチなど、他の装置によってシフトレンジを検出するものであっても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。