JP5195710B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪と共に回転する回転歯をロック状態と非ロック状態とに切り換えるパーキングロック装置を有する車両の制御装置に係り、特に、ロック状態と非ロック状態との切換えに関するものである。
運転者の操作に基づいて、車輪と共に回転する回転歯をその回転歯にロック歯が噛み合うロック状態とそのロック状態が解除された非ロック状態とに切り換えるパーキングロック装置を有する車両が良く知られている。一般的に、このようなパーキングロック装置では、所定の条件が成立したか否かに基づいて回転歯のロック状態と非ロック状態との間の切換えが許可されたり禁止される。
例えば、特許文献1には、パーキングロック装置により車輪がロック状態とされているときには、ブレーキペダルが踏み込まれていることを条件としてそのロック状態から非ロック状態への切換えを許可することが記載されている。また、特許文献2には、パーキングロック装置により車輪がロック状態とされているときには、判定値以上の制動力が確保されていることを条件としてそのロック状態から非ロック状態への切換えを許可することが記載されている。また、特許文献3には、車両停止状態にて車輪をロック状態から非ロック状態へ切り換える為の操作をするとき、車両停止状態を確認し且つブレーキペダルの操作が行われたときに、その切換操作ができることが記載されている。また、特許文献4には、エンジンの始動後所定時間内である間の暖機運転中でエンジン回転速度が高い間は、ブレーキを用いながら車輪をロック状態から非ロック状態へ切り換える為の操作をするか、或いはその切換え操作を禁止することが記載されている。このように、一般的に、車輪をロック状態から非ロック状態へ切り換える為の操作を行ったときに、エンジン回転速度が高回転であったり、ブレーキペダルとアクセルペダルとの踏み違いなどによって車両発進が急になる場合があることを防止する為に、ブレーキペダルを踏んでいないとすなわちブレーキオンとされていないとロック状態から非ロック状態への切換えが制限(禁止)される。つまり、例えばブレーキオンとされているという所定の条件が成立しておればロック状態から非ロック状態への切換えが許可される。
特開2001−39175号公報 特開2005−313753号公報 特開平6−185609号公報 実開昭61−36753号公報
ところで、例えば車両停止前すなわち車両走行中であっても非ロック状態からロック状態への切換操作が行われると、パーキングロック装置の回転歯は、比較的高車速では非ロック状態からラチェット状態とされ、減速走行時ではそのラチェット状態を経てロック状態とされる。このラチェット状態とは、例えば回転歯に噛み合わされるロック歯がその回転歯と噛み合うために回転歯側に向かって移動すれども、回転歯がある程度回転しているために接触して弾かれることを繰り返す所謂歯飛びが生じて回転歯に噛み合えず、回転歯のロック状態に至っていない状態のことである。そして、回転歯がロック状態とされると、この瞬間には、この回転歯では相応の車両の走行エネルギーを受け止めることになり、パーキングロック装置に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積される場合がある。このようなエネルギーが一時的に蓄積された状態でロック状態から非ロック状態への切換操作が行われると、例えばブレーキオンという所定の条件が成立しておれば回転歯がロック状態から非ロック状態とされるので、回転歯がロック状態とされるときに車両の走行エネルギーをがっちりと受け止めることに比較して、その蓄積された大きなエネルギーが弾けるように一気に解放され、パーキングロック装置に大きな負荷(衝撃)がかかってパーキングロック装置の耐久性を低下させる可能性がある。このような、課題は未公知であり、パーキングロック装置の耐久性低下を抑制する為に、車両走行中におけるロック状態と非ロック状態との切換えを適切に制御することについて、未だ提案されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両走行中におけるロック状態と非ロック状態との切換えを適切に制御することで、パーキングロック装置の耐久性低下を抑制することができる車両の制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 運転者の操作に基づいて、車輪と共に回転する回転歯をその回転歯にロック歯が噛み合うロック状態とそのロック状態が解除された非ロック状態とに切り換えるパーキングロック装置を有する車両の制御装置であって、(b) 車両走行中に前記回転歯を前記ロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、予め設定された第1判定車速以下となる車速では、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することにある。
このようにすれば、車両走行中に前記回転歯を前記ロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、予め設定された第1判定車速以下となる車速では、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えが禁止されるので、例えば車両走行中に回転歯がロック状態とされて車両の走行エネルギーを受け止めることによるパーキングロック装置に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にて、回転歯が非ロック状態へ切り換えられることが回避される。よって、回転歯が非ロック状態とされるときにその蓄積された大きなエネルギーが一気に解放されることが回避され、パーキングロック装置にかかる負荷(衝撃)が低減されてパーキングロック装置の耐久性低下を抑制することができる。これにより、パーキングロック装置の信頼性が向上する。
ここで、好適には、前記第1判定車速は、車両走行中に前記回転歯に噛み合わされる前記ロック歯の歯飛びが生じるラチェット状態から前記ロック状態とされる予め定められたエンゲージ車速よりも所定値高い車速である。このようにすれば、回転歯がラチェット状態からロック状態とされたときには回転歯の非ロック状態への切換えが禁止されているので、パーキングロック装置に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にて回転歯が非ロック状態へ切り換えられることが適切に回避される。
また、好適には、車両走行中に前記回転歯を前記ロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、前記第1判定車速よりも低い予め設定された第2判定車速以上となる車速では、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することにある。このようにすれば、例えば車両走行中に前記回転歯を前記ロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、第1判定車速以下且つ第2判定車速以上となる車速では、回転歯の前記非ロック状態への切換えが禁止されるので、パーキングロック装置に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にて回転歯が非ロック状態へ切り換えられることが回避される。
また、好適には、前記第2判定車速は、車両走行中に前記回転歯に噛み合わされる前記ロック歯の歯飛びが生じるラチェット状態から前記ロック状態とされる予め定められたエンゲージ車速未満の車速である。このようにすれば、回転歯がラチェット状態からロック状態とされたときには回転歯の非ロック状態への切換えが禁止されるので、パーキングロック装置に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にて回転歯が非ロック状態へ切り換えられることが適切に回避される。
また、好適には、前記第2判定車速は、零判定車速よりも高い車速である。このようにすれば、例えば車速が零判定車速とされるときには、回転歯の非ロック状態への切換えを許可することが可能となる。
また、好適には、車速が前記第2判定車速未満となってから所定時間が経過するまでは、或いは車両が停止してから所定時間が経過するまでは、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することにある。このようにすれば、車両走行中に回転歯がロック状態とされて車両の走行エネルギーを受け止めることによりパーキングロック装置に一時的に蓄積された大きな駆動系の捩れエネルギーが、確実に緩和されるまでは、回転歯が非ロック状態へ切り換えられることが回避される。よって、回転歯が非ロック状態とされるときにパーキングロック装置にかかる負荷(衝撃)が一層低減される。また、別の観点では、車速が第2判定車速未満となった後でも、例えば駆動系の捩れエネルギーによる捩れ振動などにより第2判定車速以上の車速が振動周期に合わせて検出される可能性がある。そこで、車両の停止を保証する為に、車速が第2判定車速未満となってから所定時間が経過するまでは、或いは車両が停止してから所定時間が経過するまでは、回転歯の非ロック状態への切換えを禁止するのである。
また、好適には、前記車両は、前記回転歯の前記ロック状態と前記非ロック状態とを切り換える為の操作装置の操作状態を示す操作信号に基づいて前記パーキングロック装置を作動させて前記ロック状態と前記非ロック状態との切換えを電気的に制御するものであり、前記パーキングロック装置の切換作動を電気的に禁止することにより、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することにある。このようにすれば、回転歯の非ロック状態への切換えを確実に禁止することができる。
また、好適には、前記車両は、前記回転歯を前記ロック状態とする為のパーキングロック位置と前記非ロック状態とする為の非パーキングロック位置とを有する操作装置を備え、その操作装置における各位置に機械的に連動させて前記パーキングロック装置を作動させるものであり、前記パーキングロック位置から前記非パーキングロック位置への前記操作装置における操作そのものを機械的に禁止することにより、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することにある。このようにすれば、回転歯の非ロック状態への切換えを確実に禁止することができる。
また、好適には、前記車両は、動力源から駆動輪までの動力伝達経路に車両用動力伝達装置を備えている。この動力源としては、例えば燃料の燃焼によって動力を発生する内燃機関等のガソリンエンジンやディーゼルエンジン等が好適に用いられるが、電動機等の他の原動機を単独で或いはエンジンと組み合わせて採用することもできる。
また、好適には、前記車両用動力伝達装置は、変速機構部単体、トルクコンバータ及び複数の変速比を有する変速機構部、或いはこの変速機構部等に加え減速機構部やディファレンシャル機構部により構成される。この変速機構部は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式自動変速機、常時噛み合う複数対の変速ギヤを2軸間に備えてそれら複数対の変速ギヤのいずれかを同期装置によって択一的に動力伝達状態とする同期噛合型平行2軸式変速機、その同期噛合型平行2軸式変速機ではあるが油圧アクチュエータにより駆動される同期装置によって変速段が自動的に切換られることが可能な同期噛合型平行2軸式自動変速機、動力伝達部材として機能する伝動ベルトが有効径が可変である一対の可変プーリに巻き掛けられ変速比が無段階に連続的に変化させられる所謂ベルト式無段変速機である自動変速機、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンとその軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧されそのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機である自動変速機、エンジンからの動力を第1電動機および出力軸へ分配する例えば遊星歯車装置で構成される差動機構とその差動機構の出力軸に設けられた第2電動機とを備えてその差動機構の差動作用によりエンジンからの動力の主部を駆動輪側へ機械的に伝達しエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機への電気パスを用いて電気的に伝達することにより電気的に変速比が変更される電気式無段変速機として機能する自動変速機、或いはエンジン軸や出力軸などに動力伝達可能に電動機が備えられる所謂パラレル式のハイブリッド車両に搭載される自動変速機などにより構成される。
また、好適には、パーキングロック装置の回転歯は、例えば前記変速機構部の出力回転部材に固定されるが、前記駆動輪に対して動力伝達状態に保持される直結範囲の他の回転部材に固定することもできる。
本発明が適用される車両を構成する動力伝達経路の概略構成を説明する図であると共に、パーキングロック装置などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。 変速機構部において複数種類のシフトレンジを人為的操作により切り換えるシフト操作装置の一例を示す図である。 駆動輪の回転を機械的に阻止するパーキングロック装置の一例を示す図である。 図1の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわちパーキングロック装置の耐久性低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図5のフローチャートに示す制御作動を実行した場合の一例を示すタイムチャートである。 電子制御装置の制御作動の要部すなわちパーキングロック装置の耐久性低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであって、図5のフローチャートに相当する別の実施例である。 図7のフローチャートに示す制御作動を実行した場合の一例を示すタイムチャートである。 変速機構部において複数種類のシフトレンジを人為的操作により切り換えるシフト操作装置の一例を示す図であって、図2とは別の実施例である。 駆動輪の回転を機械的に阻止するパーキングロック装置の一例を示す図であって、図3とは別の実施例である。 図1の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図であって、図4とは別の実施例である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわちパーキングロック装置の耐久性低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであって、図7のフローチャートに相当する別の実施例である。 図12のフローチャートに示す制御作動を実行した場合の一例を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10を構成するエンジン12から駆動輪14までの動力伝達経路の概略構成を説明する図であると共に、パーキングロック装置16などを制御するために車両10に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。図1において、車両10は、パーキングロック装置16、変速機構部18、シフト操作装置30などを備え、電気制御により変速機構部18のシフトポジション(シフトレンジ)を切り換えるシフトバイワイヤ(SBW)方式を採用している。また、変速機構部18は、例えば車両において横置きされるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、走行用駆動力源としての内燃機関であるエンジン12の動力をカウンタギヤ対20の一方を構成する変速機構部18の出力回転部材としての出力歯車22から、動力伝達装置としてのカウンタギヤ対20、ファイナルギヤ対24、差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)26、及び一対の車軸(ドライブシャフト(D/S))28等を順次介して一対の駆動輪14へ伝達する。これら変速機構部18、カウンタギヤ対20、ファイナルギヤ対24、差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)26等によりトランスアクスル(T/A)が構成される。
また、車両10には、パーキングロック装置16の作動状態を制御する為の制御装置を含む電子制御装置80が備えられている。電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御、変速機構部18の変速制御、シフトバイワイヤ方式を用いた変速機構部18のシフトレンジの切換制御、パーキングロック装置16の作動状態の切換制御などを実行する。
電子制御装置80には、例えばシフトレバー32の操作位置(シフトポジション)PSHを検出する為の位置センサであるシフトセンサ36及びセレクトセンサ38(図2参照)からのシフトポジションPSHに応じた操作信号としてのシフトレバー位置信号、ユーザにより操作されて変速機構部18のシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)とパーキングレンジ以外の非Pレンジとの間で切り換える為の操作装置としてのPスイッチ34の操作状態を示す操作信号としてのPスイッチ信号、パーキングロックを作動或いは解除して変速機構部18のシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り換える為のパーキングロック装置16におけるパーキングロックの作動状態を表すP位置信号、車速センサ40からの変速機構部18の出力回転速度に対応する車速Vを表す車速信号、常用ブレーキであるフットブレーキペダル42の操作の有無を検出する為のブレーキスイッチ44からのフットブレーキペダル42が操作されたブレーキペダルオンを表すブレーキ操作信号BONなどが、それぞれ供給される。
また、電子制御装置80からは、例えばエンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号、変速機構部18の変速制御の為の変速制御指令信号、変速機構部18のシフトレンジを切り換える為のシフトレンジ切換制御指令信号、インジケータ(表示装置)46を作動させて変速機構部18におけるシフトレンジの切換状態を表示する為のシフトレンジ表示信号及びパーキングロック状態を表示する為のパーキングロック表示信号、パーキングロック装置16の切換制御の為のP切換制御指令信号等が、それぞれ出力される。
例えば、電子制御装置80は、シフトセンサ36及びセレクトセンサ38からのシフトポジションPSHに応じたシフトレバー位置信号に基づいてシフトレンジ切換制御指令を変速機構部18へ出力してシフトレンジを切り換える。また、電子制御装置80は、Pスイッチ34からのPスイッチ信号に基づいて変速機構部18のシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り換える為に、パーキングロック装置16の作動を制御してパーキングロックを作動させるか或いは解除させるかを電気的に切り換える。また、電子制御装置80は、パーキングロック装置16からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて変速機構部18のシフトレンジがPレンジであるか非Pレンジであるかを判断する。また、電子制御装置80は、シフトレンジの状態を表示する為の表示信号をインジケータ46へ出力する。インジケータ46は、電子制御装置80が出力した表示信号に基づいてシフトレンジの状態を表示する。
図2は、変速機構部18において複数種類のシフトレンジを人為的操作により切り換える切換装置(操作装置)としてのシフト操作装置30の一例を示す図である。このシフト操作装置30は、例えば運転席の近傍に配設され、複数のシフトポジションPSHへ操作されるモーメンタリ式の操作子すなわち操作力を解くと元位置(初期位置)へ自動的に復帰する自動復帰式の操作子としてのシフトレバー32を備えている。また、本実施例のシフト操作装置30は、変速機構部18のシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)としてパーキングロックする為のモーメンタリ式の操作子としてのPスイッチ34をシフトレバー32の近傍に別スイッチとして備えている。
シフトレバー32は、図2に示すように車両の前後方向または上下方向すなわち縦方向に配列された3つのシフトポジションPSHであるRポジション(R位置)、Nポジション(N位置)、Dポジション(D位置)と、それに平行に配列されたMポジション(M位置)、Bポジション(B位置)とへそれぞれ操作されるようになっており、シフトポジションPSHに応じたシフトレバー位置信号を電子制御装置80へ出力する。また、シフトレバー32は、RポジションとNポジションとDポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、MポジションとBポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、更に、NポジションとBポジションとの相互間で上記縦方向に直交する車両の横方向に操作可能とされている。
Pスイッチ34は、例えばモーメンタリ式の押しボタンスイッチであって、ユーザにより押込み操作される毎にPスイッチ信号を電子制御装置80へ出力する。例えば変速機構部18のシフトレンジが非PレンジにあるときにPスイッチ34が押されると、車速VがPロック許可車速Vp以下であるなどの所定の条件が満たされていれば、Pスイッチ信号に基づいてシフトレンジがPレンジとされる。このPレンジは、変速機構部18内の動力伝達経路が遮断され、且つ、パーキングロック装置16により駆動輪14の回転を機械的に阻止するパーキングロックが実行される駐車レンジである。
シフト操作装置30のMポジションはシフトレバー32の初期位置(ホームポジション)であり、Mポジション以外のシフトポジションPSH(R,N,D,Bポジション)へシフト操作されていたとしても、運転者がシフトレバー32を解放すればすなわちシフトレバー32に作用する外力が無くなれば、バネなどの機械的機構によりシフトレバー32はMポジションへ戻るようになっている。シフト操作装置30が各シフトポジションPSHへシフト操作された際には、電子制御装置80によりシフトポジションPSHに対応したシフトレバー位置信号に基づいてシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジに切り換えられると共に、現在のシフトポジションPSHすなわち変速機構部18のシフトレンジの状態がインジケータ46に表示される。
各シフトレンジについて説明すると、シフトレバー32がRポジションへシフト操作されることにより選択されるRレンジは、車両を後進させる駆動力が駆動輪に伝達される後進走行レンジである。また、シフトレバー32がNポジションへシフト操作されることにより選択されるニュートラルレンジ(Nレンジ)は、変速機構部18内の動力伝達経路が遮断されるニュートラル状態とするための中立レンジである。また、シフトレバー32がDポジションへシフト操作されることにより選択されるDレンジは、車両を前進させる駆動力が駆動輪38に伝達される前進走行レンジである。例えば、電子制御装置80は、シフトレンジがPレンジであるときに、シフトレバー位置信号に基づいて車両10の移動防止(パーキングロック)を解除する所定のシフトポジションPSH(具体的には、Rポジション、Nポジション、又はDポジション)へシフト操作されたと判断した場合には、ブレーキオンであるなどの所定の条件が満たされていれば、パーキングロック装置16に対してパーキングロックを解除するP切換制御指令信号を出力してパーキングロックを解除させる。そして、電子制御装置80は、そのシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジへ切り換える。
また、シフトレバー32がBポジションへシフト操作されることにより選択されるBレンジは、Dレンジにおいてエンジンブレーキ効果を発揮させ駆動輪14の回転を減速させる減速前進走行レンジ(エンジンブレーキレンジ)である。従って、電子制御装置80は、現在のシフトレンジがDレンジ以外のシフトレンジであるときにシフトレバー32がBポジションへシフト操作されてもそのシフト操作を無効とし、DレンジであるときのみBポジションへのシフト操作を有効とする。例えば、Pレンジであるときに運転者がBポジションへシフト操作したとしてもシフトレンジはPレンジのまま継続される。
本実施例のシフト操作装置30では、シフトレバー32に作用する外力が無くなればMポジションへ戻されるので、シフトレバー32のシフトポジションPSHを視認しただけでは選択中のシフトレンジを認識することは出来ない。そのため、運転者の見易い位置にインジケータ46が設けられており、選択中のシフトレンジがPレンジである場合も含めてインジケータ46に表示されるようになっている。
本実施例では所謂シフトバイワイヤを採用しており、シフト操作装置30は上記縦方向である第1方向P1とその方向と交差する(図2では直交する)横方向である第2方向P2とに2次元的にシフト操作されるので、そのシフトポジションPSHを位置センサの検出信号として電子制御装置80に出力するために、上記第1方向P1のシフト操作を検出する第1方向検出部としてのシフトセンサ36と上記第2方向P2のシフト操作を検出する第2方向検出部としてのセレクトセンサ38とを備えている。シフトセンサ36とセレクトセンサ38との何れもシフトポジションPSHに応じた検出信号(シフトレバー位置信号)としての電圧を電子制御装置80に対し出力し、その検出信号電圧に基づき電子制御装置80はシフトポジションPSHを認識(判定)する。すなわち、上記第1方向検出部(シフトセンサ36)と第2方向検出部(セレクトセンサ38)とが全体として、シフト操作装置30のシフトポジションPSHを検出するシフトポジション検出部を構成していると言える。
シフトポジションPSHの認識について一例を示せば、シフトセンサ36の検出信号電圧VSFは、Rポジションを示す第1方向第1位置P1_1、MポジションもしくはNポジションを示す第1方向第2位置P1_2、及びBポジションもしくはDポジションを示す第1方向第3位置P1_3の各位置に対応する電圧レベル(low範囲、mid範囲、high範囲内の各電圧)になる。また、セレクトセンサ38の検出信号電圧VSLは、MポジションもしくはBポジションを示す第2方向第1位置P2_1、及びRポジション、Nポジション、もしくはDポジションを示す第2方向第2位置P2_2の各位置に対応する電圧レベル(low範囲、high範囲内の各電圧)になる。電子制御装置80はこのように変化する上記検出信号電圧VSF,VSLを検出することにより、各電圧レベルの組み合わせによってシフトポジションPSH(R、N、D、M、Bポジション)を認識する。
図3は、駆動輪14の回転を機械的に阻止するパーキングロック装置16の構成を説明する図である。図3において、パーキングロック装置16は、Pロック機構(パーキングロック機構)48、Pロック駆動モータ50、エンコーダ52などを備え、電子制御装置80からの制御信号に基づき車両10の移動を防止するために作動するアクチュエータである。
Pロック駆動モータ50は、例えばスイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)により構成され、電子制御装置80からの指令(制御信号)を受けてシフトバイワイヤシステムによってPロック機構48を駆動する。エンコーダ52は、A相、B相及びZ相の信号を出力するロータリエンコーダであって、Pロック駆動モータ50と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知してその回転状況を表す信号すなわちPロック駆動モータ50の移動量(回転量)に応じた計数値(エンコーダカウント)を取得するためのパルス信号を電子制御装置80へ供給する。電子制御装置80は、エンコーダ52から供給される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行う。
Pロック機構48は、Pロック駆動モータ50により回転駆動されるシャフト54、シャフト54の回転に伴って回転するディテントプレート56、ディテントプレート56の回転に伴って動作するロッド58、駆動輪14と連動して回転するパーキングギヤ60、パーキングギヤ60を回転阻止(ロック)するためのパーキングロックポール62、ディテントプレート56の回転を制限してシフトポジションを固定するディテントスプリング64、及びころ66を備えている。パーキングギヤ60は、それがロック状態とされれば駆動輪14もロック状態とされる関係にあれば設けられる場所に制限は無いが、例えば変速機構部18の出力歯車22に同心上に固定されている(図1参照)。
ディテントプレート56は、シャフト54を介してPロック駆動モータ50の駆動軸に作動的に連結されており、ロッド58、ディテントスプリング64、ころ66などと共にPロック駆動モータ50により駆動されてPレンジに対応するパーキングロックポジションとPレンジ以外の各シフトレンジに対応する非パーキングロックポジションとを切り換えるためのパーキングロック位置決め部材として機能する。
図3は、非パーキングロックポジションであるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール62がパーキングギヤ60をロック状態としていないので、駆動輪14の回転はPロック機構48によっては妨げられない。この状態から、Pロック駆動モータ50によりシャフト54を図3に示す矢印Cの方向に回転させると、ディテントプレート56を介してロッド58が図3に示す矢印Aの方向に押され、ロッド58の先端に設けられたテーパー部材68によりパーキングロックポール62が図3に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート56の回転に伴って、ディテントプレート56の頂部に設けられた2つの谷のうち一方、すなわち非パーキングロックポジションにあったディテントスプリング64のころ66は、山70を乗り越えて他方の谷、すなわちパーキングロックポジションへ移る。ころ66は、その軸心を中心として回転可能にディテントスプリング64に設けられている。ころ66がパーキングロックポジションに来るまでディテントプレート56が回転したとき、パーキングロックポール62は、パーキングギヤ60と噛み合う位置まで押し上げられる。これにより、パーキングギヤ60と連動して回転する駆動輪14の回転が機械的に阻止され、シフトレンジがPレンジに切り換わる。
このように、パーキングロック装置16は、運転者の操作に基づいて、車輪としての駆動輪14と共に回転する回転歯としてのパーキングギヤ60をパーキングギヤ60にロック歯としてのパーキングロックポール62が噛み合うロック状態とそのロック状態が解除された非ロック状態とに切り換える。尚、駆動輪14を回転不能状態(ロック状態)とする替わりに、同じく車輪としての不図示の従動輪を回転不能状態として車両10の移動を防止しても良く、このような場合には、パーキングロック装置16は、従動輪と共に回転する回転歯を運転者の操作に基づいてロック状態と非ロック状態とに切り換えるように構成される。
ここで、変速機構部18のシフトレンジが非PレンジからPレンジとされてパーキングロックが行われる態様としては、上述したように、例えば運転者の操作によりPスイッチ34が押されたときに(パーキングギヤ60をロック状態とする為の非P→P操作が運転者により為されたときに)変速機構部18のシフトレンジが非Pレンジにあり且つ車速VがPロック許可車速Vp以下であるなどの所定の条件が満たされているときに実行されるPレンジへの切換作動である。また、変速機構部18のシフトレンジがPレンジから非Pレンジとされてパーキングロックが解除される態様としては、上述したように、例えば運転者によりシフトレバー32が何れかのポジションに操作されたときに(パーキングギヤ60を非ロック状態とする為のP→非P操作が運転者により為されたときに)変速機構部18のシフトレンジがPレンジにあり且つブレーキオンであるなどの所定の条件が満たされているときに実行される非Pレンジへの切換作動である。
ところで、例えば車両走行中にPスイッチ34が押されると、車速VがPロック許可車速Vp以下であることなどを条件としてシフトレンジがPレンジとされる。この際、例えばエンゲージ車速Vcを超える車速Vではパーキングロック装置16のパーキングギヤ60が非ロック状態からラチェット状態とされ、エンゲージ車速Vc以下の車速Vではパーキングギヤ60がロック状態とされる。このとき、車両走行中であるとパーキングギヤ60では相応の車両10の走行エネルギーを受け止めることになり、パーキングロック装置16に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積される可能性がある。そして、このようなエネルギーがパーキングロック装置16に一時的に蓄積されている状態で例えばシフトレバー32が何れかのポジションに操作されると、ブレーキオンとされていることなどを条件としてパーキングギヤ60がロック状態から非ロック状態とされる。この非ロック状態とされる際、パーキングロック装置16(例えばパーキングギヤ60)がロック状態とされるときに車両10の走行エネルギーをがっちりと受け止めることに比較して、その蓄積された大きなエネルギーが弾けるように一気に解放され、パーキングロック装置16に大きな負荷(衝撃)がかかってパーキングロック装置16の耐久性を低下させる可能性がある。尚、上記エンゲージ車速Vcは、例えばパーキングギヤ60がラチェット状態からロック状態とされる予め定められた設計車速である。また、ラチェット状態とは、シフトレンジがPレンジとされた際、例えばパーキングギヤ60に噛み合わされるパーキングロックポール62がそのパーキングギヤ60に向かって押し上げられども、パーキングギヤ60がある程度回転しているために接触して弾かれることを繰り返すだけでパーキングロックポール62の歯飛びが生じてパーキングギヤ60と噛み合えず、ロック状態に至っていない状態のことである。
パーキングロック装置16に一時的に蓄積される駆動系の捩れエネルギーが最も大きくなるときは、例えば車両走行中に運転者により非P→P操作が為されたときにパーキングギヤ60がロック状態とされて車両10の走行エネルギーを受け止めた瞬間であると考えられる。従って、パーキングロック装置16の耐久性低下を抑制する為には、駆動系の捩れエネルギーが大きなときにパーキングギヤ60がロック状態から非ロック状態とされないようにすれば良いので、パーキングギヤ60がロック状態とされる瞬間やそのロック状態とされる近傍では、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止することが考えられる。そこで、本実施例では、車両走行中に運転者によりパーキングギヤ60をロック状態とする為の非P→P操作が為された際、エンゲージ車速Vcを含むエンゲージ車速Vc近傍となる所定範囲の車速Vでは、ブレーキオンであるなどの所定の条件が満たされていたとしてもパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。
例えば、車両走行中に運転者により非P→P操作が為された際に、エンゲージ車速Vcよりも所定値高い第1判定車速Va以下となる車速Vでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。また、車両走行中に運転者により非P→P操作が為された際に、第1判定車速Vaよりも低いエンゲージ車速Vc未満の車速且つ零判定車速V0(=0)よりも高い車速としての第2判定車速Vb以上となる車速Vでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。つまり、車両走行中に運転者により非P→P操作が為された際に、エンゲージ車速Vcを挟む第1判定車速Va以下且つ第2判定車速Vb以上となる所定範囲の車速V(Va≧V≧Vb)では、ブレーキオンであるなどの所定の条件が満たされていたとしてもパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。
上記第1判定車速Vaは、例えば走行中に運転者により非P→P操作するミス操作が為された際に、運転者によりP→非P操作する修正操作が為されて、所望のシフトレンジへ切り換えることが必要であるという観点でエンゲージ車速Vcよりも所定値(Va-c)高い車速に予め設定されている。但し、第1判定車速Vaとエンゲージ車速Vcとは、急制動時などにもエンゲージ車速Vc付近で確実にパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されるように、予め求められて定められた所定値(Va-c)分の車速差が設けられている。また、上記第2判定車速Vbは、基本的には零判定車速V0で良いが、車速Vが零判定車速V0となる車両10の完全停止においてはパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されることなく確実に行われることを目的として、且つエンゲージ車速Vc付近で確実にパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されることが必要であるという観点で、エンゲージ車速Vc〜車両完全停止(V=0)の間(Vc>Vb>0)に予め設定されている。尚、エンゲージ車速Vcは飽くまで設計車速であり、パーキングロック装置16のばらつき等によりラチェット状態から実際にロック状態となる車速Vは必ずしもエンゲージ車速Vcとならない可能性がある。よって、上記所定範囲の車速V(Va≧V≧Vb)は、このようなことも考慮して設定しても良い。
また、本実施例では、電気制御により変速機構部18のシフトレンジを切り換えるシフトバイワイヤ(SBW)方式を採用しているので、運転者によりP→非P操作が為されたときのパーキングロック装置16の切換作動を電気的に禁止することにより、そのパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。
より具体的には、図4は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、シフトポジション判定部すなわちシフトポジション判定手段82は、シフトセンサ36及びセレクトセンサ38からの検出信号電圧VSF,VSLに基づいて運転者により要求されたシフトポジションPSHを判定する。これは、運転者によるP→非P操作が為されたか否かを判定することでもある。また、シフトポジション判定手段82は、Pスイッチ34からのPスイッチ信号に基づいて運転者による非P→P操作が為されたか否かを判定する。また、シフトポジション判定手段82は、パーキングロック装置16からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて変速機構部18のシフトレンジがPレンジであるか非Pレンジであるかを判断する。
車両走行状態判定部すなわち車両走行状態判定手段84は、車速Vが第1判定車速Va以下であるか否かを判定する。また、車両走行状態判定手段84は、車速Vが第2判定車速Vb以上であるか否かを判定する。また、車両走行状態判定手段84は、車速Vが第2判定車速Vb未満であるか否か、或いは車速Vが零判定車速V0であるか否かを判定する。
シフトレンジ切換制御部すなわちシフトレンジ切換制御手段86は、シフトポジション判定手段82により判定されたシフトポジションPSHに対応したシフトレンジへの切替えを行う。また、シフトレンジ切換制御手段86は、シフトポジション判定手段82によりシフトレンジが非Pレンジであると判定され且つ運転者による非P→P操作が為されたと判定された場合には、車速VがPロック許可車速Vp以下であるという条件を満たしておれば、パーキングロック装置16を作動してパーキングロックを作動させ、シフトレンジを非PレンジからPレンジへ切り換える。また、シフトレンジ切換制御手段86は、シフトポジション判定手段82によりシフトレンジがPレンジであると判定され且つ運転者によるP→非P操作が為されたと判定された場合には、例えばブレーキオンとされているという条件を満たしておれば、パーキングロック装置16を作動してパーキングロックを解除させ、シフトレンジをPレンジから非Pレンジへ切り換える。
但し、本実施例では、シフトレンジ切換制御手段86は、シフトポジション判定手段82によりシフトレンジがPレンジであると判定され且つ車両走行状態判定手段84により車速Vが第1判定車速Va以下且つ第2判定車速Vb以上であると判定された場合には、例えばブレーキオンとされているという条件を満たし且つシフトポジション判定手段82により運転者によるP→非P操作が為されたと判定された場合であっても、パーキングロック装置16の作動を禁止して、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えを禁止する。また、シフトレンジ切換制御手段86は、パーキングロック装置16の作動を禁止しているときに、車両走行状態判定手段84により車速Vが第2判定車速Vb未満であると判定されるか或いは車速Vが零判定車速V0であると判定された場合には、パーキングロック装置16の作動禁止を解除する。これにより、シフトレンジ切換制御手段86は、例えばブレーキオンとされているという条件を満たし且つシフトポジション判定手段82により運転者によるP→非P操作が為されたと判定された場合には、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えを行う。
図5は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわちパーキングロック装置16の耐久性低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図5のフローチャートでは、例えば車両10の走行中を前提としている。また、図6は、図5のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。この図6のタイムチャートでは、ブレーキオン時の車両10の減速走行中に運転者による非P→P操作が為されて非PレンジからPレンジへ切り換えられた場合を示している。
図5において、先ず、シフトポジション判定手段82に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、パーキングロック装置16からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて変速機構部18のシフトレンジがPレンジであるか否かが判断される。また、車両走行状態判定手段84に対応するS20において、車速Vが第1判定車速Va以下であるか否かが判定される。また、同じく車両走行状態判定手段84に対応するS30において、車速Vが第2判定車速Vb以上であるか否かが判定される。上記S10乃至S30のうちの何れか1つの判断でも否定される場合は本ルーチンが終了させられる(図6のt1時点以前)。一方、上記S10乃至S30の何れもが肯定される場合はシフトレンジ切換制御手段86に対応するS40において、パーキングロック装置16の作動が禁止される(図6のt1時点乃至t2時点)。これにより、例えばブレーキオンとされ且つ運転者によるP→非P操作が為された場合であっても、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えが禁止される。次いで、車両走行状態判定手段84に対応するS50において、車速Vが第2判定車速Vb未満であるか否か、或いは車速Vが零判定車速V0であるか否か(すなわち車両停止したか否か)が判定される。このS50の判断が否定される場合は上記S40に戻るが肯定される場合はシフトレンジ切換制御手段86に対応するS60において、S40にて実行されているパーキングロック装置16の作動禁止が解除される(図6のt2時点以降、又はt3時点以降)。これにより、例えばブレーキオンとされ且つ運転者によるP→非P操作が為された場合には、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えが行われる。
上述のように、本実施例によれば、車両走行中にパーキングギヤ60をロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、第1判定車速Va以下となる車速Vでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されるので、例えば車両走行中にパーキングギヤ60がロック状態とされて車両10の走行エネルギーを受け止めることによるパーキングロック装置16に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にて、パーキングギヤ60が非ロック状態へ切り換えられることが回避される。よって、パーキングギヤ60が非ロック状態とされるときにその蓄積された大きなエネルギーが一気に解放されることが回避され、パーキングロック装置16にかかる負荷(衝撃)が低減されてパーキングロック装置16の耐久性低下を抑制することができる。これにより、パーキングロック装置16の信頼性が向上する。
また、本実施例によれば、第1判定車速Vaは、エンゲージ車速Vcよりも所定値(Va-c)高い車速である。このようにすれば、パーキングギヤ60がラチェット状態からロック状態とされたときにはパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されているので、パーキングロック装置16に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にてパーキングギヤ60が非ロック状態へ切り換えられることが適切に回避される。
また、本実施例によれば、車両走行中にパーキングギヤ60をロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、第1判定車速Vaよりも低い第2判定車速Vb以上となる車速Vでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止される。このようにすれば、例えば車両走行中にパーキングギヤ60をロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、第1判定車速Va以下且つ第2判定車速Vb以上となる車速Vでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されるので、パーキングロック装置16に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にてパーキングギヤ60が非ロック状態へ切り換えられることが回避される。
また、本実施例によれば、第2判定車速Vbは、エンゲージ車速Vc未満の車速Vである。このようにすれば、パーキングギヤ60がラチェット状態からロック状態とされたときにはパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されるので、パーキングロック装置16に大きな駆動系の捩れエネルギーが一時的に蓄積された状態にてパーキングギヤ60が非ロック状態へ切り換えられることが適切に回避される。
また、本実施例によれば、第2判定車速Vbは、零判定車速V0よりも高い車速Vである。このようにすれば、例えば車速Vが零判定車速V0とされるときには、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを許可することが可能となる。
また、本実施例によれば、車両10は、パーキングギヤ60のロック状態と非ロック状態とを切り換える為のシフト操作装置30の操作状態を示す操作信号(シフトレバー位置信号、Pスイッチ信号等)に基づいてパーキングロック装置16を作動させてロック状態と非ロック状態との切換えを電気的に制御するものであり、パーキングロック装置16の切換作動が電気的に禁止されることによりパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止される。このようにすれば、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを確実に禁止することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例では、車両走行中に運転者により非P→P操作が為された際に、エンゲージ車速Vcを挟む第1判定車速Va以下且つ第2判定車速Vb以上となる車速Vでは、ブレーキオンであるなどの所定の条件が満たされていたとしても運転者のP→非P操作による非ロック状態への切換えを禁止した。また、非ロック状態への切換えを禁止しているときに、車速Vが第2判定車速Vb未満となるか或いは零判定車速V0となる場合には、その非ロック状態への切換禁止を解除した。ところで、パーキングギヤ60がラチェット状態からロック状態とされた後、車速Vが第2判定車速Vb未満となるか或いは零判定車速V0となってもしばらくは、大きな駆動系の捩れエネルギーが蓄積されている。そこで、本実施例では、パーキングロック装置16に一時的に蓄積された大きな駆動系の捩れエネルギーが確実に緩和されるまではパーキングギヤ60が非ロック状態へ切り換えられることが回避されるように、前述の実施例に加え、車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1が経過するまでは、或いは車速Vが零判定車速V0となって車両10が停止してから所定時間T1が経過するまでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。
また、別の観点では、パーキングギヤ60がラチェット状態からロック状態とされた後、車速Vが第2判定車速Vb未満となるか或いは零判定車速V0となってもしばらくは、駆動系の捩れエネルギーによる例えば車軸(D/S)28の捩り振動などにより車両10が動いているかの如く第2判定車速以上の車速V或いは零判定車速V0を超える車速Vが捩り振動の周期に合わせて検出される可能性がある。そこで、本実施例では、車速Vが零判定車速V0となる車両10の完全停止においてパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されることなく一層確実に行われる為に、つまり非ロック状態への切換禁止を解除する際に車両10の完全停止を保証する為に、パーキングロック装置16に一時的に蓄積された大きな駆動系の捩れエネルギーによる捩れ振動などが確実に抑制された状態でパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが許可されるように、前述の実施例に加え、車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1が経過するまでは、或いは車速Vが零判定車速V0となって車両10が停止してから所定時間T1が経過するまでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する。上記所定時間T1は、例えば車速Vが第2判定車速Vb未満となってから或いは車両10が停止してから駆動系(例えば車軸(D/S)28)の捩りトルクが零に向かって収束するまでの時間として予め実験的に求められて定められた禁止解除判定時間である。
具体的には、図4に戻り、車両走行状態判定手段84は、前述の実施例に加えて、車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1以上経過したか否か、或いは車速Vが零判定車速V0となってから所定時間T1以上経過したか否かを判定する。また、シフトレンジ切換制御手段86は、パーキングロック装置16の作動を禁止しているときに、車両走行状態判定手段84により車速Vが第2判定車速Vb未満であると判定されるか或いは車速Vが零判定車速V0であると判定されたことに加え、車両走行状態判定手段84により車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1以上経過したと判定されるか或いは車速Vが零判定車速V0となってから所定時間T1以上経過したと判定された場合には、パーキングロック装置16の作動禁止を解除する。
図7は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわちパーキングロック装置16の耐久性低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図7のフローチャートは、図5のフローチャートに相当する別の実施例であり、図5におけるステップS50の次にステップS55が加えられていることが相違するのみである。従って、ステップS55に直接的に関連する以外の他のステップについては説明を省略する。また、図8は、図7のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。この図8のタイムチャートでは、ブレーキオン時の車両10の減速走行中に運転者による非P→P操作が為されて非PレンジからPレンジへ切り換えられた場合を示している。
図7において、前記S40に次いで、車両走行状態判定手段84に対応するS50において、車速Vが第2判定車速Vb未満であるか否か、或いは車速Vが零判定車速V0であるか否か(すなわち車両停止したか否か)が判定される。また、同じく車両走行状態判定手段84に対応するS55において、車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1以上経過したか否か、或いは車速Vが零判定車速V0となってから所定時間T1以上経過したか否かが判定される。上記S50及びS55の何れかの判断でも否定される場合は上記S40に戻るが何れもが肯定される場合はシフトレンジ切換制御手段86に対応するS60において、S40にて実行されているパーキングロック装置16の作動禁止が解除される(図8のt4時点以降)。これにより、例えばブレーキオンとされ且つ運転者によるP→非P操作が為された場合には、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えが行われる。
上述のように、本実施例によれば、車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1が経過するまでは、或いは車両10が停止してから(すなわち車速Vが零判定車速V0となってから)所定時間T1が経過するまでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止される。このようにすれば、車両走行中にパーキングギヤ60がロック状態とされて車両10の走行エネルギーを受け止めることによりパーキングロック装置16に一時的に蓄積された大きな駆動系の捩れエネルギーが、確実に緩和されるまでは、パーキングギヤ60が非ロック状態へ切り換えられることが回避される。よって、パーキングギヤ60が非ロック状態とされるときにパーキングロック装置16にかかる負荷(衝撃)が一層低減される。また、別の観点では、車速Vが零判定車速V0となる車両10の完全停止においてパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止されることなく一層確実に行われる。つまり、非ロック状態への切換禁止を解除する際に車両10の完全停止が保証される。よって、パーキングロック装置16に一時的に蓄積された大きな駆動系の捩れエネルギーによる捩れ振動などが確実に抑制された状態でパーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが許可される。
前述の実施例1、2では、パーキングギヤ60をロック状態と非ロック状態とに切り換える為の(すなわちシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り換える為の)Pスイッチ34及びシフトレバー32からのPスイッチ信号及びシフトレバー位置信号に基づいてパーキングロック装置16を作動させてロック状態と非ロック状態との切換えを電気的に制御するものであり、パーキングロック装置16の作動を禁止することにより、パーキングギヤ60のロック状態から非ロック状態への切換えを禁止した。本実施例では、パーキングギヤ60のロック状態と非ロック状態とを電気的に切り換える為のアクチュエータ(パーキングロック装置16)を備えることに替えて、パーキングギヤ60をロック状態とする為のパーキングロック位置「P」と非ロック状態とする為の非パーキングロック位置「非P」とを有するシフト操作装置100を備え、シフト操作装置100における各位置に機械的に連動させてパーキングロック装置112を作動させる。そして、パーキングロック位置「P」から非パーキングロック位置「非P」へのシフト操作装置100における操作そのものを機械的(物理的)に禁止することにより、パーキングギヤ60のロック状態から非ロック状態への切換えを禁止する。
具体的には、図9は、変速機構部18において複数種類のシフトレンジを人為的操作により切り換える切換装置(操作装置)としてのシフト操作装置100の一例を示す図である。このシフト操作装置100は、例えば運転席の近傍に配設され、図9(a)に示すようなシフトパターンに従って複数のシフトポジションPSHすなわち駐車ポジション「P」、後進走行ポジション「R」、ニュートラルポジション「N」、前進走行ポジション「D」、及びMポジション「M」へ操作される操作子としてのシフトレバー102を備えている。シフトレバー102は、例えば図9(b)に示すようにリンクやケーブル等の連動機構104を介して、変速機構部18などにより構成されるトランスアクスル(T/A)のケースに配設されたアウタレバー106に機械的に連結されており、シャフト108を介して不図示のマニュアルバルブのスプールを移動させることにより、変速機構部18の油圧制御回路の油路を切り換える。尚、シフトポジションPSHは、アウタレバー106の回動角度を検知するニュートラルスタートスイッチ110によって検出されるようになっている。但し、パーキングギヤ60がロックされるパーキング状態(Pレンジ、Pポジション)であるか否かを判断できれば良いので、必ずしもシフトレバー102の各シフトポジションPSHを検出できることは必須ではない。また、シフト操作装置100に設けられたスイッチ等によりシフトポジションPSHを検出することも可能である。
シフトレバー102が後進走行ポジション「R」、前進走行ポジション「D」、またはMポジション「M」の車両を走行させるための走行位置へ操作されると、例えば変速機構部18は動力伝達が可能な動力伝達可能状態とされる。また、シフトレバー102が駐車ポジション「P」、ニュートラルポジション「N」の非走行位置へ操作されると、例えば変速機構部18は動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態とされる。更に、駐車ポジション「P」では、図10に示すパーキングロック装置112により機械的に出力歯車22、更には駆動輪14の回転が阻止される。
パーキングロック装置112は、Pロック機構としてのパーキングギヤ60及びパーキングギヤ60に噛み合わされて出力歯車22の回転を阻止するロック歯としてのロックポール114と、ロックカム116と、支持ピン118とを備えており、ロックポール114はロックカム116により支持ピン118まわりに回動させられるようになっている。ロックカム116は、例えばシャフト108(図9参照)の回転に伴って機械的に軸心C方向へ移動させられるようになっており、シフトレバー102が駐車ポジション「P」へ操作されることにより、ロックポール114をパーキングギヤ60と噛み合う噛合位置へ回動させる。
このように、シフト操作装置100において、駐車ポジション「P」は、パーキングギヤ60をロック状態とする為のパーキングロック位置「P」であり、後進走行ポジション「R」、ニュートラルポジション「N」、前進走行ポジション「D」、及びMポジション「M」の各ポジションは、パーキングギヤ60を非ロック状態とする為の非パーキングロック位置「非P」である。そして、シフト操作装置100では、パーキングロック位置「P」から非パーキングロック位置「非P」への操作を禁止(阻止)する為のシフトロック機構すなわち駐車ポジション「P」からのシフトレバー102の移動を禁止するPシフトロックを作用(作動)させる為のPシフトロック機構120が備えられている。
図9に戻り、Pシフトロック機構120は、シフトロック用ソレノイド122とシフトロック用レバー124とを備えている。シフトロック用レバー124は、例えば不図示の支点まわりに回動させられるようになっており、シフトロック用ソレノイド122への非通電時には、不図示のスプリングのバネ力でPシフトロック作動方向へ押し付けられている。これにより、Pシフトロックが作動させられ、シフトレバー102は駐車ポジション「P」(パーキングロック位置「P」)からの移動が物理的に禁止(阻止)される。これに対して、ブレーキオン等により所定条件が満たされるとシフトロック用ソレノイド122への通電が為され、シフトロック用レバー124がPシフトロック解除方向へ回動させられる。これにより、Pシフトロックが解除され、シフトレバー102は駐車ポジション「P」(パーキングロック位置「P」)からの移動が可能とされる。尚、本実施例では、上述したように所定条件に基づいてシフトレバー102の駐車ポジション「P」からの移動を規制する為のPシフトロックが設けられているが、シフトレバー102の駐車ポジション「P」への移動を規制する為のシフトロックは特に設けられていない。つまり、前述の実施例1、2のシフトバイワイヤ方式のように車速VがPロック許可車速Vp以下であることなどのシフトレンジがPレンジとされるための条件は設定されていない。
より具体的には、図11は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図11において、シフトポジション判定手段82は、前述の実施例1、2に替えて、ニュートラルスタートスイッチ110によって検知されるアウタレバー106の回動角度に基づいてシフトポジションPSHを判定する。これは、運転者によるP→非P操作が為されたか否かを判定すること、運転者による非P→P操作が為されたか否かを判定すること、及び変速機構部18のシフトレンジがPレンジであるか非Pレンジであるかを判断することすなわちシフトレバー102のシフト位置がパーキングロック位置「P」であるか非パーキングロック位置「非P」であるかを判断することでもある。
Pシフトロック制御部すなわちPシフトロック制御手段88は、シフトポジション判定手段82によりシフトレンジがPレンジであると判定され且つ車両走行状態判定手段84により車速Vが第1判定車速Va以下且つ第2判定車速Vb以上であると判定された場合には、例えばブレーキオンとされているという条件を満たした場合であっても、シフトロック用ソレノイド122への通電を行わずPシフトロックを作動状態として、シフトレバー102の駐車ポジション「P」からの移動を物理的に禁止(阻止)する。すなわち、Pシフトロック制御手段88は、運転者によるP→非P操作自体を禁止して、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えを禁止する。また、Pシフトロック制御手段88は、シフトロック用ソレノイド122への通電を行わず運転者によるP→非P操作自体を禁止しているときに、車両走行状態判定手段84により車速Vが第2判定車速Vb未満であると判定されるか或いは車速Vが零判定車速V0であると判定されたことに加え、車両走行状態判定手段84により車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1以上経過したと判定されるか或いは車速Vが零判定車速V0となってから所定時間T1以上経過したと判定された場合には、運転者によるP→非P操作自体の禁止を解除する。これにより、Pシフトロック制御手段88は、例えばブレーキオンとされているという条件を満たした場合には、シフトロック用ソレノイド122への通電を行い、Pシフトロックを解除状態として、シフトレバー102の駐車ポジション「P」からの移動を許容する。
図12は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわちパーキングロック装置16の耐久性低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図12のフローチャートは、図7のフローチャートに相当する別の実施例であり、図7におけるステップS40及びS60がステップS40’及びS60’に変更されている点が相違するのみである。従って、ステップS40’及びS60’に直接的に関連する以外の他のステップについては説明を省略する。また、図13は、図12のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。この図13のタイムチャートでは、ブレーキオン時の車両10の減速走行中に運転者による非P→P操作が為された場合を示している。
図12において、前記S10乃至S30の何れもが肯定される場合はPシフトロック制御手段88に対応するS40’において、シフトロック用ソレノイド122への通電が行われずPシフトロックが作動状態とされて、シフトレバー102の駐車ポジション「P」からの移動が物理的に禁止(阻止)される(図13のt1時点乃至t2時点)。これにより、例えばブレーキオンとされた場合であっても、運転者によるP→非P操作自体が禁止されて、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えが禁止される。上記S40’に次いで、前記S50及びS55が実行される。このS50及びS55の何れかの判断でも否定される場合は上記S40’に戻るが何れもが肯定される場合はPシフトロック制御手段88に対応するS60’において、S40’にて実行されている運転者によるP→非P操作自体の禁止が解除される(図13のt4時点以降)。これにより、例えばブレーキオンとされ且つ運転者によるP→非P操作が為された場合には、パーキングロックの解除(パーキングギヤ60の非ロック状態への切換え)すなわちシフトレンジのPレンジから非Pレンジへの切換えが行われる。
上述のように、本実施例によれば、車両10は、パーキングギヤ60をロック状態とする為のパーキングロック位置「P」と非ロック状態とする為の非パーキングロック位置「非P」とを有するシフト操作装置100を備え、シフト操作装置100における各位置に機械的に連動させてパーキングロック装置112を作動させるものであり、パーキングロック位置「P」から非パーキングロック位置「非P」へのシフト操作装置100における操作そのものを機械的に禁止することにより、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えが禁止される。このようにすれば、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを確実に禁止することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、電気制御により変速機構部18のシフトポジション(シフトレンジ)を切り換えるシフトバイワイヤ(SBW)方式を採用した場合には、パーキングロック装置16の切換作動を電気的に禁止することによりパーキングギヤ60のロック状態から非ロック状態への切換えを禁止したが、それに限らず、例えばシフトレバー32からのシフトレバー位置信号を無視したりキャンセルしたり受け付けないことによりパーキングギヤ60のロック状態から非ロック状態への切換えを禁止しても良い。
また、前述の実施例における図12のフローチャートでは、図7のフローチャートと同様にステップS50に加えS55の制御作動が加えられていたが、必ずしもこのステップS55は必要ではなく、例えば図5のフローチャートに示すようにこのS55の制御作動を除いても良い。このようにしても、本発明の一定の効果は得られる。
また、前述の実施例では、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止する為の所定時間T1は、駆動系の捩りトルクが零に向かって収束するまでの時間であったが、これに限らず、駆動系の捩りトルクがある程度(例えば第2判定車速以上の車速V或いは零判定車速V0を超える車速Vが検出されない程度、パーキングロック装置16の耐久性低下が一定以上抑制される程度)抑制されるまでの時間であっても良い。また、車速Vが第2判定車速Vb未満となってから所定時間T1が経過するまでは、或いは車速Vが零判定車速V0となって車両10が停止してから所定時間T1が経過するまでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止したが、例えば車速Vがエンゲージ車速Vc未満となってから所定時間T1が経過するまでは、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止しても良い。このようにしても、本発明の一定の効果は得られる。
また、前述の実施例では、第2判定車速Vbは、零判定車速V0よりも高い車速Vであったが、零判定車速V0であっても良い。この場合には、車速Vが零判定車速V0とされている時間が所定時間を経過していること、車速Vの変化が禁止条件を外れていることなどを条件として、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを禁止しないようにすれば良い。このようにすれば、例えば車速Vが零判定車速V0とされるときには、パーキングギヤ60の非ロック状態への切換えを許可することが可能となる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
14:駆動輪(車輪)
16、112:パーキングロック装置
30、100:シフト操作装置(操作装置)
60:パーキングギヤ(回転歯)
62:パーキングロックポール(ロック歯)
80:電子制御装置(制御装置)
114:ロックポール(ロック歯)

Claims (8)

  1. 運転者の操作に基づいて、車輪と共に回転する回転歯を該回転歯にロック歯が噛み合うロック状態と該ロック状態が解除された非ロック状態とに切り換えるパーキングロック装置を有する車両の制御装置であって、
    車両走行中に前記回転歯を前記ロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、予め設定された第1判定車速以下となる車速では、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記第1判定車速は、車両走行中に前記回転歯に噛み合わされる前記ロック歯の歯飛びが生じるラチェット状態から前記ロック状態とされる予め定められたエンゲージ車速よりも所定値高い車速であることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 車両走行中に前記回転歯を前記ロック状態とする為の操作が運転者により為された際に、前記第1判定車速よりも低い予め設定された第2判定車速以上となる車速では、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記第2判定車速は、車両走行中に前記回転歯に噛み合わされる前記ロック歯の歯飛びが生じるラチェット状態から前記ロック状態とされる予め定められたエンゲージ車速未満の車速であることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
  5. 前記第2判定車速は、零判定車速よりも高い車速であることを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
  6. 車速が前記第2判定車速未満となってから所定時間が経過するまでは、或いは車両が停止してから所定時間が経過するまでは、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の車両の制御装置。
  7. 前記車両は、前記回転歯の前記ロック状態と前記非ロック状態とを切り換える為の操作装置の操作状態を示す操作信号に基づいて前記パーキングロック装置を作動させて前記ロック状態と前記非ロック状態との切換えを電気的に制御するものであり、
    前記パーキングロック装置の切換作動を電気的に禁止することにより、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両の制御装置。
  8. 前記車両は、前記回転歯を前記ロック状態とする為のパーキングロック位置と前記非ロック状態とする為の非パーキングロック位置とを有する操作装置を備え、該操作装置における各位置に機械的に連動させて前記パーキングロック装置を作動させるものであり、
    前記パーキングロック位置から前記非パーキングロック位置への前記操作装置における操作そのものを機械的に禁止することにより、前記回転歯の前記非ロック状態への切換えを禁止することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両の制御装置。
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