1.実施形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態のパチンコ遊技機1の正面図である。パチンコ遊技機1は、外枠に前面枠10が開閉可能に取り付けられ、前面枠10の内側には遊技盤2が取り付けられている。前面枠10のパネル部10aには遊技に使用する遊技球を貯留しておく遊技球供給皿11が設けられている。遊技球供給皿11は、図示しない賞球払出装置から払い出された賞球を含む遊技球を一時貯留すると共に、遊技球を整列状態として後述する球送り機構部67(図2参照)に送る流路となる。また、前面枠10の右下部には遊技球を発射させる発射ハンドル装置30が設けられている。その他、前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。
遊技盤2には、発射ハンドル装置30の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、第1始動口51aや第2始動口51bへの遊技球の入賞に基づく装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、特別図柄抽選の結果を報知する演出である。装飾図柄変動演出は、特別図柄抽選の結果が大当たりである場合にはリーチ演出へと発展するため、外れの場合に比べて長時間に及ぶ演出となる。また、表示部4aの一部には、第1始動口51a又は第2始動口51bへ入賞した遊技球の入賞保留数が表示される。
遊技領域の中央部分であって画像表示器4の前方には、センター役物装置6が配設されている。センター役物装置6の下方には、始動入賞装置5が配設され、始動入賞装置5の右方には、大入賞装置7が配設されている。
始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、電動チューリップ(以下、「電チュー」という。)52により開閉される第2始動口51bとを備えている。電チュー52は、電チューソレノイド53(図15参照)により駆動される。
大入賞装置7は、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図15参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
その他、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9および遊技球の通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。
また、遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を表示する。普通図柄抽選の結果が当たりであれば、電チュー52を開く補助遊技が行われる。普通図柄保留ランプ15は、遊技球がゲート8を通過したことにより取得された普通図柄抽選用の乱数であって、いまだ普通図柄抽選に用いられていない乱数の個数を表示するものである。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる特別図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する特別図柄変動を行うものである。
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図15参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図15参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図15参照)に記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も、大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される大当たり乱数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する大当たり乱数は取得されない。
次に、遊技球の発射の仕組みについて説明する。遊技球の発射は、遊技球の発射操作を行う発射ハンドル装置30と、発射ハンドル装置30の操作に応じて遊技球を発射させる遊技球発射装置65により行われる。遊技球発射装置65は、図2に示すように、前面枠10のパネル部10aの後方側に配設されており、遊技球供給皿11から発射レール66の発射部66aへ遊技球を送る球送り機構部67と、発射部66aに送られた遊技球を叩いて遊技領域3へ打ち出す打球機構部76とを備えている。
球送り機構部67は、図3に示すように、遊技球供給皿11から発射レール66へと遊技球を送り出す球送りクランク68と、球送りクランク68を駆動する球送りソレノイド69と、球送りクランク68を元の位置に復帰させる復帰ばね70とを備えている。
球送りクランク68は、凹形状の球受け部68aを有している。球送りソレノイド69が通電されると、復帰ばねの付勢力に抗して球送りクランク68が図3(a)図示矢印の方向に回動されて、遊技球供給皿11内に整列された遊技球が一つ、球受け部68aに係合される。球送りソレノイド69が非通電状態となると、復帰ばねの復元力により球送りクランク68が図3(b)図示矢印の方向に回動されて、球受け部68aに係合していた遊技球が発射レール66の発射部66aへ誘導される。
打球機構部76は、図4に示すように、例えばロータリーソレノイド型の発射ソレノイド77と、発射ソレノイド77の回転軸77aに固定された打撃槌78とを備えている。発射ソレノイド77の回転軸77aは、所定角度の範囲内で往復回転可能である。発射ソレノイド77が通電されると、打撃槌78が回転され、発射部66aにある遊技球が打撃槌78の先端部78aによって叩かれて発射レール66を通って遊技領域3へ発射される(図4図示2点鎖線参照)。発射ソレノイド77が非通電状態となると、打撃槌78は、自重および図示しないマグネットの力により元の位置に復帰する。
発射ハンドル装置30は、パチンコ遊技を行うにあたって遊技者の操作によって遊技球の発射,停止,発射強度(飛距離)の調整を行なう装置であり、図5(a)(b)および図6に示すように、前面枠10に固定されるハンドルベース31と、ハンドルベース31に対して前方から取り付けられるハンドルカバー35と、ハンドルベース31とハンドルカバー35との間に回動自在に挟持される回動ハンドル36とを備えている。
ハンドルベース31は、前面枠10に固定される略円筒形状の固定部32と、固定部32から前方側に延設された略半球形状の膨出部34とを備えている。ハンドルベース31の内部には、後述するように種々の部品(第1ギア部材45、第2ギア部材46、発射ボリューム47、第2復帰ばね44、発射停止SW(スイッチ)49、発射停止ボタン56等)が配されている。
回動ハンドル36は、環状部37、ボス部38、及び、環状部37とボス部38とをつなぐスポーク部39を備えた略円盤形状の部材である。環状部37の外周には、遊技者が指を掛ける指掛け部37aが形成されている。ボス部38の前方側には、第1復帰ばね43が装着され、回動ハンドル36に対して常時原位置(回動基準位置)への付勢力を与えている。ボス部38の後方側には、図6及び図7に示すように、第1ギア部材45が嵌合される。回動ハンドル36を回動させると、第1ギア部材45は、回動ハンドル36とともに回転する。
また、回動ハンドル36は、表面に金属めっきが施されて、導電性を有している。回動ハンドル36は、ハンドルベース31の固定部32の内部に配設されたタッチセンサ48に対して、図示しないリード線により接続されている。これにより、回動ハンドル36は、タッチセンサ48のタッチプレートとして機能する。タッチセンサ48は、遊技者の手が回動ハンドル36の表面に接触すると、静電容量の変化に基づいてこの接触を検知し、タッチ信号を発射制御基板28(図15参照)に出力する。
ハンドルベース31の内部には、中心に第1ギア部材45が配設されている。第1ギア部材45の側面には、ギア部45aが形成されており、このギア部45aには、第1ギア部材45に隣接して配設された第2ギア部材46のギア部46aが噛み合っている。第2ギア部材46は、遊技球の発射強度を決定する発射ボリューム(可変抵抗器)47の回転軸47aに装着されており、第2ギア部材46が回転すると、発射ボリューム47の回転軸47aも回転する。したがって、図8(a)(b)に示すように、回動ハンドル36を原位置から時計方向に回転させれば、第1ギア部材45および第2ギア部材46とともに、発射ボリューム47の回転軸47aも回転されて、遊技球の発射強度が変化する。なお、発射ボリューム47は、回動ハンドル36を時計方向に回転させることにより徐々に遊技球の発射強度が上がるように接続されている。また、発射ボリューム47の回転量に基づいて生成される発射強度信号は、発射制御基板28(図15参照)に入力される。
また、図6に示すように、第2ギア部材46には、第2ギア部材46を原位置へ常時付勢する第2復帰ばね44が装着されている。したがって、回動ハンドル36を原位置から時計方向に回転させると、回動ハンドル36に装着された第1復帰ばね43と第2ギア部材46に装着された第2復帰ばね44とが共に圧縮される。そのため、図9(a)(b)に示すように、回動させた回動ハンドル36から遊技者が手を離せば、回動ハンドル36は、これら第1復帰ばね43及び第2復帰ばね44の復元力により、原位置に復帰される。
また、図6に示すように、ハンドルベース31の内部には、遊技球の発射を停止させる発射停止SW(スイッチ)49が配設されている。発射停止SW49は、スイッチ操作バー50を備えており、スイッチ操作バー50が揺動することで、遊技球の発射が許可される発射停止SW49のオフ状態と遊技球の発射が停止される発射停止SW49のオン状態とが切り替えられる。スイッチ操作バー50は、発射停止SW49の内部に配設された図示しない付勢手段により、常時発射停止SW49がオフ状態となる側に付勢されている。
また、スイッチ操作バー50は、発射ハンドル装置30の正面視左側に配置された発射停止ボタン56と当接している。発射停止ボタン56は、ハンドルベース31に設けられた取付軸(図示せず)に対して元部57a(図7参照)を軸支され、元部57aを中心に揺動可能とされている。発射停止ボタン56は、図7に示すように、当接部57bを有し、この当接部57bをスイッチ操作バー50の先端部50aと当接させている。発射停止ボタン56が押されると、スイッチ操作バー50はハンドルベース31の中心側へ押し込まれる。これにより、発射停止SW49はオン状態となり、遊技球の発射が停止される。なお、回動ハンドル36が原位置にあるときは、回動ハンドル36のスポーク部39の裏面側に設けられた発射停止ボタン押し込み係合部39a(図7参照)が、発射停止ボタン56の被係合部57c(図6参照)と係合して、発射停止ボタン56が押し込まれる(図11(a)参照)。これにより、発射停止SW49はオン状態となる。一方、回動ハンドル36が原位置から回動されると、発射停止ボタン56と発射停止ボタン押し込み係合部39aとの係合が解除されて、発射停止ボタン56は、常時発射停止SW49がオフ状態となる側に付勢されているスイッチ操作バー50と共に、ハンドルベース31の中心とは反対側へ付勢される(図12(a)参照)。これにより、発射停止SW49はオフ状態となり、発射停止ボタン56は、遊技者によって操作可能な状態に突出する。
また、発射停止ボタン56は、図10に示すように、ハンドルベース31に軸支される側の軸支部材57(第1部材に相当する)と、遊技者の指で押圧操作される側の操作部材60(第2部材に相当する)とから構成されている。軸支部材57は、ハンドルベース31に軸支される元部57aとは反対側となる先端部57dの側部57eに、2つの係合凹部58を備えている。係合凹部58には、それぞれ、コイルばね63が配されると共に、操作部材60に設けられた係合凸部61が係合される。係合凸部61は、係合凹部58内でコイルばね63により常時後方側へ付勢される。係合凸部61は、係合凹部58内をコイルばね63の付勢力に抗して前方へ摺動可能とされ、係合凸部61を前方へ摺動させれば、コイルばね63は押圧されて圧縮される。すなわち、このように係合凹部58と係合凸部61とが係合していることにより、操作部材60は、軸支部材57に対して前方へ摺動可能に係合しており、摺動させた状態の操作部材60から手を離せば、圧縮されたコイルばね63の復元力により操作部材60はもとの位置へ復帰されることになる。なお、係合凸部61は、操作部材60における軸支部材57側の側部60cに突設されている。
操作部材60は、遊技者が操作する操作部60aと、この操作部60aと軸支部材57の間に位置する連結部60bとを備えている。連結部60bの前面には、歯面62(係止部に相当する)が形成されている。歯面62は、操作部材60を前方へ摺動させた際、回動ハンドル36に形成された歯面40(被係止部に相当する。図6,7参照。)と噛み合う。回動ハンドル36の歯面40は、図7に示すように、環状部37から後方へ延設された円筒部37bの後面に形成されている。回動ハンドル36の歯面40は、回動ハンドル36の回動可能な範囲に合わせて、円筒部37bの全周の略1/3程度の領域に形成されている。円筒部37bは、回動ハンドル36を回動させた際、ハンドルベース31の膨出部34の内周面に沿って摺動する部分である。円筒部37bには、歯面40に隣接して、前方側へ肉盗みされた側面視略コ字形状の切欠部41が形成されている。
また、図10に示すように、軸支部材57には、先端部57dの後面側に、係合部59が形成されている。係合部59は、発射停止ボタン56が押圧操作された際、ハンドルベース31に設けられた被係合部33a(図6参照)と係合する部分である。被係合部33aは、図6に示すように、ハンドルベース31に設けられた、発射停止ボタン56の押し込み位置を規制する位置規制部材33に形成されている。被係合部33aは、側面視略コ字状に形成され、発射停止ボタン56が押し込まれているとき係合部59と係合して、軸支部材57が前後方向に移動するのを規制する。
次に、以上のように構成された発射ハンドル装置30の動作について説明する。発射ハンドル装置30は、回動ハンドル36が原位置にあるときは、図11に示す状態にある。この状態では、図11(a)に示すように、回動ハンドル36に設けられた発射停止ボタン押し込み係合部39aと、発射停止ボタン56の被係合部57cとが係合し、発射停止ボタン56が押し込まれた状態にある。したがって、発射停止SW49がオン状態にあるため、遊技者が回動ハンドル36に触れてタッチセンサ48がオンされても、遊技球は発射されない。
また、図11(b)に示すように、発射停止ボタン56の操作部材60に設けられた歯面62の前方には、回動ハンドル36の円筒部37bに設けられた切欠部41が位置している。したがって、操作部材60を前方へ移動させたとしても、操作部材60の歯面62が回動ハンドル36に当接することはない。
図11に示す状態から回動ハンドル36が回動操作されると、発射ハンドル装置30は、図12に示す状態になる。この状態では、図12(a)に示すように、発射停止ボタン押し込み係合部39aと、発射停止ボタン56の被係合部57cとの係合が解除され、発射停止ボタン56が操作可能な状態に突出する。これにより、発射停止SW49はオフ状態となり、遊技球が発射される。
また、図12(b)に示すように、発射停止ボタン56の歯面62の前方に、回動ハンドル36の円筒部37bに設けられた歯面40が位置するようになる。ただし、この状態では、図12(a)に示すように、発射停止ボタン56の歯面62と、回動ハンドル36の歯面40とは、左右方向にずれているため、操作部材60を前方へ移動させたとしても、操作部材60の歯面62が回動ハンドル36の歯面40と噛み合うことはない。
図12に示す状態から発射停止ボタン56を押圧操作すれば、発射ハンドル装置30は、図13に示す状態(第1の状態に相当する)になる。この状態では、図13(a)に示すように、押圧操作された発射停止ボタン56により、発射停止SW49のスイッチ操作バー50が押し込まれ、発射停止SW49がオン状態となる。したがって、遊技球の発射が停止される。また、発射停止ボタン56の歯面62のちょうど前方に対向して、回動ハンドル36の円筒部37bに設けられた歯面40が位置するようになり、操作部材60を前方へ移動させれば、発射停止ボタン56の歯面62が回動ハンドル36の歯面40と噛み合うようになる。
また、図13(b)に示すように、発射停止ボタン56の軸支部材57に設けられた係合部59が、ハンドルベース31に設けられた位置規制部材33の被係合部33aと係合する。したがって、操作部材60を前方へ移動させても、軸支部材57が操作部材60とともに前方へ移動してしまうことはない。
図13に示す状態から操作部材60を前方へ移動させれば、発射ハンドル装置30は、図14に示す状態(第2の状態に相当する)になる。図14(a)に示すように、この状態では、図13に示した状態と同様、発射停止ボタン56の軸支部材57により、発射停止SW49のスイッチ操作バー50が押し込まれ、発射停止SW49がオン状態となっている。したがって、遊技球の発射は停止されたままである。
また、図14(b)に示すように、発射停止ボタン56の歯面62と、回動ハンドル36の歯面40とが噛み合った状態となる。これにより、常時原位置へ付勢されている回動ハンドル36が回動不能に固定される。なお、遊技者が前方へ移動させた操作部材60から指を離せば、操作部材60は、軸支部材57の係合凹部58内で圧縮されたコイルばね63の復元力により図13に示す状態に復帰された後、図12に示す状態へもどることになる。
このように、実施形態の発射ハンドル装置30では、発射停止ボタン56を押圧操作して遊技球の発射を停止しなければ(図13に示す状態を経なければ)、回動ハンドル36を固定できず(操作部材60を前方へ移動させても発射停止ボタン56の歯面62が回動ハンドル36の歯面40と噛み合わず)、また、回動ハンドル36を固定させたままでは、発射停止SW49をオフ状態にして遊技球を発射することができないように構成されている。
次に、実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統について説明する。図15に示すように、実施形態のパチンコ遊技機は、メイン制御基板(遊技制御基板)20、払出制御基板21、サブ制御基板25、発射制御基板28を備えている。サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続され、発射制御基板28は払出制御基板21に接続されている。発射制御基板28を除く各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM内に第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、電チューソレノイド53、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図15の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ17及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
発射制御基板28は、遊技球の発射に関する制御を行うものであり、払出制御基板21との間でコマンドや信号の送受信を行う。発射制御基板28には、遊技者が回動ハンドル36に触れているか否かを検出するタッチセンサ48、発射する遊技球の飛距離を調整する発射ボリューム47、遊技球の発射を停止させる発射停止SW49、発射ソレノイド77、球送りソレノイド69がそれぞれ接続され、図15の矢印で示すように、タッチセンサ48、発射ボリューム47、及び発射停止SW49からは発射制御基板28に信号が入力され、各ソレノイド77,69には発射制御基板28から信号が出力される。発射ソレノイド77及び球送りソレノイド69は、タッチセンサ48、発射ボリューム47、及び発射停止SW49からの信号に基づいて、駆動及び停止制御される。
次に、図16に基づいて遊技球の発射制御処理について説明する。発射制御処理は、払出制御基板21及び発射制御基板28により実行される。発射制御処理では、まずタッチセンサ48がONされているか否かを判定し(S1)、その後発射停止SW49がONであるか否かを判定する(S2)。遊技者が、回動ハンドル36を回動操作しており、発射停止ボタン56を押下していなければ、タッチセンサ48がONであり(S1でYES)、発射停止SW49がOFFとなっているので(S2でNO)、遊技球の発射準備処理を行う(S3)。遊技球の発射準備処理では、球送りソレノイド69を作動させて遊技球を発射レール66の発射部66aへ送るとともに、発射ボリューム47の回動量に基づいて生成された発射強度信号に応じた強度で遊技球を打ち出すよう、発射ソレノイド77の励磁力を調整する。その後、発射ソレノイド77を作動させて、発射部66aにある遊技球を打撃槌78により叩いて遊技領域3へ向けて打ち出し(S4)、発射制御処理を終える。なお、遊技者が回動ハンドル36を回動操作している間は、遊技球が1分間に約100球程度の割合で連続的に発射されるよう、球送り機構部67の球送りソレノイド69及び打球機構部76の発射ソレノイド77への通電・非通電が所定間隔で繰返し行われる。また、遊技者が、回動ハンドル36を把持していない場合や、発射停止ボタン56を押している場合には、タッチセンサ48がOFFとなるか(S1でNO)、発射停止SW49がONとなるため(S2でYES)、遊技球は発射されない。
次に、以上のように構成されたパチンコ遊技機1における遊技の一例について説明する。まず、本パチンコ遊技機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル装置30の回動ハンドル36を握り、適宜の角度に回動操作すると、パチンコ遊技機1は、タッチセンサ48および発射ボリューム47からの信号に基づき遊技球を発射させる。
遊技開始時には、遊技者は、発射した遊技球が遊技領域3の左側部分を転動落下するよう回動ハンドル36を操作する。遊技領域3の左側部分を転動落下した遊技球は、図17(a)に示すように、遊技領域3の下側部分へ移動し、第1始動口51aに入賞可能となる。
このとき、発射ハンドル装置30は、図12に示す状態にあり、発射停止ボタン56が押圧操作可能となっている。
遊技球が第1始動口51aに入賞すると、メイン制御基板20は、第1始動口51aへ入賞した遊技球の保留個数が4個未満であることを条件として大当たり乱数を含む各種乱数を取得し、大当たり判定処理を行う。大当たり判定処理では、第1特別図柄表示器14aにおいて特別図柄の変動表示がなされる。これに伴い、サブ制御基板25により、表示部4aにおいて装飾図柄変動演出が行われる。取得した大当たり乱数が所定の大当たり乱数値に該当すると判定された場合等には、実行される装飾図柄変動演出として、演出時間の長いリーチ演出が採用される。
このとき、図18(a)に示すように、第1始動口51aへ入賞した遊技球の入賞保留数が4個であれば、これ以上第1始動口51aへ遊技球を入賞させても大当たり乱数が取得されないため、遊技者は、発射停止ボタン56を押圧操作して、発射停止SW49をオンさせ、遊技球の発射を停止させる(図13参照)。さらに、このままでは遊技球の発射を停止している間中、回動ハンドル36の回動位置が変わって遊技球の発射強度が変わってしまわないように、第1復帰ばね43及び第2復帰ばね44の復元力に抗して回動ハンドル36を把持しておく必要がある。そこで、操作部材60を前方側へずらして、操作部材60に形成された歯面62と、回動ハンドル36に形成された歯面40とを噛み合わせて、回動ハンドル36を回動不能に固定させる(図14参照)。
これにより、遊技者は、回動ハンドル36を復帰ばね43,44の復元力に抗して把持しておく必要がなくなるため、リーチ演出に集中して遊技を楽しむことができるとともに、回動ハンドル36を把持することによる疲労を低下させることができる。
そして、リーチ演出の結果、図18(b)に示すように、表示部4aにおいて装飾図柄が停止表示されて、大当たりに当選した旨の表示がなされ、第1特別図柄表示器14aにおいて特別図柄が大当たり図柄で変動停止されると、大当たり遊技が実行される。
大当たり遊技が実行されると、大入賞口71が所定ラウンド数だけ間欠的に開放される。本パチンコ遊技機1では、大入賞口71が遊技領域3の右下部分に配置されているため、大当たり遊技中は、遊技者は、図17(b)に示すように、発射した遊技球が右打ち用球通路3aを経て遊技領域3の右下部分へ転動落下するよう回動ハンドル36を操作する(いわゆる「右打ち」を行う)必要がある。
したがって、遊技者は、大当たり遊技が開始されるときには、まず、操作部材60を図14に示す状態から図13に示す状態に戻して、回動ハンドル36の固定を解除し、遊技球の発射を停止させたままで回動ハンドル36を回動可能な状態にする。そして、この図13に示す状態で、回動ハンドル36を時計方向いっぱいまで回動させて、遊技球の発射強度を変更した後、発射停止ボタン56から指を離して、遊技球の発射を再開させる。
このような操作により、発射強度の調整中には遊技球が発射されず、発射強度を打ち出したい強度に合わせた後で遊技球が発射されることになるため、遊技球が無駄として遊技領域3に発射されることがない。
なお、遊技領域3の右下部分へ転動落下した遊技球は、図17(b)に示すように、開放された大入賞口71に入賞する。遊技球が大入賞口71に入賞すると、多数の賞球が払い出される。
以上説明したように、実施形態のパチンコ遊技機1では、発射停止ボタン56を操作して、発射停止SW49を作動させ(オンにし)、遊技球の発射を停止させた状態から、さらに、発射停止ボタン56を操作する(操作部材60を移動させる)ことにより、発射停止SW49をオン状態としたままで、発射停止ボタン56の歯面62と、回動ハンドル36の歯面40とを係合させて、回動ハンドル36を回動不能に保持(固定)することができる。
したがって、遊技者は、遊技球の入賞保留数が最大となっている状態で図柄変動表示演出が実行されている場合(図18(a)参照)などにおいては、回動ハンドル36を固定させることにより、遊技球の発射強度が変わらないように回動ハンドル36を把持しておく負担から解放され、図柄変動表示演出を楽しむことができる。また、発射停止ボタン56の操作をやめて回動ハンドル36の固定と発射停止SW49の作動とを解除すれば、発射停止ボタン56を操作する前と同じ発射強度で、遊技球の打ち出しを再開することができる。
さらに、回動ハンドル36を固定させている状態で見ていた図柄変動表示演出により、大当たりに当選したことが報知されて、右打ちをするために遊技球の発射強度を変更したい場合には、操作部材60のみを元の位置へ戻して、回動ハンドル36の固定のみを解除することにより、遊技球の発射を停止させたまま、回動ハンドル36を回動させて、遊技球の発射強度を変更することができる。
したがって、このように発射強度を変更した後で、発射停止ボタン56の操作をやめて発射停止SW49をオフ状態にすることにより、遊技球を遊技領域3へ無駄に打ち込むことなく、右打ちを開始することができる。すなわち、遊技球の発射強度を調整している間に遊技球が無駄に打ち込まれるのを防止することができる。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、回動ハンドル36には、回動ハンドル36が原位置にあるときに発射停止ボタン56の歯面62と対向する部位に、切欠部41が形成されている。したがって、回動ハンドル36が原位置にある状態で、発射停止ボタン56の操作部材60を移動させても、歯面40が回動ハンドル36に当たることがない。そのため、回動ハンドル36が回動されていない状態で、回動ハンドル36が固定されてしまうことを防止することができる。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、一つの発射停止ボタン56により、遊技球の発射停止操作および回動ハンドル36の固定操作ができるので、複数の操作部材を用いて構成した場合に比べて、発射ハンドル装置30の操作性が良く、また部品点数も少なくて済むため発射ハンドル装置30を低コストで製造できる。
2.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
実施形態のパチンコ遊技機1では、発射停止ボタン56の歯面62と、回動ハンドル36の歯面40とが噛み合うことにより、回動ハンドル36が固定されるよう構成したが、回動ハンドル36の固定方法は、両歯面62,40の噛み合い構造のほか、摩擦係数の高いゴム面同士を係合させるなど、他の方法を用いて構成してもよい。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、発射停止ボタン56は、軸支部材57と操作部材60との係合部分(係合凹部58)に、コイルばね63を配置して、前方へ移動させた操作部材60が元の位置へ復帰されるよう構成したが、コイルばねを用いなくても、板ばねや皿ばね等、他の復元性を有する弾性体を用いて構成してもよい。
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、発射ハンドル装置30は、操作部材60を軸支部材57とともに回動ハンドル36の中心方向へ押すことにより、発射停止SW49が作動され、さらに、操作部材60だけを前方へ移動させることにより、回動ハンドル36が固定されるように構成したが、発射停止ボタン56の操作として、発射停止SW49のみを作動させるための操作(操作状態)と、発射停止SW49を作動させ、かつ、回動ハンドル36を固定させるための操作(操作状態)とを備えていれば、発射停止ボタン56の操作方法は、これに限定されるものではない。例えば、操作部材60を移動させる方向を、上方、下方、または後方などに変更することができる。