以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図22に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10の遊技盤11には、ガイドレール12で囲まれた略円形の遊技領域R1が形成され、中央部には、表示装置13が備えられている。遊技領域R1のうち表示装置13の下方には、始動入賞口14、大入賞口15及び外れ球受け入れ口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。また、遊技領域R1のうち表示装置13等を挟んだ左右の両側には、上から順に、ランプ風車17、始動ゲート18、風車19、一般入賞口20,21が設けられ、遊技領域R1全体に亘って、図示しない複数の障害釘が起立している。さらに、ガイドレール12に沿った両側端部には、サイドランプ22,22が設けられている。
遊技盤11の前面側は前面枠10Zにて覆われ、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して上記遊技領域R1が前方に臨んでいる。ガラス窓10Wの上方には、装飾ランプ35が設けられ、前面枠10Zの上側の両角部にはスピーカ56Sが備えられている。また、ガラス窓10Wより下方には、上皿27A及び下皿27Bが上下2段にして設けられている。また、上皿27Aに備えた球抜きボタン29Aを押すと上皿27Aに収容されている遊技球が下皿27Bへと移動する。そして、下皿27Bの右端部に設けた操作部28を操作することで、上皿27Aに収容された遊技球が遊技盤11の遊技領域R1に向けて弾き出される。
次に所要の各部位についてさらに詳説する。
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、通過した遊技球は、その始動ゲート18に内蔵したゲートスイッチ30(図3参照)によって検出される。そして、その検出信号に基づいて、後述する普通図柄表示領域24の図柄が変動表示される。
始動入賞口14は、所謂、ポケット構造をなして上方に向かって開口しており、その開口の両側部には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっており、両可動翼片14C,14Cに挟まれた始動入賞口14の開口幅は、遊技球が約1つ入る大きさになっている。そして、ゲートスイッチ30への遊技球の通過を起因に遊技盤11の裏に設けたソレノイドが駆動されると、可動翼片14C,14Cが横に倒され、遊技球が可動翼片14Cに案内されて始動入賞口14に入り得る状態になる。
始動入賞口14に遊技球が入賞すると、始動入賞口14内に設けた始動口センサ31(図3参照)が遊技球を検出し、その検出信号に基づいて表示装置13が後述するように図柄を変動表示する。なお、表示装置13が図柄を変動表示している間に、始動入賞口14に入賞した入賞球は、4個まで保留記憶される。
大入賞口15は、横長に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、後述する所定条件の成立によって、パチンコ遊技機10が「大当たり状態」になると、遊技盤11の裏に設けたソレノイド15S(図3参照)が駆動され、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能になる。ここで、可動扉15Tが、開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、1つのラウンドは、可動扉15Tの開放時間が29秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したか、の何れかの条件が先に満たされた場合に終了する。
大入賞口15の内部には、図示しない継続入賞口と計数入賞口とが設けられており、これら継続入賞口及び計数入賞口が開放される。より詳細には、可動扉15Tが開いたときには、継続入賞口は開放しており、継続入賞口に入賞後、ソレノイド15M(図3参照)が駆動されて、継続入賞口が閉鎖される一方、計数入賞口は開放されたままとなる。そして、継続入賞口内に設けた特定領域センサ(図示しない)が遊技球の入賞を検出すると継続権利が発生して、前述した終了条件(可動扉15Tの開放時間が29秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したか)を満たしてラウンドが終了した後で、連続して次のラウンドが実行される。また、計数入賞口内に設けたカウントセンサ(図示しない)が遊技球の入賞を検出すると、前記継続入賞口への入賞球と合わせて、大入賞口15への入賞球がカウントされ、これらが前記したように計10個に達したか否かがチェックされる。
表示装置13は、全体として枠形構造をなした表示枠体23の後端面に、図示しない液晶モジュール(詳細には、TFT−LCDモジュール)を組み付けてなる。液晶モジュールのうち表示枠体23によって取り囲まれた前面部分は、液晶表示部34となっており、遊技者は、表示枠体23を通して液晶表示部34に表示された画像を見ることができる。
液晶表示部34には、図1に示すように、通常は、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが、横並びに表示されている。これら各特別図柄13A,13B,13Cは、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A,13B,13Cごと、所定の種類のものが、液晶表示部34に確定表示されている。そして、始動入賞口14に遊技球が入賞したことを起因に当否判定し、各特別図柄13A,13B,13Cが、上下方向にスクロールして変動表示され、所定時間後に、例えば、左、中、右の順で各特別図柄13A,13B,13Cが停止表示される。このとき、例えば、当否判定の結果が当たりで全ての特別図柄13A,13B,13Cが同じ図柄、即ち、ぞろ目になった場合に、遊技が「大当たり状態」になり、可動扉15Tが開かれる。
液晶表示部34のうち、特別図柄13A,13B,13Cの表示領域の左下隅には、普通図柄表示領域24が設けられている。この普通図柄表示領域24は、始動ゲート18内に設けたゲートスイッチ30(図3参照)が遊技球の通過を検出したことを起因に当否判定して、例えば、「0」〜「9」までの数字を所定期間に亘って変動表示した後、所定の数字を確定表示する。そして、確定表示された数字が、例えば、奇数の場合に、始動入賞口14に設けた可動翼片14C,14Cが所定期間(例えば、0.4秒)に亘って横に倒される。なお、普通図柄表示領域24で表示する図柄は、数字に限るものではなく、アルファベットや記号等でもよい。
図2に示すように、パチンコ遊技機10の後面には、各種制御基板が設けられている。具体的には、パチンコ遊技機10の後面中央には、サブ制御基板52が配置され、このサブ制御基板52に重なるようにして、ランプ制御基板55、音声制御基板56及び表示制御基板57が配置されている。さらに、各基板52,55,56,57の下方には、主制御基板50が備えられ、主制御基板50の下方には電源装置58、払出制御基板59が左右に並べて備えられている。そして、払出制御基板59の下方には遊技球発射装置(以下、単に「発射装置」という)70及び発射制御基板60が備えられている。
図3に示すように、主制御基板50は、CPU51AとRAM51B及びROM51Cを合わせてパッケージしてなるワンチップマイコン51を主要部として備えている。ワンチップマイコン51は、入出力回路54,54を介して、前述した入賞球を検出するためのスイッチ及びセンサ31〜33等から信号を受けることによって、サブ制御基板52或いは払出制御基板59に信号を出力し、サブ制御基板52或いは払出制御基板59からランプ制御基板55、音声制御基板56、表示制御基板57、発射制御基板60等に制御信号を出力して各部位を制御する。
ランプ制御基板55は、主制御基板50からサブ制御基板52を介して受け取った制御信号に基づいて発光パターンの選択、発光データの設定を行い、サイドランプ22,22や装飾ランプ35、LED等を発光させる。
音声制御基板56は、主制御基板50からサブ制御基板52を介して受け取った制御信号に基づいてBGMや演出時の音声データを設定し、スピーカ56Sより音声を発生させる。
表示制御基板57は、液晶表示部34に遊技画像を表示するための制御データや画像データ等を記憶する表示用ROM57Cを備える。そして、主制御基板50からサブ制御基板52を介して受け取った制御信号に基づき、表示用CPU57Aが、表示用ROM57Cから所定のデータを取り出し、表示用RAM57Bの作業領域にて遊技画像(特別図柄、演出図柄、背景画像、キャラクター画像、文字画像等)を作成し、液晶表示部34に表示させる。
払出制御基板59は、各入賞口14,15,20,21への遊技球の入賞に基づいたワンチップマイコン51からの信号や、プリペイドカードユニット150からの信号に基づいて、賞球払出装置53A及び球貸し装置53Bを駆動して遊技球を上皿27Aに払い出す。
発射制御基板60は、操作部28に備えられた後述する切替スイッチ110及び操作部28をタッチ操作しているかを検知するための接触検知部95Sから受けた信号に基づき、発射装置61を駆動して、遊技球を遊技領域R1に向けて発射する。具体的には、発射制御基板60は、駆動装置用制御回路60A及び接触検知・切替スイッチ用制御回路60Bを備えている(図4参照)。接触検知・切替スイッチ用制御回路60Bは、切替スイッチ110が、オン状態であるかオフ状態であるか及び接触検知部95Sをタッチ操作しているかを判定する。
そして、駆動装置用制御回路60Aは、接触検知・切替スイッチ用制御回路60Bによる判定結果に基づいて、発射装置61(詳細には、後述する発射モータ68)を駆動する。即ち、接触検知・切替スイッチ用制御回路60Bにより切替スイッチ110がオン状態であると判定され、接触検知部95Sをタッチ操作していると認識した場合には駆動装置用制御回路60Aにより発射装置61(発射モータ68)に電力を供給し、発射装置61を駆動させる。
一方、接触検知・切替スイッチ用制御回路60Bにより切替スイッチ110がオフ状態であると判定された場合、或いは接触検知部95Sをタッチ操作していると認識していない場合には、駆動装置用制御回路60Aにより発射装置61(発射モータ68)への電力の供給を停止して発射装置61を停止させ遊技球の発射を禁止する。
ところで、発射装置61には、図5に示すようにベース板62に球供給装置42、発射レール40、打撃槌67、発射モータ68等の種々の部品が備えられている。ベース板62は全体として縦長の略長方形で、その右下部分は右側に張り出した張出部62Aとなっている(図6参照)。
ベース板62の上寄り位置には発射レール40が固定されている。発射レール40はベース板62の左端上寄り位置から右斜め下方に延びており、幅方向の中央がV字状に窪んで遊技球が1つ通過可能になっている。
発射レール40の右端部の上方には、球停止部材41が取り付けられている。球停止部材41は、図5に示すように断面台形の角筒構造をなしている。球停止部材41のうち発射レール40側を向いた面は、発射レール40の上面との間隔が斜め下方に向かうに従って徐々に狭くなるテーパー面41Bとなっている。そして、テーパー面41Bと発射レール40の上面との間隔が最も狭くなった左下端部には打撃口40Wが形成されている。発射レール40上に遊技球が供給されると、遊技球は自重により発射レール40の右端側に転動してテーパー面41Bに当接し、打撃口40W付近にて停止する。
ベース板62には、発射レール40及び球停止部材41の前方に前後方向で重なるように球供給装置42が取り付けられている。図7(A)に示すように、球供給装置42はケース44の内部に、従動部材46と開閉部材45とを収容したユニット構造をなしている。この球供給装置42によって、上皿27Aから流下した遊技球を発射レール40上に1球ずつ供給することができるようになっている。
ケース44はベース板62に平行なベース対向壁44Aを有し、そのベース対向壁44Aには遊技球が1つ通過可能な球出口44Gが貫通形成されている。ケース44内には球出口44Gの上部から発射レール40と略平行に斜め上方に向けて遊技球誘導路44Hが延びている。遊技球誘導路44Hの上端部には、上皿27Aと連絡した球入口43Aが設けられ、この球入口43Aを通って上皿27Aに貯留された遊技球がケース44内に流入するようになっている。
遊技球誘導路44Hの下方には開閉部材45が配置されている。開閉部材45の上端には遊技球誘導路44Hの下面の一部をなす閉塞壁45Hが形成され、下端はケース44に回動可能に軸支されている。この開閉部材45は常にはコイルバネ45Aによって遊技球誘導路44Hの下方を閉塞壁45Hが塞ぐ方向に付勢されており、上記した球抜きボタン29A(図1参照)が押されると、開閉部材45はコイルバネ45Aの付勢に抗して回動し、遊技球誘導路44H内の遊技球が下皿27Bへと繋がる遊技球排出路44Kに流出するようになっている。
従動部材46は全体に略扇形となっており、扇形の円心部分の端部には回動軸46Jが設けられケース44に回動可能に軸支されている。従動部材46のうち扇形の周側の一部には遊技球が丁度1つ入る球受容部46Cが陥没形成され、その上部には遊技球誘導路44Hの終端開口44Xと対向可能な球当接壁46Fが形成されている。また、従動部材46のうち球受容部46Cの下方には重り46Dが設けられ、その重り46Dにより通常は従動部材46は下方へ回動して球当接壁46Fを終端開口44Xと対向させている。これにより、遊技球誘導路44H内の遊技球は、球当接壁44Fに当接して堰き止められている(図7(A)の状態)。
球受容部46Cは、従動部材46が上方へ回動したときに遊技球誘導路44Hの終端開口44Xと連絡し、遊技球誘導路44H内の遊技球を1つ受容することができるようになっている(図7(B)参照)。球受容部46Cに遊技球が受容されて従動部材46が下方へ回動すると、球受容部46Cは球出口44Gと連絡し、受容した遊技球を球出口44Gを通して発射レール40上に流出させる(図7(C)参照)。つまり、従動部材46が上下に一度回動して戻る度に遊技球が1つ発射レール40上に供給される。
球当接壁46Fの上部からはカム摺接突部46Bがベース板62側に向かって突出している。カム摺接突部46Bは、円柱体を縦割りに略2分割した形状をなし、その円弧面が下方に向けられている。ベース対向壁44A及びベース板62には、カム摺接突部46Bの先端を挿通するためのカム連結孔44L(図7参照)及びカム連結窓62C(図5参照)が貫通形成されており、カム摺接突部46Bの先端はこれらカム連結孔44L及びカム連結窓62Cを通ってベース板62の後方に突出している。
図5に示すように、ベース板62のうち発射レール40の右下端部の下方には、打撃槌67が配置されている。打撃槌67は、略帯板状の本体の先端から槌先端部67Sを突出させた構造をなし、槌先端部67Sには打撃スプリングが固定されている。槌先端部67Sは、発射レール40の打撃口40Wに臨んでおり、打撃槌67の基端寄り位置に一端を固定された回転軸69が、図示しないベアリングによりベース板62に回転可能に軸支されることで、打撃槌67が回動し、槌先端部67Sが打撃口40Wに進退可能となっている。
ベース板62の前面のうち、打撃槌67の側方位置には円柱形状をなした発射モータ68が配設されており、回転軸69と打撃口40Wとの中間位置には、ストッパ66が備えられている。このストッパ66により、打撃槌67が回動(打出)方向(図5における反時計回り方向)に対して回り過ぎないようになっている。
図6に示すように、ベース板62の後面には、発射モータ68の回転軸と一体回転するピニオンギヤ76Aが設けられている。ピニオンギヤ76Aの斜め上方にはアイドルギヤ76Bが回転可能に軸支され、ピニオンギヤ76Aと嵌合している。アイドルギヤ76Bとカム連結窓62Cとの間には、球供給カムギヤ76Dが回転可能に軸支され、アイドルギヤ76Bに嵌合している。ピニオンギヤ76A、アイドルギヤ76B、球供給カムギヤ76Dは、発射モータ68を駆動させると、それぞれが連動して一方向に回転する。
球供給カムギヤ76Dは、ベース板62側にアイドルギヤ76Bと嵌合する歯車76D1を備えると共に、その歯車76D1の後方側(ベース板62から離れた側)に一体形成させた球供給用カム78を備えている。球供給用カム78は、歯車76D1の中心から回転方向に対して垂直に延びる平坦面と回転方向に対して半円状に膨出した円弧面とを有している。そして、この球供給用カム78に、上述したカム摺接突部46Bの先端が斜め上方から当接するようになっている。
そして、この球供給用カム78の回動に伴い球供給用カム78がカム摺接突部46Bに当接したときには従動部材46は上方に回動し、球供給用カム78がカム摺接突部46Bから離間したときには従動部材46は下方に回動する。これにより、発射モータ68を駆動すると、従動部材46が上下に往復回動し、遊技球が1球ずつ発射レール40上に供給される。
また、上記した打撃槌67の回転軸69は、ベース板62の後面側に突出しており、その後端には弾発エレメント71Eが備えられている。弾発エレメント71Eは、ベース板62の後面に敷設された回動リング73と、回転軸69の先端の回動キャップ72との間に、ねじりバネ71を挟んでなる。ねじりバネ71は、回動キャップ72又は回動リング73から延びた図示しない筒部の周りに巻回されている。そして、ねじりバネ71の一方の端部が回動キャップ72に係止されかつ、他方の端部が回動リング73に係止されている。また、回動リング73は回転軸69に対して回転可能である一方、回動キャップ72は回転軸69に一体回転可能に固定されている。
回動キャップ72には、アイドルギヤ76B側に張り出したトルクアーム72Aが備えられ、そのトルクアーム72Aの先端からベース板62に向かって摺接ボス72Bが突出している。そして、ベース板62のうち弾発エレメント71Eとアイドルギヤ76Bとの間には打撃カムギヤ76Cが設けられ、摺接ボス72Bと摺接可能になっている。具体的には、打撃カムギヤ76Cは、ベース板62側にアイドルギヤ76Bに嵌合する歯車76C1を備えると共に、その後方側(ベース板62から離れる側)に一体に形成された打撃用カム77を備えている。そして、発射モータ68を駆動させることで、ピニオンギヤ76A、アイドルギヤ76B、打撃カムギヤ76Cが連動して一方に回転するようになっている。
打撃用カム77は、歯車76C1の中心から回転方向に対して垂直に延びる平坦面と回転方向に対して半円状に膨出した円弧面とを有している。打撃カムギヤ76Cが回転することで、打撃用カム77の円弧面とトルクアーム72Aの摺接ボス72Bとが摺接し、ねじりバネ71に抗して回動キャップ72が一方向に回転される。そして、打撃用カム77の円弧面が摺接ボス72Bを通過したときに、ねじりバネ71の弾発力によって回動キャップ72が逆方向に一気に回転する。これにより、回動キャップ72と共に打撃槌67が往復回動し、発射レール40にセットされた遊技球と打撃槌67とが打撃口40Wにて衝突して、遊技球が遊技領域R1へ向かって弾き出される。
なお、打撃用カムギヤ76Cが一回転する間隔と球供給カムギヤ76Dが一回転する間隔とは等しくなっているので、打撃槌67が1回往復回動して遊技球を弾き出す間に、球供給装置42は発射レール40上に1個の遊技球を供給する。これにより、発射装置61は連続して遊技球を発射し続けることが可能となっている。
打撃槌67によって弾き出される遊技球の発射強度は、ねじりバネ71の弾発力によって決まり、ねじりバネ71の弾発力は、回動リング73を回動キャップ72に対して回動させることによって変更することができる。この回動リング73を回動させるために、ベース板62の張出部62Aには、操作部28と一体回転可能な巻取盤75が備えられている。
巻取盤75は、断面略半円形状をなし、ベース板62の張出部62Aに回動可能に取り付けられており、回動リング73とワイヤ72Wによって連結されている。そして、巻取盤75の略半円形の円心部分には、操作部28側へ突出したシャフト収容部75Aが一体形成され、その先端が張出部62Aを貫通して前方に突出している。
図5に示すように、張出部62Aの前面には、シャフト収容部75Aの先端を内部に収容した筒形支柱62Tが取り付けられている。筒形支柱62Tの軸心部には軸孔62Uが貫通形成されている。そして、筒形支柱62Tの前端には、図8に示す固定ベース部28Kが固定され、固定ベース部28Kの前面には操作部28が取り付けられている。操作部28の後端からは回動シャフト86が後方に突き出されており、固定ベース部28Kを貫通して軸孔62Uに挿通され、シャフト収容部75Aに一体回転可能に固定されている。これにより、操作部28は固定ベース部28Kに対して回動可能であると共に、巻取盤75と一体に回動することが可能となっている。巻取盤75は回動リング73と連動しているので、操作部28を回動操作することにより回動リング73を回動させることができる。
操作部28の回動角が大きくなるに従って、前記弾発エレメント71Eに備えたねじりバネ71の捻り量(弾発力)が大きくなり、遊技球の発射強度が大きくなる。つまり、操作部28を回動操作することで、遊技球を任意の勢いで遊技領域R1に向けて発射させることができる。また、回動リング73を回転させると、ねじりバネ71の弾発力をうける。このため、操作部28は、ねじりバネ71の弾発力により前方から見て反時計回りに付勢されている。
なお、巻取盤75の円弧状の側面には溝(図示しない)が形成されており、その溝内にワイヤ72Wが巻き付けられるので、操作部28が前後方向に直動して巻取盤75が移動してもワイヤ72Wが巻取盤75から外れることはない。
図8に示すように、操作部28の前端部には略半球状の装飾部材85が備えられている。装飾部材85は、複数(例えば、3つ)の把持突起85a〜85cを側方に突出させており、各把持突起85a〜85cは、全体として山形状をなしている。各把持突起85a〜85cは、操作部28の前方から見て反時計回り方向(操作部28の付勢方向)を向いた部分が、時計回り方向を向いた部分よりも急激な傾斜面となっている。各把持突起85a〜85cにより、遊技者が操作部28を時計回りに回転させる際に、操作部28に指をかけ易くなっている。
図9及び図10に示すように、装飾部材85の後側には円筒形状の回動筒部81が固定されている。この回動筒部81の内部の後端寄り位置は、内部壁82によって閉塞されている。内部壁82の中心にはシャフト固定部82Aが設けられている。シャフト固定部82Aは円筒形状をなし、内部壁82から後方に向かって突出している(図10参照)。このシャフト固定部82Aには断面D字状の軸孔81Dが貫通形成され、その軸孔81Dの内部に回動シャフト86が挿入されている。回動シャフト86の端部もまた断面D字状に形成され、回動筒部81と回動シャフト86とが一体回転可能に固定されている。
内部壁82のうち回動筒部81の外周壁81Aとの境界部分には、円筒状の固定筒部82Eが複数(例えば3つ)形成されている。各固定筒部82Eは外周壁81Aの内側面に沿って装飾部材85側に起立している。各固定筒部82Eの内部には、装飾部材85の内部に形成された円柱状の固定部85Kが挿入されて螺子により装飾部材85に固定されている。
また、内部壁82にはシャフト固定部82Aを同心円状に囲むように円弧状の2つの円弧開口部82B,82Bが貫通形成されている。この円弧開口部82B,82Bは一方が他方よりも長くなっている。
内部壁82の装飾部材85側の面からは装飾部材85側に向けて内側筒壁81Bが起立している。この内側筒壁81Bは回動筒部81の外周壁81Aよりも若干装飾部材85側に突き出ている。そして、内側筒壁81Bの端部のうち約3分の1を占める周縁部には、内側に向けて張り出した回動固定部81Kが形成されている。回動固定部81Kには全体に亘って複数の凹凸がギヤ状に並べて形成されている(図12(A)参照)。
また、図11に示すように、内部壁82のうち固定ベース部28K側の面には、本発明の直動切替円弧突壁82S及び回動切替突出壁82Lが設けられている。直動切替円弧突壁82Sは、円弧開口部82B,82Bと外周壁81Aとの間に形成され、固定ベース28K側に向かって起立している。この直動切替円弧突壁82Sは、本実施形態では、シャフト固定部82Aを中心とした円周の約3分の1を占める円弧状の壁となっている。また、直動切替円弧突壁82Sの先端は、回動シャフト86側が傾斜して摺接傾斜面82U(図11参照)が形成されている。
回動切替突出壁82Lは、円弧開口部82B,82Bと外周壁81Aとの間に角柱状に形成され固定ベース28K側に向かって起立している。この回動切替突出壁82Lの内部壁82からの突出量は直動切替円弧突壁82Sの突出量よりも大きくなっており、回動切替突出壁82Lと直動切替円弧突壁82Sとはシャフト固定部82Aを中心とした同心円上に配置されている。なお、直動切替円弧突壁82Sが本発明の「スイッチ直動切替部」に相当し、回動切替突出壁82Lが本発明の「スイッチ回動切替部」に相当する。
内側筒壁81Bの内部には操作部固定円盤83が収容されている。操作部固定円盤83は、内側筒壁81Bの内壁の径よりも若干小さい径の円盤壁83Bから3つの挿入筒部83Aを固定ベース部側に向かって突設させた構造となっている。この挿入筒部83Aのうちの2つは並べて配置されており、他の1つは円盤壁83Bの中心を挟んで対峙する位置に配置されている。そして、挿入筒部83Aは、図11に示すように、円弧開口部82B,82B内に挿通される(2つ並んだ挿入筒部83A,83Aは長い方の円弧開口部82Bに挿入される)。ここで、挿入筒部83Aは、円弧開口部82Bの内部で移動可能となっている。つまり、回動筒部81と操作部固定円盤83とは相対回転可能であると共に、軸方向への直動も可能になっている。
また、図12(A)に示すように、操作部固定円盤83の後端には、半径方向に向けて張り出した被係合部83Kが設けられている。被係合部83Kは数個(例えば3つ)の凹凸をギヤ状に並べて形成されている。この被係合部83Kと回動筒部81の回動固定部81Kとは嵌合可能で、嵌合されると回動筒部81と操作部固定円盤83との回動方向への移動が規制される(図12(B)の状態)。
次に固定ベース部28Kについて説明する。図9に示すように、固定ベース部28Kは、略円筒形状の固定ベース本体91とその操作部28側端部に固定される枠体95とからなる。固定ベース本体91の中心部には軸孔89(図10参照)が貫通形成され、その軸孔89に前記操作部28に固定された回動シャフト86が挿通されている。これにより、操作部28が回動シャフト86を中心として固定ベース部28Kに対して回動可能となっている。なお、回動シャフト86のうち軸孔89に挿通される部分には軸スリーブ86Aが取り付けられ、操作部28の回動をスムーズにしている。
固定ベース本体91の操作部28寄り部分は、丸みを帯びて緩やかに拡径しており、その拡径部分の内部には操作部28側が開放したベース内空間91Aが形成されている。この固定ベース本体91の開放端の縁部は枠体95によって縁取られ、枠体95の内側は開口部95Aとなっている。枠体95からは開口部95Aの中心に向けてフランジ部95Fが張り出され、そのフランジ部95Fには複数の螺子孔が設けられて固定ベース本体91に螺子固定されている。また、枠体95の操作部28側の面には、開口部95Aの外周を囲んで操作部28側に突出した突出壁95Hが形成されている。突出壁95Hは、回動筒部81の外周壁81Aよりも若干径が小さく、前記回動筒部81の外周壁81Aの後端側の内部に収容可能となっている。また、固定ベース本体91のうち開放端の縁部の一部には、後述する第2切替スイッチ構成部材120のレバー操作突部123を挿通するためのレバー挿通部91Sが切り欠き状に形成されている。そして、枠体95のうち外周面全体が接触検知部95Sとなっている。フランジ部95Fの一部は導線(図示しない)で発射制御基板60と接続されており、遊技者の手が接触検知部95Sに触れたこと(即ち、タッチ操作されたこと)を、例えば、遊技者の手が触れることによる電圧レベルの変化等で検出し、その信号が発射制御基板60に流れるようになっている。本実施形態では、枠体95の外周面前端が接触検知部95Sとなっているが、枠体95の一部分でもよく、また、装飾部材85の少なくとも一部に接触検知部を設けてもよいとする。
固定ベース本体91のうちベース内空間91Aには、軸孔89に隣接する位置にスイッチ固定板91Zが設けられている。スイッチ固定板91Zは軸方向に起立した平坦面を有し、後述する第1切替スイッチ構成部材100が固定されている。また、スイッチ固定板91Zの平坦面に対向し、固定ベース本体91の内壁に隣接する位置にはスイッチ回動軸91Jが設けられている。スイッチ回動軸91Jは回動シャフト86に平行に延びており、後述する第2切替スイッチ構成部材120が回動可能に軸支されている。さらに、ベース内空間91Aには、操作部28側に向かって起立した3つの円柱状のノブ固定部91Kが形成されている。これら3つのノブ固定部91Kのうちの2つは隣接した位置に配置されており、残りの1つはベース内空間91A内で軸孔89を挟んで対峙する位置に配置されている。
各ノブ固定部91Kの先端は円柱状に陥没しており、その陥没部分に上記した操作部固定円盤83の挿入筒部83Aの先端が挿入され、固定ベース本体91の基端部側から螺子止めされている。これにより、回動筒部81の内部壁82が円盤壁83Bと枠体95の突出壁95Hとの間に挟まれた状態になって、回動筒部81は内部壁82の前面が円盤壁83Bの後面に当接する位置(内部壁82の後面が突出壁95Hに当接しない位置、図13(A)参照)と、内部壁82の後面が突出壁95Hに当接する位置(内部壁82の前面が円盤壁83Bの後面に当接しない位置、図13(B)参照)との間で直動可能になる。この円盤壁83Bの後面と内部壁82の前面とが当接する位置と、内部壁82の後面と枠体95とが当接する位置との間が、本発明の「直動可能範囲」に相当する。
そして、回動筒部81と固定ベース部28Kとが、この直動可能範囲の一端側である内部壁82と突出壁95Hとが当接する位置にあるときには、操作部固定円盤83の被係合部83Kと回動筒部81の回動固定部81Kとが嵌合し、操作部28を固定ベース部28Kに対して回動することができなくなっている(図12(B)参照)。これにより、操作部28の直動時の回動角を固定することが可能となっている。これに対し、回動筒部81と固定ベース部28Kとが、直動可能範囲の他端側である内部壁82と円盤壁83Bとが当接する位置にあるときには、操作部28を固定ベース部28Kに対して任意の回動角に変更可能となっている。内部壁82と突出壁95Hとが当接する位置が、本発明の「回動固定位置」に相当し、内部壁82と円盤壁83Bとが当接する位置が本発明の「回動自在位置」に相当する。また、回動筒部81と操作部固定円盤83とによって本発明の「操作部回動固定機構」が構成されている。
また、操作部28の固定ベース部28Kに対する回動は、挿入筒部83Aが円弧開口部82Bの端部と干渉する両位置で規制される。つまり、操作部28の回動可能範囲は、挿入筒部83Aが円弧開口部82Bの一方の端部と干渉する回動角から他方の端部と干渉する回動角の間となっている。そして、操作部28は前方から見て反時計回りに付勢されているので、操作部28を回動操作していないときには、挿入筒部83Aが円弧開口部82Bの一方の端部に当接する。この操作部28の回動角が本発明の「回動原点」となっている。
ところで、固定ベース本体91のベース内空間91Aには、切替スイッチ110が収容されている。切替スイッチ110は、発射制御基板60と電気的に接続された第1切替スイッチ構成部材100と、ベース内空間91A内で回動することにより第1切替スイッチ構成部材100との相対位置が変化する第2切替スイッチ構成部材120とから構成されている。以下、第1切替スイッチ構成部材100及び第2切替スイッチ構成部材120について説明する。
図10に示すように、第1切替スイッチ構成部材100は全体として略直方体形状をなし、スイッチ固定板91Z(図9参照)の平坦面に螺子により固定されている。第1切替スイッチ構成部材100のうち固定ベース本体91の内壁側を向いた外側面100Aには枠体95寄り位置に、側方に突出した停止ボタン101が備えられている。停止ボタン101は、第1切替スイッチ構成部材100の側方へ突出する方向に付勢されており、外側面100A側に押された状態にあるか側方に突出した状態にあるかに応じた信号が、発射制御基板60に入力可能になっている。また、外側面100Aと固定ベース本体91の内壁との間には押圧レバー102が備えられている。押圧レバー102は、細長い薄板形状をなし、一端が外側面100Aのうち停止ボタン101の後方(ベース板62側)部分に回動可能に係止され、他端が停止ボタン101を跨いで枠体95側へ延びている。押圧レバー102の先端が外側面100A側に押されると、押圧レバー102が回動して停止ボタン101を押すようになっている。この押圧レバー102は停止ボタン101に当接しており、停止ボタン101によって先端が外側面100Aから離れる側に付勢されている。
さて、ベース内空間91Aのうち第1切替スイッチ構成部材100の操作部28側の面に隣接する位置には第2切替スイッチ構成部材120が収容されている。図14に示すように、第2切替スイッチ構成部材120は略長方形のスイッチ壁部120Aを有し、そのスイッチ壁部120Aは固定ベース本体91の軸方向に対して垂直になっている(図15参照)。スイッチ壁部120の一方の短辺からは、ベース内空間91Aの奥部(ベース板62側)に向かって軸側壁120Bが張り出し、その軸側壁120Bのうち軸孔89側の端部にはスイッチ回動軸91Jに対して回動可能に軸支された円筒状の軸収容部121が形成されている。
図15に示すように、スイッチ壁部120Aのうちベース内空間91Aの奥側の面からは、スイッチ押圧壁122が突出している。スイッチ押圧壁122は、スイッチ回動軸91J(図9参照)から半径方向に延びた壁面を有し、その中間位置が押圧レバー102に当接するように構成されている。そして、第2切替スイッチ構成部材120が第1切替スイッチ構成部材100側に回動すると、スイッチ押圧壁122が押圧レバー102を押して停止ボタン101が押されるようになっている。第2切替スイッチ構成部材120は押圧レバー102が停止ボタン101によって付勢されているので、第1切替スイッチ構成部材100から離れる側に付勢されている。なお、第2切替スイッチ構成部材120が回動して停止ボタン101が押された状態になる位置を以下「オフ位置」といい、第2切替スイッチ構成部材120が第1切替スイッチ構成部材100から離れた側に回動して停止ボタン101が押されていない状態になる位置を以下「オン位置」という。
また、第2切替スイッチ構成部材120がオフ位置に回動した状態が、切替スイッチ110の「オフ状態」であり、第2切替スイッチ構成部材120がオン位置に回動した状態が、切替スイッチ110の「オン状態」である。つまり、切替スイッチ110がオフ状態になると、停止ボタン101が押され、その信号が発射制御基板60に入力されて遊技球の発射が停止される。一方、切替スイッチ110がオン状態になると、停止ボタン101が突出し、その信号を発射制御基板60が検知し、発射制御基板60が接触検知部95Sをタッチ操作していると認識している場合には遊技球が発射される。
また、図14に示すように、スイッチ壁部120Aのうち固定ベース本体91の内壁側の長辺からは、大径部90Aの奥部に向かって外側壁120Cが張り出している。その外側壁120Cのうちスイッチ回動軸91Jから離れた側の端部には、レバー操作突部123が設けられ、固定ベース本体91の外周面から側方に向けて突き出されている。レバー操作突部123を押すと、第2切替スイッチ構成部材120は、第1切替スイッチ構成部材100の外側面100A側に回動する。そして、スイッチ押圧壁122が押圧レバー102を押し、停止ボタン101が押されて、切替レバー110がオフ状態となり、遊技球の発射が停止される。なお、レバー操作突部123と外側壁120Cとは略直角をなしており、レバー操作突部123を押すことで容易に第2切替スイッチ構成部材120が回動するようになっている。
第2切替スイッチ構成部材120のうち軸収容部121における軸孔89側の壁部には、回動突出壁124が形成されている。回動突出壁124は軸収容部121の外壁のうち軸孔89に対向する部分に操作部28側に突き出して設けられている。回動突出壁124のうち操作部28側は、軸収容部121の軸孔89側の壁面における接線方向のうちスイッチ壁部120Aとは反対の方向に張り出している。そして、この回動突出壁124のうち軸孔89に対向する面は当接面124Aとなっている。
ここで、回動突出壁124の当接面124Aは、当接面124Aのうちスイッチ回動軸91Jから離れた側端部において、上記した回動切替突出壁82Lの回動軌跡L1と交差している(図17参照)。操作部28の回動により回動切替突出壁82Lが、図16に示すように、回動突出壁124に当接すると、回動切替突出壁82Lは当接面124Aに乗り上がるように摺接すると共に第2切替スイッチ構成部材120を押圧する。図17に示すように、回動切替突出壁82Lが当接面124Aを押圧すると、第2切替スイッチ構成部材120がスイッチ回動軸91Jを中心にオフ位置側に回動する。そして、図18に示すように、第2切替スイッチ構成部材120のスイッチ押圧壁122が押圧レバー102を押して停止ボタン101が押されると、切替スイッチ110がオフ状態となり遊技球の発射が停止される。
回動切替突出壁82L及び回動突出壁124は、操作部28が回動原点に位置したときに、回動切替突出壁82Lが回動突出壁124に当接するように設計されている。操作部28は、上述したように、ねじりバネ71の弾発力により回動原点側に付勢されているので、第2切替スイッチ構成部材120は、通常は回動切替突出壁82Lによって押圧されてオフ位置(図18の状態)となっている。そして、操作部28を時計回りに回動させると、回動切替突出壁82Lが回動突出壁124から離れるので、第2切替スイッチ構成部材120は停止ボタン101の付勢力によりオン位置(図17の状態)側に回動するようになっている。なお、停止ボタン101の付勢力は、ねじりバネ71の弾発力よりも弱いので、停止ボタン101の付勢力により第2切替スイッチ構成部材120がオン位置に回動することはない。
また、第2切替スイッチ構成部材120には直動被摺動壁125が設けられている。図14に示すように、直動被摺動壁125は、スイッチ壁部120Aのうち軸側壁120Bとは反対側の短辺から張り出した張出壁部120Dに形成され、操作部28側に向かって突出している。直動被摺動壁125のスイッチ壁部120Aからの突出量は、回動突出壁124の突出量よりも短くなっている。また、直動被摺動壁125は円弧状に湾曲しており、軸孔89に対向している。そして、この直動被摺動壁125のうち先端部分(操作部28側部分)には、固定ベース本体91の内壁に対向する側(軸孔89に対向する側と反対側)に、先端に近づくに従がって軸孔89側に近づくように傾斜した摺接面125Aが形成されている。
ここで、直動被摺動壁125の摺接面125Aと、直動切替円弧突壁82Sの摺接傾斜面82Uとは、図19に示すように、回動軸方向で重なる位置に配置されている。操作部28を回動固定位置側(固定ベース部28Kに近づく側)に直動させると、摺接傾斜面82Uと摺接面125Aとが摺接し、直動被摺動壁125は直動切替円弧突壁82Sの内側に乗り上げるように押圧されて回動する(図20に示す状態)。つまり、操作部28を固定ベース部28Kに近づく側に直動させると、第2切替スイッチ構成部材120は、図21に示す直動被摺動壁125と直動切替円弧突壁82Sとが直動方向で重なった位置から、図22に示す回動シャフト86の半径方向で重なった位置に回動する。これにより、押圧レバー102が押され停止ボタン101が押されて、切替スイッチ110がオフ状態となり、遊技球の発射が停止される。なお、直動切替円弧突壁82Sに摺接傾斜面82Uを形成すると共に、直動被摺動壁125に傾斜面125Aを傾斜して形成したことによって、直動切替円弧突壁82Sと直動被摺動壁125とを互いに摺動させて第2切替スイッチ構成部材120を回動させ易くなっている。また、直動切替円弧突壁82Sと直動被摺動壁125とにおいて対向する面が減るので、衝突によって起こる破損などの故障を抑制するように構成されている。
また、回動切替突出壁82Lの内部壁82からの突出量が、直動切替円弧突壁82Sの突出量よりも大きくなっているので、操作部28と固定ベース部28Kとが離れた回動自在位置において、回動切替突出壁82Lが回動突出壁124に当接可能である一方、直動切替円弧壁82Sが第2切替スイッチ構成部材120に接触して遊技球の発射が停止しないように構成されている。また、直動被摺動壁125のスイッチ壁部120Aからの突出量が、回動突出壁124の突出量よりも短くなっているので、回動自在位置において直動被摺動壁125が回動切替突出壁82Lに接触して遊技球の発射が停止しないように構成されている。
以上がパチンコ遊技機10の構成の説明であって、以下に本実施形態のパチンコ遊技機10の作用及び効果を説明する。パチンコ遊技機10の操作部28は、遊技の開始前で回動操作がされていないときは、発射装置61のねじりバネ71の付勢力により回動角が回動原点に位置している。操作部28が回動原点に位置していると、図18に示すように、操作部28に備えた回動切替突出壁82Lが、切替スイッチ110の第2切替スイッチ構成体120に備えた回動突出壁124を押圧して第2切替スイッチ構成体120を回動させ、切替スイッチ110をオフ状態にするので、発射装置61の駆動が停止された状態となる。
操作部28を回動させると、回動切替突出壁82Lが切替スイッチ110から離れ切替スイッチ110がオン状態になるので、発射装置61が駆動され、発射装置61は操作部28の回動角に応じた発射強度で遊技球を発射する。そして、遊技者は遊技が有利に進行する(例えば、始動入賞口14や大入賞口15に遊技球が多く入賞する)発射強度を見つけると、その回動角を維持して遊技を進行させる。
遊技の進行中に遊技者が遊技を一時的に中断する場合には、操作部28を回動軸方向に対して直動させることで、その回動角を固定することができる。即ち、操作部28を回動自在位置から回動固定位置に直動させると、操作部28内部で回動固定部81Kと被係合部83Kとが嵌合して操作部28が回動角を保ったまま固定ベース部28Kに対して固定される(図12(B)参照)。操作部28の回動角を固定すると、図22に示すように、操作部28に備えた直動切替円弧突壁82Sが、切替スイッチ110の第2切替スイッチ構成体120に備えた直動被摺動部125を押圧して第2切替スイッチ構成体120を回動させ、切替スイッチ110をオフ状態にするので、発射装置61の駆動が停止された状態となる。
つまり、操作部28の回動原点への回動や、操作部28の回動固定位置への直動は、第2切替スイッチ構成体120の回動に変換されて、切替スイッチ110をオフ状態へと変位させる。よって、回動原点への回動と回動固定位置への直動という操作部28の異なる動きに対しても、1つの第2切替スイッチ構成体120を回動(変位)させて発射装置61の駆動を停止させることができる。例えば、操作部28を回動原点から回動した状態で、回動角を(遊技者の手の操作以外で物などによって)固定しながら発射装置61を(規則などにより)駆動させてはいけない場合に、遊技者が回動角を固定した状態で一時的に席を離れたいときがあっても、回動角を固定しつつ、発射装置61の駆動を停止することができる。また、遊技者が遊技を終了し、操作部28が回動原点への回動した場合には、確実に発射装置61の駆動を停止することができる。
また、直動切替円弧突壁82Sの突出量を回動切替突出壁82Lよりも短く構成すると共に、直動被摺動壁125の突出量を回動突出壁124よりも短く構成することによって、操作部28の回動時に直動切替円弧突壁が82S回動突出壁124に干渉しないようになっている。これにより、直動切替円弧突壁82S及び回動切替突出壁82Lの回動軌跡を同一円周上に配置することができ、回動筒部81及び固定ベース本体91の内部の省スペース化を図ることができる。
さらに、第2切替スイッチ構成部材120に備えられたレバー操作突部123を押すことによって切替スイッチ110をオフ状態に変位させ、遊技球の発射を停止させることもできる。これにより、遊技者は操作ノブを回動角を手で保持したまま遊技球の発射を停止することができる。つまり、一時的に遊技球の発射を停止させる方法として、操作部28を回動固定位置に直動させる方法と、レバー操作突部123を操作する方法とを遊技者が適宜選択することが可能となる。
しかも、操作部28には接触検知部95Sが備えられているので、切替スイッチ110と併用することにより、遊技者が操作部28を回動操作していないときには、操作部28が回動原点に回動したことにより切替スイッチ110によって遊技球の発射を停止すると共に、接触検知部95Sに遊技者の手が触れていないことによっても遊技球の発射を停止することができる。これにより、例えば、不正者が何らかの手段(物で操作部28を抑えて回動を固定する等)で、操作部28を直動させずに回動角を固定したとしても、遊技球の発射を停止することができる。また、操作部28を回動原点に戻して停止させることにより遊技球の発射を停止させた遊技者が、操作部28を握ったまま待機したとしても、発射装置61の駆動を確実に停止させることができる。これにより、待機中の遊技者の手に発射装置61の発射モータ68の空回りによる振動が遊技者に伝わることが抑えられる。また、発射装置61の駆動を停止させるので発射装置61への負担を軽減することもできる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、切替スイッチ110の1つの第2切替スイッチ構成部材120に回動突出壁124及び直動被摺接壁125の両方が備えられていることによって、操作部28を回動させていないときも、操作部28を固定ベース部28K側に直動させて回動角を固定したときも、第2切替スイッチ構成部材120を回動させて切替スイッチ110をオフ状態へと変位させることができる。これにより、固定されたときに検知する発射停止スイッチと回動操作をしていない回動原点位置の状態を検知する発射停止スイッチを別々に設けるよりも、遊技者が操作可能な操作部の大きさに対して内部構造の制約を抑制し、製造コストを低く抑えることができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態においては、弾球遊技機の一例としてパチンコ遊技機10を例示したが、弾球遊技機であれば、例えばアレンジボール等に本発明を適用してもよい。
(2)前記実施形態では、切替スイッチ110がオフ状態に変位したときに発射装置61の発射モータ68への電力の供給を停止することにより遊技球の発射動作を停止していたが、発射装置61へ電力が供給される状態のままで遊技球の発射動作が停止するようにしてもよい。例えば、球供給装置42の従動部材46にソレノイドを取り付け、切替スイッチ110がオフ状態に変位したときにソレノイドを作動させて、従動部材46が図7(B)の状態で回動を固定し、遊技球の発射動作が停止するようにしてもよい。
(3)前記実施形態では、直動切替円弧突壁82Sの先端に摺接傾斜面82Uを形成し、第2切替スイッチ構成体120の直動被摺動壁125の摺接面125Aの先端も傾斜して形成していたが、少なくとも何れか一方だけ傾斜して形成してもよいとする。