以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態における遊技機1の一例を示す正面図である。遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。この遊技機1は、透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有する前枠部材3と、その前枠部材3の窓部2を介して視認可能に取り付けられた遊技盤10とを備えている。尚、遊技盤10は、前枠部材3の背面側に設けられる本体枠に対して着脱自在に取り付けられる。
前枠部材3は、窓部2の下部右側において、遊技機1の正面側に突出した状態で支持するハンドル装置4を備えている。このハンドル装置4は、遊技者が操作するハンドルレバー41を備えており、遊技者がこのハンドルレバー41を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で打ち出されるようになっている。
また前枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
図2は、本実施形態における遊技盤10の一例を示す正面図である。遊技盤10は、正面側に相当する遊技盤面10aに、外側レール11と内側レール12とで囲まれた略円形の遊技領域13を有している。遊技者がハンドルレバー41を操作することによって打ち出される遊技球は、遊技領域13の左側に設けられた外側レール11と内側レール12の間の空隙から遊技領域13の上部に打ち出される。
遊技領域13の内側には、遊技盤10の略中央に位置するように液晶表示デバイスなどで構成された画像表示器8が設けられており、さらにその画像表示器8の周縁にはセンター役物などとも呼ばれる飾り枠体14が設けられている。画像表示器8は、演出のための各種の画像を表示するためのものであり、遊技の進行に伴い、例えば大当たり抽選の結果を、1〜9などの数字を付した複数の装飾図柄によって報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したり、或いは、リーチ演出として各種の動画像を表示したりする。飾り枠体14は画像表示器8の画面枠を規定している。この飾り枠体14には種々のランプや可動物などの演出用役物が配置される。
遊技領域13の内側において飾り枠体14の周囲には、多数の釘15、スルーゲート16、風車17、普通入賞口18、第1始動口19、電動チューリップ20、第2始動口21、大入賞口22、大入賞口22を開閉する役物23、アウト口24等の公知の部材が配置されている。遊技領域13の外側で遊技盤面10aの右下部には、複数のLED表示素子で構成された表示器30が設けられている。この表示器30は、特別図柄の変動表示を行って大当たり抽選の結果に応じた特別図柄の表示を行ったり、普通図柄の変動表示を行って普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄の表示を行ったりするためのものである。また表示器30は、特別図柄の変動表示に関する保留数を表示したり、普通図柄の変動表示に関する保留数を表示したりすることもできるようになっている。尚、この表示器30の詳細については後述する。
図2の例において、スルーゲート16は遊技領域13の右側である飾り枠体14の右下部に設けられている。このスルーゲート16は、遊技機1において普通図柄抽選が行われる条件となるゲートであり、遊技球がこのゲートを通過すると遊技機1において普通図柄抽選が開始される。普通図柄抽選とは、電動チューリップ20を開放するか否かを決定する抽選である。また普通入賞口18は飾り枠体14の左下部に複数設けられている。普通入賞口18は、遊技球が入球した場合、所定球数の賞球を払い出すための入賞口である。
第1始動口19は飾り枠体14の中央下方に設けられており、電動チューリップ20および第2始動口21は第1始動口19の更に下方に設けられている。電動チューリップ20は、第2始動口21への遊技球の入球を補助するための補助部材であり、左右に開閉する羽根部材を備えている。この電動チューリップ20が左右に開放していれば遊技球が第2始動口21に入球し易い状態となる。これに対し、電動チューリップ20が左右に開放していない閉鎖状態は、遊技球が第2始動口21に入球し難い状態となる。この電動チューリップ20は、遊技球がスルーゲート16を通過したことに伴って行われる普通図柄抽選に当選すると、左右の羽根部材が遊技状態に応じて所定時間および所定回数開放する。
第1始動口19および第2始動口21のそれぞれは、所定球数の賞球を払い出すための入賞口であると共に、遊技機1において大当たり抽選(大当たり判定)が行われる条件となる入賞口である。第1始動口19に遊技球が入球した場合には第1の大当たり判定が行われ、第2始動口21に遊技球が入球した場合には第2の大当たり判定が行われる。つまり、これら始動口19,21に遊技球が入球すると、遊技機1において大当たり乱数を含む各種乱数が遊技データとして取得され、その取得した遊技データに基づいて第1の大当たり判定又は第2の大当たり判定が行われる。そして遊技機1において大当たり判定が行われると、表示器30における特別図柄の変動表示が開始されると共に、画像表示器8において装飾図柄の変動表示が開始される。また画像表示器8においては装飾図柄の変動表示と共に、さまざまなキャラクタの出現などによる各種の予告演出なども表示される。
大入賞口22および役物23は、遊技領域13の右側である飾り枠体14の右下であって、スルーゲート16の下方に設けられている。役物23は、大入賞口22を開閉する役物であり、通常は大入賞口22を閉鎖した状態となっている。そして遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを条件として行われる大当たり判定において大当たり又は小当たりに当選すると、その当たりの種類に応じた大入賞口開放遊技において大入賞口22の下縁に沿って配置された略水平な回動軸周りに回動して大入賞口22を開放するように構成されている。
遊技領域13の外側で遊技盤面10aの右下部に設けられる表示器30は、遊技球がスルーゲート16を通過することによって行われる普通図柄の抽選結果を表示する普通図柄表示器31と、普通図柄抽選の保留数を表示する普通図柄保留表示器32と、遊技球が第1始動口19に入球したことによって行われる第1の大当たり判定の結果に対応した第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示器33と、第1始動口19に入球した保留数を表示する第1特別図柄保留表示器34と、遊技球が第2始動口21に入球したことによって行われる第2の大当たり判定の結果に対応した第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示器35と、第2始動口21に入球した保留数を表示する第2特別図柄保留表示器36とを備えている。
普通図柄表示器31は、普通図柄の抽選において当選した場合には当選図柄(例えば○の図柄)を表示し、ハズレの場合にはハズレ図柄(例えば×の図柄)を表示する。この普通図柄表示器31は、遊技機1において普通図柄の抽選が行われると、当選図柄とハズレ図柄とを交互に点灯表示する変動表示を所定時間行った後、普通図柄の抽選結果に応じて当選図柄とハズレ図柄とのいずれか一方を点灯させる。そして普通図柄の抽選に当選した場合、普通図柄表示器31は当選図柄を表示した状態で停止し、遊技状態に応じて電動チューリップ20が所定時間および所定回数開放される。尚、普通図柄の抽選に当選する確率は、例えば9/10などの所定の確率となるように設定されている。
普通図柄保留表示器32は、普通図柄の変動表示中に遊技球がスルーゲート16を通過した場合に先の変動表示が終了するまで次の変動表示が保留されるので、その保留数を表示する。この普通図柄保留表示器32は、例えば複数のLED表示部の表示態様によって最大4つの保留数を表示することができるようになっている。
第1特別図柄表示器33は、第1始動口19に入球したことを条件とする第1の大当たり判定が行われると、第1特別図柄の変動表示を所定時間行った後、その大当たり判定の結果を種々の態様で表示する。例えば、第1の大当たり判定の結果、何らかの当たりに当選していれば、第1特別図柄表示器33は第1特別図柄の変動表示後にその当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止し、遊技機1は大入賞口開放遊技に移行する。その大入賞口開放遊技では、当たりの種類に応じて、役物23が大入賞口22を開放するラウンドが所定ラウンド数繰り返される。また大当たり判定の結果がハズレであれば、第1特別図柄表示器33は特別図柄の変動表示後に所定のハズレ図柄を表示した状態で停止する。
第2特別図柄表示器35は、第2始動口21に入球したことを条件とする第2の大当たり判定が行われると、第2特別図柄の変動表示を所定時間行った後、その大当たり判定の結果を種々の態様で表示する。例えば、第2の大当たり判定の結果、何らかの当たりに当選していれば、第2特別図柄表示器35は第2特別図柄の変動表示後にその当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止し、遊技機1は大入賞口開放遊技に移行する。その大入賞口開放遊技では、当たりの種類に応じて、役物23が大入賞口22を開放するラウンドが所定ラウンド数繰り返される。また大当たり判定の結果がハズレであれば、第2特別図柄表示器35は特別図柄の変動表示後に所定のハズレ図柄を表示した状態で停止する。
第1特別図柄保留表示器34は、遊技球が第1始動口19に入球したとき、第1特別図柄又は第2特別図柄が変動表示中である場合、その入球に伴う第1特別図柄の変動表示が保留されるので、その保留数を表示するものである。この第1特別図柄保留表示器34は、例えば複数のLED表示部の表示態様によって最大4つまで保留して表示することができるようになっている。
第2特別図柄保留表示器36は、遊技球が第2始動口21に入球したとき、第1特別図柄又は第2特別図柄が変動表示中である場合、その入球に伴う第2特別図柄の変動表示が保留されるので、その保留数を表示するものである。この第2特別図柄保留表示器36もまた、例えば複数のLED表示部の表示態様によって最大4つまで保留して表示することができるようになっている。
次に遊技領域13における遊技球の通過ルートおよびそれらの通過ルートとハンドルレバー41の操作態様との関係について説明する。遊技者によるハンドルレバー41の操作によって遊技領域13の上部に打ち出された遊技球は、飾り枠体14の左右いずれか一方のルートを通る。すなわち、遊技球は、図2に示すように、ルートF1およびルートF2のいずれか一方のルートを通って、各種入賞口が設けられた遊技領域13を下方に向かって転動していく。遊技球が飾り枠体14の右側に形成されたルートF1を通って遊技領域13を下方に向かって転動していくことを「右打ち」といい、ルートF1を通るように遊技者がハンドルレバー41を回動操作することを「右打操作」という。これに対し、遊技球が飾り枠体14の左側に形成されたルートF2を通って遊技領域13を下方に転動していくことを「非右打ち(左打ち)」といい、ルートF2を通るように遊技者がハンドルレバー41を回動操作することを「非右打操作(左打操作)」という。つまり、ハンドルレバー41の操作角度に応じた打球力で打ち出される遊技球が、遊技領域13の最上部に設けられた釘15aを超える場合、その遊技球は遊技領域13の右側の領域に進入してルートF1を通って流下する。これに対し、遊技球が、遊技領域13の最上部に設けられた釘15aを超えない場合、その遊技球は遊技領域13の左側の領域に留まり、ルートF2を通って流下する。
ハンドルレバー41の操作角度は所定角度範囲内に規制されており、その角度範囲内でハンドルレバー41を時計回りに略最大角度回転させた状態において「右打操作」状態となるように、発射ソレノイド等の遊技球発射部などの調整が行われている。本実施形態における遊技盤10の盤面構成は、ルートF2を通った遊技球がスルーゲート16または大入賞口22に至る可能性が低くなるように、飾り枠体14、釘15、その他の様々な部材が配置されている。すなわちルートF1を通過する遊技球は、スルーゲート16または大入賞口22に至る可能性が高くなり、ルートF2を通過する遊技球はスルーゲート16または大入賞口22に至る可能性が極めて低くなるような盤面構成となっている。そのため、スルーゲート16に遊技球を通過させたり、または、大入賞口22に遊技球を入球させるためには、遊技者は、ハンドルレバー41を最大角度回転させた右打操作状態とし、遊技球がルートF1を通過するように操作するようになる。
一方、ルートF2を通る遊技球は、第1始動口19に向かって転動していくように、多数の釘15や風車17などが配置されている。つまり、ルートF2を通過する遊技球は、第1始動口19に入球する可能性はあるが、ルートF1を通過する遊技球が第1始動口19に入球する可能性は極めて低くなるような盤面構成となっている。
電動チューリップ20および第2始動口21は、遊技領域13の中央下部に設けられており、ルートF1およびルートF2のいずれを通る場合でも、電動チューリップ20が左右に開放していれば遊技球が第2始動口21に入球する可能性があるのに対し、電動チューリップ20が閉鎖していれば遊技球が第2始動口21に入球する可能性は低くなるように設定されている。
本実施形態の遊技機1は、遊技状態に応じて、遊技者に右打操作を行わせたり、非右打操作を行わせたりするように構成されている。図3は、遊技機1における遊技状態の移行を示す状態遷移図である。この遊技機1には、主として、通常遊技状態ST1、大入賞口開放遊技状態ST2、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4、及び、潜伏確変遊技状態ST5の5つの遊技状態がある。このうち、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4、及び、潜伏確変遊技状態ST5の4つの遊技状態は、第1始動口19又は第2始動口21に遊技球を入球させることによって大当たり抽選を行いながら遊技を進行させる遊技状態である。これに対し、大入賞口開放遊技状態ST2は、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4、及び、潜伏確変遊技状態ST5のそれぞれにおいて大当たり又は小当たりに当選した場合にそれらの遊技状態から移行し、大入賞口22を開放させる遊技状態である。
また遊技機1における大当たり抽選で大当たりに当選する確率状態として、例えば1/300程度の所定の確率で大当たりに当選する通常確率状態と、その通常確率状態よりも大当たりに当選する確率が高くなる高確率状態との2つの状態がある。図3の例では、通常遊技状態ST1と時短遊技状態ST3とが通常確率状態となっており、確変遊技状態ST4と潜伏確変遊技状態ST5とが高確率状態となっている。
遊技機1に電源が投入されると、遊技機1は通常遊技状態ST1として起動する。この通常遊技状態ST1では、大当たり抽選で大当たりに当選する確率は通常確率である。そのため、遊技者はハンドルレバー41を回転操作して第1始動口19又は第2始動口21に遊技球を入球させ、大当たりになることを期待しながら遊技を行う。この通常遊技状態ST1では、遊技球がスルーゲート16を通過することにより普通図柄の抽選が行われると、普通図柄の変動時間は比較的長い時間(例えば29秒)に設定される。また普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ20を開放させる開放時間は比較的短い時間(例えば0.8秒)に設定される。そのため、通常遊技状態ST1では、普通図柄の変動時間が長く、しかも普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20が開放した場合でもその開放時間が短いので、遊技球が第2始動口21に入球する可能性は低い。それ故、遊技機1が通常遊技状態ST1であるとき、遊技者はハンドルレバー41の操作角度を調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF2(左打)に導き、第1始動口19に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。つまり、通常遊技状態ST1は、非右打ち遊技状態となっている。
通常遊技状態ST1において第1始動口19又は第2始動口21に遊技球が入球して大当たり又は小当たりに当選すると、図3の矢印A1で示すように遊技機1は大入賞口開放遊技状態ST2へと移行する。この大入賞口開放遊技状態ST2では、遊技領域13の右下部に設けられた大入賞口22が開放されるため、遊技者はハンドルレバー41の操作角度を略最大角度に調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF1(右打)に導き、大入賞口22に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。したがって、大入賞口開放遊技ST2は、右打ち遊技状態となっている。ただし、大当たり抽選で小当たりに当選した場合には、大当たりに当選した場合と比較して大入賞口22の開放時間が極めて短いため、遊技者は必ずしも右打操作を行うとは限らない。
そして大入賞口開放遊技状態ST2が終了した後、遊技機1は、遊技状態を、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4及び潜伏確変遊技状態ST5のいずれかに移行させる。例えば、小当たりの大入賞口開放遊技状態ST2が終了すると、遊技機1は小当たり発生前の遊技状態に移行させる。これに対し、大当たりの大入賞口開放遊技状態ST2が終了すると、遊技機1は、その大当たりの種類に応じて、矢印A3,A4,A5に示すように、時短遊技状態ST3、確変遊技状態ST4及び潜伏確変遊技状態ST5のいずれかに移行させる。
ここで時短遊技状態ST3について説明する。時短遊技状態ST3では、遊技球がスルーゲート16を通過することにより普通図柄の抽選が行われると、普通図柄の変動時間は比較的短い時間(例えば3秒)に設定される。また普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ20を開放させる開放時間は比較的長い時間(例えば3.5秒)に設定される。そのため、時短遊技状態ST3では、普通図柄の変動時間が短く、しかも普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20が開放されると、比較的長時間その開放状態が継続されるので、遊技球が第2始動口21に入球し易くなる。つまり、時短遊技状態ST3では、電動チューリップ20の開閉動作によって遊技球が第2始動口21に頻繁に入球するように補助される。したがって、時短遊技状態ST3では、遊技者はハンドルレバー41の操作角度を略最大角度に調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF1(右打)に導き、遊技球をスルーゲート16に頻繁に通過させることで、電動チューリップ20を頻繁に開放させ、第2始動口21に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。この場合、開放した電動チューリップ20に補助されて遊技球が頻繁に第2始動口21に入球するので、遊技者は、持ち玉である遊技球をあまり減らすことなく、遊技を行うことができる。したがって、時短遊技状態ST3は、右打ち遊技状態となっている。尚、この時短遊技状態ST3では、第1特別図柄及び第2特別図柄で大当たりに当選する確率は通常確率となっている。
このような時短遊技状態ST3は、第1特別図柄表示器33及び第2特別図柄表示器35における特別図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)行われるまで継続する。そして特別図柄の変動表示回数が所定回数になると、遊技機1は、遊技状態を時短遊技状態ST3から通常遊技状態ST1へと移行させる(図3の矢印A6)。遊技状態が時短遊技状態ST3から通常遊技状態ST1へと移行すると、電動チューリップ20の開放間隔が長くなり、しかも1回当たりの開放時間が短くなるので、遊技球を第2始動口21に入球させることが難しい状態となる。それ故、時短遊技状態ST3から通常遊技状態ST1へ移行することに伴い、右打ち遊技状態は終了し、非右打ち遊技状態となる。
尚、時短遊技状態ST3において第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれか一方で大当たり又は小当たりに当選すると、図3の矢印A7で示すように、遊技機1は、時短遊技状態ST3からそれに対応した大入賞口開放遊技状態ST2へと移行させる。
次に確変遊技状態ST4について説明する。確変遊技状態ST4では、遊技球がスルーゲート16を通過することにより普通図柄の抽選が行われると、普通図柄の変動時間は比較的短い時間(例えば3秒)に設定される。また普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ20を開放させる開放時間は比較的長い時間(例えば3.5秒)に設定される。そのため、確変遊技状態ST4では、時短遊技状態ST3と同様に、普通図柄の変動時間が短く、しかも普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20が開放されると、遊技球が第2始動口21に入球し易くなる。つまり、確変遊技状態ST4においても、電動チューリップ20の開閉動作によって遊技球が第2始動口21に頻繁に入球するように補助される。したがって、確変遊技状態ST4では、遊技者はハンドルレバー41の操作角度を略最大角度に調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF1(右打)に導き、遊技球をスルーゲート16に頻繁に通過させることで、電動チューリップ20を頻繁に開放させ、第2始動口21に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。したがって、確変遊技状態ST4は、右打ち遊技状態となっている。
このような確変遊技状態ST4は、第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれか一方で次回の大当たりが発生するまで継続する。そのため、大入賞口開放遊技後の遊技状態が確変遊技状態ST4に移行すると、遊技者は、次回の大当たり当選まで持ち玉である遊技球をあまり減らすことなく、遊技を行うことができる。特に確変遊技状態ST4は、大当たりの当選確率が高確率状態であるため、遊技者の持ち玉をあまり減らすことがなく、しかも比較的早期に次回の大当たりに当選する可能性の高い遊技状態となっている。
そして確変遊技状態ST4において第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれか一方が大当たり又は小当たりに当選すると、図3の矢印A8で示すように、遊技機1は、確変遊技状態ST4からそれに対応した大入賞口開放遊技状態ST2へと移行させる。
次に潜伏確変遊技状態ST5について説明する。潜伏確変遊技状態ST5では、上述したように、次回の大当たりに当選する確率が通常確率よりも高い高確率状態となるが、それ以外の遊技状態は通常遊技状態ST1と同様である。つまり、潜伏確変遊技状態ST5では、遊技者は、通常遊技状態ST1と同様、ハンドルレバー41の操作角度を調整することにより、遊技領域13に打ち出す遊技球を図2に示したルートF2(左打)に導き、第1始動口19に遊技球を入球させることを狙って遊技を行うことになる。それ故、潜伏確変遊技状態ST5は、非右打ち遊技状態となっている。
このような潜伏確変遊技状態ST5は、第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれか一方で次回の大当たりが発生するまで継続する。そのため、大入賞口開放遊技後の遊技状態が潜伏確変遊技状態ST5に移行すると、遊技者は、次回の大当たり当選まで持ち玉を減少させながら遊技を行うことになる。ただし、上述したように潜伏確変遊技状態ST5では、大当たりの当選確率が通常確率状態よりも高い高確率状態となっているため、遊技者にとっては、通常遊技状態ST1で遊技を進行する場合よりも比較的早期に次回の大当たりに当選する可能性の高い遊技状態となっている。
そして潜伏確変遊技状態ST5において第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれか一方が大当たり又は小当たりに当選すると、図3の矢印A9で示すように、潜伏確変遊技状態ST5から大入賞口開放遊技状態ST2へと移行する。
次に、上記のような遊技機1におけるハンドル装置4について説明する。図4は、ハンドル装置4の外観構成を示す斜視図である。このハンドル装置4は、遊技者の操作によって回動可能なハンドルレバー41と、ハンドルレバー41を回動可能に支持するベース部材40と、ハンドルレバー41の正面側を覆う状態でベース部材40に固定されるカバー部材42とを備えている。ベース部材40はその正面側が拡径した略円筒形状を有している。このベース部材40の略円筒部分が前枠部材3の正面側に挿入された状態で取り付けられることにより、ハンドル装置4は遊技機1の正面側に支持される。
図5は、ハンドル装置4におけるハンドルレバー41の操作角度範囲を示す図である。すなわち、図5(a)は、遊技者による回動操作が行われていない状態でのハンドルレバー41の初期位置を示しており、図5(b)は、遊技者がハンドルレバー41を最大角度位置まで回動させた状態を示している。ハンドルレバー41は、図5(a)に示す初期位置と、図5(b)に示す最大角度位置との間で回動可能である。そして上述したようにハンドルレバー41の操作角度が大きくなっていくことに従って、遊技領域13に打ち出される遊技球の打球力が増大し、所定の操作角度を超えると、遊技領域13に打ち出される遊技球は遊技領域13の右側に設けられたルートF1に向かって転動していくようになる。
図6は、ハンドル装置4の内部構造を示す分解斜視図である。ハンドルレバー41は、ベース部材40の拡径部に対して突き当てられた状態で取り付けられ、ベース部材40の軸心と同一の回動軸周りに、ベース部材40に対して相対的に回動可能とされている。ハンドルレバー41の背面側には、回動軸に沿って延設された円柱状又は円筒状の軸部41aが設けられている。この軸部41aには、ハンドルレバー41の回動に伴って軸部41aと連動して回動する回動部材51が装着される。
またハンドルレバー41の正面側には、戻りバネ43と、押圧バネ44と、固定板45とが設けられる。固定板45は、カバー部材42の内側に固定される。戻りバネ43は、回動軸周りに回動可能なハンドルレバー41を初期位置へ向けて付勢する付勢手段である。戻りバネ43は、例えばコイルバネの巻き回し方向に弾性力を作用させるように構成されており、コイルバネの一端がハンドルレバー41の内部に係合しており、他端が固定板45に係合した状態で取り付けられる。遊技者がハンドルレバー41を任意の操作角度で保持している状態でハンドルレバー41から手を離すと、戻りバネ43の付勢力によってハンドルレバー41が初期位置へ戻るようになっている。このような戻りバネ43による付勢力は、ハンドルレバー41の操作角度が大きくなるに従って大きくなる。
押圧バネ44は、ハンドルレバー41を、背面側に向けて、すなわちベース部材40の拡径部に突き当てる方向に付勢する付勢手段である。押圧バネ44は、例えばコイルバネの軸方向に弾性力を作用させるように構成されており、一端がハンドルレバー41の内面に接触し、他端が固定板45の背面に接触した状態で取り付けられる。したがって、ハンドルレバー41は、通常、この押圧バネ44の付勢力によってベース部材40の拡径部に対して突き当てられた状態となっている。また押圧バネ44の付勢力に抗して遊技者がハンドルレバー41を正面側(カバー部材42側)へ引き込む操作を行うと、ハンドルレバー41は、それによって回動軸に沿って正面側に一定量移動することができるようになっている。
またベース部材の内側には、ハンドルレバー41が回動することに伴って回動する角度検知センサ50と、ハンドルレバー41を遊技者が手で触っていることを検知するタッチセンサ60と、遊技球の発射動作を遊技者が一時的に停止させるための停止スイッチ70とが設けられている。
角度検知センサ50は、例えばロータリボリューム式のセンサで構成され、ベース部材40の内側に固定される。角度検知センサ50の先端可動部には、回動部材51が回動することに伴って従動回転する従動部材52が取り付けられる。したがって、角度検知センサ50の先端可動部は、回動部材51に連動して回動する。これにより角度検知センサ50は、回動部材51の回動角度を検知することができ、その検知結果に応じて打球力を調整するための信号を出力する。
タッチセンサ60は、例えば静電容量型のセンサであり、ハンドルレバー41の裏面側に導線を介して接続されている。またハンドルレバー41は例えばその表裏全面にクロムメッキが施されており、導電性が確保されている。したがって、タッチセンサ60は、ハンドルレバー41の表面側と電気的に接続されている。遊技者がハンドルレバー41に触れると、遊技者自身がアースとなって作用するので、タッチセンサ60の静電容量が変化する。タッチセンサ60はその静電容量変化を検知することにより、遊技者がハンドルレバー41に触れていることを検知する。このタッチセンサ60は、センサ保持具61によって保持され、ベース部材40の内部に取り付けられる。
停止スイッチ70は、オンオフスイッチであり、スイッチ保持具71に取り付けられる。そしてスイッチ保持具71がベース部材40の内側の所定位置に取り付けられる。またベース部材40の拡径部の一部に切欠部が形成されており、その切欠部からハンドル装置4の外側に突出するように発射停止ボタン72が設けられる。発射停止ボタン72は、遊技者が遊技球の発射を停止させるときに押し込み操作するボタンである。この発射停止ボタン72には、遊技者による押し込み操作に伴って揺動する揺動部材73が取り付けられている。そして停止スイッチ70は、揺動部材73の揺動動作に伴ってオンオフを切り替えるようになっている。つまり、遊技者によって発射停止ボタン72が押し込み操作されると、それに伴って停止スイッチ70がオン状態となり、遊技球の発射を停止させるための信号を出力する。
さらにベース部材40の内側には、角度検知センサ50、タッチセンサ60、および停止スイッチ70を接続するための各種のコネクタ47a,47b,47cが取り付けられるプレート46,48が設けられる。そしてベース部材40の背面側に、カバープレート49が取り付けられる。
図7は、ハンドル装置4における角度検知センサ50の取付態様を拡大して示す図である。ハンドルレバー41は、回動軸R周りに回動可能である。図7の破線部分に拡大して示すように、ハンドルレバー41の背面側に延設された軸部41aには、その周側面の一部に外側に向けて突出した円柱状の突起部56が設けられている。突起部56は、例えば軸部41aの内側から外側に向けて押圧付勢されており、突起部56の先端を押し込めば軸部41aの内側に没入させることができる。また、そのような押し込み操作を行わない限り、突起部56は、軸部41aの側面から一定高さ突き出した状態となっている。
回動部材51は、図7に示すように略円筒状の部材であり、その筒状の周壁部の一部に、回動軸Rを中心とする螺旋状のスリット55が所定長さ形成されている。このスリット55の幅は、突起部56の外径よりも若干大きくなっており、スリット55の内側に突起部56を収容可能である。また回動部材51の背面側に相当する端部近傍には、周方向に沿って一定長さの領域にギア51aが形成されており、さらにそのギア51aに隣接する位置に環状溝51bが形成されている。
回動部材51を軸部41aに装着するときには、例えば軸部41aの突起部56を押し込んで没入させる。そしてその状態のままで、回動部材51を軸部41aの外側に装着することにより、スリット55の内側に突起部56が突出するように装着する。したがって、回動部材51の周壁部が軸部41aに装着されることにより、突起部56とスリット55とが互いに係合した状態となる。これにより、ハンドルレバー41が回動することに伴って軸部41aと連動して回動部材51が回動する。
一方、従動部材52は、角度検知センサ50の先端可動部50aに装着される。この従動部材52は、抜け止めナット54によって先端可動部50aから抜け落ちないように装着される。このような従動部材52には、その周方向に沿って一定長さの領域にギア52aが形成されており、ギア52aは回動部材51に設けられたギア51aと歯合する。そのため、回動部材51が回動すると、それに連動して従動部材52が回動し、角度検知センサ50の先端可動部50aを回動させる。また、従動部材52には、戻りバネ53が取り付けられる。戻りバネ53は、従動部材52を回転方向の初期位置へ向けて付勢するものであり、ハンドルレバー41に外力が作用していない状態では従動部材52を初期位置へ戻すようになっている。
図8および図9は、ハンドルレバー41に対して回動部材51、従動部材52および角度検知センサ50が取り付けられた状態を示す図であり、図8はハンドルレバー41の背面側からみた斜視図であり、図9は平面図である。ハンドルレバー41の軸部41aに設けられた突起部56は、回動部材51に形成された螺旋状のスリット55の内側に突出している。また回動部材51のギア51aと、従動部材52のギア52aとが互いに歯合している。したがって、遊技者がハンドルレバー41を回動操作することにより、ハンドルレバー41が回動軸Rを中心に図8に示すR1方向へ回動すると、それに伴って突起部56もR1方向へ回動する。回動部材51は、その周壁部に形成されたスリット55の一方端部において突起部56と係合しているので、突起部56がR1方向へ回動すると軸部41aと一体的に供回りする。
また図9に示すように、従動部材52を角度検知センサ50に取り付けるための抜け止めナット54は、回動部材51の環状溝51bに対して所定深さまで入り込んだ状態に取り付けられる。そのため、回動部材51が回動軸Rの周りに回動するときには、環状溝51bを形成する両壁部は抜け止めナット54と干渉しないようになっている。これに対し、回動部材51が回動軸Rに沿って直線方向に移動しようとすると、環状溝51bを形成する両壁部のうちの一方が抜け止めナット54と干渉する。そのため、回動部材51は、回動軸Rを中心とする回動方向には回動可能であるのに対し、回動軸Rに沿った直線方向には抜け止めナット54によって移動が規制された状態となっている。
図10は、ハンドルレバー41が初期位置から最大角度位置まで回動することによる回動部材51と従動部材52との一連の動作を示す図である。例えば、図10(a)はハンドルレバー41が初期位置にある状態を示しており、図10(b)はハンドルレバー41の非右打操作を行っている状態を示しており、図10(c)はハンドルレバー41を最大角度位置まで回動させて右打操作を行っている状態を示している。図10(a)〜(c)に示すように、ハンドルレバー41を初期位置から回動させていくと、軸部41aの突起部56が回動部材51におけるスリット55の一方端部に係合した状態で回動していく。これに伴い、回動部材51も回動する。そして従動部材52は、上述したギア51a,52aを介して回動部材51と連動して回動する。その結果、角度検知センサ50はハンドルレバー41の操作角度を検知することができる。
またハンドルレバー41は、上述したように、遊技者による引き込み操作によって、押圧バネ44の付勢力に抗して回動軸Rに沿って遊技機1の正面側に一定量移動可能である。図11は、ハンドル装置4の側面図である。図11(a)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われていない状態を示しており、図11(b)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われている状態を示している。図11(a)に示すように、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われていない状態では、ハンドルレバー41は押圧バネ44の付勢力によってベース部材40の拡径部に突き当てられた状態となっている。尚、この状態では、必ずしもハンドルレバー41とベース部材40の拡径部とが接触していなくても良い。これに対し、遊技者が押圧バネ44の付勢力に抗してハンドルレバー41を正面側に引き込むと、図11(b)に示すように、ハンドルレバー41は回動軸Rに沿って直線方向に正面側へと移動する。このとき、ハンドルレバー41は、遊技者による引き込み操作量に応じて最大移動量Xの範囲で移動する。
図12は、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って移動することによる回動部材51の動作を示す図である。図12(a)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われていない状態を示しており、図12(b)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われている状態を示している。本実施形態において回動部材51に形成される螺旋状のスリット55は、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向に移動すると、それに伴って回動部材51の回動角度を増加させる方向に形成されている。そしてハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向に移動すると、それに伴って軸部41aの突起部56も回動軸Rに沿って直線方向に移動する。このとき、突起部56は、スリット55の縁部を押圧しながら回動軸Rに沿って直線方向に移動する。その結果、回動部材51は、突起部56に押圧されて回動角度を増加させる方向にさらに回動することになる。
例えば図12(a)に示す状態で、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われると、軸部41aと連動して突起部56が遊技機1の正面側に移動していく。このとき、回動部材51は、上述したように抜け止めナット54と干渉して回動軸Rに沿った直線方向への移動は規制される。その結果、突起部56は、回動部材51のスリット55の縁部を押圧しながら、遊技機1の正面側に移動していくことになり、回動部材51を回動させる。そして最終的に、図12(b)に示すような状態となる。
ここで、図12(b)に示すように、ハンドルレバー41の最大移動量Xは、回動部材51に形成されたスリット55の回動軸Rに沿った方向の長さに相当する。したがって、スリット55の長さを調整することにより、最大移動量Xを適宜設定することが可能である。またハンドルレバー41が最大移動量Xとなるまで引き込み操作が行われた場合に、回動部材51がどの程度回動角度を増加させるかは、回動部材51の周壁部に対する螺旋状のスリット55の長さと角度に依存する。例えば回動軸Rの垂直面に対する螺旋状のスリット55の角度を小さくすれば、少ない移動量で回動部材51を大きく回動させることができる。しかし、その反面、ハンドルレバー41の引き込み操作を行う際の抵抗力が大きくなる。一方、回動軸Rの垂直面に対する螺旋状のスリット55の角度を大きくすれば、ハンドルレバー41の引き込み操作を行う際の抵抗力を小さくできる。しかし、この場合は、ハンドルレバー41の引き込み操作により回動部材51を大きく回動させることができなくなる。そのため、引き込み操作を行う際の抵抗力と、引き込み操作による回動部材51の回動量とのバランスを考慮すれば、回動軸Rの垂直面に対する螺旋状のスリット55の角度は例えば45°程度とすることが好ましい。そして、スリット55の長さを調整することにより、ハンドルレバー41が最大移動量Xとなるまで引き込み操作が行われた場合における回動部材51の回動角度の増加量を適宜設定することが好ましい。
上記のようにハンドルレバー41の引き込み操作が行われると、回動部材51は、それ以前の回動位置から更に回動して回動角度を増加させる。これにより、従動部材52を略最大角度まで回動させることができるようになるので、遊技者はハンドルレバー41を略最大角度位置まで回動させることなく、右打操作を行うことができるようになる。
図13は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われることによる回動部材51と従動部材52との一連の動作を示す斜視図である。例えば、図13(a)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われる前の状態(すなわち、右打操作が行われていない状態)を示しており、図13(b)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われている状態(すなわち、右打操作が行われている状態)を示している。図13(a)に示すように、ハンドルレバー41が遊技者によって所望の操作位置で保持されている状態でハンドルレバー41の引き込み操作が行われると、図13(b)に示すように、突起部56が回動軸Rに沿って直線状に移動する。これに伴い、回動部材51は回動角度を増加させるように
更に回動し、従動部材52も更に回動する。その結果、角度検知センサ50は、略最大角度位置まで操作されたことを検知し、遊技球の打球力を略最大にさせるような信号を出力する。
またハンドルレバー41の引き込み操作を行っている状態から元の操作状態に戻すときには、遊技者は、ハンドルレバー41の操作角度位置を保持した状態のまま、ハンドルレバー41を正面側に引き込んでいる力を緩めれば良い。すると、押圧バネ44の付勢力により、ハンドルレバー41は背面側に後退して元の位置に戻る。このとき、突起部56は、引き込み時とは異なるスリット55の縁部を押圧しながら回動軸Rに沿って直線方向に移動するので、回動部材51は、突起部56に押圧されて回動角度を減少させる方向に回動する。また従動部材52にも戻りバネ53が取り付けられているので、ハンドルレバー41を正面側に引き込む力が作用しなくなれば、回動部材51には、従動部材52に取り付けられている戻りバネ53の付勢力も作用する。その結果、回動部材51は、引き込み操作が行われる前の状態に戻る。
このように本実施形態のハンドル装置4は、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向に移動可能である。ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向へ移動することに伴って、突起部56が回動部材51のスリット55の縁部を押圧しながら回動軸Rに沿って移動し、この押圧力が回動部材51を回動させる。そして角度検知センサ50が検知する回動部材51の回動角度を変化させて右打操作を行うことができる構成である。それ故、このようなハンドル装置4によれば、遊技者はハンドルレバー41を最大角度位置まで回動させることなく右打操作を行うことができるので、ハンドルレバー41を初期位置へ向けて付勢する戻りバネ43の大きな反発力を受けることなく右打操作を行うことが可能である。
またハンドルレバー41の操作角度を調整することによって遊技球が第1始動口19に入球し易くなる打ち出し位置を探し出した後に、遊技機1において大当たりなどが発生して右打ち遊技状態となった場合、遊技者は、そのままの操作角度を保持した状態でハンドルレバー41の引き込み操作を行えば右打操作を行える。そして右打ち遊技状態が終了すれば、遊技者は、そのままの操作角度を保持した状態でハンドルレバー41の引き込み操作を止めて背面側に戻せば良い。このとき、ハンドルレバー41の操作角度は、右打ち遊技状態が開始される前の状態に戻るので、遊技者は、右打ち遊技状態が終了した後に所望の打ち出し位置を再度探し出す必要がなくなる。
次に図14は、遊技機1の制御機構の一例を示すブロック図である。図14に示すように、遊技機1は、各部を制御する制御基板として、メイン制御基板100と、払出制御基板110と、演出制御基板120と、発射制御基板130とを備えている。
メイン制御基板100は、遊技機1における遊技の進行に関する主たる制御を行う制御部である。このメイン制御基板100は、各種入賞口への入球を検知して賞球の払出コマンドを払出制御基板110に送出する。またメイン制御基板100は、第1始動口19又は第2始動口21への入球を検知した場合には、大当たり抽選のための乱数を取得し、その乱数に基づいて大当たり抽選を行う。そして大当たり抽選の結果に応じて上述した表示器30において第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を行うと共に、演出制御基板120に対して第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示に対応した演出を行うように演出コマンドを送出する。またメイン制御基板100は、上述した遊技状態を移行させる制御を行うように構成されており、例えば大当たり抽選で大当たりに当選すると、遊技状態を大入賞口開放遊技ST2へと移行させ、右打ち遊技状態へと変化させる。
演出制御基板120は、メイン制御基板100から受信する演出コマンドに基づいて、例えば画像表示器8において装飾図柄の変動表示を行ったり、各種の予告演出やリーチ演出などを表示したりする。また、演出制御基板120は、スピーカ5から演出音を発生させたり、枠ランプ6などを含む各種ランプの点灯制御も行う。
払出制御基板110は、メイン制御基板100から受信する払出コマンドに基づいて、遊技機1の背面側に設けられた払出モータ115を駆動することにより、賞球の払い出しを行う制御部である。払出制御基板110は、球詰まりなどにより賞球の払い出しができなくなると、発射制御基板130に対して発射停止信号を送出する。
発射制御基板130は、遊技球発射部140に対して発射コマンドを送出することにより、遊技領域13に対する遊技球の打ち出し動作を制御する処理部である。遊技球発射部140は、発射機構として、例えば発射ソレノイドを備えている。発射制御基板130は、遊技球発射部140が遊技球を打ち出す際の打球力を調整する。この発射制御基板130には、上述したハンドル装置4に設けられた角度検知センサ50、タッチセンサ60および停止スイッチ70が接続されており、これら各部からの信号を入力する。そして停止スイッチ70から遊技球の発射を停止させるための信号を入力しておらず、且つ、払出制御基板110からも発射停止信号を入力していない場合に、タッチセンサ60から遊技者の手がハンドルレバー41に触れていることを示す信号が入力してれば、角度検知センサ50から入力する信号に基づいて、遊技球発射部140を駆動する。すなわち、発射制御基板130は、角度検知センサ50が検知する回動部材51の回動角度に基づいて遊技球の打球力を決定し、遊技球発射部140に対し、その決定した打球力で遊技球を打ち出すように発射コマンドを送出する。そして遊技球発射部140は、その発射コマンドに基づいて発射ソレノイドを駆動することにより、遊技領域13に対して遊技球を打ち出す。
以上のように、本実施形態の遊技機1は、大入賞口開放遊技ST2などの特定の遊技状態において遊技盤10に設けられた遊技領域13の右側に遊技球を打ち出させる右打ち遊技状態となる構成である。そしてハンドルレバー41は回動軸Rに沿って移動可能であり、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向へ移動することに伴って、突起部56が回動部材51のスリット55の縁部を押圧しながら回動軸Rに沿って移動し、この押圧力が回動部材51を回動させ、角度検知センサ50が検知する回動部材51の回動角度を増加させて右打操作を行うことができるようになっている。それ故、遊技者は、遊技機1が特定の遊技状態になれば、ハンドルレバー41を回動軸Rに沿って直線方向に移動させることにより、右打ち遊技状態に対応した右打操作を行うことが可能である。このとき、ハンドルレバー41を最大角度位置まで回動させた場合と比較すると、ハンドルレバー41を操作する遊技者の手には、ハンドルレバー41を初期位置へ向けて付勢する戻りバネ43の大きな反発力を受けることはない。したがって、右打操作を行う場合であっても、ハンドルレバー41を操作する遊技者の手にかかる負担を軽減することができる。
また、本実施形態の遊技機1によれば、上記のようにハンドルレバー41を回動軸Rに沿って移動させることによって右打操作を行っていれば、右打ち遊技状態が終了した後に、遊技者が所望の打ち出し位置を探し出す手間を低減することができるようになる。それ故、遊技者がハンドルレバー41を操作する際の操作性を向上させることができるようになる。
また、本実施形態の遊技機1によれば、ハンドルレバー41を遊技機1の背面側に向かって押圧付勢する付勢手段として押圧バネ44が設けられている。そしてハンドルレバー41は、その押圧バネ44による付勢力に抗して遊技機1の正面側へ引き込み操作されることにより、回動軸Rに沿って遊技機1の正面方向に移動可能である。また突起部56は、ハンドルレバー41の引き込み操作に伴って回動部材51を略最大角度まで回動させるように構成されている。このようなハンドルレバー41の引き込み操作は、遊技者が意図的に行うことが必要な行為となっている。つまり、遊技者は、画像表示器8で行われる演出表示などに集中していくと、前のめりの姿勢になっていきやすい。これに伴い、遊技者は、特に意識することなく、ハンドルレバー41に遊技機1の背面側に押し込む方向の力を加えてしまう可能性がある。そのため、ハンドルレバー41を遊技機1の背面側に押し込む操作で右打操作となるような構成にしてしまうと、遊技者の不注意で突然右打操作状態となってしまい、遊技球が無駄に打ち出されるという可能性がある。これに対し、本実施形態のように、ハンドルレバー41が引き込み操作されることに伴って回動部材51が略最大角度まで回動するような構成とすることにより、遊技者が意図していないにもかかわらず、突然右打操作が行われてしまうことを防止することができるようになる。そして、遊技者が意図的にハンドルレバー41の引き込み操作を行った場合にのみ、右打操作状態とすることができるので、操作性がより一層向上する。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、回動部材51の周壁部に螺旋状のスリット55が形成され、ハンドルレバー41の軸部41aに突起部56が設けられた構成であり、回動部材51がハンドルレバー41の軸部41aの外側に装着される形態を例示した。これに対し、本実施形態では、回動部材51をハンドルレバー41の軸部41aの内側に装着するようにし、ハンドルレバー41の軸部41aに螺旋状のスリット55を設けると共に、回動部材51において軸部41aの内側に装着する装着部に突起部56を設けるようにした形態を説明する。
図15は、第2の実施の形態におけるハンドルレバー41の一構成例を示す図である。また図15は、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って移動することによる回動部材51の動作を示しており、図15(a)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われていない状態を示しており、図15(b)は、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われている状態を示している。
図15(a)および(b)に示すように、ハンドルレバー41の軸部41aは、円筒状に構成されている。その軸部41aの周面に、回動軸Rを中心とする螺旋状のスリットが所定長さ形成されている。一方、回動部材51は、ギア51aが形成されている部分よりも正面側の部分が軸部41aの内側に挿入装着される装着部となっている。回動部材51の装着部は例えば円筒状又は円柱状となっており、その周面の一部に突起部56が設けられている。
突起部56は、第1の実施の形態と同様に、例えば回動部材51の内側から外側に向けて押圧付勢されており、突起部56の先端を押し込めば回動部材51の内側に没入させることができる。そのため、回動部材51の装着部を軸部41aの内側に挿入装着する際には、突起部56を回動部材51の内側に没入させた状態とすることで装着可能である。このようにして回動部材51の装着部を軸部41aの内側に装着することにより、図15に示すように、スリット55の内側に突起部56が突出するように装着する。これにより、突起部56とスリット55とが互いに係合した状態となる。
上記のような構成により、ハンドルレバー41が遊技者によって回動軸R周りに回動操作されると、回動部材51はハンドルレバー41の軸部41aと供回りし、従動部材52を回動させる。その結果、角度検知センサ50によって回動部材51の回動角度が検知されるようになる。
そして本実施形態においても、ハンドルレバー41の軸部41aに形成される螺旋状のスリット55は、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向に移動すると、それに伴って回動部材51の回動角度を増加させる方向に形成されている。そしてハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向に移動すると、それに伴って軸部41aも回動軸Rに沿って直線方向に移動する。このとき、軸部41aは、スリット55の縁部が突起部56を押圧しながら回動軸Rに沿って直線方向に移動する。その結果、回動部材51の突起部56は、スリット55の縁部に押圧されながらスリット55の形成方向に移動(回動)していくようになる。これにより、回動部材51は、軸部41aから押圧されて回動角度を増加させる方向にさらに回動することになる。
例えば図15(a)に示す状態で、ハンドルレバー41の引き込み操作が行われると、軸部41aと連動してスリット55が遊技機1の正面側に移動していく。このとき、回動部材51は、第1の実施の形態と同様に、抜け止めナット54と干渉して回動軸Rに沿った直線方向への移動は規制される。その結果、回動部材51のスリット55の縁部が、突起部56を押圧しながら、遊技機1の正面側に移動していくことになり、回動部材51を回動させる。そして最終的に、図15(b)に示すような状態となる。
このように本実施形態においても、遊技者によりハンドルレバー41の引き込み操作が行われると、回動部材51は、それ以前の回動位置から更に回動して回動角度を増加させる。これにより、従動部材52を略最大角度まで回動させることができるようになるので、遊技者はハンドルレバー41を略最大角度位置まで回動させることなく、右打操作を行うことができるようになる。
以上のように本実施形態のハンドル装置4についても、ハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向に移動可能である。そしてハンドルレバー41が回動軸Rに沿って直線方向へ移動することに伴って、ハンドルレバー41の軸部41aに形成されたスリット55の縁部が回動部材51の突起部56を押圧しながら回動軸Rに沿って直線方向に移動し、この押圧力が回動部材51を回動させる。そして角度検知センサ50が検知する回動部材51の回動角度を変化させて右打操作を行うことができる構成である。それ故、このようなハンドル装置4においても、遊技者はハンドルレバー41を最大角度位置まで回動させることなく右打操作を行うことができるので、ハンドルレバー41を初期位置へ向けて付勢する戻りバネ43の大きな反発力を受けることなく右打操作を行うことが可能である。
また本実施形態においても、第1の実施の形態と同様に、遊技者は、右打ち遊技状態が終了した後に、所望の打ち出し位置を再度探し出す必要がなくなるので、操作性を向上させることができる。
尚、本実施形態におけるその他の構成は、第1の実施の形態で説明したものと同様である。
(変形例)
以上、本発明に関するいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態では、遊技機1が特定の遊技状態において右打ち遊技状態となるものを例示した。しかし、遊技機1は必ずしもそのようなものには限られない。すなわち、上述したハンドル装置4は、右打ち遊技状態となることがない遊技機にも適用可能なものである。
また上記実施形態では、遊技者がハンドルレバー41を遊技機1の正面側に引き込む操作を行った場合に、右打操作となる例を説明した。しかし、右打操作状態とするための操作態様は必ずしもハンドルレバー41の引き込み操作に限られない。すなわち、遊技者がハンドルレバー41を遊技機1の背面側に押し込む操作を行った場合に、右打操作となる操作態様であっても構わない。ただし、上述したように、ハンドルレバー41の押し込み操作で右打操作状態とする構成の場合には、遊技者が意図していないにもかかわらず突然右打操作状態となってしまう可能性が高い。そのため、それを防止するためには、上述した各実施形態のように、ハンドルレバー41の引き込み操作で右打操作状態となるようにする構成がより好ましい。