JP5376149B2 - 親水性シリカコーティング発泡金属体 - Google Patents

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この発明は、長期間の使用に亘って親水性が維持されるシリカコーティング発泡金属体に関するものである。
発泡金属等の多孔質金属の骨格の表面にシリカをコーティングした多孔質金属体は、例えば、燃料電池のガス拡散層、ルームエアコン、カーエアコンなどの熱交換器用のフィン材料、半導体チップのベーバチャンバウィック材料等として、従来から、各種技術分野において幅広く利用されている(特許文献1〜3参照)。
上記シリカをコーティングした多孔質金属体においては、いずれも、多孔質金属体の親水性向上が大きな課題とされ、種々の工夫がなされているが、例えば、発泡金属の骨格表面を、C:2.5〜15質量%を含有し、残部がシリカからなるシリカコーティング層を被覆形成することにより、親水性の向上を図ることが知られている(特許文献4参照)。
また、発泡金属からなる多孔質金属の製造方法としては、例えば、原料粉末、水溶性樹脂結合剤、可塑剤、気泡剤および水を配合し混練して発泡スラリーを作製し、この発泡スラリーをキャリアシート上にドクターブレードなどにより薄板状に成形し、恒温・高湿度槽において前記発泡スラリーに含まれる揮発性有機溶剤の蒸気圧および界面活性剤の起泡性を利用して発泡させ、さらに乾燥槽において乾燥させて発泡グリーンシートを製造し、この発泡グリーンシートを脱脂装置および焼成炉を通し脱脂、焼成することにより製造することが知られている。(特許文献4、5参照)。
特開2006−100155号公報 特許第3818882号明細書 特開2009−92344号公報 特開2008−195016号公報 特開2004−43976号公報
前記従来の多孔質金属の骨格表面にシリカをコーティングしたシリカコーティング多孔質金属体は、長期間にわたり使用された場合には、時間の経過とともに親水性が徐々に失われていく。そして、親水性の低下により、例えば、燃料電池のガス拡散層においては発電性能の低下が生じ、ルームエアコン、カーエアコンなどの熱交換器用フィン材料においては、熱交換特性の低下、水滴飛散、騒音の発生が生じ、また、半導体チップのベーバチャンバウィック材料においては、熱輸送効率の低下等、種々の問題が生じていた。
そこで、この発明では、長期の使用に亘っても、親水性の低下が生じることのないシリカコーティング発泡金属体を提供することを目的とする。
本発明者は、長期間に亘って親水性を保持し得るシリカコーティング発泡金属体を得るべく研究を行なった結果、次のような知見を得たのである。
即ち、発泡金属の骨格表面が、平均膜厚0.01〜1μmのシリカで被覆されてなるシリカコーティング発泡金属体において、発泡金属に占める空隙全体の体積割合(以下、気孔率という)を50〜99体積%とするとともに、発泡金属の少なくとも一つの最外面、好ましくは、流体の流れ方向に沿って平行な、発泡金属の最外面、に開口する空隙の面積割合(以下、開口率という)は、該最外面の面積の5〜80面積%とし、かつ、最外面に開口する空隙の上記開口率を、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙開口の面積割合(以下、断面開口率という)より小さくすることにより、シリカコーティング発泡金属体の毛細管力が長時間に亘って維持されるため親水性が格段に向上し、その結果、長時間の使用においても、シリカコーティング発泡金属体の親水性の劣化が生じないことを見出したのである。
ここで、発泡金属とは、Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼等の金属焼結体の骨格により辺が構成されてなる複数の多面体状の空隙が相互に連続状態に形成されている金属多孔質体をいい、空隙は、骨格により辺が構成された複数の多面体状のポア(気孔)が相互に連続するように形成されている。
そして、発泡金属に占める空隙全体の体積割合(気孔率)は、発泡金属の重量をWpおよび同じ外形寸法の中実体の同じ金属材料とした時の重量をWとした場合、
気孔率(体積%)=(W−Wp)/W×100
によって算出する。
この発明の発泡金属(焼結金属)は、その最外面に多数の空隙開口を有しており、この最外面に開口する空隙の面積割合(開口率)は、最外面を撮影した25〜300倍の顕微鏡写真を用い、視野面積Aと、この視野中に観察される最外面の全ての空隙開口の面積和Apとを観察測定した場合、
開口率(面積%)=Ap/A×100
によって算出することができる。
また、発泡金属(焼結金属)の内部であって、最外面に平行な任意の断面に占める空隙開口の面積割合(断面開口率)は、上記開口率の算出の場合と同様、断面を撮影した25〜300倍の顕微鏡写真を用い、断面視野面積Acと、断面視野中に観察される全ての空隙開口の面積和Acpとを測定し、
断面開口率(面積%)=Acp/Ac×100
によって算出することができる。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 発泡金属の骨格表面が、テトラエトキシシランを含有するシリカコート液に浸漬することにより平均膜厚0.01〜1μmのシリカで被覆されてなるシリカコーティング発泡金属体において、発泡金属の空隙全体の気孔率は50〜99体積%であり、また、発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率は、該最外面の面積の5〜80面積%であり、さらに、最外面に開口する空隙の上記開口率は、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さいことを特徴とするシリカコーティング発泡金属体。
(2) 前記発泡金属の骨格が、Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼のうちのいずれかで構成されている前記(1)に記載のシリカコーティング発泡金属体。」
に特徴を有するものである。
この発明の長期間の使用に亘って親水性が維持されるシリカコーティング発泡金属体は、発泡金属の最外面における空隙の存在割合と該発泡金属の内部断面における空隙の存在割合とを敢えて異ならしめることにより、シリカコーティング発泡金属体全体としての、長期間使用による毛細管力の低下を防止するとともに、親水性の劣化防止を図るものである。
まず、シリカコーティング発泡金属体は、発泡金属の骨格表面に、平均膜厚0.01〜1μmのシリカを被覆することによって親水性を高めるものであるが、被覆するシリカの平均膜厚が0.01μm未満では、シリカコーティング発泡金属体が十分な親水性を有することができず、一方、シリカの平均膜厚が1μmを超えると、シリカコーティング膜にクラックが発生し、脱落しやすくなり、長期間にわたる親水性の維持が困難になることから、この発明では、発泡金属の骨格表面に被覆するシリカの平均膜厚を0.01〜1μmと定めた。
ここで、被覆したシリカの平均膜厚は、シリカコーティング重量と発泡金属の比表面積から算出することができる。
また、この発明では、発泡金属に形成された空隙全体の気孔率(=(W−Wp)/W×100(体積%)。但し、Wp:発泡金属の重量,W:同じ外形寸法の中実体の同じ金属材料とした時の重量)は、50〜99体積%とすることが必要である。
気孔率が50体積%未満では、シリカコーティング発泡金属体中の毛細管として働く空隙が不足し、親水性向上効果を十分に発揮することができず、一方、気孔率が99体積%を超えると、シリカコーティング発泡金属体としての強度が不足するため、気孔率は50〜99体積%とすることが必要である。
この発明では、シリカコーティング発泡金属体の長時間使用による経時変化(劣化)を防止すべく、発泡金属の少なくとも一つの最外面、好ましくは、流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面、に開口する空隙の開口率(=Ap/A×100(面積%)。但し、Ap:視野中に観察される最外面の全ての空隙開口の面積和,A:視野面積)を5〜80面積%と定め、かつ、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さくするように空隙の存在形態を調整構成する。
図1に、Ti製発泡金属の空隙の存在形態についての一例を示す。
図1(a)は、Ti製発泡金属(厚さ:2.0mm)の最外面の顕微鏡像であり、この顕微鏡写真により求めた開口率は14面積%であり、また、図1(b)は、上記Ti製発泡金属の厚さ中央部分かつ最外面に平行な断面における顕微鏡像であり、この顕微鏡写真により求めた厚さ中央部分断面に占める開口空隙の面積割合(断面開口率)は83面積%である。
図1(a),(b)にも例示したように、この発明では、発泡金属の最外面における空隙の存在割合と該発泡金属の内部における空隙の存在割合とを敢えて異ならしめることにより、シリカコーティング発泡金属体全体としての長期間使用による、毛細管力の低下を防止するとともに、親水性の劣化防止を図る。
発泡金属の少なくとも一つの最外面、好ましくは、流体の流れ方向に沿って平行な発泡金属の最外面、に開口する空隙の開口率(=Ap/A×100(面積%))が5面積%未満であると、流体の流入口となる開口が少なすぎるため、流体の吸収や移動を妨げる。一方、開口率が80面積%を超えると、流体を保持できなくなるため、自然落下に逆らうような流体の移動が難しくなることから、発泡金属の少なくとも一つの最外面の開口率を5〜80面積%と定めた。
さらに、上記発泡金属の開口率は、断面開口率(=Acp/Ac×100(面積%))より小さいものとするが、その理由は、毛細管圧力差により、流体の引き込み力を増し、流体の移動速度を速くするためである。
気孔率が50〜99体積%、開口率が5〜80面積%、かつ、開口率が断面開口率より小さな発泡金属の骨格表面に、平均膜厚0.01〜1μmのシリカを被覆した本発明のシリカコーティング発泡金属体は、例えば、以下に示す製造方法によって作成することができる。
発泡性スラリー作成工程:
まず、金属粉末と発泡剤とを含有する発泡性スラリーを作成する。
発泡性スラリーは、骨格を形成する金属粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、発泡剤および水と、必要に応じて界面活性剤および/または可塑剤とを混合することにより作成される。
より具体的には、まず金属粉末、バインダおよび水を含有するスラリーを作成した後、このスラリーに発泡剤を添加し、ミキサーなどの攪拌装置で攪拌する。金属粉末としては、特に限定されず、Ni,Cu,Ti,Al,Ag,ステンレス鋼等を用いることができる。
また、この金属粉末は平均粒径0.5μm以上30μm以下が好ましい。このような粉末は、水アトマイズ法,プラズマアトマイズ法などのアトマイズ法、酸化物還元法,湿式還元法,カルボニル反応法などの化学プロセス法によって製造することができる。
バインダ(水溶性樹脂結合剤)としては、メチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースアンモニウム,エチルセルロース,ポリビニルアルコールなどを使用することができる。
発泡剤は、ガスを発生してスラリーに気泡を形成できるものであればよく、揮発性有機溶剤、例えば、ペンタン,ネオペンタン,ヘキサン,イソヘキサン,イソペプタン,ベンゼン,オクタン,トルエンなどの炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤を使用することができる。この発泡剤の含有量としては、発泡性スラリーに対して0.1〜5重量%とすることが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩,α‐オレフィンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルエーテル硫酸エステル塩,アルカンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤、ポリエチレングリコール誘導体,多価アルコール誘導体などの非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤などを使用することができる。
可塑剤は、スラリーを成形して得られる成形体に可塑性を付与するために添加され、例えばエチレングリコール,ポリエチレングリコール,グリセリンなどの多価アルコール、鰯油,菜種油,オリーブ油などの油脂、石油エーテルなどのエーテル類、フタル酸ジエチル,フタル酸ジNブチル,フタル酸ジエチルヘキシル,フタル酸ジオクチル,ソルビタンモノオレート,ソルビタントリオレート,ソルビタンパルミテート,ソルビタンステアレートなどのエステル等を使用することができる。
さらに、スラリーの特性や成形性を向上させるために任意の添加成分を加えてもよい。例えば、防腐剤を添加してスラリーの保存性を向上させたり、結合助材としてポリマー系化合物を加えて成形体の強度を向上させたりすることができる。
このように作成した発泡性スラリーから、成形装置を用いて、グリーンシートを形成する成形工程および発泡乾燥工程を行う。
成形工程:
成形装置は、ドクターブレード法を用いてシートを形成する装置であり、発泡性スラリーが貯留されるホッパ、ホッパから供給された発泡性スラリーを移送するキャリアシート、キャリアシートを支持するローラ、キャリアシート上の発泡性スラリーを所定厚さに成形するブレード(ドクターブレード)、発泡性スラリーを発泡させる恒温・高湿度槽、発泡したスラリーを乾燥させる乾燥槽を備えている。
なお、キャリアシートの下面は、支持プレートによって支えられている。
上記の成形装置において、まず、均一化した発泡性スラリーをホッパに投入しておき、このホッパから発泡性スラリーをキャリアシート上に供給し、キャリアシート上に供給された発泡性スラリーは、キャリアシートとともに移動しながらブレードによって薄板状に成形される。
発泡乾燥工程:
次いで、薄板状の発泡性スラリーは、所定条件(例えば温度30℃〜40℃、湿度75%〜95%)の恒温・高湿度槽内を、例えば10分〜20分かけて移動しながら発泡する。続いて、この恒温・高湿度槽内で発泡したスラリーは、所定条件(例えば温度50℃〜80℃)の乾燥槽内を例えば10分〜20分かけて移動し、乾燥される。
これにより、スポンジ状のグリーンシートが得られる。
焼結工程:
このようにして得られたグリーンシートを脱脂・焼結することにより、薄板状の焼結体を形成する。
具体的には、例えば真空中、温度550℃〜650℃、25分〜35分の条件下でグリーンシート中のバインダ(水溶性樹脂結合剤)を除去(脱脂)した後、さらに、真空中、1200℃〜1300℃、60分〜120分の条件下で焼結する。
なお、焼結後、圧延することにより、任意の厚さ、気孔率に調整することが可能である。
例えば、焼結後、5〜90%の圧延率で圧延することによって、本発明の気孔率50〜99体積%を得ることができる。
ここで、圧延率とは、[1−(圧延後の板厚/圧延前の板厚)]×100で表される。
また、開口率、断面開口率の調整については、金属粉末の種類、スラリーの組成、キャリアシートの表面状態、恒温・高湿度槽の条件(温度、湿度、時間、圧力等)、乾燥槽の条件(温度、時間、圧力等)によって変化するが、具体的な条件については後記実施例に示すとおりである。
この発明のシリカコーティング発泡金属体は、従来のシリカコーティング発泡金属体(多孔質金属体)と比べて、すぐれた親水性を長期間に亘って維持・発揮することができるとともに、長期間使用による毛細管力の持続が可能である。さらに、親水性が維持されることによって、長期に亘る表面汚染防止、水の保持力の持続という効果も得られる。
本発明のシリカコーティングTi製発泡金属体(実施例1)の、シリカコーティング前の顕微鏡像を示し、(a)は、最外面の開口空隙(開口率14%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示し、(b)は、厚さ方向中央部断面における開口空隙(断面開口率83%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。 本発明のシリカコーティングCu製発泡金属体(実施例4)の、シリカコーティング前の最外面の開口空隙(開口率77%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
本発明について、実施例を用いて以下に説明する。
なお、ここでは、シリカコーティングTi製発泡金属体、シリカコーティングCu製発泡金属体およびシリカコーティングNi製発泡金属体について説明するが、本発明はこれらに制限されるものではなく、Al、Ag、ステンレス鋼等の発泡金属からなるシリカコーティング発泡金属体についても適用できるものである。
Ti製発泡金属の作製:
金属粉末として平均粒径10μmのTi粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース10%を含む水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意し、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤10質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤3質量%、発泡剤0.6質量%、残部:水となるように配合し、15分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.5mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を20分かけて移動し、引き続き温度80℃の乾燥槽内を20分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度550℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度1200℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率70%を有し、厚さ2.0mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するTi製発泡金属を作製した。
得られたTi製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
シリカコーティングTi製発泡金属体の作製:
これらの試験片を、表1に示す配合割合のシリカコート液(テトラエトキシシランを含有)に浸漬し、大気乾燥機にて、60℃、60分間保持の条件で乾燥し、Ti製発泡金属からなる骨格表面に表2に示す平均膜厚のシリカコーティング層を形成し、本発明のシリカコーティングTi製発泡金属体1〜3(実施例1〜3という)を作製した。
表2に、実施例1〜3について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および断面開口率(面積%)およびシリカコーティング層の平均膜厚の値を示す。
また、図1(a)に、実施例1のTi製発泡金属の最外面の開口空隙(開口率14%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示し、図1(b)に、実施例1の中央断面における開口空隙(断面開口率83%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
Cu製発泡金属の作製:
金属粉末として平均粒径8μmのCu粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース10%を含む水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意し、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤10質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤6質量%、発泡剤3質量%、残部:水となるように配合し、15分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.05mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を20分かけて移動し、引き続き温度80℃乾燥槽内を20分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、大気中、温度450℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて水素雰囲気中、温度900℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率93%を有し、厚さ0.2mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するCu製発泡金属を作製した。
得られたCu製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
シリカコーティングCu製発泡金属体の作製:
これらの試験片を、表1に示す配合割合のシリカコート液(テトラエトキシシランを含有)に浸漬し、大気乾燥機にて、60℃、60分間保持の条件で乾燥し、Cu製発泡金属からなる骨格表面に表2に示す平均膜厚のシリカコーティング層を形成し、本発明のシリカコーティングCu製発泡金属体4〜6(実施例4〜6という)を作製した。
表2に、実施例4〜6について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および断面開口率(面積%)およびシリカコーティング層の平均膜厚の値を示す。
また、図2に、実施例4のCu製発泡金属の最外面の開口空隙(開口率77%)の顕微鏡像(倍率:250倍)を示す。
Ni製発泡金属の作製:
金属粉末として平均粒径5μmのNi粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース10%を含む水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意し、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤10質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤3質量%、発泡剤1質量%、残部:水となるように配合し、15分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.3mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を20分かけて移動し、引き続き温度80℃乾燥槽内を20分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度550℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度1000℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率93%を有し、厚さ0.2mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するNi製発泡金属を作製した。
得られたNi製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
シリカコーティングNi製発泡金属体の作製:
これらの試験片を、表1に示す配合割合のシリカコート液(テトラエトキシシランを含有)に浸漬し、大気乾燥機にて、60℃、60分間保持の条件で乾燥し、Ni製発泡金属からなる骨格表面に表2に示す平均膜厚のシリカコーティング層を形成し、本発明のシリカコーティングNi製発泡金属体7〜9(実施例7〜9という)を作製した。
表2に、実施例7〜9について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および断面開口率(面積%)およびシリカコーティング層の平均膜厚の値を示す。
比較のために、特許文献4(特開2008−195016号公報)に記載される方法で、Ti製発泡金属にシリカコーティングを行い、比較例のシリカコーティング多孔質Ti1〜3(比較例1〜3という)を作製した。
即ち、実施例1〜3と同様な方法で、Ti製発泡金属試験片を作製した後、Ti製発泡金属試験片を、シランカップリング剤(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を10倍率のエタノールで希釈(比較例1)、または、50倍率のエタノールで希釈(比較例2)、または、100倍率のエタノールで希釈(比較例3)した溶液に浸漬し、大気乾燥機にて50℃、10分間保持の条件で乾燥した。その後、これを大気中、温度400℃、10分間保持の焼成を行い、骨格表面にC:2.5〜15質量%を含有し、残部がシリカからなる成分組成のシリカコーティング層を形成し、比較例のシリカコーティング多孔質Tiを作製した。

参考のため、シリカコーティングを行わない焼結上がりのTi製発泡金属試験片を参考例1とした。
また、本発明で規定する気孔率、開口率、断面開口率の条件から外れたシリカコーティングTi製発泡金属体を参考例2として作製した。
参考例2のシリカコーティングTi製発泡金属体の作成手順は次のとおりである。
まず、金属粉末として平均粒径20μmのTi粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としてメチルセルロース、可塑剤としてエチレングリコール、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、これらを原料粉末20質量%、水溶性樹脂結合剤7質量%、可塑剤1質量%、界面活性剤0.1質量%、残部:水となるように配合し、30分間攪拌し、発泡スラリーを作製した。
得られた発泡スラリーをブレードギャップ0.5mmでドクターブレード法によりキャリアシート上に成形し、恒温・高湿度槽に供給し、そこで温度35℃、湿度90%の恒温・高湿度槽内を5分かけて移動し、引き続き温度110℃の乾燥槽内を5分かけて移動し、スポンジ状のグリーンシートを作製した。
このグリーンシートをキャリアシートから剥離し、アルミナ板上に載せ、真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度550℃、180分間保持の条件で脱脂し、引き続いて真空焼結炉で、雰囲気5×10−3Pa、温度1200℃、1時間保持の条件で焼結し、圧延することにより、気孔率45%を有し、厚さ0.8mmを有し、かつ、表面に開口し内部の空隙に連続している連続空隙を有するTi製発泡金属を作製した。
得られたTi製発泡金属を縦20mm、横20mmの寸法になるように切断して試験片を作製した。
これらの試験片を、表1に示す配合割合のシリカコート液に浸漬し、大気乾燥機にて、60℃、60分間保持の条件で乾燥し、Ti製発泡金属からなる骨格表面にシリカコーティング層を形成することにより、参考例2のシリカコーティングTi製発泡金属体(参考例2)を作製した。
表2に、比較例1〜3および参考例1,2について測定・算出した気孔率(体積%)、開口率(面積%)および断面開口率(面積%)およびシリカコーティング層の平均膜厚の値を示す。
親水性評価試験:
上記の実施例1〜9、比較例1〜3および参考例1,2について、長期間使用条件下における親水性の良否を評価するため、以下の条件で親水性評価試験を実施した。
即ち、常温の水道水20mL/分の流水に1時間浸漬し、その後、大気中150℃で2〜12時間乾燥し、この試料を用い、スポイトにて蒸留水0.005mlを滴下し、蒸留水が吸い込まれるか、それとも、液滴のまま残るかを観察することにより、親水性の有無を判断した。
この操作を繰り返し行ない、液滴のまま残ることにより親水性無と判断されるまで続け、親水性が保持された回数を表2に示した。

表2に示す親水性評価試験の結果から、本発明の実施例1〜9については、親水性保持回数は100回を超えるものであることから、すぐれた親水性を長期間の使用条件下において備えることは明らかである。
これに対して、C:2.5〜15質量%を含有し、残部がシリカからなるシリカコーティングを行った比較例1〜3および参考例1,2では、親水性保持回数はせいぜい53回以下であり、本発明に比して、長期間の使用条件下における親水性がはるかに劣ることが分かる。
本発明のシリカコーティング発泡金属体は、長期間の使用条件下においてすぐれた親水性を維持し、また、毛細管力の持続、長期に亘る表面汚染防止、水の保磁力の持続などの効果も得られることから、例えば、燃料電池のガス拡散層、ルームエアコン、カーエアコンなどの熱交換器用のフィン材料、半導体チップのベーバチャンバウィック材料等として、長期にわたり安定した特性が必要とされる多方面の分野への適用が大いに期待できる。

Claims (2)

  1. 発泡金属の骨格表面が、テトラエトキシシランを含有するシリカコート液に浸漬することにより平均膜厚0.01〜1μmのシリカで被覆されてなるシリカコーティング発泡金属体において、発泡金属の空隙全体の気孔率は50〜99体積%であり、また、発泡金属の少なくとも一つの最外面に開口する空隙の開口率は、該最外面の面積の5〜80面積%であり、さらに、最外面に開口する空隙の上記開口率は、該最外面に平行な発泡金属内部の任意の断面における空隙の断面開口率より小さいことを特徴とするシリカコーティング発泡金属体。
  2. 前記発泡金属の骨格が、Ti、Cu、Ni、Al、Ag、ステンレス鋼のうちのいずれかで構成されている請求項1に記載のシリカコーティング発泡金属体。
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