JP5568942B2 - 抗菌部材 - Google Patents

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Description

この発明は、飲料用水、工業用水等の抗菌処理等に用いられる抗菌部材に関するものである。
水中に存在する様々な菌を除去する方法として、例えば銀、銅、亜鉛等の抗菌作用を有する金属イオンを水に供給するものが広く提供されている。ここで、銀をそのまま水に接触させたとしても、銀イオンが溶出する速度が遅く、充分な抗菌処理を行うことができないことが知られている。
そこで、上述の金属イオンを供給する抗菌部材として、例えば特許文献1、2に示すように、銀、銅、亜鉛等の金属を、イオン交換により結晶質のゼオライトに担持させたものや、イオン交換によってアルミノ珪酸塩に担持させたものが提案されている。
また、特許文献3には、多孔質のシリカの細孔内に、高い殺菌性能を有するリン酸銀化合物を担持させたものが提案されている。さらに、特許文献4には、シリカゲルの表面に、金属イオンを保持する抗菌性アルミノ珪酸塩層を形成したものが提案されている。
上述のような従来の抗菌部材においては、抗菌作用を有する金属等を、多孔質のセラミックスの孔内に物理的若しくは化学的にセラミックスに担持、吸着させたものであり、この抗菌部材を処理対象の水に接触させることによって、金属イオンを水へと放散し、抗菌処理を行うものである。
特開昭60−181002号公報 特開昭62−070221号公報 特許第3572353号公報 特許第2965488号公報
ところで、従来の抗菌部材を用いて水の抗菌処理を行う場合には、金属イオン供給物質等を担持する多孔質のセラミックスを水中に長期間浸漬させることになる。すると、セラミックス自体が劣化して微粉化してしまい、担持されていた金属イオン供給物質等が流失してしまうため、抗菌処理を長期間安定して行うことができないといった問題があった。
また、金属イオン供給物質等は多孔質のセラミックスに物理的若しくは化学的に担持されているが、セラミックスと金属イオン供給物質等との接合が強固なものではないため、水の流れや振動等によって金属イオン供給物質等が脱落してしまい、金属イオンを供給できなくなってしまうといった問題があった。
すなわち、従来のように、セラミックス等の多孔質材に金属イオン供給物質等を担持させたものでは、長期間にわたって安定した抗菌作用を十分に奏功せしめることが困難であった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、安定して金属イオンを供給でき、長期間にわたって安定した抗菌作用を十分に奏功せしめることが可能な抗菌部材を提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明の抗菌部材は、銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体からなり、この焼結体は、少なくともAgとPとOとを含有する化合物を有しており、前記焼結体の表面に、前記化合物の少なくとも一部が露呈されており、前記焼結体は、0.01wt%以上0.1wt%以下のPを含有していることを特徴としている。
このような構成とされた本発明の抗菌部材においては、銀粉末の焼結体からなり、この焼結体の表面に少なくともAgとPとOとを含有する化合物が露呈されているので、この化合物を介して、銀の焼結体の表面から銀イオンを効率良く溶出させることが可能となり、水等の抗菌処理を行うことができる。すなわち、AgとPとOとを含有する化合物(例えばリン酸銀化合物)を銀粉末の焼結体の表面に露呈させることで、Agの水への溶出速度が向上し、抗菌作用を十分に奏功せしめることが可能となり、抗菌部材として利用することができるのである。
また、銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体で構成されていることから、従来のようにセラミックスからなる多孔質体に比べて、耐久性が高く、劣化して微粉化するおそれがない。また、焼結体自体が銀を主成分とする粉末で構成されており、この焼結体の表面に少なくともAgとPとOとを含有する化合物が露呈されているので、Agイオンの溶出源が、水の流れや振動等によって焼結体から流出してしまうおそれがない。
よって、本発明の抗菌部材によれば、長期間にわたって安定した抗菌作用を十分に奏功せしめることが可能となる。
さらに、前記焼結体が、Pを0.01wt%以上添加されたAg合金で構成されているので、焼結体の表面に、少なくともAgとPとOとを含有する化合物を数多く露呈させることができ、水等の抗菌処理を行うことができる。なお、Pの含有量が0.1wt%を超える場合には、この焼結体を粉末焼結する際に、PとAgの化合物がAg粉末の表面に過度に存在することになり、焼結性が著しく阻害されることになる。このため、Pの含有量は0.1wt%以下に設定する必要がある。
ここで、前記焼結体の表面の2次電子像観察において、縦20μm×横24μmの観察視野内に、10ヶ以上の粒状の前記化合物が観察されることが好ましい。
この場合、Agイオンの溶出速度を向上させる化合物の数が確保され、Agイオンの溶出を確実に促進することができる。また、長期間にわたって安定してAgイオンを溶出することが可能となる。
また、前記焼結体の粒界部分に、前記化合物が配置されていることが好ましい。
この場合、例えばこの抗菌部材を長期間にわたって水中に浸漬した場合に、焼結体の表面に露呈された前記化合物の露出面積(水との接触面積)が減少しても、粒界部分から新たな化合物が露呈されることになる。よって、長期間にわたって安定してAgイオンを溶出することが可能となり、安定した抗菌作用を奏功せしめることが可能となる。
また、前述の抗菌部材においては、前記焼結体の比表面積を、0.001m/g以上0.2m/g以下の範囲内に設定してもよい。
焼結体の比表面積を0.001m/g以上0.2m/g以下の範囲内に設定することにより、焼結体は多孔質体を構成することになる。ここで、焼結体の比表面積が0.001m/g未満であると、水との接触面積が比較的小さくなり、効率的にAgイオンを溶出させることができない。また、Agイオンの溶出量を確保するためには、銀の重量を増加させる必要がある。一方、焼結体の比表面積が0.2m/gを超えると、剛性が不十分となり、焼結体が崩壊してしまうおそれがある。また、焼結体を焼結する前の状態において、構造体として保持されなくなる。
このため、焼結体の比表面積は、0.001m/g以上0.2m/g以下の範囲内に設定することが好ましい。
本発明によれば、安定して金属イオンを供給でき、長期間にわたって安定した抗菌作用を十分に奏功せしめることが可能な抗菌部材を提供することができる。
本発明の第1の実施形態である抗菌部材の表面の2次電子像である。 図1に示す2次電子像において観察された粒状物質の定性分析の結果である。 本発明の第1の実施形態である抗菌部材の製造方法を示すフロー図である。 図3に示す抗菌部材の製造方法に用いられる成形装置の説明図である。 本発明の第2の実施形態である抗菌部材の説明図である。 本発明の第2の実施形態である抗菌部材の製造方法を示すフロー図である。 図6に示す抗菌部材の製造方法に用いられる成形装置の説明図である。 実施例2の結果を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
まず、本発明の第1の実施形態である抗菌部材について、図1から図4を用いて説明する。
本発明の第1の実施形態である抗菌部材10は、銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体であり、本実施形態では板状をなしている。
この抗菌部材10は、0.01wt%以上0.1wt%以下のPを含み、残部がAgと不可避不純物とからなるAg合金で構成されている。なお、本実施形態では、さらに、Pの含有量を0.03wt%以上0.06wt%以下に限定している。
図1に、本実施形態である抗菌部材10の表面のオージェ電子分光法(AES)による2次電子像(加速電圧10kV)を示す。図1に示すように、抗菌部材10の表面には、粒状物質15が分散配置されている。本実施形態では、図1に示すように、縦20μm×横24μmの観察視野内に、10ヶ以上の粒状物質15が観察されている。なお、この粒状物質15をオージェ電子分光法(AES)にて定性分析した結果、図2に示すように、この粒状物質15は少なくともAgとPとOとを含有している。
すなわち、本実施形態である抗菌部材10は、少なくともAgとPとOとを含有する化合物からなる粒状物質15を有しており、抗菌部材10の表面に、化合物の粒状物質15の少なくとも一部が露呈されているのである。
さらに、抗菌部材10の粒界部分にも、少なくともAgとPとOとを含有する化合物が配置されている。
次に、この抗菌部材10の製造方法について、図3に示すフロー図を参照して、各工程ごとに説明する。
(金属粉末作製工程S1)
まず、0.01wt%以上0.1wt%以下(本実施形態では、0.03wt%以上0.06wt%以下)のPを含み、残部がAgと不可避不純物とからなるAg合金からなる金属粉末を準備する。この銀粉末は、水アトマイズ法、プラズマアトマイズ法等のアトマイズ法、酸化還元法、カルボニル反応法等の公知の手段によって製造することが可能である。なお、水アトマイズ法によって金属粉末を作製する場合には、溶湯にリン酸銀粉末を添加することによってP量を調整することが可能である。
ここで、本実施形態では、Ag合金からなる金属粉末の粒径を、0.5μm以上30μm以下とした。
(スラリー作製工程S2)
前述のようにして得られた金属粉末に、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、水、と、必要に応じて可塑剤を混合してスラリーを作製する。
ここで、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、エチルセルロース、ポリビニルアルコールなどを使用することが可能である。
可塑剤は、スラリーSを成形して得られる成形体に可塑性を付与するために添加されるものであり、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール。グリセリンなどの多価アルコール、鰯油、菜種油、オリーブ油などの油脂、石油エーテルなどのエーテル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレートなどのエステル等を使用することができる。
これら金属粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、水、可塑剤以外に、他の成分を添加してもよい。例えば、防腐剤を添加してスラリーSの保存性を向上させてもよい。あるいは、結合助剤としてポリマー系化合物を加えて成形体の強度を向上させてもよい。
本実施形態では、バインダーとして、メチルセルロースを使用した。可塑剤として、ポリエチレングリコールを使用した。 これらの原料を、金属粉末:5〜80質量%、バインダー:0.5〜20質量%、可塑剤:0.1〜15質量%、水:残部、の比率で混合して、スラリーSを作製した。
このようにして成形されたスラリーSは、図4に示す成形装置20によってグリーンシートGが形成されることになる。
この成形装置20は、スラリーSを貯留するホッパ21と、ホッパ21から供給されたスラリーSを移送するキャリアシート22と、キャリアシート22を支持するローラ23と、キャリアシート22上に載置されたスラリーSを所定の厚さに成形するブレード24と、成形されたスラリーSを乾燥させる乾燥槽26と、を備えている。
(成形工程S3)
まず、均一化したスラリーSをホッパ21に貯留しておき、このホッパ21からキャリアシート22上にスラリーSを供給する。このキャリアシート22は、ローラ23によって後段側(図4において右側)に向けて移送される。キャリアシート22上に載置されたスラリーSは、キャリアシート22とともに移送され、ブレード24によって薄板状に成形される。本実施形態では、幅20〜300mm、厚さ0.3〜3mmの薄板状に成形するように構成されている。
(乾燥工程S4)
薄板状に成形されたスラリーSは、キャリアシート22とともに乾燥槽26へと移送される。この乾燥槽26内は、例えば温度50〜70℃に調整されており、薄板状に成形されたスラリーSが、この乾燥槽26内を、例えば10〜20分かけて通過する。このように乾燥槽26内を通過する際に、薄板状に成形されたスラリーSが乾燥される。これにより、グリーンシートGが得られることになる。
(脱脂工程S5)
次に、成形装置20によって成形されたグリーンシートGを、脱脂炉に装入し、例えば、大気雰囲気で、450〜550℃、25〜30分間保持する。これにより、グリーンシートに含まれる脂分(有機バインダー等)が揮発除去される。
(焼結工程S6)
そして、脱脂されたグリーンシートGを、焼結炉内に装入し、例えば、大気雰囲気で、800〜900℃、60〜120分間保持し、グリーンシートGを焼結させる。この焼結工程S6において、Ag、P,Oを含む化合物からなる粒状物質15が、板状をなす焼結体の表面に露呈されることになる。
これにより、板状をなす焼結体からなる抗菌部材10が製造される。
このような構成とされた本実施形態である抗菌部材10においては、銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体で構成されているので、耐久性が高く、劣化して微粉化するおそれがない。また、焼結体自体が銀を主成分とする粉末で構成されており、この焼結体の表面に少なくともAgとPとOとを含有する化合物の粒状物質15が露呈されているので、この粒状物質15を介して、銀の焼結体の表面から銀イオンを効率良く溶出させることが可能となり、水等の抗菌処理を行うことができる。また、抗菌部材10自体が銀で構成されているので、水の流れや振動によって粒状物質15が脱落するおそれがない。
また、抗菌部材10の表面を、オージェ電子分光法を用いて2次電子像観察した結果、縦20μm×横24μmの観察視野内に、少なくともAgとPとOとを含有する化合物の粒状物質15が10ヶ以上観察されているので、Agイオンの溶出を確実に促進することができるとともに、長期間にわたって安定してAgイオンを溶出することが可能となる。
よって、安定して金属イオンを供給でき、長期間にわたって安定した抗菌作用を十分に奏功せしめることができる。
また、抗菌部材10を構成する焼結体が、0.01wt%以上0.1wt%以下のPを含有しているので、焼結体の表面に、少なくともAgとPとOとを含有する化合物を数多く露呈させることができるとともに、銀粉末の焼結性を確保して本実施形態である抗菌部材10を良好に製造することが可能となる。
さらに、本実施形態では、Pの含有量が、0.03wt%以上0.06wt%以下に限定されていることから、上述の作用効果を確実に奏功せしめることができる。
しかも、本実施形態では、抗菌部材10の粒界部分に、化合物が配置されているので、この抗菌部材10を長期間にわたって水中に浸漬した場合に、抗菌部材10の表面に露呈された化合物(粒状物質15)が減少しても、粒界部分から新たな化合物が露呈されることになる。よって、長期間にわたって安定してAgイオンを溶出することが可能となり、安定した抗菌作用を奏功せしめることが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態である抗菌部材について説明する。
本発明の第2の実施形態である抗菌部材110は、銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体であり、本実施形態では、図5に示すように、相互に連通状態の空孔部111が入り込むことによって、スポンジ状をなす三次元網目構造とされた骨格部112を有する多孔質焼結体とされている。
この多孔質焼結体(抗菌部材110)は、0.01wt%以上0.1wt%以下のPを含み、残部がAgと不可避不純物とからなるAg合金で構成されている。なお、本実施形態では、さらに、Pの含有量を0.03wt%以上0.06wt%以下に限定している。
また、この多孔質焼結体(抗菌部材110)の比表面積は、0.001m/g以上0.2m/g以下の範囲内に設定されている。
ここで、この多孔質焼結体(抗菌部材110)は、少なくともAgとPとOとを含有する化合物からなる粒状物質を有しており、多孔質焼結体(抗菌部材110)の表面に、粒状物質の少なくとも一部が露呈されている。さらに、多孔質焼結体(抗菌部材110)の粒界部分にも、少なくともAgとPとOとを含有する化合物が配置されている。
次に、この抗菌部材110の製造方法について、図6に示すフロー図を参照して、各工程ごとに説明する。
(金属粉末作製工程S11)
まず、0.01wt%以上0.1wt%以下(本実施形態では、0.03wt%以上0.06wt%以下)のPを含み、残部がAgと不可避不純物とからなるAg合金からなる金属粉末を準備する。この銀粉末は、水アトマイズ法、プラズマアトマイズ法等のアトマイズ法、酸化還元法、カルボニル反応法等の公知の手段によって製造することが可能である。なお、水アトマイズ法によって金属粉末を作製する場合には、溶湯にリン酸銀粉末を添加することによってP量を調整することが可能である。
ここで、本実施形態では、Ag合金からなる金属粉末の粒径を、0.5μm以上30μm以下とした。
(スラリー作製工程S12)
前述のようにして得られた金属粉末に、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、発泡剤、水、と、必要に応じて界面活性剤や可塑剤を混合して発泡性のスラリーを作製する。
ここで、バインダ(水溶性樹脂結合剤)としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、エチルセルロース、ポリビニルアルコールなどを使用することが可能である。
発泡剤としては、ガスを発生してスラリー中に気泡を形成できるものであればよく、揮発性有機溶剤、例えばペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、オクタン、トルエンなどの炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤を使用することができる。この発泡剤の含有量としては、スラリーS全体の0.1質量%以上5重量%以下とすることが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤や、ポリエチレングリコール誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤などを使用することができる。
可塑剤は、スラリーSを成形して得られる成形体に可塑性を付与するために添加されるものであり、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール。グリセリンなどの多価アルコール、鰯油、菜種油、オリーブ油などの油脂、石油エーテルなどのエーテル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレートなどのエステル等を使用することができる。
これら金属粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、発泡剤、水、界面活性剤、可塑剤以外に、他の成分を添加してもよい。例えば、防腐剤を添加してスラリーSの保存性を向上させてもよい。あるいは、結合助剤としてポリマー系化合物を加えて成形体の強度を向上させてもよい。
本実施形態では、バインダーとして、メチルセルロースを使用した。発泡剤として、ヘキサンを使用した。可塑剤として、ポリエチレングリコールを使用した。界面活性剤として、α−オレフィンスルホン酸塩を使用した。
これらの原料を、金属粉末:5〜80質量%、バインダー:0.5〜20質量%、発泡剤:0.05〜1質量%、可塑剤:0.1〜15質量%、界面活性剤:0.05〜50質量%、塩化カルシウム:0〜3質量%、水:残部、の比率で混合して、スラリーSを作製した。
このようにして成形されたスラリーSは、図7に示す成形装置120によってグリーンシートGが形成されることになる。
この成形装置120は、スラリーSを貯留するホッパ121と、ホッパ121から供給されたスラリーSを移送するキャリアシート122と、キャリアシート122を支持するローラ123と、キャリアシート122上に載置されたスラリーSを所定の厚さに成形するブレード124と、成形されたスラリーSを発泡させる発泡槽125と、発泡したスラリーを乾燥させる乾燥槽126と、を備えている。
(成形工程S13)
まず、均一化したスラリーSをホッパ121に貯留しておき、このホッパ121からキャリアシート122上にスラリーSを供給する。このキャリアシート122は、ローラ123によって後段側(図7において右側)に向けて移送される。キャリアシート122上に載置されたスラリーSは、キャリアシート122とともに移送され、ブレード124によって薄板状に成形される。本実施形態では、幅20〜300mm、厚さ0.3〜3mmの薄板状に成形するように構成されている。
(発泡工程S14)
薄板状に成形されたスラリーSは、キャリアシート122とともに、発泡槽125へと移送される。この発泡槽125内は、例えば温度30〜40℃、湿度75〜95%に調整されており、薄板状に成形されたスラリーSは、この発泡槽125内を、例えば10〜20分かけて通過する。このように発泡槽125内を通過する際に、スラリーS中の発泡剤が発泡することになる。
(乾燥工程S15)
発泡したスラリーSは、さらにキャリアシート122とともに乾燥槽126へと移送される。この乾燥槽126内は、例えば温度50〜70℃に調整されており、発泡したスラリーSが、この乾燥槽126内を、例えば10〜20分かけて通過する。このように乾燥槽126内を通過する際に、発泡したスラリーSが乾燥される。
これにより、スポンジ状のグリーンシートGが得られることになる。
(脱脂工程S16)
次に、成形装置120によって成形されたスポンジ状のグリーンシートGを、脱脂炉に装入し、例えば、大気雰囲気で、450〜550℃、25〜30分間保持する。これにより、グリーンシートに含まれる脂分(有機バインダー等)が揮発除去される。
(焼結工程S17)
そして、脱脂されたグリーンシートGを、焼結炉内に装入し、例えば、大気雰囲気で、800〜900℃、60〜120分間保持する。これにより、スポンジ状をなすグリーンシートGが焼結される。
これにより、三次元網目構造をなす多孔質焼結体(抗菌部材110)が製造される。なお、多孔質焼結体(抗菌部材110)の比表面積は、スラリーSに混合される発泡剤の材質、量、発泡工程S14の条件等によって調整される。
このような構成とされた本実施形態である抗菌部材110においては、銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体で構成されているので、耐久性が高く、劣化して微粉化するおそれがない。また、焼結体自体が銀を主成分とする粉末で構成されており、この焼結体の表面に少なくともAgとPとOとを含有する化合物が露呈されているので、この化合物を介して、銀の焼結体の表面から銀イオンを効率良く溶出させることが可能となり、水等の抗菌処理を行うことができる。また、抗菌部材110自体が銀で構成されているので、水の流れや振動によってAgとPとOとを含有する化合物が脱落するおそれがない。
また、多孔質焼結体(抗菌部材110)を構成する焼結体が、0.01wt%以上0.1wt%以下のPを含有しているので、焼結体の表面に、少なくともAgとPとOとを含有する化合物を数多く露呈させることができるとともに、銀粉末の焼結性を確保して本実施形態である多孔質焼結体(抗菌部材110)を良好に製造することが可能となる。
さらに、本実施形態では、Pの含有量が、0.03wt%以上0.06wt%以下に限定されていることから、上述の作用効果を確実に奏功せしめることができる。
しかも、本実施形態では、多孔質焼結体(抗菌部材110)の粒界部分に、化合物が配置されているので、この抗菌部材110を長期間にわたって水中に浸漬した場合に、多孔質焼結体(抗菌部材110)の表面に露呈された化合物が減少しても、粒界部分から新たな化合物が露呈されることになる。よって、長期間にわたって安定してAgイオンを溶出することが可能となり、安定した抗菌作用を奏功せしめることが可能となる。
さらに、本実施形態においては、多孔質焼結体で構成されており、多孔質焼結体の比表面積が0.001m/g以上0.2m/g以下の範囲内に設定されているので、水との接触面積が確保され、効率的にAgイオンを溶出させることが可能であるとともに、多孔質焼結体自体の剛性が確保され、容易に取り扱うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、Pの含有量の調整を、Ag粉末作製工程において行うものとして説明したが、これに限定されることはなく、スラリーに対して添加してもよいし、焼結時に添加してもよい。焼結後の焼結体(抗菌部材)において、P量が調整されていればよい。
また、平均粒径0.5〜30μmの金属粉末を使用するものとして説明したが、これに限定されることはなく、粉末のサイズに制限はなく、焼結性、焼結体のサイズ等を考慮して適宜設計変更することができる。
さらに、バインダー、発泡剤、可塑剤、あるいは、界面活性剤、発泡剤等は、本実施形態に限定されることはなく、他のバインダー、可塑剤、界面活性剤、発泡剤等を用いてもよい。
また、水の抗菌処理を行う抗菌部材として説明したが、これに限定されることはなく、水を含有する対象物に対して抗菌処理を行うことができる。例えば空気中の水分等にAgイオンを放出して抗菌処理を行うことも可能である。
本発明の作用効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
まず、Agイオンの溶出量について評価した。
上述の第1の実施形態に記載された製造方法によって抗菌部材を作製した。このとき、Ag粉末のP濃度を調整した。
得られた抗菌部材の表面についてオージェ電子分光法による2次電子像観察を行い、少なくともAg、P、Oを含有する化合物の粒状物質の有無について評価した。粒状物質が観察されなかったものを比較例とし、粒状物質が観察されたものを本発明例1,2とした。なお、本発明例1では、2次電子像観察において縦20μm×横24μmの観察視野内に13ヶの粒状物質が観察され、本発明例2では、2次電子像観察において縦20μm×横24μmの観察視野内に27ヶの粒状物質が観察された。
ここで、比較例、本発明例1、2の試験片は、10mm角×厚さ1.5mmの平板状とし、重量を0.2gとした。
また、従来例1として、リン酸銀をシリカに担持させた粒状の抗菌部材を1g準備した。さらに、従来例2として、Agイオンをシリカゲルに担持させたタブレット状の抗菌部材を1g準備した。なお、これらの抗菌部材は、従来より、水の抗菌処理に使用されているものである。
これらの試験片を、それぞれ80℃、100ccの純水中に浸漬し、攪拌しながら100時間保持した。その後、純水中のAgイオン濃度をICP−AES(プラズマ発光分光分析)によって測定した。結果を表1に示す。
粒状物質(前記化合物)が観察されなかった比較例では、純水中のAgイオン濃度が0.1ppmと少なく、単にAgを浸漬しただけではAgイオンが充分に溶出されず、抗菌処理を行うことができないことが確認された。
一方、Pを含有し、表面に前記化合物の粒状物質が観察された本発明例1、2においては、純水中のAgイオン濃度が5ppm、6ppmであり、従来例1、2のイオン濃度3ppm、2ppmよりも高くなっていることが確認された。
すなわち、本発明例1,2によれば、従来から抗菌部材として利用されている従来例1,2よりもAgイオンが多く溶出しており、抗菌作用を十分奏功せしめることができることが確認された。
また、抗菌部材の表面に、少なくともAg、P、Oを含有する化合物を配置することによって、Agイオンの溶出が促進されることが確認された。
次に、Agイオンの溶出量の安定性について評価した。
上述の本発明例1、2、比較例の試験片に加えて、抗菌部材の表面に露呈された粒状物質の数が本発明例1,2よりも少ない(縦20μm×横24μmの観察視野内に10ヶ未満)試験片を作製し、本発明例3とした。
これらの試験片を、それぞれ80℃、100ccの純水中に浸漬し、攪拌しながら14日間保持し、純水中のAgイオン濃度をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)によって測定した。その後、純水を全て入れ替えて、さらに14日間保持し、純水中のAgイオン濃度をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)によって測定した。これを繰り返して、Agイオンの溶出量の安定性について評価した。評価結果を図8に示す。
図9に示すように、比較例においては、14日目と28日目で大きくAgイオン濃度が低下しており、時間の経過に伴ってAgイオンの溶出量が低下し、抗菌作用も劣化していることが確認された。
また、粒状物質の数が縦20μm×横24μmの観察視野内に10ヶ未満とされた本発明例3においては、比較例に比べてAgイオン濃度が高いものの、14日目と28日目で大きくAgイオン濃度が低下しており、時間の経過に伴ってAgイオンの溶出量が低下することが確認される。
一方、2次電子像観察において縦20μm×横24μmの観察視野内に10ヶ以上の粒状物質が観察された本発明例1、2においては、28日、42日経過後においても、Agイオン濃度は比較的安定している。このことから、本発明例1、2によれば、Agイオンを長期間にわたって安定して溶出できることが確認された。
10,110 抗菌部材
S スラリー
G グリーンシート

Claims (4)

  1. 銀を主成分とする粉末を焼成した焼結体からなり、
    この焼結体は、少なくともAgとPとOとを含有する化合物を有しており、前記焼結体の表面に、前記化合物の少なくとも一部が露呈されており、
    前記焼結体は、0.01wt%以上0.1wt%以下のPを含有していることを特徴とする抗菌部材。
  2. 前記焼結体の表面の2次電子像観察において、縦20μm×横24μmの観察視野内に、10ヶ以上の粒状の前記化合物が観察されることを特徴とする請求項1に記載の抗菌部材。
  3. 前記焼結体の粒界部分に、前記化合物が配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抗菌部材。
  4. 前記焼結体の比表面積が、0.001m/g以上0.2m/g以下の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の抗菌部材。
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