図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザ複写機とプリンタとの複合機であるが、他のタイプの複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、この画像形成装置100で読み取った原稿の画像データ、または外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての潜像担持体である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
表面移動部材たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100の本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、像担持体である転写媒体としての中間転写媒体たる転写ベルト11の移動方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部の中央部よりもやや上方に配設された無端のベルトである中間転写体としての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体であり転写媒体である転写紙に一括転写されるようになっている。転写紙の図示は省略している。
転写ベルト11は、その上側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部98を形成している。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
転写ベルト11は、体積抵抗10^5〜10^11Ω・cm の導電性を示すものである。表面抵抗が10^5Ω/□を下回る場合には、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKから転写ベルト11上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、10^11Ω/□を上回る場合には、転写ベルト11から用紙へトナー像を転写した後に、転写ベルト11上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
転写ベルト11は、例えば、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物やカーボンブラック等の導電性粒子や導電性高分子を、単独または併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押し出し成型したベルト状もしくは円筒状のプラスチックなどを使用することができる。この他に、熱架橋反応性のモノマーやオリゴマーを含む樹脂液に、必要により上述の導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成型を行い、無端ベルト状の転写ベルト11を得ることもできる。
転写ベルト11に表面層を設ける際には、後述の感光体ドラム20Yの表面層に使用する表面層材料のうち、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、転写ベルト11がA1方向に回転するときに、図1における紙面と垂直な何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコーンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
画像形成装置100は、本体99内に、4つの画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての2次転写バイアスローラである2次転写ローラ5と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設された潜像形成手段としての潜像形成装置たる光書込みユニットである光走査装置8とを有している。
画像形成装置100はまた、本体99内に、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙を多数枚積載可能な給紙カセットとしての給紙機構であるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた転写紙を、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ローラ5との間の2次転写部97に向けて繰り出すレジストローラ4と、転写紙の先端がレジストローラ4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙に同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙を本体99の外部に排出する排紙ローラ対としての排紙ローラ7と、排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙を積載する排紙トレイ17とを有している。
画像形成装置100はまた、本体99上方に、原稿の画像を読み取る読取装置14と、読取装置14の上方に配設され読取装置14に原稿を給送する自動原稿給送装置(いわゆるADF)15とを有している。
画像形成装置100はまた、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動装置と、2次転写ローラ5に2次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源とバイアス制御手段と、種々の検知手段による検知結果等に基づき画像形成装置100の動作全般を制御するCPU、メモリ等を含む図示しない制御手段とを有している。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、クリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架する張架ローラ75、77と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングするベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKに1次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源とバイアス制御手段とを有している。
1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
駆動ローラ72は、転写ベルト11を介して2次転写ローラ5を当接されており、2次転写ニップを形成している。
張架ローラ75は、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
シート給送装置61は、転写紙を複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において多段で配設されている。シート給送装置61は、所定のタイミングで、転写紙をレジストローラ4に向けて給送するようになっている。
シート給送装置61から送り出された転写紙は、給紙経路を経てレジストローラ4に至り、レジストローラ4のローラ間に挟まれる。
定着装置6は、ベルトユニット62と、ベルトユニット62に圧接された加圧ローラ63とを有している。ベルトユニット62は、無端状の定着ベルト64と、定着ベルト64を張架しながら無端移動させる定着ローラ65と、定着ローラ65とともに定着ベルト64を巻き掛け内部に図示しない熱源を有する加熱ローラ66とを有している
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙をベルトユニット62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像形成ユニットの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像形成ユニット60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像形成ユニットの構成に付すかこれを省略し、詳細な説明についても適宜省略することとする。
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中反時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置であるクリーニング装置70Yと、感光体ドラム20Yに感光体ドラム20Yを保護する保護剤42Yを塗布する塗布手段としての保護膜形成手段である保護層形成装置たる保護膜形成装置40Yと、図示しない除電手段としての除電ランプを備えた除電装置と、帯電手段としての帯電装置90Yと、現像手段としての現像ユニットである現像器たる現像装置80Yとを有している。
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、保護膜形成装置40Yと、除電装置と、帯電装置90Yと、現像装置80Yとは一体化されており、プロセスカートリッジ68Yを構成している。プロセスカートリッジ68Yは本体99に対して着脱自在となっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
感光体ドラム20Yは、OPC感光体である。その詳細については後述する。
クリーニング装置70Yは、その先端が感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の転写残トナー、キャリア、紙粉等の異物を掻き取って回収しクリーニングするクリーニングブレード78Yと、クリーニングブレード78Yを感光体ドラム20Yに所定の弾性力で押し当てるばね79Yと、クリーニングブレード78Yによって感光体ドラム20Yから除去された転写残トナー等を回収する図示しない回収室とを有している。
クリーニングブレード78Yは、いわゆるカウンタータイプ言い換えるとリーディングタイプに類する角度で感光体ドラム20Yに当接している。
帯電装置90Yは、感光体ドラム20Yの表面を一様に帯電する一様帯電手段であって、感光体ドラム20Yの表面に近接して配設された帯電部材としての帯電ローラ91Yと、帯電ローラ91Yに接触配置され帯電ローラ91Yをクリーニングするクリーニングローラ92Yと、帯電ローラ91Yに直流電圧と交流電圧とを重畳させた電圧を印加する図示しない高電圧電源を備えた電圧印加機構とを有している。
感光体ドラム20Yを帯電する方法としては、本形態の帯電装置90Yのように、帯電ローラ91Yを感光体ドラム20Yに非接触に配置する近接方式のほかに、帯電ローラ91Yのような帯電部材を感光体ドラム20Yに接触させて配置する接触帯電方式すなわち接触方式とがある。高電圧電源は直流電圧のみを帯電ローラ91Yに印加するものであってもよい。
帯電装置90Yは、高電圧電源による電圧印加によって、帯電ローラ91Yと感光体ドラム20Yとの間の微小空隙での放電により、感光体ドラム20Yの帯電を行う。よって、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロン、スコロトロンといわれるコロナ放電を利用した放電器と比して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制したものとなっている。
光走査装置8は、感光体ドラム20Yに帯電装置90Yが対向した帯電領域と現像装置80Yが対向した現像領域との間の領域に、光変調及び偏向されたレーザー光Lを走査しながら照射して、帯電装置90Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面の被走査面をスポット照射によって露光し、現像装置80Yによってイエロートナー像として可視像化される、画像情報に応じた静電潜像を書き込むようになっている。そのため、図1に示すように、光走査装置8は、半導体レーザーである光源31、高速で回転する多角柱の多面鏡であるポリゴンミラー32、fθレンズ33、反射ミラー34等のレーザー光学系を有している。
図2に示すように、現像装置80Yは、感光体ドラム20Yに近接対向して配設されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤(以下、現像剤)を担持する現像ローラ81Yと、現像ローラ81Y上の現像剤を一定の高さに規制するドクターブレード82Yと、互いに対向するように配設され、現像剤を攪拌するとともに現像ローラ81Yに現像剤を供給するための第1搬送スクリュ83Y及び第2搬送スクリュ84Yと、第1搬送スクリュ83Yと第2搬送スクリュ84Yとの間に設けられた仕切り壁87Yと、イエロートナーを収容したトナーボトル88Yと、直流成分の現像バイアスを現像ローラ81Yに印加する図示しないバイアス印加手段等とを有している。
現像ローラ81Yは、その表面に現像剤を担持する現像剤担持体である図示しない現像スリーブを有している。バイアス印加手段は現像スリーブに、感光体ドラム20Yの、露光部と非露光部との間の適当な大きさの現像バイアスを印加する。
現像装置80Y内には、仕切り壁87Yにより、現像ローラ81Yと第1搬送スクリュ83Yとを収容した第1供給部と、第2搬送スクリュ84Yを収容した第2供給部とが分かれた状態で形成されている。
第1搬送スクリュ83Yは、駆動手段によって回転駆動されることで、第1供給部内の現像剤を図2における紙面奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ81Yに供給する。第1搬送スクリュ83Yによって第1供給部内の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁87Yに形成された図示しない開口部を通って第2供給部内に進入する。
第2供給部内において、第2搬送スクリュ84Yは、駆動手段によって回転駆動されることで第1供給部から送られてくる現像剤を第1搬送スクリュ83Yとは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュ84Yによって第2供給部の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切壁87Yに設けられたもう一方の図示しない開口部を通って第1供給部内に戻る。
現像ケース85Y内の現像剤は、磁性キャリアと、イエロートナーとを含む二成分現像剤であって、この現像剤には、トナーボトル88Yからイエロートナーが補給、供給され、第1搬送スクリュ83Y及び第2搬送スクリュ84Yによって、供給されたイエロートナーと現像剤とが攪拌搬送されながら攪拌混合され、摩擦帯電され、現像ローラ81Yに供給され担持される。
ドクターブレード82Yによって現像剤の担持量を規制され層厚を規制された現像ローラ81Yは、その回転及びバイアス印加手段による現像バイアスにより、現像ローラ81Yと感光体ドラム20Yとの間の現像領域に、ドクターブレード82Yによって量を適量とされた現像剤を運び、現像剤中のイエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するようになっている。
現像によりイエロートナーを消費した現像剤は、現像ローラ81Yの回転に伴って現像装置80Y内に戻される。
本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
現像剤は、トナー、キャリアのほか、粉体状の潤滑性物質を含んでいるが、その詳細については後述する。
保護膜形成装置40Yは、バー状に成形された固形の潤滑剤である像担持体保護剤としての保護剤42Yと、感光体ドラム20Yを保護するために保護剤42Yを掻き取り感光体ドラム20Yに供給する保護剤供給部材である掻き取り部材としてのファーブラシたるブラシローラ47Yとを有している。
保護膜形成装置40Yはまた、保護剤42Yをブラシローラ47Yに押圧する弾性部材としての押圧力付与機構たる加圧バネであるバネ48Yと、ブラシローラ47Yによって感光体ドラム20Yに塗布ないし供給された保護剤42Yを感光体ドラム20Y上に塗布し感光体ドラム20Y表面に皮膜状の保護層である保護膜を形成するための保護層形成機構49Yとを有している。
保護剤42Yとブラシローラ47Yとは、その幅方向すなわち図2における紙面に垂直な方向における長さが一致しているとともに、幅方向における配設範囲が互いに一致している。よって、保護剤42Yはブラシローラ47Yにより、幅方向において全体が均一に掻き取られ、消費されるようになっている。
保護剤42Yとブラシローラ47Yとは、その幅方向における長さが少なくとも同方向における感光体ドラム20Yの画像形成領域の長さ以上であって、同方向において保護剤42Yとブラシローラ47Yとの配設位置が感光体ドラム20Yの画像形成領域を含むように構成されている。よって、保護剤42Yはブラシローラ47Yにより、幅方向において均一に感光体ドラム20Yの画像形成領域に供給される。
保護層形成機構49Yは、その先端が感光体ドラム20Yに当接した皮膜形成部材としての塗布ブレード43Yと、塗布ブレード43を感光体ドラム20Yに所定の弾性力で押し当てる弾性部材としてのバネ44Yとを有している。
塗布ブレード43Yは、感光体ドラム20Yに当接するブレード45Yと、ブレード45Yを支持しバネ44Yによって付勢されたブレード支持体46Yとを有している。ブレード45Yとブレード支持体46Yとは、接着によって互いに固定されているが、融着等の他の任意の方法で互いに固定してもよい。
塗布ブレード43Yは、その幅方向における長さが同方向における感光体ドラム20Yの画像形成領域の長さ以上であって、同方向においてその配設位置が感光体ドラム20Yの画像形成領域を含むように構成されている。よって、塗布ブレード43Yは幅方向において少なくとも感光体ドラム20Yの画像形成領域に均一に当接し、幅方向において均一に少なくとも感光体ドラム20Y上の画像形成領域に皮膜を形成する。
このような構成の保護膜形成装置40Yは、ブラシローラ47Yを、その軸を中心に、感光体ドラム20Yの回転速度と所定の線速差を持って、感光体ドラム20Yの回転方向B1に対し順方向となるD1方向に回転させて、保護剤42Yを掻き削って一旦汲み上げ、掻き削った保護剤42Yを感光体ドラム20Y表面との当接位置まで担持搬送し、感光体ドラム20Yとの摺擦により感光体ドラム20Y表面に塗布して供給するようになっている。
感光体ドラム20Yに塗布された保護剤42Yは、保護剤42Yの物質種によっては感光体ドラム20Y上において十分な保護層を形成するに至らないことがありうるが、塗布ブレード43Yによって、感光体ドラム20Y表面に押圧され、引き伸ばされることで薄層化言い換えると皮膜化され、保護剤の皮膜形成が確実かつ均一に施される。
経時で保護剤42Yがブラシローラ47Yに掻き削られて減少しても、バネ48Yが所定の圧力で保護剤42Yをブラシローラ47Yに押圧しているので、保護剤42Yは微量となっても適量がブラシローラ47Yに汲み上げられ、保護剤42Yは完全に消費されるまでブラシローラ47Yに接触する。
保護剤42Yによって感光体ドラム20Y表面に形成される皮膜は、近接放電による感光体ドラム20Y表面の劣化を防止する機能を有しており、保護膜形成装置40Yは放電劣化防止手段として機能するものである。ここでいう劣化とは、放電による感光体ドラム20Yの磨耗及びこの磨耗の加速、ならびに感光体ドラム20Y表面の活性化の両方を指している。
また、かかる皮膜は、感光体ドラム20Yとクリーニングブレード78Yとが互いに摩擦しあうことによって生じる磨耗等の劣化も防止し、保護膜形成装置40Yは摩擦劣化防止手段として機能するものである。
このように、保護膜形成装置40Yは、保護剤42Yを感光体ドラム20Y表面に塗布することにより、これら劣化を抑制している。なお、感光体ドラム20Y表面の保護剤42Yは、帯電装置90Yが感光体ドラム20Y表面近傍の微小空隙で放電を行うことから、電気的ストレスにより分解や酸化が生じ、また同保護剤42Y表面への気中放電生成物の付着が生じて、劣化する。
その他、保護膜形成装置40Yの詳細については後述する。
このような画像形成ユニット60Yにおいては、ネガ−ポジプロセスで画像形成を行う。感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置90Yにより表面を一様にマイナス帯電され、光走査装置8から照射されるレーザー光Lの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成される。このようにして、帯電装置90Yによる帯電と光走査装置8による書き込みの少なくとも後者によって静電潜像形成工程が行われる。このとき、露光の走査方向は感光体ドラム20Yの回転軸方向であり、また露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる。
この静電潜像を現像装置80Yにより現像剤中のイエロー色のトナーにより現像され、この現像工程により得られたイエロー色のトナー像を1次転写ローラ12YによりA1方向に移動する転写ベルト11に1次転写されて転写工程が行われ、転写後に残留した転写残トナーをクリーニング装置70Yにより除去されてクリーニング工程が行われ、保護膜形成装置40Yによって保護剤42Yが供給され、除電装置により残留電荷が除去される除電工程が行われて帯電装置90Yによる次の帯電に供される。
このとき、クリーニング装置70Yは、感光体ドラム20Y上の、部分的あるいは全面的に劣化した保護剤も、転写残トナー等の他成分とともに表面残存物として除去する。保護膜形成装置40Yは、クリーニング後の感光体ドラム20Y表面に保護剤による保護膜を形成する保護層形成法工程としての保護膜形成工程を行う。
またクリーニング装置70Yは、回収したトナーを回収室に収容するが、回収したトナーを再度現像に使用するべく所定のリサイクル工程を行うように構成してもよい。
クリーニング装置70Yは、保護層形成機構49Yまたはこれに備えられた塗布ブレード43Yに同様の機能を持たせることによって、省略することも可能である。
しかしながら、感光体ドラム20Yをクリーニングする機能と、保護層を形成する機能とは、感光体ドラム20Yに当接させる部材の材料、その当接力など、感光体ドラム20Yに対するかかる部材の摺擦状態を異ならせる必要があることがある。
そのため、本形態のように、これらの機能を分離し、感光体ドラム20Yに対し、B1方向において、ブラシローラ47Yが保護剤42Yを塗布する位置である保護剤供給部よりも、上流側にクリーニング装置70Yを配設し、下流側に保護層形成機構49Yを配設することが好ましい。
他の感光体ドラム20M、20C、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12M、12C、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写ニップまで移動して転写紙に密着し、2次転写バイアスやニップ圧の作用によって転写紙に2次転写され、転写紙上にフルカラー画像が形成される。
転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙は、シート給送装置61から繰り出されてフィードされ、レジストローラ4によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで送り出されたものである。
2次転写ローラ5には、バイアス印加手段により、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加される。
転写紙は、すべての色のトナー像を転写され、担持すると、定着装置6に進入し、加圧ローラ63とベルトユニット62との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙上にフルカラー画像が定着される。定着装置6を通過し定着工程を経た定着済みの転写紙は、排紙ローラ7を経て、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。一方、2次転写を終えた2次転写ニップ通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによってその表面をクリーニングされ、次の現像工程に備える。
このように、画像形成装置100においては、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、保護層形成工程、定着工程、除電工程、リサイクル工程等を含む画像形成方法を行うものである。
ここで、クリーニング工程においては、すでに述べたように、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上の、劣化した保護剤も、残留トナー等の他成分とともに表面残存物として除去されるが、この除去作用には、残留トナー量が非常に大きく影響する。
すなわち、残留トナー量が多い場合には、除去効率が高くなり、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面の劣化した保護剤だけでなく、まだ劣化していない保護剤成分や感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK自身も同時に掻き取ってしまう。逆に残留トナー量が少ない場合には除去効率が低下し、劣化した保護剤成分を十分に除去しきれずフィルミングの原因となる場合がある。
クリーニング条件を組む場合、一般的には、残留トナー量が少ない場合にも劣化した保護剤成分を十分除去できるように設定するのであるが、この条件下では、上述のように、残留トナー量が多い場合、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの摩耗量が増加してしまうという問題がある。
そこで、現像剤には、潤滑剤である潤滑性物質を含み、現像剤によって、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに潤滑性物質を供給する。
潤滑性物質は、現像剤として機能するトナー、キャリアとは異なる成分であり、少なくとも1種の粉末状のものがかかる現像剤として機能する成分に添加される。
ここで言う潤滑性物質とは、一般的に潤滑性を付与するとされる粉末であれば何でも良いが、好ましく用いられる物質としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂;ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂;マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト等の無機固体潤滑剤等が挙げられる。
粉末状の潤滑性物質としては、中でも無機固体潤滑剤を使用することが好ましい。これら無機固体潤滑剤は、現像剤の帯電特性や流動性に与える影響が小さく、また成膜時に像担持体表面を保護する効果が非常に高いためである。
また、無機固体潤滑剤は、脂肪酸金属塩類や他の樹脂微粒子系と比較して、帯電付与時の電気的ストレスに対する耐性が高く、材料自身が劣化しにくいため、長期間にわたる使用時にも初期の潤滑性が維持され、クリーニングブレード78Y等のクリーニング部材の長寿命化に対する効果が非常に大きいためである。
更に、無機固体潤滑剤の中でも窒化ホウ素は特に成膜性が良好であり、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上の被覆速度が速いことから、特に好ましく用いることができる。
なお、これら無機固体潤滑剤は、疎水性を向上させる等の目的で表面処理が行われていても構わない。
これらの潤滑性物質をトナーと共に感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に供給することで、残留トナー量が多いほど潤滑性物質も多く供給されることになる。従って、残留トナー量が多い場合にも、クリーニング工程における摩擦力が低減されるため、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの摩耗が抑制される。
これら潤滑性物質を既存の現像剤あるいは現像剤本体に供給する方法としては、トナーを既存の現像剤に供給する機構とは別の潤滑剤供給機構を設けても良いが、省スペース及び供給機構の簡素化を図るために、あらかじめ潤滑性物質をトナーと混合しておき、トナー補給時にトナーと共に潤滑性物質を既存の現像剤に供給することが好ましい。
また、潤滑性物質の添加量としては、材料の種類により好ましい範囲は異なるが、下限値は感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面への潤滑効果に影響を及ぼさない範囲とし、上限値は現像剤の帯電特性や流動性に影響を及ぼさない範囲とする必要があり、一般的にはトナー重量に対して0.01〜10%の範囲を取る場合が多い。
潤滑性物質は、トナーが感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを現像する際に、トナーに付着した状態でトナーとともに感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面に供給される。また、潤滑性物質は、現像の際にキャリアが感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面に触れるときに、キャリアに付着しているものが感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面に供給される。
感光体ドラム20Yの構成について詳細に述べる。なお、画像形成ユニット60M、60C、60BKに備えられた感光体ドラム20M、20C、20BKについても同様の構成であるので、感光体ドラム20M、20C、20BKの説明は省略する。
感光体ドラム20Yは、本発明の効果を更に高めるために、図3に示すように、表面層21Y中に、フィラー22Yを含有させている。同図は表面層21Yの模式的な断面図である。なお、ここで言う表面層とは像担持体の最表面に設けられた層のことである。像担持体としては公知のものを広く使用することができるが、好ましくは有機電子写真感光体、更には導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層した、機能分離型のものが性能面から最も好ましい。従って、感光体ドラム20Yの表面層は、一般的に電荷輸送層、あるいは保護層である。
フィラー22Yとしては、有機フィラーと無機フィラーのどちらを用いても良いが、無機フィラーが特に好ましく用いられる。よって、フィラー22Yは、本形態では無機フィラーを採用している。
無機フィラー材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素等が挙げられる。
なお有機フィラーを用いる場合、その材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a-カーボン粉末等が挙げられる。
これらのフィラーは単独で用いても、或いは2種以上を混合して用いても良い。また、分散性を向上させるために、これらのフィラーは表面処理剤で表面処理を行っても良い。
これらのフィラーはボールミル、サンドミル等公知の手段で表面層塗工液中に分散させ、使用することができる。フィラーの含有量としては、全固形分に対して5〜40重量%が好ましく、更に好ましくは10〜30%である。
このようなフィラー22Yを表面層21Yに含有させることによって、感光体ドラム20Yの耐摩耗性が向上すると同時に、感光体ドラム20Y表面に適度な凹凸が生じ、保護剤42Y及び潤滑性物質の塗布性が向上するというメリットもある。
保護膜形成装置40Yについて詳細に述べる。なお、画像形成ユニット60M、60C、60BKに備えられた保護膜形成装置についても同様であるので、それらについての説明は省略する。
保護剤42Yは、感光体ドラム20Y表面の保護を良好に行うために、少なくともワックス及び熱可塑性樹脂を含有している。
ワックスの例としては、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素ワックス類;カルナウバロウ、米ぬかロウ、キャンデリラロウ等の植物性天然ワックス類;蜜ロウ、雪ロウ等の動物性天然ワックス類が例として挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワックスは、特に、分子内の結合が、反応性が低く安定した飽和結合のみからなる、脂肪族飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素が好ましく、中でもノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンが、付加反応が生じ難く化学的に安定であり、実使用の大気中で酸化反応を生じにくいため、経時安定性の面で好ましく用いられる。
また特に、比較的硬質なワックスとしてフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックスの少なくとも1種を含む炭化水素ワックスを用いることにより、保護層自体の耐久性を高めることができるため、感光体ドラム20Y表面に形成する保護層の厚みを過剰にすることなく、感光体ドラム20Yの保護を実現することができるため、より好ましい。
また、前述のように感光体ドラム20Y表面に形成された保護剤層は電気的ストレスに曝され、劣化するため、ワックスの分子量が小さすぎると、十分な保護効果が発現しなくなることがある。
また一方で、ワックスの分子量が大きすぎると、保護剤成分を感光体ドラム20Y上に膜化させる際に、大きなずり力が必要となるため、均等な保護膜が形成されない場合がある。
ワックスの分子量を、重量平均分子量Mw基準で、350〜850の範囲とすることにより、保護効果を確実に発現させることができるため好ましく、400〜800であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、スチレン系重合体またはその共重合体、アクリル酸エステル系単重合体またはその共重合体、ノルボルネン系重合体またはその共重合体、ポリビニル誘導体、ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオール系重合体、テルペン系重合体等が挙げられる。
ノルボルネン類を構成単位として含む重合体又は共重合体、特にノルボルネン系共重合体は、ワックス成分との馴染みがよく、ワックスの延展補助材となるばかりでなく、透明性が高く、低誘電率であり、ワックス成分と共に光学特性、静電特性に優れた良好な保護膜となるため、好ましく用いられる。
更に、ノルボルネン共重合体の中でも、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンとノルボルネンの共重合体が最も好ましく用いられ、特に感光体ドラム20Y表面の耐フィルミング性に優れた結果が得られる。これは、α−オレフィン−ノルボルネン共重合体の長鎖アルキル部分が持つ低表面エネルギー性により、ワックス単独での使用時よりも更にトナーとの付着力が低減されるためと推測している。
本形態においてはこれらのワックス及び熱可塑性樹脂を混合した保護剤42Yを使用するが、ワックス成分の重量比が少なすぎる場合、選択するワックス材料によっては十分に均質な保護層が形成されず、電気的ストレスに対する保護効果が得られない場合がある。
また、ワックス成分の重量比が多すぎる場合には、保護剤42Yの成形体としての強度が不足し、あるいは保護剤42Y中に局所的な強度バラツキが発生し、供給量が不安定になることがある。従って、保護剤42Y中のワックス成分と熱可塑性樹脂の重量比を、60/40〜99/1の範囲とすることにより、保護効果を一層安定させられる。
また、保護剤42Yには、必要に応じてワックス及び熱可塑性樹脂以外の物質を含有させても良く、例えば延展性補助剤として有機フィラーや無機フィラーを含有させた構成、或いは成型補助剤としての各種添加剤を含有させた構成等も使用することができる。
感光体ドラム20Yの電気的ストレスは、帯電装置90Yが感光体ドラム20Y表面近傍の領域で放電を行うことから大きくなりがちであるが、保護剤42Yがかかる性質を有していることから、長期間にわたり感光体ドラム20Yを劣化させることなくその性能が維持され、経時的な画像の変動や使用環境による画像の変動が大幅に抑制され、安定した画像品質が確保される。なお上述の粉体状の潤滑性物質も同様の機能を果たす。
ブレード45Yの材料は、特に制限されるものではなく、例えばクリーニングブレード用材料として一般に公知の、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独またはブレンドして使用することができる。これらのゴムブレードは、感光体ドラム20Yとの接点部部分を低摩擦係数材料で、コーティングや含浸処理しても良い。弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散しても良い。
ブレード45Yの厚みは、バネ44Yで加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね0.5〜5mm程度であれば好ましく使用でき、1〜3mm程度であれば更に好ましく使用できる。
ブレード45Yの、ブレード支持体46Yから突き出し、たわみを持たせることができる部分の長さ、いわゆる自由長についても同様に、バネ44Yで加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね1〜15mm程度であれば好ましく使用でき、2〜10mm程度であれば更に好ましく使用できる。
塗布ブレード43Yの他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要によりカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いても良い。
この場合、弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm程度であれば好ましく使用でき、0.1〜1mm程度であればより好ましく使用できる。
また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施しても良い。
表面層を形成する材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー等を、必要により充填剤と共に、用いることができるが、これに限定されるものではない。
ブレード45Yで感光体ドラム20Yを押圧する力は、保護剤42Yが延展し保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧として5gf/cm以上80gf/cm以下であることが好ましく、10gf/cm以上60gf/cm以下であることがより好ましい。
ブラシローラ47Yの感光体ドラム20Y表面への機械的ストレスを抑制するためには、そのブラシ繊維は可撓性を持つことが好ましい。
可撓性のブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種乃至2種以上を選択して使用する事ができる。
具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などの内、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
ブラシ繊維の基部を支持している支持体は、回動可能なロール状となっており、ブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けたものであって、これによってブラシローラ47Yが形成されている。なお、かかる支持体は固定型であってもよい。
ブラシ繊維は繊維径10〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
ブラシローラ47Yは、供給の均一性やその安定性の面から、極カブラシ繊維密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
ブラシローラ47Y表面には、必要に応じ、その表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定される事無く使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
〔実施例〕
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は全て重量部を表す。
(保護剤の製造例)
図4に示す、固体状の15種類の保護剤を、それぞれ次のようにして製造した。
なお、同図に示す保護剤1〜12は本発明の規定範囲に合致するものであり、保護剤13〜15は本発明の規定範囲外のものである。
まず、同図に示す保護剤1〜15のそれぞれに対応する処方の組成物を、蓋付きのガラス製容器に入れ、150℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融した。
予め85℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、溶融した各保護剤処方組成物を流し込み、50℃まで室温雰囲気で放冷後、温度設定をした恒温槽にて60℃まで再加熱して、その温度で20分間保持し、その後、室温まで放冷した。
冷却後、保護剤固形物を型から外し、7mm×8mm×310mmに切削成型して、金属製支持体に両面テープで貼り付けた状態とした保護剤1〜15を得た。
保護剤1〜15を用いるとともに、他の条件たとえば現像剤に含有させる潤滑性物質との組み合わせにより、図5に示す、本発明の規定範囲に合致する実施例1〜15、及び、本発明の規定範囲外の比較例1〜5を構成し、それぞれについて、感光体磨耗量、フィルミング、LL(低温低湿)環境下におけるクリーニング不良、HH(高温高湿)環境下における画像ボケの評価を行った。
実施例1〜15、比較例1〜5のそれぞれの条件は次のとおりである。
・実施例1
フィラーとしてアルミナ(粒計0.3μm)を、樹脂に対して10%含む表面層を有するφ40の像担持体である有機感光体の周りに、転写工程に引き続き、カウンタータイプのクリーニングブレード、ブラシ状の保護剤供給部材、トレーリングブレードタイプの保護層形成機構を、上流からこの順で設け、保護剤製造例の保護剤1を用いた保護層形成装置を有する、プロセスカートリッジを作成した。尚、帯電部材としては直径10mmの硬質樹脂ローラを用い、感光体とのギャップを50μmに調整した。
また、粒径6.0μmの重合トナー100部に対し、潤滑性物質としてステアリン酸亜鉛粉体を0.1部添加し、ターブラミキサーにて5分間攪拌した。このトナーを粒径50μmのフェライトキャリア95部に対して5部混合し、ターブラミキサーにて3分間攪拌して現像剤を作製した。
また、上のように作製したトナーをトナーボトルに充填し、補給用トナーとした。
これを、上記プロセスカートリッジを搭載可能なように改造したリコー製カラーMFP imagio MP C3500の黒ステーションに搭載し、A4版、画像面積率6%原稿5万枚の連続通紙試験を行なった。帯電条件としては−600VのDC成分に、AC成分としてVpp=3kV、周波数=1.5kHzの正弦波を重畳した交番電界を印可した。試験後の感光体について摩耗量の測定、及び感光体フィルミングの目視観察を行った。更に試験後の画像品質を、10℃/15%RHの低温低湿環境および32℃/80%RHの高温高湿環境にて確認し、低温低湿環境下でのクリーニング不良、及び高温高湿環境下での画像ボケが発生しないかどうか調べた。
・実施例2
実施例1と比較して保護剤1の代わりに保護剤2を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・実施例3、4
ワックスとして炭化水素ワックスを用いることの効果(請求項1に対応)を調べるため、実施例1と比較して保護剤1の代わりにそれぞれ保護剤3、4を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・実施例5、6
炭化水素ワックスとしてフィッシャートロプシュワックス、或いはポリエチレンワックスを用いることの効果(請求項2に対応)を調べるため、実施例1と比較して保護剤1の代わりにそれぞれ保護剤5、6を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・実施例7
熱可塑性樹脂としてノルボルネン構造を含む材料を用いることの効果(請求項1に対応)を調べるため、実施例1と比較して保護剤1の代わりに保護剤7を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・実施例8
熱可塑性樹脂としてα−オレフィン−ノルボルネン共重合体を用いることの効果(請求項3に対応)を調べるため、実施例1と比較して保護剤1の代わりに保護剤8を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・実施例9〜12
保護剤中に含まれるワックス/熱可塑性樹脂の重量比を規定することの効果(請求項1に対応)を調べるため、実施例1と比較して保護剤1の代わりにそれぞれ保護剤9〜12を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・実施例13
現像剤に含有させる潤滑性物質として、無機固体潤滑剤を用いることの効果(請求項4に対応)を調べるため、潤滑性粉末としてステアリン酸亜鉛の代わりにマイカ(平均粒径5μm)を使用した以外は、実施例8と同様とした。
・実施例14
現像剤に含有させる潤滑性物質として、窒化ホウ素を用いることの効果(請求項5に対応)を調べるため、潤滑性粉末してステアリン酸亜鉛の代わりに窒化ホウ素(平均粒径5μm)を使用した以外は、実施例8と同様とした。
・実施例15
像担持体表面層にフィラーを含有することの効果(請求項1に対応)を調べるため、感光体として表面層にフィラーを含まない有機感光体を使用した以外は、実施例8と同様とした。
・比較例1〜3
実施例1と比較して保護剤1の代わりに、それぞれ本発明の規定範囲外である保護剤13〜15を用いた以外は、実施例1と同様とした。
・比較例4
実施例1と比較して保護剤1の代わりに、ステアリン酸亜鉛バーを用いた以外は、実施例1と同様とした。なお、この構成は、上述の〔特許文献4〕の代表構成に対応するものである。
・比較例5
実施例8と比較して、現像剤に潤滑性物質を含有させなかった以外は、実施例8と同様とした。
図5に示した評価結果から、本発明の特徴的な各構成による効果が確かめられた。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、現像手段が像担持体の現像に用いる現像剤は、上述のような二成分現像剤に限らす、その成分が、トナーのみからなる、またはトナーを主成分とする、一成分現像剤であっても良い。
この場合、現像剤が二成分現像剤である場合と同様に、潤滑性物質は、あらかじめトナーと混合したうえで、混合したトナーとともに、既存の現像剤すなわち、現像手段内の既存の現像剤に対して供給することが、装置の簡素化、潤滑性物質の効率的な混合の点で好ましい。
以上の説明では、現像剤が、粉体状の潤滑性物質を含むものとして説明したが、粉体状の潤滑性物質は、現像剤に対する添加剤として捉えてもよいものである。
プロセスカートリッジは、少なくとも像担持体と、現像手段と、塗布手段とを一体に含んでいるとともに画像形成装置本体に着脱自在であればよく、プロセスカートリッジを構成する他の構成部品の選択は、像担持体、当該構成部品の寿命、コスト、プロセスカートリッジ化の構造上の容易性等を考慮して適宜行なわれるものである。
いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。この場合の構成は、たとえば、図2を参照して、転写ベルト11が転写紙に相当することとなる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。