JP2014126619A - 画像形成装置及び移動体 - Google Patents

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Hiroyuki Seki
浩行 関
Taku Kanai
卓 金井
Takaaki Tsuruya
鶴谷  貴明
Tokuyoshi Abe
篤義 阿部
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Abstract

【課題】新品時に潤滑剤を塗布したり、特別な潤滑剤塗布手段を画像形成装置内に設けたりすることなく、クリーニングブレードと移動体との摩擦によるめくれなどを抑制することのできる画像形成装置及び移動体を提供する。
【解決手段】トナーを担持する像担持体と、像担持体上のトナーが直接又は転写材を介して転写される移動可能な移動体と、移動体に接触し、移動する移動体上のトナーを掻き取るクリーニングブレード21と、を有する画像形成装置は、移動体の表面には、移動体の使用が開始されることでクリーニングブレード21によって削られる、固体潤滑剤73を含有した突起が設けられており、移動体の使用が開始される際にクリーニングブレード21と突起とが接触している構成とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置、及びその画像形成装置に使用する中間転写体又は転写材担持体とされる移動体に関するものである。
従来、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置として、中間転写体を用いる中間転写方式の画像形成装置がある。中間転写方式の画像形成装置では、感光体上に形成されたトナー像が中間転写体に一次転写され、その後中間転写体上のトナー像が転写材上に二次転写される。中間転写体としては、無端状のベルトの中間転写ベルトが広く用いられている。
中間転写方式の画像形成装置では、二次転写工程後中間転写ベルト上には転写材に転写されなかったトナー(二次転写残トナー)が残留する。そのため、次の画像を中間転写ベルトに転写する前に中間転写ベルトの表面の二次転写残トナーを除去するクリーニング工程が必要となる。
このクリーニング工程には、クリーニング部材としてウレタンゴムなどの弾性体で形成されたクリーニングブレードを用いるブレードクリーニング方式が多く採用されている。クリーニングブレードは、クリーニング性能の向上のために、中間転写ベルトの移動方向に対して鋭角的に取り付けられることが多い。すなわち、クリーニングブレードは、中間転写ベルトに接触する自由端側が中間転写ベルトの移動方向の上流側を向くようにして、中間転写ベルトの移動方向と略直交する幅方向の略全体にわたって当接させられることが多い(カウンター方向)。この場合、クリーニングブレードは、中間転写ベルトの移動方向に対向するような方向から、クリーニングブレードのエッジを圧接させて、二次転写残トナーを掻き取っている。
なお、中間転写ベルトの表面にトナー粒径より小径の粉体を埋設させて、表面物性を改善することで、転写効率を向上させてトナーの残留が発生しにくくした中間転写ベルトが提案されている(特許文献1)。
ところで、ブレードクリーニング方式では、新品時のクリーニング性能と、繰り返し使用による耐久性能を満足する必要がある。特に、ユーザーが画像形成装置の使用を開始する新品時には、クリーニングブレードと中間転写ベルトとの間に、トナーのように潤滑剤として働くものが何も無い。そのため、中間転写ベルトとクリーニングブレードとの間に大きな摩擦力が生じ、クリーニングブレードのめくれやびびりなどの問題が発生しやすい。クリーニングブレードのめくれとは、一般に自由端側が清掃対象の移動方向の上流側を向くように当接させられているクリーニングブレードの自由端側が、清掃対象の移動に伴って清掃対象と一緒に下流側に引っ張られて変形させられる現象である。また、クリーニングブレードのびびりとは、上記めくれと同様の変形と、その変形からの解放とが繰り返されることで、クリーニングブレードが細かく振動するような運動をする現象である。これらクリーニングブレードのめくれやびびりが発生すると、クリーニングブレードによるクリーニング性能を維持するのが困難となる。
従来、新品時にブレードのエッジに粉末状の潤滑剤を予め塗布し、ブレードのめくれなどを抑制しているものが多い(特許文献2)。
その他、画像形成装置内に潤滑剤塗布手段を設けて、ブレードの交換に応じて、潤滑剤を塗布するブラシローラなどの潤滑剤塗布手段を画像形成装置内に設けることが提案されている(特許文献3)。
特開2009−75154号公報 特開昭62−262885号公報 特開2008−40057号公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、潤滑剤自体の材料費の他、製造時に塗布工程を設けなければならず、設備費などでコストがかかる。
また、特許文献3に記載の方法では、画像形成装置内に潤滑剤塗布手段を配置するため、装置の大型化やコストアップにつながる。
なお、以上では、従来の課題を中間転写方式の画像形成装置の中間転写体に関連して説明したが、直接転写方式の画像形成装置においても転写材担持体に関連して同様の課題がある。直接転写方式の画像形成装置では、感光体上に形成されたトナー像は、転写材担持体に担持された転写材に転写される。直接転写方式の画像形成装置においても、転写材担持体上に意図的に形成された制御用のトナー像(パッチ)や、ジャム(紙詰まり)の発生時に転写されてしまったトナー像などを除去するためにクリーニングブレードが用いられる。そのため、上述の中間転写方式の画像形成装置の場合と同様の課題がある。
したがって、本発明の目的は、新品時に潤滑剤を塗布したり、特別な潤滑剤塗布手段を画像形成装置内に設けたりすることなく、クリーニングブレードと移動体との摩擦によるめくれなどを抑制することのできる画像形成装置及び移動体を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置及び移動体にて達成される。要約すれば、本発明は、トナーを担持する像担持体と、前記像担持体上のトナーが直接又は転写材を介して転写される移動可能な移動体と、前記移動体に接触し、移動する前記移動体上のトナーを掻き取るクリーニングブレードと、を有する画像形成装置において、前記移動体の表面には、前記移動体の使用が開始されることで前記クリーニングブレードによって削られる、固体潤滑剤を含有した突起が設けられており、前記移動体の使用が開始される際に前記クリーニングブレードと前記突起とが接触していることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、像担持体上のトナーが直接又は転写材を介して転写される、画像形成装置用の移動体であって、表面に、使用が開始されることで当該移動体に接触するクリーニングブレードによって削られる、固体潤滑剤を含有した突起が設けられていることを特徴とする移動体が提供される。
本発明によれば、新品時に潤滑剤を塗布したり、特別な潤滑剤塗布手段を画像形成装置内に設けたりすることなく、クリーニングブレードと移動体との摩擦によるめくれなどを抑制することができる。
本発明を適用し得る画像形成装置の一実施形態の模式的な断面図である。 本発明を適用し得る画像形成装置の一実施形態におけるベルトクリーナの近傍の模式的な断面図である。 本発明に従う中間転写ベルトの層構成のいくつかの例を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態におけるクリーニングニップの近傍の拡大図である。 実施例及び比較例に係る中間転写ベルトの表面の観察結果を示す模式図である。 本発明を適用し得る画像形成装置の他の実施形態の模式的な断面図である。 本発明の他の実施形態に係る中間転写ベルトの層構成の一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明に係る画像形成装置及び移動体を図面に則して更に詳しく説明する。
[第1の実施形態]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体的な構成を示す模式的な断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、フルカラー画像の形成が可能な中間転写方式を採用したインライン型(タンデム型)のフルカラープリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として4個の画像形成部(ステーション)10Y、10M、10C、10Kを有する。本実施形態では、4個の画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、重力方向と交差する方向に並設されている。そして、各画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、後述する中間転写ベルトの画像被転写面(表面)の移動方向に沿って上流から順に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する。
なお、本実施形態では、各画像形成部10Y、10M、10C、10Kの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部の要素であることを表す図中符号の末尾のY、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
画像形成部10は、像担持体としてのドラム状(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ6が配置されている。
各画像形成部10の各感光ドラム1に対向して、感光ドラム1上のトナー像を記録用紙などの転写材Sに転写するための中間転写装置(中間転写ベルトユニット)30が配置されている。この中間転写ベルトユニット30は、各画像形成部10の各感光ドラム1と対向するように、中間転写体(移動体)としての無端ベルト状の中間転写ベルト7を有する。中間転写ベルト7は、二次転写対向ローラ31、テンションローラ32、駆動ローラ33の3個の張架ローラ(張架部材)に張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ33が回転駆動されることによって、図中矢印R2方向に周回移動(回転)する。本実施形態では、感光ドラム1の表面の移動速度(周速度)と中間転写ベルト7の表面の移動速度(周速度)とは略同じ速度であり、対向部において順方向に移動する。中間転写ベルト7の内周面(裏面)側において、中間転写ベルト7を挟んで各感光ドラム1と対向する位置に、上記一次転写ローラ5がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に対して押圧されている。これにより、感光ドラム1と中間転写ベルト7とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1が形成されている。又、中間転写ベルト7の外周面(表面)側において、中間転写ベルト7を挟んで二次転写対向ローラ31と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ8が配置されている。二次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して二次転写対向ローラ31に押圧されている。これにより、中間転写ベルト7と二次転写ローラ8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2が形成されている。又、中間転写ベルト7を介してテンションローラ32と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーナ20が配置されている。
また、画像形成装置100には、転写材Sを二次転写部N2に供給するための給搬送装置50及びレジストローラ111や、転写材Sにトナー像を定着させる定着手段としての定着装置9などが設けられている。
画像形成時には、所定の周速度(プロセススピード)で回転する感光ドラム1の表面が、帯電ローラ2によって所定の極性(本実施形態では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。このとき、帯電ローラ2には、帯電電源(図示せず)から所定の帯電バイアスが印加される。帯電処理された感光ドラム1の周面は、露光装置3によって画像情報に応じてレーザー光で走査露光され、これによって感光ドラム1上に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4によってトナー像として現像される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用によって中間転写ベルト7上に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ5には、一次転写電源E1から、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性(本実施形態では正極性)の直流電圧である一次転写バイアスが印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、4個の画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおいて順次に行われ、中間転写ベルト7上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト7上にフルカラー画像用の多重トナー像が形成される。各画像形成部10では、隣接する一次転写部N1間の距離に応じて一定のタイミングだけ遅らせて各感光ドラム1上に静電潜像が形成される。
中間転写ベルト7上のトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ8の作用によって転写材S上に転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ8には、二次転写電源E2から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施形態では正極性)の直流電圧である二次転写バイアスが印加される。転写材Sは、給搬送装置50において、転写材Sを収納するカセット51から給送ローラ52によって1枚ずつ分離給送され、搬送ローラ対53によって搬送される。その後、給搬送装置50から搬送された転写材Sは、レジストローラ111によって中間転写ベルト7上のトナー像との同期がとられて二次転写部N2へと搬送される。
トナー像が転写された転写材Sは、定着装置9に搬送される。そして、この転写材Sは、定着装置9を通過する際に、加熱ローラ91と加圧ローラ92とのローラ対によって挟持して搬送されることで熱及び圧力を加えられ、その上にトナー像が定着させられる。その後、トナー像が定着された転写材Sは、画像形成装置100の装置本体110の外部に排出される。
また、一次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、ドラムクリーナ6によって除去されて回収される。ドラムクリーナ6は、クリーニング部材としての感光ドラム1に当接するクリーニングブレード61によって、回転する感光ドラム1の表面からトナーを掻き取り、回収トナー容器62に回収する。さらに、二次転写工程後に中間転写ベルト7上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、ベルトクリーナ20によって除去されて回収される。ベルトクリーナ20は、クリーニング部材としての中間転写ベルト7に当接するクリーニングブレード21によって、回転する中間転写ベルト7の表面からトナーを掻き取り、回収トナー容器22に回収する。
本実施形態では、感光ドラム1は、アルミニウム製のシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)を塗布して構成されている。感光ドラム1は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部を支持部材(図示せず)によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータからの駆動力が伝達されることにより、図中矢印R1方向に回転駆動される。
本実施形態では、帯電手段は接触帯電手段とされ、帯電部材(接触帯電部材)であるローラ状に形成された導電性ローラ(帯電ローラ)2で構成されている。この帯電ローラ2が感光ドラム1の表面に当接させられると共に、この帯電ローラ2に帯電電源(図示せず)から所定の帯電バイアスが印加されることによって、感光ドラム1の表面が一様に帯電処理される。本実施形態では、帯電ローラ2には、帯電バイアスとして負極性の放電開始電圧以上の直流電圧が印加され、感光ドラム1の表面は負極性の所定の電位(暗部電位)に帯電させられる。
本実施形態では、露光装置3は、レーザー光学ユニット(スキャナユニット)で構成され、画像信号に基づいて変調されたレーザー光(レーザービーム)を、多面鏡などを用いて走査して感光ドラム1上に照射する。駆動回路(図示せず)によって画像信号に応じてレーザー光の点灯が制御され、帯電処理された感光ドラム1の表面が選択的に露光されて、感光ドラム1上に静電潜像を形成される。
本実施形態では、現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ41、現像ローラ41に供給するトナーを収容する現像容器42、現像ローラ41上のトナー量を規制すると共にトナーに電荷を付与する現像剤規制部材としての現像ブレード43などを有する。この現像装置4は、感光ドラム1上の静電潜像におけるレーザービーム照射部(明部電位)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーを付着させることで、感光ドラム1上の静電潜像をトナー像として現像(反転現像)する。各画像形成部10Y、10M、10C、10Kの現像容器42Y、42M、42C、42Kには、現像剤として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー、特に、本実施形態では非磁性一成分現像剤(トナー)が収納されている。現像容器42から現像ローラ41にトナーが搬送され、現像ローラ41に付着したトナーは現像ブレード43との摺擦により一様な極性(本実施形態では負極性)に帯電させられる。少なくとも現像工程時には、現像ローラ41は、感光ドラム1に接触させられる。そして、現像ローラ41には、現像電源(図示せず)から、絶対値が暗部電位より小さくかつ明部電位より大きな負極性の現像バイアスが印加される。これにより、静電潜像のうち明部電位に対応する領域のみにトナーを付着させることが可能となる。トナーの粒径は、5〜6μm程度である。
本実施形態では、一次転写ローラ5は、外径5mmのニッケルメッキ鋼棒の芯金の周囲に、外径14mmとなるよう発泡性弾性体からなる弾性層を被覆して構成されている。この一次転写ローラ5の電気抵抗は106Ωである。なお、一次転写ローラ5の電気抵抗は、103〜107Ωの範囲であることが、良好な画像形成を行う点で好ましい。
本実施形態では、中間転写ベルト7は、二次転写対向ローラ31と、テンションローラ32と、駆動ローラ33とによって張架され、適当なテンションが維持されるようになっている。中間転写ベルト7は、図中矢印R2方向に回動させられる。中間転写ベルト7については後述して更に詳しく説明する。
駆動ローラ33は、アルミニウム芯金に、カーボンを導電剤として分散した電気抵抗が105Ωで肉厚が0.085mmのシリコーンゴムを被覆した、外径26.3mmのローラである。また、テンションローラ32は、外径24mmのアルミニウム製の金属ローラ(金属棒)であり、回転軸線方向の両端部において片側49N、総圧98Nのテンションを中間転写ベルト7に付与している。また、二次転写対向ローラ31は、アルミニウム芯金に、カーボンを導電剤として分散した電気抵抗が105Ω、肉厚が1.0mmのEPDMゴムを被覆した、外径18mmのローラである。
本実施形態では、二次転写ローラ8は、外径8mmのニッケルメッキ鋼棒の芯金の周囲に、外径16mmとなるよう発泡性弾性体からなる弾性層を被覆して構成されている。この二次転写ローラ8の電気抵抗は108Ωである。なお、二次転写ローラ8の電気抵抗は、107〜109Ωの範囲であることが、良好な画像形成を行う点で好ましい。
本実施形態では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーナ6とは、枠体によって一体的に画像形成装置100の装置本体110に対して着脱可能なプロセスカートリッジPとされている。
また、本実施形態では、中間転写ベルト7、中間転写ベルト7の張架ローラ31、32、33及びベルトクリーナ20などを備えた中間転写ベルトユニット30は、枠体によって一体的に構成され、画像形成装置100の装置本体110に対し着脱可能とされている。
なお、画像形成装置100には、画像形成装置100の各部の動作の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板(制御部)(図示せず)が設けられている。制御基板には、制御手段としてのCPU(図示せず)、各種の制御情報が格納された記憶手段としてのメモリ(図示せず)などが搭載されている。上記CPUは、転写材Sの搬送に関する駆動源、中間転写ベルト7及び各プロセスカートリッジPの駆動源などの制御、画像形成に関する制御、更には故障検知に関する制御など、画像形成装置100の動作を一括して制御する。
2.ベルトクリーナ
次に、本実施形態におけるベルトクリーナ20について更に説明する。図2(a)は、本実施形態におけるベルトクリーナ20の構成をより詳しく示す。
ベルトクリーナ20は、クリーニング部材としての弾性材料で形成された板状部材であるクリーニングブレード21を有する。本実施形態では、クリーニングブレード(ゴム部)21は、弾性材料としてのゴム材料であるウレタンゴム(ポリウレタン)で形成されている。本実施形態では、クリーニングブレード21は、厚さが2.0mm、長手方向(中間転写ベルト7の移動方向と略直交する方向)の長さが231mm、短手方向の長さ(長手方向と略直交する方向)の長さが12mmである。
なお、本実施形態では、クリーニングブレード21のゴム硬度は、JIS K 6253規格に準拠した測定方法(タイプAデュロメータ)で77度である。
ベルトクリーナ20は、クリーニングブレード21を支持する支持手段として、メッキ鋼板で形成された支持部材(板金部)23を有する。本実施形態では、クリーニングブレード21は、その短手方向において一方の端部(固定端部)から所定範囲が、長手方向の略全域にわたり、固定手段としての接着剤によって支持部材23に接着されている。そして、クリーニングブレード21は、その短手方向において他方の端部(自由端部)が、詳しくは後述するようにして、中間転写ベルト7に接触する。クリーニングブレード21の自由長(短手方向において支持部材23に固定されている部分の端部から自由端部までの長さ)は8mmである。
クリーニングブレード21は、揺動可能な構成となっている。本実施形態では、支持部材23は、その長手方向(中間転写ベルト7の移動方向と略直交する方向)の両端部において、揺動軸24を介して中間転写ベルトユニット30を構成する枠体(図示せず)に揺動可能に固定される。そして、付勢手段としての弾性部材である加圧バネ25によって支持部材23が加圧されることで、支持部材23は揺動軸24を中心に図中矢印R3方向に回動するように付勢される。これによって、支持部材23に固定されたクリーニングブレード21が同方向に回動するように付勢される。揺動軸24の軸線方向は、中間転写ベルト7の張架ローラ31、32、33の回転軸線方向と略平行である。本実施形態では、図2(a)に示すように、加圧バネ25は、一端部が支持部材23に固定され、他端部が上記中間転写ベルトユニット30を構成する枠体(図示せず)に固定された引張りバネで構成されている。そして、この加圧バネ25は、支持部材23を、揺動軸24を中心として、中間転写ベルト7の張架ローラ31、32、33の回転方向とは逆方向に回動させる。
クリーニングブレード21は、中間転写ベルト7の移動方向において、二次転写部N2よりも下流かつ最上流の画像形成部10Yの一次転写部N1Yよりも上流で中間転写ベルト7に接触して、移動する中間転写ベルト7上のトナーを掻き取る。本実施形態では、クリーニングブレード21に対向して中間転写ベルト7の内周面側には、中間転写ベルト7の張架ローラの一つであるテンションローラ32が配置されている。クリーニングブレード21は、テンションローラ32上で中間転写ベルト7と接触して、移動する中間転写ベルト7の表面からトナーを掻き取る(図2(b))。
本実施形態では、クリーニングブレード21は、中間転写ベルト7に接触する自由端側が中間転写ベルト21の移動方向に対して上流側を向くように中間転写ベルト7に当接されている(カウンター方向)。クリーニングブレード21は、その自由端部の中間転写ベルト7側のエッジ部、及び/又はクリーニングブレード21の短手方向に沿って上記エッジ部から固定端部側の所定範囲の面において、中間転写ベルト7の表面に当接する。中間転写ベルト7とクリーニングブレード21との当接部(より詳細には中間転写ベルト7の移動方向における接触開始位置から接触終了位置までの領域)を、クリーニングニップ(クリーニング部)Ncという。
なお、本実施形態では、クリーニングブレード21の取り付け位置は、次の設定角度θ、侵入量δ、当接圧に設定されている。
設定角θは、中間転写ベルト7の張架ローラ31、32、33の回転軸線方向に見た場合に、中間転写ベルト7とクリーニングブレード21との交点における中間転写ベルト7の接線と、クリーニングブレード21の表面に沿う方向と、がなす角度である。上記交点は、中間転写ベルト7の移動方向における中間転写ベルト7とクリーニングブレード21との当接領域の最上流位置で代表するものとする。また、上記クリーニングブレード21の表面に沿う方向は、中間転写ベルト7に当接して変形していないと仮定した場合の、クリーニングブレード21の長手方向に延びる面の接線で代表するものとする。本実施形態では、この設定角θが24°である。
侵入量δは、中間転写ベルト7に当接して変形していないと仮定した場合に中間転写ベルト7の表面よりも内側となる(中間転写ベルト7及びテンションローラ32と重なる)クリーニングブレード21の厚さ方向の長さである。本実施形態では、この侵入量δが1.45mmである。
クリーニングブレード21の当接圧は、クリーニングニップNcにおけるクリーニングブレード21からの押圧力(長手方向における線圧)で定義され、フィルム式加圧力測定システム(商品名:PINCH,ニッタ社製)を用いて測定される。本実施形態ではこの当接圧が0.6N/cmである。
本実施形態では、上述のようなクリーニングブレード21の設定位置にすることで、高温高湿環境下(30℃/80%)でのクリーニングブレード21のめくれやスリップ音などを抑制することができる。また、上述のような設定位置により、低温低湿環境下(15℃/10%)でのクリーニング不良の発生を抑制して、良好なクリーニング性能を得ることができる。
なお、中間転写ベルト7の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、クリーニングブレード21のゴム硬度(JIS K 6253規格)は、70度以上、80度以下の範囲であることが好ましい。ゴム硬度が上記範囲よりも低いと、使用による摩耗量が増加して、耐久性が低下することがあり、上記範囲よりも高いと弾性力が減少して、中間転写ベルト7との摩擦により欠けなどが発生することがある。また、中間転写ベルト7の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、クリーニングブレード21の当接圧は、0.4N/cm以上、0.8N/cm以下の範囲が好ましい。当接圧が上記範囲よりも小さいと、良好なクリーニング性能が得られないことがあり、上記範囲よりも大きいと中間転写ベルト7の回転駆動するための負荷が大きくなりすぎることがある。
3.中間転写ベルト
次に、本実施形態における中間転写ベルト7について更に説明する。図3は、中間転写ベルト7の層構成のいくつかの例を模式的に示している。
本実施形態では、中間転写ベルト7は、基層7bと表層7aとの2層で構成されている。表層7aは、感光ドラム1から転写されたトナーを担持(保持)する。表層7aは、基層7b上に形成されている。
まず、基層7bに使用する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは混合して2種以上使用することもできる。
また、これらの熱可塑性樹脂中に、導電材料などを熔融混煉し、次いで、インフレーション成形、円筒押出し成形、ブロー成形などの成形方法を適宜選択して、中間転写ベルトの基層7bを得ることができる。
一方、表層7aには、中間転写ベルト7の表面の硬度を高め、耐久性(耐摩耗性)を向上させる観点から、熱、又は光(紫外線など)や電子線などのエネルギー線の照射によって硬化する硬化性材料を用いることが好ましい。特に、硬化性の高い紫外線や電子線などの照射によって硬化する硬化性材料が好ましいが、これらに限定されるものではない。硬化性材料のうち、有機材料としては、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フッ素系硬化性樹脂(含フッ素硬化性樹脂)などの硬化性樹脂が挙げられる。無機材料としては、アルコキシシラン・アルコキシジルコニウム系材料、ケイ酸塩系材料などが挙げられる。有機・無機ハイブリッド材料としては、無機微粒子分散有機高分子系材料、無機微粒子分散オルガノアルコキシシラン系材料、アクリルシリコン系材料、オルガノアルコキシシラン系材料などが挙げられる。中間転写ベルト7の表層7aの耐摩耗性、耐クラック性などの強度の観点から、硬化性材料の中でも樹脂材料(硬化性樹脂)が好ましく、硬化性樹脂の中でも、不飽和二重結合含有アクリル共重合体を硬化させて得られるアクリル樹脂が好ましい。不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、例えば、JSR社製のアクリル系紫外線硬化樹脂:オプスターZ7501を用いることができる。すなわち、中間転写ベルト7は、紫外線硬化性モノマー及び/又はオリゴマー成分を含有してなる液で、これにエネルギー線を照射し、硬化させて得られた表層(硬化膜、表面硬化層)7aを有していることが好ましい。
また、表層7aには、電気抵抗の調整を目的として、導電材料(導電性フィラー、電気抵抗調整剤)72を添加することができる。導電材料72としては、電子導電性材料又はイオン導電性材料を用いることができる。電子導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、PAN系炭素繊維及び膨張化黒鉛粉砕品などの粒子状、繊維状又はフレーク状のカーボン系導電性フィラーが挙げられる。また、例えば、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス及び鉄などの粒子状、繊維状又はフレーク状の金属系導電性フィラーが挙げられる。また、例えば、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープの酸化スズ、アンチモンドープの酸化亜鉛、スズドープの酸化インジウム及びアルミニウムドープの酸化亜鉛などの粒子状の金属酸化物系導電性フィラーが挙げられる。イオン導電性材料としては、例えば、イオン液体、導電性オリゴマー及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの導電材料の中から1種又はそれ以上が適宜選択され、電子導電性材料とイオン導電性材料とを混合して用いても良い。これらの中でも、添加量が少量で済み、表層7aの所望の表面平滑性が得られる点で、粒子状(サブミクロン以下の粒子など)の金属酸化物系導電性フィラーが好ましい。
そして、表層7aには、詳しくは後述するように表層7aに固体潤滑剤73を含有する突起(突起形状)7cを形成することを目的として、固体潤滑剤73が添加される。固体潤滑剤73は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、二フッ化二塩化エチレン樹脂粉体、フッ化黒鉛などのフッ素含有粒子、及びそれらの共重合体から適宜選択して用いることができる。また、固体潤滑剤73は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子、二硫化モリブデン粉体などであってもよい。これらの中でも、粒子の表面の摩擦係数が低く、中間転写ベルト7の表面に当接する他の部材、例えば、クリーニングブレード21の摩耗を低減できる点で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粒子(乳化重合系のPTFE樹脂粒子など)が好ましい。
表層7aの作製方法の一例の概略を示せば次のとおりである。不飽和二重結合含有アクリル共重合体中に、導電材料としてのアンチモンドープの酸化亜鉛、固体潤滑剤としてのPTFE粒子を混合し、高圧乳化分散機で分散混合し、表層形成用塗工液を作製する。
また、表層7aを基層7b上に形成する方法としては、通常のコーティング方法、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートなどを挙げることができる。これらの方法から適宜選択して用いることで、所望の膜厚の表層7aを得ることができる。
4.中間転写ベルトの表層の突起
次に、本実施形態における中間転写ベルト7の表層7aの突起7cについて更に説明する。
図3(a)は、本実施形態における中間転写ベルト7の層構成の一例を示す表層7aの近傍の模式的な拡大部分断面図である。
本実施形態では、中間転写ベルト7は、無端のフィルム状部材とされ、上述のように基層(基材)7bと表層(表面層)7aとの2層で構成されている。
一例として、基層7bは、ポリエチレンナフタレート樹脂に電気抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散した、厚さ70μmの層からなる。また、一例として、表層7aは、硬化性材料71としてのアクリル樹脂に、導電材料72としてのアンチモンドープの酸化亜鉛を分散し、固体潤滑剤73としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を添加した、厚さ3μmの層からなる。
中間転写ベルト7の表層7aに添加された固体潤滑剤73は、表面(最表層)に突出(析出)した突起(突起形状)7cに含有される。典型的には、固体潤滑剤73は、図3(a)に示すように、表層7aにおける固体潤滑剤73以外の他の材料(主に硬化性材料71からなり導電材料72などが添加されていてよい。以下「表層本体」ともいう。)7dから一部が露出した状態で突起7cを形成している。
ただし、後述するように、固体潤滑剤73は、表層本体7dによって被覆された状態で突起7cを形成していてもよい(図7:第3の実施形態)。すなわち、中間転写ベルト7の表層7aの表面に突出した突起7cに固体潤滑剤73の一部又は全部が含まれていればよい。このような突起7cを単に固体潤滑剤73による突起7cともいう。本実施形態では、固体潤滑剤73は、中間転写ベルト7の表層7aの表層本体7dから一部が露出して突起7cを形成しているものとする。
その他、固体潤滑剤71は、表層7a中(より深部の基層7bに近い側)にも分散された状態で存在している。
なお、詳しくは後述する突起7cによる効果を得る上では、中間転写ベルト7の表層7aの表面に固体潤滑剤73による突起7cが形成されていればよい。したがって、例えば、図3(b)に示すように、中間転写ベルト7の表面側のみに固体潤滑剤73が存在している構成でもよい。同様に、図3(c)に示すように、中間転写ベルト7の表層7aに比較的大粒径の固体潤滑剤73を含有させて、中間転写ベルト7の表面に突起7cを形成する構成でもよい。
良好なクリーニング性を得る上では、中間転写ベルト7の移動方向において、固体潤滑剤73による突起7cの幅が、中間転写ベルト7とクリーニングブレード21との間のクリーニングニップ(当接領域)Ncの幅(図2(b))よりも小さいことが好ましい。突起7cの幅がクリーニングニップNcの幅以上であると、クリーニングブレード21は突起7cのみと選択的に接触し、非突起7c部からトナーがすり抜ける可能性があることから、クリーニング不良が発生することがあり好ましくない。ここで、突起7cの幅は、例えば図3(a)に示すように、固体潤滑剤73が表層7aの表層本体7dから露出して突起7cを形成している場合は、次の幅で代表するものとする。すなわち、各突起7cにおいて表層本体7dから露出している固体潤滑剤73の中間転写ベルト7の移動方向における幅の最大値である。クリーニングニップNcの幅、突起73の幅は、それぞれ光学顕微鏡(商品名:VHX2000、キーエンス社製)、走査型プローブ顕微鏡(SPI3800:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて測定することができる。
なお、上述のように、固体潤滑剤73は、表層7aの厚さ方向において、表面側に偏在していてもよいが、突起7cは中間転写ベルト7の表面において略均一に散在していることが好ましい。
また、一例として、本実施形態では、中間転写ベルト7の体積抵抗率は、1010Ω・cmである。中間転写ベルト7の体積抵抗率は、109〜1012Ω・cmの範囲であることが、良好な画像形成を行う点で好ましい。
なお、体積抵抗率の測定は、汎用測定器Hiresta・UPMCP−HT450(三菱化学社製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で得た値である。
また、本実施形態では、中間転写ベルト7の幅(移動方向と略直交する方向の長さ)が248mm、周長が712mmである。
5.新品時のクリーニング動作
次に、新品時における中間転写ベルト7のクリーニング動作について説明する。
図4(a)は、新品時のクリーニングブレード21と中間転写ベルト7の表層7aとの間に形成されるクリーニングニップNcの近傍を示す模式的な拡大部分断面図である。新品時のクリーニングブレード21には、潤滑剤が塗布されておらず、中間転写ベルト7の表層7aと直に接した状態で静止している。ここで、本実施形態では、中間転写ベルト7の表層7aには、固体潤滑剤73が表層本体7dから一部が露出して突起7cが形成されている。そのため、新品時のクリーニングブレード21と直に接するのは、実質的に硬化性材料71ではなく、固体潤滑剤73となる。
図4(b)は、画像形成装置100、特に、中間転写ベルトユニット30の使用を開始した際のクリーニングブレード21と中間転写ベルト7の表層7aとの間に形成されるクリーニングニップNcの近傍を示す模式的な拡大部分断面図である。画像形成装置100の電源がオンされた後、中間転写ベルト7のイニシャル回転が開始される。中間転写ベルト7のイニシャル回転は、画像形成装置100の電源がオンされた後などに、画像形成が可能な状態となるまでの間に行われる準備動作(イニシャル動作)における中間転写ベルト7の回転動作である。ここでは、特に、少なくとも中間転写ベルト7及びベルトクリーナ20を含む中間転写ベルトユニット30が新品(未使用)の状態から最初に行われるイニシャル回転である。その際、潤滑剤が塗布されていないクリーニングブレード21と、中間転写ベルト7の表層7aの突起7cとが摺擦される。その結果、クリーニングブレード21よりも低硬度な(脆い)突起7cが削られて、クリーニングニップNc、特に、クリーニングブレード21のエッジ部に、突起7cに含有されていた固体潤滑剤73からなる固体潤滑剤付着物74が付着する。
そして、クリーニングブレード21のエッジ部へ付着した固体潤滑剤付着物74が、クリーニングニップNcにおいてクリーニングブレード21のエッジ部と中間転写ベルト7の表層7aとの間の摩擦力を低減する。
このように、突起7cが削られて供給された固体潤滑剤付着物74がクリーニングニップNcに介在し、潤滑剤としての機能を果たす。これにより、新品時にクリーニングブレード21に潤滑剤が塗布されていない状態でも、クリーニングブレード21のめくれなどを抑制することができる。
一方、中間転写ベルト7の表層7aの突起7cがクリーニングブレード21より硬い場合、上述のような削れは発生せず、クリーニングニップNcには潤滑剤が供給されない。そのため、クリーニングブレード21のめくれなどが発生することがある。
すなわち、中間転写ベルト7の表面の固体潤滑剤73を含有する突起7cは、クリーニングブレード21よりも低硬度(脆い)ことが好ましい。より詳細には、突起7cに含有される固体潤滑剤73は、モース硬度がクリーニングブレード21より小さいことが好ましい。典型的には、突起7cに含有される固体潤滑剤73は、モース硬度が1未満である。本実施形態では、中間転写ベルト7の表層7aにおいて、固体潤滑剤73が表層本体7dから露出して突起7cを形成している。したがって、固体潤滑剤73、すなわち、突起7cは、モース硬度がクリーニングブレード21より小さく、典型的には1未満である。
中間転写ベルト7のイニシャル回転後、画像形成が開始されて、クリーニングブレード21へ転写残トナーが供給され始めると、トナーの外添剤やトナー自体が潤滑剤としての効果を発揮し、クリーニングブレード21のめくれなどが抑制される。
6.実施例及び比較例
次に、実施例及び比較例を参照して本実施形態の効果について更に詳しく説明する。
(実施例1)
本実施例では、次のようにして基層7bと表層7aとの2層からなる中間転写ベルト7を作製し、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
<基層の作製>
次のようにして、中間転写ベルト7の基層7bを作製した。
ポリエチレンナフタレート樹脂を延伸ブローすることで、ボトル状成形体を得て、これを超音波カッターにより切断することで、無端状のベルト体を得た。
なお、ポリエチレンナフタレート樹脂中には、電気抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散した。
こうして得られた厚さ70μmのポリエチレンナフタレート樹脂製のベルトを、中間転写ベルト7の基層7aとして用いた。
<表層形成用塗工液(紫外線硬化性樹脂組成物)の調製>
次のようにして、中間転写ベルト7の表層7aを形成するのに用いる塗工液を調製した。
紫外線を遮蔽した容器中において、固体潤滑剤73としてのモース硬度が1未満、一次粒径が200nmのPTFE粒子(ルブロンL−2:ダイキン工業社製)28重量部と、硬化性材料71としての旧JIS K 5400鉛筆硬度が8Hである不飽和二重結合含有アクリル共重合体(オプスターZ7501:JSR社製)100重量部と、メチルイソブチルケトン17重量部と、導電材料72としてのアンチモン酸亜鉛粒子含有イソプロパノールゾル(セルナックスCX−Z210IP:日産化学工業社製)15重量部とを混合した。各成分は、高圧乳化分散機で分散混合され、調製された紫外線硬化性樹脂組成物を中間転写ベルト7の表層7aを形成するのに用いる塗工液とした。
なお、固体潤滑剤73の一次粒径(平均粒径)は、レーザー回折式粒度分布測定法で測定される粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
<表層を付与した中間転写ベルトの作製>
次のようにして、基層7b上に表層7aを形成した中間転写ベルト7を作製した。
上述のようにして作製した基層7b上に、上述のようにして調製した紫外線硬化性樹脂組成物を、温度25℃、相対湿度60%の塗布環境でディップコートした。
そして、塗工が終了してから10秒後に、塗工環境と同じ場所にある紫外線照射装置(UE06/81−3、アイグラフィック社製、積算光量:1000mJ/cm2)を用いて紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その結果、厚さ3μmの樹脂硬化膜が形成され、この樹脂硬化膜を中間転写ベルト7の表層7aとした。このようにして表層7aを有するエンドレスベルト状の中間転写ベルト7を作製した。
本発明の効果を良好に得ると共に、塗布液の良好な分散安定性を得るためには、固体潤滑剤73は、中間転写ベルト7の表層7aの樹脂固形分100重量部に対して30〜60重量部の範囲で含有されることが好ましい。
<表層の観察>
上述のようにして作製した中間転写ベルト7の表層7aにおける、PTFE粒子73の突出具合を観察することを目的として、走査型プローブ顕微鏡(SPI3800:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いた。カンチレバーはシリコーン製で、先端半径15nm以下、バネ定数15N/m、共振周波数136KHzのものを用いた。測定モードには、ダイナミックフォースモードを用い、測定周波数は0.3〜1.0Hz、観察視野は6μm四方とした。観察結果を図5に示す。
中間転写ベルト7の表面には、球状のPTFE粒子73が突出しており、突起7cが形成されているのが確認された(図5(a))。
なお、本実施例では、クリーニングニップNcの幅は50μm、突起の幅は0.1μmであった。
<評価実験>
新品時のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無を調べるために、本実施形態の画像形成装置100を用いて次のような評価実験を行った。
温度30℃、相対湿度80%の高温高湿環境下にて、新品の中間転写ベルト7と新品のクリーニングブレード21とを用いて、10分間、240mm/secの周速度(プロセススピード)で中間転写ベルト7を回転させた。そして、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無を確認した。
なお、新品時のクリーニングブレード21及び中間転写ベルト7上には、潤滑剤が塗布されていない。また、中間転写ベルト7の回転中は、転写材Sの通紙及び感光ドラム1から中間転写ベルト7へのトナーの転写を一切行わず、中間転写ベルト7の表面に実質的に何も供給されない条件とした。
そして、10分間の回転の間にクリーニングブレード21のめくれが発生しなければ「○(良好)」、発生すれば「×(不良)」とした。
また、上述の評価実験の終了後のクリーニングブレード21のエッジ部を顕微鏡(VHX−1000:Keyence社製)で観察し、PTFE粒子73が削れることにより供給された固体潤滑剤付着物74の有無を確認した。
本実施例の評価結果を表1に示す。本実施例では、10分間の中間転写ベルト7の回転でクリーニングブレード21のめくれは発生しなかった。また、クリーニングブレード21には、PTFE粒子73が削れることにより供給された固体潤滑剤付着物74が確認できた。さらに、上述の評価実験の終了後に、クリーニングブレード21の固体潤滑剤付着物74を拭き取って、潤滑剤が塗布されていない状態で、上述の評価実験に用いた中間転写ベルト7に当接させて、再度回転させた。この場合も、クリーニングブレード21のめくれは発生しなかった。そして、再び、クリーニングブレード21のエッジ部を観察すると、PTFE粒子74が削れることにより供給された固体潤滑剤付着物74が確認できた。つまり、中間転写ベルト7の表面に形成されたPTFE粒子73の突起7cは、中間転写ベルト7の回転を開始した直後に全て削れるわけではなく、10分間の回転後にも存在していることがわかった。そして、そのPTFE粒子73の突起7cの削れによる潤滑効果が、その後も発現することが確認できた。
(実施例2)
本実施例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、固体潤滑剤73として一次粒径が300nmのPTFE粒子(ルブロンL−2:ダイキン工業社製)28重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、実施例1よりも大きな球状のPTFE粒子73が突出しており、突起7cが形成されているのが確認された(図5(b))。
なお、本実施例では、クリーニングニップNcの幅は実施例と同じで、突起の幅は0.2μmであった。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本実施例では、実施例1と同様に、クリーニングブレード21のめくれは発生せず、クリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74が確認できた。
(実施例3)
本実施例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、固体潤滑剤73として一次粒径が3000nmのPTFE粒子(ルブロンL−2:ダイキン工業社製)28重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、実施例1、2よりも更に大きな球状のPTFE粒子73が突出しており、突起7cが形成されているのが確認された(図5(c))。
なお、本実施例では、クリーニングニップNcの幅は実施例1と同じで、突起の幅は2.0μmであった。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本実施例では、実施例1と同様に、クリーニングブレード21のめくれは発生せず、クリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74が確認できた。
(実施例4)
本実施例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、固体潤滑剤73として、モース硬度が1未満、一次粒径が300nmのPTFE粒子(ルブロンL−2:ダイキン工業社製)25重量部と、モース硬度が6.5、一次粒径が1000nmのメラミンシリカ樹脂粒子(オプトビーズ1000:日産化学社製)25重量部とを添加した以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、小粒径のPTFE粒子73と、大粒径のメラミンシリカ粒子75とが混在して突出しており、突起7cを形成しているのが確認された(図5(d))。
なお、本実施例では、クリーニングニップNcの幅は実施例1と同じで、突起の幅はPTFE粒子が0.1μmであり、メラミンシリカ樹脂粒子は0.7μmであった。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本実施例では、実施例1と同様に、クリーニングブレード21のめくれは発生せず、クリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74が確認できた。
(比較例1)
本比較例では、単層の中間転写ベルト7を作製し、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
材料には熱可塑性ポリイミド樹脂を用いて、遠心成型により得られた単層のポリイミドベルトを中間転写ベルト7として用いた。この中間転写ベルト7には、突起7cは形成されていない。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、突起7cは確認できなかった(図5(e))。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本比較例では、中間転写ベルト7の回転開始直後に、クリーニングブレード21のめくれが発生した。また、本比較例では、めくれの発生後のクリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74は確認されなかった。
(比較例2)
本比較例では、実施例1などと同様に、基層7bと表層7aとの2層からなるが、表層7aに突起7cを形成するための固体潤滑剤73を添加していない中間転写ベルト7を作製し、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
本比較例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、固体潤滑剤73を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、突起7cは確認できなかった(図5(f))。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本比較例では、比較例1と同様に、中間転写ベルト7の回転開始直後に、クリーニングブレード21のめくれが発生した。また、本比較例では、めくれの発生後のクリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74は確認されなかった。
(比較例3)
本比較例では、実施例1などと同様に、基層7bと表層7aとの2層からなるが、PTFE粒子73を表面に突出(析出)させていない中間転写ベルト7を作製し、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
本比較例では、表面層形成用塗工液の基層7bへの塗布及び乾燥を40℃、相対湿度10%の環境下において行った以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、突起7cは確認できなかった(図5(g))。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本比較例では、比較例1と同様に、中間転写ベルト7の回転開始直後に、クリーニングブレード21のめくれが発生した。また、本比較例では、めくれの発生後のクリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74は確認されなかった。
(比較例4)
本比較例では、実施例1などと同様に、基層7bと表層7aとの2層からなるが、固体潤滑剤73としてPTFE粒子よりも硬い粒子を表面に突出させた中間転写ベルト7を作製し、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
本比較例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、モース硬度が6.5、一次粒径が1000nmのメラミンシリカ樹脂粒子(オプトビーズ1000:日産化学社製)を50重量部添加した以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、球状のメラミンシリカ樹脂粒子75が突出しており、突起7cが形成されているのが確認された(図5(h))。
なお、本比較例では、クリーニングニップNcの幅は実施例1と同じで、突起の幅は0.7μmであった。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本比較例では、比較例1と同様に、中間転写ベルト7の回転開始直後に、クリーニングブレード21のめくれが発生した。また、本比較例では、めくれの発生後のクリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74は確認されなかった。
(比較例5)
本比較例では、実施例1などと同様に、基層7bと表層7aとの2層からなるが、固体潤滑剤73としてPTFE粒子よりも硬く、かつ、小粒径の粒子を表面に突出させた中間転写ベルト7を作製し、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
本比較例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、モース硬度が5.5、一次粒径が50nmの酸化チタン粒子(TTO−55:石原産業社製)を50重量部添加した以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、球状の酸化チタン粒子76が突出しており、突起7cが形成されているのが確認された(図5(i))。
なお、本比較例では、クリーニングニップNcの幅は実施例1と同じで、突起の幅は0.02μmであった。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本比較例では、比較例1と同様に、中間転写ベルト7の回転開始直後に、クリーニングブレード21のめくれが発生した。また、本比較例では、めくれの発生後のクリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74は確認されなかった。
(比較例6)
本比較例では、実施例1などと同様に、基層7bと表層7aとの2層からなるが、固体潤滑剤73としてPTFE粒子よりも硬い(比較例4の場合よりも更に硬い)粒子を表面に突出させた中間転写ベルト7を作製した。そして、クリーニングブレード21のめくれの発生の有無などを確認した。
本比較例では、紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、モース硬度が9、一次粒径が1000nmの酸化アルミニウム粒子(A−43:昭和電工社製)を50重量部添加した以外は、実施例1と同様にして表層7aを有する中間転写ベルト7を得た。
実施例1の場合と同様の走査型プローブ顕微鏡を用いた観察により、中間転写ベルト7の表面には、球状の酸化アルミニウム粒子77が突出しており、突起7cが形成されているのが確認された(図5(j))。
なお、本比較例では、クリーニングニップNcの幅は実施例1と同じで、突起の幅は0.7μmであった。
実施例1の場合と同様のクリーニングブレード21のめくれの発生の有無の評価結果を表1に示す。本比較例では、比較例1と同様に、中間転写ベルト7の回転開始直後に、クリーニングブレード21のめくれが発生した。また、本比較例では、めくれの発生後のクリーニングブレード21には、固体潤滑剤付着物74は確認されなかった。
Figure 2014126619
以上の評価結果から、次のことが確認できた。すなわち、実施例1〜4のように、中間転写ベルト7の表面に固体潤滑剤73による突起7cを形成し、かつ、その突起7cが削れて供給される固体潤滑剤73をクリーニングニップNcに介在させる。このようにすることが、新品時のクリーニングブレード21に潤滑剤が塗布されていない状態で、クリーニングブレード21のめくれを抑制するために有効である。本実施形態では、中間転写ベルト7の表面にPTFE粒子73による突起7cを散在させて、これをクリーニングブレード21との摺擦によって削るようにする。そして、そのPTFE粒子が削られて供給されたPTFEを、クリーニングニップNc、特に、クリーニングブレード21のエッジ部に付着させる。これにより、新品時のクリーニングブレード21のめくれを抑制することができる。
このように、本実施形態では、画像形成装置100は、トナーを担持する像担持体1と、像担持体上のトナーが直接転写される移動可能な移動体(中間転写体)7と、移動体7に接触し、移動する移動体上のトナーを掻き取るクリーニングブレード21と、を有する。そして、移動体7の表面には、移動体7の使用が開始されることでクリーニングブレード21によって削られる、固体潤滑剤73を含有した突起7cが設けられており、移動体7の使用が開始される際にクリーニングブレード21と突起7cとが接触している。好ましくは、移動体7の移動方向において、突起7cの幅は、クリーニングブレード21と移動体7との当接領域の幅よりも小さい。特に、本実施形態では、移動体7の使用が開始される際に、突起7cにおいて固体潤滑剤73が露出しており、この露出した固体潤滑剤73がクリーニングブレード21に接触している。また、本実施形態によれば、像担持体上のトナーが直接転写される、画像形成装置用の移動体(中間転写体)7が提供される。この移動体7は、表面に、使用が開始されることで当該移動体7に接触するクリーニングブレード21によって削られる、固体潤滑剤73を含有した突起7cが設けられている。これにより、本実施形態によれば、新品時に潤滑剤を塗布したり、特別な潤滑剤塗布手段を画像形成装置内に設けたりすることなく、クリーニングブレード21と移動体7との摩擦によるめくれなどを抑制することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、中間転写方式を採用したインライン型(タンデム型)の画像形成装置に本発明を適用した。しかし、本発明は、斯かる実施形態に限定されるものではない。
本発明は、直接転写方式の画像形成装置にも適用することができる。図6は、直接転写方式を採用したインライン型(タンデム型)の画像形成装置の全体的な構成を示す模式的な断面図である。なお、図6の画像形成装置において、図1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
直接転写方式の画像形成装置100は、中間転写方式の画像形成装置における中間転写体に代えて、転写材Sを担持して搬送する転写材担持体としての、例えば無端ベルト状の転写材搬送ベルト107を有する。そして、転写材Sを転写材搬送ベルト107に静電的に吸着して搬送しながら、各色の画像形成部で形成されたトナー像を順次に転写材S上に重ねて転写していく。その後、トナー像が転写された転写材Sは、転写材搬送ベルト107から分離されて定着装置9へと搬送され、ここでトナー像の定着を受けた後に、画像形成装置100の装置本体110の外部へと排出される。
直接転写方式の画像形成装置100においても、転写材搬送ベルト107上に意図的に形成された制御用のトナー像(パッチ)や、ジャム(紙詰まり)の発生時に転写されてしまったトナー像などを除去するためにクリーニングブレード21が用いられる。したがって、ブレードクリーニング方式を採用した直接転写方式の画像形成装置100においても、転写材担持体としての転写材搬送ベルト107を第1の実施形態における中間転写ベルト7と同様の構成のものを用いることで、同様の効果を得ることができる。
このように、本実施形態によれば、像担持体上のトナーが転写材Sを介して転写される移動可能な移動体(転写材担持体)107を、第1の実施形態における移動体(中間転写体)7と同様の構成とする。また、本実施形態では、第1の実施形態における移動体(中間転写体)7と同様の構成とされた、像担持体上のトナーが転写材Sを介して転写される、画像形成装置用の移動体(転写材担持体)107が提供される。これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の更に他の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態のものと同じである。したがって、第1の実施形態の画像形成装置のものと同じ又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
第1の実施形態では、中間転写ベルト7の表層7aにおいて、固体潤滑剤73が表層本体7dから露出して突起7cを形成していた。
これに対して、本実施形態では、中間転写ベルト7の表層7aの突起7cが、硬化性材料(樹脂硬化膜)71に覆われた固体潤滑剤73により形成されている。
図7は、本実施形態における中間転写ベルト7の表層7aの近傍の模式的な拡大部分断面図である。本実施形態では、中間転写ベルト7の表層7aは、固体潤滑剤としてのPTFE粒子73が完全に表層本体7dから露出した状態では存在しない。本実施形態では、主にアクリル樹脂71からなる表層本体7d(導電材料73などが添加されていてよい。)に被覆された状態で突起7cを形成している。このような構成においても、PTFE粒子73による突起7cは、クリーニングブレード21に摺擦されることで削られる。これにより、突起7cに含有されたPTFE粒子73が、これを被覆している表層本体7dと共に削られる。そてて、第1の実施形態と同様に、クリーニングニップNc、特に、クリーニングブレード21のエッジ部に削られた固体従滑材73であるPTFEが付着する。その結果、第1の実施形態の場合と同様に、クリーニングブレード21のめくれの抑制効果が得られる。
ここで、図7に示すように、固体潤滑剤73が表層本体7dによって被覆された状態で突起7cを形成している場合は、突起7cの幅は、被覆部も含めた突起形状幅で定義される。この突起の幅は、走査型プローブ顕微鏡(SPI3800:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて測定することができる。
また、この場合、固体潤滑剤73及びこれを被覆する表層本体7dからなる突起7cは、クリーニングブレード21よりも低硬度(脆い)ことが好ましい。より詳細には、少なくとも突起7cに含有される固体潤滑剤73は、モース硬度がクリーニングブレード21より小さいことが好ましい。典型的には、固体潤滑剤73は、モース硬度が1未満である。また、一例として、本実施形態では、固体潤滑剤73を被覆する表層本体7dの主成分であるアクリル樹脂のモース硬度は3である。通常、固体潤滑剤73を被覆する中間転写ベルト7の表層7aを構成する他の材料は十分に薄く、固体潤滑剤73はその被覆する材料と一緒に、クリーニングブレード21により削られる。
なお、第1の実施形態のように固体潤滑剤が露出した突起7cと、固体潤滑剤が被覆されている突起7cとが混在していてもよい。
また、本実施形態は、第3の実施形態(直接転写方式)と組み合わせて実施することも当然可能である。
このように、本実施形態では、移動体(中間転写体)7の使用が開始される際に、突起7cにおいて固体潤滑剤73は移動体7の表層7aを構成する他の材料で被覆されており、この被覆された固体潤滑剤73がクリーニングブレード21に接触している。このような構成によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、移動体(中間転写体、転写材担持体)は2層で構成されているが、上述の実施形態の基層に対応する層が複数層からなっていたり、上述の実施例の基層に対応する層の下層に単数又は複数の層が設けられていたりしてもよい。
また、移動体(中間転写体、転写材担持体)は複数層からなる構成に限定されるものではなく、単層であっても、表面に固体潤滑剤による突起を形成することで、上述の実施形態と同様の効果が得られる。中間転写ベルト7が単層で構成されている場合には、その層が実施形態における表層7aと同様の突起7cを有する構成とする。
また、移動体(中間転写体、転写材担持体)は、ベルト状のものに限定されるものではなく、例えばドラム状のものであっても、本発明を同様に適用して、同様の効果を得ることができる。
画像形成装置は、インライン型のものに限定されるものではない。例えば、1個の感光体に対して複数の現像装置が設けられており、その感光体上に順次に形成されるトナー像を中間転写体に順次に一次転写した後、中間転写体上で重ね合されたトナー像を転写材に二次転写する方式の画像形成装置であってもよい。
1 感光ドラム
7 中間転写ベルト
7a 表層
7b 基層
8 二次転写ローラ
20 ベルトクリーナ
21 クリーニングブレード
71 硬化性材料
72 導電材料
73 固体潤滑剤

Claims (27)

  1. トナーを担持する像担持体と、前記像担持体上のトナーが直接又は転写材を介して転写される移動可能な移動体と、前記移動体に接触し、移動する前記移動体上のトナーを掻き取るクリーニングブレードと、を有する画像形成装置において、
    前記移動体の表面には、前記移動体の使用が開始されることで前記クリーニングブレードによって削られる、固体潤滑剤を含有した突起が設けられており、前記移動体の使用が開始される際に前記クリーニングブレードと前記突起とが接触していることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、モース硬度が前記クリーニングブレードより小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、モース硬度が1未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、フッ素含有粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記移動体の移動方向において、前記突起の幅は、前記クリーニングブレードと前記移動体との当接領域の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記移動体の使用が開始される際に、前記突起において前記固体潤滑剤が露出しており、この露出した固体潤滑剤が前記クリーニングブレードに接触していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記移動体の使用が開始される際に、前記突起において前記固体潤滑剤は前記移動体の表層を構成する他の材料で被覆されており、この被覆された固体潤滑剤が前記クリーニングブレードに接触していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記移動体の表層は、硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 前記移動体の表層は、アクリル共重合体で形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記移動体は、複数層からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  12. 前記クリーニングブレードは、ポリウレタンで形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  13. 前記クリーニングブレードのゴム硬度(JIS K 6253規格)は、70度以上、80度以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  14. 前記クリーニングブレードは、前記移動体に接触する自由端側が前記移動体の移動方向に対して上流側を向くように前記移動体に当接されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  15. 前記クリーニングブレードの前記移動体に対する当接圧は、0.4N/cm以上、0.8N/cm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  16. 前記移動体は、無端状のベルトであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  17. 像担持体上のトナーが直接又は転写材を介して転写される、画像形成装置用の移動体であって、表面に、使用が開始されることで当該移動体に接触するクリーニングブレードによって削られる、固体潤滑剤を含有した突起が設けられていることを特徴とする移動体。
  18. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、モース硬度が前記クリーニングブレードより小さいことを特徴とする請求項17に記載の移動体。
  19. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、モース硬度が1未満であることを特徴とする請求項17又は18に記載の移動体。
  20. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、フッ素含有粒子であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の移動体。
  21. 前記突起に含有される固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載の移動体。
  22. 使用が開始される際に、前記突起において前記固体潤滑剤が露出していることを特徴とする請求項17〜21のいずれか一項に記載の移動体。
  23. 使用が開始される際に、前記突起において前記固体潤滑剤は当該移動体の表層を構成する他の材料で被覆されていることを特徴とする請求項17〜21のいずれか一項に記載の移動体。
  24. 表層は、硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項17〜23のいずれか一項に記載の移動体。
  25. 表層は、アクリル共重合体で形成されていることを特徴とする請求項17〜24のいずれか一項に記載の移動体。
  26. 複数層からなることを特徴とする請求項17〜25のいずれか一項に記載の移動体。
  27. 無端状のベルトであることを特徴とする請求項17〜26のいずれか一項に記載の移動体。
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