JP2004258260A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高画質であり、かつ高速・高耐久・環境対応を実現できる画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】液体現像剤を静電潜像担持体に塗布して静電潜像を現像する画像形成装置において、芯金402a上に弾性層402bを形成し、その表面に表面層402cを設けた現像ローラ402を備え、前記表面層402cの材質が、主骨格を炭素−炭素結合で構成し、主鎖炭素にフッ素が結合していることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】液体現像剤を静電潜像担持体に塗布して静電潜像を現像する画像形成装置において、芯金402a上に弾性層402bを形成し、その表面に表面層402cを設けた現像ローラ402を備え、前記表面層402cの材質が、主骨格を炭素−炭素結合で構成し、主鎖炭素にフッ素が結合していることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真式画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高粘度、高濃度の液体現像剤を使用して、像担持体の表面に形成した静電潜像を可視像化する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1、2、3および4等参照)。
この種の画像形成装置においては、まず、像担持体としての感光体の表面を、帯電手段により均一に帯電する。次いで、光書き込み手段により画像データにしたがって感光体の表面を露光して、前記感光体の表面に静電潜像を形成する。そして、前記感光体の表面に形成した静電潜像を、現像装置により現像して可視像化する。
上述した現像装置は、現像ローラや現像ベルトなどからなる現像剤担持体の表面に、貯蔵タンクに貯蔵した液体現像剤を、均一な厚さで薄層状に塗布するための液体現像剤の塗布装置を備えている。現像剤担持体は、感光体の表面に近接して配置されている。そして、現像剤担持体と感光体との近接部である現像領域において、塗布装置により現像剤担持体の表面に塗布された液体現像剤が、感光体の表面に接触する。
これにより、液体現像剤薄層中のトナーにより、感光体上の静電潜像が可視像化されて、感光体上にトナー像が形成される。現像領域を通過した後の、現像剤担持体上に残留している液体現像剤は、ブレードなどのクリーニング部材により除去されて、貯蔵タンクに回収される。
このようにして、感光体上に形成されたトナー像は、転写紙やOHPシートなどの転写材上に転写される。その後、トナー像が定着装置により転写材上に定着されることにより、転写材上に画像が形成される。なお、転写材へのトナー像の転写時に、感光体上に残留したトナーは、感光体クリーニング手段により除去される。
【0003】
上記液体現像剤としては、絶縁性液体であるキャリア液中に、樹脂および顔料からなる固形分を分散したもの、例えば、ジメチルポリシロキサンオイル等の絶縁性液体からなる液体現像液溶媒中に、顕像化粒子であるトナーを高濃度に分散した50〜10,000mPa・Sの高粘度の液体現像剤が用いられる。
この液体現像剤が上記感光体の表面に接触することにより、液体現像剤中の帯電したトナーが絶縁性液体中を静電気の力によって移動して、感光体上の静電潜像を現像する。したがって、液体現像剤としては、トナーの移動距離が短いほど現像効率が向上する。
そのため、現像剤担持体上には、液体現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された液体現像剤を感光体に接触させて静電潜像を現像することが望ましい。このことは、とくに50〜10,000mPa・Sの高粘度の液体現像剤を用いる場合により顕著である。
このように、静電潜像を液体現像剤の薄層によって現像する場合には、この薄層の厚さによって濃度が決定される。このため、上記現像装置においては、その現像剤担持体上に液体現像剤の均一な薄層を形成することが重要となる。
そこで、この種の現像装置においては、現像剤担持体上に液体現像剤を塗布するための塗布部材として、例えば、特許文献4に示すように、表面に規則的な凹部が形成された塗布ローラ(アニロクスローラ)を有する液体現像剤の塗布装置を用いている。
すなわち、この塗布装置においては、まず、その塗布ローラの表面に液体現像剤が担持される。そして、この塗布ローラの表面に担持された余剰の液体現像剤が、塗布ローラの表面に接触して塗布ローラの表面に担持される液体現像剤の塗布量を規制する塗布量規制部材としてのドクタブレードにより除去される。
これにより、塗布ローラの表面に担持される液体現像剤量が計量される。このようにして計量された液体現像剤が、現像剤担持体上に直接転写塗布されることにより、上記現像装置の現像剤担持体上に、液体現像剤の均一な薄層が形成されるようになる。
【0004】
上述した、従来の液体現像剤の塗布装置は、その塗布ローラにより、現像装置の現像剤担持体(現像ローラ)上に液体現像剤を直接転写塗布するように構成されている。このため、この塗布装置を使用した現像装置においては、塗布ローラと現像剤担持体との接触回転により、塗布ローラの表面に施された規則的な彫刻によって、現像剤担持体の表面が削られ易く、現像剤担持体の消耗や損傷が著しくなる。
したがって、この種の塗布装置を使用する現像装置における現像剤担持体としての現像ローラや現像ベルトに対しては、
(1)感光体との接触により所定の現像ニップを形成できる低硬度のものであること。
(2)少なくとも表面が、バイアス印加可能な導電性を有する材料で構成されていること。
(3)少なくとも表面が、塗布ローラとの摺擦による耐磨耗性の高い機械的強度を有していること。
(4)少なくとも表面が、クリーニングブレードとの摺擦による耐磨耗性の高い機械的強度を有していること。
(5)感光体に対して液体現像剤を均一に塗布できる平滑性を有していること。
(6)液体現像剤の絶縁性液体により、ローラが必要以上に膨潤しないこと。
などの特性が要求される。
このように、この種の塗布装置を使用する現像装置においては、その現像剤担持体としての現像ローラや現像ベルトに対して要求される仕様が厳しいため、現像ローラや現像ベルトの選択の幅が狭く、高耐久・高画質・高速対応可能な現像剤担持体を作ることが難しい状況であった。そこで、現像ローラへの接触部材による危険を低減するために、塗布ローラと現像ローラとの間に中間ローラを設ける構成とした。
【0005】
1つの液体現像剤の塗布方法として所定量の液体現像剤を表面に担持して回転する塗布部材を用いて、この塗布部材の表面に担持された液体現像剤を、この液体現像剤が塗布される被塗布部材の表面に塗布している。そのさいこの液体現像剤の塗布方法においては、上記塗布部材の表面に接触して塗布部材の表面との接触面がこの塗布部材の表面と同方向かつ等速で移動する。
そして被塗布部材の表面に接触してこの被塗布部材の表面との接触面が被塗布部材の表面と逆方向に移動する中間塗布部材の表面に、上記塗布部材の表面に担持された液体現像剤を塗布し、中間塗布部材の表面に塗布された液体現像剤を、上記被塗布部材の表面に塗布するようにした。
この液体現像剤の塗布方法においては、例えば、塗布部材としての塗布ローラ(塗布ベルトでもよい)の回転により、塗布ローラの表面に所定量の液体現像剤が担持される。この塗布ローラの表面に担持された液体現像剤は、塗布ローラの表面に接触して塗布ローラの表面との接触面が塗布ローラの表面と同方向かつ等速で移動する上記中間塗布部材としての中間ローラ(中間ベルトでもよい)の表面に塗布される。
そして、この中間ローラの表面に塗布された液体現像剤は、例えば、被塗布部材としての現像ローラや現像ベルトの表面に塗布される。ここで、中間ローラは、現像ローラや現像ベルトの表面との接触面が現像ローラや現像ベルトの表面と逆方向に移動する。このように、この塗布方法においては、塗布ローラの表面に担持された液体現像剤が、中間ローラを介して、現像ローラ等に塗布される。
したがって、現像ローラ等に対して塗布ローラが直接接触することがないので、塗布ローラと現像ローラ等との接触回転による現像ローラ等の消耗や損傷が低減されるようになる。
このように中間ローラを用いることにより、塗布ローラが直接、現像ローラに当接しなくなり、現像ローラの摩耗や損傷は確実に低減され、現像装置としての耐久寿命は50,000枚から500,000枚以上に飛躍的に向上した。
【特許文献1】特開平7−152254号公報
【特許文献2】特開平7−209922号公報
【特許文献3】特開平7−219355号公報
【特許文献4】特開平11−265122号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した現像ローラは本来、高画質という機能を発現すべき部材である。そのためには、現像ローラ上に形成された液体現像剤薄層を、より効率良く、より均一(ばらつきを小さく)に、感光体に塗布(現像)し、感光体上の静電潜像を忠実にトナー画像として現像可能な構成であることが求められている。
また昨今、高画質・高耐久と同時に、高速化(プロセス線速で500mm/sec以上、プリント枚数で100ppm以上)および環境対応が求められている。そのためにも、現像ローラ上に塗布された液体現像剤を、いかに効率良く、より均一(ばらつきを小さく)に、感光体上に所定の液体現像剤量を塗布(現像)できるかが求められている。
本発明の目的は、上記課題を解決するために、高画質であり、かつ高速・高耐久・環境対応を実現できる画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、液体現像剤を静電潜像担持体に塗布して静電潜像を現像する画像形成装置において、芯金上に弾性層を形成しその表面に表面層を設けた現像ローラを備え、前記表面層の材質の主骨格を炭素−炭素結合で構成し、主鎖炭素にフッ素が結合している画像形成装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、前記表面層を構成するモノマが、炭素数よりもフッ素数の方が多い請求項1に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記現像ローラの、純水に対する接触角が90度以上である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、前記液体現像剤が、絶縁性液体であるキャリア液中に樹脂および顔料からなるトナーが分散されたものであり、前記液体現像剤の固形分(トナー濃度)が10〜30wt%である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記液体現像剤の絶縁性液体が、不揮発性成分である請求項4記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明では、前記弾性層を構成する高分子と前記液体現像剤を構成する絶縁性液体の溶解度指数が2以上離れている請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、前記現像ローラの硬度が、20〜50度である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、前記表面層がコーティング層であって、その膜厚が10〜30μmである請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、前記表面層がチューブ被覆層であって、その膜厚が50μm以下である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、前記現像ローラの表面粗さが、前記液体現像剤中のトナーの平均粒径以下である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項11記載の発明では、前記表面層が、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋されている請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に係わる画像形成装置の実施の形態を示す概略図である。複写機としての画像形成装置Aは、像担持体として感光体1を備えており、この感光体1のまわりには、帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、感光体クリーニング装置6などで構成された作像手段が配設されている。
所定量の液体現像剤を表面に担持して回転する塗布部材を用いて、前記塗布部材の表面に担持された液体現像剤を、前記液体現像剤が塗布される被塗布部材の表面に塗布する液体現像剤の塗布方法および塗布装置、像担持体1上に形成した静電潜像を、前記塗布部材により前記被塗布部材としての現像剤担持体に塗布された液体現像剤により可視像化する現像装置、およびこの現像装置を用いた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
上述した感光体(像担持体)1の材質としてはa−Si(アモルファスシリコン)、OPC等を使用できる。また、帯電器2としては、ローラやチャージャ等の形態のものを使用できる。また、露光装置3としては、LEDやレーザ走査光学系等を使用できる。
【0009】
上記構成の複写機を用いて反転現像により画像を形成する場合について説明する。図1において、感光体1は、図示しないモータ等の駆動手段によって、画像形成時に一定速度で矢印方向に回転駆動される。そして、まず、感光体1の表面が帯電器2により暗中にて一様に帯電される。
次いで、感光体1の表面に露光装置3により原稿光像が照射結像される。これにより、感光体1の表面に静電潜像が形成される。その後、この静電潜像が現像領域Bを通過する際に、上記現像装置4により該静電潜像が可視像化(現像)されて、該感光体1の表面にトナー像が形成される。
上記トナー像は、転写領域Cにて、転写装置5の転写ローラ501を通して印加される転写バイアスにより、転写装置5の中間転写体(ベルト)502上に1次転写される。
中間転写体502上に1次転写されたトナー像は、図示しない2次転写領域において、図示しない2次転写手段により、コピー用紙やOHPシートなどの転写材上に2次転写される。そして、トナー像が2次転写された転写材は、図示しない定着装置によってトナー像を定着された後、複写プリントとして機外に排出される。
一方、1次転写後、感光体1上に残留した残留電位が、除電ランプ7により除去される。また、1次転写後、感光体1上に残留した残留トナーが、感光体クリーニング装置6により除去されて、次の作像に備えられる。
なお、転写装置5としては、図示の静電ローラによる方法以外の、例えば、コロナ放電による方法、粘着転写法、熱転写法などを用いることができる。また、定着装置としては、例えば、熱転写方式、溶剤定着、UV定着、加圧定着などを用いることができる。
【0010】
本実施の形態による複写機においては、感光体1上の静電潜像を現像する液体現像剤として、従来から一般に市販されかつ使用されている、Isopar(エクソン社の登録商標)をキャリア液とした低粘性(1cSt程度)、低トナー濃度(1wt%程度)の液体現像剤ではなく、高粘性、高トナー濃度の液体現像剤を使用している。
この液体現像剤の粘度およびトナー濃度の範囲としては、例えば粘度が50〜10,000mPa・S、トナー濃度が5〜40wt%のものを用いることができるが、トナー濃度は10〜30wt%の範囲の方がより望ましい。
濃度が低過ぎると、所定の液体現像剤量を塗布するために、装置を大型化せざるを得ず、また各ローラを高速回転させ、供給量を増やす必要がある。逆に濃度が高過ぎると、液体現像剤中でトナーが凝集し易くなり、適切な現像ができなくなってしまう。
キャリア液としては、シリコンオイル、植物油、鉱物油等の絶縁性が高く、不揮発性のものを使用することができる。導電性のキャリア液では、トナーの帯電性が安定せず、また揮発性のキャリア液では、トナー濃度の変化が大きくなってしまう。液体現像剤のトナー粒径としては、サブミクロンから6μm程度まで、目的に合わせて選択することができる。
本実施の形態においては、キャリア液として絶縁性で不揮発性のジメチルシロキサンオイルを、トナーとしては平均粒径3〜5μmで、母材がポリエステル系の樹脂からなるものを、固形分(トナー濃度)20wt%に調整して用いた。
【0011】
次に、本実施の形態による複写機の特徴をなす現像装置4について説明する。この現像装置4は、図1に示すように、内部に液体現像剤Dを収容する現像剤収容タンク401内に回転自在に配設された現像ローラ402と、ケーシング410内に回転自在に配設されたスイープローラ403とを備えている。
また、この現像装置4は、被塗布部材としての現像ローラ402に液体現像剤Dを塗布するための塗布装置を備えている。この塗布装置は、塗布部材としての表面に均一なパターンの彫刻がなされている塗布ローラ404、現像ローラ402に液体現像剤Dを塗布する中間塗布部材としての中間ローラ405、液体現像剤Dの攪拌・搬送手段としての攪拌・搬送スクリュー406などで主に構成されている。
さらに、中間ローラ405とスイープローラ403とには、それぞれ金属ブレードもしくはゴムブレードからなるクリーニング部材411、408が備えられている。このクリーニング部材411、408としては、ブレード式のものではなく、ローラ式のものを用いてもよい。
上記塗布装置においては、中間ローラ405が、塗布ローラ404の表面に接触して該表面上の余分な液体現像剤を除去して、塗布ローラ404の表面に担持される現像剤量を規制するドクタローラとしての役割を兼ねている。そして、この中間ローラ405の表面に、塗布ローラ404に塗布され塗布量規制部材としてのドクタブレード409により計量された液体現像剤が転写される。
【0012】
図2は図1の中間ローラを示す断面図である。図2において中間ローラ405は、芯金405aの外周面に弾性体からなる弾性層405bが設けられ、さらに弾性層405bの外周面に滑性層405cが設けられた構成となっている。この中間ローラ405の弾性層405bの材質としては、キャリア液や液体現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよく、種々の高分子材料を用いることができる。
例えば、エピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等の極性ゴムを用いることができる。膨潤や溶解しないようにするには、弾性層405bの溶解度指数(SP値)が、キャリア液や液体現像剤の溶解度指数(SP値)から、2以上離れていることが望ましい。
【0013】
図3は図1の現像ローラを示す断面図である。図3において現像ローラ402は、芯金402aの外周面に弾性体からなる弾性層402bが設けられ、さらに弾性層402bの外周面に表面層402cが設けられた構成となっている。ここで、弾性層402bの材質としては、中間ローラ405と同様、キャリア液や液体現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよく、種々の高分子材料を用いることができる。
例えば、エピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等の極性ゴムを用いることができる。膨潤や溶解しないようにするには、弾性層402bの溶解度指数(SP値)が、キャリア液や液体現像剤の溶解度指数(SP値)から、2以上離れていることが望ましい。
また、現像ローラ402は、感光体1との間で効率的にかつ適切な現像ニップを形成できるようにするために、弾性層402bのゴム硬度が、A型硬度で50度以下であることが望ましい。
スイープローラ403は、現像ローラ402と同じ構成であるので、図3に括弧内で示すように、芯金403aの外周面に弾性体からなる弾性層403bが設けられ、さらに弾性層403bの外周面に導電層(現像ローラでは表面層)403cが設けられた構成となっている。
【0014】
ここで、弾性層403bの材質としてはウレタンゴムを用いることができる。また、スイープローラ403は、感光体1との間で効率的に除去ニップを形成できるようにするために、弾性層403bのゴム硬度が、A型硬度で50度以下であることが望ましい。
なお、スイープローラ403の弾性層403bの材質は、中間ローラ405や現像ローラ402と同様、キャリア液や液体現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。
また、スイープローラ403は、その表面が導電性を有し、かつキャリア液や液体現像剤で膨潤や溶解しない材質であり、その内層がキャリア液や液体現像剤に接触しないような構成であれば、その内層としての弾性層403bの材質は、上記導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。
ここで、弾性層403bが絶縁体で構成される場合には、スイープバイアス電圧を、スイープローラ403の芯金403aからではなく、それらの表面から印加すればよい。
また、現像ローラ402およびスイープローラ403と感光体1との間で効率的に現像ニップおよび除去ニップを形成する他の方法としては、現像ローラ402およびスイープローラ403を剛体とし、感光体1側に弾性層を形成するようにしてもよい。
さらに、このように感光体1側に弾性を持たせる他の方法として、感光体1を無端状ベルト部材で構成してもよい。そのうえ、現像ローラ402およびスイープローラ403には、その表面がRz3μm以下の平滑性を有するように、コーティングもしくはチューブ被覆等の処理が施されている。
【0015】
図1に戻って、現像ローラ402およびスイープローラ403を感光体1に対してそれぞれ適当な圧力で当接させると、現像ローラ402およびスイープローラ403の各弾性層402b、403bが弾性変形して、感光体1との間に現像ニップおよび除去ニップが形成される。
とくに、現像ニップが形成されることによって、液体現像剤中のトナーが、上述した現像領域Bの現像電界により感光体1に対して移動して付着するための、一定の現像時間が確保されるようになる。また、現像ローラ402およびスイープローラ403と感光体1との当接圧力を調整することにより、各ニップ部における表面移動方向の幅であるニップ幅を調整することができる。
これらのニップ幅は、現像ローラ402およびスイープローラ403の線速と現像時定数との積よりも大きな幅に設定される。ここで、現像時定数とは、現像量が飽和するまでに要する時間であって、必要最小ニップ幅をプロセス速度で除したものである。例えば、必要最小ニップ幅が3mmでプロセス速度が300mm/秒であれば、現像時定数は10m秒 となる。
【0016】
現像装置4の動作時においては、現像ローラ402の表面に、塗布装置の塗布ローラ404および中間ローラ405によって、液体現像剤からなる現像剤薄層が形成される。このとき、現像ローラ402上に塗布される液体現像剤の厚みを、現像ローラ402の表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3μg以上、60μg以下となるように設定した。
その場合に、現像ローラ402の表面に、3〜10μmの厚みの現像剤薄層を塗布するようにした。この理由は、現像ローラ402の表面に塗布される液体現像剤の塗布厚みが、現像ローラ表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3μgより小さくなるような厚みでは、十分な量の顔料が感光体1上に形成された画像部に移動せず、この画像部の画像濃度が薄くなるおそれがあるからである。
また、現像ローラ402の表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が60μgより大きくなる厚みでは、感光体1上に形成された静電潜像を現像した後の感光体1の地肌部に残留する余剰トナーが多くなり、スイープローラ403による余剰トナーの除去が不完全になるおそれがあるからである。
このようにして現像ローラ402の表面に形成された液体現像剤薄層は、感光体1と現像ローラ402とにより形成された現像ニップを通過するさいに、感光体1の表面に接触する。これにより、液体現像剤薄層中のトナーが、感光体1の表面に形成された静電潜像(画像部)に移動してこの静電潜像が現像される。
すなわち、感光体1の画像部では、トナーが感光体1側に移動し、感光体1の地肌部(非画像部)では、現像バイアス電位と感光体電位とによって形成される電界により、現像ローラ402の表面にトナーが移動して、感光体1の地肌部にトナーが付着しないようになる。
【0017】
ここで、感光体1の地肌部に付着したトナーの一部が、現像ローラ402表面まで移動しきれずに、感光体1上に残ると、感光体1上に形成された画像にカブリが生じる。スイープローラ403は、このような画像のカブリの原因となるトナー(以下、「カブリトナー」という)をスイープ(掃除)するために設けられている。
このスイープローラ403は、図1に示すように、感光体1の回転方向の現像ローラ402よりも下流側の部位に、現像ローラ402により感光体1上に現像されたトナー像を挟むように、感光体1に押圧して設置されている。そして、このスイープローラ403の表面が、感光体1の表面と略等速で接触移動することによって、感光体1の地肌部のカブリトナーが除去される。
静電潜像の現像後の現像ローラ402の表面に残留した液体現像剤は、ゴースト防止のために、現像ローラ402の表面に対して逆方向に接触回転する中間ローラ405の表面により除去される。中間ローラ405により現像ローラ402の表面から除去された液体現像剤は、中間ローラ405の表面に付着する。
そして、中間ローラ405の表面に付着した液体現像剤は、中間ローラ405に当接配置されているブレードからなるクリーニング部材411によって、中間ローラ405の表面から除去される。また、スイープローラ403により除去された液体現像剤は、スイープローラ403のスイープ(掃除)性能維持のために、ブレードからなるクリーニング部材408により除去される。
このようにして、各ローラ402、403、404、405から除去された液体現像剤は、現像剤収容タンク401に隣接して設けられた一時貯蔵部412に集められる。この一時貯蔵部412内に集められた液体現像剤は、搬送スクリュー413によって、図示しない濃度調整部に送られ、この濃度調整部内でその現像剤濃度が調整された後、現像剤収容タンク401に戻されて再使用される。
一時貯蔵部412には、攪拌手段413、図示しない濃度検知手段、図示しない液量検知手段などが配設されており、一時貯蔵部412内に回収された液体現像剤の濃度および液量を検知している。この検知結果に基づいて、濃度調整部で、新しい液体現像剤の補給やキャリアの補給が行われて、回収した液体現像剤の濃度が均一になるように調整される。
ここで、現像剤収容タンク401内への液体現像剤の供給量は、液体現像剤の消費量より若干多くなるように設定されている。これにより、現像剤収容タンク401から溢れた液体現像剤は、一時貯蔵部412内へ戻される。このように、液体現像剤は常に循環するようになっている。
【0018】
図4は塗布装置の塗布ローラを示す概略図である。上述のような構成の現像装置においては、感光体1上に形成される画像の濃度が、現像ローラ402の表面に塗布された液体現像剤の層厚によって決定される。
そこで、本実施の形態による現像装置においては、塗布装置の塗布ローラ404として、例えば、図4に示すような、その表面に均一なパターンの凹部404aが形成されたアニロクスローラを用いている。このようなアニロクスローラは、グラビア印刷に使用されるので、グラビアローラとも呼ばれている。
【0019】
図5は塗布ローラの表面の凹部の第1の形状を示す斜視図である。図6は塗布ローラの表面の凹部の第2の形状を示す斜視図である。図7は塗布ローラの表面の凹部の第3の形状を示す斜視図である。
塗布ローラ404の表面の凹部404aの形状としては、例えば、図5に示すような斜線型、図6に示すようなピラミッド型、そして図7に示すような格子型などが考えられる。本実施の形態による塗布装置においては、転写性の良さなどの理由から図5の斜線型の凹部404aが形成された塗布ローラ404を用いている。
このように、塗布ローラ404として上記アニロクスローラを用いることにより、その表面に担持された液体現像剤の余剰分が塗布量規制部材を兼ねている中間ローラ405との接触部で絞り落されることによって、塗布ローラ404の表面に、凹部404aにより正確に計量された所量の液体現像剤が担持されるようになる。
そして、このアニロクスローラからなる塗布ローラ404の表面に正確に計量されて担持された液体現像剤が、中間ローラ405を介して、現像ローラ402の表面に転写されることによって、現像ローラ402上に、所定量の液体現像剤からなる均一な薄層が形成される。
ここで、中間ローラ405は、塗布ローラ404との接触部では塗布ローラ404の周速と等しくかつ移動方向が同一方向となるように回転し、また、現像ローラ402との接触部では現像ローラ402の回転方向と反対のリバース方向に回転する。これによって、現像ローラ402の表面に液体現像剤の均一な厚さの薄層が形成される。
すなわち、塗布ローラ404から中間ローラ405に転写された直後の液体現像剤の薄層は、塗布ローラ404表面の凹部404aのパターンがそのまま転写された形状になる。そこで、中間ローラ405と現像ローラ402との接触部では、現像ローラ402の回転方向と逆方向に中間ローラ405を回転させる。
これにより、中間ローラ405と現像ローラ402との周速差によって、現像ローラ402の表面に転移した液体現像剤薄層が均一にされるようにして引き伸ばされ、現像ローラ402の表面に均一な厚さの液体現像剤薄膜が形成される。
【0020】
ところで、アニロクスローラのような表面に凹部404aが形成された塗布ローラ404と現像ローラ402とを直接接触させて、塗布ローラ404の表面に塗布された液体現像剤を、現像ローラ402の表面に塗布するような構成にした場合には、塗布ローラ404の表面の凹部404aにより、現像ローラ402の表面が摺擦されることによって、現像ローラ402の表面が摩耗、損傷してしまう。
すなわち、このような構成の場合には、現像ローラ402の表面と塗布ローラ404の表面とが、互いに異なる方向に移動することにより、常に塗布ローラ404の表面の凹部404aと大きな周速差を持って接触する。これにより、周速差による摩擦によって、現像ローラ402の表面が摩耗、損傷され易い。このため、このような構成の塗布装置では、現像ローラ402の寿命が著しく短くなるという不具合があった。
これに対し、本実施の形態による塗布装置においては、上述のように、塗布ローラ404の表面に塗布された液体現像剤を、中間ローラ405を介して、現像ローラ402の表面に塗布するように構成されている。これにより、現像ローラ402と塗布ローラ404とが直接接触することがなくなり、現像ローラ402の表面が塗布ローラ404の表面の凹部404aにより、摩耗や損傷することがなくなる。
なお、中間ローラ405は、現像ローラ402に対して逆方向に回転しながら接触するが、中間ローラ405の表面には凹凸が形成されていないので、現像ローラ402の表面を傷つけることは少ない。したがって、本実施の形態による塗布装置では、現像ローラ402が受ける機械的なストレスが少なくなり、現像ローラ402の寿命を延ばすことができる。
なお、本実施形態に係る塗布装置の中間ローラ405は、塗布ローラ404と接触しているが、中間ローラ405の表面と塗布ローラ404の表面とは互いに等速で同一方向に回転するので、この塗布ローラ404との接触部に周速差が生じない。したがって、中間ローラ405が、塗布ローラ404から受ける機械的なストレスは小さく、中間ローラ405の表面が、塗布ローラ404の表面の凹部404aにより摩耗や損傷されることは少ない。
【0021】
ところで、中間ローラ405の表面は、塗布ローラ404の表面に対して、塗布ローラ404の回転軸方向に沿うように一様に接触させることが望ましい。したがって、中間ローラ405としては、前述したような弾性層405bを備えている必要がある。また、この中間ローラ405に塗布量規制部材としての機能を持たせるには、中間ローラ405が、ある一定以上の圧力で塗布ローラ404に接触する必要がある。
すなわち、本実施の形態による塗布装置では、塗布ローラ404の凹部404aの容積によって、塗布ローラ404への液体現像剤の塗布量が決定される。したがって、塗布量規制部材としての中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力が不十分であると、塗布ローラ404の凹部404a以外の表面と中間ローラ405の表面との間を液体現像剤が通り抜けてしまうことがある。
このため、中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力が不十分な場合には、塗布ローラ404に塗布される液体現像剤の塗布量が、塗布ローラ404の凹部404aからの容積によって決められた塗布量にならず、適正な濃度の画像を形成できなくなってしまう。
なお、塗布ローラ404の凹部404a以外の表面と中間ローラ405の表面との間を通り抜ける液体現像剤の量は、中間ローラ405および塗布ローラ404の線速や、液体現像剤の粘度などによっても変化する。例えば、高粘度の液体現像剤ほど、液体現像剤の通り抜けが顕著になる。
このため、例えば、作像環境の温度変化などによって、液体現像剤の粘度が変化することにより、塗布ローラ404への液体現像剤の塗布量がばらついて不安定になってしまう。
そこで、本実施の形態による塗布装置においては、中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力を0.2MPaに設定し、中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力を十分に大きくして、塗布ローラ404に塗布される現像剤量を効率的に規制する規制部材(ドクタローラ)としての機能を中間ローラ405に持たせている。
また、塗布ローラ404および中間ローラ405は、理想的には断面が真円で、回転振れのないローラであることが望ましい。しかしながら、この種のローラの機械的な精度には限界がある。そこで、本実施の形態の塗布装置における中間ローラ405においては、その弾性層405bにより回転振れを吸収して、中間ローラ405の外周面が、塗布ローラ404の外周面に対して常に安定して接触するようにしている。
【0022】
中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度は、A型硬度で70度以下であることが望ましい。すなわち、中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度が、70度よりも大きい場合には、中間ローラ405の表面を、塗布ローラ404の表面に対して一様に接触させることが困難となる。
ここで、中間ローラ405の表面を塗布ローラ404の表面に対して無理に接触させると、弾性層405bの変形に要するエネルギーが大きくなるため、この荷重を受ける中間ローラ405の芯金405aを必要以上に太く強固にしなければならない。
また、中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度が、30度以下の低硬度の場合には、中間ローラ405に塗布量規制部材としての機能を持たせるために必要となる接触圧力を得ることが難しく、中間ローラ405の弾性層405bを大きく変形させる必要があるので、中間ローラ405の寿命を低下させる問題がある。
そこで、本実施の形態による塗布装置においては、中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度を、A型硬度で55度とした。このような中間ローラ405の弾性層405bとしては、上述したエピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムのような材料を使用することができる。
ところが、これらゴム材料は、一般的に摩擦係数が大きいため、弾性層405bと被塗布部材としての現像ローラ402とを直接接触させた場合には、接触部において、非常に大きな摩擦抵抗を生んでしまう。このような摩擦抵抗は、中間ローラ405および現像ローラ402の駆動系の負担(トルクアップ)、振動、異音、発熱を発生させるだけでなく、中間ローラ405および現像ローラ402の寿命を著しく低下させてしまう。
そこで、図2に示したように、中間ローラ405の表面に、低摩擦部材からなる滑性層405cを設けている。この滑性層405cは、例えば、PTFE、PFA、ETFEなどのフッ素樹脂やフッ素系の塗料、フッ素ゴム塗料などを、弾性層405bの外周面にコーティングしたり、これらの樹脂でできたチューブを被覆したりして形成される。
【0023】
また、他の低溶融温度の樹脂に分散して潤滑剤として使用することも多い。ところで、この種の塗布装置においては、上述したように、現像ローラ402に対する液体現像剤の塗布量が、塗布ローラ404の表面に形成された凹部404aのセルボリューム(単位面積当たりのセル体積容量)と、塗布ローラ404から現像ローラ402への液体現像剤の転位率によって決まる。
そこで、本実施の形態による複写機では、感光体1上に狙いの画像濃度のトナー像を得るために、適正なセルボリュームのアニロクスローラを選択し、十分な圧力で中間ローラ405を接触させて、現像ローラ402に対する液体現像剤の塗布量が変動しないようにしている。
したがって、塗布ローラ404から現像ローラ402への液体現像剤の転位率は、液体現像剤の物性が決まればほぼ一定の値を示す。ところが、環境温度の変化などによって、液体現像剤の粘性などが変化すると、上記転移率が変わってしまう。
このため、転位率が環境条件等により変化した場合には、変化する前の現像条件と同一の現像条件で感光体1上に形成された静電潜像を現像すると、現像されたトナー像の画像濃度が変化してしまうことになる。
【0024】
上記画像濃度の制御は、現像電界の制御によって行っている。現像電界を高くして高濃度の画像を出力する場合には問題ないが、現像電界を弱くして低濃度の画像を出力する場合には、現像後の液体現像剤層に微細な不均一ムラが発生してしまう。
つまり、低電界下では液体現像剤の固形分の挙動を制御できないため、感光体1の表面と現像ローラ402の表面とが分離して液体現像剤が別れるさいに、それぞれの表面が固形分を互いに引き合い、この引き合いの形跡が微細な不均一ムラとなって現像後の液体現像剤層に残ってしまう。
さらに現像されたトナー像の画像濃度は、現像ローラ402の表面層の材質によっても変化する。
【0025】
本発明で用いられている液体現像剤中のトナー粒子は、キャリア液中でプラス帯電し、その周囲に等価のマイナス電子が存在する、いわゆる電気二重層の構成を取る。現像ローラ402の表面層402cの材質が、プラス帯電機能を有しているフッ素系材料の場合には、トナー粒子をよりプラス帯電させるため、現像し易くなり、トナー像の画像濃度は高くなる。
トナー粒子をプラス帯電させにくい材質であっても、現像ローラ402への液体現像剤量を増やせば、所定の液体現像剤が感光体1に塗布(現像)されることになるが、この場合、現像ローラ402上に残留する液体現像剤量が多くなり、クリーニングの負荷が増大し、クリーニングが不十分な場合、ゴースト画像が発生してしまうため、好ましくない。
また塗布ローラ404や中間ローラ405の回転数をさらに速くすれば、現像ローラ402への液体現像剤量を増やすことも可能であるが、回転数の増大は耐久性に支障が出る。また塗布ローラ404や中間ローラ405の外径を大きくすれば、回転数を速くする必要性は薄れるが、装置の大型化に繋がるなど、好ましくない。
【0026】
図8は接触角の測定を行うための装置を示す概略図である。図9は現像ローラと液滴を示す概略図である。図10は現像ローラと液滴の一致を示す概略図である。
図8ないし図10において、現像ローラ402の表面に純水の液滴8を形成し、この液滴8の最大幅と現像ローラ402表面が一致する位置で固定する。接線を引き、現像ローラ402表面とのなす角(接触角)を計測する(液滴1滴に対し、モニタE内の左右の接触角を計測)。液滴8の滴下位置を順次変えて、5点測定した平均値を接触角とした。
表面粗さの測定は接触式表面粗さ測定器を使用して行われ、以下の測定機器および測定条件が利用された。
測定機器:接触式表面粗さ測定器;小坂研究所サーフコーダSE−30H
測定条件:縦2000倍×横20倍、送り速度0.1mm/秒、測定長さ2.5mm、カットオフ0.8mm
硬度は以下の測定条件、すなわち、1kg荷重で、測定子が現像ローラに当接してから30秒後のデータを記録した。
【0027】
以下、実施例・比較例に基づき、本発明の構成をさらに説明する。
(弾性層A)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、カーボンブラックを分散したポリオール(住友バイエルウレタン)とイソシアネート(住友バイエルウレタン)を用いて1ショット法にてウレタンエラストマの弾性層を成形した。その後、外径研削により、φ24mmに調整した。
硬度:30度(A型)、表面粗さRz:5μm
(弾性層B)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、下記組成B1の発泡層をプレス成形(150℃×15分)により作製し、外径研削により、φ23.9mmに調整した。その後、下記組成B2の非発泡層を、前記発泡層の周囲に押出し成形し、無圧加硫(160℃×1時間)により、加硫接着させた。その後外径研削により、φ24mmに調整した。
組成B1(発泡層)
エピクロルヒドリンゴム(ゼオン):100重量部
炭酸カルシウム:30重量部
カーボンブラック:10重量部
発泡剤/発泡助剤:各3重量部
加硫促進剤:3重量部
イオウ:1重量部
硬度:37度(A型)、表面粗さ:Rz4μm
組成B2(非発泡層)
エピクロルヒドリンゴム(ゼオン):100重量部
炭酸カルシウム:30重量部
カーボンブラック:10重量部
発泡剤/発泡助剤:いずれも無添加
加硫促進剤:3重量部
イオウ:1重量部
硬度:37度(A型)、表面粗さ:Rz4μm
【0028】
(弾性層C)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、下記組成Aの弾性層をプレス成形(150℃×30分)により作製した。その後、外径研削により、φ24mmに調整した。
組成C
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー):100重量部
炭酸カルシウム:30重量部
加硫促進剤:3重量部
イオウ:1重量部
硬度:55度(A型)、表面粗さ:Rz3μm
(弾性層D)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、下記組成Dの弾性層をプレス成形(120℃×20分)により作製し、無圧加硫(200℃×4時間)した。その後、外径研削により、φ24mmに調整した。
組成D
導電性シリコーンゴムD1(信越化学):80重量部
導電性シリコーンゴムD2(信越化学):20重量部
有機過酸化物(加硫剤):2重量部
硬度:40度(A型)、表面粗さ:Rz4μm
【0029】
(表面層▲1▼):フッ素ゴム系塗料(エイトシールF−73BR:太平化成)
六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ビスフェノールAFを硬化剤としポリオール架橋(加硫)されている材料である。酢酸エチルと酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲1▼を形成した。その後、150℃×1.5時間の焼成を行った。
(表面層▲2▼):フッ素ゴム系塗料(エイトシールF−73BX改:太平化成)
六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマーとし、ビスフェノールAFを硬化剤としポリオール架橋(加硫)されている材料である。更に滑剤を添加した。酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲2▼を形成した。その後、150℃×1.5時間の焼成を行った。
(表面層▲3▼):膜厚50μmの導電性PFAチューブ(グンゼ)
弾性層の周囲にプライマを塗布し、さらにその周囲に表面層▲3▼を被覆し、150℃で加熱収縮させた。
(表面層▲4▼):導電性フッ素樹脂(ジスロンEC−06ブラック:ダイキン)
四フッ化エチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体をモノマーとする材料である。イソシアネート系硬化剤を添加し、酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲4▼を形成した。その後、130℃×1時間の焼成を行った。
(表面層▲5▼):導電性ウレタン樹脂(PTFE粒子含有)(エムラロン345E:日本アチソン)
シランカップリング系硬化剤を添加し、純水で希釈して塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲5▼を形成した。その後、130℃×1時間の焼成を行った。
(表面層▲6▼):ポリエステル系ウレタン樹脂(フッ素なし)
メラミン樹脂を硬化剤とし、メチルエチルケトンと酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲6▼を形成した。その後、130℃×1時間の焼成を行った。
弾性層A〜D、表面層▲1▼〜▲6▼を表1の通り組合せ、図1の画像形成装置にて、現像特性評価を行った。なお、中間ローラは、弾性層Cと表面層▲4▼を組合せたローラを用いた。
【表1】
現像特性評価の条件
現像バイアスは+550Vで一定とし、感光体上に黒ベタ現像を行った。現像後の現像ローラ上光学濃度Aおよび現像後の感光体上光学濃度Bを測定し、B/(A+B)×100にて、現像率を算出し、これを評価指標とした。
キャリア液として、絶縁性で不揮発性のジメチルシロキサンオイルを、トナーとしては平均粒径3〜5μmで、母材がポリエステル系の樹脂からなるものを、固形分20wt%に調整して用いた。
【0030】
【実施例1】
<弾性層Aと表面層▲1▼の組合せ>
現像率は98.2%と非常に高く、画像濃度のばらつきはほとんどなく、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、ポリウレタンゴム(SP値10.0)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は108度、硬度は32度(A型)、膜厚は22μm、表面粗さRzは2.8μmである。
【実施例2】
<弾性層Aと表面層▲2▼の組合せ>
現像率は88.3%と高く、画像濃度のばらつきは小さく、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、ポリウレタンゴム(SP値10.0)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は98度、硬度は31度(A型)、膜厚は21μm、表面粗さRzは2.4μmである。
【0031】
【実施例3】
<弾性層Bと表面層▲1▼の組合せ>
現像率は89.5%と高く、画像濃度のばらつきは小さく、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、エピクロルヒドリンゴム(SP値9.1)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は94度、硬度は39度(A型)、膜厚は22μm、表面粗さRzは2.8μmである。
【実施例4】
<弾性層Bと表面層▲2▼の組合せ>
現像率は85.3%であり、画像濃度のばらつきはやや目立つものの、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、エピクロルヒドリンゴム(SP値9.1)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は91度、硬度は38度(A型)、膜厚は21μm、表面粗さRzは2.4μmである。
【0032】
【実施例5】
<弾性層Aと表面層▲3▼の組合せ>
現像率は97.5%と非常に高く、画像濃度のばらつきはほとんどなく、良質な画像が得られた。しかし経時で円周方向に数本のキズが発生していた。500、000枚プリント後では、現像率はほぼ同等であるが、画像には、キズの発生位置に相当する画像位置の濃度がやや濃くなっており、画像濃度のばらつきがやや目立つようになっていた。ただしOKレベルである。
弾性層は、ポリウレタンゴム(SP値10.0)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、PFAチューブであり、モノマ中には、炭素数は4個、フッ素数は7個ある。
純水に対する接触角は107度、硬度は40度(A型)、膜厚は50μm、表面粗さRzは1.0μmである。
【0033】
【比較例1】
<弾性層Aと表面層▲4▼の組合せ>
現像率は75.3%と低く、画像濃度のばらつきが目立ち、良質な画像は得られなかった。
表面層は、フッ素系塗料で、四フッ化エチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体をモノマとする材料であり、モノマ中には、炭素数とフッ素数は4個と同数である。
純水に対する接触角は78度、硬度は30度(A型)、膜厚は20μm、表面粗さRzは3.0μmである。
【比較例2】
<弾性層Aと表面層▲6▼の組合せ>
現像率は80.3%と低く、画像濃度のばらつきが目立ち、良質な画像は得られなかった。
表面層は、フッ素成分を含まないポリエステル系ウレタン樹脂である。
純水に対する接触角は82度、硬度は30度(A型)、膜厚は19μm、表面粗さRzは1.2μmである。
【0034】
【比較例3】
<弾性層Bと表面層▲5▼の組合せ>
現像率は81.4%と低く、画像濃度のばらつきが目立ち、良質な画像は得られなかった。
表面層は、PTFE粒子を含有している導電性の水系ウレタン樹脂であり、フッ素成分が含まれているが、主鎖炭素と結合はしていない。
純水に対する接触角は79度、硬度は37度(A型)、膜厚は19μm、表面粗さRzは2.8μmである。
図11は純水に対する接触角と現像率の関係をグラフで示す図である。図11から判るように、画像濃度のばらつきが小さく、良質な画像が得られたのは、現像率が85%以上の場合のみで、これらはいずれも純水に対する接触角が90度以上であった。また表面層の材質は、いずれもモノマ中にC−F結合を有しており、かつ炭素数よりもフッ素数の方が多いものである。
【比較例4および5】
<弾性層Cと表面層▲1▼及び▲2▼の組合せ>
全体的に画像濃度が薄く、良質な画像は得られなかった。これは現像ローラの硬度が55度(A型)と高く、適切な現像ニップが得られなかったためである。
【比較例6および7】
<弾性層Dと表面層▲1▼及び▲2▼の組合せ>
初期的には良質な画像が得られたが、十数枚程度で画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなくなった。弾性層はシリコーンゴム(SP値7.3)であり、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数(SP値)が2以上離れていないため、膨潤(外径が増大していた)してしまい、表面層が割れていた。
【比較例8および9】
実施例1の構成で、表面層の膜厚を8μmにした場合は、弾性層の表面粗さRz5μmに対して、レベリングしきれず、表面粗さRzは4.2μmとなった。現像ローラ表面の凹み部にトナーが入り込んだため、現像率が83%になった。そのため、画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなかった。
実施例1の構成で、表面層の膜厚を32μmにした場合は、表面層自体のうねりが大きくなり、感光体への均一なトナー薄層を形成することができなかった。そのため画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなかった。
【0035】
【比較例10】
実施例1の構成にて、表面層の表面粗さをRz7μm(膜厚20μm)にした場合、現像ローラ表面の凹み部にトナーが入り込んだため、現像率は80%になった。そのため、画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなかった。
また中間ローラによるクリーニング性も劣り、経時で現像ローラ表面の凹み部にトナーが固着してしまった。そのためゴースト画像が発生してしまった。
本発明の部品が使用される画像形成装置においては、現像ローラと感光体間に現像ニップが形成されることによって、液体現像剤中のトナーが現像領域の現像電界により感光体に対して移動して付着するための、一定の現像時間が確保されるようになる。
そのため適切な現像ニップを形成させる必要がある。よって現像ローラは弾性体でなければならない。しかし弾性体だけでは、現像ローラ上に形成された液体現像剤薄層を、より効率良く、より均一(ばらつきを小さく)に、感光体に塗布(現像)し、感光体上の静電潜像に対して、忠実に現像するには不十分である。したがって、弾性層と表面層に分けて、それぞれで機能を分離する構成を大前提とした。
【0036】
本発明で用いられている液体現像剤中のトナー粒子は、キャリア液中でプラス帯電し、その周囲に等価のマイナス電子が存在する、いわゆる電気二重層の構成を取っている。このため近接するトナー粒子は、静電気的な反発力が作用するため、キャリア液中で凝集などせず、安定した分散状態を保っている。
現像ローラの表面層の材質がフッ素系材料の場合には、帯電系列的に、トナー粒子をよりプラス帯電させる機能を持っているため、より大きな静電気的な反発力が作用し、現像ローラに近接する領域では、より安定な状態で存在できるようになる。そして、トナーの帯電量が高くなるため、現像電界によるトナーの移動が容易になり、より現像され易くなる。
とくに、主鎖炭素にフッ素が結合(C−F結合)し、モノマ中には、炭素数よりもフッ素数の方が多く、純水に対する接触角が90度以上を示す場合、現像率が極めて高いことを実験的に見出した。現像率が高い場合、画像濃度のばらつきは小さく、良質な画像を得ることが可能となった。
本発明の部品が使用される画像形成装置には、高画質はもちろんのこと、高速、高耐久、環境対応が求められている。現像率が高い現像ローラを用いると、これらの項目に対しても相乗的な効果が現われてくる。
例えば、所定の画像濃度を得るために供給すべきトナー量が少量で済むため、必要以上に装置そのものを大きくする必要がなくなる。また塗布ローラや中間ローラ、現像ローラを必要以上に高速回転させ、トナー供給量を増やす必要もなくなる。よって、画像形成装置としての安定化および各ローラの摺擦回数低減などにより高耐久化につながる。
もし機械的な安定性が確保されるのであれば、より高速回転することも可能で、さらなる高速プリント(高速化)が可能となる。さらに現像率が高いということは、現像ローラ上に残留する液体現像剤量が少なくなるので、中間ローラによるクリーニングの負荷が低減され、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止にもつながる。
さらに不揮発性のジメチルシロキサンオイルをキャリア液として、高粘度・高トナー濃度の液体現像剤としているため、高速回転させてもトナーが飛散しにくく、特別な飛散対策を講じる必要がない。また高トナー濃度のため、少ない負荷で所定のトナー量を供給することができる。さらにキャリア液が揮発しないので、トナー濃度の安定化も図れるなど、いくつかの効果が見られる。
【0037】
現像ローラの弾性層と液体現像剤を構成する絶縁性液体(キャリア液)の溶解度指数(SP値)が2以上離れている場合、弾性層の膨潤や溶解は問題とならないが、2以下の場合、弾性層はキャリア液の浸漬によって膨潤・溶解し易くなり、表面層を破損することがあり、良質な画像を得ることができなくなる。
現像ローラの硬度は、現像ローラと感光体間の現像ニップの形成に大きく影響する。硬度が高すぎると、適切な現像ニップが形成されず、所定の現像時間が確保されないため、画像濃度は薄くなる。硬度が低く過ぎると、感光体との当接による弾性層の変形が大き過ぎ、表面層がその変形に追従できず、割れてしまう可能性が高い。
表面層の膜厚は、現像ローラの表面粗さに大きく影響する。表面粗さが大きくなると、ローラ表面の凹み部にトナーが入り込み易くなり、現像率は低下する。よって画像濃度のばらつきは大きくなり、良質な画像を得られなくなる。また現像ローラ表面上の転写残トナーを中間ローラでクリーニングするさいに、トナーがすり抜け易くなるために、凹み部にトナーが固着し易くなり、ゴースト画像の要因となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、現像ローラの表面層の材質が、主骨格が炭素−炭素結合で構成され、主鎖炭素にフッ素が結合している(C−F結合を有する)ことにより、液体現像剤中のトナー粒子は、キャリア液中でプラス帯電し、その周囲に等価のマイナス電子が存在する、いわゆる電気二重層の構成を取っている。
このため近接するトナー粒子は、静電気的な反発力が作用するため、キャリア液中で凝集などせず、安定した分散状態を保っている。現像ローラの表面層の材質がフッ素系材料の場合には、帯電系列的に、トナー粒子をよりプラス帯電させる機能を持っているため、より大きな静電気的な反発力が作用し、現像ローラに近接する領域では、より安定な状態で存在できるようになる。
そのため高トナー濃度の液体現像剤を用いることができる。これにより、画像濃度の安定化が図れるとともに、少ない負荷で所定のトナー量を供給することができる。よって必要以上に各ローラを高速回転させる必要がなく、画像形成装置の安定性が向上する。また各ローラの摺擦回数の低減が図れ、画像形成装置の高耐久化につながる。
また、トナーの帯電量が高くなるため、現像電界によるトナーの移動が容易になり、より現像され易くなる。そのため画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができる。
請求項2によれば、表面層を構成するモノマーは、炭素数よりもフッ素数の方が多いことにより、請求項1記載の効果がさらに顕著になり、高濃度の液体現像剤を用いることができ、画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができる。
【0039】
請求項3によれば、現像ローラの、純水に対する接触角が90度以上であることにより、85%以上の現像率が得られるようになり、画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができ、また、中間ローラによるクリ−ニングの負荷が低減され、画像形成装置の安定性が向上し、さらに、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止が図れる。
請求項4によれば、液体現像剤が絶縁性液体であるキャリア液中に、樹脂および顔料からなるトナーが分散されたものであり、液体現像剤の固形分が10〜30wt%であることにより、トナー濃度が高いため、少ない負荷で所定のトナー量を供給することができる。
よって必要以上に各ローラを高速回転させる必要がなく、画像形成装置の安定性が向上し、また各ローラの摺擦回数の低減が図れ、画像形成装置の高耐久化につながる。
請求項5によれば、液体現像剤の絶縁性液体(キャリア液)が、不揮発性成分であることにより、トナー濃度の安定化が図れ、よって画像濃度の安定化も図れ、良質な画像を得ることができる。
請求項6によれば、現像ローラの弾性層を構成する高分子と液体現像剤を構成する絶縁性液体(キャリア液)の溶解度指数(SP値)が2以上離れていることにより、キャリア液による弾性層の膨潤や溶解が防止され、よってコーティング層の破壊などが生じることなく、良質な画像を得ることができる。
請求項7によれば、現像ローラの硬度が、20〜50度(A型)であることにより、現像ローラと感光体間に適切な現像ニップが形成され、所定の現像時間が確保され、よって画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができる。
【0040】
請求項8によれば、現像ローラの表面層がコーティング層であって、その膜厚が10〜30μmであることにより、表面粗さをトナー平均粒径以下にすることができ、85%以上の現像率を確保することができるため、画像濃度のばらつきを小さくすることができる。よって良質な画像を得ることができる。
また、現像ローラ表面上の転写残トナーのクリーニング性能が向上し、中間ローラによるクリ−ニングの負荷が低減され、画像形成装置の安定性が向上し、現像ローラ表面上の転写残トナーのクリーニング性能が向上し、凹み部にトナーが固着しにくくなり、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止が図れる。
請求項9によれば、現像ローラの表面層がチューブ被覆層であって、その膜厚が50μm以下であることにより、感光体との現像ニップで、弾性層の変形に、表面層が追従し易くなるため、画像濃度のばらつきが少なく、良質な画像が得られる。
請求項10によれば、現像ローラの表面粗さが、液体現像剤中のトナーの平均粒径以下であることにより、85%以上の現像率を確保することができ、画像濃度のばらつきを小さくすることができる。よって良質な画像を得ることができ、現像ローラ表面上の転写残トナーのクリーニング性能が向上し、凹み部にトナーが固着しにくくなり、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止が図れる。
請求項11によれば、現像ローラの表面層が、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマーとし、ポリオール架橋(加硫)されていることにより、表面層の耐摩耗性が高く、耐久性が向上する。
そのため表面層の経時劣化(円周方向のキズの発生)は、PFAチューブよりも有利であり、500,000枚プリント後の画像品質は初期の画像品質と同等に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の実施の形態を示す概略図である。
【図2】図1の中間ローラを示す断面図である。
【図3】図1の現像ローラを示す断面図である。
【図4】塗布装置の塗布ローラを示す概略図である。
【図5】塗布ローラの表面の凹部の第1の形状を示す斜視図である。
【図6】塗布ローラの表面の凹部の第2の形状を示す斜視図である。
【図7】塗布ローラの表面の凹部の第3の形状を示す斜視図である。
【図8】接触角の測定を行うための装置を示す概略図である。
【図9】現像ローラと液滴を示す概略図である。
【図10】現像ローラと液滴の一致を示す概略図である。
【図11】純水に対する接触角と現像率の関係をグラフで示す図である。
【符号の説明】
1 感光体(静電潜像担持体)
4 現像装置
402 現像ローラ
402a 芯金
402b 弾性層
402c 表面層
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真式画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高粘度、高濃度の液体現像剤を使用して、像担持体の表面に形成した静電潜像を可視像化する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1、2、3および4等参照)。
この種の画像形成装置においては、まず、像担持体としての感光体の表面を、帯電手段により均一に帯電する。次いで、光書き込み手段により画像データにしたがって感光体の表面を露光して、前記感光体の表面に静電潜像を形成する。そして、前記感光体の表面に形成した静電潜像を、現像装置により現像して可視像化する。
上述した現像装置は、現像ローラや現像ベルトなどからなる現像剤担持体の表面に、貯蔵タンクに貯蔵した液体現像剤を、均一な厚さで薄層状に塗布するための液体現像剤の塗布装置を備えている。現像剤担持体は、感光体の表面に近接して配置されている。そして、現像剤担持体と感光体との近接部である現像領域において、塗布装置により現像剤担持体の表面に塗布された液体現像剤が、感光体の表面に接触する。
これにより、液体現像剤薄層中のトナーにより、感光体上の静電潜像が可視像化されて、感光体上にトナー像が形成される。現像領域を通過した後の、現像剤担持体上に残留している液体現像剤は、ブレードなどのクリーニング部材により除去されて、貯蔵タンクに回収される。
このようにして、感光体上に形成されたトナー像は、転写紙やOHPシートなどの転写材上に転写される。その後、トナー像が定着装置により転写材上に定着されることにより、転写材上に画像が形成される。なお、転写材へのトナー像の転写時に、感光体上に残留したトナーは、感光体クリーニング手段により除去される。
【0003】
上記液体現像剤としては、絶縁性液体であるキャリア液中に、樹脂および顔料からなる固形分を分散したもの、例えば、ジメチルポリシロキサンオイル等の絶縁性液体からなる液体現像液溶媒中に、顕像化粒子であるトナーを高濃度に分散した50〜10,000mPa・Sの高粘度の液体現像剤が用いられる。
この液体現像剤が上記感光体の表面に接触することにより、液体現像剤中の帯電したトナーが絶縁性液体中を静電気の力によって移動して、感光体上の静電潜像を現像する。したがって、液体現像剤としては、トナーの移動距離が短いほど現像効率が向上する。
そのため、現像剤担持体上には、液体現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された液体現像剤を感光体に接触させて静電潜像を現像することが望ましい。このことは、とくに50〜10,000mPa・Sの高粘度の液体現像剤を用いる場合により顕著である。
このように、静電潜像を液体現像剤の薄層によって現像する場合には、この薄層の厚さによって濃度が決定される。このため、上記現像装置においては、その現像剤担持体上に液体現像剤の均一な薄層を形成することが重要となる。
そこで、この種の現像装置においては、現像剤担持体上に液体現像剤を塗布するための塗布部材として、例えば、特許文献4に示すように、表面に規則的な凹部が形成された塗布ローラ(アニロクスローラ)を有する液体現像剤の塗布装置を用いている。
すなわち、この塗布装置においては、まず、その塗布ローラの表面に液体現像剤が担持される。そして、この塗布ローラの表面に担持された余剰の液体現像剤が、塗布ローラの表面に接触して塗布ローラの表面に担持される液体現像剤の塗布量を規制する塗布量規制部材としてのドクタブレードにより除去される。
これにより、塗布ローラの表面に担持される液体現像剤量が計量される。このようにして計量された液体現像剤が、現像剤担持体上に直接転写塗布されることにより、上記現像装置の現像剤担持体上に、液体現像剤の均一な薄層が形成されるようになる。
【0004】
上述した、従来の液体現像剤の塗布装置は、その塗布ローラにより、現像装置の現像剤担持体(現像ローラ)上に液体現像剤を直接転写塗布するように構成されている。このため、この塗布装置を使用した現像装置においては、塗布ローラと現像剤担持体との接触回転により、塗布ローラの表面に施された規則的な彫刻によって、現像剤担持体の表面が削られ易く、現像剤担持体の消耗や損傷が著しくなる。
したがって、この種の塗布装置を使用する現像装置における現像剤担持体としての現像ローラや現像ベルトに対しては、
(1)感光体との接触により所定の現像ニップを形成できる低硬度のものであること。
(2)少なくとも表面が、バイアス印加可能な導電性を有する材料で構成されていること。
(3)少なくとも表面が、塗布ローラとの摺擦による耐磨耗性の高い機械的強度を有していること。
(4)少なくとも表面が、クリーニングブレードとの摺擦による耐磨耗性の高い機械的強度を有していること。
(5)感光体に対して液体現像剤を均一に塗布できる平滑性を有していること。
(6)液体現像剤の絶縁性液体により、ローラが必要以上に膨潤しないこと。
などの特性が要求される。
このように、この種の塗布装置を使用する現像装置においては、その現像剤担持体としての現像ローラや現像ベルトに対して要求される仕様が厳しいため、現像ローラや現像ベルトの選択の幅が狭く、高耐久・高画質・高速対応可能な現像剤担持体を作ることが難しい状況であった。そこで、現像ローラへの接触部材による危険を低減するために、塗布ローラと現像ローラとの間に中間ローラを設ける構成とした。
【0005】
1つの液体現像剤の塗布方法として所定量の液体現像剤を表面に担持して回転する塗布部材を用いて、この塗布部材の表面に担持された液体現像剤を、この液体現像剤が塗布される被塗布部材の表面に塗布している。そのさいこの液体現像剤の塗布方法においては、上記塗布部材の表面に接触して塗布部材の表面との接触面がこの塗布部材の表面と同方向かつ等速で移動する。
そして被塗布部材の表面に接触してこの被塗布部材の表面との接触面が被塗布部材の表面と逆方向に移動する中間塗布部材の表面に、上記塗布部材の表面に担持された液体現像剤を塗布し、中間塗布部材の表面に塗布された液体現像剤を、上記被塗布部材の表面に塗布するようにした。
この液体現像剤の塗布方法においては、例えば、塗布部材としての塗布ローラ(塗布ベルトでもよい)の回転により、塗布ローラの表面に所定量の液体現像剤が担持される。この塗布ローラの表面に担持された液体現像剤は、塗布ローラの表面に接触して塗布ローラの表面との接触面が塗布ローラの表面と同方向かつ等速で移動する上記中間塗布部材としての中間ローラ(中間ベルトでもよい)の表面に塗布される。
そして、この中間ローラの表面に塗布された液体現像剤は、例えば、被塗布部材としての現像ローラや現像ベルトの表面に塗布される。ここで、中間ローラは、現像ローラや現像ベルトの表面との接触面が現像ローラや現像ベルトの表面と逆方向に移動する。このように、この塗布方法においては、塗布ローラの表面に担持された液体現像剤が、中間ローラを介して、現像ローラ等に塗布される。
したがって、現像ローラ等に対して塗布ローラが直接接触することがないので、塗布ローラと現像ローラ等との接触回転による現像ローラ等の消耗や損傷が低減されるようになる。
このように中間ローラを用いることにより、塗布ローラが直接、現像ローラに当接しなくなり、現像ローラの摩耗や損傷は確実に低減され、現像装置としての耐久寿命は50,000枚から500,000枚以上に飛躍的に向上した。
【特許文献1】特開平7−152254号公報
【特許文献2】特開平7−209922号公報
【特許文献3】特開平7−219355号公報
【特許文献4】特開平11−265122号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した現像ローラは本来、高画質という機能を発現すべき部材である。そのためには、現像ローラ上に形成された液体現像剤薄層を、より効率良く、より均一(ばらつきを小さく)に、感光体に塗布(現像)し、感光体上の静電潜像を忠実にトナー画像として現像可能な構成であることが求められている。
また昨今、高画質・高耐久と同時に、高速化(プロセス線速で500mm/sec以上、プリント枚数で100ppm以上)および環境対応が求められている。そのためにも、現像ローラ上に塗布された液体現像剤を、いかに効率良く、より均一(ばらつきを小さく)に、感光体上に所定の液体現像剤量を塗布(現像)できるかが求められている。
本発明の目的は、上記課題を解決するために、高画質であり、かつ高速・高耐久・環境対応を実現できる画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、液体現像剤を静電潜像担持体に塗布して静電潜像を現像する画像形成装置において、芯金上に弾性層を形成しその表面に表面層を設けた現像ローラを備え、前記表面層の材質の主骨格を炭素−炭素結合で構成し、主鎖炭素にフッ素が結合している画像形成装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、前記表面層を構成するモノマが、炭素数よりもフッ素数の方が多い請求項1に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記現像ローラの、純水に対する接触角が90度以上である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、前記液体現像剤が、絶縁性液体であるキャリア液中に樹脂および顔料からなるトナーが分散されたものであり、前記液体現像剤の固形分(トナー濃度)が10〜30wt%である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記液体現像剤の絶縁性液体が、不揮発性成分である請求項4記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明では、前記弾性層を構成する高分子と前記液体現像剤を構成する絶縁性液体の溶解度指数が2以上離れている請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、前記現像ローラの硬度が、20〜50度である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、前記表面層がコーティング層であって、その膜厚が10〜30μmである請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、前記表面層がチューブ被覆層であって、その膜厚が50μm以下である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、前記現像ローラの表面粗さが、前記液体現像剤中のトナーの平均粒径以下である請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項11記載の発明では、前記表面層が、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋されている請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に係わる画像形成装置の実施の形態を示す概略図である。複写機としての画像形成装置Aは、像担持体として感光体1を備えており、この感光体1のまわりには、帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、感光体クリーニング装置6などで構成された作像手段が配設されている。
所定量の液体現像剤を表面に担持して回転する塗布部材を用いて、前記塗布部材の表面に担持された液体現像剤を、前記液体現像剤が塗布される被塗布部材の表面に塗布する液体現像剤の塗布方法および塗布装置、像担持体1上に形成した静電潜像を、前記塗布部材により前記被塗布部材としての現像剤担持体に塗布された液体現像剤により可視像化する現像装置、およびこの現像装置を用いた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
上述した感光体(像担持体)1の材質としてはa−Si(アモルファスシリコン)、OPC等を使用できる。また、帯電器2としては、ローラやチャージャ等の形態のものを使用できる。また、露光装置3としては、LEDやレーザ走査光学系等を使用できる。
【0009】
上記構成の複写機を用いて反転現像により画像を形成する場合について説明する。図1において、感光体1は、図示しないモータ等の駆動手段によって、画像形成時に一定速度で矢印方向に回転駆動される。そして、まず、感光体1の表面が帯電器2により暗中にて一様に帯電される。
次いで、感光体1の表面に露光装置3により原稿光像が照射結像される。これにより、感光体1の表面に静電潜像が形成される。その後、この静電潜像が現像領域Bを通過する際に、上記現像装置4により該静電潜像が可視像化(現像)されて、該感光体1の表面にトナー像が形成される。
上記トナー像は、転写領域Cにて、転写装置5の転写ローラ501を通して印加される転写バイアスにより、転写装置5の中間転写体(ベルト)502上に1次転写される。
中間転写体502上に1次転写されたトナー像は、図示しない2次転写領域において、図示しない2次転写手段により、コピー用紙やOHPシートなどの転写材上に2次転写される。そして、トナー像が2次転写された転写材は、図示しない定着装置によってトナー像を定着された後、複写プリントとして機外に排出される。
一方、1次転写後、感光体1上に残留した残留電位が、除電ランプ7により除去される。また、1次転写後、感光体1上に残留した残留トナーが、感光体クリーニング装置6により除去されて、次の作像に備えられる。
なお、転写装置5としては、図示の静電ローラによる方法以外の、例えば、コロナ放電による方法、粘着転写法、熱転写法などを用いることができる。また、定着装置としては、例えば、熱転写方式、溶剤定着、UV定着、加圧定着などを用いることができる。
【0010】
本実施の形態による複写機においては、感光体1上の静電潜像を現像する液体現像剤として、従来から一般に市販されかつ使用されている、Isopar(エクソン社の登録商標)をキャリア液とした低粘性(1cSt程度)、低トナー濃度(1wt%程度)の液体現像剤ではなく、高粘性、高トナー濃度の液体現像剤を使用している。
この液体現像剤の粘度およびトナー濃度の範囲としては、例えば粘度が50〜10,000mPa・S、トナー濃度が5〜40wt%のものを用いることができるが、トナー濃度は10〜30wt%の範囲の方がより望ましい。
濃度が低過ぎると、所定の液体現像剤量を塗布するために、装置を大型化せざるを得ず、また各ローラを高速回転させ、供給量を増やす必要がある。逆に濃度が高過ぎると、液体現像剤中でトナーが凝集し易くなり、適切な現像ができなくなってしまう。
キャリア液としては、シリコンオイル、植物油、鉱物油等の絶縁性が高く、不揮発性のものを使用することができる。導電性のキャリア液では、トナーの帯電性が安定せず、また揮発性のキャリア液では、トナー濃度の変化が大きくなってしまう。液体現像剤のトナー粒径としては、サブミクロンから6μm程度まで、目的に合わせて選択することができる。
本実施の形態においては、キャリア液として絶縁性で不揮発性のジメチルシロキサンオイルを、トナーとしては平均粒径3〜5μmで、母材がポリエステル系の樹脂からなるものを、固形分(トナー濃度)20wt%に調整して用いた。
【0011】
次に、本実施の形態による複写機の特徴をなす現像装置4について説明する。この現像装置4は、図1に示すように、内部に液体現像剤Dを収容する現像剤収容タンク401内に回転自在に配設された現像ローラ402と、ケーシング410内に回転自在に配設されたスイープローラ403とを備えている。
また、この現像装置4は、被塗布部材としての現像ローラ402に液体現像剤Dを塗布するための塗布装置を備えている。この塗布装置は、塗布部材としての表面に均一なパターンの彫刻がなされている塗布ローラ404、現像ローラ402に液体現像剤Dを塗布する中間塗布部材としての中間ローラ405、液体現像剤Dの攪拌・搬送手段としての攪拌・搬送スクリュー406などで主に構成されている。
さらに、中間ローラ405とスイープローラ403とには、それぞれ金属ブレードもしくはゴムブレードからなるクリーニング部材411、408が備えられている。このクリーニング部材411、408としては、ブレード式のものではなく、ローラ式のものを用いてもよい。
上記塗布装置においては、中間ローラ405が、塗布ローラ404の表面に接触して該表面上の余分な液体現像剤を除去して、塗布ローラ404の表面に担持される現像剤量を規制するドクタローラとしての役割を兼ねている。そして、この中間ローラ405の表面に、塗布ローラ404に塗布され塗布量規制部材としてのドクタブレード409により計量された液体現像剤が転写される。
【0012】
図2は図1の中間ローラを示す断面図である。図2において中間ローラ405は、芯金405aの外周面に弾性体からなる弾性層405bが設けられ、さらに弾性層405bの外周面に滑性層405cが設けられた構成となっている。この中間ローラ405の弾性層405bの材質としては、キャリア液や液体現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよく、種々の高分子材料を用いることができる。
例えば、エピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等の極性ゴムを用いることができる。膨潤や溶解しないようにするには、弾性層405bの溶解度指数(SP値)が、キャリア液や液体現像剤の溶解度指数(SP値)から、2以上離れていることが望ましい。
【0013】
図3は図1の現像ローラを示す断面図である。図3において現像ローラ402は、芯金402aの外周面に弾性体からなる弾性層402bが設けられ、さらに弾性層402bの外周面に表面層402cが設けられた構成となっている。ここで、弾性層402bの材質としては、中間ローラ405と同様、キャリア液や液体現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよく、種々の高分子材料を用いることができる。
例えば、エピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等の極性ゴムを用いることができる。膨潤や溶解しないようにするには、弾性層402bの溶解度指数(SP値)が、キャリア液や液体現像剤の溶解度指数(SP値)から、2以上離れていることが望ましい。
また、現像ローラ402は、感光体1との間で効率的にかつ適切な現像ニップを形成できるようにするために、弾性層402bのゴム硬度が、A型硬度で50度以下であることが望ましい。
スイープローラ403は、現像ローラ402と同じ構成であるので、図3に括弧内で示すように、芯金403aの外周面に弾性体からなる弾性層403bが設けられ、さらに弾性層403bの外周面に導電層(現像ローラでは表面層)403cが設けられた構成となっている。
【0014】
ここで、弾性層403bの材質としてはウレタンゴムを用いることができる。また、スイープローラ403は、感光体1との間で効率的に除去ニップを形成できるようにするために、弾性層403bのゴム硬度が、A型硬度で50度以下であることが望ましい。
なお、スイープローラ403の弾性層403bの材質は、中間ローラ405や現像ローラ402と同様、キャリア液や液体現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。
また、スイープローラ403は、その表面が導電性を有し、かつキャリア液や液体現像剤で膨潤や溶解しない材質であり、その内層がキャリア液や液体現像剤に接触しないような構成であれば、その内層としての弾性層403bの材質は、上記導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。
ここで、弾性層403bが絶縁体で構成される場合には、スイープバイアス電圧を、スイープローラ403の芯金403aからではなく、それらの表面から印加すればよい。
また、現像ローラ402およびスイープローラ403と感光体1との間で効率的に現像ニップおよび除去ニップを形成する他の方法としては、現像ローラ402およびスイープローラ403を剛体とし、感光体1側に弾性層を形成するようにしてもよい。
さらに、このように感光体1側に弾性を持たせる他の方法として、感光体1を無端状ベルト部材で構成してもよい。そのうえ、現像ローラ402およびスイープローラ403には、その表面がRz3μm以下の平滑性を有するように、コーティングもしくはチューブ被覆等の処理が施されている。
【0015】
図1に戻って、現像ローラ402およびスイープローラ403を感光体1に対してそれぞれ適当な圧力で当接させると、現像ローラ402およびスイープローラ403の各弾性層402b、403bが弾性変形して、感光体1との間に現像ニップおよび除去ニップが形成される。
とくに、現像ニップが形成されることによって、液体現像剤中のトナーが、上述した現像領域Bの現像電界により感光体1に対して移動して付着するための、一定の現像時間が確保されるようになる。また、現像ローラ402およびスイープローラ403と感光体1との当接圧力を調整することにより、各ニップ部における表面移動方向の幅であるニップ幅を調整することができる。
これらのニップ幅は、現像ローラ402およびスイープローラ403の線速と現像時定数との積よりも大きな幅に設定される。ここで、現像時定数とは、現像量が飽和するまでに要する時間であって、必要最小ニップ幅をプロセス速度で除したものである。例えば、必要最小ニップ幅が3mmでプロセス速度が300mm/秒であれば、現像時定数は10m秒 となる。
【0016】
現像装置4の動作時においては、現像ローラ402の表面に、塗布装置の塗布ローラ404および中間ローラ405によって、液体現像剤からなる現像剤薄層が形成される。このとき、現像ローラ402上に塗布される液体現像剤の厚みを、現像ローラ402の表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3μg以上、60μg以下となるように設定した。
その場合に、現像ローラ402の表面に、3〜10μmの厚みの現像剤薄層を塗布するようにした。この理由は、現像ローラ402の表面に塗布される液体現像剤の塗布厚みが、現像ローラ表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3μgより小さくなるような厚みでは、十分な量の顔料が感光体1上に形成された画像部に移動せず、この画像部の画像濃度が薄くなるおそれがあるからである。
また、現像ローラ402の表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が60μgより大きくなる厚みでは、感光体1上に形成された静電潜像を現像した後の感光体1の地肌部に残留する余剰トナーが多くなり、スイープローラ403による余剰トナーの除去が不完全になるおそれがあるからである。
このようにして現像ローラ402の表面に形成された液体現像剤薄層は、感光体1と現像ローラ402とにより形成された現像ニップを通過するさいに、感光体1の表面に接触する。これにより、液体現像剤薄層中のトナーが、感光体1の表面に形成された静電潜像(画像部)に移動してこの静電潜像が現像される。
すなわち、感光体1の画像部では、トナーが感光体1側に移動し、感光体1の地肌部(非画像部)では、現像バイアス電位と感光体電位とによって形成される電界により、現像ローラ402の表面にトナーが移動して、感光体1の地肌部にトナーが付着しないようになる。
【0017】
ここで、感光体1の地肌部に付着したトナーの一部が、現像ローラ402表面まで移動しきれずに、感光体1上に残ると、感光体1上に形成された画像にカブリが生じる。スイープローラ403は、このような画像のカブリの原因となるトナー(以下、「カブリトナー」という)をスイープ(掃除)するために設けられている。
このスイープローラ403は、図1に示すように、感光体1の回転方向の現像ローラ402よりも下流側の部位に、現像ローラ402により感光体1上に現像されたトナー像を挟むように、感光体1に押圧して設置されている。そして、このスイープローラ403の表面が、感光体1の表面と略等速で接触移動することによって、感光体1の地肌部のカブリトナーが除去される。
静電潜像の現像後の現像ローラ402の表面に残留した液体現像剤は、ゴースト防止のために、現像ローラ402の表面に対して逆方向に接触回転する中間ローラ405の表面により除去される。中間ローラ405により現像ローラ402の表面から除去された液体現像剤は、中間ローラ405の表面に付着する。
そして、中間ローラ405の表面に付着した液体現像剤は、中間ローラ405に当接配置されているブレードからなるクリーニング部材411によって、中間ローラ405の表面から除去される。また、スイープローラ403により除去された液体現像剤は、スイープローラ403のスイープ(掃除)性能維持のために、ブレードからなるクリーニング部材408により除去される。
このようにして、各ローラ402、403、404、405から除去された液体現像剤は、現像剤収容タンク401に隣接して設けられた一時貯蔵部412に集められる。この一時貯蔵部412内に集められた液体現像剤は、搬送スクリュー413によって、図示しない濃度調整部に送られ、この濃度調整部内でその現像剤濃度が調整された後、現像剤収容タンク401に戻されて再使用される。
一時貯蔵部412には、攪拌手段413、図示しない濃度検知手段、図示しない液量検知手段などが配設されており、一時貯蔵部412内に回収された液体現像剤の濃度および液量を検知している。この検知結果に基づいて、濃度調整部で、新しい液体現像剤の補給やキャリアの補給が行われて、回収した液体現像剤の濃度が均一になるように調整される。
ここで、現像剤収容タンク401内への液体現像剤の供給量は、液体現像剤の消費量より若干多くなるように設定されている。これにより、現像剤収容タンク401から溢れた液体現像剤は、一時貯蔵部412内へ戻される。このように、液体現像剤は常に循環するようになっている。
【0018】
図4は塗布装置の塗布ローラを示す概略図である。上述のような構成の現像装置においては、感光体1上に形成される画像の濃度が、現像ローラ402の表面に塗布された液体現像剤の層厚によって決定される。
そこで、本実施の形態による現像装置においては、塗布装置の塗布ローラ404として、例えば、図4に示すような、その表面に均一なパターンの凹部404aが形成されたアニロクスローラを用いている。このようなアニロクスローラは、グラビア印刷に使用されるので、グラビアローラとも呼ばれている。
【0019】
図5は塗布ローラの表面の凹部の第1の形状を示す斜視図である。図6は塗布ローラの表面の凹部の第2の形状を示す斜視図である。図7は塗布ローラの表面の凹部の第3の形状を示す斜視図である。
塗布ローラ404の表面の凹部404aの形状としては、例えば、図5に示すような斜線型、図6に示すようなピラミッド型、そして図7に示すような格子型などが考えられる。本実施の形態による塗布装置においては、転写性の良さなどの理由から図5の斜線型の凹部404aが形成された塗布ローラ404を用いている。
このように、塗布ローラ404として上記アニロクスローラを用いることにより、その表面に担持された液体現像剤の余剰分が塗布量規制部材を兼ねている中間ローラ405との接触部で絞り落されることによって、塗布ローラ404の表面に、凹部404aにより正確に計量された所量の液体現像剤が担持されるようになる。
そして、このアニロクスローラからなる塗布ローラ404の表面に正確に計量されて担持された液体現像剤が、中間ローラ405を介して、現像ローラ402の表面に転写されることによって、現像ローラ402上に、所定量の液体現像剤からなる均一な薄層が形成される。
ここで、中間ローラ405は、塗布ローラ404との接触部では塗布ローラ404の周速と等しくかつ移動方向が同一方向となるように回転し、また、現像ローラ402との接触部では現像ローラ402の回転方向と反対のリバース方向に回転する。これによって、現像ローラ402の表面に液体現像剤の均一な厚さの薄層が形成される。
すなわち、塗布ローラ404から中間ローラ405に転写された直後の液体現像剤の薄層は、塗布ローラ404表面の凹部404aのパターンがそのまま転写された形状になる。そこで、中間ローラ405と現像ローラ402との接触部では、現像ローラ402の回転方向と逆方向に中間ローラ405を回転させる。
これにより、中間ローラ405と現像ローラ402との周速差によって、現像ローラ402の表面に転移した液体現像剤薄層が均一にされるようにして引き伸ばされ、現像ローラ402の表面に均一な厚さの液体現像剤薄膜が形成される。
【0020】
ところで、アニロクスローラのような表面に凹部404aが形成された塗布ローラ404と現像ローラ402とを直接接触させて、塗布ローラ404の表面に塗布された液体現像剤を、現像ローラ402の表面に塗布するような構成にした場合には、塗布ローラ404の表面の凹部404aにより、現像ローラ402の表面が摺擦されることによって、現像ローラ402の表面が摩耗、損傷してしまう。
すなわち、このような構成の場合には、現像ローラ402の表面と塗布ローラ404の表面とが、互いに異なる方向に移動することにより、常に塗布ローラ404の表面の凹部404aと大きな周速差を持って接触する。これにより、周速差による摩擦によって、現像ローラ402の表面が摩耗、損傷され易い。このため、このような構成の塗布装置では、現像ローラ402の寿命が著しく短くなるという不具合があった。
これに対し、本実施の形態による塗布装置においては、上述のように、塗布ローラ404の表面に塗布された液体現像剤を、中間ローラ405を介して、現像ローラ402の表面に塗布するように構成されている。これにより、現像ローラ402と塗布ローラ404とが直接接触することがなくなり、現像ローラ402の表面が塗布ローラ404の表面の凹部404aにより、摩耗や損傷することがなくなる。
なお、中間ローラ405は、現像ローラ402に対して逆方向に回転しながら接触するが、中間ローラ405の表面には凹凸が形成されていないので、現像ローラ402の表面を傷つけることは少ない。したがって、本実施の形態による塗布装置では、現像ローラ402が受ける機械的なストレスが少なくなり、現像ローラ402の寿命を延ばすことができる。
なお、本実施形態に係る塗布装置の中間ローラ405は、塗布ローラ404と接触しているが、中間ローラ405の表面と塗布ローラ404の表面とは互いに等速で同一方向に回転するので、この塗布ローラ404との接触部に周速差が生じない。したがって、中間ローラ405が、塗布ローラ404から受ける機械的なストレスは小さく、中間ローラ405の表面が、塗布ローラ404の表面の凹部404aにより摩耗や損傷されることは少ない。
【0021】
ところで、中間ローラ405の表面は、塗布ローラ404の表面に対して、塗布ローラ404の回転軸方向に沿うように一様に接触させることが望ましい。したがって、中間ローラ405としては、前述したような弾性層405bを備えている必要がある。また、この中間ローラ405に塗布量規制部材としての機能を持たせるには、中間ローラ405が、ある一定以上の圧力で塗布ローラ404に接触する必要がある。
すなわち、本実施の形態による塗布装置では、塗布ローラ404の凹部404aの容積によって、塗布ローラ404への液体現像剤の塗布量が決定される。したがって、塗布量規制部材としての中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力が不十分であると、塗布ローラ404の凹部404a以外の表面と中間ローラ405の表面との間を液体現像剤が通り抜けてしまうことがある。
このため、中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力が不十分な場合には、塗布ローラ404に塗布される液体現像剤の塗布量が、塗布ローラ404の凹部404aからの容積によって決められた塗布量にならず、適正な濃度の画像を形成できなくなってしまう。
なお、塗布ローラ404の凹部404a以外の表面と中間ローラ405の表面との間を通り抜ける液体現像剤の量は、中間ローラ405および塗布ローラ404の線速や、液体現像剤の粘度などによっても変化する。例えば、高粘度の液体現像剤ほど、液体現像剤の通り抜けが顕著になる。
このため、例えば、作像環境の温度変化などによって、液体現像剤の粘度が変化することにより、塗布ローラ404への液体現像剤の塗布量がばらついて不安定になってしまう。
そこで、本実施の形態による塗布装置においては、中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力を0.2MPaに設定し、中間ローラ405の塗布ローラ404に対する接触圧力を十分に大きくして、塗布ローラ404に塗布される現像剤量を効率的に規制する規制部材(ドクタローラ)としての機能を中間ローラ405に持たせている。
また、塗布ローラ404および中間ローラ405は、理想的には断面が真円で、回転振れのないローラであることが望ましい。しかしながら、この種のローラの機械的な精度には限界がある。そこで、本実施の形態の塗布装置における中間ローラ405においては、その弾性層405bにより回転振れを吸収して、中間ローラ405の外周面が、塗布ローラ404の外周面に対して常に安定して接触するようにしている。
【0022】
中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度は、A型硬度で70度以下であることが望ましい。すなわち、中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度が、70度よりも大きい場合には、中間ローラ405の表面を、塗布ローラ404の表面に対して一様に接触させることが困難となる。
ここで、中間ローラ405の表面を塗布ローラ404の表面に対して無理に接触させると、弾性層405bの変形に要するエネルギーが大きくなるため、この荷重を受ける中間ローラ405の芯金405aを必要以上に太く強固にしなければならない。
また、中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度が、30度以下の低硬度の場合には、中間ローラ405に塗布量規制部材としての機能を持たせるために必要となる接触圧力を得ることが難しく、中間ローラ405の弾性層405bを大きく変形させる必要があるので、中間ローラ405の寿命を低下させる問題がある。
そこで、本実施の形態による塗布装置においては、中間ローラ405の弾性層405bのゴム硬度を、A型硬度で55度とした。このような中間ローラ405の弾性層405bとしては、上述したエピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムのような材料を使用することができる。
ところが、これらゴム材料は、一般的に摩擦係数が大きいため、弾性層405bと被塗布部材としての現像ローラ402とを直接接触させた場合には、接触部において、非常に大きな摩擦抵抗を生んでしまう。このような摩擦抵抗は、中間ローラ405および現像ローラ402の駆動系の負担(トルクアップ)、振動、異音、発熱を発生させるだけでなく、中間ローラ405および現像ローラ402の寿命を著しく低下させてしまう。
そこで、図2に示したように、中間ローラ405の表面に、低摩擦部材からなる滑性層405cを設けている。この滑性層405cは、例えば、PTFE、PFA、ETFEなどのフッ素樹脂やフッ素系の塗料、フッ素ゴム塗料などを、弾性層405bの外周面にコーティングしたり、これらの樹脂でできたチューブを被覆したりして形成される。
【0023】
また、他の低溶融温度の樹脂に分散して潤滑剤として使用することも多い。ところで、この種の塗布装置においては、上述したように、現像ローラ402に対する液体現像剤の塗布量が、塗布ローラ404の表面に形成された凹部404aのセルボリューム(単位面積当たりのセル体積容量)と、塗布ローラ404から現像ローラ402への液体現像剤の転位率によって決まる。
そこで、本実施の形態による複写機では、感光体1上に狙いの画像濃度のトナー像を得るために、適正なセルボリュームのアニロクスローラを選択し、十分な圧力で中間ローラ405を接触させて、現像ローラ402に対する液体現像剤の塗布量が変動しないようにしている。
したがって、塗布ローラ404から現像ローラ402への液体現像剤の転位率は、液体現像剤の物性が決まればほぼ一定の値を示す。ところが、環境温度の変化などによって、液体現像剤の粘性などが変化すると、上記転移率が変わってしまう。
このため、転位率が環境条件等により変化した場合には、変化する前の現像条件と同一の現像条件で感光体1上に形成された静電潜像を現像すると、現像されたトナー像の画像濃度が変化してしまうことになる。
【0024】
上記画像濃度の制御は、現像電界の制御によって行っている。現像電界を高くして高濃度の画像を出力する場合には問題ないが、現像電界を弱くして低濃度の画像を出力する場合には、現像後の液体現像剤層に微細な不均一ムラが発生してしまう。
つまり、低電界下では液体現像剤の固形分の挙動を制御できないため、感光体1の表面と現像ローラ402の表面とが分離して液体現像剤が別れるさいに、それぞれの表面が固形分を互いに引き合い、この引き合いの形跡が微細な不均一ムラとなって現像後の液体現像剤層に残ってしまう。
さらに現像されたトナー像の画像濃度は、現像ローラ402の表面層の材質によっても変化する。
【0025】
本発明で用いられている液体現像剤中のトナー粒子は、キャリア液中でプラス帯電し、その周囲に等価のマイナス電子が存在する、いわゆる電気二重層の構成を取る。現像ローラ402の表面層402cの材質が、プラス帯電機能を有しているフッ素系材料の場合には、トナー粒子をよりプラス帯電させるため、現像し易くなり、トナー像の画像濃度は高くなる。
トナー粒子をプラス帯電させにくい材質であっても、現像ローラ402への液体現像剤量を増やせば、所定の液体現像剤が感光体1に塗布(現像)されることになるが、この場合、現像ローラ402上に残留する液体現像剤量が多くなり、クリーニングの負荷が増大し、クリーニングが不十分な場合、ゴースト画像が発生してしまうため、好ましくない。
また塗布ローラ404や中間ローラ405の回転数をさらに速くすれば、現像ローラ402への液体現像剤量を増やすことも可能であるが、回転数の増大は耐久性に支障が出る。また塗布ローラ404や中間ローラ405の外径を大きくすれば、回転数を速くする必要性は薄れるが、装置の大型化に繋がるなど、好ましくない。
【0026】
図8は接触角の測定を行うための装置を示す概略図である。図9は現像ローラと液滴を示す概略図である。図10は現像ローラと液滴の一致を示す概略図である。
図8ないし図10において、現像ローラ402の表面に純水の液滴8を形成し、この液滴8の最大幅と現像ローラ402表面が一致する位置で固定する。接線を引き、現像ローラ402表面とのなす角(接触角)を計測する(液滴1滴に対し、モニタE内の左右の接触角を計測)。液滴8の滴下位置を順次変えて、5点測定した平均値を接触角とした。
表面粗さの測定は接触式表面粗さ測定器を使用して行われ、以下の測定機器および測定条件が利用された。
測定機器:接触式表面粗さ測定器;小坂研究所サーフコーダSE−30H
測定条件:縦2000倍×横20倍、送り速度0.1mm/秒、測定長さ2.5mm、カットオフ0.8mm
硬度は以下の測定条件、すなわち、1kg荷重で、測定子が現像ローラに当接してから30秒後のデータを記録した。
【0027】
以下、実施例・比較例に基づき、本発明の構成をさらに説明する。
(弾性層A)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、カーボンブラックを分散したポリオール(住友バイエルウレタン)とイソシアネート(住友バイエルウレタン)を用いて1ショット法にてウレタンエラストマの弾性層を成形した。その後、外径研削により、φ24mmに調整した。
硬度:30度(A型)、表面粗さRz:5μm
(弾性層B)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、下記組成B1の発泡層をプレス成形(150℃×15分)により作製し、外径研削により、φ23.9mmに調整した。その後、下記組成B2の非発泡層を、前記発泡層の周囲に押出し成形し、無圧加硫(160℃×1時間)により、加硫接着させた。その後外径研削により、φ24mmに調整した。
組成B1(発泡層)
エピクロルヒドリンゴム(ゼオン):100重量部
炭酸カルシウム:30重量部
カーボンブラック:10重量部
発泡剤/発泡助剤:各3重量部
加硫促進剤:3重量部
イオウ:1重量部
硬度:37度(A型)、表面粗さ:Rz4μm
組成B2(非発泡層)
エピクロルヒドリンゴム(ゼオン):100重量部
炭酸カルシウム:30重量部
カーボンブラック:10重量部
発泡剤/発泡助剤:いずれも無添加
加硫促進剤:3重量部
イオウ:1重量部
硬度:37度(A型)、表面粗さ:Rz4μm
【0028】
(弾性層C)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、下記組成Aの弾性層をプレス成形(150℃×30分)により作製した。その後、外径研削により、φ24mmに調整した。
組成C
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー):100重量部
炭酸カルシウム:30重量部
加硫促進剤:3重量部
イオウ:1重量部
硬度:55度(A型)、表面粗さ:Rz3μm
(弾性層D)
接着剤を塗布したφ14mmのSUS芯軸の周囲に、下記組成Dの弾性層をプレス成形(120℃×20分)により作製し、無圧加硫(200℃×4時間)した。その後、外径研削により、φ24mmに調整した。
組成D
導電性シリコーンゴムD1(信越化学):80重量部
導電性シリコーンゴムD2(信越化学):20重量部
有機過酸化物(加硫剤):2重量部
硬度:40度(A型)、表面粗さ:Rz4μm
【0029】
(表面層▲1▼):フッ素ゴム系塗料(エイトシールF−73BR:太平化成)
六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ビスフェノールAFを硬化剤としポリオール架橋(加硫)されている材料である。酢酸エチルと酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲1▼を形成した。その後、150℃×1.5時間の焼成を行った。
(表面層▲2▼):フッ素ゴム系塗料(エイトシールF−73BX改:太平化成)
六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマーとし、ビスフェノールAFを硬化剤としポリオール架橋(加硫)されている材料である。更に滑剤を添加した。酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲2▼を形成した。その後、150℃×1.5時間の焼成を行った。
(表面層▲3▼):膜厚50μmの導電性PFAチューブ(グンゼ)
弾性層の周囲にプライマを塗布し、さらにその周囲に表面層▲3▼を被覆し、150℃で加熱収縮させた。
(表面層▲4▼):導電性フッ素樹脂(ジスロンEC−06ブラック:ダイキン)
四フッ化エチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体をモノマーとする材料である。イソシアネート系硬化剤を添加し、酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲4▼を形成した。その後、130℃×1時間の焼成を行った。
(表面層▲5▼):導電性ウレタン樹脂(PTFE粒子含有)(エムラロン345E:日本アチソン)
シランカップリング系硬化剤を添加し、純水で希釈して塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲5▼を形成した。その後、130℃×1時間の焼成を行った。
(表面層▲6▼):ポリエステル系ウレタン樹脂(フッ素なし)
メラミン樹脂を硬化剤とし、メチルエチルケトンと酢酸ブチルを溶剤として塗料を調合し、弾性層の周囲にスプレーコート法により、表面層▲6▼を形成した。その後、130℃×1時間の焼成を行った。
弾性層A〜D、表面層▲1▼〜▲6▼を表1の通り組合せ、図1の画像形成装置にて、現像特性評価を行った。なお、中間ローラは、弾性層Cと表面層▲4▼を組合せたローラを用いた。
【表1】
現像特性評価の条件
現像バイアスは+550Vで一定とし、感光体上に黒ベタ現像を行った。現像後の現像ローラ上光学濃度Aおよび現像後の感光体上光学濃度Bを測定し、B/(A+B)×100にて、現像率を算出し、これを評価指標とした。
キャリア液として、絶縁性で不揮発性のジメチルシロキサンオイルを、トナーとしては平均粒径3〜5μmで、母材がポリエステル系の樹脂からなるものを、固形分20wt%に調整して用いた。
【0030】
【実施例1】
<弾性層Aと表面層▲1▼の組合せ>
現像率は98.2%と非常に高く、画像濃度のばらつきはほとんどなく、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、ポリウレタンゴム(SP値10.0)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は108度、硬度は32度(A型)、膜厚は22μm、表面粗さRzは2.8μmである。
【実施例2】
<弾性層Aと表面層▲2▼の組合せ>
現像率は88.3%と高く、画像濃度のばらつきは小さく、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、ポリウレタンゴム(SP値10.0)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は98度、硬度は31度(A型)、膜厚は21μm、表面粗さRzは2.4μmである。
【0031】
【実施例3】
<弾性層Bと表面層▲1▼の組合せ>
現像率は89.5%と高く、画像濃度のばらつきは小さく、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、エピクロルヒドリンゴム(SP値9.1)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は94度、硬度は39度(A型)、膜厚は22μm、表面粗さRzは2.8μmである。
【実施例4】
<弾性層Bと表面層▲2▼の組合せ>
現像率は85.3%であり、画像濃度のばらつきはやや目立つものの、良質な画像が得られた。また500、000枚プリント後でも、ほぼ同等の画像品質が得られた。
弾性層は、エピクロルヒドリンゴム(SP値9.1)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、フッ素ゴム系塗料で、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋(加硫)されている。モノマ中には、炭素数は5個、フッ素数は8個ある。
純水に対する接触角は91度、硬度は38度(A型)、膜厚は21μm、表面粗さRzは2.4μmである。
【0032】
【実施例5】
<弾性層Aと表面層▲3▼の組合せ>
現像率は97.5%と非常に高く、画像濃度のばらつきはほとんどなく、良質な画像が得られた。しかし経時で円周方向に数本のキズが発生していた。500、000枚プリント後では、現像率はほぼ同等であるが、画像には、キズの発生位置に相当する画像位置の濃度がやや濃くなっており、画像濃度のばらつきがやや目立つようになっていた。ただしOKレベルである。
弾性層は、ポリウレタンゴム(SP値10.0)から形成されており、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数が2以上離れている。
表面層は、PFAチューブであり、モノマ中には、炭素数は4個、フッ素数は7個ある。
純水に対する接触角は107度、硬度は40度(A型)、膜厚は50μm、表面粗さRzは1.0μmである。
【0033】
【比較例1】
<弾性層Aと表面層▲4▼の組合せ>
現像率は75.3%と低く、画像濃度のばらつきが目立ち、良質な画像は得られなかった。
表面層は、フッ素系塗料で、四フッ化エチレンとアルキルビニルエーテルの共重合体をモノマとする材料であり、モノマ中には、炭素数とフッ素数は4個と同数である。
純水に対する接触角は78度、硬度は30度(A型)、膜厚は20μm、表面粗さRzは3.0μmである。
【比較例2】
<弾性層Aと表面層▲6▼の組合せ>
現像率は80.3%と低く、画像濃度のばらつきが目立ち、良質な画像は得られなかった。
表面層は、フッ素成分を含まないポリエステル系ウレタン樹脂である。
純水に対する接触角は82度、硬度は30度(A型)、膜厚は19μm、表面粗さRzは1.2μmである。
【0034】
【比較例3】
<弾性層Bと表面層▲5▼の組合せ>
現像率は81.4%と低く、画像濃度のばらつきが目立ち、良質な画像は得られなかった。
表面層は、PTFE粒子を含有している導電性の水系ウレタン樹脂であり、フッ素成分が含まれているが、主鎖炭素と結合はしていない。
純水に対する接触角は79度、硬度は37度(A型)、膜厚は19μm、表面粗さRzは2.8μmである。
図11は純水に対する接触角と現像率の関係をグラフで示す図である。図11から判るように、画像濃度のばらつきが小さく、良質な画像が得られたのは、現像率が85%以上の場合のみで、これらはいずれも純水に対する接触角が90度以上であった。また表面層の材質は、いずれもモノマ中にC−F結合を有しており、かつ炭素数よりもフッ素数の方が多いものである。
【比較例4および5】
<弾性層Cと表面層▲1▼及び▲2▼の組合せ>
全体的に画像濃度が薄く、良質な画像は得られなかった。これは現像ローラの硬度が55度(A型)と高く、適切な現像ニップが得られなかったためである。
【比較例6および7】
<弾性層Dと表面層▲1▼及び▲2▼の組合せ>
初期的には良質な画像が得られたが、十数枚程度で画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなくなった。弾性層はシリコーンゴム(SP値7.3)であり、ジメチルシロキサンオイル(SP値5.5)から、溶解度指数(SP値)が2以上離れていないため、膨潤(外径が増大していた)してしまい、表面層が割れていた。
【比較例8および9】
実施例1の構成で、表面層の膜厚を8μmにした場合は、弾性層の表面粗さRz5μmに対して、レベリングしきれず、表面粗さRzは4.2μmとなった。現像ローラ表面の凹み部にトナーが入り込んだため、現像率が83%になった。そのため、画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなかった。
実施例1の構成で、表面層の膜厚を32μmにした場合は、表面層自体のうねりが大きくなり、感光体への均一なトナー薄層を形成することができなかった。そのため画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなかった。
【0035】
【比較例10】
実施例1の構成にて、表面層の表面粗さをRz7μm(膜厚20μm)にした場合、現像ローラ表面の凹み部にトナーが入り込んだため、現像率は80%になった。そのため、画像濃度にばらつきが見られ、良質な画像は得られなかった。
また中間ローラによるクリーニング性も劣り、経時で現像ローラ表面の凹み部にトナーが固着してしまった。そのためゴースト画像が発生してしまった。
本発明の部品が使用される画像形成装置においては、現像ローラと感光体間に現像ニップが形成されることによって、液体現像剤中のトナーが現像領域の現像電界により感光体に対して移動して付着するための、一定の現像時間が確保されるようになる。
そのため適切な現像ニップを形成させる必要がある。よって現像ローラは弾性体でなければならない。しかし弾性体だけでは、現像ローラ上に形成された液体現像剤薄層を、より効率良く、より均一(ばらつきを小さく)に、感光体に塗布(現像)し、感光体上の静電潜像に対して、忠実に現像するには不十分である。したがって、弾性層と表面層に分けて、それぞれで機能を分離する構成を大前提とした。
【0036】
本発明で用いられている液体現像剤中のトナー粒子は、キャリア液中でプラス帯電し、その周囲に等価のマイナス電子が存在する、いわゆる電気二重層の構成を取っている。このため近接するトナー粒子は、静電気的な反発力が作用するため、キャリア液中で凝集などせず、安定した分散状態を保っている。
現像ローラの表面層の材質がフッ素系材料の場合には、帯電系列的に、トナー粒子をよりプラス帯電させる機能を持っているため、より大きな静電気的な反発力が作用し、現像ローラに近接する領域では、より安定な状態で存在できるようになる。そして、トナーの帯電量が高くなるため、現像電界によるトナーの移動が容易になり、より現像され易くなる。
とくに、主鎖炭素にフッ素が結合(C−F結合)し、モノマ中には、炭素数よりもフッ素数の方が多く、純水に対する接触角が90度以上を示す場合、現像率が極めて高いことを実験的に見出した。現像率が高い場合、画像濃度のばらつきは小さく、良質な画像を得ることが可能となった。
本発明の部品が使用される画像形成装置には、高画質はもちろんのこと、高速、高耐久、環境対応が求められている。現像率が高い現像ローラを用いると、これらの項目に対しても相乗的な効果が現われてくる。
例えば、所定の画像濃度を得るために供給すべきトナー量が少量で済むため、必要以上に装置そのものを大きくする必要がなくなる。また塗布ローラや中間ローラ、現像ローラを必要以上に高速回転させ、トナー供給量を増やす必要もなくなる。よって、画像形成装置としての安定化および各ローラの摺擦回数低減などにより高耐久化につながる。
もし機械的な安定性が確保されるのであれば、より高速回転することも可能で、さらなる高速プリント(高速化)が可能となる。さらに現像率が高いということは、現像ローラ上に残留する液体現像剤量が少なくなるので、中間ローラによるクリーニングの負荷が低減され、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止にもつながる。
さらに不揮発性のジメチルシロキサンオイルをキャリア液として、高粘度・高トナー濃度の液体現像剤としているため、高速回転させてもトナーが飛散しにくく、特別な飛散対策を講じる必要がない。また高トナー濃度のため、少ない負荷で所定のトナー量を供給することができる。さらにキャリア液が揮発しないので、トナー濃度の安定化も図れるなど、いくつかの効果が見られる。
【0037】
現像ローラの弾性層と液体現像剤を構成する絶縁性液体(キャリア液)の溶解度指数(SP値)が2以上離れている場合、弾性層の膨潤や溶解は問題とならないが、2以下の場合、弾性層はキャリア液の浸漬によって膨潤・溶解し易くなり、表面層を破損することがあり、良質な画像を得ることができなくなる。
現像ローラの硬度は、現像ローラと感光体間の現像ニップの形成に大きく影響する。硬度が高すぎると、適切な現像ニップが形成されず、所定の現像時間が確保されないため、画像濃度は薄くなる。硬度が低く過ぎると、感光体との当接による弾性層の変形が大き過ぎ、表面層がその変形に追従できず、割れてしまう可能性が高い。
表面層の膜厚は、現像ローラの表面粗さに大きく影響する。表面粗さが大きくなると、ローラ表面の凹み部にトナーが入り込み易くなり、現像率は低下する。よって画像濃度のばらつきは大きくなり、良質な画像を得られなくなる。また現像ローラ表面上の転写残トナーを中間ローラでクリーニングするさいに、トナーがすり抜け易くなるために、凹み部にトナーが固着し易くなり、ゴースト画像の要因となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、現像ローラの表面層の材質が、主骨格が炭素−炭素結合で構成され、主鎖炭素にフッ素が結合している(C−F結合を有する)ことにより、液体現像剤中のトナー粒子は、キャリア液中でプラス帯電し、その周囲に等価のマイナス電子が存在する、いわゆる電気二重層の構成を取っている。
このため近接するトナー粒子は、静電気的な反発力が作用するため、キャリア液中で凝集などせず、安定した分散状態を保っている。現像ローラの表面層の材質がフッ素系材料の場合には、帯電系列的に、トナー粒子をよりプラス帯電させる機能を持っているため、より大きな静電気的な反発力が作用し、現像ローラに近接する領域では、より安定な状態で存在できるようになる。
そのため高トナー濃度の液体現像剤を用いることができる。これにより、画像濃度の安定化が図れるとともに、少ない負荷で所定のトナー量を供給することができる。よって必要以上に各ローラを高速回転させる必要がなく、画像形成装置の安定性が向上する。また各ローラの摺擦回数の低減が図れ、画像形成装置の高耐久化につながる。
また、トナーの帯電量が高くなるため、現像電界によるトナーの移動が容易になり、より現像され易くなる。そのため画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができる。
請求項2によれば、表面層を構成するモノマーは、炭素数よりもフッ素数の方が多いことにより、請求項1記載の効果がさらに顕著になり、高濃度の液体現像剤を用いることができ、画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができる。
【0039】
請求項3によれば、現像ローラの、純水に対する接触角が90度以上であることにより、85%以上の現像率が得られるようになり、画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができ、また、中間ローラによるクリ−ニングの負荷が低減され、画像形成装置の安定性が向上し、さらに、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止が図れる。
請求項4によれば、液体現像剤が絶縁性液体であるキャリア液中に、樹脂および顔料からなるトナーが分散されたものであり、液体現像剤の固形分が10〜30wt%であることにより、トナー濃度が高いため、少ない負荷で所定のトナー量を供給することができる。
よって必要以上に各ローラを高速回転させる必要がなく、画像形成装置の安定性が向上し、また各ローラの摺擦回数の低減が図れ、画像形成装置の高耐久化につながる。
請求項5によれば、液体現像剤の絶縁性液体(キャリア液)が、不揮発性成分であることにより、トナー濃度の安定化が図れ、よって画像濃度の安定化も図れ、良質な画像を得ることができる。
請求項6によれば、現像ローラの弾性層を構成する高分子と液体現像剤を構成する絶縁性液体(キャリア液)の溶解度指数(SP値)が2以上離れていることにより、キャリア液による弾性層の膨潤や溶解が防止され、よってコーティング層の破壊などが生じることなく、良質な画像を得ることができる。
請求項7によれば、現像ローラの硬度が、20〜50度(A型)であることにより、現像ローラと感光体間に適切な現像ニップが形成され、所定の現像時間が確保され、よって画像濃度のばらつきの少ない、良質な画像を得ることができる。
【0040】
請求項8によれば、現像ローラの表面層がコーティング層であって、その膜厚が10〜30μmであることにより、表面粗さをトナー平均粒径以下にすることができ、85%以上の現像率を確保することができるため、画像濃度のばらつきを小さくすることができる。よって良質な画像を得ることができる。
また、現像ローラ表面上の転写残トナーのクリーニング性能が向上し、中間ローラによるクリ−ニングの負荷が低減され、画像形成装置の安定性が向上し、現像ローラ表面上の転写残トナーのクリーニング性能が向上し、凹み部にトナーが固着しにくくなり、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止が図れる。
請求項9によれば、現像ローラの表面層がチューブ被覆層であって、その膜厚が50μm以下であることにより、感光体との現像ニップで、弾性層の変形に、表面層が追従し易くなるため、画像濃度のばらつきが少なく、良質な画像が得られる。
請求項10によれば、現像ローラの表面粗さが、液体現像剤中のトナーの平均粒径以下であることにより、85%以上の現像率を確保することができ、画像濃度のばらつきを小さくすることができる。よって良質な画像を得ることができ、現像ローラ表面上の転写残トナーのクリーニング性能が向上し、凹み部にトナーが固着しにくくなり、クリーニング不良に起因するゴースト画像の防止が図れる。
請求項11によれば、現像ローラの表面層が、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマーとし、ポリオール架橋(加硫)されていることにより、表面層の耐摩耗性が高く、耐久性が向上する。
そのため表面層の経時劣化(円周方向のキズの発生)は、PFAチューブよりも有利であり、500,000枚プリント後の画像品質は初期の画像品質と同等に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の実施の形態を示す概略図である。
【図2】図1の中間ローラを示す断面図である。
【図3】図1の現像ローラを示す断面図である。
【図4】塗布装置の塗布ローラを示す概略図である。
【図5】塗布ローラの表面の凹部の第1の形状を示す斜視図である。
【図6】塗布ローラの表面の凹部の第2の形状を示す斜視図である。
【図7】塗布ローラの表面の凹部の第3の形状を示す斜視図である。
【図8】接触角の測定を行うための装置を示す概略図である。
【図9】現像ローラと液滴を示す概略図である。
【図10】現像ローラと液滴の一致を示す概略図である。
【図11】純水に対する接触角と現像率の関係をグラフで示す図である。
【符号の説明】
1 感光体(静電潜像担持体)
4 現像装置
402 現像ローラ
402a 芯金
402b 弾性層
402c 表面層
Claims (11)
- 液体現像剤を静電潜像担持体に塗布して静電潜像を現像する画像形成装置において、芯金上に弾性層を形成しその表面に表面層を設けた現像ローラを備え、前記表面層の材質の主骨格を炭素−炭素結合で構成し、主鎖炭素にフッ素が結合していることを特徴とする画像形成装置。
- 前記表面層を構成するモノマが、炭素数よりもフッ素数の方が多いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記現像ローラの、純水に対する接触角が90度以上であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記液体現像剤が、絶縁性液体であるキャリア液中に樹脂および顔料からなるトナーが分散されたものであり、前記液体現像剤の固形分(トナー濃度)が10〜30wt%であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記液体現像剤の絶縁性液体が、不揮発性成分であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
- 前記弾性層を構成する高分子と前記液体現像剤を構成する絶縁性液体の溶解度指数が2以上離れていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記現像ローラの硬度が、20〜50度であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記表面層がコーティング層であって、その膜厚が10〜30μmであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記表面層がチューブ被覆層であって、その膜厚が50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記現像ローラの表面粗さが、前記液体現像剤中のトナーの平均粒径以下であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記表面層が、六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体をモノマとし、ポリオール架橋されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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