JP2019056942A - 画像形成装置、中間転写体、及び中間転写体の製造方法 - Google Patents

画像形成装置、中間転写体、及び中間転写体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中間転写体から転写材へのトナーの転写効率の向上を図りつつ、クリーニング部材の磨耗の抑制を図ることのできる画像形成装置を提供する。【解決手段】トナー像を担持する像担持体1と、像担持体1からトナー像が転写される移動可能な中間転写体8と、中間転写体8の表面に接触し、移動する中間転写体8の表面からトナーを掻き取るクリーニング部材21と、を有する画像形成装置100は、中間転写体8の表面には、中間転写体8の表面の移動方向に沿って溝84が形成されており、中間転写体8の表面は、トナーの平均粒径四方における面内平均粗さが、10nm以上、30nm以下である構成とする。【選択図】図3

Description

本発明は、レーザープリンター、複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置、その画像形成装置に用いられる中間転写体、及びその中間転写体の製造方法に関するものである。
従来、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置として、中間転写体を用いる中間転写方式の画像形成装置がある。中間転写方式の画像形成装置では、感光体上に形成されたトナー像が中間転写体に一次転写され、その後中間転写体上のトナー像が転写材上に二次転写される。中間転写体としては、無端状のベルトで形成された中間転写ベルトが広く用いられている。
中間転写方式の画像形成装置では、二次転写工程後に中間転写ベルト上にトナー(二次転写残トナー)が残留する。そのため、次の画像を中間転写ベルトに転写する前に中間転写ベルト上の二次転写残トナーを除去するクリーニング工程が必要となる。
中間転写ベルト上の二次転写残トナーを除去する方式としては、ブレードクリーニング方式が広く用いられている。ブレードクリーニング方式では、中間転写ベルトの表面の移動方向(以下「ベルト搬送方向ともいう。)において二次転写部の下流に配設されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードで、移動する中間転写ベルト上から二次転写残トナーを物理的に回収する。クリーニングブレードとしては、一般に、ウレタンゴムなどの弾性体が用いられている。このクリーニングブレードは、中間転写ベルトの回転方向に対向するような方向から、そのエッジ部が中間転写ベルトに圧接されることが多い。
一方、さらなる高画質化のために、トナー像を中間転写ベルトから転写材へ転写する際の転写効率の向上が求められている。例えば、中間転写ベルトの表面にトナー粒径より小径の粉体(以下「フィラー」ともいう。)を埋設させて表面の物性を改変することで、トナーがベルトに残留し難くした中間転写ベルトが提案されている(特許文献1)。また、中間転写ベルトの表面粗さを規定することで、トナーがベルトに残留し難くした中間転写ベルトが提案されている(特許文献2)。
特開2009−75154号公報 特開2004−240176号公報
ところで、ブレードクリーニング方式においては、繰り返し使用による耐久性能を満足する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載される中間転写ベルトの表面にフィラーを添加する方法は、繰り返し使用によるクリーニングブレード摩耗の点で課題を有している。中間転写ベルトの表面にフィラーによる突起形状を散在させた場合、突起先端が選択的にクリーニングブレードのエッジ部と接触するため、繰り返し使用によりクリーニングブレードのエッジ部は突起形状との接触点から徐々に摩耗し始める。その結果、クリーニングブレードのエッジ部が不均一に摩耗したり、クリーニングブレードのエッジ部に欠けが生じたりして、その箇所を起点にトナーのすり抜けが発生して、クリーニング不良が発生する懸念がある。特にフィラーの粒径が大きいとより突起形状が大きくなるため、より摩耗や欠けが進行しやすくなる。
また、特許文献2に記載されるように中間転写ベルトの表面粗さ値を規定するによっても、中間転写ベルトは表面に突起形状を有するため、表面粗さの設定によっては特許文献1の場合と同様にクリーニングブレードのエッジ部の摩耗量が増加する懸念がある。
このように、従来、ブレードクリーニング方式では、転写効率の向上を図りながら、長期使用におけるクリーニングブレードの摩耗を低減させて装置の長寿命化を図るという課題がある。
以上では、中間転写ベルトを例に従来の課題について説明したが、シートを枠体に張設するなどして形成したドラム状の中間転写体(中間転写ドラム)を有する画像形成装置においても、同様の課題が生じ得る。
したがって、本発明の目的は、中間転写体から転写材へのトナーの転写効率の向上を図りつつ、クリーニング部材の磨耗の抑制を図ることのできる画像形成装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、そのような画像形成装置に用いられる中間転写体、及びその中間転写体の製造方法を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置、中間転写体、及び中間転写体の製造方法にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体からトナー像が転写される移動可能な中間転写体と、前記中間転写体の表面に接触し、移動する前記中間転写体の表面からトナーを掻き取るクリーニング部材と、を有する画像形成装置において、前記中間転写体の表面には、前記中間転写体の表面の移動方向に沿って溝が形成されており、前記中間転写体の表面は、トナーの平均粒径四方における面内平均粗さが、10nm以上、30nm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、画像形成装置に用いられ像担持体からトナー像が転写される中間転写体において、表面に、前記画像形成装置におけるその表面の移動方向に沿って溝が形成されており、その表面は、前記画像形成装置にて用いられるトナーの平均粒径四方における面内平均粗さが、10nm以上、30nm以下であることを特徴とする中間転写体が提供される。
本発明の更に他の態様によると、画像形成装置に用いられ像担持体からトナー像が転写される中間転写体の製造方法において、前記画像形成装置にて用いられるトナーの平均粒径四方における面内平均粗さが10nm以下である表面に、前記画像形成装置におけるその表面の移動方向に沿って、溝を形成し、その表面の前記トナーの平均粒径四方における面内平均粗さを10nm以上、30nm以下とすることを特徴とする中間転写体の製造方法が提供される。
本発明によれば、中間転写体から転写材へのトナーの転写効率の向上を図りつつ、クリーニング部材の磨耗の抑制を図ることができる。
画像形成装置の一例の模式的な断面図である。 ベルトクリーニング装置の近傍の模式的な断面図である。 中間転写ベルトの模式的な断面図及び上面図である。 中間転写ベルトの表層とトナーとの接触部の拡大模式図である。 中間転写ベルトの表層とクリーニングブレードとの接触部の拡大模式図である。 中間転写ベルトの他の例の上面図である。
以下、本発明に係る画像形成装置、中間転写体、及び中間転写体の製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
[第1の実施形態]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す模式的な断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンターである。
画像形成装置100は、一定の間隔をおいて一列に配置された4つの画像形成部(ステーション)SY、SM、SC、SKを有する。各画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれイエロー(Y)マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する。
なお、本実施形態では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除けば、実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾Y、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
画像形成部Sは、像担持体としてのドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1を有する。この感光ドラム1は、OPC感光ドラムとされ、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。次に、像担持体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。
現像装置4は、現像剤として非磁性一成分現像剤を収容しており、現像剤担持体としての現像スリーブ41、現像剤規制手段としての現像剤塗布ブレード42などを有する。各画像形成部Sにおいて、感光ドラム1と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置6とは、一体的に画像形成装置100の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ7を構成している。また、露光装置3は、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニットで構成されており、画像信号に基づいて変調された走査ビームを感光ドラム1上に照射する。
また、各画像形成部SY、SM、SC、SKの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの全てと当接するように、移動可能な中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9、テンションローラ10及び二次転写対向ローラ11の3個のローラ(張架ローラ)により支持されており、所定のテンションが維持されている。そして、駆動ローラ9が回転駆動されることによって、中間転写ベルト8は、図中矢印R2方向(ベルト搬送方向)に移動(回転)する。本実施形態では、中間転写ベルト8は、感光ドラム1との対向部において、感光ドラム1に対して順方向に略同速度で移動する。中間転写ベルト8の内周面側において、各感光ドラム1に対向する位置には、上述の一次転写ローラ5がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト8を介して感光ドラム1に所定の圧力で付勢(押圧)されており、中間転写ベルト8と感光ドラム1とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成している。また、中間転写ベルト8の外周面側において、二次転写対向ローラ11と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ15が配置されている。二次転写ローラ15は、中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ11に所定の圧力で付勢(押圧)されており、中間転写ベルト8と二次転写ローラ15とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成している。また、中間転写ベルト8の外周面側において、テンションローラ10に対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置12が配置されている。上述の3個の張架ローラ9、10、11により支持された中間転写ベルト8と、ベルトクリーニング装置12とがユニット化されて、画像形成装置100の装置本体に着脱可能な中間転写ベルトユニット13が構成されている。これにより、サービスマンなどによるメンテナンスが容易とされている。
画像形成動作が開始されると、各感光ドラム1、中間転写ベルト8は、所定のプロセススピード(周速)で、それぞれ図中矢印R1、R2方向に回転を始める。回転する感光ドラム1の表面は、帯電ローラ2により所定の極性(本実施形態では負極性)に略一様に帯電させられる。このとき帯電ローラ2には、図示しない帯電バイアス印加手段としての帯電電源から所定の帯電バイアスが印加される。次に、帯電した感光ドラム1の表面が、各画像形成部Sに対応した画像情報に応じて、露光装置3からの走査ビームによって露光され、これにより感光ドラム1の表面に、該画像情報に従った静電像(静電潜像)が形成される。次に、感光ドラム1に形成された静電像は、現像装置4によって各画像形成部Sに対応した色のトナーによってトナー像として現像される。ここで、現像装置4内のトナーは、現像剤塗布ブレード42によって負極性に帯電されて、現像スリーブ41に塗布される。また、現像スリーブ41には、図示しない現像バイアス印加手段としての現像電源より所定の現像バイアスが印加される。そして、感光ドラム1上に形成された静電像が、感光ドラム1と現像スリーブ41との対向部(現像部)に到達すると、感光ドラム1上の静電像は負極性のトナーによって可視化され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。
次に、感光ドラム1に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用により、回転駆動されている中間転写ベルト8に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ5には、一次転写バイアス印加手段としての一次転写電源E1から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施形態では正極性)の直流電圧である一次転写バイアスが印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、色ごとに一次転写部N1間の距離に応じて一定のタイミングで遅らせて感光ドラム1上に静電像が形成され、これが現像されてトナー像とされる。そして、各画像形成部Sの各感光ドラム1に形成された各色のトナー像が、各一次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおいて中間転写ベルト8に順次に重ね合わせるようにして転写(一次転写)され、中間転写ベルト8上に4色の多重トナー像が形成される。
また、露光による静電像の形成に合わせて、図示しない転写材収容カセットに積載されている記録用紙などの転写材Pは、図示しない転写材供給ローラによりピックアップされ、図示しない搬送ローラによりレジストローラ14まで搬送される。転写材Pは、レジストローラ14によって、中間転写ベルト8上のトナー像に同期して、中間転写ベルト8と二次転写ローラ14とで形成される二次転写部N2へ搬送される。そして、例えば上述のような中間転写ベルト8上に担持された4色の多重トナー像が、二次転写部N2において、二次転写ローラ15の作用により、転写材Pに一括して転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ15には、二次転写バイアス印加手段としての二次転写電源E2から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施形態では正極性)の直流電圧である二次転写バイアスが印加される。
その後、トナー像が転写された転写材Pは、定着手段としての定着装置16に搬送される。そして、転写材Pは、定着装置16の定着ローラと加圧ローラとで挟持されて搬送される過程で加圧及び加熱されることで、その上にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写材Pは、画像形成物として画像形成装置100の装置本体の外部に排出される。
また、一次転写部N1において中間転写ベルト8に転写しきれずに感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。また、二次転写部N2において転写材Pに転写しきれずに中間転写ベルト8上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置12によって中間転写ベルト8上から除去されて回収される。
ここで、本実施形態では、一次転写ローラ5は、外径5mmのニッケルメッキ鋼棒の芯金の周囲に、外径14mmとなるよう発泡性弾性体からなる弾性層を被覆して構成されている。この一次転写ローラ5の電気抵抗は10Ωである。なお、一次転写ローラ5の電気抵抗は、10〜10Ωの範囲であることが、良好な画像形成を行う点で好ましい。
また、本実施形態では、二次転写ローラ15は、外径8mmのニッケルメッキ鋼棒の芯金の周囲に、外径16mmとなるよう発泡性弾性体からなる弾性層を被覆して構成されている。この二次転写ローラ15の電気抵抗は10Ωである。なお、二次転写ローラ15の電気抵抗は、10〜10Ωの範囲であることが、良好な画像形成を行う点で好ましい。
また、本実施形態では、駆動ローラ9は、アルミニウム製の芯金に、カーボンを導電剤として分散した、電気抵抗が10Ω、肉厚が0.085mmのシリコーンゴムを被覆した、外径26.3mmのローラである。
また、本実施形態では、テンションローラ10は、外径24mmのアルミニウム製の金属ローラ(金属棒)であり、回転軸線方向の両端部において片側49N、総圧98Nのテンションを中間転写ベルト8に付与している。
また、本実施形態では、二次転写対向ローラ11は、アルミニウム製の芯金に、カーボンを導電剤として分散した、電気抵抗が10Ω、肉厚が1mmのEPDMゴムを被覆した、外径が18mmのローラである。
なお、画像形成装置100には、画像形成装置100の各部の動作の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板(制御部)(図示せず)が設けられている。制御基板には、制御手段としてのCPU(図示せず)と、各種の制御情報が格納された記憶手段としてのメモリ(図示せず)などが搭載されている。CPUは、転写材Pの搬送に関する駆動源や中間転写ベルト8、及びプロセスカートリッジ7の駆動源などの制御、画像形成に関する制御、更には故障検知に関する制御など、画像形成装置100の動作を一括して制御する。
2.ベルトクリーニング装置
次に、ベルトクリーニング装置12の構成について説明する。図2(a)は、後述するクリーニングブレード21が弾性変形していない場合のクリーニングブレード21の取り付け位置を説明した仮想断面図であり、図2(b)は、ベルトクリーニング装置12の近傍の主断面図である。
ベルトクリーニング装置12は、クリーニング容器17と、クリーニング容器17内に設けられたクリーニング作用部20と、を有する。クリーニング容器17は、中間転写ベルトユニット13の図示しない枠体の一部として構成されている。クリーニング作用部20は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード21と、クリーニングブレード21を支持する支持部材22と、を有する。クリーニングブレード21は、弾性材料であるウレタンゴム(ポリウレタン)を材料とする弾性ブレード(ゴム部)である。また、支持部材22は、メッキ鋼板を材料とする板金で形成されている(板金部)。クリーニングブレード21が支持部材22に接着されて、クリーニング作用部20が構成されている。
クリーニングブレード21は、所定の厚さを有する一方向に長い板状部材である。このクリーニングブレード21は、略直交する2辺のうち長手方向の一辺がベルト搬送方向に略直交する方向(以下「スラスト方向」ともいう。)に沿って延在し、短手方向の一辺の一方の端部側が中間転写ベルト8に接触する。このクリーニングブレード21の厚さは2mmであり、クリーニングブレード21の硬度はJIS K 6253規格で77度である。
クリーニング作用部20は揺動可能に構成されている。すなわち、支持部材22は、クリーニング容器17に固定された揺動軸19を介して揺動可能に支持されている。そして、クリーニング容器17内に設けられた付勢手段として加圧バネ18で支持部材22が加圧されることで、揺動軸19を中心としてクリーニング作用部20が可動し、クリーニングブレード21が中間転写ベルト8に付勢(押圧)される。クリーニングブレード21に対向して、中間転写ベルト8の内側には、テンションローラ10が配置されている。クリーニングブレード21は、テンションローラ10上の位置で、ベルト搬送方向に対してカウンター方向に中間転写ベルト8に当接されている。すなわち、クリーニングブレード21は、その短手方向における自由端側の先端がベルト搬送方向の上流側を向くようにして、中間転写ベルト8の表面に当接されている。これにより、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との間にブレードニップ部23が形成されている。クリーニングブレード21は、ブレードニップ部23において、移動する中間転写ベルト8の表面からトナーを掻き取る。
本実施形態では、クリーニングブレード21の取り付け位置は、次のように設定されている。図2(a)に示すように、設定角θが24°、侵入量δが1.5mm、当接圧が0.6N/cmである。ここで、設定角θは、中間転写ベルト8とクリーニングブレード21(より詳細にはその自由端側の端面)との交点におけるテンションローラ10の接線と、クリーニングブレード21(より詳細にはその厚さ方向に略直交する一方の表面)とがなす角度である。また、侵入量δは、クリーニングブレード21がテンションローラ10に対して重なる厚さ方向の長さである。また、当接圧は、ブレードニップ23におけるクリーニングブレード21からの押圧力(長手方向における線圧)で定義され、フィルム式加圧力測定システム(商品名:PINCH,ニッタ社製)を用いて測定される。このように設定することで、高温高湿環境下(30℃/80%)でのクリーニングブレード21の捲れやスリップ音を抑制でき、良好なクリーニング性能を得ることができる。また、このように設定することで、低温低湿環境下(15℃/10%)でのクリーニング不良を抑制して、良好なクリーニング性能を得ることができる。
また、一般にウレタンゴムと合成樹脂とは摺動による摩擦抵抗が大きく、クリーニングブレード21の初期の捲れが起こりやすい。そこで、予めクリーニングブレード21の自由端側の先端に、フッ化黒鉛などの初期潤滑剤を塗布することができる。
なお、中間転写ベルト8の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、クリーニングブレード21のゴム硬度は、JIS K 6253規格)は、70度以上、80度以下の範囲が好ましい。ゴム硬度が上記範囲よりも低いと、使用による摩耗量が増加して、耐久性が低下することがあり、上記範囲よりも高いと弾性力が減少して、中間転写ベルト8との摩擦により欠けなどが発生することがある。また、中間転写ベルト8の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、クリーニングブレード21の当接圧は、0.4N/cm以上、0.8N/cm以下の範囲が好ましい。当接圧が上記範囲よりも小さいと、良好なクリーニング性能が得られないことがあり、上記範囲よりも大きいと中間転写ベルト8を回転駆動するための負荷が大きくなりすぎることがある。
3.中間転写ベルト
次に、本実施形態における中間転写ベルト8の構成について説明する。図3(a)は、ベルト搬送方向に略直交する方向に切った(ベルト搬送方向に沿って見た)中間転写ベルト8の模式的な拡大部分断面図であり、図3(b)は、同様の断面において後述する中間転写ベルト8の表層82をより詳しく示したものである。図3(c)は、中間転写ベルト8の表面を上方から見た模式的な上面図である。
中間転写ベルト8は、基層81と表層82との2層からなる無端状のベルト部材(或いはフィルム状部材)である。表層82は、感光ドラム1から転写されたトナーを担持(保持)する。基層81は、ポリエチレンナフタレート樹脂に電気抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散した、厚さ70μmの層である。また、表層82は、基材85としてのアクリル樹脂に、電気抵抗調整剤86としてアンチモンドープの酸化亜鉛を分散し、潤滑剤83としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を添加した、厚さ3μmの層である。表層82に添加された潤滑剤83は、少なくとも中間転写ベルト8の使用開始前において、その少なくとも一部が表層82の最表層面に析出し一部が露出した状態で突起形状を形成している。また、表層82に添加された潤滑剤83は、その他、表層82の基材85中にも分散された状態で存在している。
また、表層82には、表面加工処理が施されて、中間転写ベルト8の表面の移動方向(ベルト搬送方向)に沿う方向に溝(溝形状、溝部)84が形成されている。一例として、この溝84の幅(溝84の長手軸線方向と略直交する方向における開口部の幅)Wは2μm、深さ(中間転写ベルト8の厚さ方向における開口部から底部までの深さ)Dは1μmである。詳しくは後述するように、この溝84の幅Wは、トナーの平均粒径の半分未満とされている。また、溝84のピッチI(ベルト搬送方向に略直交する方向における間隔)は10μm〜100μm、典型的には10μ〜20μmである。表層82の厚さが3μmであるため、溝84は基層81までは届かず、表層82のみに存在している。溝84は、中間転写ベルト8の周方向(回転方向)に沿って中間転写ベルト8の1周全域に存在している。
詳しくは後述するように、溝84は、形状付与手段としてのラッピングフィルムを中間転写ベルト8の表面に当接させる表面加工処理により、表層82の表面に形成されている。本実施形態では、溝84は、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との接触部の長手方向に対して略直交する位置関係にある。すなわち、本実施形態では、溝84は直線状に形成されており、ベルト搬送方向と溝84の長手軸線方向とは略平行である。また、本実施形態では、溝84は、中間転写ベルト8の周方向(回転方向)の一周にわたって連続的に形成されている。また、本実施形態では、溝84は、ピッチIが上記範囲でランダムになるように形成されている。なお、ピッチIは、表面加工処理の方法にもよるが、必ずしも周期性があるものでなくてよい。また、溝は84、ピッチIが上記範囲でほぼ等間隔になるように形成されていてもよい。また、溝84は、中間転写ベルト8の周方向(回転方向)一周にわたって連続的に形成されずに、途中で途切れていてもよい。すなわち、溝84は、中間転写ベルト8の周方向(回転方向)の一周にわたって断続的に形成されていてもよい。また、ベルト搬送方向に沿う方向には、例えばラッピングフィルムをスラスト方向に徐々に移動させながら溝84を螺旋状に形成したような場合も含まれる。すなわち、溝84は、ベルト搬送方向に略直交する方向(駆動ローラ9の回転軸線方向で代表される)に対して交差する方向に沿って延在していればよく、ベルト搬送方向に対して角度を有していてもよい。ただし、詳しくは後述する効果を得るためには、ベルト搬送方向に対して溝84の長手軸線方向がなす角度は、好ましくは45度以下、より好ましくは10度以下である。典型的には、本実施形態のように、ベルト搬送方向と溝84の長手軸線方向とは略平行とされる。また、溝84は、その全体が直線状でなくてもよく、途中で屈曲又は湾曲していたり、全体が湾曲していたりしてもよい。
中間転写ベルト8の体積抵抗率は、Hiresta・UP MCP−HT450(三菱化学社製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、1010Ω・cmである。
なお、中間転写ベルト8の体積抵抗率は、10〜1012Ω・cmの範囲であることが、良好な画像形成を行う上で好ましい。
4.中間転写ベルトの作製方法
次に、中間転写ベルト8の作製方法について説明する。
まず、基層81に使用する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは混合して2種以上使用することもできる。また、これらの熱可塑性樹脂中に、導電材料などを熔融混練し、次いで、インフレーション成形、円筒押出し成形、ブロー成形などの成形方法を適宜選択して、中間転写ベルト8の基層81を得ることができる。
一方、表層82には、中間転写ベルト8の表面の硬度を高め、耐久性(耐摩耗性)を向上させる観点から、熱、又は光(紫外線など)や電子線などのエネルギー線の照射によって硬化する、硬化性材料を好適に用いることができる。特に、硬化性の高い紫外線や電子線などの照射によって硬化する硬化性材料が好ましいが、これらに限定されるものではない。硬化性材料のうち、有機材料としては、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フッ素系硬化性樹脂(含フッ素硬化性樹脂)などの硬化性樹脂が挙げられる。無機材料としては、アルコキシシラン・アルコキシジルコニウム系材料、ケイ酸塩系材料などが挙げられる。有機・無機ハイブリッド材料としては、無機微粒子分散有機高分子系材料、無機微粒子分散オルガノアルコキシシラン系材料、アクリルシリコン系材料、オルガノアルコキシシラン系材料などが挙げられる。中間転写ベルト8の表層82の耐摩耗性、耐クラック性などの強度の観点から、硬化性材料の中でも樹脂材料(硬化性樹脂)が好ましく、硬化性樹脂の中でも、不飽和二重結合含有アクリル共重合体を硬化させて得られるアクリル樹脂が好ましい。不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、例えば、アクリル系紫外線硬化型ハードコート材料であるルシフラール(商品名、日本ペイント社製)として入手可能である。すなわち、中間転写ベルト8は、紫外線硬化性モノマー及び/又はオリゴマー成分を含有してなる液で、これにエネルギー線を照射し、硬化させて得られた表層(硬化膜、表面硬化層)82を有していることが好ましい。
また、表層82には、電気抵抗の調整を目的として、導電材料(導電性フィラー、電気抵抗調整剤)86を添加することができる。導電材料86としては、電子導電性材料又はイオン導電性材料を用いることができる。電子導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、PAN系炭素繊維及び膨張化黒鉛粉砕品などの粒子状、繊維状又はフレーク状のカーボン系導電性フィラーが挙げられる。また、例えば、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス及び鉄などの粒子状、繊維状又はフレーク状の金属系導電性フィラーが挙げられる。また、例えば、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープの酸化スズ、アンチモンドープの酸化亜鉛、スズドープの酸化インジウム及びアルミニウムドープの酸化亜鉛などの粒子状の金属酸化物系導電性フィラーが挙げられる。イオン導電性材料としては、例えば、イオン液体、導電性オリゴマー及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの導電材料の中から1種又はそれ以上が適宜選択され、電子導電性材料とイオン導電性材料を混合して用いてもよい。これらの中でも、添加量が少量で済み、表層82の所望の表面平滑性が得られる点で、粒子状(サブミクロン以下の粒子など)の金属酸化物系導電性フィラーが好ましい。
また、表層82には、固体潤滑剤83を添加することができる。固体潤滑剤83は、PTFE樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、二フッ化二塩化エチレン樹脂粉体、フッ化黒鉛などのフッ素含有粒子、及びそれらの共重合体から適宜選択して用いることができる。また、固体潤滑剤83は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子、二硫化モリブデン粉体などであってもよい。これらの中でも、粒子の表面の摩擦係数が低く、中間転写ベルト8の表層82に当接する他の部材、例えば、クリーニングブレード21の摩耗を低減できる点で、PTFE樹脂粒子(乳化重合系のPTFE樹脂粒子など)が好ましい。
表層82の作製方法の一例の概略を示せば次のとおりである。不飽和二重結合含有アクリル共重合体中に、導電材料としてのアンチモンドープの酸化亜鉛、固体潤滑剤としてのPTFE粒子を混合し、高圧乳化分散機で分散混合し、表層形成用塗工液を作製する。また、表層82を基層81上に形成する方法としては、通常のコーティング方法、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートなどを挙げることができる。これらの方法から適宜選択して用いることで、所望の膜厚の表層82を得ることができる。より詳しい作製方法の例は後述する。
得られた中間転写ベルト8の表層82に溝84の形成を行う。ラッピングフィルムを表層82に当接させて中間転写ベルト8を回転させるか、又はラッピングフィルムを中間転写ベルト8の回転方向に摺擦させることで、溝84を形成することができる。また、中間転写ベルト8の表層82に所望の表面形態を付与する方法は、ラッピングフィルムを用いた加工に限定されるものではない。任意の方法で中間転写ベルト8の表層82に所望の表面形態を付与することができる。例えば、表層82のコーティング前に基層81の表面に所望の表面形態を付与する方法、金型やナノインプリント技術を用いた後加工などが挙げられる。より詳しい加工方法の例は後述する。
5.中間転写ベルトの表層と転写効率との関係
図4(a)〜(c)は、中間転写ベルト8の表層82とトナーとの接触部を拡大して模式的に示している。
中間転写ベルト8上のトナーを転写材Pへ転写させる際の転写効率を向上させるためには、中間転写ベルト8の表層82が平滑であることが望まれる。図4(a)に示すように、表層82の面内平均粗さが10nm以下で、平滑部が占める割合が支配的な場合、トナーと表層82との接触機会(接触面積)が少なく、両者は主に点接触する。なお、面内平均粗さは、微小領域での表面粗さ(或いは表面の平滑性)を表すものであり、測定方法については後述する。その結果、トナーと表層82との間に働く物理的な付着力が弱く、トナーの離型性が良くなるため、転写効率が向上する傾向となる。
また、図4(b)に示すように、表層82の面内平均粗さが30nmより大きく、平滑部が存在しない場合、トナーと表層82との接触機会(接触面積)が多く、両者は主に多点接触する。その結果、トナーと表層82との間に働く物理的な付着力が強く、トナーの離型性が悪くなるため、転写効率は悪化する傾向となる。
一方、図4(c)に示すように平滑な表層82にトナーの平均粒径の半分未満の幅Wを有する溝84を形成した表層82では、例えば球形トナーの場合、トナーは溝84上に存在する可能性がある。溝84上のトナーは、溝84の幅Wがトナーの粒径より小さいため、溝84へ埋没することなく表層82と2点接触で存在する。そのため、平滑部が存在しない表層82(図4(b))に比べて、トナーと表層82との間に働く物理的な付着力は弱い。したがって、このような溝84を形成した中間転写ベルト8は、十分の転写効率を維持しながら、詳しくは後述するようにクリーニングブレード21の磨耗の抑制を図ることを可能とする。
このように、転写効率の向上を図るためには、中間転写ベルト8の表層82が、トナーと点接触する平滑さを有することが望まれる。詳しくは後述するように、本発明者らの検討によると、表層82の面内平均粗さが30nm以下の場合に、良好な転写効率を得ることができる。これは、中間転写ベルト8の平滑な表面に、中間転写ベルト8の表面の移動方向に沿って(すなわち、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との接触部の長手方向と交差する方向に)溝84を形成することで達成される。
なお、上述のような転写効率に関する傾向は、球形状のトナーに限らず、非球形状のトナーを用いる場合においても同様であり、中間転写ベルト8の表層82が平滑であることで、接触面積を低減し、転写効率は向上する傾向となる。
6.中間転写ベルトの表層とクリーニングブレードの摩耗
図5(a)〜(b)は、中間転写ベルト8の表層82とクリーニングブレード21との接触部(ブレードニップ部23)を拡大して模式的に示している。
中間転写ベルト8のクリーニング性能を満足するためには、中間転写ベルト8の表層82が適度な粗さを有することが望まれる。本実施形態では、中間転写ベルト8の表層82に形成された溝84は、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との接触部の長手方向に対して略直交する位置関係にある。図5(a)に示すように、溝84が形成された表層82を有する中間転写ベルト8の場合、クリーニングブレード21は溝84と接触しないため、ブレードニップ部23におけるクリーニングブレード21と中間転写ベルト8との接触面積が低減する。そのため、中間転写ベルト8の回転駆動中のブレードニップ部23における摩擦力が低減し、クリーニングブレード21の摩耗が抑制される。また、溝84の幅Wがトナーの平均粒径より小さいので、溝84にトナーが入り込み、クリーニングブレード21からすり抜けることは無い。
一方、図5(b)に示すように、凹凸形状が全く存在しない平滑な表層82を有する中間転写ベルト8の場合、クリーニングブレード21はブレードニップ部23において中間転写ベルト8とほぼ完全に密着した状態となる。そのため、中間転写ベルト8の回転駆動中のブレードニップ部23における摩擦力が大きく、繰り返し使用によりクリーニングブレード21の摩耗が進行することで、クリーニング不良が発生することがある。
また、図5(c)に示すように、ランダムな凹凸形状が付与された表層84を有する中間転写ベルト8の場合、クリーニングブレード21はブレードニップ部23において表層82の凸部と選択的に接触する。そのため、ブレードニップ部23において、クリーニングブレード21と表層82との接触領域部に集中的に圧力がかかり、接触領域部での摩擦力が大きくなる。その結果、繰り返し使用によりクリーニングブレード21の摩耗が局所的に進行し、偏摩耗や欠けが発生することで、クリーニング不良が発生することがある。
さらに、図5(d)に示すように、フィラーの添加などにより凸形状が付与された表層82を有する中間転写ベルト8の場合も、図5(c)の場合と同様に、クリーニングブレード21はブレードニップ部23において表層82の凸部と選択的に接触する。そのため、繰り返し使用により表層82の凸部と接触するクリーニングブレード21の摩耗が局所的に進行し、偏摩耗や欠けが発生することで、クリーニング不良が発生することがある。
このように、長期にわたり良好なクリーニング性能を得るためには、ブレードニップ部23にてクリーニングブレード21と中間転写ベルト8との接触面積を低減することが望まれる。そして、これは、中間転写ベルト8の平滑な表面に、中間転写ベルト8の表面の移動方向に沿って(すなわち、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との接触部の長手方向と交差する方向に)溝84を形成することで達成される。
ここで、ベルト搬送方向と略直交する方向におけるクリーニングブレード21の範囲内(ブレードとベルトとの対向領域内)における、中間転写ベルト8の総面積に対する中間転写ベルト8とクリーニングブレード21との接触面積の割合を接触面積率とする。接触面積率は、中間転写ベルト8の表層82の任意の領域における総面積とクリーニングブレード21との接触領域部の割合として、詳しくは後述する測定方法により求めることができる。この場合、上述のような摩擦力低減効果により良好なクリーニング性能を得るためには、接触面積率が80%以上、97%以下であることが好ましい。接触面積率が80%未満の場合、クリーニングブレード21と接触する中間転写ベルト8の表層82が少なく、接触領域部に集中的に圧力がかかりすぎて、クリーニングブレード21の磨耗量が増加し易くなる。一方、接触面積率が97%より大きい場合、接触部減による摩擦力低減効果が発現せず、クリーニングブレード磨耗量が増加し易くなる。
以上のように、中間転写ベルト8の表面にベルト搬送方向に沿って適切に溝84を形成することで、中間転写ベルト8から転写材Pへのトナーの転写効率の向上を図りつつ、クリーニングブレード21の磨耗の抑制を図ることができる。
7.実施例及び比較例
以下、実施例及び比較例により、上述の効果について更に詳しく説明する。
(実施例1)
本実施例では、基層81と表層82の2層からなる中間転写ベルト8を用いた。以下に、中間転写ベルト8の作製方法について説明する。
<基層の作製>
まず、基層81の作製方法について説明する。ポリエチレンナフタレート樹脂をブロー成形することで、ボトル状成形体を得て、これを超音波カッターにより切断することで、無端状のベルト体を得た。なお、ポリエチレンナフタレート樹脂中には、電気抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散している。このようにして得られた厚さ70μmのポリエチレンナフタレート樹脂ベルトを中間転写ベルト8の基層81として用いた。
<表層形成用塗工液(紫外線硬化性樹脂組成物)の調製>
次に、表層82の形成用の塗工液(紫外線硬化性樹脂組成物)の作製方法について説明する。紫外線を遮蔽した容器中において、潤滑剤(摺動性付与粒子)83としての粒径200nmのPTFE粒子(ルブロン:ダイキン工業社製)に、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートを含有するアクリル系紫外線硬化型ハードコート材料であるルシフラール(商品名、日本ペイント社製)を混合し、そこにPTFE粒子の分散剤として高分子量のフッ素系グラフトポリマーGF400(商品名、東亞合成社製)とメチルイソブチルケトンを添加して、高速せん断式分散器(ホモジナイザー)で処理することにより、粗分散を行った。その後、この粗分散処理を行った液を、高圧乳化分散器(ナノベータ:吉田機械興業社製)を用いて本分散処理を行った。さらに、導電性粒子としてセルナックス(商品名、210IP:日産化学工業社製)に、分散剤として低分子量であるアミンを添加した液を撹拌しながら、PTFE粒子の本分散処理が終了した液を滴下し、表層82の形成用の塗工液を得た。
<表層を付与した中間転写ベルトの作製>
次に、基層81上への表層82の形成方法について説明する。上述の中間転写ベルト8用の基層81上に、上述の紫外線硬化性樹脂組成物を、25℃、相対湿度60%の塗布環境でディップコートした。そして、塗工が終了してから10秒後に塗工環境と同じ場所にある紫外線照射装置(商品名:UE06/81−3、アイグラフィック社製、積算光量:1000mJ/cm)を用いて紫外線を照射し、表層82を硬化させた。その結果、厚さ3μmの樹脂硬化膜が形成され、この樹脂硬化膜を中間転写ベルト8の表層82とした。このようにして表層82を有する中間転写ベルト8を作製した。
<中間転写ベルトの表面の溝の形成>
次に、上述の方法で得られた中間転写ベルト8の表層82に溝84の形成を行った。中間転写ベルト8を中間転写ベルト8の内径よりも若干大きな外径を有する円筒に弾性変形させて装着する。粒度9μmの酸化アルミニウムを砥粒とするラッピングフィルム(Lapika#2000(商品名)、KOVAX社製)を、上述の円筒に装着された中間転写ベルト8の表面に面圧1.96N/mmで当接させる。そして、40secの間上述の円筒を回転させることで、表層82に幅Wが2μm、深さDが1μmの溝84が形成された中間転写ベルト8を得た。
<トナー平均粒径の測定方法>
本実施例において用いたトナーの平均粒径の測定は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて行った。データの解析は、コールターマルチサイザーIIに個数分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して行った。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を用いた。このような電解液として、例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法は、次のとおりである。上記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加えた。試料を添加した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、上述のコールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、粒径が2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布を算出した。これらの値を用いて、重量基準(各チャンネルの代表値をチャンネル毎の代表値とする)の重量平均粒径を求め、この値をトナー平均粒径とした。本実施形態では、トナーの平均粒径は6μmであった。
<表層の観察評価1>
上述の方法で作製した中間転写ベルト8の表層82の観察視野(トナー平均粒径四方)における、中間転写ベルト8の表層82の面内平均粗さの測定を行った。測定には走査型プローブ顕微鏡(SPI3800:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いた。カンチレバーはシリコーン製で、先端半径15nm以下、バネ定数15N/m、共振周波数136KHzのものを用いた。測定モードには、試料を破壊することなく、ナノオーダで精度の高い像を得ることができるダイナミックフォースモードを用いた。測定周波数は、0.3〜1.0Hzとした。トナーの平均粒径の測定から得られたトナーの平均粒径から観察視野を決定し、6μm四方における中間転写ベルト8の表層82の面内平均粗さ(Ra)を測定した。なお、中間転写ベルト8の表層82の面内平均粗さは、重複しない任意の10カ所の平均値を測定結果とした。
<表層の観察評価2>
上述の方法で作製した中間転写ベルト8の表層82における、十点平均粗さRzjisを測定した。測定には、表面粗さ/輪郭形状測定器サーフコム1500SD(東京精密製)を用い、規格JIS B0601:2001に準拠し、カットオフ波長0.25mm、測定基準長さ0.25mm、測定長1.25mmの条件で測定した。ここで、中間転写ベルト8の表層82の十点平均粗さRzjisは、中間転写ベルト8の表面の移動方向と略直交する方向に測定器の触針をスキャンさせて測定し、任意の少なくとも5か所の平均値を測定結果とした。
<表層の観察評価3>
上述の方法で作製した中間転写ベルト8の表層82における接触面積率を測定した。測定には、コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS、レーザーテック社製)を用いた。観察領域は100μm四方、測定波長は546nm、中間転写ベルト8の厚さ方向のスキャン頻度を0.2μmとし、表層82の厚さ3μmのスキャンを行った。得られた表面形状に対し、以下の方法で接触面積率を算出した。測定領域の最表面部から0.3μmだけ基層81側に閾値を設けて、最表面から0.3μm未満の領域を接触領域、最表面から0.3μm以上の領域を非接触領域と定義し、次式、
接触面積率%=(接触領域の面積/観察領域の面積)×100
により算出した。そして、上述の方法で任意の少なくとも5か所の平均値を測定結果とした。この値は、中間転写ベルト8の表面の移動方向と略直交する方向におけるクリーニングブレード21の範囲内における、中間転写ベルト8の総面積に対する中間転写ベルト8の表面とクリーニングブレード21との接触面積の割合を代表することができる。
<転写効率評価>
上述の方法で作製した中間転写ベルト8を、図1に示す本実施形態の画像形成装置100に装着し、転写効率の評価を行った。画像パターンは、イエロー、マゼンタ、シアンのベタ画像を重ね、中間転写ベルト8上の単位面積当たりのトナー量を1.3mg/cmとしたものとした。この画像パターンのトナー像を、転写材Pに最適な二次転写バイアスにより二次転写した。そして、二次転写前後のトナー量から、転写効率を、次式、
転写効率%=(転写されたトナー量/転写前のトナー量)×100
により算出した。なお、転写効率の評価は、25℃、相対湿度50%環境下で、坪量90g/mの25%COTTON CONTENT(商品名)転写材を用いた。このとき、転写効率が94%未満の場合、目視で確認できるレベルの画像不良(トナーの粒状感、白抜け)が発生していた。
<クリーニング性能の耐久性評価>
クリーニング性能の耐久性を調べるために、図1に示す本実施形態の画像形成装置100を用い、上述の製造方法にて製造した中間転写ベルト8を装着して通紙耐久評価を行った。具体的には、温度25℃、相対湿度50%の環境下にて、OCE社製Extra坪量80g/m、A4紙を用いて、2枚間欠印刷で100k枚まで通紙を行い、クリーニング不良の発生を確認した。
クリーニング性能の評価方法は、次のとおりである。二次転写電圧をオフ(0V)にした状態でレッド画像(イエロートナー、マゼンタトナー)をA4サイズ全面に印字した後に、二次転写電圧を適正値に設定して3枚白紙状態で連続通紙する。そうすることで、二次転写部N2で転写材Pへほとんど転写されずに残ったイエロー、マゼンタトナーがクリーニングブレード21に突入する。それらがクリーニングできていれば、その後通紙する3枚は実質的に全くの白紙状態で出力されるが、クリーニングできなければ、クリーニングブレード21をすり抜けたトナーが白紙上に転写されてクリーニング不良画像として出力される。以上のような評価を10k枚通紙毎に行い、100k枚通紙後にクリーニングできていれば「○」、できなければ「×」とした。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。転写効率評価では、転写効率は95.6%で、目視で確認できるレベルの画像不良は発生しておらず、良好な転写性が得られることが確認できた。また、クリーニング性能の耐久性の評価では、100k枚通紙後もクリーニング不良は発生せず、良好なクリーニング性能が得られることが確認できた。
(実施例2)
本実施例では、実施例1よりも深さDを大きくし、幅Wが2μm、深さDが1.5μmの溝84が形成された中間転写ベルト8における、転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成する際の中間転写ベルト8に対するラッピングフィルムの当接時間を80secとした以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。実施例1と同様に、転写効率が95.2%の良好な転写性が得られ、また100k枚通紙後も良好なクリーニング性能が得られることが確認できた。
(実施例3)
本実施例では、実施例1よりも幅Wを小さくし、幅Wが1μm、深さDが1μmの溝84が形成された中間転写ベルト8における、転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成する際のラッピングフィルムの押圧力を面圧0.98N/mmとしたた以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。実施例1と同様に、転写効率が97.2%の良好な転写性が得られ、また100k枚通紙後も良好なクリーニング性能が得られることが確認できた。
(実施例4)
本実施例では、実施例1よりも幅Wを大きくし、幅Wが2.5μm、深さDが1μmの溝84が形成された中間転写ベルト8における、転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成する際のラッピングフィルムの押圧力を面圧3.92N/mmとしたた以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。実施例1と同様に、転写効率が94.8%の良好な転写性が得られ、また100k枚通紙後も良好なクリーニング性能が得られることが確認できた。
(実施例5)
本実施例では、実施例1よりも幅W、深さDを大きくし、幅Wが2.5μm、深さDが2μmの溝84が形成された中間転写ベルト8における、転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成する際のラッピングフィルムの砥粒径を12μmとした以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。実施例1と同様に、転写効率が94.3%の良好な転写性が得られ、また100k枚通紙後も良好なクリーニング性能が得られることが確認できた。
(比較例1)
本比較例では、中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成していない中間転写ベルト8における転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82の形成後に、ラッピングによる溝84を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。転写効率評価では、転写効率は97.2%で、良好な転写性が得られることが確認できた。一方、クリーニング性能の耐久性評価では、100k枚通紙後にクリーニング不良が発生し、クリーニング性能を満足できなかった。
(比較例2)
本比較例では、実施例3よりもさらに溝84を小さくし、幅Wが0.5μm、深さDが0.3μmの溝84が形成された中間転写ベルト8における、転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成する際のラッピングフィルムの砥粒径を5μmとした以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。転写効率評価では、転写効率は96.7%で、良好な転写性が得られることが確認できた。一方、クリーニング性能の耐久性評価では、100k枚通紙後にクリーニング不良が発生し、クリーニング性能を満足できなかった。
(比較例3)
本比較例では、実施例5よりもさらに溝84を大きくし、幅Wが4μm、深さDが2.5μmの溝84が形成された中間転写ベルト8における、転写効率とクリーニング性能を確認した。中間転写ベルト8の表層82に溝84を形成する際のラッピングフィルムの砥粒径を12μmとし、中間転写ベルト8に対するラッピングフィルムの当接時間を80secとした以外は、実施例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。転写効率評価では、転写効率は91.8%で、目視で確認できるレベルの画像不良が発生し、良好な転写性を得られなかった。また、クリーニング耐久性評価では、100k枚通紙後にクリーニング不良が発生し、クリーニング性能を満足できなかった。
(比較例4)
本比較例では、中間転写ベルト表層82にフィラーを添加して、ランダムな凹凸形状を付与した中間転写ベルト8における転写効率とクリーニング性能を確認した。前述の紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、表層82への形状付与を目的として、新たに粒径1μmのスチレン・アクリル樹脂微粒子(ファインスウェア:日本ペイント社製)を樹脂の重量に対し50重量部添加した。それ以外は、比較例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。転写効率評価では、転写効率は96.7%で、良好な転写性が得られることが確認できた。一方、クリーニング性能の耐久性評価では、100k枚通紙後にクリーニング不良が発生し、クリーニング性能を満足できなかった。
(比較例5)
本比較例では、比較例4よりも大粒径のフィラーを添加して、ランダムな凹凸形状を付与した中間転写ベルト8における転写効率とクリーニング性能を確認した。前述の紫外線硬化樹脂組成物の調製時に、表層82への形状付与を目的として、新たに粒径2μmのメラミンシリカ樹脂粒子(オプトビーズ:日産化学社製)を樹脂の重量に対し50重量部添加した。それ以外は、比較例1と同様にして表層82を有する中間転写ベルト8を得た。
転写効率及びクリーニング性能の耐久性の評価結果を後掲表1に示す。転写効率評価では、転写効率は93.1%で、目視で確認できるレベルの画像不良が発生し、良好な転写性を得られなかった。また、クリーニング耐久性評価では、100k枚通紙後にクリーニング不良が発生し、クリーニング性能を満足できなかった。
Figure 2019056942
94%以上の転写効率を得るためには、実施例5と比較例3及び比較例5の結果から、トナーの平均粒径四方における面内平均粗さが30nm以下であることが必要であることがわかる。これは、微小領域での表面粗さが大きすぎると、トナーが表層82と点接触できなくなるためと考えられる。また、クリーニング性能の耐久性を満足するためには、実施例5と比較例4の結果から、表層82の形状は、ランダムな凹凸形状ではなく、ベルト搬送方向に沿う溝84が形成されていることが必要であることがわかる。これは、ランダムな凹凸形状の場合には、クリーニングブレード21の局部的な摩耗が発生し易いためと考えられる。また、実施例5と比較例1及び比較例2の結果から、トナーの平均粒径四方における面内平均粗さが10nm以上であることが必要であることがわかる。これは、微小領域での表面粗さが小さすぎても、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8とが密着しすぎてクリーニングブレード21の摩耗が進行し易くなるためと考えられる。
そして、実施例3と比較例2、及び実施例5と比較例3の結果から、次のことがわかる。すなわち、ベルト搬送方向と略直交する方向に測定したときの十点平均粗さRzjisは、0.26μm以上、0.67μm以下であることが好ましい。これは、表層84のより広い領域で巨視的に見た場合の表面粗さも転写効率とクリーニング性能の耐久性に影響し、低すぎるとクリーニングブレード21の局部的な摩耗が発生し易くなり、また高すぎると転写効率が低くなり易くなるものと考えられる。また、接触面積率は、80%以上、97%以下であることが好ましい。これは、接触面積率が低すぎるとクリーニングブレード21に対し局部的に摩擦力がかかりすぎて摩耗量が増加し、高すぎると摩擦力低減効果が発現し難くなるためと考えられる。また、溝84の幅Wは、2.5μm以下であることが好ましい。これは、溝84の幅Wが大きすぎるとトナーが溝84に埋没するようになって転写効率が低下し易くなると共に、トナーがクリーニングブレード21をすり抜けてクリーニング不良が発生し易くなるためと考えられる。この観点から、溝84の幅Wは、トナーの平均粒径の半分未満であることが好ましいことがわかる。また、溝84の深さDは2μm以下であることが好ましい。これも幅Wの場合と同様の理由が考えられ、深さDは幅Wと同等又は幅Wよりも小さいことが好ましいと言える。
以上のように、本実施形態では、中間転写ベルト8の表層82にアクリル樹脂などによる平滑な表層82を設け、ベルト搬送方向に沿う溝84を形成する。これにより、トナーの付着力を低減して転写効率を向上させつつ、クリーニングブレードとの接触面積を低減することでクリーニング性能の耐久性を満足することができる。すなわち、本実施例によれば、中間転写ベルト8の表面にベルト搬送方向に沿う溝84を形成し、中間転写ベルト8の表面のトナー平均粒径四方における面内平均粗さを10nm以上、30nm以下とする。これにより、中間転写ベルト8から転写材Pへのトナーの転写効率の向上と、クリーニングブレード21の磨耗の抑制とを両立することができる。
また、このことに加えて、十点平均粗さRzjis、接触面積率、溝84の幅W、及び溝84の深さDのうち少なくとも1つに関する上記好ましい範囲の条件を満たすことによって、相乗的な効果が得られる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、中間転写ベルトの表面の移動方向に対して、略平行ではなく、一定の角度を有する溝を形成した中間転写ベルトであっても、同様の効果を得ることができる。その角度の好ましい範囲については前述したとおりである。
また、単層の中間転写ベルトにおいても、本発明に従って平滑な表面に溝を形成することで、同様の効果が得られる。すなわち、中間転写体は複数層からなる構成に限定されるものではなく、単層であってもよく、その場合にはその単層が実施形態における表層と同様の形状を有していればよい。また、中間転写体が複数層からなる構成においても、2層に限定されるものではなく、上述の実施形態の基層に対応する層が複数層からなっていたり、上述の実施例の基層に対応する層の下層に単数又は複数の層が設けられていたりしてもよい。
また、中間転写体は、ベルト状のものに限定されるものではなく、例えばシートを枠体に張設するなどして形成したドラム状のもの(中間転写ドラム)であっても、本発明を同様に適用して、同様の効果を得ることができる。
また、画像形成装置は、インライン型のものに限定されるものではない。例えば、1個の感光体に対して複数の現像装置が設けられており、その感光体上に順次に形成されるトナー像を中間転写体に順次に一次転写した後、中間転写体上で重ね合されたトナー像を転写材に二次転写する方式の画像形成装置であってもよい。
1 感光ドラム
5 一次転写ローラ
8 中間転写ベルト
12 ベルトクリーニング装置
15 二次転写ローラ
21 クリーニングブレード
22 支持部材
81 中間転写ベルトの基層
82 中間転写ベルトの表層
84 溝
100 画像形成装置

Claims (16)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    前記像担持体からトナー像が転写される移動可能な中間転写体と、
    前記中間転写体の表面に接触し、移動する前記中間転写体の表面からトナーを掻き取るクリーニング部材と、
    を有する画像形成装置において、
    前記中間転写体の表面には、前記中間転写体の表面の移動方向に沿って溝が形成されており、前記中間転写体の表面は、トナーの平均粒径四方における面内平均粗さが、10nm以上、30nm以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写体の表面は、前記中間転写体の表面の移動方向に略直交する方向に測定したときの十点平均粗さRzjisが、0.26μm以上、0.67μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記中間転写体の表面の移動方向と略直交する方向における前記クリーニング部材の範囲内における、前記中間転写体の総面積に対する前記中間転写体と前記クリーニング部材との接触面積の割合は、80%以上、97%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記溝の幅は、トナーの平均粒径の半分未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記中間転写体の表面を形成する表層は、硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記中間転写体の表面を形成する表層は、アクリル共重合体で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記中間転写体の表面を形成する表層は、フッ素含有粒子が含有されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記フッ素含有粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記中間転写体は、無端状のベルトであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 前記中間転写体は、複数層からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記クリーニング部材は、ポリウレタンで形成されたブレードであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  12. 前記クリーニング部材のゴム硬度(JIS K 6253規格)は、70度以上、80度以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  13. 前記クリーニング部材は、前記中間転写体に対しカウンター方向で当接されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  14. 前記クリーニング部材の前記中間転写体に対する当接圧は、0.4N/cm以上、0.8N/cm以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  15. 画像形成装置に用いられ像担持体からトナー像が転写される中間転写体において、
    表面に、前記画像形成装置におけるその表面の移動方向に沿って溝が形成されており、その表面は、前記画像形成装置にて用いられるトナーの平均粒径四方における面内平均粗さが、10nm以上、30nm以下であることを特徴とする中間転写体。
  16. 画像形成装置に用いられ像担持体からトナー像が転写される中間転写体の製造方法にお
    いて、
    前記画像形成装置にて用いられるトナーの平均粒径四方における面内平均粗さが10nm以下である表面に、前記画像形成装置におけるその表面の移動方向に沿って、溝を形成し、その表面の前記トナーの平均粒径四方における面内平均粗さを10nm以上、30nm以下とすることを特徴とする中間転写体の製造方法。
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