JP2021026117A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次転写部における転写材の搬送力がトナーの有無によって変化する場合、二次転写部を通過中の転写材が斜行するおそれがある。【解決手段】像担持体1と、中間転写体8と、中間転写体8の移動に伴って従動して回転する二次転写回転体11と、を有する画像形成装置100は、中間転写体8の表面には、該移動方向と交差する中間転写体8の幅方向に関して、中間転写体8の表面の移動方向に沿って複数の溝83が形成されており、中間転写体8の表面と所定の転写材との間の動摩擦係数を、中間転写体8と該所定の転写材との間にトナー像を存在させない場合と所定のトナー像を存在させた場合とにおいて測定し、上記トナー像を存在させない場合の動摩擦係数をμ1、上記所定のトナー像を存在させた場合の動摩擦係数をμ2、μ1とμ2との差分(μ1−μ2)を動摩擦係数差Δμとしたとき、中間転写体8の使用期間の初期と末期とにおいて、Δμ<0.3を満たす構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いたレーザープリンタ、複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
従来、例えば電子写真方式を用いた画像形成装置として、中間転写体を備えた中間転写方式の画像形成装置がある。この画像形成装置では、感光体(電子写真感光体)上に形成されたトナー像が一次転写部で中間転写体に一次転写され、その後中間転写体上のトナー像が二次転写部で転写材に二次転写される。中間転写体としては、無端状のベルトで形成された中間転写ベルトが広く用いられている。また、二次転写は、中間転写体に当接して二次転写部を形成するローラ状の二次転写部材である二次転写ローラが用いられて行われることが多い。
二次転写部では、転写材は中間転写体と二次転写ローラとに挟持されて搬送される。このとき、二次転写ローラがギア駆動されて、転写材が中間転写体及び二次転写ローラとの間の摩擦力により搬送力を得る構成(以下、「二次転写駆動構成」という。)がある。一方、コスト抑制などの観点から、二次転写ローラが転写材を介して中間転写体の回転に従動して回転する構成(以下、「二次転写従動構成」という。)がある(特許文献1)。
また、レジストローラ対による転写材の搬送速度を、レジストローラ対と二次転写部との間で転写材を弛ませて中間転写体に転写材をならわせるように設定し、二次転写部で発生する画像不良を抑制する構成も知られている(特許文献2)。なお、レジストローラ対は、転写材の搬送方向に関し二次転写部よりも上流側に配置された、二次転写部への転写材の搬送タイミングの調整(レジストレーション)などを行うためのローラ対である。
特開2016−194593号公報 特開2006−267656号公報
上述の二次転写従動構成では、転写材は二次転写ローラから搬送力が得られないため、二次転写部で転写材が受ける搬送力は、中間転写体と転写材との間の摩擦力に依存する。したがって、二次転写従動構成では、二次転写部で転写材が受ける搬送力は、転写材の表面性やトナーの有無にも影響される。このように二次転写部における転写材の搬送力がトナーの有無によって変化する場合、転写材上に形成される画像パターンによっては、画像の伸び(全体倍率)が変化したり、二次転写部を通過中の転写材が斜行したりするおそれがある。
そこで、本発明は、二次転写回転体が中間転写体の回転に従動して回転する画像形成装置において、二次転写部における転写材の斜行を抑制することを目的とする。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体からトナー像が一次転写される移動可能な中間転写体と、前記中間転写体に当接して前記中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する二次転写部を形成する二次転写回転体であって、前記中間転写体の移動に伴って従動して回転する二次転写回転体と、を有する画像形成装置において、前記中間転写体の表面には、前記移動方向と交差する前記中間転写体の幅方向に関して、前記中間転写体の表面の移動方向に沿って複数の溝が形成されており、前記中間転写体の表面と所定の転写材との間の動摩擦係数を、前記中間転写体と前記所定の転写材との間にトナー像を存在させない場合と所定のトナー像を存在させた場合とにおいて測定し、前記トナー像を存在させない場合の動摩擦係数をμ1、前記所定のトナー像を存在させた場合の動摩擦係数をμ2、前記μ1と前記μ2との差分(μ1−μ2)を動摩擦係数差Δμとしたとき、前記中間転写体の使用期間の初期と末期とにおいて、Δμ<0.3を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、二次転写回転体が中間転写体の回転に従動して回転する画像形成装置において、二次転写部における転写材の斜行を抑制することができる。
画像形成装置の概略断面図である。 中間転写ベルトの模式的な上面図及び模式的な拡大部分断面図である。 斜行の評価に用いる画像パターンの模式図である。 斜行を説明するための模式図である。 斜行の評価に用いる画像パターンの拡大模式図である。 中間転写ベルトと転写材との間の動摩擦係数の測定装置の模式図である。 中間転写ベルトの他の例の模式的な上面図である。 中間転写ベルトの他の例の模式的な拡大部分断面図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4個のステーション10Y、10M、10C、10Kを有する。各ステーション10Y、10M、10C、10Kにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、ステーション10は、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6などを有して構成される。
トナー像を担持する像担持体としての、回転可能なドラム型(円筒状)の感光体である感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって、図中矢印R1方向(時計回り方向)に所定のプロセススピード(周速)で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に帯電処理される。帯電処理時に、帯電ローラ2には、帯電電源(図示せず)により所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置3によって画像情報に応じて走査露光され、感光ドラム1上に静電潜像(静電像)が形成される。本実施例では、露光装置3は、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニットで構成され、各画像形成部10に対応した画像信号に基づいて変調された走査ビームを感光ドラム1上に照射する。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(トナー画像)が形成される。
4個の感光ドラム1と対向するように、移動可能な中間転写体としての、無端状のベルトで構成された中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、複数の支持ローラ(張架ローラ)としての駆動ローラ9a、テンションローラ9b及び二次転写対向ローラ(二次転写内ローラ)9cにより、所定のテンションを持って張架されている。中間転写ベルト8は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって駆動ローラ9aが回転駆動されることで駆動力が伝達されて、図中矢印R2方向(反時計回り方向)に所定のプロセススピード(周速)で周回移動(回転)する。なお、中間転写ベルト8については、後述して更に詳しく説明する。中間転写ベルト8の内周面側には、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト8を介して感光ドラム1に向けて所定の圧力で付勢され、感光ドラム1と中間転写ベルト8とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用によって、周回移動している中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写時に、一次転写ローラ5には、一次転写電源E1により、トナーの正規の帯電極性(現像時の帯電極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたY、M、C、Kの各色のトナー像が各一次転写部N1において中間転写ベルト8上に重ね合わされるようにして順次転写される。
中間転写ベルト8の外周面側において、二次転写対向ローラ9cと対向する位置には、二次転写手段としての回転可能なローラ状の二次転写部材(二次転写回転体)である二次転写ローラ(二次転写外ローラ)11が配置されている。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ9cに向けて所定の圧力で付勢され、中間転写ベルト8と二次転写ローラ11とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト8に直接又は転写材Pを介して当接し、中間転写ベルト8の周回移動に伴って従動して回転する(二次転写従動構成)。上述のように中間転写ベルト8上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ11の作用によって、中間転写ベルト8と二次転写ローラ11とに挟持されて搬送されている転写材上に二次転写される。二次転写時に、二次転写ローラ11には、二次転写電源E2により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。二次転写対向ローラ9cは、電気的に接地(グランドに接続)されている。なお、本実施例の二次転写対向ローラ9cに対応するローラにトナーの正規の帯電極性と同極性の二次転写電圧を印加し、本実施例の二次転写ローラ11に対応するローラを電気的に接地してもよい。
記録用紙などの転写材(記録材、シート)Pは、給搬送装置(図示せず)において、転写材収納部(カセットなど)に積載されており、この転写材収納部から給送ローラなどによって送り出されて、搬送ローラなどによってレジストローラ対13まで搬送される。そして、この転写材Pは、レジストローラ対13によって、一旦停止させられて斜行が矯正された後に、中間転写ベルト8上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部N2へと搬送される。このとき、レジストローラ対13と二次転写部N2との間で転写材Pが少なくとも弛んだ状態で搬送されるように、レジストローラ対13の表面の移動速度(周速)は、中間転写ベルト8の表面の移動速度(周速)よりも大きくなるように設定されている。本実施例では、レジストローラ対13の表面の移動速度は、中間転写ベルト8の表面の移動速度に対して+1%大きく設定されている。なお、レジストローラ対13と二次転写部N2との間での転写材Pの弛み量が略一定になるようにレジストローラ対13の回転を制御してもよい。
トナー像が転写された転写材Pは、定着手段としての定着装置14に搬送される。定着装置14は、熱源を内包した無端状の定着フィルム14aと、加圧ローラ14bと、によって、未定着のトナー像を担持した転写材Pを挟持して搬送する過程で、転写材Pを加熱及び加圧して、転写材Pの表面にトナー像を定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された転写材Pは、画像形成装置100の装置本体110の外部に排出(出力)される。
また、一次転写時に感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって、感光ドラム1上から除去されて回収される。ドラムクリーニング装置6は、感光ドラム1の表面に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード61により、回転している感光ドラム1の表面から一次転写残トナーを掻き取って、クリーニング容器62内に収容する。また、中間転写ベルト8の外周面側において、中間転写ベルト8を介してテンションローラ9bと対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置20が配置されている。つまり、ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト8の表面の移動方向(以下、「ベルト搬送方向」ともいう。)に関し二次転写部N2よりも下流かつ一次転写部N1(最上流の一次転写部N1Y)よりも上流に配置されている。二次転写時に中間転写ベルト8上に残留したトナー(二次転写残トナー)や紙粉は、ベルトクリーニング装置20によって、中間転写ベルト8上から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト8の表面に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード21により、周回移動している中間転写ベルト8の表面から二次転写残トナーなどを掻き取って、クリーニング容器22内に収容する。ドラムクリーニング装置6、ベルトクリーニング装置20に回収されたトナーは、回収トナー搬送手段(図示せず)によって廃トナーボックス(図示せず)に送られて貯留される。
本実施例では、各ステーション10において、感光ドラム1と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置6とは、一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジPを構成している。プロセスカートリッジPは、装置本体110に対して着脱可能とされている。プロセスカートリッジPは、現像装置4内のトナーが無くなった場合や、感光ドラム1が寿命に到達した場合などに新品に交換される。
また、3個の張架ローラ9a、9b、9cにより支持された中間転写ベルト8、各一次転写ローラ5、ベルトクリーニング装置20などが一体的にユニット化されてベルトユニット12を構成している。ベルトユニット12は、装置本体110に対して着脱可能とされている。ベルトユニット12は、中間転写ベルト8が寿命に到達した場合などに新品に交換される。なお、中間転写ベルト8の使用期間(寿命期間)は、中間転写ベルト8の使用初期(新品時)からの画像形成枚数、回転回数、回転時間などの中間転写ベルト8の使用量と相関する指標に基づいて予め設定されている。
また、本実施例では、現像装置4は、現像剤として非磁性一成分現像剤を用いる。この現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ41、現像剤を収容する現像容器42、現像剤規制手段としての現像ブレード43などを有する。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーが付着する(反転現像)。現像容器42内のトナーは、現像ブレード43によって負極性に帯電させられて現像ローラ41上に塗布される。そして、現像時には、トナーを担持した現像ローラ41が感光ドラム1に当接又は近接させられ、現像電源(図示せず)により現像ローラ41に負極性の所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。
また、本実施例で用いるトナーは、乳化重合凝集法によって製造された平均粒径が6.4μmのトナー粒子に、平均粒径が20nmのシリカ微粒子を外添して構成されている。平均粒径とは、例えば重量平均粒径のことで、コールター法で測定することができる。測定は、「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター株式会社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールターMultisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)と、を用いて行うことができる。なお、トナー粒子の製造方法は、乳化重合凝集法に限定されるものではなく、粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法などの他の方法でトナー粒子を製造することができる。
また、本実施例では、ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレード21は、支持部材としての支持板金に、弾性材料で形成された弾性ブレードを接着により貼り付けて構成されている。本実施例では、支持板金としては、略矩形板状の亜鉛メッキ鋼板を用いた。また、本実施例では、弾性ブレードとしては、弾性材料としてウレタンゴム(ポリウレタン)を使用した、略矩形板状のウレタンゴムブレードを用いた。このクリーニングブレード21は、ベルト搬送方向に対してカウンター方向(自由端側の先端がベルト搬送方向の上流側を向く方向)となるように配置され、その自由端部のエッジ部が中間転写ベルト8の表面に当接されている。
2.中間転写体
次に、本実施例における中間転写ベルト8について説明する。図2(a)は、中間転写ベルト8の表面を上方から見た模式的な上面図である。また、図2(b)は、ベルト搬送方向と略直交する方向(以下、「ベルト幅方向」ともいう。)に切った(ベルト搬送方向に沿って見た)場合の中間転写ベルト8の表層付近の模式的な拡大部分断面図である。
中間転写ベルト8は、基層81と表層82との2層からなる無端状のベルト部材(あるいはフィルム状部材)である。基層81は、中間転写ベルト8を構成する層のうち、厚さが最も厚い層である。表層82は、中間転写ベルト8の表面(外周面)を構成し、感光ドラム1から転写されたトナーを担持する。
本実施例では、基層81は、ポリエチレンナフタレート樹脂に電気抵抗調整剤として例えばカーボンブラックを分散した、厚さ70μm程度の層である。基層81の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアリレートポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、熱可塑性ポリイミドなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用することもできる。なお、電気抵抗調整剤(導電剤)としては、電子導電剤の他、イオン導電剤を用いてもよい。
また、本実施例では、表層82は、基材としてのアクリル樹脂に、電気抵抗調整剤として例えば酸化亜鉛を分散した、厚さ3μm程度の層である。表層82の材料としては、耐摩耗性、耐クラック性などの強度の観点から、硬化性材料の中でも樹脂材料(硬化性樹脂)が好ましく、硬化性樹脂の中でも、不飽和二重結合含有アクリル共重合体を硬化させて得られるアクリル樹脂が好ましい。不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、例えば、アクリル系紫外線硬化型ハードコート材料であるルシフラール(商品名、日本ペイント社製)として入手可能である。
表層82には、電気抵抗の調整を目的として、導電材料(導電性フィラー、電気抵抗調整剤)を添加することができる。導電材料としては、電子導電性材料又はイオン導電性材料を用いることができる。電子導電性材料としては、例えば、カーボンブラックなどの粒子状、繊維状又はフレーク状のカーボン系導電性フィラーが挙げられる。また、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス及び鉄などの粒子状、繊維状又はフレーク状の金属系導電性フィラーでもよい。また、例えば、アンチモン酸亜鉛、酸化スズなどの粒子状の金属酸化物系導電性フィラーが挙げられる。イオン導電性材料としては、例えば、イオン液体、導電性オリゴマー及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの導電材料の中から1種又はそれ以上が適宜選択され、電子導電性材料とイオン導電性材料を混合して用いてもよい。
また、表層82には、固体潤滑剤を添加してもよい。固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化黒鉛などのフッ素含有粒子、及びそれらの共重合体から適宜選択して用いることができる。本実施例では、後述する表面の凹凸形状に加えて、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を40重量部(表層82の基材を100重量部とする。以下同様。)添加することによっても、中間転写ベルト8の表面の摩擦抵抗を下げている。
なお、上述した表層82の材料への導電材料、固体潤滑剤などの添加により、表層82の摩耗のしやすさ(以下、「摩耗レート」ともいう。)が変化する。本実施例の中間転写ベルト8の表層82の、後述する耐久評価における摩耗レートは、100K枚(A4サイズ換算。以下同様。)通紙当たり0.26μm程度である。なお、ここでは、二次転写部N2に転写材Pを通過させることを「通紙」ともいう。
本実施例では、中間転写ベルト8の表面は、微細凹凸加工が施されて、凹凸形状が付与されている。本実施例では、中間転写ベルト8の表面には、ベルト搬送方向に沿って、ベルト幅方向に関して規則的(本実施例では周期的)に、複数の溝(溝形状、溝部)83が並んで形成されている。本実施例では、溝83は、中間転写ベルト8の周方向(ベルト搬送方向)の略全域に存在する。また、本実施例では、溝83は、中間転写ベルト8の幅方向(ベルト幅方向)の略全域に存在する。なお、ベルト幅方向に関して、溝83は、二次転写部N2において転写材Pと接触し得る中間転写ベルト8上の領域(ほぼ中間転写ベルト8上のトナー像が形成され得る画像形成領域に対応)の略全域に形成されていればよい。
微細凹凸形状の形成手段として、一般に、研磨加工、切削加工、インプリント加工などが公知である。本実施例では、微細凹凸形状の形成手段としては、形状の安定性、加工コストや生産性の観点から、微細凹凸形状が形成される中間転写ベルト8の表層82の基材であるアクリル樹脂の光硬化性を活かしたインプリント加工を採用した。
インプリント加工では、中間転写ベルト8の表面に形成したい凹凸形状と逆形状の微細凹凸形状を有する金型(図示せず)を、中間転写ベルト8の表層82の表面に押し当てる。本実施例では、金型は略円柱形状を有し、その円柱の回転方向と略平行に凸部が形成されている。これにより、金型の微細凹凸形状を中間転写ベルト8の表層82の表面に転写することで、中間転写ベルト8の表面に所望の凹凸形状を形成することができる。中間転写ベルト8の表面形状は、例えば、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK−X250などで計測することができる。
ここで、中間転写ベルト8の表面の凹凸形状の凹部幅(溝幅)Wscは、ベルト幅方向に関する溝(凹部)83の開口部の幅である。本実施例では、凹部幅Wscは、略1μmである。凹部幅Wscは、トナー粒径よりも十分に小さいことが望ましい。具体的には、凹部幅Wscは、トナーの平均粒径未満とすることが好ましく、トナーの平均粒径の半分未満とすることがより好ましい。凹部幅Wscをトナーの平均粒径より小さくすることで、溝83にトナーが入り込みクリーニングブレード21をすり抜けることを抑制することができる。また、金型の凸部の倒れを抑制する観点などから、凹部幅Wscは0.5μm以上であることが好ましい。本実施例の構成では、中間転写ベルト8の凹部幅Wscは0.5μm以上、6μm以下の範囲であることが好ましく、1μm以上、3μm以下の範囲であることがより好ましい。
また、中間転写ベルト8の表面の凹凸形状の凹部深さ(溝深さ)dは、中間転写ベルト8の厚さ方向に関する、溝(凹部)83の開口部(最表面84の位置)から溝83の底部までの深さである。本実施例では、凹部深さdは、中間転写ベルト8の使用初期において、略0.5μmである。凹部深さdは、中間転写ベルト8の使用初期において、0.2μm以上、表層82の厚み以下であることが好ましい。凹部深さdが小さすぎると、中間転写ベルト8の表層82の削れなどにより凹部が消失しやすくなったり、クリーニング不良が発生しやすくなったりすることがある。また、凹部深さdを表層82の厚さ以下とすることで、溝83は、基層81までは届かず、表層82のみに存在するように形成される。ここで、中間転写ベルト8の表層82の厚さは、薄すぎることによる耐久性の低下、厚すぎることによる表層82の割れを抑制する観点などから、1μm以上、5μm以下程度、典型的には1μm以上、3μm以下程度とされる。
また、中間転写ベルト8の表面の凹凸形状の凸部幅Wsvは、ベルト幅方向に関する隣接する溝(凹部)83の間の溝83が形成されてない面の幅である。本実施例では、凸部幅Wsvは略19μmである。凸部幅Wsvは、中間転写ベルト8の表面の凹凸形状の凹部間隔(溝間隔、ピッチ)Iを所望の値とするように設定することができる。凹部間隔Iは、ベルト幅方向に関する隣接する溝83の開口部の一方の端部間の間隔であり、凹部幅Wscと凸部幅Wsvとの和に相当する。本実施例では、ベルト幅方向の略全域に略20μmの等ピッチ(略同一の凹部間隔I)で溝83を形成することで、平均の凹部間隔Iが略20μmとされている。平均の凹部間隔Iは、後述するように中間転写ベルト8の摩擦抵抗を下げる観点などから適宜選択することができるが、2μm以上、30μm以下の範囲であることが好ましく、3μm以上、20μm以下の範囲であることがより好ましい。平均の凹部間隔Iが小さすぎると均質な凹凸形状を形成することが難しくなることがある。また、平均の凹部間隔Iが大きすぎると、後述するように中間転写ベルト8の摩擦抵抗を下げることが難しくなることがある。
ここで、インプリント加工により形成された凹凸形状においては、溝(凹部)83の底の幅が小さくなることがある。そのため、ベルト幅方向に関する凹部の開口部の幅(上記凹部幅)Wscと凹部の底の幅Wbcとが異なり、凸部の頂部の幅(上記凸部幅)Wsvと凸部の基部の幅Wbvとが異なることがある。
このように、本実施例では、中間転写ベルト8の表面には、ベルト幅方向に沿って、凸部幅Wsvが略19μm、凹部幅Wscが略1μm、凹部深さdが略0.5μmの凹凸形状が所定の周期(略一定の凹部間隔I)で繰り返し形成されている。
インプリント加工によりベルト幅方向に関し規則的(本実施例では周期的)に溝83を形成することで、次のような効果が得られる。まず、中間転写ベルト8と接触物との接触面積を減らして、中間転写ベルト8の表面の摩擦抵抗を下げる効果が得られる。これにより、後述するように二次転写部N2におけるトナーの有無による転写材Pの搬送力の差を低減することができる。また、中間転写ベルト8の表面に繰り返し略同じ形状が形成されることから、ベルト幅方向の各凸形状にかかる圧力のばらつきが小さく、中間転写ベルト8の表層82の摩耗がより均一に進行する効果が得られる。これにより、中間転写ベルト8の使用期間を通じて二次転写部N2における転写材Pの搬送力にベルト幅方向に関して差が生じることを抑制することができる。
3.二次転写部における転写材搬送性
<画像の伸び及び転写材の斜行>
本実施例では、二次転写部N2において、転写材Pは中間転写ベルト8との間の摩擦力によって搬送力を得る。その搬送力は、二次転写部N2におけるトナーの有無によって変化する。つまり、中間転写ベルト8と転写材Pとの間のトナー量が少ない場合、典型的にはトナーが無い場合(以下、「ベタ白通紙」ともいう。)には、転写材Pと中間転写ベルト8とが密着しやすく、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力が高くなる。一方、中間転写ベルト8と転写材Pとの間にトナーがある程度存在すると、トナーが潤滑剤の役割を果たし、特に均一なハーフトーン画像を形成する場合(以下、「ハーフトーン通紙」ともいう。)には、顕著に中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力が低下する。
中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力が低下した場合には、二次転写部N2だけでは十分な転写材Pの搬送力が得られないことがある。本実施例では、レジストローラ対13と二次転写部N2との間で転写材Pが弛んだ状態で搬送される。つまり、レジストローラ対13の周速を中間転写ベルト8の周速よりも大きくするように、レジストローラ対13の回転数(回転速度)を設定し、転写材Pのコシを利用して転写材Pの搬送力を補助している。その結果、ベタ白通紙時、つまり、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力が大きいほど、二次転写部N2における転写材Pの搬送速度が小さくなる。一方、ハーフトーン通紙時、つまり、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力が小さいほど、二次転写部N2における転写材Pの搬送速度が大きくなる。本実施例の画像形成装置100では、画像の伸び(全体倍率)が所定範囲に収まるように、つまり、二次転写部N2における転写材Pの搬送速度が所定範囲になるように、レジストローラ対13の回転数が決定されている。そして、ベタ白通紙時には、狙いよりもやや転写材Pの搬送速度が遅く、ハーフトーン通紙時には、狙いよりもやや転写材Pの搬送速度が速くなるように調整されている。結果として、ベタ白通紙時には画像がやや縮み、ハーフトーン通紙時には画像がやや伸びることになる。
転写材Pの略全面に均一な画像を形成する場合は、画像パターンの差が画像の伸び(全体倍率)として顕在化する。一方、転写材Pの搬送方向と略直交する方向(以下、「転写材幅方向」ともいう。)の、半分側にはトナー像が無いベタ白、もう半分側に均一なハーフトーン画像を有する、図3のような画像(以下、「片側ハーフトーン画像」)を形成する場合を考える。この場合、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力が転写材幅方向で異なることにより、搬送中の転写材Pが斜行してしまうことがある。つまり、図4に示すように、片側ハーフトーン画像を形成する場合、二次転写部N2に到達時点で転写材Pの斜行が無くとも(図4(a))、二次転写部N2において転写材Pが斜行してしまうことになる(図4(b))。これは、レジストローラ対13から搬送された転写材Pの、ハーフトーン画像側の中間転写ベルト8との間の摩擦力が、トナーの有無によりベタ白側と比較して小さいために、ハーフトーン画像側においてベタ白側よりも相対的に搬送速度が大きくなるからである。ベタ白通紙時とハーフトーン通紙時とでの画像の伸びの差が所定範囲内に収まるようにしていても、転写材Pの斜行は画像の傾きとして目視で目立ちやすい。そこで、高品位の印刷物得るために、二次転写部N2における転写材Pの斜行については、上記画像の伸びより高い目標を定めている。
ここで、斜行量を、「転写材Pの搬送方向の長さ当たりの転写材Pの幅方向のずれ」と定義する。一例を挙げると、「1.0%の斜行」とは、搬送方向の長さが297mmのA4サイズ紙を通紙したときに、搬送中に紙が幅方向に約3mmずれることを意味する。その結果、画像は転写材Pに対して意図したものよりも傾いて形成されることになる。
本実施例の画像形成装置100では、転写材Pに画像を形成して出力する動作の全体を通した斜行量の上限(斜行許容量)は、0.5%(A4サイズ通紙時の転写材P幅方向へのズレ:±約1.4mm)としている。そして、本実施例では、二次転写部N2における斜行量の上限(斜行許容量)は、片側ハーフトーン画像の形成時であっても、±0.25%としている。
なお、形成するハーフトーン画像の濃度によっても画像の伸びや斜行量は異なる。以下の説明で述べるハーフトーン画像とは、現象が顕著に起こりやすい、50%ハーフトーンである。ここで、本実施例における50%ハーフトーン画像とは、図5に示すような市松模様状に2ドット×2ドットの白黒像を分散させた2値画像であり、該ハーフトーン画像のトナー載り量は凡そ0.2mg/cmである。また、本実施例の画像形成装置100の出力解像度は600dpiであり、1ドットは42.3μmである。本実施例では、上記ハーフトーン画像を用いたが、画像パターン、トナーの色や載り量はそれに限定されるものではない。例えば、画像パターンとしては横線パターンやディザ処理したハーフトーンなどを使用してもよい。ベタ画像(最大濃度レベルの画像)のトナー載り量の略50%のトナー載り量のハーフトーン画像であればよい。なお、本実施例では、画像の倍率や転写材Pの斜行を判定するために、その判定用の画像(片側ハーフトーン画像)には、ベタ白部、ハーフトーン部ともに、転写材Pの搬送方向、転写材幅方向のそれぞれに、1cm間隔で2ドットラインを格子状に形成した。
<斜行抑制能の評価>
次に、転写材Pの斜行を抑制する性能(斜行抑制能)の評価方法について説明する。前述の片側ハーフトーン画像は、もっとも二次転写部N2における転写材Pの斜行を発生させやすい画像である。ここでは、片側ハーフトーン画像を用いて、転写材Pの斜行を判定する。具体的には、斜行量が0.25%未満であれば良好(○)、斜行量が0.25%以上であれば不良(×)と判定する。なお、二次転写部N2における斜行を抑制できる場合、前述の画像の伸び、転写材Pの斜行の発生原因の説明からわかるように、画像パターンによる画像の伸びの変化も抑制できる。
<中間転写ベルトと転写材との間の動摩擦係数の測定>
次に、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の動摩擦係数の測定方法について説明する。片側ハーフトーン画像の形成時の二次転写部N2における転写材Pの斜行は、画像の倍率の変化の場合と同様に、トナーの有無による中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力の差が大きいほど発生しやすい。ここでは、斜行が発生しやすい転写材Pとして、表面の平滑度が高い、HP Laser Glossy Brochure Paper 200gsm(以下、「グロスコート紙」ともいう。)を用い、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の動摩擦係数の計測を行った。なお、このグロスコート紙の平滑度(ベック平滑度)は250〜500秒であった。平滑度の測定は、熊谷理機工業製ベック平滑度試験機を使用し、JIS P 8119紙パルプ試験方法によって行った。
中間転写ベルト8とグロスコート紙との間の動摩擦係数は、図6に示す装置を用い、以下に説明する方法で算出する。図6(a)は、動摩擦係数の測定装置の断面図、図6(b)は、動摩擦係数の測定装置の正面図である。まず、軸線方向の長さが220mm、外径が18mmのステンレス製の内ローラRfに中間転写ベルト8を張架する。上記内ローラRfに巻き掛けられた中間転写ベルト8の表面に、ゴム面の軸線方向の長さが212mm、外径が16mmのゴムローラRnを加圧力44Nで圧接しニップ部を形成する。上記ゴムローラRnは、外径が8mmのステンレス製の芯金の周りに、厚さが4mmのゴム層が設けられて構成されている。そして、上記ゴムローラRnは、芯金の両端部がベアリング(図示せず)により回転可能に支持されている。ゴムローラRnの製品硬度は、Asker−C硬度で略30°(荷重:4.9N)である。上記内ローラRfは、回転しないように軸が固定されており、内ローラRfに張架された中間転写ベルト8も移動しないように設置されている。上記ニップ部に、紙幅が216mmのグロスコート紙を挟み込む。そして、このグロスコート紙を凡そ100mm/secの速度でニップ部と略直交する方向に引っ張るのに必要な力(以下、「引抜き力」ともいう。)を、フォースゲージ(日本電産シンポ製 FGPX−20を使用)で測定する。このとき、上記引っ張る方向に関するグロスコート紙の先端部に紙幅以上の長さの補強部材(例えば金属製の補強板(金属棒))を巻きつけてグロスコート紙を補強し、その補強部材をニップ部と略平行に保って引っ張る。これにより、補強部材を介して紙幅方向に略均一にグロスコート紙に力を加えるようにする。上記補強部材は、撓みにくい材料、形状のものであればよく、ここでは外径6mmのステンレス棒を用いた。ゴムローラRnは芯金の両端部がベアリングで保持されており、引抜き力に与える影響は略0である。そのため、上記測定装置で得られる測定値は、グロスコート紙に対する中間転写ベルト8の表面の摩擦抵抗に起因する力である。なお、ゴムローラRnの保持は必ずしもベアリングである必要はなく、ゴムローラRnの回転負荷が測定に与える影響を予め把握して測定値から差し引くようにすれば、例えば樹脂性の滑り軸受などを用いてもよい。
トナーの有無による中間転写ベルト8と転写材Pとの間の動摩擦係数の差分(以下、単に「動摩擦係数差Δμ」ともいう。)を算出するために、次の測定を行う。まず、中間転写ベルト8とグロスコート紙との間にトナーが存在しない場合の引抜き力(以下、「ベタ白引抜き力」ともいう。)を測定する。また、予めグロスコート紙上にブラックのトナーを用いて50%のハーフトーン画像(未定着のハーフトーントナー像)を形成する。そして、そのハーフトーン画像が形成されたグロスコート紙を用いて、中間転写ベルト8とグロスコート紙との間にトナーが存在する場合の引抜き力(以下、「ハーフトーン引抜き力」ともいう。)を測定する。
引抜き力Fと加圧力Nとの関係から、下記式(1)により中間転写ベルト8とグロスコート紙との間の動摩擦係数μを算出する。ここでは、各条件(トナー有、トナー無し)における引抜き力Fは、次の値であるものとする。つまり、引っ張り速度が安定する紙後半100mmにおける引き抜き力の平均値を1回当たりの測定値として、さらに1条件当たり3回の測定を繰り返して得られる平均値である。なお、前述のように、ここでは、加圧力Nは44Nである。
μ=F/N (1)
ベタ白引抜き力に対応する動摩擦係数を「ベタ白動摩擦係数μ1」、ハーフトーン引抜き力に対応する動摩擦係数を「ハーフトーン動摩擦係数μ2」としたときに、その差分μ1−μ2が前述の動摩擦係数差Δμである(Δμ=μ1−μ2)。
試験結果は後述するが、本実施例では、画像形成装置100は、Δμ<0.3を満たす構成とされる。これにより、片側ハーフトーン画像通紙時の転写材Pの斜行を抑制する(典型的には前述の「○」レベルにする)ことが可能になる。また、これにより、画像パターンによる画像の伸びの変化を抑制することが可能になる。画像形成装置100は、中間転写ベルト8の使用期間(寿命期間)の少なくとも一部において、Δμ<0.3を満たす構成とされていれば、相応の効果を得ることができる。本実施例では、画像形成装置100は、中間転写ベルト8の使用期間の初期と末期とにおいて(典型的には使用期間の全期間を通じて)、Δμ<0.3を満たす構成とされている。これにより、中間転写ベルト8の使用期間を通じて、片側ハーフトーン画像通紙時の二次転写部N2における転写材Pの斜行を抑制する(典型的には前述の「○」レベルにする)ことが可能になる。また、これにより、中間転写ベルト8の使用期間を通じて、画像パターンによる画像の伸びの変化を抑制することが可能になる。
なお、中間転写ベルト8の使用期間(寿命期間)の初期は中間転写ベルト8の新品時に対応するが、使用を開始した直後でなくても、通常、数十枚〜100枚程度の画像を出力するまでの間であれば新品時とみなせる。また、中間転写ベルト8の使用期間の末期は、典型的には予め設定された中間転写ベルト8の寿命による交換の直前に対応するが、これに限定されるものではない。中間転写ベルト8の使用期間の末期は、使用期間の略中間から寿命による交換時までの間、より詳細には、使用期間の略中間よりも交換時に近い時点で代表することができる。例えば、動摩擦係数差Δμが上述の所定の条件を満たさなくなることを指標として、中間転写ベルト8の交換を行うことも企図し得る。このような場合、中間転写ベルト8の交換の直前においては、動摩擦係数差Δμが上述の所定の条件を満たさないことがあってもよい。
<評価試験>
(試験方法)
以下に、表面性が異なる中間転写ベルト(本実施例、比較例1〜3)を用いて画像形成装置の耐久評価を行い、斜行抑制能と動摩擦係数差Δμとの関係を調べた結果を示す。具体的には、本実施例の構成の画像形成装置100を用い、前述の製造方法にて製造した中間転写ベルト8を装着して、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、OCE社製Extra坪量80g/m、A4紙を用いて、4枚間欠印刷で通紙耐久試験を行った。ここで、4枚間欠印刷とは、4枚連続通紙するジョブ(1つの開始指示により開始される単一又は複数の転写材に画像を形成して出力する一連の動作)を所定の間隔で繰り返す印刷方法である。なお、下記の各比較例の中間転写ベルト8、その他画像形成装置100の構成は、それぞれ下記の点を除いて本実施例と実質的に同じである。各比較例についても、本実施例の画像形成装置100のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付して説明する。
(比較例1)
比較例1として、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を40重量部添加し、かつ、表層82に粗面化処理、インプリントなどによる形状付与処理が施されていない中間転写ベルト8を用いて耐久評価を行った。比較例1の中間転写ベルト8の表層82の材料における添加材とその量は本実施例と同じである。比較例1の中間転写ベルト8の耐久評価における摩耗レートは、本実施例と同様であり、100K枚通紙当たり0.26μm程度である。
(比較例2)
比較例2として、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を40重量部添加し、かつ、表層82に粗面化処理を施した中間転写ベルト8を用いて耐久評価を行った。比較例2の中間転写ベルト8の表層82の粗面化処理は、次のようにして行った。粒度9μmの酸化アルミニウムを砥粒とするラッピングフィルム(Lapika#2000(商品名)、KOVAX社製)を、円筒体の外周に装着された中間転写ベルト8の表面に面圧0.98N/mmで当接させる。そして、40secの間上記円筒体を回転させることで、表面にベルト幅方向に関する幅Wが平均1μm程度、深さDが平均0.8μm程度の溝83が形成された中間転写ベルト8を得た。比較例2では、ラッピングフィルムによる粗面化処理で得られる表面形状は、実施例1と比較すると凹凸の幅や凹部の深さにばらつきが大きく、表面側において凸部の幅が非常に小さいものも数多く存在する。比較例2の中間転写ベルト8の表層82の材料における添加材とその量は本実施例と同じである。比較例2の中間転写ベルト8の耐久評価における摩耗レートは、本実施例と同様であり、100K枚通紙当たり0.26μmである。
(比較例3)
比較例3として、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を50重量部添加し、かつ、表層82に粗面化処理を施した中間転写ベルト8を用いて耐久評価を行った。比較例3の中間転写ベルト8の表層82の粗面化処理は、次のようにして行った。粒度9μmの酸化アルミニウムを砥粒とするラッピングフィルム(Lapika#2000(商品名)、KOVAX社製)を、円筒体の外周に装着された中間転写ベルト8の表面に面圧0.98N/mmで当接させる。そして、40secの間上記円筒体を回転させることで、表面にベルト幅方向に関する幅Wが平均1μm程度、深さDが平均1μm程度の溝83が形成された中間転写ベルト8を得た。比較例3の中間転写ベルト8の表層82の材料における添加材とその量は、PTFE樹脂粉体を本実施例よりも増量したことを除いて、本実施例と同じである。比較例3の中間転写ベルト8の耐久評価における摩耗レートは、PTFE樹脂粉体を増量したために本実施例よりも大きく、100K枚通紙当たり0.33μmである。
(試験結果)
本実施例、比較例1〜3の中間転写ベルト8の、耐久評価開始時点及び150K枚通紙時点における、斜行抑制能と、中間転写ベルト8とグロスコート紙との間の動摩擦係数差Δμの測定結果と、を表1に示す。なお、本実施例、比較例1〜3の中間転写ベルト8のいずれにおいても、耐久評価開始時及び150K枚通紙時のハーフトーン引き抜き力は7.8N、ハーフトーン動摩擦係数μ2は0.16であった。
Figure 2021026117
本実施例の中間転写ベルト8を用いた場合は、耐久評価初期、150K枚通紙後のいずれにおいても、Δμ<0.3が達成されており、片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「○」レベルであった。
比較例1の中間転写ベルト8を用いた場合は、表層82に形状付与処理が施されていないことにより、耐久評価初期から、本実施例よりも動摩擦係数差Δμが大きくなり、片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「×」レベルであった。
比較例2の中間転写ベルトを用いた場合は、耐久評価初期においては、粗面化処理の効果により、動摩擦係数差Δμが0.3未満に抑制され、また片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「○」レベルであった。一方、150K枚通紙後の動摩擦係数差Δμは0.3以上となり、また片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「×」レベルとなった。耐久評価後の比較例2の中間転写ベルト8の表面は、ラッピングフィルムで粗面化処理した際に形成された凹凸の多くが摩耗により消失していた。これにより、凸部の摩耗に伴って中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積が増加し、動摩擦係数が上昇して、斜行量が大きくなったことがわかる。
比較例3の中間転写ベルトを用いた場合は、耐久評価初期においては、PTFE樹脂粉体の増量及び粗面化処理の効果により、動摩擦係数差Δμが0.3未満に抑制され、また片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「○」レベルであった。一方、150K枚通紙後の動摩擦係数差Δμは0.3以上となり、また片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「×」レベルとなった。また、比較例3の中間転写ベルト8の表層82は、PTFE樹脂粉体を増量したことにより本実施例や他の比較例と比較して粗面化はしやすい一方で、摩耗レートが高い。そのため、耐久評価後の比較例3の中間転写ベルト8の表面は、ラッピングフィルムで粗面化処理した際に形成された凹凸のほとんどが摩耗により消失していた。これにより、凸部の摩耗に伴って中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積が増加し、動摩擦係数が上昇して、斜行量が大きくなったことがわかる。
以上説明したように、本実施例では、中間転写ベルト8の表面に規則的(本実施例では周期的)な溝83を形成して、中間転写ベルト8と転写材Pとの間の摩擦力を低減する。これにより、本実施例では、中間転写ベルト8の使用期間を通じて二次転写部N2におけるトナーの有無による動摩擦力係数差Δμを0.3未満に抑制する。その結果、長期にわたり二次転写部N2における転写材Pの斜行を抑制することができる。
また、本実施例によれば、二次転写部N2におけるトナーの有無による転写材の搬送力の差を低減できることから、前述した画像パターンごとの画像の倍率の差も抑制することができる。したがって、長期にわたり画像パターンによる画像の伸びの変化を抑制することができる。また、レジストローラ対13の送り速度のばらつきに対する画像の倍率の安定性が向上する効果も得られる。
ここで、溝83がベルト幅方向に関して規則的に形成されているとは、典型的には、溝83が所定の周期で周期的に形成されている(所定のピッチで繰り返し形成されている)ことをいう。ただし、例えば、製造上の理由などにより、あるいは意図して、溝83が部分的に所定の周期からずれて形成されている領域を含む場合も含むものである。例えば、全体として所定の周期で周期的に形成されている溝83が、ベルト幅方向の一部で凹部幅Wscあるいは凸部幅Wsvが変更されている場合などが考えられる。そのずれが所定の規則に従っている場合はもちろん、そのずれが不規則(ランダム)に生じている場合も、溝83が規則的に形成されていることに含まれる。つまり、溝83がベルト幅方向に関して規則的に形成されているとは、溝83が不規則(ランダム)に形成されているのではなく、斯界における技術常識に照らして全体として溝83が所定の規則に従っていると判断できるものであればよい。
また、本実施例では、中間転写ベルト8の断面構成が表層82を含めた2層構成である場合について説明した。しかし、最表層(最表面)に凹凸形状を形成すれば本実施例の効果は得られるため、中間転写ベルト8の層構成は限定されるものではない。中間転写ベルト8は、単層構成であってもよいし、3層以上の層を有していてもよい。
また、本実施例では、溝83は、ベルト搬送方向に沿う方向として、ベルト搬送方向と略平行に形成されていた(図2(a))。また、本実施例では、溝83は、中間転写ベルト8の周方向(回転方向)の1周にわたって連続的に略直線状に形成されていた。ただし、ベルト搬送方向に沿う方向は、ベルト幅方向に対して交差する方向に沿って延在していればよく、ベルト搬送方向に対して角度を有していてもよい(図7)。ベルト搬送方向に対して溝83の長手軸線方向がなす角度は、好ましくは45度以下、より好ましくは10度以下である。典型的には、本実施例のように、ベルト搬送方向と溝83の長手軸線方向とは略平行とされる。ベルト搬送方向に対して角度を有する溝83は、円柱の回転方向に対して斜めに凸部が形成された金型を用いたり、本実施例と同様の円柱の回転方向と略平行に凸部が形成された金型をベルト搬送方向に対して斜めにして用いたりして形成することができる。図7に示すように、溝83が斜めに形成されている場合、ベルト搬送方向に略直交する向きに引いた直線15の位置において、中間転写ベルト8の断面は図2(b)と同様となる。この断面における中間転写ベルト8の表面の凹凸形状の凹部幅Wsc、凸部幅Wsv、凹部深さd、凹部間隔Iを本実施例と同様に設定することで、本実施例と同様の効果を得ることが可能である。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
<本実施例の構成>
実施例1では、表層82の凹凸形状の効果に加え、表層82の材料に比較的多くの固体潤滑剤を加えることで中間転写ベルト8と転写材Pとの間の動摩擦係数を低く抑えていた。本実施例では、平均の凹部間隔Iを実施例1よりも小さくすることで、固体潤滑剤の添加量を抑えつつ、斜行抑制能を更に向上させることを可能とする。これにより、例えばグラフィックユーザーなどの画質に対するより高い要求に応えつつ、つまり、斜行抑制能を更に向上させながら、中間転写ベルト8の耐久性を更に向上させることができる。
図8は、ベルト搬送方向と略直交する方向(以下、「ベルト幅方向」ともいう。)に切った(ベルト搬送方向に沿って見た)場合の本実施例の中間転写ベルト8の表層付近の模式的な拡大部分断面図である。実施例1では、中間転写ベルト8の表面には、凹部幅Wscが1μm、凸部幅Wsvが19μmとなるように凹凸形状が形成されていた。これに対し、本実施例では、図8に示すように、中間転写ベルト8の表面には、凹部幅Wscが実施例1と同じ1μm、凸部幅Wsvが実施例1よりも小さい2.5μmとなるように凹凸形状が形成されている。これにより、本実施例では、形状付与による接触面積の低減の効果を実施例1よりも高めている。一方、本実施例では、固体潤滑剤であるPTFE樹脂粉体の添加量を実施例1よりも減らして、中間転写ベルト8の摩耗レートを低減させ、更なる中間転写ベルト8の耐久性の向上を図っている。本実施例では、中間転写ベルト8の表層82の材料へのPTFE樹脂粉体の添加量は20重量部とし、後述する耐久評価における摩耗レートを100K枚通紙当たり0.13μmまで低減させている。
また、本実施例では、更なる中間転写ベルト8の耐久性向上の手段として、次のような構成としている。つまり、本実施例では、中間転写ベルト8の表層82のベルト幅方向に関する断面の凹凸形状を矩形波状に近づけている。これにより、中間転写ベルト8の表層82が摩耗した場合でも、中間転写ベルト8と接触物との接触面積の増加を抑制することができる。具体的には、本実施例では、中間転写ベルト8の表面には、凹部深さdが0.5μm、表層82の表面付近の凸部の幅Wsvが2.5μm、凹部の底付近の凸部の幅Wbvが3.0μmとなるように凹凸形状が形成されている。また、本実施例では、結果として、凹部の底付近の幅Wbcが0.5μmとなっている。これにより、表層82の摩耗に伴う中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積の増加を抑制している。
本実施例のように、PTFE樹脂粉体などの潤滑材の添加量を減らして中間転写ベルト8の耐摩耗性を向上させる場合には、中間転写ベルト8の表層82への形状付与により、転写材Pとの接触面積を低減させるのが有効である。そのため、本実施例では、上述のように表層82に凹凸形状を形成して、中間転写ベルト8の使用初期の二次転写部N2における中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積率を70%程度にまで抑えている。
ここで、上記接触面積率は、二次転写部N2に位置する(中間転写ベルト8と二次転写ローラ11とに挟持されている)転写材Pの総面積に対する、中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積の割合である。この接触面積率は、中間転写ベルト8の使用初期を例にとると、前記凹部間隔Iに対する凸部の幅Wsvの比率Wsv/Iから求めることができる。本発明者の検討によれば、Δμ<0.3、より好ましくはΔμ<0.25を満たすためには、この接触面積率は80%以下であることが好ましい。一方、凸部の幅が小さいと、製造の安定性の低下や、強度が低下して欠けが生じることで溝の形状を維持できなくなる等の理由から、この接触面積率は50%以上であることが好ましい。
<評価試験>
(試験方法)
以下に、表面性が異なる中間転写ベルト(本実施例、比較例4〜6)を用いて画像形成装置の耐久評価を行い、斜行抑制能と動摩擦係数差Δμとの関係を調べた結果を示す。試験方法は実施例1で説明したものと同じである。なお、下記の各比較例の中間転写ベルト8、その他画像形成装置100の構成は、それぞれ下記の点を除いて本実施例と実質的に同じである。各比較例についても、本実施例の画像形成装置100のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付して説明する。
(比較例4)
比較例4として、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を20重量部添加し、かつ、表層82に粗面化処理、インプリントなどによる形状付与処理が施されていない中間転写ベルト8を用いて耐久評価を行った。比較例4の中間転写ベルト8の表層82の材料における添加材とその量は本実施例と同じである。比較例4の中間転写ベルト8の耐久評価における摩耗レートは、本実施例と同様であり、100K枚通紙当たり0.13μm程度である。
(比較例5)
比較例5として、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を20重量部添加し、かつ、表層82の凹凸形状の凸部幅Wsvを本実施例よりも大きくした中間転写ベルト8を用いて耐久評価を行った。具体的には、比較例5の中間転写ベルト8では、凸部幅Wsvを9μmとした。比較例5の中間転写ベルト8の表層82の材料における添加材とその量は本実施例と同じである。比較例5の中間転写ベルト8の耐久評価における摩耗レートは、本実施例と同様であり、100K枚通紙当たり0.13μm程度である。
(比較例6)
比較例6として、表層82の材料にPTFE樹脂粉体を20重量部添加し、かつ、表層82の粗面化処理を施した中間転写ベルト8を用いて耐久評価を行った。比較例6の中間転写ベルト8の表層82の粗面化処理は、次のようにして行った。粒度9μmの酸化アルミニウムを砥粒とするラッピングフィルム(Lapika#2000(商品名)、KOVAX社製)を、円筒体の外周に装着された中間転写ベルト8の表面に面圧0.98N/mmで当接させる。そして、200secの間上記円筒体を回転させることで、表層82にベルト幅方向に関する幅Wが平均1μm程度、深さDが平均0.5μm程度の溝83が形成された中間転写ベルト8を得た。比較例6では、ラッピングフィルムによる粗面化処理で得られる表面形状は、前述の比較例2と比較すると凹凸の幅や凹部の深さのばらつきが更に大きく、表層側において凸部の幅が非常に小さいものも数多く存在する。これは、比較例6では、表層82の耐久性を向上させたために、形状付与がしにくくなったためである。比較例6の中間転写ベルト8の表層82の材料における添加材とその量は本実施例と同じである。比較例6の中間転写ベルト8の耐久評価における摩耗レートは、本実施例と同様であり、100K枚通紙当たり0.13μmである。
(試験結果)
本実施例、比較例4〜6の中間転写ベルト8の、耐久評価開始時点及び300K枚通紙時点における、斜行抑制能と、中間転写ベルト8とグロスコート紙との間の動摩擦係数差Δμの測定結果と、を表2に示す。ここでは、実施例1で説明した評価基準に対し、より高い斜行抑制能を判断する判断基準を設けた。具体的には、斜行量が0.20%未満であれば斜行抑制能が優秀(◎)、斜行量が0.20%以上0.25%未満であれば良好(○)、斜行量が0.25%以上であればば不良(×)と判定した。なお、本実施例、比較例4〜6の中間転写ベルト8のいずれにおいても、耐久評価開始時及び300K枚通紙時のハーフトーン引き抜き力は7.8N、ハーフトーン動摩擦係数μ2は0.16であった。
Figure 2021026117
なお、前述の実施例1及び比較例1〜3の中間転写ベルト8は、300K枚通紙すると、表層82の少なくとも一部が消失し、画像不良、クリーニング不良などの問題が発生した。
本実施例の中間転写ベルト8を用いた場合は、耐久評価初期、300K枚通紙後のいずれにおいても、Δμ<0.25が達成されており、片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「◎」レベルであった。前述のように、本実施例では、中間転写ベルト8の表層82に凹凸形状を付与することで、中間転写ベルト8の使用初期の二次転写部N2における中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積率は70%程度である。これに対し、300K通紙後でも、該接触面積率を80%程度に抑えることができた。
比較例4の中間転写ベルト8を用いた場合は、表層82に形状付与処理が施されていないこと、更に前述の比較例1と比べてPTFE樹脂粉体の添加量が減少していることにより、耐久評価初期から、本実施例、比較例1よりも動摩擦係数差Δμが大きくなった。また、耐久評価初期から、片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「×」レベルであった。
比較例5の中間転写ベルト8を用いた場合は、耐久評価初期から、本実施例よりも動摩擦係数Δμが大きくなった。これは、中間転写ベルト8の表層82の凹部の形状は本実施例と同じであるものの、凹部の数が本実施例よりも少なく、さらに実施例1と比べてPTFE樹脂粉体の添加量が減少していることによるものであることがわかる。また、比較例5の中間転写ベルト8を用いた場合は、耐久評価初期から、片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「×」レベルであった。
比較例6の中間転写ベルト8を用いた場合は、耐久評価初期においては、粗面化処理の効果により、動摩擦係数差Δμが0.3未満に抑制され、また片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「○」レベルであった。一方、300K枚通紙後の動摩擦係数差Δμは0.3以上となり、また片側ハーフトーン画像通紙時の斜行量も「×」レベルとなった。耐久評価後の比較例6の中間転写ベルト8の表面は、ラッピングフィルムで粗面化処理した際に形成された凹凸の多くが摩耗により消失していた。これにより、凸部の摩耗に伴う中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積の増加が大きくなり、動摩擦係数差の上昇が大きくなって、斜行量が大きくなったことがわかる。
なお、本実施例では、中間転写ベルト8の表面の凹凸形状の凸部幅Wsvを2.5μm程度、凹部幅Wscを1μm程度、凹部深さdを0.5μm程度とした場合について説明した。しかし、長期使用後にも、中間転写ベルト8と転写材Pとの接触面積を所定範囲内に抑えて、Δμ<0.3、より好ましくはΔμ<0.25を満たすことができれば、凹部幅や凹部深さは本実施例の値に限定されるものではない。例えば、凹部幅Wscを本実施例よりも大きくしたり、凹部深さdを本実施例よりも深くしたりできれば、接触面積を抑制しやすい。一方、凸部幅Wsvが小さくなるほど、また凹部深さdが大きくなるほど、中間転写ベルト8の表層82の強度が低下して、摩耗や欠けのリスクが増える。また、凹部幅Wscが大きくなると、クリーニング不良などが起きる可能性がある。そのため、凹部幅Wsc、凹部深さd、凸部幅Wsvは、実施例1で説明した範囲であることが好ましく、特に固体潤滑剤の添加量を減少させる場合は本実施例で説明した凹凸形状に近い形状が望ましい。
以上説明したように、本実施例によれば、実施例1よりも長期にわたり、実施例1よりも動摩擦力係数差Δμを低減することができる。これにより、実施例1よりも長期にわたり、二次転写部N2における転写材Pの斜行を実施例1よりも抑制することができる。また、本実施例によれば、実施例1よりも長期にわたり、画像パターンによる画像の伸びの差を実施例1よりも抑制することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
中間転写体は、ベルト状のものに限定されるものではなく、例えばシートを枠体に張設するなどして形成したドラム状のもの(中間転写ドラム)であっても、本発明を同様に適用して、同様の効果を得ることができる。また、画像形成装置は、インライン型のものに限定されるものではない。例えば、1個の感光体に対して複数の現像装置が設けられており、その感光体上に順次に形成されるトナー像を中間転写体に順次に一次転写した後、中間転写体上で重ね合されたトナー像を転写材に二次転写する方式の画像形成装置であってもよい。つまり、中間転写体は、トナー像を担持する像担持体から一次転写されたトナー像を転写材に二次転写するために搬送するものであればよい。
また、上述の実施例では、二次転写回転体がローラである場合について説明したが、二次転写部材は、ローラとローラに掛け回された無端状のベルト(あるいはフィルム)で構成されていてもよい。つまり、複数のローラに張架された無端状のベルトを用い、このベルトを中間転写ベルトに当接させて(このベルトを介して少なくとも1つのローラを中間転写ベルトに当接させてよい。)、二次転写部を形成することができる。そして、このベルト及びローラを、中間転写ベルトの周回移動に伴って従動して回転するように構成することができる。このような構成の場合も本発明を適用することができ、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。ただし、画像の伸びや二次転写部における転写材の斜行が比較的発生しやすい、二次転写回転体がローラである構成において、本発明は特に有効に作用するものと言える。
また、上述の実施例では、転写材の搬送方向に関して二次転写部のよりも上流側で二次転写部に隣接して配置された搬送手段がレジストローラ対である場合について説明した。ただし、本発明は斯かる構成に限定されるものではなく、該搬送手段は、ローラ、及びこのローラに当接するパッドなどの非回転の当接部材などで構成されていてもよい。
1 感光ドラム
8 中間転写ベルト
81 基層
82 表層
83 溝
84 最表面

Claims (10)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    前記像担持体からトナー像が一次転写される移動可能な中間転写体と、
    前記中間転写体に当接して前記中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する二次転写部を形成する二次転写回転体であって、前記中間転写体の移動に伴って従動して回転する二次転写回転体と、
    を有する画像形成装置において、
    前記中間転写体の表面には、前記移動方向と交差する前記中間転写体の幅方向に関して、前記中間転写体の表面の移動方向に沿って複数の溝が形成されており、
    前記中間転写体の表面と所定の転写材との間の動摩擦係数を、前記中間転写体と前記所定の転写材との間にトナー像を存在させない場合と所定のトナー像を存在させた場合とにおいて測定し、前記トナー像を存在させない場合の動摩擦係数をμ1、前記所定のトナー像を存在させた場合の動摩擦係数をμ2、前記μ1と前記μ2との差分(μ1−μ2)を動摩擦係数差Δμとしたとき、前記中間転写体の使用期間の初期と末期とにおいて、
    Δμ<0.3
    を満たすことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写体の使用期間の初期と末期とにおいて、
    Δμ<0.25
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記中間転写体の表面を形成する層は、硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記中間転写体の表面を形成する層は、アクリル共重合体で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  5. 前記中間転写体の表面を形成する層には、フッ素含有粒子が含有されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記フッ素含有粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記複数の溝は、前記幅方向に関して所定の周期で周期的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記複数の溝は、前記幅方向に関し、前記二次転写部において転写材と接触し得る領域の略全域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 転写材の搬送方向に関し前記二次転写部よりも上流側で前記二次転写部に向けて転写材を搬送する搬送手段であって、前記二次転写部における転写材の搬送速度よりも速い搬送速度で転写材を搬送し、前記二次転写部と前記搬送手段との間で転写材を弛ませる搬送手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 前記二次転写回転体は、ローラであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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