以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、この画像形成装置は転写式電子写真画像形成装置であり、複写機機能、プリンタ機能、ファクシミリ能機を有する複合機能機である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部51が設けられる。画像形成部51は、『像担持体』である感光体ドラム11、転写装置52等を含む。少なくとも感光体ドラム11については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体100Aに組み込まれる構成としても良い。
画像形成部51は、ドラム型の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム11」という)を有する。『像担持体』である感光体ドラム11は、回転自在に支持されており、直径が30mmで形成されている。この感光体ドラム11は、駆動機構(不図示)により、矢印に示されるように時計方向に所定の速度(プロセススピード)で、ここでは200mm/secで回転駆動させられる。
感光体ドラム11は、OPC等の感光材料の層がアルミニウム等のシリンダ状基体の外周面に塗布されることで、形成されている。感光体ドラム11としては、電子線照射により表面層を硬化させた高耐久の感光体が用いられた。感光体ドラム11としては、磨耗性に優れ、長期的に用いられるものが好ましい。但し、この構成に限定されるものではなく、感光体ドラム11として、通常の有機感光体、a−Si等の無機感光体等が好適に用いられても良い。
このような感光体ドラム11の構成によれば、磨耗レートが低い高耐久感光体が用いられた場合でも、長期に渡り安定した画像形成が可能である。ここでは、感光体ドラム11の表面の磨耗量が、テーバー磨耗試験器で2mg以下のものが用いられた。
テーバー磨耗試験の試験方法は、テーバー磨耗試験機(Y.S.S.Taber 安田製作所製)の試料台にサンプルを装着する。そして、2個の表面にラッピングテープ(富士フィルム製 品名:C2000)を装着したゴム製の磨耗輪(CS−0)の各々に荷重500gfをかけ、1000回転後のサンプルの質量減少を精密天秤にて測定する方法である。ここでは、感光体ドラム11として、保護層を設け、テーバー磨耗試験で0.5mgとなるものが用いられた。
回転駆動される感光体ドラム11は、除電手段としての前露光ランプ(イレーザランプ)7による全面露光を受ける。これにより、感光体ドラム11の表面が均一に除電されて、前の画像形成工程時の電気的メモリの消去がなされる。
そして、その感光体ドラム11の除電面が帯電手段である帯電装置12(帯電器)により所定の極性及び電位に一様に帯電される。ここでは、帯電装置12は、帯電ローラ12a(ローラ型帯電部材、ローラ帯電器)を有している。帯電ローラ12aは、感光体ドラム11の表面(像担持体表面)に対して接触するように配置されている。ここでは、帯電ローラ12aは、鉄、ステンレス鋼等の円筒或は円柱状の導電性部材(芯金)と、この導電性部材の外回りにローラ状に形成した体積固有抵抗104〜1012Ω・cmの抵抗層と、を有する。また、帯電ローラ12aは、抵抗層の表面を覆うようにして体積固有抵抗104〜1012Ω・cmの表面層を備えても良い。
帯電ローラ12aは、感光体ドラム11の母線方向にほぼ並行に配置され、感光体ドラム11に当接させることにより、感光体ドラム11の回転に伴い従動して回転する。この帯電ローラ12aの導電性部材に対して不図示の帯電バイアス印加電源部より所定の帯電バイアスが印加されることで、回転する感光体ドラム11の表面が所定の極性及び電位に一様に帯電される。ここでは、電源部より導電性部材に対して所定の交流に所定の直流を重畳したバイアスを印加(AC方式)して、感光体ドラム11の表面を暗部電位VDとして約−600Vに一様に接触帯電させている。帯電バイアスは所定の直流のみを印加(DC方式)してもよい。
また、装置本体100Aの内部には、露光手段(画像露光手段)であるレーザスキャナ13(レーザ走査露光装置)が配置されている。レーザスキャナ13は、感光体ドラム11の表面に静電像(静電潜像)を形成するものであり、ここでは、レーザ発信器、高速で回転するポリゴンミラー、F−θレンズ、偏向ミラー等を有する。
レーザスキャナ13は、入力した画像情報に対応してON/OFF制御されたレーザ光を出力して、帯電ローラ12aで一様に帯電された感光体ドラム11の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム11の表面に画像情報に対応した静電像が形成される。ここでは、感光体ドラム11の表面に明部電位VLとして−100Vの静電像が形成される。
感光体ドラム11の表面に形成された静電像は、現像装置1(現像手段、現像器)によりトナー像(現像剤像)として現像される。イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。また、ここでは、非磁性トナーと磁性キャリアを用いる2成分現像方式を採用しており、 現像動作時には、摩擦帯電により表面にトナーが付着しているキャリア、即ち、現像剤が、回転する現像スリーブ3上に供給される。『現像剤担持体』である現像スリーブ3は、感光体ドラム11の軸と平行な方向に延び、感光体ドラム11の表面の静電像を現像剤で現像する部材である。
現像スリーブ3上の現像剤は、現像剤規制部材によりその量が規制される。感光体ドラム11と対向する現像領域に搬送された現像剤は、マグネットロールの発生する磁界により穂立ちして磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシを感光体ドラム11に近接又は接触させることによって、静電像に応じて現像剤のトナーが感光体ドラム11上に供給される。このとき、現像スリーブ3には、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが図示しない現像バイアス電源により印加される。静電像を現像した後の現像剤は、現像スリーブ3の回転によって現像剤容器2の内部に回収される。現像装置1ついては後に詳しく説明する。
一方、給送部である給送ローラ9が所定の制御タイミングで駆動されて、給送カセット8に積載して収納されている記録媒体としての記録材P(転写用紙、OHPシート等)が一枚ずつ分離給送されて、レジストローラ(レジスロレーションローラ)14に送られる。レジストローラ14は、記録材Pの斜行修正と、感光体ドラム11から記録材Pへのトナー像の転写のタイミングを制御するもので、給送カセット8から給送された記録材Pの先端を受け止めて一旦停止させる。
そして、その記録材Pが、所定の制御タイミングで回転駆動されたレジストローラ14により、感光体ドラム11と中抵抗の転写ローラ15(転写手段)との圧接部である転写ニップ部に導入される。転写ローラ15には、記録材Pが転写ニップ部を挟持搬送される間、不図示の転写バイアス電源部から、トナーの帯電極性とは逆極性で所定の電位の転写バイアスが印加される。これにより、感光体ドラム11の表面に形成されているトナー像が記録材Pの表面に順次に静電的に転写される。
転写ニップ部を出た記録材Pは感光体ドラム11の表面から分離され、ガイド部材17でガイドされて定着手段としての画像加熱定着装置16の定着ニップ部Nに導入される。画像加熱定着装置16は、定着ローラ16aと、これに所定の加圧力にて接触させた加圧ローラ16bと、を有し、定着ローラ16a及び加圧ローラ16bの間で定着ニップ部Nが形成されている。その記録材Pは定着ニップ部Nにおいて定着ローラ16aと加圧ローラ16bとで挟持されて搬送され、その搬送過程で熱と圧力を受ける。これにより、トナー像が記録材Pの表面に固着画像として定着される。そして、定着ニップ部Nを出た記録材Pは排出ローラ18により排出トレイに画像形成物(コピー、プリント)として排出される。
また、記録材Pが分離された後の感光体ドラム11の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置(クリーニング手段)19によって除去される。そして、感光体ドラム11の表面がクリーニングされた感光体ドラム11は、繰り返して画像形成に供される。クリーニング装置19は、感光体クリーニング部材として弾性を有するブレード19a(弾性ブレード)を用いたブレードクリーニング装置である。
『クリーニングブレード』であるブレード19aは、感光体ドラム11の軸と平行な方向に延び、感光体ドラム11と接触して感光体ドラム11の表面に担持される現像剤を除去する部材である。ブレード19aは、板金の先端部に一体的に保持されたポリウレタンゴムからなり、ブレードエッジ部が感光体ドラム11に対して所定の侵入量、設定角の条件でカウンター当接されている。本実施例では、70°(JIS A)のウレタンゴムを有するブレード19aを用い、設定角は22°、侵入量は0.9mmとした。
図2(a)は、現像装置1の構成を示す断面図である。現像装置1の現像剤容器2(現像装置本体)の内部には、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤が収容されており、その初期状態における現像剤中のトナー濃度は7%である。この値は、トナーの帯電量、キャリア粒径、画質形成装置の構成などで適正に調整されるべきものであって、必ずしもこの数値に従わなければいけないものではない。
現像剤容器2は、感光体ドラム11(図1参照)に対向した位置に相当する現像領域に形成される開口部1aを有しており、この開口部1aに一部露出するようにして現像スリーブ(現像剤担持体)3が、回転可能に配置されている。この現像スリーブ3は、直径20mmの円筒状非磁性材料で構成されており、磁界発生手段である固定のマグネット4を内包している。
そして、現像スリーブ3は、現像動作時には、矢印の方向(感光体ドラム11との対向部で感光体ドラム11の表面と同方向)に回転している。現像スリーブ3の周速は、300mm/secである。現像剤容器2の内部の2成分現像剤を層状に保持しつつ現像領域に担持搬送し、感光体ドラム11と対向する現像領域に2成分現像剤を供給して、感光体ドラム11に形成されている静電像を現像する。なお、ここでは、現像スリーブ3と感光体ドラム11の間の最近接距離は300μmに設定している。
図2(b)は、現像装置1を上方から見た断面図である。静電像を現像した後の現像スリーブ3上の2成分現像剤は、現像スリーブ3の回転に従って搬送され、現像剤容器2の内部に回収される。現像剤容器2の内部に回収された現像剤は、第1スクリュー2a(現像スリーブ3に近い側)、第2スクリュー2b(現像スリーブ3から遠い側)の2本のスクリューによって、再び現像剤容器2の内部を循環し、混合撹拌される。ここで、現像剤循環の方向は、第1スクリュー2a側では図2(a)中の奥側から手前側に向かう方向であり、第2スクリュー2b側では図2(a)中の手前側から奥側に向かう方向である。
また、第1スクリュー2a、第2スクリュー2bの軸は、それぞれ軸受部材たるベアリング32a〜32dを介して支持部材としての現像剤容器2に支持されている。そして、手前側では、ベアリング32c及びベアリング30dは隣接した配置となっており、奥側では、ベアリング32a及びベアリング32bは隣接した配置となっている。新しいトナーを供給するための供給手段としてのトナーカートリッジ5(図2(a)参照)は、略円筒形で装置本体100Aや現像剤容器2から容易に脱着可能に構成されている。
次に、ここで用いられる2成分現像剤、すなわち、トナー及びキャリアについて説明する。トナーは、結着樹脂、着色剤、そして、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子と、を有している。そして、トナーは、負帯電性のポリエテスル系樹脂であり、体積平均粒径は5μm以上かつ8μm以下が好ましい。なお、ここでは、体積平均粒径は5.8μmとした。
キャリアは、例えば、表面酸化或は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用可能であり、これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。そして、キャリアは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmである。また、抵抗率は107Ωcm以上、好ましくは108Ωcm以上である。本実施の形態では108Ωcm以上のものを用いた。
2成分現像剤は現像スリーブ3に内包されるマグネット4により引き寄せられて現像スリーブ3の表面に保持され、現像スリーブ3の表面に形成される凹凸(表面粗さ)により現像剤が引っ掛かり搬送される。現像スリーブ3上に担持される現像剤コート量は規制部材により適正量に制御される。現像スリーブ3の表面形状は、図3を参照しつつ説明する所定の条件を満たす数値に基づくことが好ましい。
図3は、現像スリーブ3の表面形状を示す拡大断面図である。図3に示される現像スリーブ3の表面の凹凸は、凹凸の高低差をRzとし、凹凸の間隔をSmとした場合には、4μm≦Rz≦30μm、20μm≦Sm≦120μmに設定される。より詳しくは、Rzは、定性的には、現像スリーブ3の表面(断面曲線D参照)の凹凸の谷と山の高低差を表す。また、Smは、定性的には、現像スリーブ3の表面の山と隣の山の平均間隔を表す。
粗面化処理した表面の断面曲線Dから基準の長さ(測定長さ)Lだけ切り取った部分において、その断面曲線Dの中心線Mを横切る最初の山から谷への横断点から、次の山から谷への横断点までの間隔をS1とする。それ以降の横断点間隔をS2、S3、・・・、Sn(nは基準の長さ中の横断点の総数を示す)として、その算術平均したものがSmである。
現像スリーブ3の表面形状の測定方法について、以下に説明する。本発明におけるRz、Smとは、JIS−B0601及びISO468に記載されている十点平均粗さ及び凹凸の平均間隔を規定する値で、次式により求められる。
(数1) Rz=〔(R1+R3+R5+R7+R9)−(R2+R4+R6+R8+R10)〕/5(Ri;凹凸のピーク値)
(数2) Sm=(1/n)Σ(i=n)(Smi)(Smi;凹凸の間隔)。
表面粗さRzの測定には、接触式表面粗さ計((株)小坂研究所製;サーフコーダーSE−3300)を用いた。この測定器は、1回の測定で現像スリーブ3の表面の十点平均粗さRzと凸凹の平均山間隔Smを同時に測定することができる。測定条件はカットオフ値が0.8mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒、倍率が5000倍である。
Rzが4μmより小さいと、やはり現像剤の搬送性が不十分なため、安定して現像スリーブ3上に現像剤をコートできない。逆にRzが30μmより大きいと、搬送性は良化するが現像剤にかかる摺擦力が強くなりすぎ、耐久時の現像剤の劣化が大きくなるために好ましくない。
Smに関しても、20μmより小さいと、スリーブ汚染が問題となり、逆にSmが120μmより大きくなると凹凸の数の減少による搬送性の低下により現像スリーブ3上に現像剤が安定してコートしなくなってしまう。
尚、スリーブの表面処理方法には、尖った角のある不定形の砂、アルミナ粒子や酸化ケイ素等を高速で吹き付ける不定形ブラスト法や、ガラスビーズ、ステンレス鋼球、セラミック球のような突起の少ない定形球形粒子を用いた定形ブラスト法等が好適に用いられる。現像スリーブ3の材質としては加工しやすいアルミニウムをここでは用いた。ここでは、ガラスビーズの定形球形粒子によりブラスト処理し、Rz=13μm、Sm=80μmのプロファイルが得られた。
現像スリーブ3の周面は長手方向においてブラスト処理されたブラスト領域と、その両端にブラスト処理されない非ブラスト領域と、が形成されている。非ブラスト領域の形成状態に本発明の特徴があり、以下に説明する。
図4(a)は、現像スリーブ3の端部の構成を示す平面図である。現像スリーブ3の表面は、感光体ドラム11の画像形成領域と対向する画像形成幅領域A(印字可能幅領域)を有する。また、現像スリーブ3の表面は、現像スリーブ3の長手方向で、画像形成幅領域Aよりも外側に位置する第1領域Bと、現像スリーブ3の長手方向で、第1領域Bよりも外側に位置する第2領域Cと、を有する。なお、現像スリーブ3の長手方向は、感光体ドラム11の軸と平行な方向に相当する。
第1領域Bは、現像スリーブ3の周方向に、少なくとも第1粗さを有する第1粗さ領域X、及び、第1粗さよりも粗さが小さい第2粗さを有する第2粗さ領域Yを有する。第1粗さ領域Xは、矩形状に粗面化処理されたブラスト領域に相当し、第2粗さ領域Yは、表面処理がされていない非ブラスト領域に相当する。少なくとも第1粗さ領域Xは現像剤を担持可能である。なお、第1粗さ領域X及び第2粗さ領域Yの形状は、現像スリーブ3の端部を矩形状にマスキングし、ブラスト処理することで簡単に作ることができる。
ブレード19aの先端は、画像形成幅領域Aから第2領域Cまでに亘る現像スリーブ3の表面に(感光体ドラム11の軸と直交する方向で)対応する部位と対向する感光体ドラム11の表面の部位に対向して配置される。
ここで、第2粗さ領域Yは、表面処理されていないアルミニウム素管のままであり(Rz=3.0μm、Sm=100μm)、現像剤の搬送力が著しく低下しており、感光体ドラム11の対向開口部では現像スリーブ3上に現像剤コートは殆どされない状態となる。一方、第1粗さ領域Xでは画像形成幅領域Aと同じ表面処理がされているので、画像形成幅領域Aと同様の現像剤搬送性を有する。つまり、ここでは、現像スリーブ3の端部において感光体ドラム11と対向する位置で矩形状に現像剤コートの有無が繰り返される状態になる。
図4(b)は、現像スリーブ3の第1領域Bを示す展開図である。すなわち、図4(b)中には、現像スリーブ3の第1領域Bの1周分が示されている。第1粗さ領域Xの周方向長を10mm、第2粗さ領域Yの周方向長を約11mmとし、約21mm周期でこれらが繰り返されている。第2粗さ領域Yで現像剤コートが無い状態では、画像形成が不可能であるので画像形成幅領域Aより外側に第1領域Bを設けている。第1領域Bのさらに外側には第2領域Cが存在し、ここは表面処理されていない。
図5は、感光体ドラム11、及び、感光体ドラム11の周囲のパーツに関する長手位置関係を示す概念図である。図5では、各々のパーツの長手位置に関して、感光体ドラム11の軸の中心を通って軸と直交する平面から離れた位置が記載されている。ただし、数値に関しては、全幅を表示している。端部シールは、現像スリーブ3の第1領域Bのやや外側に位置している。端部シールは、磁気部材で出来ており、磁力線は現像スリーブ3の方向に伸びて、磁力線に沿って現像剤の磁気穂ができ、現像剤の端部からの漏れが防止される。
つまり、現像スリーブ3の第2領域Cでは現像剤コートされていない状態である。ブレード19aの端部は、現像剤容器2の外へ現像剤が漏れるのを防ぐために、現像剤コート幅より外側に設定され、現像スリーブ3の第2領域Cに対応する長手位置にある。
図6は、ブレード19aが感光体ドラム11の表面をクリーニングする様子を示す断面図である。図6では、ブレード19aが感光体ドラム11と当接して感光体ドラム11の回転中に受ける摩擦力を、現像スリーブ3の長手方向の領域毎に説明する。
図6(a)は、画像形成幅領域Aに対応する感光体ドラム11の部位の様子を示す断面図である。図6(a)に示されるように、画像形成幅領域Aに対応する感光体ドラム11の領域では、ブレード19a及び感光体ドラム11のニップ部では、トナーや外添剤が供給されているので、これらが潤滑成分として働き、摩擦力が低減される。
図6(b)は、第1領域Bに対応する感光体ドラム11の部位の様子を示す断面図である。図6(b)に示されるように、現像スリーブ3の第1領域Bに対応する感光体ドラム11の領域は、画像形成幅領域Aの外側に相当するので、トナーは供給されないが、カブリトナーが供給される。そのために、潤滑成分は存在している。
図6(c)は、第2領域Cに対応する感光体ドラム11の部位の様子を示す断面図である。図6(c)に示されるように、現像スリーブ3の第2領域Cに対応する感光体ドラム11の領域は、現像剤コートがされていない位置であるので、潤滑成分が殆ど供給されず、ゴムブレードと感光体ドラム11の表面との接触面積が増大し、摩擦力が大きくなる。
従来では、本発明でいう第1領域Bには画像形成幅領域Aと同じ表面処理がされ、第2領域Cの境界でクリーニングブレードが受ける摩擦係数の変動が大きくなっていた。そして、その摩擦係数の変動が大きくなった位置で、クリーニングブレードの歪みが発生し、クリーニングブレードの損傷、フィルミング、トナーすり抜け等のクリーニング性に関する問題が発生していたと考えられる。
これに対して、本実施例では、第1領域Bには第1粗さ領域X及び第2粗さ領域Yが形成されるので、感光体ドラム11の表面に供給されるカブリトナーの量が現像スリーブ3の周方向でのコート状態に応じて変化する。
図7(a)は、第1領域Bの第1粗さ領域Xに対応する感光体ドラム11の部位の様子を示す断面図である。図7(a)に示されるように、第1粗さ領域Xに対応する部位では、ブレード19a及び感光体ドラム11の表面の間のニップ部では、潤滑剤の量が多い。したがって、このニップ部での摩擦力は小さい。
図7(b)は、第1領域Bの第2粗さ領域Yに対応する感光体ドラム11の部位の様子を示す断面図である。図7(b)に示されるように、第2粗さ領域Yに対応する部位では、ブレード19a及び感光体ドラム11の表面の間のニップ部では、潤滑剤の量が少ない。したがって、このニップ部での摩擦力は大きい。
前述した図7(a)及び図7(b)の説明からも分かるように、ブレード19a及び感光体ドラム11のニップ部での潤滑剤量の増減に応じて摩擦力(ブレードニップの巻き込み具合)が微細に変化する。その結果、ブレード19aの歪みを瞬間的に緩和することができ、ブレード19aが同じストレスを受け続けないようにすることができる。
図8は、従来技術の構成において、長手方向で見たブレード19aが受ける平均摩擦力のイメージ図である(従来構成)。この従来の構成では、第1領域Bと第2領域Cの境界で、摩擦力の急激な変動がある。
図9は、本実施例の構成において、長手方向で見たブレード19aが受ける平均摩擦力のイメージ図である(本実施例構成)。本実施例の構成では、第1領域Bでのカブリトナーの供給量が従来に比べ全体量として少なくなっており第2領域Cの摩擦力に近くなるため、摩擦力の急激な変動幅が従来に比べ抑えられる。
上記構成で、クリーニング性の評価試験を行った。評価条件は以下のとおりである。環境は、温度が23℃及び湿度が5%(常温低湿)、温度が30℃及び湿度が80%(高温多湿)である。通紙条件は、A4横、2枚間欠モード(2枚連続通紙後休止期間を設ける)、10万枚耐久である。プリント画像は、印字率が5%で横帯である。帯電ローラ印加バイアスは、AC+DC、ACによる放電条件は強めにし、感光体表面の放電劣化がやや促進される条件で行った。
図10(a)は、ブレード19aのエッジが抉れた様子を示す拡大断面図である。また、図10(b)は、ブレード19aのエッジが落ちた様子を示す拡大断面図である。前述のクリーニング性の評価試験にあたっては、評価項目としては、クリーニングに関する所で、ブレード欠け、フィルミング、トナーすり抜けを評価した。ただし、ブレード欠けの評価は、5万枚耐久終了後のブレード19aのエッジ抉れ(図10(a)参照)、エッジ落ち(図10(b)参照)のレベルを評価した。
画像形成幅領域Aの長手方向に5点測定した時の平均値と端部(第1領域Bと第2領域Cの境界付近)での測定値を[表1]に示す。また、フィルミング/トナーすり抜け発生の有無も合わせて[表1]に示す。
フィルミング
○:発生なし
△:感光体表面に僅かに付着物が見られるが、画像上問題無し
×:画像に出る(端部の場合は付着領域が広がり画像域まで進出する)。
トナーすり抜け
○:発生無し
△:帯電ローラが僅かに汚れ、トナーすり抜けがみられるが、画像上問題無し
×:画像に出る(帯電ローラ表面にトナーが付着し、帯電不良として画像に出る。トナーすり抜けが直接画像に出る)。
高温多湿環境では感光体ドラム11の表面とブレード19aの密着性が増し、通常摩擦力が増加する傾向となり、ブレード19aのビビリ、捲れが厳しくなる。ここでは、端部の損傷が画像形成幅領域Aに比べやや大きくなったが、ビビリ等から誘発されるトナーすり抜けやフィルミングは画像上発生しなかった。一方、低湿環境ではトナーや外添剤の帯電量が増し感光体ドラム11の表面との付着性が増すので、トナーすり抜けや、外添剤フィルミングが厳しくなるが、これに関しても画像上発生しなかった。
ここでは、現像スリーブ3の第1領域Bで周方向の表面粗さを変化させることで現像剤コート状態を変え、感光体ドラム11の表面へのトナー供給量を周期的に異ならせている。これにより、ブレード19aのニップで潤滑成分として働くトナーの存在状態を変化させ、ブレード19aの歪みを緩和させている。
ここでは、第1粗さ領域Xの10mmと第2粗さ領域Yの11mmを繰り返すことで上記の結果が得られたが、この周期を短くしすぎると感光体ドラム11の表面に供給されるトナーの周方向での分布が均一に近づくので期待する効果が得られなくなる。
第1粗さ領域X及び第2粗さ領域Yの周期は、感光体ドラム11の表面と現像スリーブ3の表面の周速比等を考慮して決めればよい。つまり、感光体ドラム11の表面へのトナー供給量分布を効果的なものにするには、周速比が大きい(感光体ドラム11に対して現像スリーブ3の周速が大きい方向)場合は周期も長く設定するべきである。
実施例1では、現像方式として2成分現像方式を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、磁性トナーの1成分現像、非磁性トナーの1成分現像であっても感光体ドラム11の表面へのトナーの供給され方が、本発明の意図するものであればなんら問題なく適用できる。
図11は、従来型の現像スリーブ503の端部の構成を示す平面図である。図11に示されるように、ここでは第1領域B5として周方向の変化を持たせず、画像形成幅領域Aと同じ状態としている(所謂従来型)。その他の構成は実施例1と同じとした。評価結果を[表1]に示す。
ブレード19aの端部の損傷が実施例1に比べ大きいものとなっていた。これは、第1領域B5と第2領域Cの境界においてブレード19aが受ける摩擦力の変化が大きくブレードが大きく歪んだためと考えられる。これに起因して、ブレード19aの端部において、トナーすり抜けやフィルミングも発生していた。画像形成幅領域Aでのブレード19aの損傷が、実施例1に比べて悪くなっているのは、ブレード19aの端部の挙動が不安定になるため、その影響が長手全域に及んでいるのではないかと考えられる。
図12(a)は、ローレット加工型の現像スリーブ603の端部の構成を示す平面図であり、図12(b)は、図12(a)の断面図である。図12(a)及び図12(b)に示されるように、ここでは現像スリーブ603の表面にローレット加工したものを用いた。ローレット加工は、現像剤の搬送性を向上するのに周方向に深い溝を切る手法を用いている。溝の深さを0.2mm、溝間隔を1.5mmとした。現像スリーブ603以外の構成は実施例1と同じとした。評価結果を[表1]に示す。
ブレード19aの端部の損傷が実施例1に比べ大きいものとなっていた。これは第1領域B6と第2領域Cの境界においてブレード19aが受ける摩擦力の変化が大きくブレードが大きく歪んだためと考えられる。これはローレット加工では、周方向での感光体ドラム11の表面へのトナーの供給量が十分に変わっていないためだと考えられる。