JP2016186581A - 画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中間転写ベルトの表面が、クリーニングブレードに交差する方向に、トナー重量平均粒径の半分未満の溝形状を有し、前記中間転写ベルトの表層は、トナーの重量平均粒径四方(D4μm×D4μm)における、該中間転写ベルト表面の面内平均粗さが10nm以上30nm以下であり、トナーが式(1)および(2)を満足する。
【選択図】 図2
Description
中間転写ベルト上の二次転写残トナーを除去する方式としては、二次転写部の下流に配設されたクリーニングブレードで転写残トナーを物理的に回収するブレードクリーニング方式が知られている。一般的に、クリーニングブレードにはウレタンゴム等の弾性体が用いられている。
帯電された該像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、
該静電潜像をトナーで現像してトナー像を該像担持体上に形成する現像工程、
該トナー像を中間転写ベルトを介して転写材へ転写する転写工程、
該転写材上のトナー像を定着させる定着工程、および
該中間転写ベルト上に残存する転写残トナーをクリーニングブレードで除去するクリーニング工程、
を有する画像形成方法であって、
該中間転写ベルトの表面が、該クリーニングブレードに交差する方向に溝形状を有し、
該溝形状の幅が、該トナーの重量平均粒径(D4)の半分未満であり、
該トナーの重量平均粒径四方(D4μm×D4μm)における、該中間転写ベルト表面の面内平均粗さが10nm以上30nm以下であり、
該中間転写ベルトの回転方向に直交する方向における該中間転写ベルトの表面の十点平均粗さRzjisが、0.26μm以上0.67μm以下であり、
該トナーは、
結着樹脂と着色剤と離型剤を含有するトナー粒子と、
シリカ微粒子と、を含有し、
該トナーが下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする画像形成方法に関する。
300(mJ)≦E≦450(mJ) (1)
1.00≦Ec/E≦2.30 (2)
Eは、粉体流動性分析装置においてプロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/sで回転させながら容器内のトナー粉体層中に垂直に進入させ、該粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和(mJ)を示す。
Ecは、3kPaの荷重負荷を与えたトナー粉体層中に上記Eを計測する要領で測定した、回転トルクと垂直荷重の総和(mJ)を示す。)
まず、4色のトナーを用いたカラー画像形成装置について、図2を用いて説明する。なお、図2に示す形態では、第1ステーションをイエロー(Y)、第2ステーションをマゼンタ(M)、第3ステーションをシアン(C)、第4ステーションをブラック(K)としている。第1ステーションでは、1aは像担持体としての感光ドラムで、帯電手段としての帯電ローラ2a、像担持体上1aに残存する転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニット3a、及び現像手段としての現像ユニット8aを有する。現像ユニット8aは、現像スリーブ4a、非磁性一成分現像剤(トナーとも称する)5a、現像剤塗布ブレード7aを有し、上述の1a〜8aは、一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。不図示の露光手段は、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニットから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。なお、第2〜第4ステーションでのプロセスカートリッジ9b〜9dも、第1ステーションでのプロセスカートリッジ9aと同様の構成である。
次に、カラー画像形成装置における中間転写ベルトのクリーニングについて説明する。図3(a)に、クリーニング手段27と、中間転写ベルト13の接触する部分を模式的に示す。なお、クリーニング手段27は、ウレタンゴムで形成された弾性を有するクリーニングブレード28である。クリーニングブレード28は、メッキ鋼板を材料とする板金部30に、ポリウレタンゴムを材料とするゴム部29が接着された構成となっており、ゴム部29の厚みは、例えば2mmである。なお、ゴム部29の硬度は、JIS K6253規格で77°のものを用いた。クリーニングブレード28は揺動構成となっており、揺動軸32を不図示の中間転写ベルトユニットに固定し、加圧バネ31で板金30を加圧することで、揺動軸32を中心にクリーニングブレード28が可動する。ゴム部29に対向して、中間転写ベルト13の内側には、テンションローラ15が配置されている。クリーニングブレード28は、中間転写ベルト13の回転駆動方向に対して、カウンター方向にテンションローラ15上で接触し、ニップ部33にて転写残トナーを掻き取る(図3(b))。このようにして、二次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残存した転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング手段27により、その表面から除去、回収される。
次に、本発明の中間転写ベルトの構成について説明する。中間転写ベルト13は、基層と表層を有する二層以上からなる無端のフィルム状部材であることが好ましい。図1(a)に中間転写ベルト13の表層近傍の回転駆動方向に直交する方向における拡大部分断面図を示す。基層101は、ポリエチレンナフタレート樹脂に抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散した、厚み70μmの層を示す。表層102は、アクリル樹脂103に抵抗調整剤としてアンチモンドープ酸化亜鉛粒子105を分散し、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)粒子104を添加した、厚み3μmの層を示す。表層102に添加されたPTFE粒子104は、図1(a)に示すように最表層面に析出し、一部が露出した状態で突起形状を形成する他、表層中にも分散された状態で存在している。
次に、中間転写ベルト13の作製方法について説明する。中間転写ベルトの表面は、アクリル共重合体で構成されていることが好ましい。具体的には、中間転写ベルトの表層がアクリル共重合体で構成されていることである。
中間転写ベルト13上のトナーを、転写材Sへ転写させる際の転写効率を向上させるためには、中間転写ベルト表層102が平滑である必要がある。具体的には、トナーの重量平均粒径四方(D4μm×D4μm)における、中間転写ベルト表面の面内平均粗さが10nm以上30nm以下である。
また、図4(b)に示すように、表層102の面内平均粗さが30nmより大きく、平滑部が存在しないと、トナーと表層の接触機会(接触面積)が多く、両者は主に多点接触する。その結果、トナーと表層102との間に働く物理的な付着力が強く、トナーの離型性が悪くなるため、転写効率は低下する。
中間転写ベルト13のクリーニング性能を満足するためには、中間転写ベルト表層102が適度な粗さを有する必要がある。
中間転写ベルト表層を、巨視的に見た場合の表面粗さも、転写効率とクリーニングブレードの摩耗に影響を及ぼす。Rzjisを0.26μm以上にすることで、クリーニングブレードの局部的な摩耗を抑制でき、0.67μm以下にすることで、高い転写効率を維持することができる。
本発明に用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナー粒子と、シリカ微粒子とを含有する。
300(mJ)≦E≦450(mJ) (1)
1.00≦Ec/E≦2.30 (2)
上記式(1)及び(2)中、
Eは、粉体流動性分析装置においてプロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/sで回転させながら容器内のトナーの粉体層中に垂直に進入させ、粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始する。そして、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和(mJ)を示す。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。その際のシリコーンオイルの処理量は、シリカ微粒子100質量部に対して5〜40質量部が好ましい。
本発明におけるEおよびEcは、「粉体流動性分析装置パウダーレオメータFT4」(Freeman Technology社製、以下、FT4と省略する場合がある。)を用いることによって測定する。具体的には、以下の操作により測定を行う。
(a)プロペラ型ブレードを、ブレードの最外縁部の周速が60mm/secとなるように、粉体層表面に対して時計回り(ブレードの回転により粉体層がほぐされる方向)に回転する。このブレードを、移動中のブレードの最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角(以降、なす角と省略する場合がある。)が5°となる進入速度で、粉体層表面から、トナー粉体層の底面から10mmの位置まで垂直方向に進入させる。その後、なす角が2°となる進入速度に変えて、ブレードの最外縁部の周速が60mm/secとなるように、粉体層表面に対して時計回りに回転しながら、トナー粉体層の底面から1mmの位置までブレードを進入させる。さらに、なす角が5°の速度で、ブレードの最外縁部の周速が60mm/secとなるように、粉体層表面に対して時計回りに回転しながら、トナー粉体層の底面から100mmの位置までブレードを移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着したトナーを払い落とす。
(b)(1)−(a)の操作を5回繰り返し、トナー粉体層中に取り込まれている空気を取り除く。
Ecを測定する際は、(1)でコンディショニング操作したトナー粉体層に3kPaの圧力を加えて、圧縮する。具体的には圧縮試験用ピストン(直径48mm、高さ20mm、下部メッシュ張り)を上記プロペラ型ブレードの代わりに装着する。このピストンを0.1mm/sで下降させてトナーを圧縮する。ピストンへの負荷が3kPaになったら下降を停止しそのまま60秒ホールドし、圧縮粉体層を形成する。
コンディショニングした粉体層もしくは圧縮粉体層を上述のFT4専用容器のスプリット部分ですり切り、粉体層上部のトナーを取り除く。尚、この操作により、トナー粉体層の体積を測定毎に同じとすることができる。
(i)Eの測定
(a)(1)−(a)と同様のコンディショニング操作を一回行う。
(b)プロペラ型ブレードを、ブレードの最外縁部の周速が100mm/secとなるように、粉体層表面に対して反時計回り(ブレードの回転により粉体層が押し込まれる方向)に回転する。このブレードを、なす角が5°となる進入速度で、粉体層表面から、トナー粉体層の底面から10mmの位置まで垂直方向に進入させる。その後、ブレードの最外縁部の周速が60mm/secとなるように、粉体層表面に対して時計回りに回転し、粉体層への垂直方向の進入速度をなす角が2°となる進入速度で、粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる。さらに、なす角が5°の速度で、粉体層の底面から100mmの位置までブレードを移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着したトナーを払い落とす。
(c)(4)−(i)−(b)の操作をさらに6回繰り返し、6回目における、トナー粉体層の底面から100mmの位置から10mmの位置までブレードを進入させた時に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を、Eとする。
(ii)Ecの測定
圧縮粉体層に対して(4)−(i)−(b)の操作を同様に行ない、トナー粉体層の底面から100mmの位置から10mmの位置までブレードを進入させた時に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を、Ecとする。
トナーが含有するシリカ微粒子の平均一次粒径の測定は、トナー粒子100質量部に対してシリカ微粒子を1質量部添加したものを、FE−SEM S−4800(日立製作所製)により10万倍に拡大したトナー粒子表面の写真を撮影する。その拡大した写真を用いて100個以上のシリカ微粒子の粒径を測定、算術平均から求める。尚、シリカ微粒子の粒径は、形状が球形の場合はその絶対最大長を、長径と短径を有する場合は長径を、粒径としてカウントする。
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
懸濁重合法により、以下の様にしてトナー粒子1を製造した。下記材料を混合し、2時間撹拌して極性樹脂を溶解させ、極性樹脂含有単量体組成物を得た。
・スチレン 34.0部
・アクリル酸n−ブチル 30.0部
・極性樹脂飽和ポリエステル樹脂〔テレフタル酸とPO変性ビスフェノールAから生成:Mp=9000、Tg=72℃、酸価=12.0mgKOH/g〕 5.0部
・帯電制御剤 ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0部
また、下記材料を混合し、アトライター(三井鉱山社製)にてジルコニアビーズ(3/16インチ)とともに200rpmで3時間撹拌し、ビーズを分離して着色剤分散液を得た。
・スチレン 36.0部
・着色剤 C.I.Pigment Blue 15:3 6.0部
次いで、下記材料を混合した。
・極性樹脂含有単量体組成物 70.0部
・着色剤分散液 42.0部
続いて混合物を60℃に加温し、10.0部のワックス(HNP−51:日本精蝋株式会社製)を加えた。次いで、重合開始剤 パーブチルO(日油株式会社製)5.0部を添加し、5分間撹拌した。
第一処理工程として、フュームドシリカ(商品名AEROSIL380S、BET法による比表面積380m2/g、一次粒子の個数平均径7nm、日本アエロジル株式会社製)100部に対し、10.0部のジメチルシリコーンオイルを噴霧し、シリカの流動化状態でシリコーンオイル処理を行なった。その後、攪拌しながら温度を300℃まで昇温させてさらに2時間攪拌することによって、ジメチルシリコーンオイルをフュームドシリカ表面に焼き付け、反応を終了した。
シリカ微粒子1の製造例において、第一処理工程をHMDS処理、第二処理工程をシリコーンオイル処理に変更する以外は同様にしてシリカ微粒子2を得た。
シリカ微粒子2の製造例において、使用するフュームドシリカを(商品名AEROSIL200、BET法による比表面積200m2/g、一次粒子の個数平均径12nm、日本アエロジル株式会社製)に変更する以外は同様にしてシリカ微粒子3を得た。
第一処理工程として、一次粒子の個数平均径15nmの酸化チタン微粒子(商品名MT−150A、テイカ(株)製)100部に対し、10.0部のイソブチルトリメトキシシランを内部に噴霧し、チタンの流動化状態でシラン化合物処理を行なった。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。
トナー粒子1:100.0部に対して、シリカ微粒子1:0.8部と酸化チタン微粒子1:0.8部を加えてヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用い、4000rpmで10分間混合してトナー1を得た。
トナー1の製造例において、添加するシリカ微粒子と酸化チタン微粒子の種類と添加量を表1に記載のものに変更する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2〜トナー5を得た。尚トナー5においては、酸化チタン微粒子を添加しなかった。トナー2〜トナー5の物性を表1に示す。
実施例1では、基層102と表層101の二層からなる中間転写ベルト13を用いた。以下に、中間転写ベルト13の作製方法について説明する。
まず、基層101の作製方法について説明する。ポリエチレンナフタレート樹脂をブロー成形することで、ボトル状成形体を得て、これを超音波カッターにより切断することで、無端状のベルト体を得た。なお、ポリエチレンナフタレート樹脂中には、抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散している。このようにして得られた厚さ70μmのポリエチレンナフタレート樹脂ベルトを中間転写ベルト13の基層101として用いた。
次に、表層形成用の塗工液の作製方法について説明する。紫外線を遮蔽した容器中に、
摺動性付与粒子:粒径200nmのPTFE粒子、
ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートを含有するアクリル系紫外線硬化型ハードコート材料であるルシフラール(商品名、日本ペイント社製)を混合した。そこにPTFE粒子の分散剤としてフッ素系グラフトポリマーGF400(商品名、東亞合成社製)とメチルイソブチルケトンを添加して、高速せん断式分散器(ホモジナイザー)で処理することにより、粗分散を行った。
次に、基層上への表層形成方法について説明する。中間転写ベルト用の基層上に、表層形成用の塗工を、温度25℃、相対湿度60%の塗布環境でディップコートした。そして、塗工終了から10秒後に塗工環境と同じ場所にある紫外線照射装置(商品名:UE06/81−3、アイグラフィック社製、積算光量:1000mJ/cm2)を用いて紫外線を照射し、表層102を硬化させた。その結果、厚さ3μmの樹脂硬化膜が形成され、この樹脂硬化膜を中間転写ベルト表層102とした。このようにして表層102を有する中間転写ベルト13を作製した。
作製した中間転写ベルト13の表層102の観察視野(トナー平均粒径)四方における、表層102の面内平均粗さの測定を行った。測定には走査型プローブ顕微鏡(SPI3800:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いた。カンチレバーはシリコーン製で、先端半径15nm以下、バネ定数15N/m、共振周波数136KHzのものを用いた。測定モードには、試料を破壊することなく、ナノオーダで精度の高い像を得ることができるダイナミックフォースモードを用いた。測定周波数は、0.3〜1.0Hzとした。前記トナー平均粒径の測定から得られたトナー平均粒径から観察視野を決定し、本実施例では6μm四方における表層102の面内平均粗さを測定した。なお、表層102の面内平均粗さは、重複しない任意の10カ所の平均値を測定結果とした。
作製した中間転写ベルト13の表層102における、十点平均粗さRzjisの測定は以下の条件でおこなった。表面粗さ/輪郭形状測定器サーフコム1500SD(東京精密製)を用い、規格JIS B0601:2001に準拠し、カットオフ波長0.25mm、測定基準長さ0.25mm、測定長1.25mmで測定した。表層102の十点平均粗さRzjisは、中間転写ベルト13の回転駆動方向に直交する方向に、測定器の触針をスキャンさせて、任意の少なくとも5か所の平均値を測定結果とした。
作製した中間転写ベルト13の表層102における接触面積率の測定は、コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS、レーザーテック社製)を用いた。観察領域は100μm四方、測定波長は546nm、中間転写ベルトの厚み方向のスキャン頻度を0.2μmとし、表層厚み3μmのスキャンを行った。得られた表面形状に対し、以下の方法で接触面積率を算出する。
接触面積率%=(接触領域の面積/観察領域の面積)×100で算出した。上記方法で任意の少なくとも5か所の平均値を測定結果とした。
作製した中間転写ベルト13とトナー1を、図2に記載の画像形成装置に装着し、転写効率の評価を行った。なお、トナー1は図2に記載のYMCKで示された全てのプロセスカートリッジのトナー容器5に充填して評価を行った。
画像形成装置のクリーニング性能の耐久性を調べるために図2のカラー画像形成装置を用いて通紙耐久評価を行った。作製した中間転写ベルト13を用い、トナーはYMCKの全てのカートリッジにトナー1を充填して評価した。
実施例2では、実施例1よりも溝深さ112を大きくし、溝幅111が2μm、溝深さが1.5μmの溝形状110が形成された中間転写ベルト13を用い、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102に溝形状110を形成する際の中間転写ベルトに対するラッピングフィルムの当接時間を80secとした以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
本実施例3〜5では、実施例2において使用するトナーをトナー2〜4に変更した以外は、実施例2と同様にして評価を行った。各実施例で用いたトナー、転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
実施例6では、実施例1よりも溝幅111を小さくし、溝幅111が1μm、溝深さが1μmの溝形状110が形成された中間転写ベルト13を用い、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102に溝形状110を形成する際のラッピングフィルムの押圧力を面圧0.98N/mm2で行った以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
実施例7では、実施例1よりも溝幅111を大きくし、溝幅111が2.5μm、溝深さが1μmの溝形状110が形成された中間転写ベルト13における、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102に溝形状110を形成する際のラッピングフィルムの押圧力を面圧3.92N/mm2で行った以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
実施例8では、実施例1よりも溝幅111、溝深さ112を大きくし、溝幅111が2.5μm、溝深さが2μmの溝形状110が形成された中間転写ベルト13を用い、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102に溝形状110を形成する際のラッピングフィルムの砥粒径を12μmとした以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
比較例1では、中間転写ベルト表層102に溝形状110を形成していない中間転写ベルト13を用い、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102形成後に、ラッピングによる溝形状110を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
比較例2では、トナー4よりもさらにEc/Eの値が大きいトナー5を用いた。さらに、実施例6で用いたベルトよりもさらに溝形状110を小さくし、溝幅111が0.5μm、溝深さが0.3μmの溝形状110が形成された中間転写ベルト13を用い、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102形成後に、中間転写ベルト表層102に溝形状110を形成する際のラッピングフィルムの砥粒径を5μmとした以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
比較例3では、実施例8よりもさらに溝形状110を大きくし、溝幅111が4μm、溝深さが2.5μmの溝形状110が形成された中間転写ベルト13を用い、転写効率とクリーニング性能を確認した。表層102形成後に、中間転写ベルト表層102に溝形状110を形成する際のラッピングフィルムの砥粒径を12μmとし、中間転写ベルトに対するラッピングフィルムの当接時間を80secとした。それ以外は、実施例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
比較例4では、中間転写ベルト表層102にフィラーを添加して、ランダムな凹凸形状を付与した中間転写ベルト13を用いて転写効率とクリーニング性能を確認した。表層形成用塗工液の調製時に、表層102への形状付与を目的として粒径1μmのスチレン・アクリル樹脂微粒子(ファインスウェア:日本ペイント社製)を樹脂の重量に対し50重量部添加した。それ以外は、比較例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
比較例5では、比較例4よりも大粒径のフィラーを添加して、ランダムな凹凸形状を付与した中間転写ベルト13を用いて転写効率とクリーニング性能を確認した。表層形成用塗工液の調製時に、表層102への形状付与を目的として、粒径2μmのメラミンシリカ樹脂粒子(オプトビーズ:日産化学社製)を樹脂の重量に対し50重量部添加した。それ以外は、比較例1と同様にして表層102を有する中間転写ベルト13を得た。転写効率評価およびクリーニング耐久性評価結果を表2に示す。
8(8a、8b、8c、8d) 現像ユニット
9(9a、9b、9c、9d) プロセスカートリッジ
10(10a、10b、10c、10d) 一次転写ローラ
13 中間転写ベルト
14 駆動ローラ
15 テンションローラ
19 定着手段
25 二次転写ローラ
27 クリーニング手段
28 クリーニングブレード
101 中間転写ベルト基層
102 中間転写ベルト表層
103 アクリル樹脂
104 PTFE粒子
Claims (11)
- 像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、
帯電された該像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、
該静電潜像をトナーで現像してトナー像を該像担持体上に形成する現像工程、
該トナー像を中間転写ベルトを介して転写材へ転写する転写工程、
該転写材上のトナー像を定着させる定着工程、および
該中間転写ベルト上に残存する転写残トナーをクリーニングブレードで除去するクリーニング工程、
を有する画像形成方法であって、
該中間転写ベルトの表面が、該クリーニングブレードに交差する方向に溝形状を有し、
該溝形状の幅が、該トナーの重量平均粒径(D4)の半分未満であり、
該トナーの重量平均粒径四方(D4μm×D4μm)における、該中間転写ベルト表面の面内平均粗さが10nm以上30nm以下であり、
該中間転写ベルトの回転方向に直交する方向における該中間転写ベルトの表面の十点平均粗さRzjisが、0.26μm以上0.67μm以下であり、
該トナーは、
結着樹脂と着色剤と離型剤を含有するトナー粒子と、
シリカ微粒子と、を含有し、
該トナーが下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする画像形成方法。
300(mJ)≦E≦450(mJ) (1)
1.00≦Ec/E≦2.30 (2)
(上記式(1)及び(2)中、
Eは、粉体流動性分析装置においてプロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/sで回転させながら容器内のトナー粉体層中に垂直に進入させ、該粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和(mJ)を示す。
Ecは、3kPaの荷重負荷を与えたトナー粉体層中に上記Eを計測する要領で測定した、回転トルクと垂直荷重の総和(mJ)を示す。) - 前記クリーニングブレードの接触面積率が、前記中間転写ベルトの表面総面積に対して80%以上97%以下である請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記中間転写ベルトの表面は、アクリル共重合体で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記中間転写ベルトは二層以上の層からなり、
表層が、硬化性モノマーおよび/またはオリゴマー成分を含有する組成物の硬化物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。 - 前記中間転写ベルトの表層が、さらに、フッ素含有粒子を含有する請求項4に記載の画像形成方法。
- 前記フッ素含有粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である請求項5に記載の画像形成方法。
- 前記トナーが、さらに、酸化チタン微粒子を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記シリカ微粒子および前記酸化チタン微粒子が、シリコーンオイルで処理されている請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記クリーニングブレードは、ポリウレタンゴムを材料とするブレードである請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記クリーニングブレードの硬度が、JIS K6253規格で70度以上80度以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記クリーニングブレードは、前記中間転写ベルトに対して、カウンター方向で当接し、
前記クリーニングブレードの前記中間転写ベルトに対する当接圧が0.4N/cm2以上0.8N/cm2以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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