JP3979205B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンター等に用いられる画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式の画像形成装置に用いられる像担持体としては有機光導電性物質を含有する有機感光体(以下単に感光体とも云う)を導電性基体上に薄膜形成したものが最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等が他の感光体に対して有利な点である。
【0003】
一方、電子写真方式の画像形成方法は近年のデジタル技術の進展により、デジタル方式の画像形成が主流となってきている。デジタル方式の画像形成方法はレーザ(LD)や発光ダイオード(LED)の単波長光を用いて400dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)等の1画素の小さなドット画像を顕像化することが広く行われており、これら小さなドット画像を忠実に再現する高画質技術が要求されている。
【0004】
一般的に反射光が発生するアルミニウムのような導電性基体の上に形成された薄膜に、LDやLEDの像露光光が照射されると、入射して直接的に吸収される光と、入射して基体まで到達して反射し、更にまた表面で膜内部に向かって反射して吸収される光との光路差による干渉効果、あるいは更に多重反射経路を経た光との干渉効果がこれらの光の光路差に従って現れる。本発明に関わる有機感光体も例外ではない。特に、多数枚のコピー画像等を作製する電子写真画像形成装置に、多く用いられている円筒状の有機感光体は、その被覆層を浸漬塗布等の溶液塗布により形成するため、膜厚むらが発生しやすく、この膜厚むらが上記干渉効果を増大させやすい。即ち、像露光の光波長と同程度レベルの膜厚むらがあるとその膜厚むらによる光路長の違いにより、干渉効果が増大し、画像上には画像濃度むら、いわゆるモアレ縞として現れる。
【0005】
このモアレ縞を低減するためには原理的には反射光をほぼ完全に防止するか、膜厚むらを干渉が発生しない程度まで低減することが考えられる。しかしながら、実際問題として導電性基体からの反射光を完全に防止するのは特に有機感光体の場合困難であり、透光性CTLを上層に設置し、CGLを導電性基体に近接して設置する機能分離型感光体においてはその干渉効果は著しく現れやすい。
【0006】
また、円筒状の有機感光体膜厚むらは、円筒状の導電性基体に加工むらがあると、塗布乾燥による膜厚むらとは異なる、該加工むらに起因した膜厚むらが発生し、モアレの発生を増加させていることが本発明者等の検討により明らかとなった。特に、円筒状基体は、加工精度をどの程度確保する必要があるのかが、十分に解明されていないため、しばしば基体加工むらに起因するモアレ稿を発生させていたことが見いだされた。
【0007】
従来、このような課題に対して基体の反射防止、膜厚むらの低減などの手法が試みられているが、いずれの方法も十分な効果が得られていない。
【0008】
更に近年、画質を向上させるため重合トナーを使用することが有効であることが判明し、この重合トナーを用いることによって今までにない高解像度、階調再現性が得られることができるようになってきた。この重合トナーは粒径が3〜7μmと小さくても、粒径の揃った単分散の状態が得られ易いため、このような画質向上効果があると考えられる。しかしながら、このような重合トナーを用いた高解像度の画質では、上記したモアレ縞が目立ちやすいばかりでなく、デジタル画像を形成するドット画像の品質がしばしば問題として現れる。即ち、高画質の画像では、単に解像度が良いだけではなく、中間調等の画像を形成するドットラインを忠実に再現しないと、中間調の階調性が十分に得られないと云う問題が提起されている。
【0009】
又、有機感光体は該感光体上に形成された静電潜像を顕像化したトナーとの接触エネルギーが大きく、該トナー像を転写工程で転写紙に転写した後に、該感光体上に残留する残留トナーのクリーニングに種々の問題を発生しがちである。特に、重合トナーはトナー形状がモノマーの重合過程で形成されるため、ほぼ球状の形状で作製されやすく、クリーニング不良を発生しやすい。該クリーニング不良は有機感光体の膜厚むらとも関連しており、膜厚むらが大きい感光体はクリーニング不良が発生しやすい傾向が見られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来技術の問題を解決し、円筒状の有機感光体と小粒径化された重合トナーを用いた場合にも、モアレ縞が目立たず、長期に亘ってトナーのクリーニング性が良好で、中間調の画像再現が鮮鋭な電子写真画像を形成できる画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記問題を解決するために検討を重ねた結果、小粒径化した重合トナーを用いて、高解像度のデジタル画像を形成する場合に発生しやすい、モアレの発生やトナーのクリーニング不良の発生を防止し、中間調の画像再現が良好な電子写真画像を得るためには、トナーの粒度分布を単分散状態に近づけると共に、円筒状の導電性基体の加工精度の内、円筒度が浸漬塗布の膜厚偏差に支配的な要因であることを見いだし、該円筒度を特定の範囲に形成した円筒状の導電性基体を用いて、有機感光体の被覆層の膜厚偏差を小さくし、且つ低周波空間周波数の反射光量パワースペクトルを小さくすることが効果的であることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明の目的は下記の構成のいずれかをとることにより達成されることを見出した。
【0013】
1.円筒状基体上に少なくとも中間層、感光層を有する被覆層を備えた有機感光体上に、帯電、像露光を経て静電潜像を形成し、該静電潜像を現像工程によりトナー像にし、該トナー像を転写材に転写後に、有機感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程を有する画像形成方法において、前記有機感光体は、円筒度5〜40μmの円筒状基体上に数平均一次粒径が0.02〜0.5μmの酸化チタン粒子を含有する中間層を有し、且つ像露光の露光波長λmで測定した空間周波数0〜2mm-1の範囲の正反射光量のパワースペクトル値の平均値PWSとその測定点の反射光量の平均値Pとの間に下記式1の関係を有しており、前記現像工程のトナーは、トナー粒子の50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、トナー粒子の体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)とトナー粒子の前記個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であり、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の個数が10個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
式1 0.45×10 -4 mm -1 ≦(PWS/P2)<1.0×10-4mm-1
【0015】
2.前記有機感光体は、被覆層の実質的な画像形成領域の膜厚偏差が0.2〜2.0μmであることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0017】
3.前記トナー粒子の50%体積粒径(Dv50)が2〜8μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成方法。
【0018】
4.前記トナーが重合トナーであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0019】
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0020】
以下本発明について詳細に説明する。
【0022】
上記、反射光量パワースペクトルの平均値PWSを小さくする方法としては感光体の被覆層中に像露光光を散乱させる物質を添加し、像露光光の反射光量を小さくすることが好ましい。即ち、有機感光体は一般に導電性支持体上に中間層、電荷発生層や電荷輸送層等の感光層、或いは必要に応じ保護層等を有するが、これら中間層或いは感光層中に像露光光を散乱させる物質を添加することが好ましい。円筒状基体の表面を粗にして、像露光光を散乱させることも効果的である。
【0023】
本発明の有機感光体は、円筒状基体上に少なくとも中間層、感光層を有する被覆層を有し、該円筒度が5〜40μmの円筒状基体上に数平均一次粒径が0.02〜0.5μmの酸化チタン粒子を含有する中間層を有し、且つ像露光の露光波長λmで測定した空間周波数0〜2mm-1の範囲の正反射光量のパワースペクトル値の平均値PWSとその測定点の反射光量の平均値Pとの間に前記式1の関係を有することを特徴とする。
【0024】
即ち、円筒状基体の円筒度に5〜40μmの加工精度を持たせ、感光体被覆層の膜厚偏差を小さくした上に、数平均一次粒径が0.02〜0.5μmの酸化チタン粒子を含有させた中間層を設けることにより、有機感光体を前記式1を満足させるように構成することにより、該円筒状の有機感光体は、モアレの発生が著しく改善され、且つ被膜層の膜厚の均一性が良好なことから、クリーニング性が改善され、重合法で作製された形状が均一なトナーを用いても、モアレ縞が目立たず、トナーのすり抜け等によるクリーニング不良が発生することもなく、中間調の画像再現が鮮鋭な電子写真画像を得ることができる。
【0025】
数平均一次粒径が0.02〜0.5μm範囲の無機粒子の例としては、金属酸化物粒子、硫酸銅、硫酸亜鉛、酸化チタン等の微粒子が好ましい。特に酸化チタンは、種々な結晶形、粒径及び表面処理状態の微粒子を目的に応じて選択使用することができるので好ましい。又、これらの無機粒子は中間層に支持体からの電子注入を防止するブロキング特性を改善する効果を兼ねて、中間層に用いることが好ましい。上記金属酸化物の中間層の含有量は中間層全質量の3%〜50%が好ましく、中間層の膜厚としては0.5〜20μmが好ましい。
【0026】
一方、中間層や感光層に光散乱物質を含有させないと前記(PWS/P2)の値は5.0×10-4mm-1より大きくなりやすく、この場合は感光体の被覆層の膜厚偏差小さくても、モアレが発生しやすい。特に中間調画像等にモアレが発生しやすい。(PWS/P2)の値は1.0×10-4mm-1より小さい方がより好ましい。
【0027】
次に、本発明では感光体の被覆層が感光体の周方向及び軸方向の膜厚偏差で0.2〜2.0μmの範囲に作製されていることが好ましい。一般に有機感光体は導電性基体上に感光層等の塗布液を塗布して作製されるので、被覆層の膜厚偏差を0.2μm未満に作製することは困難である。一方、感光体の周方向及び軸方向の膜厚偏差が2.0μmより大きいと、前記(PWS/P2)の値が5.0×10-4mm-1より小さくても、モアレが発生しやすく、又感光体表面の凹凸が大きくなるので、トナーすり抜け等のクリーニング不良が発生しやすい。以下、感光体の膜厚偏差及び(PWS/P2)値の測定方法について記載する。
【0028】
膜厚偏差の測定法
本発明で、実質的に画像形成可能な被覆層の膜厚偏差とは電子写真方式の画像形成装置で画像を形成する場合に、本発明の円筒状有機感光体に像露光が照射される前記円筒状有機感光体の表面積であり、具体的な像露光照射域は円筒状有機感光体の軸方向幅で規定することが出来る。
【0029】
実際の膜厚偏差の測定法は円筒状有機感光体の画像領域を軸方向に10mm間隔、中心の円周方向に10mm間隔で測定し、全測定値の最大値から最小値の差を本発明の被覆層の膜厚偏差とする。
【0030】
本発明では膜厚測定器としては渦電流式膜厚計fischerscope(fischer社製)で測定したが、同様の測定精度を有する膜厚測定器であれば、測定器は問わない。
【0031】
(PWS/P2)値の測定方法
本発明のパワースペクトルは感光体の軸方向に正反射の位置に、キーエンス社製レーザ変位計LC2400を設置し、その反射光量を243点測定し、該測定した反射光量の不規則変動測定値をフーリエ変換した値を用いて求める。
【0032】
上記243の反射光量の測定点は感光体軸方向中心部40mm(感光体軸方向中心点の±20mm)を0.5mm間隔で測定した(測定領域0.0〜40mmまで)81点、周方向位置を+0.1mmずらして同様に測定した81点、及び周方向位置を−0.1mmずらして同様に測定した81点の合計243点の測定点である。
【0033】
それぞれの測定点の反射光量をPij(iは1〜3、jは0〜80の整数)で表すと、本発明の反射光量の平均値Pは
【0034】
【数1】
【0035】
次に、上記各81点で測定された81の不規則変動測定値の関数をフーリエ変換(位相と振幅が異なる種々の周波数の正弦波の合成として得られる関数)する。該フーリエ変換としては以下のような離散的なフーリエ変換式を用いて行った。
【0036】
【数2】
【0037】
上式において、Lは測定領域の距離:40.0mm、Δxは測定間隔:0.5mm、xjは測定点の順位:0(スタート)〜80(エンド)の整数、nは空間周波数(n/40mm-1)のnで、nは0〜80の整数、ΔPijは下記式で表される各測定点の反射光量と反射光量の平均値の差を示す。
【0038】
【数3】
【0039】
【外1】
【0040】
【数4】
【0041】
尚、反射光量の測定条件は下記で行った。
キーエンス社製レーザ変位計LC2400(レーザ波長:680nm)はセンサー先端と感光体表面との距離が10μm以内になるように調節し、且つレーザ光を感光体の軸方向に沿って、正反射(45度)の方向から照射し、その反射光量を測定する。
【0042】
又、本発明の像露光光の露光波長λmとはデジタル画像の潜像形成に一般的に広く用いられる単波長光の波長λmを意味し、具体的にはレーザ(LD)、発光ダイオード(LED)を光源として用いた場合の露光光源の露光波長を意味している。特に光り成分の位相が揃い、干渉縞(モアレ)が発生しやすいLDを像露光光源に用いた場合は本発明の効果、即ちモアレ防止の効果が顕著である。
【0043】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能のいずれか一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0044】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層を設置した層構成、或いはその上に保護層を更に設置した層構成が良く知られ、本発明の樹脂層は前記したそれぞれの層に適用することが可能であるが、中でも、表面層を構成する保護層に本発明の樹脂層を適用した構成をとるのが好ましい。
【0045】
導電性支持体
本発明の円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成するに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0046】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体の比抵抗は常温で103Ωcm以下が好ましい。
【0047】
中間層
本発明の有機感光体は数平均一次粒径が0.02〜0.5μm範囲の無機粒子を円筒状基体と感光層の間の中間層に含有させている。該数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値できる。
【0048】
本発明の無機粒子は、金属酸化物粒子、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の金属酸化物粒子或いは硫酸銅、硫酸亜鉛等が挙げられるが、中でも酸化チタンが好ましく、更には、良好な分散性を達成するために表面処理を施した酸化チタンが好ましい。中間層における粒子の含有率は、体積率にして10%から90%が好ましく、更には25%から75%が好ましい。
【0049】
前記酸化チタン粒子の表面処理は、酸化チタン粒子表面を金属酸化物や、反応性有機ケイ素化合物、有機金属化合物等によって被覆することが好ましい。本発明に用いられる好ましい酸化チタン粒子の表面処理の例を以下に記載する。
【0050】
好ましい酸化チタン粒子の表面処理の1つは以下の様である。すなわち、複数回の表面処理が行われ、且つ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理である。
【0051】
又、好ましい酸化チタン粒子の表面処理の他の1つは、メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理である。
【0052】
又、好ましい酸化チタン粒子の表面処理の他の1つは、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理である。この場合、表面処理は複数回であってもよく、また、最終回に該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理をおこなってもよい。
【0053】
以上の表面処理を施された酸化チタン粒子を含有させて導電性支持体と感光層の間に本発明に係る中間層を設けることにより、残留電位や、帯電電位等の電子写真特性を劣化させることなく、黒ポチの発生を著しく抑制することができ、更に、レーザ露光によるモアレの発生も改善することもできる。
【0054】
本発明に好ましく用いられる酸化チタン粒子の平均粒径は数平均一次粒径が0.02〜0.5μmの範囲が好ましい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層は分散安定性が良好で、且つ空間周波数が0〜2mm-1の範囲のパワースペクトルを低下させ、モアレの発生を防止することが出来る。前記平均粒径が0.02μmより小さいと、前記空間周波数でのパワースペクトルの低下が十分でなく、モアレ発生防止効果が小さい。一方前記平均粒径が0.5μmより大きいと反転現像に特有の黒ポチが発生しやすい。
【0055】
又、酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタンは、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型およびアモルファス型などがあるが、いずれの形状、結晶型を用いてもよく、また2種以上の形状、結晶型を混合して用いても構わない。
【0056】
本発明の酸化チタン粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行うことが好ましく、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うことが好ましい。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、及びジルコニア(ZrO2)から選ばれる少なくとも1種類以上の化合物を用いて行われ、最後に反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものであることが好ましい。なお、これらの化合物は水和物を有するものも含まれる。
【0057】
また、本発明の酸化チタン粒子に施される表面処理の他の方法としては、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理に反応性有機チタン化合物や或いは反応性有機ジルコニウム化合物を用いて表面処理を行うものが好ましい。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理が上記同様アルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の化合物を用いて行われ、最後に反応性有機チタン化合物或いは反応性有機ジルコニウム化合物による表面処理を行うものであることが好ましい。
【0058】
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を本発明に係る中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができ、好ましい。
【0059】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものや、アルミナ、シリカを用いた表面処理の後に反応性有機チタン化合物或いは反応性有機ジルコニウム化合物を用いた表面処理を行うものが特に好ましい。
【0060】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にアルミナ処理を最初に行い、次いでシリカ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多い場合が好ましい。
【0061】
前記酸化チタン粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行った酸化チタン粒子は、以下の様に作製することができる。
【0062】
酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:300nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0063】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導体粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が好ましく用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も、例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0064】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0065】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液を数分から1時間程度撹拌する。そして場合によっては該液に加熱処理を施した後に、濾過等の工程を経た後乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0066】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0067】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0068】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0069】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4-n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0070】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0071】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0072】
nが0の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0073】
nが1の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
即ち、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0074】
nが2の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
ジメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0075】
nが3の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
トリメチルクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルメトキシジメチルシラン、メトキシ−3−メルカプトプロピルメチルメチルシラン等が挙げられる。
【0076】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、好ましくは下記一般式(2)で示される有機ケイ素化合物が用いられる。
【0077】
一般式(2)
R−Si−X3
式中、Rはアルキル基、アリール基、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基を表す。
【0078】
一般式(2)で表される有機ケイ素化合物においては、更に好ましくはRが炭素数4から8までのアルキル基である有機ケイ素化合物が好ましく、具体的な好ましい化合物例としては、トリメトキシn−ブチルシラン、トリメトキシi−ブチルシラン、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシランが挙げられる。
【0079】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0080】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0081】
酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0082】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0083】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0084】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0085】
本発明の中間層は、前記複数回の表面処理を行って得られた表面処理酸化チタン等の無機粒子をバインダー樹脂とともに溶媒中に分散させた液を導電性支持体上に塗布することにより作製される。
【0086】
本発明の中間層は導電性支持体と感光層の間に設けられ、該導電性支持体と感光層との良好な接着性、感光層から導電性支持体への良好な電子注入、移動性、及び該支持体からの正孔注入を防止するバリア機能を有する。
【0087】
該中間層のバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の熱硬化性樹脂やこれらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これらバインダー樹脂の中でポリアミド樹脂が特に好ましく、特には共重合、メトキシメチロール化等のアルコール可溶性ポリアミドが好ましい。前記バインダー樹脂中に分散される本発明の表面処理N型半導体粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0088】
本発明の中間層の膜厚は0.5〜15μmが好ましい。膜厚を前記範囲で用いることにより、黒ポチの発生しない、電子写真特性の良好な中間層を形成できる。
【0089】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0090】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0091】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0092】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0093】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0094】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下の特性を有するものである。
【0095】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器株式会社製)で測定される。
【0096】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0097】
これらCTLのバインダーとして好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し電荷輸送性物質10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0098】
本発明では、上記のような中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の被覆層の合計膜厚の膜厚偏差を円筒状基体の軸方向、周方向において、小さくするには(好ましくは膜厚偏差を0.2〜2.0μmの間に作製するには)、円筒状基体の円筒度を5〜40μmに形成し、被覆層の塗布膜厚が塗布工程や乾燥工程において均一な膜厚に形成される条件が必要である。以下に、円筒状基体の円筒度を高精度に加工する方法、及び均一な膜厚を作製できる有機感光体の浸漬塗布装置の一例を記載する。
【0099】
本発明の円筒度とは、JIS規格(B0621−1984)による。即ち、円筒基体を2つの同軸の幾何学的円筒で挟んだとき、同軸2円筒の間隔が最小となる位置の半径の差で表し、本発明では該半径の差をμmで表す。
【0100】
本発明の円筒状基体の円筒度は5〜40μm、好ましくは7〜30μm、更には7〜27μmが良い。40μmより大きいと前記膜厚偏差が大きくなり、モアレを発生させやすい。5μmより小さくすると、収率が悪くなりコスト的に不利となる。
【0101】
本発明の円筒度の測定方法は円筒状基体の両端10mmの2点、中心部、両端と中心部の間を3等分した点の4点、計7点の真円度を測定し求める。測定器は非接触万能ロール径測定機((株)ミツトヨ製)を用いた。
【0102】
以下、図面を用いて、円筒度を高精度に加工する方法について説明する。
以下の説明で、インロー加工とは円筒状基体の内部を切削加工し、基体内面に段差(部材を取り付ける等のため)等の加工面を形成する加工を意味し、例えば、円筒状基体を回転させながら、切削バイトを当接し、送り移動し加工する。
【0103】
又、外径基準とは円筒状基体の外表面円筒の中心軸を基準軸とすることを云う。インロー加工部の内径基準とはインロー加工で形成された円筒内径の中心軸を基準軸とすることを云う。
【0104】
図1は有機感光体10の概略正面図で、円筒状基体11と、その両側開口部である端部12、13に設けられたフランジ14、15からなり、円筒状基体11の表面には感光層16が形成されている。また、有機感光体10の中心にはシャフト17が円筒状基体11の軸Cと一致するように配設され、有機感光体10を回転可能なものとしている。
【0105】
円筒状基体11は、アルミニウムもしくはアルミニウム系合金などの導電性金属で形成したものが用いられ、内部が中空の円筒状に加工されている。例えばアルミニウム系合金を用いた場合には、延伸加工および/または切削加工を施すことで円筒状とされる。
【0106】
フランジ14,15は、円筒状基体11の両端部内面に嵌合して円筒状基体11を円柱状のものにする円盤状とされ、その中心には孔18が形成されている。また、一方のフランジ14にはその外周に歯車14aが形成されており、有機感光体10の回転を制御し得るものとしている。
【0107】
シャフト17は、断面が正方形等の矩形形状、十字状、円状等とした金属、プラスチック等を用いた棒状のものとされ、湾曲等の変形が少ない材料が用いられる。また、シャフト17はフランジ14、15に形成された孔18を通って固定され、これにより有機感光体10の回転を支える軸となる。
【0108】
感光層16は、有機光導電体(OPC)感光層などの光電効果を有する光導電物質からなる。
【0109】
本発明では、上記円筒状基体11の円筒度を5〜40μmに作製することが必要である。図2は、本発明にかかる円筒状基体の製造工程について説明するために(a)、(b)の工程順に示したものである。まず最初に図2(a)に示すような中空円筒状の円筒状基体11を準備する。円筒状基体11としては、例えば延伸加工により肉厚が2mmで外径が100mmφとしたアルミニウム合金を用いることができる。
【0110】
図2(a)は基体内部に保持部材3を挿入させ、インロー加工として切削バイトで加工している図である。端部には内側に段差を設けるようにインロー加工を施す。この箇所においては、外径は変わらないものの段差分だけ肉厚を薄くして内径を大きくした薄肉部(インロー加工部)12a、13aが形成される。
【0111】
ここで、保持部材とはインロー加工等の円筒状基体の加工時に、振動を抑制し、基体の形状変形を防止するために、円筒状基体内径に挿入圧接する部材を云う。
【0112】
インロー加工は円筒状基体の両端にフランジを取り付ける段差を形成することを主たる目的にしているので、円筒状基体の両端に基体軸方向長さdmmの段差(インロー長さ)を形成する。円筒状基体長さ(軸方向)をLmm、保持部材の長さ(軸方向)をDmmとすると、保持部材の長さDは下記の範囲にあることが好ましい。
【0113】
1/2×L≦D<L−2d
Dが1/2×Lより小さいと、インロー加工の時に、基体両端が独楽状に振れやすく、加工精度が劣化しやすい。DがL−2d以上になると、インロー加工部の空間が十分でなく、加工作業が困難となる。
【0114】
インロー加工に際して、円筒状基体を保持部材と圧力可変手段4により、内部より把持して、該保持部材を貫通する中心軸19の周りにモーター20、21により円筒状基体を回転駆動させて、旋削刃具22を基体内部に当接し、インロー加工を行う。即ち、円筒状基体を内部より把持することにより、該表面を傷つけないようにすることを特徴とする。
【0115】
次に、該インロー加工された円筒状基体を用いて該表面の切削加工を行う。即ち、図2(b)は前記インロー加工により形成された内径を持つ円筒状基体の両端のインロー部を握持用爪23の開閉に無摺動式開閉チャック(藤井精密工業株式会社製、エアーバルーンチャック、クラフトグラフィー、ダイナミックツール株式会社製ダイアフラムチャック)24、25を用いて握持し、インロー加工部の内径基準で基体表面を切削加工している図である。
【0116】
以上のような円筒状基体の加工方法を採用することにより、外径円筒度が5〜40μmの有機感光体用円筒状基体を作製することができる。26は切削刃具である。
【0117】
前記保持部材としては、インロー加工時の振動を抑制し、形状を保持するために、強度の強い剛性部材の場合が好ましい。該剛性部材としては、ステンレス、真鍮等の金属やセラミックス等が良い。又、該保持部材には接触圧力可変手段等が装備されているものが良い。以下、該剛性部材を円筒状基体の内径に挿入押圧する方法について説明する。
【0118】
図3(a)は保持部材3の斜視図である。図3(b)は保持部材の圧力可変手段4を示す断面図である。3−1〜3−8は各々断面が扇型をした保持部材の部品であり、各部品が図示されていない緩い連結、例えばバネで結合されて、保持部材全体を構成し、保持部材の外面は円筒状基体内面に接触するよう円筒状を形成している。保持部材の中心部は図3(b)に示すように圧力可変手段4として、テーバーの付いた中心棒4−1が出し入れ出来るような環を形成している。図3(b)に示すように中心棒4−1を挿入することにより、保持部材は外側に拡がり、円筒状基体を押圧しながら保持する事になる。押圧したときの圧力の調整はこの中心棒4−1の挿入深さで調整される。
【0119】
保持部材としては上記剛性部材の代わりに、硬質ウレタン、ゴム等の弾性部材を用いることも可能である。
【0120】
又、上記中心棒4−1は保持部材を貫通する中心軸19を有し、この中心軸の周りに円筒状基体を回転駆動させてインロー加工を行う。
【0121】
次に、基体を洗浄後、図4に示すように、円筒状基体11の外側表面に感光層16を塗布形成する。
【0122】
次に、感光層が形成された円筒状基体にはフランジ14,15が取り付けられる。フランジ14、15は円盤状とされ、円筒状基体11の外径と略等しい外径を有し、円筒状基体11に取り付けられて蓋となる外側部分と、それよりも外径の小さな内側部分とからなり、その中心には孔18が形成されている。外径の小さな内側部分は、その外径が前記インロー加工で形成された薄肉部12a,13aの内径と等しいか若しくは若干大きなものとされている。フランジ14、15の外径の小さな内側部分は円筒状基体11の薄肉部12a,13aに嵌合する。これにより円筒状基体11の端部にフランジ14,15が蓋をするように固定される。このとき、フランジ14,15を取り付けた状態において、円筒状基体11の軸Cを中心とした円筒度が5〜40μmであることが好ましい。なお、一方のフランジ14の外周部分には歯車14aが形成されている。また、フランジの中央部にはシャフトを固定するための孔18が設けてある。
【0123】
次に、被覆層の膜厚偏差を小さくする浸漬塗布方法について記載する。
図5は、被覆層の膜厚偏差を小さくする1本取り浸漬塗布装置の一例の概略構成を示すものであり、円筒状導電性基体9eは塗布槽6eで浸漬塗布をされた後、塗布槽から引き上げの途中にある。本発明において円筒状導電性基体は塗布槽から引き上げられると、溶媒蒸気溜室11eに入り、ここで塗布膜が大量の溶媒蒸気を放出し、次の乾燥フード14eに送られ指触乾燥の状態(指で触ってもべとつかない状態)に乾燥される。本発明では前記溶媒蒸気溜室11eと乾燥フード14eの間に排出口12eを設けることにより、塗布液に高い飽和蒸気圧の溶媒を用いた場合でも、又大量の溶媒蒸気を放出する50μm以上の塗布膜を形成したときにも溶媒蒸気溜室11e内の溶媒蒸気濃度を全体に均一に維持しながら、大量の溶媒蒸気を放出することができ、塗布膜の指触乾燥むらの発生や、先頭薄膜の増大を防止する。
【0124】
ここで、溶媒蒸気溜室とは塗布層を覆い、塗布液や塗布膜から発生する溶媒蒸気を一旦、よどませ、溶媒蒸気濃度が均一な雰囲気を保つための部屋である。前記溶媒蒸気溜室の高さは1cm〜100cmが好ましい。1cm未満では溶媒蒸気溜室を設けた効果が小さく、膜厚むらの発生等の防止効果が小さい。一方100cmより大きくても、装置が大型化するに見合った効果が得られない。
【0125】
本発明の排出口は塗布された基体が引き上げられたとき、円筒状導電性基体を取り巻くように溶媒蒸気溜室と乾燥フードの間に形成されている。即ち、前記排出口12eは溶媒蒸気溜室と乾燥フードの間に0.1〜10mmの間隙幅で設置するのが好ましい。0.1mm未満では溶媒蒸気の排出量が十分でなく、10mm以上だと溶媒蒸気の排出は十分であるが、溶媒蒸気溜室が外部空気の流れの影響を受けやすく、溶媒蒸気溜室の溶媒蒸気濃度の均一性が乱されやすい。
【0126】
前記溶媒蒸気溜室の上部蓋部分には円筒状導電性基体を通過させるに必要な開口部(穴)が設けられている。この開口部は円筒状導電性基体と同様に円形が好ましい。
【0127】
又、溶媒蒸気溜室の上部に設置される乾燥フード(円筒状導電性基体を取り囲む構造を有する)の長さは5cm〜300cmが好ましい。5cm未満では乾燥フードの効果が小さく、膜厚むらの発生等の防止効果が小さい。一方300cmより大きくても、装置が大型化するに見合った効果が得られない。
【0128】
又、前記溶媒蒸気溜室にはリサイクル管を設置し、塗布槽の液面を一定に保持することが好ましい。即ち、図5に示すような構成とすることが好ましい。即ち、塗布液1eは、塗布液タンク2eから供給配管3eを通してポンプ4eによって圧送され、フィルター5eを介して塗布槽6e内に供給される。塗布槽6eに供給された塗布液はオーバーフローし、溶媒蒸気溜室11eの下端に連続して設けられた塗布液受け槽7eで補集されリサイクル管8eに流出し、塗布塗布液タンク2eに回収される。この浸漬塗布装置を用いて浸漬塗布を行う場合、円筒状導電性基体9eが塗布槽6eに浸漬され、その後、引き上げられた時、塗布槽液面10eを一定に保持する目的で、常にオーバーフローするように塗布液循環手段によって塗布液を循環する。さらに、溶媒蒸気溜室の上に溶媒蒸気を排出する排出口12eが設けられているが、排出口12eは、塗布槽液面10eより高い位置に設けられている。また、溶媒蒸気溜室11eの上部には、外部空気の流れの影響を防止するため乾燥フード14eを設けている。ここで、排出口12eを設けない場合や、特開平8−220786のように排出口12eを塗布槽液面10eより低いリサイクル管8eの途中に設置した場合は、大量の溶媒蒸気を放出する50μm以上の塗布膜を形成したときには溶媒蒸気溜室11e内の溶媒蒸気濃度を十分に排出できず、溶媒蒸気が円筒状導電性基体周辺に滞留し、円筒状導電性基体9eに形成される塗布膜の指触乾燥ムラを発生させ、先頭薄膜を増大させる。しかしながら、図5記載の浸漬塗布装置を用いることにより、溶媒蒸気を排出する排出口12eを溶媒蒸気溜室の上で塗布槽液面10eより高い位置に設けているから、例え50μm以上の塗布膜を形成しても円筒状導電性基体周辺の溶媒蒸気を均一に排出することが可能となり、その効果により膜厚むらの発生や、先頭薄膜の増大を防止することができる。
【0129】
又、中間層、感光層等の層形成に用いられる塗布液溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、i−プロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。又、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0130】
又、本発明は前記有機感光体と以下に記すようなシャープな粒度分布を有する小粒径トナーを併用した画像形成方法を採用することにより、階調性の高い且つ鮮鋭な電子写真画像を形成することが出来る。
【0131】
本発明の画像形成装置に係るトナーについて説明する。
本発明者らは、小粒径化(本発明では、トナー粒子の粒径が50%体積粒径(Dv50)で、2μm〜8μmの大きさのものを小粒径トナーという)されたトナーを用いる従来公知の画像形成方法の問題点を鋭意検討した結果、小粒径化されたトナーの画像は階調性の高い画像が得られるが、階調性が高くなるほど中間調が微細に再現され、モアレも顕在化しやすい。又、小粒径化されたトナーでは、トナー粒子間で現像性やクリーニング性に差異がでやすいこと、さらに感光体上への付着力に差異が拡大しやすいことが判った。
【0132】
そこで、検討の結果、有機感光体にその被覆層の実質的な画像形成領域の膜厚偏差が0.2〜2.0μmであり、且つ像露光光の露光波長λmで測定した空間周波数0〜2mm-1の範囲の反射光量パワースペクトルの平均値PWSと、反射光量の平均値Pとの間に前記式1の関係を有する特性を持たせ、該有機感光体上に形成された潜像を本発明の粒度分布を有するトナーを用いて顕像化することにより、中間調の画像再現が鮮鋭な画像が得られ、且つ中間調にもモアレが顕在化しない良好な電子写真画像を得ることができる。
【0133】
本発明のトナーは、請求項1に記載のように、トナーの50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、トナーの体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)とトナーの個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であり、全トナー中において、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下である。このようなトナーを前記した特性を有する本発明の有機感光体と併用することにより、中間調の画像再現が鮮鋭で、且つ中間調にもモアレが顕在化しない良好な電子写真画像を得ることができる。
【0134】
以下、本発明に係るトナー(以下、単にトナーともいう)について説明する。まず、本発明に係るトナーの体積粒径、個数粒径及び、前記体積粒径と前記個数粒径との比について説明する。
【0135】
本発明に記載の効果を得る観点から、本発明に係るトナーは、粒径分布として単分散であることが好ましく、50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15であることが必要であるが、好ましくは1.0〜1.13である。
【0136】
また、転写性や現像性の変動幅を抑制するためには、トナーの大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であることが必要であるが、好ましくは、1.1〜1.19である。さらに、全トナー中において、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナーの個数が10個数%以下であることが必要であるが、好ましくは、5個数%〜9個数%である。
【0137】
本発明に係るトナーの50%体積粒径(Dv50)は2μm〜8μmが好ましく、更に、好ましくは3μm〜7μmである。また、本発明に係るトナーの50%個数粒径(Dp50)は、2μm〜7.5μmが好ましく、更に好ましくは、2.5μm〜7μmである。この範囲とすることにより、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
【0138】
ここで、大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)或いは累積75%個数粒径(Dp75)とは、粒径の大きな方からの頻度を累積し、全体積の和或いは個数の和に対して、それぞれが75%を示す粒径分布部位の体積粒径或いは個数粒径で表す。
【0139】
本発明において、50%体積粒径(Dv50)、50%個数粒径(Dp50)、累積75%体積粒径(Dv75)、累積75%個数粒径(Dp75)等は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定することが出来る。
【0140】
本発明に係るトナーの構成成分、トナーの構成成分である結着樹脂の成分、その製造などについて説明する。
【0141】
本発明に係るトナーは着色剤、結着樹脂などを少なくとも含有するが、前記トナーは、粉砕・分級工程を経て製造してもよいが、好ましくは下記に示すような重合トナーが好ましい。ここで、重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合、及びその後の化学的処理により形成されるて得られるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。本発明では重合法を用いて製造した樹脂粒子を塩析/融着する工程を経て製造される重合トナーが特に好ましい。
【0142】
重合法に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を構成成分として用い、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
【0143】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0144】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等が挙げられる。
【0145】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0146】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0147】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0148】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0149】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0150】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0151】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0152】
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0153】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン酸基を有する重合性単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の重合性単量体が挙げられる。
【0154】
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0155】
スルホン酸基を有する重合性単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0156】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0157】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0158】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0159】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
【0160】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0161】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0162】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0163】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0164】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0165】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0166】
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0167】
〔着色剤〕
着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
【0168】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0169】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0170】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0171】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0172】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0173】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0174】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、等が挙げられる。
【0175】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0176】
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
【0177】
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0178】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0179】
本発明に係るトナーは離型剤を併用してもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等を離型剤として使用することが出来る。また、本発明においては、下記一般式(3)で示されるエステルワックスを好ましく用いることが出来る。
【0180】
一般式(3)
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数を表すが、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
【0181】
R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素基を示す。
R1:炭素数=1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5
R2:炭素数=1〜40、好ましくは13〜29、更に好ましくは12〜25
以下に、本発明に係るエステル基を有する結晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0182】
【化1】
【0183】
【化2】
【0184】
これらエステルワックスは、樹脂粒子中に含有され、樹脂粒子を融着させて得られるトナーに良好な定着性(画像支持体に対する接着性)を付与する機能を有する。
【0185】
本発明に用いられる離型剤の添加量は、トナー全体に1質量%〜30質量%が好ましく、更に好ましくは2質量%〜20質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。また、本発明のトナーは、上記の重合性単量体中に前記離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中に離型剤として上記のようなエステル系化合物を内包させた粒子を形成させ、着色剤粒子ととも塩析/融着する工程を経て作製されたトナーが好ましい。
【0186】
本発明に係るトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0187】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0188】
本発明に係るトナーに用いられる外添剤について説明する。
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されないが、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0189】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0190】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0191】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0192】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0193】
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0194】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置が挙げられる。
【0195】
本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。
《製造工程》
本発明のトナーは、離型剤を溶解した上記記載のような重合性単量体または重合性単量体溶液を水系媒体中に分散し、ついで重合法により離型剤を内包した樹脂粒子を調整する工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される重合法で製造することが好ましい。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる、この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることで着色粒子とすることができる。
【0196】
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析/融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析/融着させることができる。
【0197】
また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
【0198】
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50質量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができる。好ましくは樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0199】
本発明での好ましい重合法としては、モノマー中に離型剤を溶解したモノマー溶液を臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を溶解させた水系媒体中に機械的エネルギーによって油滴分散させた分散液に、水溶性重合開始剤を加え、ラジカル重合させる方法をあげることができる。この場合、モノマー中に油溶性の重合開始剤を加えて使用してもよい。
【0200】
この油滴分散を行うための分散機としては特に限定されるものでは無いが、例えばクレアミックス、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等をあげることができる。
【0201】
着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、ろ過し同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
【0202】
着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製される方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。
【0203】
顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくはクレアミックス、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0204】
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。
塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。
【0205】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0206】
トナーの粒径分布を達成するための方法としては特に限定されないが、例えば分級などの手法による制御や会合時における温度や時間、さらには会合を終了させるための停止方法の制御などの手法を使用することができる。
【0207】
特に好ましい製造方法として、水中での会合時間、会合温度、停止速度などを制御する方法をあげることができる。すなわち、塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。この塩析剤を添加する温度は特に限定されない。
【0208】
本発明では、樹脂粒子の分散液をできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては30分未満、好ましくは10分未満である。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、1℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、急速な塩析/融着の進行により粗大粒子の発生を抑制する観点で、15℃/分以下が好ましい。特に好ましい形態としては、塩析/融着をガラス転移温度以上になった時点でも継続して進行させる方法をあげることができる。この方法とすることで、粒子の成長とともに融着が効果的に進行させることができ、最終的なトナーとしての耐久性を向上することができる。
【0209】
さらに、会合時に2価の金属塩を使用して塩析/融着することで特に粒径を制御することが可能となる。この理由としては明確ではないが、2価の金属塩を使用することで塩析時の斥力が大きくなり、界面活性剤の分散能を効果的に抑制することが可能となり、結果として流刑分布を制御することが可能となったものと推定される。
【0210】
また、塩析/融着を停止するために1価の金属塩及び水を添加することが好ましい。このものを添加することにより、塩析を停止させることができ、結果として大粒径成分や小粒径成分の存在を抑制することが可能となる。
【0211】
樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0212】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、本発明の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0213】
本発明のトナーを所定の形状に制御するためには、塩析と融着を同時進行させることが好ましい。凝集粒子を形成した後に加熱する方法ではその形状に分布を生じやすく、さらに微粒子の発生を抑制することができない。すなわち、凝集粒子を水系媒体中で攪拌しながら加熱するために凝集粒子の再分断が発生し、小粒径の成分が発生しやすいものと推定される。
【0214】
本発明に用いられる現像剤について説明する。
キャリアと混合して二成分現像剤として用いること場合にはキャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0215】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0216】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0217】
図6は本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
図6に示す画像形成装置は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0218】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台111上に載置された原稿は原稿搬送ローラ112によって1枚宛分離搬送され読み取り位置113aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0219】
一方、プラテンガラス113上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット115の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット116の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0220】
読み取られた画像は、投影レンズ117を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0221】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体(以下、感光体ドラムとも云う)121と、その外周に、帯電手段である帯電器122、現像手段(現像工程でもある)である現像装置123、転写手段である転写器124、分離手段である分離器125、クリーニングブレードを有するクリーニング手段(クリーニング工程でもある)126及びPCL(プレチャージランプ)127が各々動作順に配置されている。感光体121は、光導電性化合物をドラム基体上に塗布形成したもので、例えば有機感光体(OPC)が好ましく使用され、図示の時計方向に駆動回転される。
【0222】
回転する感光体121へは帯電器122による一様帯電がなされた後、露光光学系130により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である露光光学系130は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー131、fθレンズ(符号なし)、シリンドリカルレンズ(符号なし)を経て反射ミラー132により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体121に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体121の回転(副走査)によって潜像(静電潜像)が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い潜像を形成する。
【0223】
感光体121上の潜像は現像装置123によって反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像のトナー像が形成される。転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙(紙やプラスチックシート等)Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット141(A)、141(B)、141(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット142が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ143によって搬送路140に沿って給紙され、給紙される転写紙の傾きと偏りの修正を行うレジストローラ対144によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路140、転写前ローラ143a及び転写進入ガイド板146に案内され、感光体121上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写器124によって転写紙Pに転写され、次いで分離器125によって除電されて転写紙Pは感光体121面より分離し、搬送装置145により定着器150に搬送される。
【0224】
定着器150は定着ローラ151と加圧ローラ152とを有しており、転写紙Pを定着ローラ151と加圧ローラ152との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを熔着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ164上に排出される。
【0225】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0226】
円筒状基体の作製
1.基体加工方法
a.円筒状基体A−1の加工
引き抜き加工で形成された厚さ2.00mmのアルミニウム合金からなる円筒状基体(長さL=344mm、直径φ(外径=100mm)に図3の接触圧力可変手段3−8を使用し、長さD=300mm(0.84×L))のステンレスの保持部材を円筒状基体内径に押圧保持し、外径基準で直径φ=98.40mm、長さd=8mmのインロー加工を行った(インロー加工はエグロ社製、精密CNC両端加工機BSを使用)。
【0227】
その後、上記円筒状基体の両端を前記無摺動式開閉チャックを用いて把持して、インロー加工部の内径基準で基体表面を切削加工した(切削加工機は昌運工作所製SPA−5を使用)。加工後の円筒状基体A−1は表面十点粗さRzは0.7μm、円筒度は8μmであった。
【0228】
表面十点粗さRzの定義と測定法
本発明のRzはJISB0601−1982に記載の基準長0.25mmの値を意味する。即ち、基準長0.25mmの距離間で上位から5つの山頂の平均高さと、下位から5つの谷底の平均低さとの差である。
【0229】
上記では、粗さRzを表面粗さ計(小坂研究所社製 Surfcorder SE−30H)で測定した。但し、誤差範囲内で同一の結果を生じる測定器であれば、他の測定器を用いても良い。
【0230】
b.円筒状基体A−2の加工
円筒状基体A−1の加工において、D=214mm(0.60×L)以外は同様にしてインロー加工、及び切削加工を行った。加工後の円筒状基体A−2は表面十点粗さRzは0.7μm、円筒度は25μmであった。
【0231】
c.円筒状基体A−3の加工
円筒状基体A−1の加工において、D=143mm(0.40×L)以外は同様にしてインロー加工、及び切削加工を行った。加工後の円筒状基体A−3は表面十点粗さRzは0.7μm、円筒度は35μmであった。
【0232】
d.円筒状基体A−4の加工
円筒状基体A−1の加工において、D=332mm(0.93×L)以外は同様にしてインロー加工、及び切削加工を行った。加工後の円筒状基体A−4は表面十点粗さRzは0.7μm、円筒度は28μmであった。
【0233】
e.円筒状基体B−1の加工(外部把持(本発明外))
円筒状基体の内部に保持部材を挿入せず、外部より把持手段、即ち、図7(基体外部把持のインロー加工の例)に示す、固定V受け台30にセット後、押えV受け台31で、円筒状基体11外径を固定後、左右の回転駆動旋削刃具32にてインロー加工(例えばエグロ社製、精密CNC両端加工機UB−600を使用)を施した以外は円筒状基体A−1の加工と同様にしてインロー加工、及び切削加工を行った。加工後の円筒状基体B−1は表面十点粗さRzは0.7μm、円筒度は45μmであった。
【0234】
2.感光体の作製
下記記載の内「部」とは質量部を示す。
【0235】
感光体1の作製
円筒状基体A−1を洗浄後、該基体上に、以下の中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次図5に記載の浸漬塗布装置を用いて、塗布、乾燥を行い感光体1を作製した。但し、図5記載の塗布装置の溶媒蒸気溜室と乾燥フードの間の排出口の間隙を2mmに設定して塗布を行った。
【0236】
中間層
下記組成の液を7時間サンドミル分散機で分散し、中間層液を作製した。
【0237】
上記中間層液を平均乾燥膜厚4μmになるように塗布した。
【0238】
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。
この塗布液を前記中間層の上に塗布し、平均乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0239】
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、平均乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
【0240】
感光体2〜8の製造
感光体1の製造において、円筒状基体の種類、中間層の酸化チタンの種類(粒径、表面処理)と量、塗布装置の間隙幅の条件を表1に記したように変化した以外は感光体1と同じ条件で製造し感光体2〜8を得た。こうして得られた感光体1〜8の(PWS/P2)及び膜厚偏差を前記した方法で測定し、その結果を表1に記載した。但し、感光体の画像形成幅は後記するコニカデジタル複写機7060の評価機では円筒状基体軸方向幅で305mmである。
【0241】
【表1】
【0242】
上記表中、A、B、Cは以下の表面処理を示す。
A:アルミナ・シリカの一次処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサンの二次処理
B:アルミナ・ジルコニアの一次処理、及びオクチルトリメトキシシランの二次処理
C:アルミナ・シリカの一次処理、及びフッ化メチルトリメトキシシランの二次処理
本発明に用いるトナーとして、以下のトナーを作製した。
【0243】
(ラテックス1の製造)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。一方で例示化合物19)72.0gをスチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル14.0gの混合液を120分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。
【0244】
このラテックス粒子をラテックス1とする。
着色粒子の製造
(着色粒子1Bkの製造)
n−ドデシル硫酸ナトリウム=9.2gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径で112nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0245】
前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を攪拌下、30℃にて5分間で添加した。その後、2分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで5分で昇温する(昇温速度=12℃/分)。その状態で粒径をコールターカウンターTAIIにて測定し、体積平均粒径が4.3μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度85℃±2℃にて、8時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した着色粒子を下記条件で濾過/洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。このものを「着色粒子1Bk」とする。
【0246】
(着色粒子2Bk、3Bk、4Bk及び5Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表2に記載の製造条件に変更した以外は同様にして、着色粒子2Bk〜5Bkを各々、製造した。
【0247】
(着色粒子6Bk〜8Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表2に記載の製造条件に設定し、且つ、体積平均粒径が3.8μmになった時点で粒子成長を停止させて、各々、着色粒子6Bk〜8Bkを製造した。
【0248】
(着色粒子9Bk〜11Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、表2に記載の製造条件に設定し、且つ、50%体積平均粒径が表3記載の粒径より0.2〜0.3μm小さい時点で粒子成長を停止させ、各々、着色粒子9Bk〜11Bkを製造した。
【0249】
(着色粒子12Bk、13Bkの製造)
着色粒子1Bkの製造において、50%体積粒径(Dv50)が2.6μm、7.1μmになった時点で粒子成長を停止させた以外は同じにして、着色粒子12Bk〜13Bkを製造した。
【0250】
着色粒子の製造条件を表2、得られた着色粒子の各々の物性を表3に示す。
【0251】
【表2】
【0252】
【表3】
【0253】
(トナー粒子の製造)
得られた着色粒子1Bk〜13Bkに、各々、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー1Bk〜13Bkを得た。
【0254】
なお、トナーの形状及び粒径等の物性は表3に示した着色粒子の物性データとと同一であった。
【0255】
(現像剤の製造)
上記トナー粒子の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1Bk〜13Bkを各々、製造した。
【0256】
評価
上記で得られた感光体及び現像剤を表4のように組み合わせ(組み合わせNo.1〜19)、コニカデジタル複写機7060をベースにした評価機を用いて評価した。
【0257】
上記評価機の条件は
感光体周速;370mm/sec
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
像露光光:半導体レーザ(680nm)
露光部電位を−50Vにする露光量に設定。
【0258】
現像条件
DCバイアス;−550V
Dsd;550μm
現像剤層規制;エッジカット方式
現像剤層厚;700μm
現像スリーブ径;40mm
転写条件
転写極;コロナ帯電方式、転写ダミー電流値:45μA
クリーニング条件
クリーニングブレードをカウンター方向(感光体回転方向に対して)に線圧20(N/m)で当接した。
【0259】
評価は、画素率が7%の文字画像、中間調写真画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像を用い、常温常湿環境下(24℃、60%RH)でA4紙10万枚の連続コピーを行い評価した。評価項目及び評価基準を下記に示す。
【0260】
モアレの評価(初期と1万枚コピー毎に合計11枚の複写画像で評価した。)
◎:10万コピーを通してモアレ発生なし:良好
○:初期のみ軽微なモアレ発生:実用性に問題なし
×:初期又は評価途中で顕著なモアレ発生:実用性に問題有り
××:10万コピーを通してモアレ発生:実用性に問題有り
クリーニング性(1万枚コピー毎にA3紙に連続10枚コピーを行い、ベタ白部でのクリーニング不良の発生の有無で判定)
◎:10万枚までブレードめくれやトナーすり抜けによる画像むらの発生なし:良好
○:10万枚以下で、トナーすり抜けによる軽微な画像むらの発生:実用性に問題なし
×:3万枚未満でブレードめくれ又はトナーすり抜けによる画像むら発生:実用性に問題有り
解像度(モアレの発生や、感光体表面へのフィルミング発生による解像度の低下を評価するため、文字画像の判別容易性で判定)
10万枚コピー後の文字画像で解像度を評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0261】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能:良好
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能:実用性に問題なし
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能:実用性に問題有り
ドットラインの再現性
中間調のドットラインの再現性を400dpiのドットライン画像で、且つ画像濃度0.5の濃度域で、4ドットラインのエッジ位置のばらつきで評価した。
【0262】
図8は4ドットラインのエッジ位置のばらつきを図示したもので、エッジ位置のばらつきは、測定長10mmに垂直な方向に、4個のドットから形成されたラインエッジ部凹凸を、図のようにラインに平行な直線ではさみ、その間隔、即ち、最大凸部位置と最小凹部位置の差(ΔL)を示す。
【0263】
測定機:ヤーマン社製画像解析評価装置(測定長:10mm)
◎:ΔLが20μm未満:良好
○:ΔLが20μm以上、30μm未満:実用性に問題なし
△:ΔLが30μm以上、60μm未満:再評価が必要
×:ΔLが60μm以上:実用性に問題有り
評価結果を表4に示す。
【0264】
【表4】
【0265】
表4の結果より、円筒度が5〜40μmで、被覆層膜厚偏差が1.2〜1.8μmであり、且つ式1を満足する有機感光体とトナー粒子の粒度分布が本発明内の組み合わせ(No.1、2、8、12、13、15〜17及び19)はモアレの発生が防止され、クリーニング性、解像度、ドットラインの再現性の評価も良好であるが、円筒度が45μmで、被覆層膜厚偏差が2.5μmの有機感光体を用いた組み合わせ(No.3、9)はクリーニング性や解像度が低下し、ドットラインの再現性も劣っている。又、式1が本発明の範囲から外れた有機感光体の組合せ(No.5、6、11)は、モアレの発生が顕著であり、解像度及びドットラインの再現性も劣化している。更に、式1が本発明の範囲から外れた参考例の組合せ(No.14、18)も、前記本発明内の組み合わせに比し、各評価項目の改善の度合いが低い(◎の数が少ない)。又、トナー粒子の粒度分布が本発明の範囲から外れた組み合わせ(No.4、7、10)は、クリーニング性、ドットラインの再現が低下し、その結果解像度も低下している。
【0266】
【発明の効果】
本発明の有機感光体とトナーの粒度分布を組み合わせた電子写真方式の画像形成方法を用いることにより、デジタル画像の形成時のモアレの発生を防止でき、クリーニング性が良好で、且つ解像度が高く、中間調の画像再現が良好な電子写真画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機感光体の概略正面図である。
【図2】本発明にかかる円筒状基体の製造工程について説明するために(a)、(b)の工程順に示したものである。
【図3】(a)は保持部材の斜視図である。(b)は保持部材の圧力可変手段を示す断面図である。
【図4】円筒状基体の外側表面に感光層を塗布形成した図である。
【図5】被覆層の膜厚偏差を少なくする1本取り浸漬塗布装置の一例の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
【図7】基体外部把持のインロー加工の例である。
【図8】4ドットラインのエッジ位置のばらつきを図示した図である。
【符号の説明】
3 保持部材
4 圧力可変手段
4−1 テーバーの付いた中心棒
10 有機感光体
11 円筒状基体
12a、13a 薄肉部(インロー加工部)
14、15 フランジ
16 感光層
121 感光体
122 帯電器
123 現像装置
124 転写器
125 分離器
126 クリーニング手段
127 PCL(プレチャージランプ)
130 露光光学系
Claims (5)
- 円筒状基体上に少なくとも中間層、感光層を有する被覆層を備えた有機感光体上に、帯電、像露光を経て静電潜像を形成し、該静電潜像を現像工程によりトナー像にし、該トナー像を転写材に転写後に、有機感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程を有する画像形成方法において、前記有機感光体は、円筒度5〜40μmの円筒状基体上に数平均一次粒径が0.02〜0.5μmの酸化チタン粒子を含有する中間層を有し、且つ像露光の露光波長λmで測定した空間周波数0〜2mm-1の範囲の正反射光量のパワースペクトル値の平均値PWSとその測定点の反射光量の平均値Pとの間に下記式1の関係を有しており、前記現像工程のトナーは、トナー粒子の50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.15、トナー粒子の体積粒径の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)とトナー粒子の前記個数粒径の大きい方からの累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.20であり、且つ粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の個数が10個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
式1 0.45×10 -4 mm -1 ≦(PWS/P2)<1.0×10-4mm-1 - 前記有機感光体は、被覆層の実質的な画像形成領域の膜厚偏差が0.2〜2.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記トナー粒子の50%体積粒径(Dv50)が2〜8μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記トナーが重合トナーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
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