本発明は、結着樹脂、着色剤、及びワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであって、
前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重を加え、2.94×10-4Nの最大荷重に達したときに得られる変位量(μm)を変位量X2、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X3、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで荷重を減らし、荷重が0Nとなったときに得られる変位量(μm)を変位量X4、前記最大変位量X3と変位量X4との差を弾性変位量(X3−X4)とし、前記弾性変位量(X3−X4)の前記最大変位量X3に対する百分率[{(X3−X4)/X3}×100:復元率]をZ(25)(%)としたときに、Z(25)は、
40≦Z(25)≦80
の関係を満足し、
前記最大変位量X3の平均値が0.10μm以上0.80μm以下であり、前記最大変位量X3の平均値±20%の値内に最大変位量X3を持つトナー(X3存在率)が65個数%以上100個数%以下で存在することを特徴とする。
また、上記X3存在率は、70個数%以上98個数%以下であることが好ましく、75個数%以上95個数%以下であることがより好ましい。
上記Z(25)と最大変位量X3の値は、例えば、下記手法を用いることで上記関係を満足させることが可能であるがこれらに限定されない。
(1)トナー粒子を水系媒体中で製造する場合は、トナー粒子に後述する極性樹脂を含有させ、極性樹脂によるシェル層を形成させる。更に、該極性樹脂は、コア層を形成する結着樹脂との相溶性を考慮して選定する。
(2)トナー粒子を水系媒体中でコア粒子を製造した後、極性樹脂を構成するモノマーを添加してシード重合することによりシェル層を形成する。
(3)コア粒子よりも体積平均粒子径が小さい極性樹脂微粒子をコア粒子に機械的に付着させる。或いは水系媒体中で体積平均粒子径が小さい極性樹脂微粒子をコア粒子に凝集により付着させ加熱により固着させる。
上述した手法により、トナー粒子がコアシェル構造をとることで、最適な硬さのシェル層を有することができ耐久性が向上する。また、最適な硬さのシェル層を有することでコア層を十分に軟らかく設計することができ、低温での定着性も向上する。
また、X3存在率が上記関係を満足することで、粒子間の材料組成の偏りが少ないために、均一な性質を持つトナー粒子を得ることができ、耐久性が向上する。
本発明におけるトナーに対する微小圧縮試験は、トナー1粒子に対して最大荷重2.94×10-4Nという従来の測定法と比較して小さな荷重をかけて評価を行うことでトナーの表面近傍の硬さ、復元率、及びトナー材料の粒子間均一性を測定するものである。
即ち、本発明のトナーにおいて、Z(25)の値は測定温度25℃において最大荷重をかけた後に除荷した場合に、どの程度トナー表層がもとの状態に戻ろうとするかを表す指標である。Z(25)の値が40未満の場合、現像機装置内で受けるストレスによってトナーが変形しやすくなり、現像性及び転写性が低下しやすい。また、トナー表層近傍は定着時に柔らかくなりすぎて、定着ローラー表面にトナーが移行しやすくなり、耐高温オフセットが低下しやすい。一方、Z(25)の値が80を超えると、トナー表層近傍は変形しにくくなるため、定着工程においてワックスのブリード性が低下し、低温側でのオフセットが発生しやすくなり低温定着性には不向きである。また、トナー粒子表面が変形しにくくなるため、トナー粒子表面に外添剤が付着しにくく、多数枚のプリントアウトを行うとトナー表面の外添剤が遊離しやすくなり、現像性や転写性が低下する傾向がある。
一方、本発明のトナーにおいて、X3存在率の値は測定温度25℃において最大荷重をかけたときの粒子の変位量が、最大変位量の全体の平均値に対して±20%以内の値に存在する割合であり、粒子間の材料組成の均一性を表す指標である。すなわち、X3の平均値±20%内に最大変位量をもつトナーは、トナー粒子を構成する各種材料の比率が粒子間で均一であるため、シェル層の厚さやコア層の硬さが粒子間で均一となり、粒子間の性質の差が小さくなる。また、トナー表面から表面近傍の極性樹脂の存在状態から着色剤、荷電制御剤の存在状態も均一となりやすいため、帯電性も均一となる。
材料組成が均一であり、性質が同じであるトナー粒子の比率が増えることで、性質の異なるトナー粒子の固着による部材汚染が抑制され、また、多数枚プリントアウトした後の帯電均一性を保つことができ、現像性を維持するこができる。本発明のトナーにおいてX3存在率が65%未満の場合、トナー粒子間で材料組成が均一でないために性質が異なるトナー粒子が多く存在し、トナー担持体や、規制部材に融着しやすくなるため現像性が低下しやすい。また、帯電均一性が低下し、多数枚プリントアウト後の現像性や転写性が低下する傾向にある。
更に耐久性を向上させるうえで、X3存在率は70個数%以上98個数%以下が好ましく、75個数%以上95個数%以下がより好ましい。X3存在率が95個数%を超えると、実用上問題はないが、均一な組成のトナーが選択的に現像しやすくなり、多数枚プリントアウト後の帯電均一性が下がり、現像性が低下する傾向がある。
また、上記X3存在率は、例えば、懸濁重合法トナーにおいては着色剤含有重合性単量体及び極性樹脂含有重合性単量体の混合状態を調整することで制御可能である。
更に耐久性と定着性を両立させるうえで、本発明のトナーにおいてはX3の平均値が0.10μm以上0.80μm以下であることが必要である。
X3の平均値が0.10μm未満ではトナー表層近傍が硬くなるため、定着工程においてワックスのブリード性が低下し、低温側でのオフセットが発生しやすくなり低温定着性には不向きである。また、トナー粒子表面が変形しにくくなるため、トナー粒子表面に外添剤が付着しにくく、多数枚のプリントアウトを行うとトナー表面の外添剤が遊離しやすくなり、現像性や転写性が低下する傾向がある。一方、X3の平均値が0.80μmを超えるとトナー表層近傍は定着時に柔らかくなりすぎて、定着ローラー表面にトナーが移行しやすくなり、耐高温オフセット性が低下しやすい。
また、上記Z(25)、最大変位量X3は、例えば懸濁重合法においては、表層を形成する極性樹脂やトナーの結着樹脂のガラス転移温度や重量平均分子量、或いは極性樹脂や架橋剤の添加量等を調節することで上記範囲を満たすことが可能である。
また、前記微小圧縮試験において、測定温度25℃で、荷重と変位量をプロットした荷重−変位曲線において、原点から前記最大荷重に達するまでの荷重−変位曲線の傾きを、R(25)[2.94×10-4/変位量X2(N/μm)]としたときに、R(25)の値は温度25℃におけるトナー表層近傍の硬さを表す指標である。R(25)の値が0.49×10-3N/μm未満の場合、現像装置内で受けるストレスによってトナーが潰れやすく、変形し現像性及び転写性が低下しやすい。
これに対し、R(25)の値が1.70×10-3N/μmを超えると、トナー表層近傍は硬くなるとともに脆くなるため僅かな負荷によってトナーが変形してしまう恐れがあり、耐久性が低下すると共に低温定着性が低下しやすい。
また、本発明のトナーは、前記微小圧縮試験において、測定温度50℃で、トナー1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで2.94×10-4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X’2、最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X’3、0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10-5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X’4、最大変位量X’3と変位量X’4との差を弾性変位量(X’3−X’4)とし、弾性変位量(X’3−X’4)の最大変位量X’3に対する百分率[(X’3−X’4)/X’3×100:復元率]をZ(50)(%)としたときに、Z(50)が、10≦Z(50)≦55、の関係を満足することが好ましい。該関係を満足することで、トナーが定着工程における瞬時の熱でも高いブリード性を発揮することができ、低温定着性を一層向上させることができる。また、上記Z(50)は、15≦Z(50)≦35の関係を満たすことがより好ましい。
更に耐久性と定着性を両立させるうえで、本発明のトナーにおいてはX’2が0.02μm以上0.60μm以下であり、X’3が0.05μm以上0.70μm以下であることが好ましい。
上記R(25)及びZ(50)は、例えば、懸濁重合法においては、極性樹脂やトナーの結着樹脂のガラス転移温度や重量平均分子量、或いは架橋剤の添加等を調節することで上記範囲を満たすことが可能である。
次に、図1を参照しながら微小圧縮試験の測定方法について説明する。
図1は微小圧縮試験で本発明のトナーを測定した際のプロファイル(荷重−変位曲線)であり、横軸はトナーが変形した変位量、縦軸はトナーにかけている荷重量を表している。
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス製 超微小硬度計ENT1100を用いた。使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用いて測定した。図中の1−1は試験を始める前の最初の状態(原点)であり、最大荷重2.94×10-4Nに対し、9.8×10-5N/secの負荷速度で荷重を掛ける。最大荷重に到達直後は1−2の状態であり、このときの変位量をX2(μm)とする。1−2の状態で0.1秒間、その荷重で放置する。放置終了直後の状態が1−3を示しており、このときの最大変位量をX3(μm)とし、さらに最大荷重を経て9.8×10-5N/secの除荷速度で荷重を減らし、荷重が0Nになったときが1−4の状態である。このときの変位量をX4(μm)とする。
弾性変位量(X3−X4)の最大変位量X3に対する百分率(以下、復元率(%)とも称する)を示すZ(25)は{(X3−X4)/X3}×100として求めた。また、原点から最大荷重に達するまでの[荷重−変位曲線の傾き]R(25)は1−1から1−2までの荷重−変位曲線を一次直線と近似し、その直線の傾きは(2.94×10-4)/X2(N/μm)として算出した。更にZ(50)の値は、トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度50℃で測定することを除いて、上記Z(25)の測定方法と同様にして得られた最大変位量X’3及び変位量X’4から求められた値である。
実際の測定は、セラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセラミックセル上に分散するようにエアーを吹き付けた後に、そのセラミックセルを超微小硬度計にセットして測定する。
また、測定の際にはセラミックセルを温度制御が可能な状態にし、このセラミックセルの温度を測定温度とした。すなわちR(25)及びZ(25)はセルの温度を25℃として測定し、R(50)はセルの温度を50℃として測定した。なお、セラミックセルの温度調整は、セラミックセルを超微小硬度計に設置し、セラミックセルが測定温度に到達してから10分以上放置した後、測定を開始した。
測定は超微小硬度計に付帯する顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)にトナーが1粒子で存在しているもの選択した。変位量の誤差を極力無くすため、トナーの個数平均粒径D1の±0.20μmのものを選択して測定した。なお、測定用画面から任意のトナーを選択するが、測定画面上でのトナーの粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]の値がD1の±0.20μmとなるトナーを選択して測定した。
測定データに関しては任意の粒子100個を選んで測定し、測定結果として得られたZ(25)、Z(50)及びR(25)の平均値を求めた。また、前記最大変位量X3の平均値±20%の値内に最大変位量X3を持つ粒子の比率をX3存在率とした。
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
本発明に用いられるトナー粒子の製造法は特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作成する粉砕法や、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法の如き、水系媒体中で造粒する製造法で作成することが可能である。
これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物である調整液とする。その後、この調整液を分散剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。
また、該重合性単量体組成物である調整液は超音波発振装置により混合して得られるものであることが本発明の好ましい形態である。特に、トナー粒子が、重合性単量体に着色剤を分散させて着色剤含有重合性単量体を得る分散工程、重合性単量体に極性樹脂を溶解させて極性樹脂含有重合性単量体を得る溶解工程、超音波発振装置を用いて着色剤含有重合性単量体と極性樹脂含有重合性単量体とを混合して重合性単量体組成物である調整液を得る調整工程、並びに調整液を水系分散媒体に分散して重合性単量体組成物の粒子を生成する造粒工程を有する懸濁重合法によって製造されたトナーであることが好ましい。
特に、重合性単量体に着色剤を分散させた着色剤含有重合性単量体と重合性単量体に極性樹脂を溶解させた極性樹脂含有重合性単量体を混合して前記重合性単量体組成物である調整液を得る場合、前記混合を行う際に超音波発振装置を用いて行うことにより、前記重合性単量体組成物を得る工程における着色剤のピグメントショックを抑制し、かつ従来に比べ、極性樹脂や各種材料を均一に混合させ、更には着色剤を微細でかつ均一な状態に分散させることが可能となる。そして、そのようにして得られた重合性単量体組成物である調整液を用いて重合反応を行うことにより、トナー表面及び表面近傍の極性樹脂の存在状態から内部構造における着色剤の存在状態まで均一になりやすい。そのため、本発明のトナーの耐久性が向上し、部材汚染も生じづらくなるだけでなく、更には帯電性が均一になりやすくなる。
本発明に用いられる前記超音波発振装置の形状の一例を、図2及び図3に示す。本発明に好ましく用いられる形状は、図2の様な超音波照射部分が、円柱の周方向に凸部を有する超音波を照射するための振動子を有しており、前記凸部が、前記円柱に対して同心円を形成する凸部である形状を有することがより好ましい。
この構造は、超音波照射部が複数有することになり、それだけ超音波処理される頻度が増えるため、処理物の分散・溶解ムラが非常に少なく、均一でかつ従来に比べ短時間で所定の分散状態に達することができる。
前記重合性単量体組成物を得る工程において、前記超音波発生装置1台当たりの出力をA(W)、前記超音波発生装置1台当たりの超音波照射部面積をB(cm2)とした時、A≧1700かつ、A/Bが9≦A/B≦65の範囲であることが好ましい。Aが1700未満では、量産機としてスケールが小さすぎるため好ましくない。かつ、A/Bが、9未満では、超音波の加速度が小さく、分散・混合効率が悪く、65を超えると、超音波照射部の磨耗が大きく、着色剤含有重合性単量体組成物へのコンタミや装置自体の消耗が激しいため、好ましくない。
前記重合性単量体組成物を得る工程において超音波処理される着色剤含有重合性単量体組成物をC(kg)、超音波発生装置の合計出力をD(kW)とした時、20≦C/D≦165の範囲であることが好ましい。C/Dが、165を超える領域では、照射エネルギーが小さすぎるため、所望の分散・混合レベルを達成するのが困難である。また、20未満では、分散状態が飽和傾向示し、過剰エネルギーとなるため、省エネ上好ましくない。
以下に本発明で用いられる材料について説明する。
本発明に用いられる結着樹脂としては、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。上記結着樹脂の製造に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が挙げられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
上記重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体。
これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139乃至192(John Wiley&Sons製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)を参考にして単量体を適宜混合して用いられる。
また本発明のトナーにおいては、トナー粒子が極性樹脂を含有することも好ましい形態である。更に、前記極性樹脂の示差走査熱量測定(DSC)装置で測定されるガラス転移温度(Tg)が80℃以上120℃以下であることが好ましい。Tgを該範囲とすることでトナーの耐久性と低温定着性の両立を更に高めることができる。本発明のトナーにおいて、Tgが80℃未満の場合、トナーの耐久性が低下する傾向にあり、Tgが120℃を超える場合、低温定着性が低下する傾向にある。
上記Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC測定装置)Q1000(TAインスツルメンツジャパン社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて、以下の方法及び条件で測定した。
<測定条件及び方法>
(1)モジュレーティッドモードを使用。
(2)温度20℃で5分間平衡を保つ。
(3)1.0℃/minのモジュレーションを使用し、温度140℃まで1℃/minで昇温。
(4)温度140℃で5分間平衡を保つ。
(5)温度20℃まで降温。
測定サンプルは約3mgを精密に秤量する。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定範囲20乃至140℃の間で、昇温速度1℃/minで測定を行う。ここでいうガラス転移温度(Tg)は中点法で求める。
本発明に用いられるトナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、調整工程に極性樹脂を添加することが好ましい。その場合、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、極性樹脂の存在状態を制御することができる。即ち、添加した極性樹脂をトナー粒子の表面に薄層のシェルを形成させたり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在させたりすることが可能である。また、極性樹脂の添加により、コアシェル構造のシェル部分の強度を自由に制御することができる。そのため、トナーの耐久性と定着性の最適化することができる。
極性樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは15質量部以上、30質量部以下である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となりやすく、トナーの摩擦帯電分布がブロードになりやすい。一方、30質量部を超えるとトナー粒子の表面に形成される極性樹脂の薄層が厚くなり定着性が低下しやすくなる。
本発明に用いられる極性樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。特に極性樹脂として、3,000以上50,000以下のピーク分子量を有するスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体がトナー製造時の添加量を自由に制御できるので好ましい。また、極性樹脂として、スチレン−メタクリル酸共重合体、又はスチレン−アクリル酸共重合体を用いた場合、トナーの結着樹脂との相溶性がさらに良好になるため好ましい。その結果、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在しやすくなりコア層とシェル層との密着性が高まり、トナーの耐久性が向上する。
上述のように、本発明のトナーの有する好ましい態様として、トナー粒子において、コアシェル構造が形成されていること、コア層とシェル層との密着性が高められていること、常温ではトナーの加圧時の外的要因に対する強靭性が大きいこと、トナーの加熱時にコア成分(特にワックス)がブリード性を有することが挙げられる。トナー粒子のこれら特性は、現像特性、転写特性、及び定着特性に貢献しているものと思われる。
本発明に用いられるワックス成分としては以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム如きの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロップシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス。
この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。更に好ましくは、トータルの炭素数が同一の化合物が50乃至95質量%ワックスに含有されているものが、ワックス純度が高く現像性の観点で、本発明の効果を発現し易い。
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーの結着樹脂の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。以下の、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が例示できる。これらは、単独もしくは混合として使用できる。好ましい添加量としては、結着樹脂100質量部に対し0.001乃至15質量%である。
本発明に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、上記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に選定され、単独又は混合して使用される。
本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料または染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系/マゼンタ系/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
前記着色剤は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
本発明において、重合法を用いてトナーを得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。従って、好ましくは、表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を着色剤に施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
染料系着色剤の重合阻害性を抑制する方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサンで処理を行っても良い。
本発明では、帯電制御や水系媒体中の造粒安定化を主目的として、スルホン酸基を側鎖に持つ高分子が用いられることが好ましい。その中で特にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を含有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
上記重合体を製造するためのスルホン酸基を有する単量体として、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸が例示できる。
本発明に用いられるスルホン酸基等を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては以下の、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン等が例示出来る。
多官能性重合性単量体としては以下の、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が例示できる。
そして上記スルホン酸基等を有する重合体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し0.01乃至5.0質量部を含有することが好ましい。より好ましくは、0.1乃至3.0質量部である。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
上記荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
一方、荷電制御剤として、トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
これら荷電制御剤の中でも、本発明の効果を十分に発揮するためには、金属を含むサリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上、10質量部以下である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
前述の懸濁重合による製造方法において、分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
具体的には、無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
一方、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、分散剤として、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
上記分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、上記難水溶性無機分散剤を生成させて水系分散媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することが挙げられる。
本発明のトナーは、流動化剤として無機微粉体が外添されている。
本発明のトナー粒子に外添する無機微粉体は、少なくともシリカ微粉体を含むことが好ましい。該シリカ微粉体の個数平均一次粒径は、4nm以上80nm以下であることが好ましい。本発明において個数平均一次粒径が上記範囲にあることで、トナーの流動性が向上すると共に、トナーの保存安定性も良好になる。
上記無機微粉体の個数平均一次粒径は、次のようにして測定される。
個数平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の無機微粉体の粒子径を測定して平均粒子径を求める。
また無機微粉体として、シリカ微粉体と酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物の微粉体を併用することができる。併用される無機微粉体としては、酸化チタンが好ましい。
上記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者の微粉体が含まれる。該シリカとしては、表面及びシリカの内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。シリカはそれらも包含する。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の摩擦帯電の均一化のために添加される。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上等の機能を付与することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナー粒子に外添された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの如き処理剤は単独で或いは併用して用いても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
次に本発明で用いられる画像形成方法について図4及び図5を用いて説明する。
本願実施例で用いられる画像形成方法を含む、画像形成装置の構成を図4に示す。図4に示された画像形成装置は転写方式電子写真プロセスを用いたレーザビームプリンタである。特に、図4はタンデム型のカラーLBP(カラーレーザープリンタ)の断面図を示す。
<プロセスカートリッジ>
図4は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置に好適に用いることのできる、プロセスカートリッジ7(以下、「カートリッジ」ともいう。)の断面模式図である。
カートリッジ7は、感光体ドラム1と、帯電手段2及びクリーニング手段6を備えたクリーナユニット50と、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像手段4を有する現像ユニット4Aとを有する。クリーナユニット50を構成するクリーニング枠体31には、感光体ドラム1が軸受部材(不図示)を介して回転自在に取り付けられている。
感光体ドラム1には、感光体ドラム1の外周面に設けられた感光層を一様に帯電させるための帯電ローラー2、転写後に感光体ドラム1上に残った現像剤(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード60が接触している。クリーニングブレード60によって感光体ドラム1表面から除去されたトナー(除去トナー)は、クリーニング枠体31に設けられた除去トナー収納室35に納められる。
現像ユニット4Aは、トナーを収容する現像枠体45(45a、45b、45e)を有しており、現像ローラー40(矢印Y方向に回転)が軸受部材を介して回転自在に現像枠体45に支持されている。また、現像ローラー40と接触してトナー供給ローラー43(矢印Z方向に回転)とトナー規制部材44がそれぞれ設けられている。さらに現像枠体45には収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラー43に搬送するためのトナー搬送機構42が設けられている。
そして、現像ユニット4Aがクリーナユニット50に対して揺動自在に支持されている。すなわち、現像枠体45の両端に設けた結合穴47、48とクリーナユニット50のクリーニング枠体31両端に設けた支持穴(不図示)を合わせ、クリーナユニット50両端からピン(不図示)を差し込んでいる。
また、支持穴を回転軸中心として現像ローラー40が感光体ドラム1に接触するように加圧バネ(不図示)によって現像ユニット4Aが常に付勢されている。
現像時には、トナー容器41内に収納されたトナーがトナー撹拌機構42によってトナー供給ローラー43へ搬送される。トナー供給ローラー43が、現像ローラー40との摺擦によって現像ローラー40にトナーを供給し、現像ローラー40上にトナーを付着させる。現像ローラー40上に付着されたトナーは、現像ローラー40の回転にともなってトナー規制部材44のところに至る。そして、トナー規制部材44がトナーを規制して所定のトナー薄層を形成し、所望の帯電電荷量を付与する。現像ローラー40上で薄層化されたトナーは、現像ローラー40の回転につれて、感光体ドラム1と現像ローラー40とが接近した現像部に搬送される。そして、現像部において、電源(不図示)から現像ローラー40に印加した現像バイアスにより、感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像化する。静電潜像の現像化に寄与せずに現像ローラー40の表面に残留したトナーは、現像ローラー40の回転にともなって現像枠体45内に戻される。そして、トナー供給ローラー43との摺擦部で現像ローラー40から剥離、回収される。回収されたトナーは、トナー撹拌機構42により残りのトナーと撹拌混合される。
ここで現像ローラー40には弾性ローラーを用い、これを感光体ドラム1表面と接触させる方法を用いることができる。一般にトナー担持体と感光体が接触する現像方式においては、トナーの破損、変形が生じやすくなるが、本発明記載のトナーを用いた場合にはこうした変化を効果的に抑制することが出来るため、好ましい。
トナー担持体と感光体が接触する現像方式では、トナーを介して感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像が行われる。従って弾性ローラー表面或いは表面近傍が電位を持ち、感光体表面とトナー担持体表面の狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、該導電性ローラー上に感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ或いは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けた構成も可能である。また、トナー担持体として剛体ローラーを用い、感光体をベルトの如きフレキシブルな物とした構成も可能である。トナー担持体としてのローラーの抵抗値としては102乃至109Ω・cmの範囲が好ましい。
トナー担持体の表面形状としては、その表面粗さRa(μm)を0.1乃至3.0となるように設定すると、高画質及び高耐久性を両立できる。該表面粗さRaはトナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。該トナー担持体の表面粗さRaが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗さRaが0.1よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
本発明において、トナー担持体の表面粗さRaは、日本工業規格(JIS)B06014.2.1項(改正年月日2001年1月20日、確認年月日2005年7月20日)に定める算術平均粗さである。本発明においては、表面粗さ測定器(小坂研究所社製サーフコーダSE3500)を用い、トナー担持体表面の任意の1点より、トナー担持体回転軸と平行となる方向に測定を行った。なお、カットオフ値は0.8mm、測定長さは2.5mm、測定速度は0.1mm/秒とした。
図4の画像形成方法においては、トナー担持体は感光体の周速同方向に回転しているが、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05乃至3.0倍となるように設定することが好ましい。
トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0倍を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
トナー担持体が弾性ローラーである場合、表面に弾性層を有する構造のものが好ましく用いられる。該弾性ローラーに使用される弾性層の材料の硬度としては、30乃至60度(ASKER−C/荷重1kg)のものが好適に使用される。
また、トナーコート量はトナー規制部材44により制御されるが、このトナー規制部材44はトナー層を介して現像ローラー40に接触している。この時のトナー規制部材44と現像ローラー40との接触圧は、線圧として0.05N/cm以上0.5N/cm以下が好ましい範囲である。
尚、線圧とはトナー規制部材の長さ当たりに加えられる荷重のことであり、例えば1mの当接長さを有するトナー規制部材に1.2Nの荷重を加えて現像ローラーに接触させた場合、線圧は1.2N/mとなる。線圧が0.05N/cmよりも小さいとトナーコート量の制御に加え均一な摩擦帯電も難しくなり、カブリの悪化等の原因となる。一方、線圧が0.5N/cmよりも大きくなるとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形やトナー規制部材或いは現像ローラーへのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
トナー規制部材44の自由端部はどのような形状でもよく、例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
トナー規制部材としては、基材としてステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体を用い、スリーブ当接部に当る部位に樹脂を接着あるいはコーティング塗布したものが好適に用いられる。
またさらに、トナー規制部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
<画像形成装置>
図5は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置の一例を示す断面模式図である。画像形成装置100は4個の画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを縦方向に並設している。そして、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdには、各々、装着手段(不図示)によってプロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が着脱可能に装着される。なお、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各カートリッジ7a、7b、7c、7dは同一構成である。
本模式図では、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、縦方向に僅かに傾斜して並設されているが、傾斜することなく縦方向に整列して設けてもよい。また、プロセスカートリッジ7は、図4に例示したものと同じであっても良いし、異なっていても良い。
各カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)は、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備えている。感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、同図中、反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に以下の手段が設けられている。(A)感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a、2b、2c、2d)。(B)画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1に静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)。(C)静電潜像に現像剤(以下、「トナー」という。)を付着させてトナー像として現像する現像手段4(4a、4b、4c、4d)。(D)感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体Sに転写させる転写装置5。(E)転写後の感光体ドラム1表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段6(6a、6b、6c、6d)。
ここで、感光体ドラム1と、プロセス手段である、帯電手段2、現像手段4、クリーニング手段6は、カートリッジ枠体により一体的に構成してカートリッジ化されカートリッジ7を構成している。
感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、シリンダの外周面に感光層を設けて構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
上記感光体としては、a−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光体ドラムが好適に使用される。また、上記OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
帯電手段2(2a、2b、2c、2d)としては、接触帯電方式のものを使用している。帯電手段2は、ローラー状に形成された導電性ローラーである。このローラーを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、このローラーに帯電バイアス電圧を印加する。これにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させる。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が線圧として0.05乃至5N/cmである。また印加電圧としては、直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好適に用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5乃至5dVpp、交流周波数=50Hz乃至5kHz、直流電圧=±0.2乃至±1.5kVであることが好ましい。また、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVであることが好ましい。
帯電ローラー以外の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要になり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
スキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)は、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、高速回転されるポリゴンミラー(不図示)及び結像レンズ(不図示)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を画像情報に応じ露光する。これによって、感光体ドラムに静電潜像を形成する。
現像手段4(4a、4b、4c、4d)は、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各色のトナーを夫々収納したトナー容器41から構成され、トナー容器41内のトナーを送り機構42によってトナー供給ローラー43へ送り込む。
前記トナー供給ローラー43は、図示時計方向に回転し、トナー担持体としての現像ローラー40へのトナーの供給、及び、静電潜像の現像化に寄与せず現像ローラー40上に残留したトナーのはぎとりを行う。
現像ローラー40へ供給されたトナーは、現像ローラー40外周に圧接されたトナー規制部材44によって現像ローラー40(時計回り方向に回転)の外周に塗布され、且つ電荷を付与される。そして、潜像が形成された感光体ドラム1と対向した現像ローラー40に現像バイアスを印加する。そして、潜像に応じて感光体ドラム1上にトナー現像を行う。
転写装置5には、すべての感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が設けられている。この転写ベルト11は、駆動ローラー13、従動ローラー14a、14b、テンションローラー15に張架されていて、図中左側の外周面に記録媒体Sを静電吸着する。そして、転写ベルト11は、感光体ドラム1に記録媒体Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録媒体Sは転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
この転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向した位置に転写ローラー12(12a、12b、12c、12d)が並設される。これら転写ローラー12には、転写時にバイアスが印加されて、電荷が静電転写ベルト11を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光体ドラム1に接触中の記録媒体Sに、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
給送部16は、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdに記録媒体Sを給送搬送するものである。給送部16には、複数枚の記録媒体Sがカセット17に収納されている。画像形成時には給送ローラー18(半月ローラー)、レジストローラー19が画像形成動作に応じて駆動回転する。給送ローラー18は、カセット17内の記録媒体Sを1枚毎に分離給送した後、レジストローラー19に記録媒体S先端を突き当てて一旦停止させる。その後レジストローラー19は、転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、記録媒体Sを静電転写ベルト11へと給送する。
定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色のトナー画像を定着させるものである。そして、定着部20は、加熱ローラー21aと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラー21bとを有する。即ち、感光体ドラム1に形成されたトナー像を転写された記録媒体Sは定着部20を通過する際に、加圧ローラー21bで搬送されるとともに、加熱ローラー21aによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像が記録媒体S表面に定着される。
画像形成の動作としては、カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が、画像形成タイミングに合わせて順次駆動される。そして、その駆動に応じて感光体ドラム1a、1b、1c、1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラー2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与する。そして、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面に静電潜像を形成する。現像手段4内の現像ローラー40は、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
最上流の感光体ドラム1の周面上に形成されたトナー像の先端が、転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に記録媒体Sの印字開始位置が一致するようにレジストローラー19が回転し記録媒体Sを転写ベルト11へ給送する。
記録媒体Sは吸着ローラー22と転写ベルト11とによって挟み込むようにして転写ベルト11の外周に圧接される。そして、転写ベルト11と吸着ローラー22との間に電圧を印加する。そして、誘電体である記録媒体Sと転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起して、記録媒体Sを転写ベルト11の外周に静電吸着させている。これにより、記録媒体Sは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
このように搬送されながら記録媒体Sは、各感光体ドラム1と転写ローラー12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
4色のトナー像を転写された記録媒体Sは、ベルト駆動ローラー13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。記録媒体Sは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラー23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で本体外に排出される。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。以下にトナー粒子の製造方法について記載する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
(実施例1)
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム9部、10%塩酸11部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、pH5.2の水系媒体を調製した。
また、下記の材料をプロペラ式撹拌装置にて100r/minで均一に溶解混合して極性樹脂含有重合性単量体を調製した。
スチレン 30部
n−ブチルアクリレート 31部
極性樹脂1:スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(共重合比=95.6:1.7:2.7、Mp=69000、Mw=68000、Tg=102℃、酸価=12.0mgKOH/g、Mw/Mn=2.1) 20.0部
また、下記処方をアトライターで分散し、着色剤含有重合性単量体を得た。
・スチレン 39.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.5部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0部
次に、前記着色剤含有重合性単量体と前記極性樹脂含有重合性単量体を混合して調整液を得た後、前記調整液を60℃に加温し、そこに融点が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋社製):8部を添加した。次いで、前記調整液内に図2に示すような超音波発振装置を導入し、超音波照射部より超音波を、調整液中に30分間照射しながら分散・混合を行った。なお、超音波を発振するに際しては、超音波出力をA、超音波照射部面積をBとした時、超音波出力Aを5.2kW、A/Bを65.0W/cm2に設定する。また、超音波処理される着色剤含有重合性単量体をC(kg)、超音波発生装置の合計出力をD(kW)とした時、C/Dを60kg/kWに設定し分散・混合を行った。
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間撹拌し、造粒した。
その後、プロペラ式撹拌装置に移して100r/minで撹拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
次に、上記粒子を温度40℃にて12時間乾燥して着色粒子を得、前記着色粒子を風力分級することにより粒度を調整しトナー粒子1を得た。
上記トナー粒子100部と、外添剤としてBET値が170m2/gであり、一次粒径が10nmの疎水性シリカ微粉体2.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナー(A)を得た。トナー(A)の物性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、超音波を照射する条件についてC/Dを30kg/kWに設定し、15分間照射して分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(B)を得た。トナー(B)の物性を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、超音波を15分間照射して分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(C)を得た。トナー(C)の物性を表1に示す。
(参考例4)
実施例1において、超音波を照射する条件についてC/Dを100kg/kWに設定し、15分間照射して分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(D)を得た。トナー(D)の物性を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、超音波を照射する条件についてC/Dを30kg/kWに設定し、分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(E)を得た。トナー(E)の物性を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、超音波を照射する条件についてC/Dを30kg/kWに設定し、60分間照射して分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(F)を得た。トナー(F)の物性を表1に示す。
(参考例7)
実施例1において、超音波を照射する条件についてC/Dを160kg/kWに設定し、15分間照射して分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(G)を得た。トナー(G)の物性を表1に示す。
(参考例8)
実施例1において、図3に示すような超音波発振装置を導入し、超音波出力Aを5.2kW、A/Bを305.9W/cm2、C/Dを60kg/kWに設定し、30分間照射して分散・混合を行った以外は同様の方法によりトナー(H)を得た。トナー(H)の物性を表1に示す。
(参考例9)
実施例1において、極性樹脂としてTgが122℃のスチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(スチレン/αメチルスチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル=65.60/30.00/1.70/2.70)を20.0部添加すること以外は同様の方法によりトナー(I)を得た。トナー(I)の物性を表1に示す。
(参考例10)
実施例1において、極性樹脂としてTgが122℃のスチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(スチレン/αメチルスチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル=65.60/30.00/1.70/2.70)を30.0部添加すること以外は同様の方法によりトナー(J)を得た。トナー(J)の物性を表1に示す。
(参考例11)
実施例1において、極性樹脂としてTgが76℃のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート共重合体(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ブチルアクリレート=83.85/2.50/1.65/12.00)を20.0部添加すること以外は同様の方法によりトナートナー(K)を得た。トナー(K)の物性を表1に示す。
(参考例12)
実施例1において、極性樹脂としてTgが76℃のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート共重合体(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ブチルアクリレート=83.85/2.50/1.65/12.00)を10.0部添加すること以外は同様の方法によりトナー(L)を得た。トナー(L)の物性を表1に示す。
(参考例13)
実施例1において、極性樹脂としてTgが132℃のスチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(スチレン/αメチルスチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル=55.60/40.00/1.70/2.70)を30.0部添加すること以外は同様の方法によりトナー(M)を得た。トナー(M)の物性を表1に示す。
(参考例14)
実施例1において、極性樹脂としてTgが67℃のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート共重合体(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ブチルアクリレート=72.35/2.50/1.65/23.50)を20.0部添加すること以外は同様の方法によりトナー(N)を得た。トナー(N)の物性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、超音波照射を行わずに、分散・混合した以外は同様の方法によりトナー(a)を得た。トナー(a)の物性を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において、ジビニルベンゼンを2.0部添加して重合を行うこと以外は同様の方法によりトナー(b)を得た。トナー(b)の物性を表1に示す。
(比較例3)
比較例1において、スチレンの添加量を15.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を46.0部に変更して極性樹脂含有重合性単量体を得たこと以外は同様の方法によりトナー(c)を得た。トナー(c)の物性を表1に示す。
(比較例4)
比較例1において、スチレンの添加量を12.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を49.0部に変更して極性樹脂含有重合性単量体を得たこと以外は同様の方法によりトナー(d)を得た。トナー(d)の物性を表1に示す。
(比較例5)
比較例1において、スチレンの添加量を43.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を18.0部に変更して極性樹脂含有重合性単量体を得た以外は同様の方法によりトナー(e)を得た。トナー(e)の物性を表1に示す。
以下に本発明の評価方法および評価基準について説明する。
画像形成装置としては(定着フィルムを用いて軽負荷定着を行う)市販のレーザプリンタであるLBP−5400(キヤノン製)の改造機を用いた。
評価機の改造点は以下のとおりである。
(1)評価機本体のギアおよびソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが190mm/secとなるようにした。
評価に用いるカートリッジはシアンカートリッジを用いた。すなわち、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、本発明によるトナーを充填して評価を行った。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
<定着性に関する評価>
(低温定着性/高温オフセット/巻きつき性について)
上記LBP−5400(キヤノン製)の改造機において、現像器に実施例、参考例及び比較例記載のトナーを85g充填したものを作り、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて24時間放置する。この際、転写紙も同様に放置する。その後、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて、シアン単色モードにてプロセススピードを190mm/sとして未定着画像を出力した。
(低温定着性)
転写材として、複写機用普通紙(64g/m2紙)を用い、トナーのり量が0.6mg/cm2のベタ画像をのせた未定着画像を得た。これを、IRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いてプロセススピードを200mm/sにて定着させた。定着温度は温度130乃至200℃の範囲を5℃間隔で実施した。その画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5回往復し、濃度低下率が20%以上となる温度を定着下限温度として評価した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
評価基準
A:定着下限温度が、145℃未満
B:定着下限温度が、145℃以上155℃未満
C:定着下限温度が、155℃以上165℃未満
D:定着下限温度が、165℃以上175℃未満
(耐高温オフセット性)
転写材として、Xerox4200(ゼロックス社製)(75g/m2紙)を用い、未定着画像のベタ画像部のトナーのり量が0.6mg/cm2であり、A4横置きで先端から5cmの全域がベタ画像部であり、それ以外がベタ白という未定着画像を得た。これを、IRC3200の定着機を用いて温度170乃至200℃の範囲を5℃間隔で設定した定着温度で定着させた。プロセススピードを50mm/sにて定着させた。白地部に現れるオフセットのレベルを目視確認した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
評価基準
A:オフセットが全く発生しない
B:定着温度200℃で、A4縦置きで通紙した部分以外の端部にうっすらとオフセットが発生した。
C:定着温度200℃で、長手方向全域に、オフセットが発生した。
D:定着温度190℃で、A4縦置きで通紙した部分以外の端部にオフセットが発生した。
(定着ローラへの巻きつき性)
転写材として複写機用普通紙(64g/m2紙)を用いて評価を行った。転写紙先端から1mmの位置から、トナーのり量1.1mg/cm2のベタ画像を載せ、未定着画像を得た。これを、IRC3200の定着機を用いて、プロセススピードを150mmとして定着させた。この時、定着温度を温度175℃から5℃ずつ低下させて定着させたとき、転写紙が定着ローラに巻きつく温度を定着ローラ巻きつき温度とした。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
評価基準
A:155℃以下
B:160℃
C:165℃
D:170℃
<現像性に関する評価>
上記LBP−5400(キヤノン製)の改造機において、現像器に実施例、参考例及び比較例記載のトナーを200g充填したものを作り、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて24時間放置する。この際、転写紙も同様に放置する。なお、現像性に関する評価では転写紙としてはXerox4200(ゼロックス社製)(75g/m2紙)を用いた。その後、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて、1%の印字比率の画像を25000枚まで間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウトした。その際、初期と10000枚耐久後と25000枚耐久後に後述の項目について画像評価を行った。
(画像濃度)
画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
評価基準
A:1.40以上
B:1.30以上1.40未満
C:1.20以上1.30未満
D:1.10以上1.20未満
(カブリ)
カブリの評価方法は白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
評価基準
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上5.0%未満
(転写性)
転写性の評価は初期と初期と10000枚後及び初期と25000枚後耐久後の転写効率を測定することで行った。転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をE、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をDとし、近似的に以下の式で計算した。
転写性の基準は上記により求めた転写効率を以下の基準に基づいて判断した。
評価基準
A:非常に良好(97%以上)
B:良好 (94〜97%未満)
C:実用可 (90〜94%未満)
D:実用不可 (90%未満)
転写効率は90%以上であれば問題のない画像である。
(帯電均一性)
帯電均一性は以下の示す評価を行った。
即ち、初期と10000枚後及び初期と25000枚後のカートリッジ内トナーの粒度分布測定を前述の重量平均粒径(D4)の測定方法に則って行い、得られた各々の重量平均粒径(D4)から下記式を基にその粒度変化率を算出して下記基準に基づいて評価を行った。
初期の重量平均粒径(D4)/10000枚後(又は25000枚後)の重量平均粒径(D4)×100=粒度変化率(%)
評価基準
A:95≦粒度変化率(%)≦100
B:85≦粒度変化率(%)<95
C:75≦粒度変化率(%)<85
D:粒度変化率(%)<75
Aが最もよく、Dが最も悪い。
(部材汚染)
部材汚染は、現像剤担持体表面へのトナーや外添剤の固着の様子と、得られた画像への影響を目視で観察して、以下の基準で評価した。
評価基準
A:未発生(固着なし)
B:固着がやや発生しているものの、画像への影響は少ない
C:固着があり、これによる画像ムラが僅かに生じているが実用上は問題が少ない。
D:固着が多量にあり、これによる画像ムラが生じている。実用上にも問題がある。
(評価試験1乃至14、及び比較評価試験1乃至5)
上記実施例/参考例1乃至14のトナー(A)乃至(N)、及び、比較例1乃至5のトナー(a)乃至(e)について上記評価を実施した結果を表2に示す。