JP5365012B2 - 衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法 - Google Patents
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Description
また、GPS衛星には、原子時計が備えられている。このため、GPS衛星は、極めて正確な時刻情報(GPS時刻、衛星時刻情報)を有している。
このため、GPS衛星からの信号(航法メッセージ)を受信して時刻情報を取得し、その時刻情報を用いて表示時刻を修正する時刻修正装置(時計)も提案されている。
このような受信レベルを表示する機能を有する測位装置として、各GPS衛星の受信レベルを棒グラフ状に表示するカーナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、表示されているすべてのGPS衛星の受信レベルが高い状態、あるいはすべてのGPS衛星の受信レベルが低い状態であれば、一般的な利用者であっても受信状態が良好である、あるいは悪化していることを判断できる。
このため、一般的な利用者であっても、受信状態を簡単にかつ誤解することなく把握できる衛星信号受信装置が求められていた。
本発明では、衛星信号を受信している位置情報衛星の数と、各受信信号のレベルに基づいて、受信状態レベルを判別して表示している。このため、複数の位置情報衛星毎に受信レベルを表示する場合に比べ、単一の受信状態レベルのみを表示できるため、利用者は受信状態を容易に把握することができる。
また、受信状態レベルは、1桁の数字や、1文字の英字などで表現できるため、複数の位置情報衛星毎に受信レベルを表示する場合に比べ、表示装置も小型化できる。このため、腕時計のような小型の衛星信号受信装置にも容易に適用することができる。
また、本発明では、時刻表示装置を利用して受信状態レベルを表示するため、受信状態レベルを表示するための構成を別途設ける必要が無く、衛星信号受信装置の部品点数を少なくできてコストも低減でき、デザインもシンプルにできて意匠性も向上できる。
このため、特に、衛星信号受信装置でアナログ時計を構成する場合、受信状態を表示するために追加する部品を不要にできてコストを低減できる。
また、本発明では、秒針等で指示される目盛に、受信状態レベルの高、低等を示す「H,L」などを記載し、秒針等で各目盛を指示させることで、受信状態レベルを表示することができる。このため、360度移動可能な指針を利用でき、各受信状態レベルを指示する位置も大きく離すことができるので、受信状態レベルを表示する際に、指針をダイナミックに移動することができ、衛星信号受信装置が腕時計のような小さな機器であっても、利用者は受信状態を容易に判別することができる。
また、本発明では、指針が受信状態レベルを指示している際に、アンテナの文字板側に指針が位置することがない。すなわち、文字板表面を上方に向けて水平に配置した際に、アンテナの上方に指針が配置されていないため、文字板表面側から衛星信号を受信する際に、指針によってその受信が妨げられることを防止できる。このため、衛星信号を受信している間に、指針で受信状態レベルを指示することができ、かつ、受信性能が低下することも防止できる。
そして、このような時刻修正時計によれば、衛星信号を受信できれば正しい時刻に容易に修正できるため、衛星信号を受信できる様々な場所で時刻合わせを容易に行うことができる。
本発明によれば、前記衛星信号受信装置と同様の作用効果を奏することができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
文字板2には、一般的な時計と同様に、各指針3による時刻を指示するための目盛が形成されている。
また、文字板2には、後述するように、秒針133によって、受信状態レベルや受信結果を表示するための目盛も設定されている。本実施形態では、10秒の目盛位置に「Y」、20秒の目盛位置に「N」、40秒の目盛位置に「L」、50秒の目盛位置に「H」の各目盛が設定されている。なお、「Y」は「Yes」、「N」は「No」、「L」は「Low」、「H」は「High」の略である。
このため、本実施形態においては、衛星信号の受信状態を表示する受信状態表示装置は、秒針133および文字板2を備えて構成されている。
さらに、GPS付き腕時計1には、外部操作部材として、Aボタン6、Bボタン7とリュウズ8とが設けられている。
第2小時計5は、第2指針151と、この第2指針151が指示する目盛が形成された第2文字板152とを備える。
経度を示す目盛は、第2文字板152の12時位置(図2の上方側)に経度0度の目盛が設定され、第2文字板152の12時位置から3時位置を経て6時位置まで時計回りに西経0〜180度の目盛が設定され、第2文字板152の12時位置から9時位置を経て6時位置まで反時計回りに東経0〜180度の目盛が設定されている。
24時針用の目盛は、第2文字板152の12時位置に0時(24時)の目盛が設定され、時計回りに1〜23時の目盛が設定されている。
そして、時刻表示モードに設定されている場合、第1小時計4の第1指針141は、第1領域143において、内部時刻情報の曜日を示す位置に移動する。また、第2小時計5の第2指針151は、目盛153を24時針の目盛として利用し、内部時刻情報の時を示す位置に移動する。
一方、測位表示モードに設定されている場合、第1小時計4の第1指針141は、第2領域144において、取得した現在位置情報の緯度を示す位置に移動する。また、第2小時計5の第2指針151は、取得した現在位置情報の経度を示す位置に移動する。
また、第1指針141、第2指針151は、それぞれ独立したステップモータで歯車を介して駆動される。
なお、GPS衛星15は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星15が周回している。
次に、GPS付き腕時計1の内部構成について説明する。
図3に示すように、GPS付き腕時計1は、SUS、チタンなどの金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は略円筒状に形成され、外装ケース17の表面側の開口には、ベゼル16を介して表面ガラス160が取り付けられている。また、外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋26が取り付けられている。裏蓋26は、金属で構成されてリング状に形成され、その中央の開口には裏面ガラス23が取り付けられている。
ステップモータは、モータコイル19、図示略のステータ、ロータなどからなる時計用に用いられる一般的なものである。このステップモータは歯車を介して指針3を駆動する。同様に、各指針141,151を駆動するステップモータも、図示を略すが一般的なものであり、歯車を介して各指針141,151を駆動する。
このため、文字板2および表面ガラス160は、GPS衛星から送信される衛星信号である電波を通す材料で構成されている。例えば、文字板2はプラスチックで構成されている。また、ベゼル16は、前記衛星信号の受信性能を向上させるために、セラミックス製とされている。
回路基板25には、後述するようにGPSアンテナ11で受信した信号を処理する受信回路18や、前記指針3を駆動するステップモータ等の制御を行う制御部20などの各種回路素子(ICなど)が取り付けられている。受信回路18や制御部20は、電池24から供給される電力で駆動される。
GPS付き腕時計1は、以上のように構成されている。
次に、GPS付き腕時計1の回路構成に関して説明する。図4に示すように、GPS付き腕時計1は、時刻表示装置45、GPS装置40、時刻修正装置44を備え、コンピュータとしての機能も発揮する構成となっている。なお、図4に示すように、時刻表示装置45、GPS装置40、時刻修正装置44は一部の構成が重複している。
[GPS装置の構成]
図4に示すように、GPS付き腕時計1は、GPS衛星15から送信される衛星信号を受信、処理するGPS装置40を備えている。
GPS装置40は、GPSアンテナ11、フィルタ(SAW)31、受信回路18を備える。フィルタ(SAW)31は、バンドパスフィルタであり、1.5GHzの衛星信号を抜き出すものとなっている。従って、GPS装置40により、本発明の受信部が構成されている。
RF部27は、PLL回路34、IFフィルタ35、VCO(Voltage Controlled Oscillator)41、ADC(A/D変換器)42、ミキサ46、LNA(Low Noise Amplifier)47、IFアンプ48等を備えている。
ミキサ46でミキシングされたIFは、IFアンプ48、IFフィルタ35を通り、ADC(A/D変換器)42でデジタル信号に変換される。
そして、ベースバンド部30は、RF部27のADC42からデジタル信号が入力され、制御信号に基づき、衛星信号の演算を行い、衛星時刻情報や測位情報を取得できるようになっている。
また、RTC38は、衛星信号を処理するために、受信機側の時刻情報を生成するものである。このRTC38は、TCXO32から出力される基準クロックでカウントアップされるようになっている。
時刻修正装置44は、前記受信回路18と、制御部20と、駆動回路43とを備えている。この時刻修正装置44で本発明の時刻情報修正部が構成されている。
制御部20は、記憶部20A、発振回路20Bを備えるとともに、GPS装置40や、駆動回路43により指針3の駆動等を制御するものである。すなわち、制御部20は、制御信号を受信回路18に送り、GPS装置40の受信動作を制御できるようになっている。
また、記憶部20Aは、前記受信回路18のベースバンド部30で得られた時刻データ(衛星時刻情報)や、測位データや、各受信モードでの受信結果が記憶される。
時刻表示装置45は、制御部20、記憶部20A、発振回路20B、水晶振動子202、駆動回路43、指針3、指針141,151などを備えて構成されている。
制御部20は、記憶部20Aに記憶される時刻データ(内部時刻情報)を、1秒周期の基準信号でカウントアップすると同時に指針3の表示時刻を制御する。1秒周期の基準信号は、発振回路20Bで水晶振動子202の発振周波数を分周することで生成される。
また、制御部20は、前記ベースバンド部30で得られた衛星時刻情報が記憶部20Aに記憶されて内部時刻情報が更新されると、指針3で指示していた現時刻情報と修正された内部時刻情報との差を算出し、その時間差分だけ指針3が移動するように駆動回路43によりステップモータを駆動し、指針3が修正後の時刻を指示するように制御する。
すなわち、充電用コイル22は、充電制御回路28を通じて二次電池24に電力を充電する。二次電池24は、レギュレータ29を介して、時刻修正装置44等に駆動電力を供給するようになっている。
以上に説明したように、本実施形態における時計機構は、いわゆる電子時計となっている。
次に、図5に基づいて、本発明の衛星信号受信装置のシステム構成について説明する。図5は、主に制御部20において実行されるプログラムで実現される機能ブロックである。
すなわち、制御部20は、受信制御手段51、受信状態判別手段52、表示制御手段53、小時計表示制御手段54、測位算出手段55、情報時刻修正手段56を備える。
これらの各手段の処理内容は、以下の受信動作の説明において詳述する。
以下に、各モードにおける受信処理について説明する。
まず、測位モードにおける受信処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
受信制御手段51は、図6(B)に示す測位表示モードの状態にあるとき、Aボタン(SWA)6が3秒以上押されたか否かを判断する(ST10)。
GPS装置40は、GPSアンテナ11から衛星信号であるGPS信号を受信するために、後述するGPS衛星15のC/Aコード(Coarse/Acuisition Code)のパターンを発生させて受信を開始する。
また、受信制御手段51は、図6(C)に示すように、表示制御手段53を介して秒針133を0秒位置に移動させて停止する。これにより、GPS付き腕時計1が受信状態になったことを、利用者に対して明確に示すことができる。
すなわち、受信制御手段51は、衛星検索工程ST12において、まず、衛星番号SVを「1」から「30」まで順次変更し、各衛星番号SVのGPS衛星15を検索し、その信号レベル(SNR)を検出する。具体的には、受信制御手段51は、GPS衛星15のC/Aコードの発生タイミングを調整して、同期できるGPS衛星15を検索する。
なお、各GPS衛星15から送信される衛星信号は、すべての衛星から同一周波数で信号を送信しているが、GPS衛星15毎に異なるC/Aコードを用いることで判別するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、現在、捕捉可能(同期可能)なGPS衛星15をサーチすることができる。
さらに、同期した衛星信号のSNRを求めることで、衛星信号の信号レベルを取得することができる。
そして、受信制御手段51は、サーチにより検出できたGPS衛星15の情報(例えば衛星番号)と、その衛星の信号レベルとを、SRAM37等の記憶部に記憶する。
なお、C/Aコードのコード長は1msであり、発生タイミングを調整しながら約30個のGPS衛星15のサーチ処理を行った場合でも、約2秒ですべてのGPS衛星15のサーチを完了することができる。
表1は、測位モードおよび時刻修正モードにおける受信状態レベルの判別条件が記載されている。また、表2は、表1でカウントしている衛星数の対象を、受信段階毎に記載したものである。
ここで、受信状態レベル0とは、受信可能なGPS衛星15の数が少ないため、受信不可の状態を意味する。また、受信状態レベル1とは、信号は弱いが受信可能な状態を意味する。さらに、受信状態レベル2とは、信号が強く、必要な衛星数も確保できるため、測位情報や時刻情報を確実に取得できるレベルを意味する。
従って、利用者は、表示された受信状態レベルを確認することで、受信状態を確実にかつ容易に判断できる。
具体的には、図9(C)に示すように、表示制御手段53は、秒針133が0秒位置に移動された受信状態から各受信レベルに対応する位置まで秒針133を正転(時計回り)で移動する。
すなわち、受信レベルが「2」と判別された場合には、図9(D)に示すように、表示制御手段53は、信号がHighであることを示す記号「H」が設定された50秒位置まで、秒針133を正転(時計回り)で移動する。
また、受信レベルが「1」と判別された場合には、図9(E)に示すように、表示制御手段53は、信号がLowであることを示す記号「L」が設定された40秒位置まで、秒針133を正転(時計回り)で移動する。
さらに、受信レベルが「0」と判別された場合には、図9(F)に示すように、表示制御手段53は、記号「No」が設定された20秒位置まで、秒針133を正転(時計回り)で移動する。
なお、秒針133は正転での移動に限らず、逆転(反時計回り)で移動させてもよいし、移動角度が小さくなる方向に移動するように制御してもよい。
そして、ST15で「No」と判断された場合、つまり衛星検索工程が続行している間は、ST13,14の受信状態レベル算出および表示の処理を、例えば1秒間隔で実行し続ける。但し、通常は、前述したように、衛星検索工程は、2秒程度で完了するため、ST13,14の処理も1〜2回程度実行されるだけである。
つまり、受信制御手段51において、受信停止を判断する受信停止判断プログラムが、受信開始からの経過時間をカウントし、その経過時間が予め設定した所定時間(例えば6秒)を超えたか否かでタイムアウトであるか否かを判定する。
すなわち、前述したように、GPS衛星15のサーチ処理は、衛星を検出できる場合、最大でも2秒以内で処理が完了する。従って、衛星検索工程ST12を開始してから、一定時間、例えば6秒経過してもGPS衛星15の同期ができない場合には、受信制御手段51は、タイムアウトであると判断する。
GPS付き時計1が、受信できない環境である場合、例えば、屋内であるような場合には、すべてのGPS衛星15のサーチを行っても、同期できるGPS衛星15が存在しないため、タイムアウトとなる。この場合に、GPS装置40をいつまでも動作させていると、電力が無駄に消費されてしまう。
このため、GPS付き腕時計1は、ST16によって一定時間経過してもGPS衛星15を検出できない場合、ST17でGPS衛星15のサーチ(受信)を終了する。このため、無駄に電力が消費されることを低減できる。
具体的には、受信制御手段51は、選択したGPS衛星15に対応するC/Aコードを用い、同期処理を行う。そして、受信制御手段51は、後述するGPS衛星15の衛星信号である航法メッセージが復調できる状態となっているか否かで、衛星を捕捉できたか否かを判断する。
次に、表示制御手段53は、ST19で算出した受信状態レベルを、秒針133を移動して表示する(ST20)。
次に、受信制御手段51は、衛星捕捉処理が終了したか否かを判断する(ST21)。すなわち、受信制御手段51は、衛星検索工程ST12で検索できたすべてのGPS衛星15に対して、同期確認処理が行われたか否かで衛星捕捉処理が終了したか否かを判断する。
そして、衛星捕捉処理が終了するまでは、受信状態判別手段52および表示制御手段53はST19,20の処理を1秒間隔(所定間隔)で実行する。
ここで、GPS衛星15から送信される信号(衛星信号)である航法メッセージについて、説明する。
各GPS衛星15からは、図10(A)に示すように、1フレームデータ(30秒)単位で信号が送信されてくる。この1フレームデータは、5個のサブフレームデータ(1サブフレームデータは6秒)を有している。各サブフレームデータは、10個のワード(1ワードは0.6秒)を有している。
また、TLMに続くワードは、HOW(hand over word)データが格納されたHOWワードとなり、その先頭には、TOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)というGPS衛星のGPS時刻情報(衛星時刻情報)が格納されている。
GPS時刻情報は毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、GPS時刻情報は、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報であって、経過時間が1.5秒単位で表した数となっており、ZカウントあるいはZカウントデータともいわれており、GPS装置40が現在時刻を知る手がかりともなっている。
週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。すなわち、GPS時刻情報の起点は、UTC(世界協定時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。そして、週番号と経過時間(秒)のデータを取得することで、受信側はGPS時刻情報を取得できる構成となっている。
また、週番号データは、1週間単位で更新されるデータとなっている。
従って、受信側で、一旦、週番号データを取得しており、その週番号データを取得した時期からの経過時間がカウントされている場合は、再度、週番号データを取得しなくても、取得している週番号データと経過時間から、GPS衛星の現在の週番号データが分かる。従って、Zカウントデータを取得すれば、現在のGPS時刻が概算で分かるようになっている。このため、通常は、このZカウントデータのみを取得する構成としておくことで、受信側の受信動作時間を短時間にできるので、低消費電力とすることができる。
そして、この主フレームデータは、それぞれ300ビット(300bit)ずつの5つのサブフレームデータに分割されている。
そして、1フレームデータは30秒に相当する。従って、サブフレームデータの1つは、6秒に相当するデータとなっている。上述したように、この各サブフレームデータの先頭の2語には、TLMワード、HOWワードのZカウント(TOW)データが含まれている。そして、Zカウントデータは、サブフレーム1から始まり、各サブフレームデータごとに6秒おきのデータとなっている。つまり、サブフレーム1からサブフレーム5はTLMワード、HOWワードのZカウント(TOW)データを有している。この、Zカウント(TOW)データは、次のサブフレームデータの時刻情報となっている。例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の時刻データとなっている。
従って、HOWデータつまりZカウントは、6秒ごとに送信されるのに対し、週番号データ(WN)やエフェメリスは、30秒ごとに送信される。
つまり、このようなGPS衛星15のフレームデータ等を取得するには、受信側であるGPS装置40がGPS衛星15の信号と同期する必要がある。
この場合、特に1ms単位の同期のためにC/Aコード(1023chip(1ms))が用いられる。このC/Aコード(1023chip(1ms))は、地球を周回している複数のGPS衛星15毎に異なっており、固有のものとなっている。
従って、特定のGPS衛星15の衛星信号を受信する場合は、受信部であるGPS装置40から、いずれかのGPS衛星15に固有のC/Aコードを発生させて位相同期することで、受信することができるようになっている。
そして、C/Aコード(1023chip(1ms))と同期させると、サブフレームデータのTLMワードのプリアンブルデータ、HOWワードを受信でき、HOWワードのZカウントデータが取得できるようになっている。そして、GPS装置40は、TLMワード、HOWワードのZカウント(TOW)データを取得した後に、続けて週番号情報(WN)データ、衛星健康状態情報(SVhealth)データを取得することもできる。
GPS衛星15の衛星信号である航法メッセージは以上のように構成されている。
そして、受信状態判別手段52は、表1,2に基づき、Zカウントを取得したGPS衛星15の数およびそのSNRに基づいて、Zカウント取得段階における受信状態レベルを算出する(ST24)。
次に、表示制御手段53は、ST24で算出した受信状態レベルを、秒針133を移動して表示する(ST25)。
そして、Zカウント取得処理が終了するまでは、受信状態判別手段52および表示制御手段53はST24,25の処理を1秒間隔(所定間隔)で実行する。
そして、受信状態判別手段52は、表1,2に基づき、エフェメリスを取得したGPS衛星15の数およびそのSNRに基づいて、エフェメリス取得段階における受信状態レベルを算出する(ST28)。
次に、表示制御手段53は、ST28で算出した受信状態レベルを、秒針133を移動して表示する(ST29)。
そして、エフェメリス取得処理が終了するまでは、受信状態判別手段52および表示制御手段53はST28,29の処理を1秒間隔(所定間隔)で実行する。
すなわち、測位を行うには、少なくとも4衛星が必要となるので、ST30では少なくとも4個のエフェメリスデータが取得できた場合に終了と判断され、測位算出手段55は4衛星分のデータが揃ったところで測位計算を行う。
例えば、受信チャンネルが5個以上設けられている場合で、3つのチャンネルでは、衛星捕捉が終了してZカウント取得を開始しているが、他のチャンネルでは衛星捕捉を継続している場合は、受信状態判別手段52および表示制御手段53は、衛星捕捉段階の受信状態レベルの算出および表示を行うが、4つのチャンネルでZカウントを取得する状態になれば、受信状態判別手段52および表示制御手段53は、Zカウント取得段階の受信状態レベルの算出および表示を行う。
従って、測位計算処理ST31では、最初に取得した4個のエフェメリスデータに基づいて測位計算を行うが、この計算中に、他の受信チャンネルで取得できたエフェメリスデータも加味して測位計算を実行してもよい。
次に、小時計表示制御手段54は、測位計算の結果、つまり取得した位置情報(経度および緯度)を表示する(ST33)。具体的には、小時計表示制御手段54は、第1文字板142の第2領域144において、算出した緯度の目盛を指示する位置に第1指針141を移動し、第2文字板152において、算出した経度の目盛を指示する位置に第2指針151を移動する。
また、受信制御手段51は、測位モードでの受信結果を記憶部20Aに記憶する。すなわち、測位結果表示処理ST33が行われた場合には、測位モードでの受信に成功したと記憶し、受信終了工程ST17で終了した場合には、測位モードでの受信に失敗したことを記憶する。
次に、時刻修正モードにおける受信処理について、図11,12のフローチャートも参照して説明する。なお、図7,8の測位モード時の受信処理と同じ処理は、同じ符号を付して説明を簡略する。
受信制御手段51は、図6(A)に示す時刻表示モードの状態にあるときに、Aボタン(SWA)6が3秒以上押されたか、あるいは、制御部20でカウントする内部時刻情報が予め設定された受信時間(受信タイミング)になったか否かを判断する(ST40)。
例えば、受信タイミングとしては、午前2時や午前3時、あるいは午前7時や午前8時が設定される。
午前2時や3時に設定するのは、GPS付き腕時計1をユーザーが使用しておらず、GPS付き腕時計1が外されていて屋内に置かれている場合に、電気製品などの使用が少なく、電波受信環境が最も良好な可能性が高いためである。
また、午前7時や8時に設定するのは、GPS付き腕時計1をユーザーが使用しており、GPS付き腕時計1の使用環境が屋外である可能性が高い通勤時間帯であるためである。すなわち、勤務時間中はビルや工場内などの衛星信号が届きにくい場所にいる場合でも、通勤時間中は屋外にいる可能性が高く、その分、衛星信号を受信できる可能性が高まり、電波受信環境が良好となるためである。
なお、SNRの判定閾値は、測位モードの場合と同じ値でもよいし、測位モードの閾値よりも小さい値、例えばSNRが36等に設定してもよい。時刻修正モードは、測位モードに比べて取得するデータ量が少なく、受信信号レベルが多少低くてもデータを受信できる可能性が高いためである。
また、表1に示すように、本実施形態では、時刻修正用受信設定数として「1個」を設定し、最低限の受信衛星数で時刻修正処理が実行されるように判断している。
なお、表2に示すように、表1の所定の条件に該当するGPS衛星15の数は、各受信段階で対象が異なるが、エフェメリス取得段階が無いことを除き、測位モードの場合と同じである。
そして、受信制御手段51は、ST16でタイムアウトであると判定した場合には、GPS装置40の動作を強制的に終了して受信を終了する(ST17)。
衛星捕捉判定工程ST22で衛星を捕捉できなかった場合には、受信を処理する(ST17)。
すなわち、本実施形態のGPS付き腕時計1は、同時に複数の衛星信号を受信できるため、衛星検索工程ST12においても複数のGPS衛星15を同時に検索でき、そのため、GPS衛星15をサーチできた場合には、少なくとも1つのGPS衛星15は捕捉できる可能性が高い。
一方、受信チャンネルが1つの場合、衛星検索工程ST12では比較的信号レベルの低いGPS衛星15を信号レベルの高い衛星15よりも先にサーチしてしまう可能性がある。この場合、衛星捕捉判定工程ST22において衛星15を捕捉できないと判定された場合でも、他のGPS衛星15をサーチすれば捕捉できる可能性もある。従って、特に受信チャンネルが1つの場合には、衛星捕捉判定工程ST22で衛星15を捕捉できない場合に、衛星検索工程ST12に戻って衛星サーチ処理から再度実行することが好ましい。
そして、受信状態判別手段52および表示制御手段53は、ST26でZカウント取得処理が終了したと判断されるまで、受信状態レベルの算出および表示の処理を所定間隔(例えば1秒間隔)で行う(ST24,25)。
なお、受信制御手段51は、取得したZカウント(TOW)データが信頼できるか否かの判断もしたうえでZカウントを取得できたか否かを判断している。つまり、受信制御手段51は、上述したような、パリティチェックでZカウントデータの誤りが確認された場合は、この取得したZカウントデータには、なんらかの異常があるとみなして、時刻修正には使用しない。このため、受信制御手段51は、Zカウントデータに異常が見つかった場合は、Zカウントデータが取得できなかったと判断するようになっている(ST41)。
そして、ST41でZカウントを取得できないと判断された場合、受信制御手段51は、受信処理を終了する(ST17)。
次に、情報時刻修正手段56は、受信したZカウントの情報に基づいて記憶部20Aに記憶された内部時刻データを修正する(ST43)。
また、制御部20は、修正された内部時刻データに基づいて、GPS付き腕時計1の文字板2の指針3による表示時刻や、第2指針151による24時針の表示時刻も修正する。
また、受信制御手段51は、時刻修正モードでの受信結果を記憶部20Aに記憶する。すなわち、時刻修正処理ST43が行われた場合には、時刻修正モードでの受信に成功したと記憶し、受信終了工程ST17で終了した場合には、時刻修正モードでの受信に失敗したことを記憶する。
測位モードおよび時刻修正モードのいずれの場合も、受信処理が終了すると、通常の表示状態に戻る。
この通常表示状態でAボタン6を押すと、図13に示すように、直前の受信結果を表示するモードに移行する。すなわち、受信制御手段51は、測位モードおよび時刻修正モードにおける各受信処理を行った際に、モード毎に受信に成功したか失敗したかの結果データを記憶部20Aに記憶している。
なお、受信結果表示状態に移行後、所定時間、例えば5秒経過すると、自動的に元の通常表示状態に戻るように設定してもよい。
さらに、本実施形態では、受信処理終了後、通常の表示状態に戻っていたが、受信処理終了後に直ちに受信結果表示モードに移行するように制御してもよい。
(1)位置情報衛星からの衛星信号を受信している際に、その受信状態レベルを表示しているので、利用者に対して迅速に受信状態を知らせることができる。このため、利用者は、受信状態レベルが低い場合には、そのことを迅速に把握でき、受信環境が良好な場所に移動して受信処理を継続するなどの対策を取ることができる。このため、受信に失敗して無駄に電力を消費することを少なくでき、腕時計のような携帯型の衛星信号受信装置において持続時間を長くできて利便性を向上できる。
これに対し、本実施形態では、受信状態レベルを0,1,2の3段階で表示するだけであるため、利用者は現在の受信状態を容易に判断できる。このため、受信状態レベルが0や1の場合に、受信環境がより良好な場所に移動して受信処理を継続するなどの対策を取ることができる。
また、通常状態において、Aボタン6を押せば受信結果を表示できるため、受信に成功したか失敗したかも容易に確認することができる。
さらに、受信開始時には、秒針133を0秒位置に移動しているので、秒針133をGPSアンテナ11から離して配置でき、この点でも受信への影響を軽減できる。
例えば、受信状態レベルの表示は秒針133を移動して表示するものに限らず、分針132を移動して表示してもよい。特に、時針131および分針132のみ有し、秒針133を備えない二針の時計においては、分針132を移動して受信状態レベルや受信結果を表示(指示)するようにすればよい。
本発明では、衛星毎の受信レベルを表示するのではなく、測位や時刻修正の各受信処理時の受信状態レベルを3段階に表示できればよいため、従来のような、各衛星の受信レベルを個別に表示する場合に比べて受信状態表示装置の構成を簡易にできる。従って、ディスプレイを用いて表示する場合でも、その受信状態表示装置は、受信状態レベルとして「0〜2」の1桁の数字のみを表示できればよいため、容易に小型化でき、腕時計のような小型の機器にも容易に組み込むことができる。
さらに、測位モードおよび時刻修正モードの各モードにおいて、受信状態レベルの段階数を変更してもよい。例えば、測位モードでは受信状態レベルを3段階で判定し、時刻修正モードでは2段階で判定してもよい。
要するに、受信状態レベルの判定基準は、所定の条件に該当する衛星数などによって受信状態レベルを判定すればよい。
さらに、前記実施形態では、測位用受信設定数を「4個」に設定していたが、精度の粗い測位測定でもよい場合には「3個」に設定してもよい。また、通常は、測位用受信設定数は「4個」に設定すればよいが、「5個」以上に設定してもよい。
同様に、時刻修正用受信設定数は「1個」に設定していたが、「2個」以上に設定してもよい。
Claims (6)
- 表示装置と、
位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
受信状態が多段階に区分される受信状態レベルのいずれかに該当するかを判別する受信状態判別手段と、
前記表示装置を制御する表示制御手段と、を備え、
各々の受信状態レベルは、前記衛星信号を受信している位置情報衛星の数と、各受信信号のレベルに基づく単一の指標であり、
前記表示装置は、機械的駆動手段と、前記機械的駆動手段で駆動されて時刻を表示する時刻表示装置とを備えて構成され、
前記時刻表示装置は、前記機械的駆動手段で駆動される指針と、前記指針の指示位置を示す目盛が形成された文字板とを備え、
前記受信部は、前記文字板の裏面側に配置されて前記衛星信号を受信するアンテナを備え、
前記表示制御手段は、前記受信状態判別手段で判別した受信状態レベルに基づいて前記機械的駆動手段を制御し、前記指針を各受信状態レベルに応じて予め設定された位置に移動させて受信状態レベルを表示し、
各受信状態レベルに応じて予め設定された前記指針の移動位置は、その位置に前記指針を移動させた際に、前記文字板表面に直交する方向から前記指針および前記アンテナを視認する平面視において、前記指針および前記アンテナが重ならない位置に設定されている
ことを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
前記衛星信号を受信して測位処理を行う測位モードと、前記衛星信号を受信して時刻修正処理を行う時刻修正モードとを選択可能に構成され、
前記受信状態判別手段は、
前記測位モードが選択されている場合には、測位モード用に設定されたレベル判別条件に基づいて判別処理を行い、
前記時刻修正モードが選択されている場合には、時刻修正モード用に設定されたレベル判別条件に基づいて判別処理を行う
ことを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1または請求項2に記載の衛星信号受信装置において、
前記受信状態判別手段は、受信処理の進行段階に応じて受信状態レベルを判別するレベル判別条件を設定し、受信処理の進行段階に応じて受信状態を判別し、
前記表示制御手段は、受信処理の進行段階に応じて前記受信状態判別手段で判別した受信状態レベルを前記表示装置で表示する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項3に記載の衛星信号受信装置において、
前記受信処理の進行段階は、位置情報衛星の検索処理を行う衛星検索段階と、検索した位置情報衛星の捕捉処理を行う衛星捕捉段階と、捕捉した位置情報衛星の衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報取得段階と、捕捉した位置情報衛星の衛星信号を受信して測位情報を取得する測位情報取得段階とを備え、
前記受信状態判別手段は、
前記衛星検索段階では、検索によって検出できた位置情報衛星の数およびその受信信号のレベルに基づいて受信状態を判別し、
前記衛星捕捉段階では、捕捉した位置情報衛星の数およびその受信信号のレベルに基づいて受信状態を判別し、
前記時刻情報取得段階では、時刻情報を取得できた位置情報衛星の数およびその受信信号のレベルに基づいて受信状態を判別し、
前記測位情報取得段階では、測位情報を取得できた位置情報衛星の数およびその受信信号のレベルに基づいて受信状態を判別する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
内部時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
前記内部時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記内部時刻情報を表示する時刻表示装置を備え、
前記時刻情報修正部は、前記衛星信号受信装置で取得した時刻情報に基づいて前記内部時刻情報を修正する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。 - 位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記衛星信号の受信状態を表示する表示装置とを備え、
前記表示装置は、機械的駆動手段と、前記機械的駆動手段で駆動されて時刻を表示する時刻表示装置とを備えて構成され、
前記時刻表示装置は、前記機械的駆動手段で駆動される指針と、前記指針の指示位置を示す目盛が形成された文字板とを備え、
前記受信部は、前記文字板の裏面側に配置されて前記衛星信号を受信するアンテナを備える衛星信号受信装置の制御方法であって、
受信状態が多段階に区分される受信状態レベルのいずれかに該当するかを判別する受信状態判別工程と、
前記受信状態判別工程で判別した受信状態レベルを、前記表示装置に表示する受信状態表示工程とを備え、
各々の受信状態レベルは、前記衛星信号を受信している位置情報衛星の数と、各受信信号のレベルに基づく単一の指標であり、
前記受信状態表示工程は、前記受信状態判別工程で判別した受信状態レベルに基づいて前記機械的駆動手段を制御し、前記指針を各受信状態レベルに応じて予め設定された位置に移動させて受信状態レベルを表示し、
各受信状態レベルに応じて予め設定された前記指針の移動位置は、その位置に前記指針を移動させた際に、前記文字板表面に直交する方向から前記指針および前記アンテナを視認する平面視において、前記指針および前記アンテナが重ならない位置に設定されている
ことを特徴とする衛星信号受信装置の制御方法。
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