JP5364186B2 - 金属層付き導電性フィルム、その製造方法及びそれを含有するタッチパネル - Google Patents
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項1
(A)光透過性支持層;
(B)光透過性導電層;
(C)Ni合金を含有する金属層;及び
(D)Cu若しくはAg又はそれの合金を含有する金属層
を含有する金属層付き導電性フィルムであって、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
少なくとも一方の前記光透過性導電層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、前記金属層(C)及び前記金属層(D)が、この順で互いに隣接して直接配置されていることを特徴とする、金属層付き導電性フィルム。
項2
前記金属層(C)の厚さが、1〜30nmである、項1に記載の金属層付き導電性フィルム。
項3
前記光透過性導電層(B)が、導電性物質として酸化インジウムスズを含有する、項1又は2に記載の金属層付き導電性フィルム。
項4
前記光透過性導電層(B)がX線回折において、(400)面からのX線回折ピーク強度に対する(222)面からのX線回折ピーク強度比((222)強度/(400)強度)が、5以上である、項3に記載の金属層付き導電性フィルム。
項5
前記Ni合金が、NiCu及びNiCrからなる群より選択される少なくとも1種のNi合金である、項1〜4のいずれかに記載の金属層付き導電性フィルム。
項6
前記Ni合金が、Ni合金の酸化物である、項1〜5のいずれかに記載の金属層付き導電性フィルム。
項7
前記金属層(C)が、厚さ方向の電界放出型分析透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(FE−TEM/EDS)による分析において、ニッケルのピークトップ位置におけるニッケルに対する酸素の割合が5重量%以上である、項6に記載の金属層付き導電性フィルム。
項8
項1〜7のいずれかに記載の金属層付き導電性フィルムを含有する、タッチパネル。
項9
(A)光透過性支持層;
(B)光透過性導電層;
(C)Ni合金を含有する金属層;及び
(D)Cu若しくはAg又はそれの合金を含有する金属層
を含有する金属層付き導電性フィルムであって、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
少なくとも一方の前記光透過性導電層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、前記金属層(C)及び前記金属層(D)が、この順で互いに隣接して直接配置されていることを特徴とする、金属層付き導電性フィルムを製造する方法であって、
導電性物質を焼成することを含有する方法により得られた前記光透過性導電層(B)の面に、前記金属層(C)を直接配置する工程
を含有する方法。
本発明の金属層付き導電性フィルムは、
(A)光透過性支持層;
(B)光透過性導電層;
(C)Ni合金を含有する金属層;及び
(D)Cu若しくはAg又はそれの合金を含有する金属層
を含有する金属層付き導電性フィルムであって、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
少なくとも一方の前記光透過性導電層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、前記金属層(C)及び前記金属層(D)が、この順で互いに隣接して直接配置されていることを特徴とする、金属層付き導電性フィルムである。
本発明において光透過性支持層とは、光透過性導電層を含有する金属層付き導電性フィルムにおいて、光透過性導電層を含む層を支持する役割を果たすものをいう。光透過性支持層(A)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用金属層付き導電性フィルムにおいて、光透過性支持層として通常用いられるものを用いることができる。
光透過性導電層(B)は、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている。
室温下、容器中で、攪拌した状態のエッチング液(CuSO4;10重量部、NH4Cl;20重量部、HCl;5重量部を混合した水溶液からなる)に、金属層付き導電性フィルムを浸漬し、光透過性導電層(B)上に積層された全ての層(金属層(C)、金属層(D)及び金属保護層(E))を剥離する。エッチング処理時間は、これら光透過性導電層(B)上に積層された全ての層が溶解し、目視で色が完全に消えるのが確認されるまでに要する時間の1.2倍とする。
MITSUBISHI CHEMICAL ANALYTECH社製の表面抵抗計(商品名:Loresta−EP、又はその同等品)を用いて、4探針法により測定する。
X線回折は株式会社リガク製 薄膜評価用資料水平型X線回折装置 SmartLab、またはその同等品を用いて薄膜法にて測定する。平行ビーム光学配置を用い、光源にはCuKα線(波長:1.5418Å)を40kV、30mAのパワーで用いる。入射側スリット系はソーラスリット5.0°、高さ制御スリット10mm、入射スリット0.1mmを用い、受光側スリットにはパラレルスリットアナライザー(PSA)0.114deg.を用いる。検出器はシンチレーションカウンターを用いる。試料ステージは多孔質吸着試料ホルダを用いて、ポンプにより試料を吸着固定する。入射側を0.1〜0.7°の間の一定値に固定し、ステップ間隔0.01°、測定スピード3.0°/minで測定する。ITO膜の(222)面からの回折線は、CuKα線を使用する場合、およそ30.5°(2θ)の位置に表われる。また、(400)面からの回折線はおよそ35.5°(2θ)に表われる。上記条件より得られたX線回折結果より、(400)面からのX線回折ピーク強度に対する(222)面からのX線回折ピーク強度比((222)強度/(400)強度)を求める。(400)面からの回折図形には、光源であるCuのX線のKα1線及びKα2線が分離してしまうことに由来するショルダーが観測されるが、ここでは、それらを分離せずに、回折ピークのピークトップの強度から、そのピークのベースラインを直線としたときのベースライン強度の差を、反射強度として定義する。なお、上記におけるベースラインは、Sonneveld−Visser法によりバックグラウンド除去処理を行うことで得た(Sonneveld,E.J.&Visser,J.W.,J.Appl.Cryst.8, 1(1975))。この場合において、X線回折における(400)面からのX線回折ピーク強度に対する(222)面からのX線回折ピーク強度比((222)強度/(400)強度)は、特に限定されないが、好ましくは5〜50であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは7〜20である。
Ni合金含有金属層(C)は、少なくとも一方の光透過性導電層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されている。
本発明において、電界放出型分析透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(FE−TEM/EDS)による観察及び分析は、試料面にカーボンを蒸着した後、集束イオンビーム(FIB)により薄膜を作製して行う。具体的には以下のようにして行う。
試料表面に蒸着装置(メイワフォーシス社製 カーボンコータ CADE、又はその同等品)を用いて、カーボンを約300nm蒸着する。次いで集束イオンビーム:FIB(SIIナノテクノロジー社製 SMI2050、加速電圧30kv;又はその同等品)を用いて上記試料表面にカーボンのデポジションを行い、炭素を約1μm厚に被膜化する。その後表面からGaイオンにより約100nm厚みの薄膜を作製し、ピックアップ法により支持膜が付いたシートメッシュに貼り付ける。
上記の様にして作製した薄膜を、電界放出型分析透過電子顕微鏡:FE−TEM(日本電子製 JEM−2010FEF、又はその同等品)/EDS(日本電子製 2300T、又はその同等品)を用いて、STEMモードにより観察及び分析を行う。FE−TEMは加速電圧200kVにて、EDS元素マッピングは256×192、0.1msec/ドット、積算回数200回、線分析測定は150ポイント、15sec/1ポイントでそれぞれ行う。
Ni合金含有金属層(C)の、厚さ方向の電界放出型分析透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(FE−TEM/EDS)による分析における、ニッケルのピークトップ位置でのニッケルに対する酸素の割合(重量%)は、詳細には次のようにして求める。厚さ方向の電界放出型分析透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(FE−TEM/EDS)による分析を行うことにより、厚さごとに各原子の全原子中に占める割合(重量%)が得られる。これを厚さごとにプロットすると、Ni合金含有金属層(C)に相当する領域内にニッケルのピークトップが現れる。このピークトップ位置を基準として、この位置におけるニッケルの重量%に対する酸素の重量%の割合を求める。
Cu等含有金属層(D)は、Ni合金等含有金属層(C)に隣接している。言い換えれば、光透過性導電層(B)、Ni合金等含有金属層(C)及びCu等含有金属層(D)がこの順で互いに隣接して配置されている。このように三層が配置されていることにより、光透過性導電層(B)及びNi合金等含有金属層(C)の間、並びにNi合金等含有金属層(C)及びCu等含有金属層(D)の間の密着性がそれぞれ向上し、結果的にこれら三層が互いに強固に密着する。
本発明の金属層付き導電性フィルムは、Cu等含有金属層(D)としてCu又はCu合金を含有する層を含有する場合、さらにCu等含有金属層(D)を保護する目的で少なくとも1種の金属保護層(E)が、Cu等含有金属層(D)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に配置されていてもよい。
本発明の金属層付き導電性フィルムは、さらに、ハードコート層(F)を含有し、かつ少なくとも一方の光透過性導電層(B)が、少なくともハードコート層(F)を介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよい。言い換えれば、少なくとも一方の光透過性導電層(B)が、ハードコート層(F)のみを介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよいし、あるいは、ハードコート層(F)及びその他の少なくとも1種の層を介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよい。後者の場合においては、当該光透過性導電層(B)が、当該ハードコート層(F)と隣接して配置されていてもよいし、さらにその他の少なくとも1種の層を介して当該ハードコート層(F)の面に配置されていてもよい。
本発明の金属層付き導電性フィルムは、さらに、アンダーコート層(G)を含有し、かつ少なくとも一方の光透過性導電層(B)が、少なくともアンダーコート層(G)を直接介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよい。言い換えれば、少なくとも一方の光透過性導電層(B)が、アンダーコート層(G)のみを直接介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよいし、あるいは、アンダーコート層(G)及びその他の少なくとも1種の層を介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよい。後者の場合においては、当該光透過性導電層(B)が、当該アンダーコート層(G)と隣接して配置されており、さらにその他の少なくとも1種の層を介して当該ハードコート層(F)の面に配置されている。
本発明の金属層付き導電性フィルムは、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、光透過性導電層(B)、Ni合金含有層(C)、Cu等含有金属層(D)及び金属保護層(E)に加えて、ハードコート層(F)、アンダーコート層(G)及びそれらと異なる少なくとも1種のその他の層(H)からなる群より選択される少なくとも1種の層がさらに配置されていてもよい。
本発明の金属層付き導電性フィルムは、引出し回線として利用し得る金属層と光透過性導電層との間の密着性が高いため、特に限定されないが、例えばタッチパネルの製造のため等に好ましく用いられる。タッチパネルについて詳細は、2で説明する通りである。
本発明のタッチパネルは、本発明の金属層付き導電性フィルムを含み、さらに必要に応じてその他の部材を含んでなる。
(1)保護層
(2)本発明の金属層付き導電性フィルム
(3)ガラス
本発明のタッチパネルは、特に限定されないが、例えば、保護層(1)、本発明の金属層付き導電性フィルム(2)及び(3)ガラス、並びに必要に応じてその他の部材を通常の方法に従って組み合わせることにより製造することができる。
本発明の金属層付き導電性フィルムの製造方法は、光透過性支持層(A)の少なくとも一
方の面に、光透過性導電層(B)、Ni合金含有金属層(C)及びCu等含有金属層(D
)をそれぞれ配置する工程をそれぞれ含む。
導電性物質を焼成する工程を含有する方法により得られた前記光透過性導電層(B)の面に、前記金属層(C)を直接配置する工程
を含有する方法である。このようにして得られた光透過性導電層(B)中の導電性物質は、金属層(C)を配置する前に焼成工程を経ている。したがって、このようにして得られた光透過性導電層(B)中の導電性物質は、金属層(C)に遮蔽されることなく、上記焼成温度の雰囲気下に直接置かれることになる。これにより、このようにして得られた光透過性導電層(B)は、金属層(C)に遮断された状態で同様の焼成工程を経た場合に比べて結晶性がより高い導電性物質を含有する。
(1)導電性物質を含有する層(b)の面に前記金属層(C)を直接配置する工程;及び(2)前記工程(1)で得られた、前記導電性物質含有層(b)及び前記金属層(C)を含有する複合層を、焼成する工程
を含有する方法である。このようにして得られた光透過性導電層(B)中の導電性物質は、金属層(C)を配置した後に焼成工程を経ている。
以下の組成及び層厚を有する層(A)、(F)、(H)、(G)、(B)、(C)、(D)及び(E)をこの記載順で光透過性支持層(A)側から順に積層することにより、金属層付き導電性フィルムを作製した。
組成:PET
層厚:125μm
PET基材(光透過性支持層(A))の上に、光重合剤含有ウレタンアクリレートオリゴマーと溶剤を混合してなる液状組成物をグラビアロールコーターで塗工し、その塗工膜をドライヤー焼成炉を用いて100℃×1分の条件で加熱乾燥した。次いで、乾燥後の塗工膜に対して紫外線を照射することにより(照射量:200mJ/cm2)、光透過性支持層(A)上に厚さ約3μmのハードコート層(F)を設けた。光透過性支持層(A)の他方の面に対しても同一の作業を施すことにより、光透過性支持層(A)の両面に厚さ約3μmのハードコート層(F)が設けられてなるハードコートフィルムを得た。
得られたハードコートフィルムの一方の面に、平均粒子径が20〜40nmである酸化ジルコニウム、多官能ウレタンアクリレートオリゴマー、光重合開始剤、溶剤を混合して調製した液状組成物をロールコーターで塗工し、その塗工膜をドライヤー焼成炉を用いて100℃×1分の条件で加熱乾燥した。次いで、乾燥後の塗工膜に対して、窒素パージ下において紫外線を照射して(照射量:200mJ/cm2)、塗工膜に含まれるウレタンアクリレートオリゴマーを架橋することにより、光透過性支持層(A)のハードコート上に高屈折率層を設けた。なお、最終的に得られる高屈折率層(H)の光学膜厚が1.5μmとなるように、高屈折率層材料からなる塗工膜の厚さを調整した。
この高屈折率層の上に、DCスパッタリング法により光透過性下地層としてSiOx層を積層した。SiOx層の厚みは5〜10nmであった。
アンダーコート層(G)の上に、連続してDCスパッタを用いて酸化インジウム及び酸化スズの混合物(ITO)を積層化した。具体的には次のように行った。SnO27重量%のITO焼結体ターゲットをカソードに設置し、アルゴンガス95%、酸素ガス5%の混合ガスを導入し真空度3×10−4PaでITO薄膜を積層した。その後、後アニールの場合は、そのまま(C)、(D)、(E)の積層に移行した。一方先アニールの場合は、光透過性導電層(B)積層後のフィルムを熱風焼成炉中(大気雰囲気下)、150℃で1時間熱処理した(実施例1〜4)。このようにして得られた先アニール後の光透過性導電層(B):ITOの膜厚は約18nm、表面抵抗は135Ω/sq、全光線透過率は89%であった。
組成:NiCr(実施例1〜6)、又はNiCu(実施例7,8)
層厚:表1に記載の通り。
組成:Cu
層厚:表1に記載の通り。
組成:NiCr(実施例1〜6)、またはNiCu(実施例7,8)
層厚:表1に記載の通り。
引き続いて、チャンバー内を大気開放することなく、銅(Cu)をターゲット材料として用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、引出し電極形成用のCu等含有金属層(D)を設けた。具体的には、チャンバー内を8×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、Arガス(濃度:99.9%。以下、同じ。)を導入し、チャンバー内の圧力を0.2〜0.4Paとした。
Ni合金含有金属層(C)の製法を以下の通りとする他は実施例1〜8と同様にして、金属層付き導電性フィルムを作製した。
Ni合金含有金属層(C)の層厚は表2に記載の通りとした。
光透過性導電層(B)の表面に、Ni合金含有金属層として、クロムを7重量%の割合で含有するニッケル(NiCr)(実施例9〜12)、もしくは銅を35重量%の割合で含有するニッケル(NiCu)(実施例13,14)をターゲット材料として用い、DCマグネトロンスパッタリング法によりNi合金含有金属層(C)を形成した。スパッタガスとしてはArガス及び酸素ガスを表2に記載の割合で含有する混合ガスを使用し、チャンバー内の圧力は0.2〜0.4Paとした。このとき、Arガスの流量及び酸素ガスの流量は表2に示す通りであった。
2.比較例
表1に記載の通り、Ni合金含有金属層(C)を形成しない他は実施例2と同様の方法により、金属層付き導電性フィルムを得た(比較例1)。
実施例及び比較例により得られたそれぞれの金属層付き導電性フィルムについて、表面に配置されている層(D)及び層(E)の、光透過性導電層(B)に対する密着性を次のようにして評価した。
室温下、容器中で、攪拌した状態のエッチング液(CuSO4;10重量部、NH4Cl;20重量部、HCl;5重量部を混合した水溶液からなる)に、金属層付き導電性フィルムを浸漬し、光透過性導電層(B)上に積層された全ての層(金属層(C)、金属層(D)及び金属保護層(E))を剥離した。エッチング処理時間は、これら光透過性導電層(B)上に積層された全ての層が溶解し、目視により色が完全に消えたのを確認するまでに要した時間の1.2倍とした。
上記において、表面抵抗値の測定は、下記の方法により行った。
X線回折は株式会社リガク製 薄膜評価用資料水平型X線回折装置 SmartLabを用いて薄膜法にて測定した。平行ビーム光学配置を用い、光源にはCuKα線(波長:1.5418Å)を40kV、30mAのパワーで用いた。入射側スリット系はソーラスリット5.0°、高さ制御スリット10mm、入射スリット0.1mmを用い、受光側スリットにはパラレルスリットアナライザー(PSA)0.114deg.を用いた。検出器はシンチレーションカウンターを用いた。試料ステージは多孔質吸着試料ホルダを用いて、ポンプにより試料を吸着固定した。入射側を0.35°で固定し、ステップ間隔0.01°、測定スピード3.0°/minで測定した。
上記条件より得られたX線回折結果より、(400)面からのX線回折ピーク強度に対する(222)面からのX線回折ピーク強度比((222)強度/(400)強度)を求めた。(400)面からの回折図形には、光源であるCuのX線のKα1線及びKα2線が分離してしまうことに由来するショルダーが観測されるが、ここでは、それらを分離せずに、回折ピークのピークトップの強度から、そのピークのベースラインを直線としたときのベースライン強度の差を、反射強度として定義した。なお、上記におけるベースラインは、Sonneveld−Visser法によりバックグラウンド除去処理を行うことで得た(Sonneveld,E.J.&Visser,J.W., J.Appl.Cryst.8, 1(1975))。
試料表面に蒸着装置(メイワフォーシス社製 カーボンコータ CADE)を用いて、カーボンを約300nm蒸着した。次いで集束イオンビーム:FIB(SIIナノテクノロジー社製 SMI2050、加速電圧30kv)を用いて上記試料表面にカーボンのデポジションを行い、炭素を約1μm厚に被膜化した。その後表面からGaイオンにより約100nm厚みの薄膜を作製し、ピックアップ法により支持膜が付いたシートメッシュに貼り付けた。
上記の様にして作製した薄膜を、電界放出型分析透過電子顕微鏡:FE−TEM(日本電子製 JEM−2010FEF)/EDS(日本電子製 2300T)を用いて、STEMモードにより観察・分析を行った。FE−TEMは加速電圧200kVにて、EDS元素マッピングは256×192、0.1msec/ドット、積算回数200回、線分析測定は150ポイント、15sec/1ポイントでそれぞれ行った。
なお、ニッケルに対する酸素の上記割合は、スパッタリング時のガス流量の割合を反映する。したがって、実施例1〜8(Arガス流量30sccm;酸素ガス流量10sccm)は、実施例11(Arガス流量30sccm;酸素ガス流量9sccm)より上記割合が高く、実施例12〜14(Arガス流量30sccm;酸素ガス流量15sccm)より上記割合が低いことが当然に予測できる。
11 光透過性支持層(A)
12 光透過性導電層(B)
13 金属層(C)
14 金属層(D)
15 ハードコート層(F)
16 アンダーコート層(G)
Claims (7)
- (A)光透過性支持層;
(B)光透過性導電層;
(C)NiCu合金を含有する金属層;及び
(D)Cu若しくはAg又はそれの合金を含有する金属層
を含有する金属層付き導電性フィルムであって、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
少なくとも一方の前記光透過性導電層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、前記金属層(C)及び前記金属層(D)が、この順で互いに隣接して直接配置されていることを特徴とする、金属層付き導電性フィルム
(ただし、
(A)環状オレフィン系樹脂を含む光透過性支持層;
(B)In 2 O 3 /SnO 2 =95/5(重量比)の酸化物混合体からなる光透過性導電層;
(C)NiCu合金(重量比80:20)からなる金属層;
(D)Cuからなる金属層;及び
(C’)NiCu合金(重量比80:20)からなる金属層
がこの順で配置されている金属層付き導電性フィルムを除く)。 - 前記金属層(C)の厚さが、1〜30nmである、請求項1に記載の金属層付き導電性フィルム。
- 前記光透過性導電層(B)が、導電性物質として酸化インジウムスズを含有する、請求項1又は2のいずれかに記載の金属層付き導電性フィルム。
- 前記光透過性導電層(B)がX線回折において、(400)面からのX線回折ピーク強度に対する(222)面からのX線回折ピーク強度比((222)強度/(400)強度)が、5以上である、請求項3に記載の金属層付き導電性フィルム。
- 前記NiCu合金が、NiCu合金の酸化物である、請求項1〜4のいずれかに記載の金属層付き導電性フィルム。
- 前記金属層(C)が、厚さ方向の電界放出型分析透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(FE−TEM/EDS)による分析において、ニッケルのピークトップ位置におけるニッケルに対する酸素の割合が5重量%以上である、請求項5に記載の金属層付き導電性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の金属層付き導電性フィルムを含有する、タッチパネル。
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