JP5359003B2 - 有機薄膜トランジスタ装置、およびその製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ装置、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ、およびその製造方法に関する。
近年、フラットパネルディスプレイデバイスあるいは電子ペーパーの画素駆動のためのスイッチング素子として、TFT(薄膜トランジスタ)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、a−Si(アモルファスシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。この薄膜トランジスタ素子を用いるフラットパネルディスプレイの製造には、通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソ法の工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。
そこで、従来のTFT素子の製造に係るデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている。有機TFT素子は、シリコンを用いたTFT素子と構造的にはほぼ同じ形態を有するが、半導体活性層領域にシリコンの代りに有機物を使用するという相違点を有する。そして、有機TFT素子は、製造工程において、真空系設備を使用せず、インクジェット法、印刷法等により製造可能であるため、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
また、有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、フレキシブルディスプレイヘの応用が期待されている。さらに、有機TFT素子の性能は近年向上してきており、トランジスタ特性の一つである移動度については、有機TFT素子は、a−Siを用いたTFT素子の移動度に比べて同等かそれ以上の性能を示すものも提案されている。
しかしながら、有機半導体材料は、シリコンなどの無機半導体と比べて、化学的に不安定な材料であり、可視光や紫外線の照射や、有機溶剤、酸素、水分との接触によって、特性の変化および性能の劣化が起こる。そのため、有機半導体素子を遮光性およびガスバリア性を持った保護層で覆う必要がある。一方、有機半導体材料の耐薬品性および耐熱性が低いことを考慮しつつ、半導体材料を劣化させることなく保護層を形成する必要がある。
従来技術においては、有機半導体素子の保護層として、SiO2やSiNなどの無機膜、パリレンなどの有機膜を形成するものが提案されている。また、水溶性のポリビニルアルコール、ポリビニルフェノールなどの高分子材料を半導体層上に塗布するもの、さらに、フィルム状のシートを半導体層上に圧着して保護層とする方法も知られている(たとえば、特許文献1など)。
特開2005−210086号公報
しかしながら、従来技術においては、有機TFT素子の半導体層の保護層とその形成方法に関して種々の提案がなされているが、例えば真空成膜を利用するものは、製造コストの上昇を招き、製造コストが低いという有機TFT素子のメリットに相反する。また、ポリビニルアルコールに代表される水溶性の材料からなる保護層を半導体層上に形成する方法は、その水溶性の材料自身が水分を吸収しやすいために、保護層形成後に水分を吸収してしまい、半導体材料に悪影響を与えるおそれがある。そのため、保護層形成後の水分除去、水分吸収の防止、さらに吸収してしまった水分の除去などが必要となり、製造コストの上昇を招く。また、フィルム状のシートを熱圧着によって保護層として形成する方法は、半導体層に熱および圧力がかかり、半導体層を劣化させてしまうおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低コストで有機半導体の特性を劣化させることなく保護層を形成することが可能な有機薄膜トランジスタ装置とその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置であって、前記有機半導体層を挟む支持部と、前記支持部による支持によって、前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置されている保護層と、を備え、前記支持部が、前記ソース電極および前記ドレイン電極によって形成されていることを特徴とする。
また請求項2の発明は、基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置であって、前記有機半導体層を挟む支持部と、前記支持部による支持によって、前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置されている保護層と、を備え、前記保護層が、感光性ドライフィルムレジストによって形成されていることを特徴とする。
また請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ装置であって、前記空間が、不活性ガスが充満した空間であることを特徴とする。
また請求項の発明は、基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、前記有機半導体層を形成するための領域を側方より囲み、かつ前記有機半導体層よりも前記基板上面からの高さが高い支持部を形成する工程と、前記領域に有機半導体層を形成する工程と、前記支持部上に前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置される保護層を形成する工程と、を備え、前記保護層が、保護フィルムを含み、前記保護層を形成する工程が、前記支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、前記保護フィルムをラミネートする工程が、減圧下で行われることを特徴とする。
また請求項6の発明は、基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、前記有機半導体層を形成するための領域を側方から一方向に挟み、かつ前記有機半導体層よりも前記基板上面からの高さが高い第1および第2支持部を形成する工程と、前記第1および第2支持部上に前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置される保護層を形成する工程と、前記有機半導体層と前記第1および第2支持部とを側方から前記一方向とは異なる他方向に挟み、且つ前記有機半導体層を前記第1および第2支持部と前記保護層とともに囲んで封止する封止部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項に記載の有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、前記保護層が、保護フィルムを含み、前記保護層を形成する工程が、前記支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、前記保護フィルムをラミネートする工程が、不活性ガス雰囲気中にて行われることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、前記保護層が、保護フィルムを含み、前記保護層を形成する工程が、前記第1および第2支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、前記保護フィルムをラミネートする工程が、不活性ガス雰囲気中にて行われることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項6またはに記載の有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、前記保護層が、保護フィルムを含み、前記保護層を形成する工程が、前記第1および第2支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、前記保護フィルムをラミネートする工程が、減圧下で行われることを特徴とする。
請求項1からの何れに記載の発明によっても、有機半導体層と保護層とが接触していないため、有機半導体の特性を劣化させることなく保護層を形成することができる。
請求項に記載の発明によれば、支持部をソース電極およびドレイン電極によって形成することで、支持部を形成する工程を簡略化することができる。
請求項3に記載の発明によれば、有機半導体層と保護層との間に不活性ガスが充満しているため、外気に含まれる酸素や水分の影響から有機半導体層を守ることで、有機半導体層の劣化を防ぐことができる。
請求項に記載の発明によれば、保護層としてドライフィルムを用いることによって、半導体層に影響を与えることなく、精度良く保護層を形成することが可能となる。
請求項および請求項の何れに記載の発明によっても、不活性ガス雰囲気中にて保護フィルムのラミネートが行われるので、空気中に含まれる酸素、水分の影響から半導体層を守ることができる。
請求項および請求項の何れに記載の発明によっても、保護フィルムのラミネートが減圧下で行われるので、保護層形成後の加熱によって、半導体層および保護層間の気体が膨張することによる保護層の破裂を防止することができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る有機薄膜トランジスタ(以下「有機TFT」と略称する)の構成は、基板上にゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、有機半導体層を挟む支持部、および有機半導体層に対して空間を介して離隔配置された保護層を備えるものである。本発明の第1〜2の実施形態においては、ボトムゲート・ボトムコンタクト型の有機TFT装置を例にし、これに沿って説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機TFT装置20を概略的に示した図である。図1(a)は、画像表示装置においてマトリックス状に配列された多数の画素のうちの1画素に係る有機TFT装置20の部分を示す平面図であり、図1(b)は、有機TFT装置20を図1(a)の切断面線I−Iから見た断面図である。
図1(a),(b)に示すように、有機TFT装置20は、基板1、有機半導体層2、第1電極3、第2電極4、支持部5、保護層6、ゲート電極7、およびゲート絶縁膜8を備える。
具体的には、基板1上にゲート電極7が形成され、基板1およびゲート電極7の上面にゲート絶縁膜8が形成され、該ゲート絶縁膜8上には、第1電極3と第2電極4とが形成されている。また、第1電極3と第2電極4との間の凹部には、有機半導体層2が形成され、有機半導体層2が支持部5によって囲まれ、保護層6は、支持部5による支持によって有機半導体層2に対して空間を介して離隔配置されている。なお、支持部5によって有機半導体層2が囲まれているが、図1(b)の断面図のように、別の観点から見れば、有機半導体層2が支持部5によって挟まれていると言える。
第1および第2電極3,4については、第1電極3がソース電極として機能する際には、第2電極4がドレイン電極として機能し、第1電極3がドレイン電極として機能する際には、第2電極4がソース電極として機能する。以下では、第1電極3がソース電極として機能し、第2電極4がドレイン電極として機能する例について説明する。
基板1については、特にその材料が限定されることはなく、例えば、ガラス、柔軟性を有するプラスチックフィルム、絶縁コーティングされた導電性材料等を用いることができる。プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルム等が挙げられる。
図2〜8は、本発明の第1実施形態に係る有機TFT装置20の製造工程を示す図である。図2(a)〜8(a)は、各工程を示す平面図であり、図2(b)〜8(b)は、図2(a)〜8(a)の各工程を示す平面図を各切断面線から見た断面図である。
まず、図2および図3に示すように、基板1の上に、ゲート電極7を形成する。詳細には、基板1上に導電薄膜11を形成し(図2)、導電薄膜11からゲート電極7を形成する(図3)。ゲート電極7の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されず、導電性が十分確保できる金属材料が好ましい。例えば、Cr、Al、Cuなどの金属、ITO、ZnOなとの酸化物導電材料、PEDOT/PSS(ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸)などの導電性高分子などを用いることができる。また、これらを複数積層して形成してもよく、材料や構造は特に限定されるものではない。
基板1上における導電薄膜11の形成方法としては、上述の材料を原料とした公知の蒸着やスパッタリング等の方法を用いることができる。この後、公知のフォトリソ法の処理(レジスト塗布、露光、現像)及びエッチング処理を用いて導電薄膜11をパターニングすることでゲート電極7を形成することができる。また、別の方法としては、例えば、金属ナノ粒子を溶媒中に分散させたナノインクを用いてインクジェット法、ディスペンサ法などのダイレクトパターニング法を用いることもできる。
次に、図4に示すように、ゲート電極7が形成された後にゲート電極7を覆うようにゲート絶縁膜8が形成される。
ゲート絶縁膜8は、その材料が限定されることはなく、種々の絶縁膜を用いることができる。例えば、SiO2、SiNのような無機酸化物被膜や、無機窒化物被膜を用いることができる。また、PVA、PVP、ポリイミドなどの有機物化合物被膜や、それらの積層膜を用いることができる。
ゲート絶縁膜8の形成方法としては、ドライプロセスおよびウェットプロセスがある。ドライプロセスとしては、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等が挙げられる。また、ウェットプロセスとしては、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等が挙げられる。
次に、図5に示すように、ゲート絶縁膜8上に第1および第2電極3,4が形成される。
第1電極3と第2電極4とを構成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されず、上述のゲート電極3と同じ材料としても良い。具体的には、導電性が十分確保できる金属材料が好ましく、例えば、金属、酸化物導電材料、導電性高分子などを用いることができる。更に、第1電極3および第2電極4は半導体層に接するので、半導体材料へのキャリアの注入特性が優れた材料を用いるのが好ましい。具体的にはキャリアがホールであるp型有機半導体の場合には仕事関数の大きいAuやITO、Ptなどが良い。
第1および第2電極3,4の形成工程においては、まず、ゲート絶縁膜8の上に第1および第2電極3,4となる導電薄膜を形成する。導電薄膜の形成方法としては、上述の材料を原料とした公知の蒸着やスパッタリング等の方法を用いることができる。この後、公知のフォトリソ法の処理(レジスト塗布、露光、現像)及びエッチング処理を用いて第1電極3及び第2電極4を形成することができる。また、別の方法としては、例えば、金属ナノ粒子を溶媒中に分散させたナノインクを用いてインクジェット法、ディスペンサ法などのダイレクトパターニング法を用いることもできる。
次に、図6に示すように、第1および第2電極3,4上、およびゲート絶縁膜8上に支持部5が形成される。この支持部5は、上方から見ると、外壁および内壁が矩形状であり、且つ内部に中空部分を形成するバンクとして形成され、中空部分が有機半導体層2を形成するための領域に相当する。また、この支持部5は、有機半導体層2を形成するための領域(ここでは中空部分)を側方より囲み、後に形成される有機半導体層2と比較して、基板1の上面からの高さが相対的に高くなるように形成される。なお、本明細書における「側方」は、基板1の上面に対して略平行な方向を指す。図6においては支持部の形状は矩形としたが、外壁および内壁の形状は丸型、長丸型、また、対称性のない形状でも構わない。また、外壁と内壁の形状が異なっていても良い。例えば、外壁は正方形で、内壁はチャネル形状に合わせてチャネル幅方向(チャネルW方向)に細長い、角の丸い長方形型でも良い。これらはラミネートするフィルムの厚み、弾性率、ラミネート圧力などによって、支持部形状を変更することができる。
支持部5の構造について更に詳述すれば、支持部5を形成する4つの壁のうち、一方の対向する2つの壁の一方の壁が、第1電極3の上面において、第2電極4と対向する方向に対して略垂直な方向に沿って、該第1電極3の端から端まで形成されている。また、その他方の壁が、第2電極4の上面において、第1電極3と対向する方向に対して略垂直な方向に沿って、該第2電極4の端から端まで形成されている。更に、他方の対向する2つの壁は、それぞれ、ゲート絶縁膜8上に形成されている。
支持部5を構成する材料としては、感光性材料、例えばボジ型、ネガ形のレジスト材料を用いることができる。但し、支持部5には、後述する保護層6を接着するために、保護層6の材料との密着性が良好な材料を用いるのが好ましい。また、支持部5の形成については、公知のフォトリソ法を用いて実現することができる。なお、支持部5は、有機半導体層2を滴下にて形成する場合には、液を保持する保持部を兼用する。
次に、図7に示すように、支持部5の中空部分に有機半導体層2を形成する。具体的には、有機半導体層2を、少なくとも、第1電極3、第2電極4、および支持部5のうちのゲート絶縁膜8上に形成された部分によって側方より囲まれる領域に形成する。
有機半導体層2を構成する材料としては、蒸着により成膜可能な材料、溶媒に溶解させて塗布により成膜可能な材料を用いることができ、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物を使用することが可能である。縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、へキサセン、へプタセン、フタロシアニン、ポルフィリンなどの化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタンなどのシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体或いは混合物を挙げることができる。
更に、図8に示すように、支持部5の上面に対して保護層6が形成される。
保護層6としては、例えば、感光性ドライフィルムレジストのようなフィルム状のシートを用いることができる。但し、感光性ドライフィルムレジストにはボジ型とネガ型とがあるが、ネガ型のドライフィルムを用いた場合、半導体層上のドライフィルムに光を当てる必要が生じ、ドライフィルムを透過して一部の光が保護したい半導体材料に届き、半導体材料の劣化を招くおそれもあるため、保護層としてはボジ型のドライフィルムを用いるのが好ましい。なお、光に対して耐性を有する半導体材料の場合にはネガ型の感光性ドライフィルムレジストを使用しても問題がない。また、保護層であるフィルムの中に水分吸着材、酸素吸収材を混合しても良い。水分吸着剤としては、シリカ、アルミナなどの無機フィラーやゼオライト、更には、多孔セラミックスなどを利用しても良い。
図9は、保護層6を形成する保護フィルム13をラミネートする工程を示す図である。上述したように、基板1上に、ゲート電極7、ゲート絶縁膜8、第1電極3、第2電極4、支持部5、および有機半導体層2を形成した後、これらの素子が複数形成された有機半導体素子アレイ基板15を所定のテーブル12に配置し、有機半導体素子アレイ基板15の上面に対して保護フィルム13をラミネートする。このとき、有機半導体素子アレイ基板15の上面に接着剤を塗布した保護フィルム13を乗せ、保護フィルム13をローラー14で貼り合わせる。矢符A方向にローラー14を回転させて、支持部5と保護フィルム13を密着させながら有機半導体素子アレイ基板15の一端から他端まで貼り合わせる。なお、ローラー14およびテーブル12の内部に熱源を設け、有機半導体素子アレイ基板15と保護フィルム13とを加熱しながら貼り合わせても良い。
ここでは、上述したように、支持部5の上面が、有機半導体層2の上面と比較して、基板1の上面からの高さが高い。このため、有機半導体層2と保護層5とが接触せず、有機半導体層2に対して、溶媒、熱、圧力などを直接加えることなく保護フィルム13をラミネートすることが可能となる。したがって、有機半導体の特性を劣化させることなく保護層6を形成することができる。更に、露光および現像プロセスを経ることで支持部5の上部分だけに、有機半導体層2に対して空間を介して離隔配置される、感光性ドライフィルムレジスト層による保護層6を形成することが可能である。
ここで、保護フィルム13をラミネートする際の好適な工夫について述べる。
支持部5の高さが十分でない場合には、保護フィルム13のラミネート時に、保護フィルム13が支持部5と有機半導体層2との段差を埋めて、有機半導体層2と保護フィルム13とが完全に密着してしまうので、ラミネート時の熱及び圧力が有機半導体層2に伝わり、有機半導体層2の劣化を招くことになる。そのため、支持部5の上面の高さは、有機半導体層2の上面と比較して、ラミネート時の保護フィルム13のたわみ分よりも高い必要がある。ラミネート時の保護フィルム13のたわみについては、保護フィルム13の厚み、材料の剛性とその温度特性、支持部5の内側(すなわち中空部分)のサイズによるため、これらを適切な値に設定する必要もある。
また、感光性ドライフィルムレジストの他に、シート状のものを熱圧着するだけで保護層6を形成してもよい。この場合にも有機半導体層2には直接熟が加わらないため、有機半導体層2の性能を劣化させることなく保護層6を形成することができる。また、保護層6のパターニングが必要な場合には、保護層6の上にレジストパターンを形成し、レジスト現像、保護層6のエッチングなどを行い、パターンを形成することも可能である。
また、保護フィルム13をラミネートする処理については、空気中に含まれる酸素、水分の影響から有機半導体層2を守ることを考慮すると、不活性ガス雰囲気中にて行うことが好ましい。なお、保護フィルム13をラミネートする環境としては、通常、大気中で行うのが最も簡便な方法であるが、有機半導体層2と保護層6との隙間に水分や酸素が存在するのは半導体材料によっては好ましい状況ではない。そこで、ラミネートを行う空間の雰囲気(ラミネート環境)を不活性ガスで置換することが好ましい。なお、不活性ガスとしては窒素が最も適している。
また、常圧下で保護フィルム13をラミネートした有機TFT素子20を加熱すると、有機半導体層2と保護層6との間に閉じ込められた気体が膨張し、保護フィルム13を破る可能性がある。そこで、保護フィルム13をラミネートする処理を減圧下で行うことによって、保護層6を形成した後に、有機TFT素子20を加熱した場合に、有機半導体層2と保護層6との間の気体が膨張して保護層6が破裂することを防止することができる。すなわち、加熱時の気体の体積膨張に対する耐性を上げることが可能となる。減圧条件の最適値は、プロセスの最大温度によって変化するが、最大温度が160℃程度の場合には、0.070MPa〜0.095MPa、更に好ましくは0.075MPa〜0.090MPaである。また、ラミネート環境を低湿度にした場合は、水分による有機半導体層2の劣化を抑制することが可能となる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る有機TFT装置30の構成およびその製造工程の一部は、前述した第1実施形態に係る有機TFT装置20(図1〜8)のものと類似している。例えば、図1に示した有機TFT装置20の構成のうち、基板1、ゲート電極7、およびゲート絶縁膜8の構成については同様なものとなり、これらの構成を形成する工程(図2〜4)についても同様なものとなる。したがって、以下では、第2実施形態に係る有機TFT装置30の構成およびその製造工程のうち、第1実施形態に係る有機TFT装置20のものと同様な部分については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる部分について以下説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る有機TFT装置30を概略的に示した図である。図10(a)は、画像表示装置においてマトリックス状に配列された多数の画素のうちの1画素に係る有機TFT装置30の部分を示す平面図であり、図10(b)は、図10(a)の有機TFT装置30をX−X切断面線から見た断面図である。
図10(a),(b)に示すように、有機TFT装置30は、基板1、有機半導体層2、第1電極3A、第2電極4A、保護層6、ゲート電極7、ゲート絶縁膜8、および封止部9を備える。
具体的には、図10に示すように、有機TFT装置30は、基板1上にゲート電極7が形成され、基板1およびゲート電極7の上面にゲート絶縁膜8が形成され、該ゲート絶縁膜8上には、第1電極3Aと第2電極4Aとが形成されている。また、第1電極3Aと第2電極4Aとの間の凹部には、有機半導体層2が形成され、保護層6が、第1電極3Aと第2電極4Aとによる支持によって有機半導体層2に対して空間を介して離隔配置されている。更に、有機半導体層2と第1および第2電極3A,4Aとを、側方のうちの第1電極3Aと第2電極4Aとが対向する方向とは異なる方向から挟み、且つ有機半導体層2を第1および第2電極3A,4Aと保護層6とともに囲んで封止する封止部9が形成されている。このように、本実施形態では、第1および第2電極3A,4Aが、保護層6を支持する支持部として機能する。
なお、第1および第2電極3A,4Aについては、第1実施形態に係る第1および第2電極4Aと同様に、第1電極3Aがソース電極として機能する際には、第2電極4Aがドレイン電極として機能し、第1電極3Aがドレイン電極として機能する際には、第2電極4Aがソース電極として機能する。
図11〜14は、本発明の第2実施形態に係る有機TFT装置30の製造工程を示す図である。上述した図2〜8と同様に、図11(a)〜14(a)は、各工程を示す平面図であり、図11(b)〜14(b)は、図11(a)〜14(a)の各工程を示す平面図を各切断面線から見た断面図である。なお、図11〜14では、ゲート絶縁膜8上に、第1および第2電極3A,4A、有機半導体層2、保護層6、および封止部9を形成する工程がそれぞれ示されている。
まず、図2〜4を示して説明したように、基板1上に、ゲート電極7およびゲート絶縁膜8が形成され、その後、図11に示すように、ゲート絶縁膜8上に第1および第2電極3A,4Aが形成される。第1および第2電極3A,4Aの形成方法については、上述した第1実施形態と同様な手法を用いることができる。
但し、一般的なTFTにおけるソース電極およびドレイン電極の厚みが50nm程度であるが、本実施形態では、図11,12に示すように、第1および第2電極3A,4Aの厚みが、後に形成される有機半導体層2の厚みよりも、所定の厚み(例えば、50〜100nm)以上厚くなるように設定される。したがって、ここでは、第1および第2電極3A,4Aが有機半導体2を形成するための領域を側方より一方向に挟んで形成され、基板1の上面から該第1および第2電極3A,4Aの上面までの高さが、基板1の上面から有機半導体層2の上面までの高さよりも相対的に高くなるように設定される。
次に、図12に示すように、第1電極3Aと第2電極4Aとの間に有機半導体層2を形成する。有機半導体層2の形成は、有機半導体材料の塗布または蒸着などによって行われる。
次に、図13に示すように、第1および第2電極3A,4Aの上面に対して保護層6が形成される。この保護層6の形成方法については、第1実施形態で図9を示して説明した手法と同様に、基板1上に、ゲート電極7、ゲート絶縁膜8、第1電極3A、第2電極4A、および有機半導体層2を形成した後、これらの素子が複数形成された有機半導体素子アレイ基板の上面に対して保護フィルム13をローラー14で貼り合わせて保護層6を形成する。なお、上述した保護フィルム13のラミネートに係る各種工夫については、本実施形態にも勿論適用可能である。
更に、図14に示すように、有機半導体層2を封止する封止部9を形成する。ここで、有機半導体層2が外気に曝されないように、第1および第2電極3A,4Aと保護層6とによって形成される開口、ならびに第1および第2電極3A,4Aの間の空間領域に形成された有機半導体層2を覆うように、封止部9が形成される。より具体的には、有機半導体層2と第1および第2電極3A,4Aとを、第1電極3Aと第2電極4Aとが対向する方向(図14(a)では左右方向)とは異なる側方(図14(a)では上下方向)から挟むように、封止部9が形成される。その結果、有機半導体層2が、封止部9、第1および第2電極3A,4A、保護層9、およびゲート絶縁膜8によって囲まれて封止される。
この封止部9を構成する材料としては、熱硬化性、UV硬化性の樹脂をインクジェット、スクリーン印刷を用いて塗布し、硬化させることで形成することができる。溶剤を含まない無溶剤型の接着剤が好ましい。
以上のように、第2実施形態では、第1および第2電極3A,4Aの厚みを有機半導体層2の厚みよりも厚くすることで、第1電極3Aおよび第2電極4A間に位置する半導体中のキャリアが移動する経路と、保護層とが一定の距離を有するようになるため、半導体中のキャリアが移動する経路と保護層とが直接接触することがない。このため、上述した第1実施形態と同様に、有機半導体の特性を劣化させることなく保護層6を形成することができる。
また、保護層6をソース電極およびドレイン電極に相当する第1および第2電極3A,4Aが保護層6を支持する支持部としての機能を併せ持たせることで、支持部を形成する工程を簡略化することができる。したがって、製造工程の簡略化を図る上では、第2実施形態よりも第1実施形態の方が好ましいと言える。但し、第1および第2電極3A,4Aを構成する素材よりも、第1実施形態の支持部5を構成する素材の方が安価な場合には、第1実施形態よりも第2実施形態の方が好ましいと言える。
<変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、ボトムゲート・ボトムコンタクト型の有機TFTを例に取って本発明を説明したが、これに限られず、例えば、ボトムゲート・トップコンタクト型またはトップアンドボトムコンタクト型のTFTについても本発明を適用することが可能であり、同様の効果が得られる。さらに、有機半導体材料が特に酸素や水分に弱い場合には、本発明により形成した保護層の上に第2の保護層を形成してもよい。第2の保護層としては、大気圧プラズマ法によるSiO2薄膜などを利用することができる。従来、第2の保護層を形成した場合には、有機半導体層を劣化させる懸念があったが、本発明による保護層があることによって、第2の保護層形成時における有機半導体層の劣化を抑制することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。まず、実施例に係る有機TFT装置の調整方法ならびに測定対象について説明する。
(実施例1)
基板にはガラス、ゲート電極にはCr、ゲート絶縁膜にはSiO2をそれぞれ用いた。なお、SiO2についてはプラズマCVDにより500nmの厚みで成膜した。続いて、ゲート絶縁膜上に、ソース電極およびドレイン電極に相当する第1および第2電極をリフトオフ法で形成するためのレジストパターンを形成し、RF(高周波)スパッタ法により、厚さ5nmのCr膜を成膜し、その上に厚さ50nmのAu膜を成膜した。成膜後、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を主成分とする剥離液でレジストを剥離することで、第1および第2電極のパターンを形成した。
第1および第2電極が形成された基板に、有機半導体層の成膜位置の周囲に保護層を支持する支持部を形成した。支持部には感光性を付与したフェノール系の高分子材料を用い、支持部の高さを500nmとした。支持部の平面形状は略正方形で、外周部の一辺を160μmとした。また、支持部の内部に形成される中空部分は、平面形状が角部の丸い略長方形で、2組の対向する壁面に囲まれており、チャネル幅方向側の間隔を100μmとし、チャネル幅方向に対して略垂直な方向の間隔を30μmとした。
次に、有機半導体層については、6,13−ビストリイソプロビルシリル工チニルペンタセンをテトラリン溶液に溶解させ、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を備えたインクジェット装置によって吐出後、真空乾燥により溶媒を揮発させて形成した。有機半導体層の厚みについては、約30nm程度とした。そして、有機半導体層を形成した段階で、初期値としてのトランジスタ特性(保護層形成前のトランジスタ特性)を測定した。
続いて、保護層を形成するために厚み1μmのボジ型のドライフィルムをラミネート装置によって熱圧着した。ドライフィルムの材料としては、ナフトキノンジアジドを感光材としたポジ型ドライフィルムを用いた。ラミネート処理の様子については図9に示したように、ローラー温度を120℃、テーブル温度を100℃として、ローラによってフィルムに加えられる線圧を0.7kgf/cmとした。ラミネート処理後、露光、現像を行うことで、保護層を形成し、有機TFT装置を完成させた。なお、露光については、高圧水銀ランプを用いて405nmの値で、90mJ/cm2の露光量で行い、現像については2.38wt%TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の現像液で45秒行った。そして、保護層を形成した段階で、再度、有機TFT装置のトランジスタ特性(保護層形成後のトランジスタ特性)を測定した。
(実施例2)
基板、ゲート電極、およびゲート絶縁膜の素材、構成、形成方法については、実施例1と同様とした。続いて、ゲート絶縁膜上に、ソース電極およびドレイン電極に相当する第1および第2電極をリフトオフ法で形成するためのレジストパターンを形成し、RFスパッタ法により、厚さ5nmのCr膜を成膜し、その上に厚さ200nmのAu膜を成膜した。その後、NMPを主成分とする剥離液でレジストを剥離することで、第1および第2電極のパターンを形成した。
第1および第2電極が形成された基板に、半導体材料である6,13−ビストリイソプロピルシリル工チニルペンタセンをテトラリン溶液に溶解させ、インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置によって吐出後、真空乾燥により溶媒を揮発させることで有機半導体層を形成した。この有機半導体層は厚みについては約30nm程度とした。そして、有機半導体層を形成した段階で、初期値としてのトランジスタ特性(保護層形成前のトランジスタ特性)を測定した。
続いて、保護層を形成するために厚み1μmのボジ型のドライフィルムをラミネート装置によって熟圧着した。ドライフィルムの材料としては、ナフトキノンジアジドを感光材としたポジ型ドライフィルムを用いた。ローラー温度を120℃、テーブル温度を100℃として、ローラによってフィルムに加えられる線圧を0.7kgf/cmとした。このラミネート処理後、露光、現像を行うことで、保護層を形成し、有機TFT装置を完成させた。なお、本露光については90mJ/cm2の露光量で行い、現像については2.38wt%TMAHの現像液で45秒行った。このようにして保護層を形成した後に、2液混合熱硬化性シリコーン樹脂を、メタル版を用いたスクリーン印刷で形成することによって、有機半導体層を封止する封止部を形成した。そして、封止部を形成した段階で、再度、有機TFT装置のトランジスタ特性(保護層形成後のトランジスタ特性)を測定した。
(実施例3)
基板、ゲート電極、およびゲート絶縁膜の素材、構成、形成方法については、実施例1と同様とした。続いて、ゲート絶縁膜上に、ソース電極およびドレイン電極に相当する第1および第2電極をリフトオフ法で形成するためのレジストパターンを形成し、RFスパッタ法により、厚さ5nmのCr膜を成膜し、その上に厚さ50nmのAu膜を成膜した。その後、NMPを主成分とする剥離液でレジストを剥離することで、第1および第2電極のパターンを形成した。
第1および第2電極が形成された基板上において、有機半導体層の成膜位置の周囲に保護層を支持する支持部を形成した。この支持部については実施例1と同様な構成のものであり、同様な手法で形成した。そして、支持部形成後、ゲート絶縁膜に相当するSiO2の表面にスピンコートによって、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理を施した。
次に、半導体材料としてポリ3−へキシルチオフェンをテトラリン溶媒に溶解させ、インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置によって吐出後、真空乾燥により溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気下にて150℃で15分間加熱することで、有機半導体層を形成した。この有機半導体層の厚みについては、約30nm程度とした。そして、有機半導体層を形成した段階で、初期値としてのトランジスタ特性(保護層形成前のトランジスタ特性)を測定した。
続いて、保護層を形成するために厚み1μmのボジ型のドライフィルムをラミネート装置によって熱圧着した。ドライフィルムの材料としては、ナフトキノンジアジドを感光材としたポジ型ドライフィルムを用いた。そして、窒素雰囲気下のグローブボックスにラミネート装置を設置し、半導体層まで形成されたものを再度窒素雰囲気下にて150℃で15分間加熱した後、窒素雰囲気下にてドライフィルムのラミネート処理を実施した。このとき、ローラ温度を120℃、テーブル温度を100℃として、ローラによってフィルムに加えられる線圧を0.7kgf/cmとした。ラミネート処理後、露光、現像を行うことで、保護層を形成し、有機TFT装置を完成させた。なお、露光は90mJ/cm2の露光量で行い、現像は2.38wt%TMAHの現像液で45秒行った。そして、保護層を形成した段階で、再度、有機TFT装置のトランジスタ特性(保護層形成後のトランジスタ特性)を測定した。
(比較例1)
実施例1において、支持部を形成することなく保護層を有機半導体層上に直接形成することで製作した有機TFT装置を比較例1とした。なお、比較例1についても、上記実施例1〜3と同様に、保護層を形成する前後のトランジスタ特性を測定した。
下表1は、実施例1〜3および比較例1に係る保護層形成前後のトランジスタ特性を示している。なお、ここでは、トランジスタ特性として、ソース−ドレイン電極間に印加する電圧と、ゲート電極に印加する電圧と、ソース−ドレイン間に流れる電流とから、移動度およびON/OFF比を調べた。ここで、移動度とはキャリアである正孔の移動し易さを示し、この値が高いほど、あるゲート電圧において正孔が移動する割合が上がる。また、ON/OFF比は、ソース電極およびドレイン電極間の電圧を−40Vと一定にして、ゲート電圧を40Vから−100Vまで変化させながら、ソース電極およびドレイン電極間の電流値を測定し、その電流値の最大値を同じく最小値で除したものとした。ON/OFF比の値が高いほど、優れたデバイス特性を有することを意味する。
Figure 0005359003
上表1に示すように、支持部が形成されていない有機TFT装置(比較例)については、保護層の形成によって、移動度が一桁以上低下した。実施例1〜3については、保護層の形成によって、トランジスタ特性の若干の低下がみられるが、保護層の形成後であっても、移動度およびON/OFF比ともに、保護層の形成前の6割以上の値に維持され、特性の劣化の許容範囲内であった。上表1の結果から、従来技術に相当する比較例と比較して、本発明に係る実施例1〜3おいては、ドライフィルムを用いた保護層を形成する前後でトランジスタ特性の大幅な劣化がないことが分かった。
本発明の第1実施形態に係る有機TFT装置20を概略的に示した図である。 基板1上に導電薄膜11を形成する工程を示す図である。 導電薄膜11からゲート電極7を形成する工程を示す図である。 ゲート絶縁膜8を形成する工程を示す図である。 第1および第2電極3,4を形成する工程を示す図である。 支持部5を形成する工程を示す図である。 有機半導体層2を形成する工程を示す図である。 支持部5の上に保護層6を形成する工程を示す図である。 保護フィルム13をラミネートして保護層を形成する工程を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る有機TFT装置30を概略的に示した図である。 第1および第2電極3A,4Aを形成する工程を示す図である。 有機半導体層2を形成する工程を示す図である。 第1および第2電極3A,4Aの上に保護層6を形成する工程を示す図である。 封止部9を形成する工程を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 有機半導体層
3,3A 第1電極
4,4A 第2電極
5 支持部
6 保護層
7 ゲート電極
8 ゲート絶縁膜
9 封止部
13 保護フィルム
20 ,30 有機TFT装置(有機薄膜トランジスタ装置)

Claims (8)

  1. 基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置であって、
    前記有機半導体層を挟む支持部と、
    前記支持部による支持によって、前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置されている保護層と、
    を備え
    前記支持部が、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極によって形成されていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置。
  2. 基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置であって、
    前記有機半導体層を挟む支持部と、
    前記支持部による支持によって、前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置されている保護層と、
    を備え、
    前記保護層が、
    感光性ドライフィルムレジストによって形成されていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ装置であって、
    前記空間が、
    不活性ガスが充満した空間であることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置。
  4. 基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、
    前記有機半導体層を形成するための領域を側方より囲み、かつ前記有機半導体層よりも前記基板上面からの高さが高い支持部を形成する工程と、
    前記領域に有機半導体層を形成する工程と、
    前記支持部上に前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置される保護層を形成する工程と、
    を備え、
    前記保護層が、保護フィルムを含み、
    前記保護層を形成する工程が、前記支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、
    前記保護フィルムをラミネートする工程が、減圧下で行われることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置の製造方法
  5. 請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、
    前記保護層が、保護フィルムを含み、
    前記保護層を形成する工程が、前記支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、
    前記保護フィルムをラミネートする工程が、不活性ガス雰囲気中にて行われることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置の製造方法。
  6. 基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、および有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、
    前記有機半導体層を形成するための領域を側方から一方向に挟み、かつ前記有機半導体層よりも前記基板上面からの高さが高い第1および第2支持部を形成する工程と、
    前記第1および第2支持部上に前記有機半導体層に対して空間を介して離隔配置される保護層を形成する工程と、
    前記有機半導体層と前記第1および第2支持部とを側方から前記一方向とは異なる他方向に挟み、且つ前記有機半導体層を前記第1および第2支持部と前記保護層とともに囲んで封止する封止部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置の製造方法。
  7. 請求項に記載の有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、
    前記保護層が、保護フィルムを含み、
    前記保護層を形成する工程が、前記第1および第2支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、
    前記保護フィルムをラミネートする工程が、不活性ガス雰囲気中にて行われることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置の製造方法。
  8. 請求項または7に記載の有機薄膜トランジスタ装置の製造方法であって、
    前記保護層が、保護フィルムを含み、
    前記保護層を形成する工程が、前記第1および第2支持部上に前記保護フィルムをラミネートする工程を含み、
    前記保護フィルムをラミネートする工程が、減圧下で行われることを特徴とする有機薄膜トランジスタ装置の製造方法。
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