JP5354199B2 - 光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜を形成するためのスパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
この発明は、光記録媒体を構成するアルミニウム合金反射膜およびこのアルミニウム合金反射膜を形成するためのアルミニウム合金からなるスパッタリングターゲットに関するものであり、特に波長405nmの青紫色レーザを使用して書きこみおよび読み取りを行う光記録媒体を構成するアルミニウム合金反射膜に関するものである。
一般に、光記録媒体の反射膜にはアルミニウム合金からなる反射膜が形成されていることは知られており、このアルミニウム合金からなる反射膜は同じ成分組成を有するアルミニウム合金製ターゲットを用い、スパッタリングすることにより形成されることは知られている。
例えば、特許文献1にはHf,Ti,Crの内の1種又は2種以上を合計で0.1〜 10原子%を含み、かつHf,Ti,Crの内の1種又は2種以上とMgの合計が15原子%以下であるアルミニウム合金からなる反射膜が記載されている。
例えば、特許文献1にはHf,Ti,Crの内の1種又は2種以上を合計で0.1〜 10原子%を含み、かつHf,Ti,Crの内の1種又は2種以上とMgの合計が15原子%以下であるアルミニウム合金からなる反射膜が記載されている。
また、特許文献2には、Alを主成分とし、希土類元素の少なくとも1種を1.0〜10.0原子%含有し、さらにCr,Ta,Ti,Mo,V,W,Hf,Nb,Niの少なくとも1種:0.5〜5.0原子%、Si,Mgの少なくとも1種:5.0原子%以下含有するアルミニウム合金からなる反射膜およびこの反射膜を形成するための反射膜と同一成分を有するスパッタリングターゲット、および、Alを主成分とし、希土類元素の少なくとも1種を1.0〜10.0原子%含有し、さらにCr,Ta,Ti,Mo,V,W,Hf,Nb,Niの少なくとも1種:0.5〜5.0原子%、Fe,Coの少なくとも1種:1.0〜5.0原子%、Si,Mgの少なくとも1種:5.0原子%以下含有するアルミニウム合金からなる反射膜およびこの反射膜を形成するための反射膜と同一成分を有するスパッタリングターゲットが記載されている。
この特許文献2に記載のAl合金反射膜及びスパッタリングターゲットは、光記録媒体の中でも特に再生専用の媒体(ROM)用のAl合金反射膜及びその形成用のAl合金ターゲットである。
また、特許文献2において、アルミニウム合金に含む希土類元素としては、YおよびNdのみが例示されており、3元系以上のアルミニウム合金に含む希土類元素としては、Ndのみが例示されている。
また、特許文献2において、アルミニウム合金に含む希土類元素としては、YおよびNdのみが例示されており、3元系以上のアルミニウム合金に含む希土類元素としては、Ndのみが例示されている。
さらに、特許文献3には、Al−M合金(ただし、MはMg,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,CuおよびZnのうち1種以上である)からなり、鏡面加工して走査型電子顕微鏡観察を行ったとき、平均粒径0.01〜2μmの前記Mリッチの微細粒を有するグレインをもち、このグレイン周囲にバウンダリー層を有し、このバウンダリー層中にMリッチの第2微細粒を有するAl合金スパッタ用ターゲットが記載されており、このAl合金スパッタ用ターゲットに含まれる原料の不純物等に由来する例えばSi,Fe,Cu等が1000ppm程度以下、またOやNなどが1000ppm程度含まれていてもよいことなどが記載されている。
そして、これら特許文献1〜3に記載のAl合金からなる反射膜およびターゲットはいずれも耐食性を有することが記載されている。
一般にこれら光記録媒体の書き込みおよび読み出しはレーザを使用することは知られているが、近年、光記録媒体の大容量化のために記録膜へ形成される記録マークを小さくしていく必要性から通常のレーザよりも波長の短い青紫色レーザ(波長405nm)が用いられるようになってきた。かかる状況に対して光記録媒体に形成される反射膜の耐食性が十分でなかったり、形成された反射膜の表面が粗いと光記録媒体の記録再生時にノイズが発生し易くなり、正確な書き込みおよび読み出しができなくなる。
したがって、青紫色レーザ使用の光記録媒体に形成されるアルミニウム合金反射膜は十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜であることが求められており、かかる十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜を形成することができるアルミニウム合金製ターゲットが求められている。
一般にこれら光記録媒体の書き込みおよび読み出しはレーザを使用することは知られているが、近年、光記録媒体の大容量化のために記録膜へ形成される記録マークを小さくしていく必要性から通常のレーザよりも波長の短い青紫色レーザ(波長405nm)が用いられるようになってきた。かかる状況に対して光記録媒体に形成される反射膜の耐食性が十分でなかったり、形成された反射膜の表面が粗いと光記録媒体の記録再生時にノイズが発生し易くなり、正確な書き込みおよび読み出しができなくなる。
したがって、青紫色レーザ使用の光記録媒体に形成されるアルミニウム合金反射膜は十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜であることが求められており、かかる十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜を形成することができるアルミニウム合金製ターゲットが求められている。
このため、特許文献4には、Mg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなる耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットが提案されている。この技術では、さらに希土類元素としてLa,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有することで、一層優れた表面平滑性が得られている。
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上述したように、形成された反射膜の表面が粗いとノイズ発生により正確な書き込み及び読み出しができなくなるため、特許文献4に記載の技術のように、優れた表面平滑性が得られる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットが開発されているが、このような反射膜でも、さらに恒温恒湿試験を実施すると表面が粗くなってしまう不都合があった。また、再生専用の情報記録媒体のレーザーマーキングを行う際に、反射膜には高耐食性及び低熱伝導率が要求されている。
上述したように、形成された反射膜の表面が粗いとノイズ発生により正確な書き込み及び読み出しができなくなるため、特許文献4に記載の技術のように、優れた表面平滑性が得られる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットが開発されているが、このような反射膜でも、さらに恒温恒湿試験を実施すると表面が粗くなってしまう不都合があった。また、再生専用の情報記録媒体のレーザーマーキングを行う際に、反射膜には高耐食性及び低熱伝導率が要求されている。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、十分な耐食性を有すると共に優れた表面平滑性を有し、湿熱環境でも表面粗さが小さい光記録媒体用アルミニウム合金反射膜及びこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、光記録媒体用アルミニウム合金反射膜をスパッタリングで形成する技術について研究を進めたところ、MgおよびCeを一定の範囲で含有したアルミニウム合金製ターゲットを用いて作製した反射膜は、表面粗さが一層小さいので青紫色レーザを用いる光記録媒体の記録再生時のノイズをさらに低減することができること、および、このMgおよびCeを含有したアルミニウム合金に、さらに特定の元素を一定範囲の含有量で添加したアルミニウム合金製ターゲットを用いて作製した反射膜では、Alの拡散を阻害して湿熱環境でも表面粗さが小さく維持されるため、光記録媒体の記録再生の信頼性をより一層高めることができることを突き止めた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜は、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする。
また、本発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲットは、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする。
これら光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットでは、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなるので、十分な耐食性および表面平滑性を有すると共に、湿熱環境においても反射膜の表面粗さが小さく維持される。したがって、光記録媒体の記録再生時のノイズを低減することが可能になる。
この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットは、例えば原料として純度:99.99質量%以上の高純度Alおよびいずれも純度:99 .9質量%以上のMg、Ce及びPdを用意し、まず、高純度Al、MgおよびPdを所定の含有量となるようにルツボに投入し、不活性ガス雰囲気中で溶解して不純物が可及的に少ないAl合金溶湯を作製し、得られたAl合金溶湯にCeを所定の含有量となるように添加し、溶解した後、不活性ガス雰囲気中で鋳造してインゴットを作製し、これらインゴットを熱間加工したのち機械加工することにより製造することができる。
次に、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットにおける成分組成を前記の如く限定した理由を説明する。
Mg:
Mg成分は、Alに固溶し、Al合金からなる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の表面平滑性を向上させると共に表面に緻密で透明な不働態膜を形成することにより高反射率を維持したまま耐食性を向上させる成分である。
なお、Mgを3質量%未満含んでも、反射膜の表面粗さの低減効果が不十分であり、一方、8質量%を越えて含有すると、膜の反射率が低下する傾向が顕著になるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるMg成分の含有量を、3〜8質量%に定めた。なお、より好ましいMgの組成範囲は、5〜8質量%である。
Mg成分は、Alに固溶し、Al合金からなる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の表面平滑性を向上させると共に表面に緻密で透明な不働態膜を形成することにより高反射率を維持したまま耐食性を向上させる成分である。
なお、Mgを3質量%未満含んでも、反射膜の表面粗さの低減効果が不十分であり、一方、8質量%を越えて含有すると、膜の反射率が低下する傾向が顕著になるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるMg成分の含有量を、3〜8質量%に定めた。なお、より好ましいMgの組成範囲は、5〜8質量%である。
Ce:
Ce成分は、湿熱環境下における反射膜の耐食性を維持すると共に、反射膜の表面粗さの低減に効果を有する希土類元素である。さらに、Ce成分は、反射膜の熱伝導率を低減する効果も有している。
なお、Ceを3質量%未満含んでも、反射膜の表面粗さの低減効果および熱伝導率の低減効果がいずれも不十分であり、一方、8質量%を越えて含有すると、孔食が発生するようになるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるCe成分の含有量を、3〜8質量%に定めた。なお、より好ましいCeの組成範囲は、4〜8質量%である。
Ce成分は、湿熱環境下における反射膜の耐食性を維持すると共に、反射膜の表面粗さの低減に効果を有する希土類元素である。さらに、Ce成分は、反射膜の熱伝導率を低減する効果も有している。
なお、Ceを3質量%未満含んでも、反射膜の表面粗さの低減効果および熱伝導率の低減効果がいずれも不十分であり、一方、8質量%を越えて含有すると、孔食が発生するようになるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるCe成分の含有量を、3〜8質量%に定めた。なお、より好ましいCeの組成範囲は、4〜8質量%である。
Pd:
Pdの成分は、反射膜中のAl原子と強く結合してAlの拡散を抑制し、湿熱環境下における反射膜の表面粗さの粗大化を抑制する成分である。
なお、Pdを4質量%未満含んでも、上記効果が不十分であり、一方、15質量%を越えて含有すると、反射膜の反射率が低下する傾向が顕著になるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるPdの含有量を、4〜15質量%に定めた。
Pdの成分は、反射膜中のAl原子と強く結合してAlの拡散を抑制し、湿熱環境下における反射膜の表面粗さの粗大化を抑制する成分である。
なお、Pdを4質量%未満含んでも、上記効果が不十分であり、一方、15質量%を越えて含有すると、反射膜の反射率が低下する傾向が顕著になるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるPdの含有量を、4〜15質量%に定めた。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る光記録媒体用アルミニウム合金反射膜及びこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットによれば、Mg及びCeを上記含有量で含有し、さらにPdを上記含有量で含有したアルミニウム合金からなるので、耐食性および表面平滑性に優れていると共に、湿熱環境下でも表面粗さを小さく維持することができる。したがって、湿熱環境下での経時変化による光記録媒体の劣化が少なく長期にわたって使用でき、かつ青紫色レーザを用いてもノイズ発生が少なく書き込みおよび読み出しが可能な光記録媒体を提供することができる。
すなわち、本発明に係る光記録媒体用アルミニウム合金反射膜及びこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットによれば、Mg及びCeを上記含有量で含有し、さらにPdを上記含有量で含有したアルミニウム合金からなるので、耐食性および表面平滑性に優れていると共に、湿熱環境下でも表面粗さを小さく維持することができる。したがって、湿熱環境下での経時変化による光記録媒体の劣化が少なく長期にわたって使用でき、かつ青紫色レーザを用いてもノイズ発生が少なく書き込みおよび読み出しが可能な光記録媒体を提供することができる。
以下、本発明に係る光記録媒体用アルミニウム合金反射膜及びこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットの一実施形態を、その製造方法と共に説明する。
まず、原料として、高純度Al、高純度のMg,Ce,Pdを用意する。
所定の配合比で秤量した各原料を、通常の高周波溶解炉を用いてArガス雰囲気でアルミナ、マグネシア等の耐火物ルツボを用いて所定量のAl,MgおよびPdを溶解し、アフターチャージにより、Ceを加えて合金溶湯とし、鋳鉄製の鋳型に鋳造することにより、インゴットを作製する。
所定の配合比で秤量した各原料を、通常の高周波溶解炉を用いてArガス雰囲気でアルミナ、マグネシア等の耐火物ルツボを用いて所定量のAl,MgおよびPdを溶解し、アフターチャージにより、Ceを加えて合金溶湯とし、鋳鉄製の鋳型に鋳造することにより、インゴットを作製する。
各原料の上記所定の配合比は、上記インゴットが、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなるように設定される。
得られたインゴットを、例えば500℃で1時間加熱した後、熱間圧延し、機械加工することにより、所定寸法を有したターゲット材を製造する。このターゲット材とバッキングプレートとをはんだ付けすることにより、本実施形態のスパッタリングターゲットが作製される。
このようにして作製されるスパッタリングターゲットは、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金から構成されている。なお、より好ましいMgの組成範囲は、5〜8質量%である。
次に、上記スパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることで本実施形態の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を作製する。
まず、上記スパッタリングターゲットを、直流マグネトロンスパッタ装置に装着する。次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を所定圧力まで排気した後、Arガスを導入して所定のスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットに所定の直流スパッタ電力を印加し、上記ターゲットに対向しかつ一定の間隔を設けてターゲットと平行に配置した無アルカリガラス基板と上記ターゲットとの間にプラズマを発生させてスパッタリングを行う。
まず、上記スパッタリングターゲットを、直流マグネトロンスパッタ装置に装着する。次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を所定圧力まで排気した後、Arガスを導入して所定のスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットに所定の直流スパッタ電力を印加し、上記ターゲットに対向しかつ一定の間隔を設けてターゲットと平行に配置した無アルカリガラス基板と上記ターゲットとの間にプラズマを発生させてスパッタリングを行う。
このようにして成膜される光記録媒体用アルミニウム合金反射膜は、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなる。
まず、原料として、純度:99.99質量%以上の高純度Al、純度:99.9質量%以上のMg,Ce,Pdを用意した。
所定の配合比で秤量した各原料を、通常の高周波溶解炉を用いてArガス雰囲気でアルミナ、マグネシア等の耐火物ルツボを用いて所定量のAl,MgおよびPdを溶解し、アフターチャージにより、Ceを加えて合金溶湯とし、鋳鉄製の鋳型に鋳造することにより、インゴットを作製した。
所定の配合比で秤量した各原料を、通常の高周波溶解炉を用いてArガス雰囲気でアルミナ、マグネシア等の耐火物ルツボを用いて所定量のAl,MgおよびPdを溶解し、アフターチャージにより、Ceを加えて合金溶湯とし、鋳鉄製の鋳型に鋳造することにより、インゴットを作製した。
各原料の上記所定の配合比は、上記インゴットが、Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにPd:4〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなるように設定される。
得られたインゴットを500℃で1時間加熱した後、熱間圧延し、機械加工することにより、直径:125mm、厚さ:5mmの寸法を有したターゲット材を製造した。このターゲット材と無酸素銅製バッキングプレートとをInはんだを用いてはんだ付けすることにより、表1に示される成分組成を有する本発明のスパッタリングターゲット1〜6を作製した。
また、本発明の範囲から外れる成分組成を有する比較例ターゲット1〜6を、表1に示される成分組成となるように配合した以外は本発明ターゲット1〜6の製造条件と同じ条件で製造した。さらに、表1に示される従来ターゲット1を製造した。
これらバッキングプレートにはんだ付けされた表1に示される本発明ターゲット1〜6、比較ターゲット1〜6および従来ターゲット1を、直流マグネトロンスパッタ装置に装着した。次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を1×10−4Paまで排気した後、Arガスを導入して0.67Paのスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットにDC700Wの直流スパッタ電力を印加し、上記ターゲットに対向しかつ70mmの間隔を設けてターゲットと平行に配置した縦:30mm、横:30mm、厚さ:1.1mmの無アルカリガラス基板と上記ターゲットとの間にプラズマを発生させてスパッタリングを行った。これにより、表1に示される成分組成を有し、厚さ:100nmを有する本発明アルミニウム合金反射膜1〜6、比較アルミニウム合金反射膜1〜6および従来アルミニウム合金反射膜1を形成した。
このようにして形成した本発明アルミニウム合金反射膜1〜6、比較アルミニウム合金反射膜1〜6および従来アルミニウム合金反射膜1について、下記の試験および評価を行った結果を、表1に示す。
<表面粗さ、耐熱性(表面粗さの変化)の試験>
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の表面粗さを測定した。
このアルミニウム合金反射膜の表面粗さは、セイコーインスツルメンツ株式会社製の走査型プローブ顕微鏡SPA−400を用いて測定し、膜面内の1μm×1μmの領域の平均面粗さ(Ra)により評価した。
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の表面粗さを測定した。
このアルミニウム合金反射膜の表面粗さは、セイコーインスツルメンツ株式会社製の走査型プローブ顕微鏡SPA−400を用いて測定し、膜面内の1μm×1μmの領域の平均面粗さ(Ra)により評価した。
また、耐熱性については、さらに80℃、85%RHに保持した恒温恒湿槽内に100時間保持した後の表面粗さにより評価した。
これらの表面粗さの評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜6は、上記恒温恒湿試験後でも、比較アルミニウム合金反射膜1,3,5および従来アルミニウム合金反射膜1に比べて表面粗さが小さいことがわかる。
これらの表面粗さの評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜6は、上記恒温恒湿試験後でも、比較アルミニウム合金反射膜1,3,5および従来アルミニウム合金反射膜1に比べて表面粗さが小さいことがわかる。
<反射率、耐食性(反射率の変化)の試験>
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の反射率を分光光度計により測定し、高密度記録媒体にて記録再生に用いられる青紫色レーザ光の波長405nmにおける反射率を比較した。
また、耐食性については、80℃、85%RHに保持した恒温恒湿槽内に100時間保持した後の波長405nmにおける反射率を比較した。
これらの反射率の評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜6は、上記恒温恒湿試験後でも、比較アルミニウム合金反射膜2,4,6に比べて良好な反射率を維持していることがわかる。
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の反射率を分光光度計により測定し、高密度記録媒体にて記録再生に用いられる青紫色レーザ光の波長405nmにおける反射率を比較した。
また、耐食性については、80℃、85%RHに保持した恒温恒湿槽内に100時間保持した後の波長405nmにおける反射率を比較した。
これらの反射率の評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜6は、上記恒温恒湿試験後でも、比較アルミニウム合金反射膜2,4,6に比べて良好な反射率を維持していることがわかる。
<熱伝導率の試験>
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の比抵抗を四探針法により測定し、ウィーデマン・フランツ則に基づいて、以下の式(1)により、比抵抗から計算により求めた。
κ=2.44×10−8T/ρ ・・・(1)
(ただし、κ:熱伝導率、T:絶対温度、ρ:比抵抗)
この熱伝導率の評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜6は、従来アルミニウム合金反射膜1に比べて低い熱伝導率を有していることがわかる。
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の比抵抗を四探針法により測定し、ウィーデマン・フランツ則に基づいて、以下の式(1)により、比抵抗から計算により求めた。
κ=2.44×10−8T/ρ ・・・(1)
(ただし、κ:熱伝導率、T:絶対温度、ρ:比抵抗)
この熱伝導率の評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜6は、従来アルミニウム合金反射膜1に比べて低い熱伝導率を有していることがわかる。
なお、これらの評価結果から、Mgの組成範囲として、5〜8質量%がより好ましく、Ceの組成範囲として、4〜8質量%がより好ましいことがわかる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (2)
- Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、
さらにPd:4〜15質量%を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする光記録媒体用アルミニウム合金反射膜。 - Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、
さらにPd:4〜15質量%を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット。
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