JP2007066417A - 耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜を形成するためのスパッタリングターゲット - Google Patents

耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜を形成するためのスパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】Mg:0.1〜15質量%を含有し、さらに必要に応じて希土類元素の内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、光記録媒体を構成するアルミニウム合金反射膜およびこのアルミニウム合金反射膜を形成するためのアルミニウム合金からなるスパッタリングターゲットに関するものであり、特に青紫色レーザーを使用して書きこみ及び読み取りを行う光記録媒体を構成するアルミニウム合金反射膜に関するものである。
一般に、光記録媒体の反射膜にはアルミニウム合金からなる反射膜が形成されていることは知られており、このアルミニウム合金からなる反射膜は同じ成分組成を有するアルミニウム合金製ターゲットを用い、スパッタリングすることにより形成されることは知られている。
例えば、特許文献1にはHf,Ti,Crに内の1種または2種以上を合計で0.1〜10原子%を含み、かつHf,Ti,Crに内の1種または2種以上とMgの合計が15原子%以下であるアルミニウム合金からなる反射膜が記載されており、
特許文献2には、Alを主成分とし、希土類元素の少なくとも1種を1.0〜10.0原子%含有し、さらにCr,Ta,Mo,V,W,Zr,Hf,Nb,Niの少なくとも1種を0.5〜5.0原子%含有し、さらにSi,Mgの少なくとも1種を5.0原子%以下含有するアルミニウム合金からなる反射膜およびこの反射膜を形成するための反射膜と同一成分を有するスパッタリングターゲットが記載されており、さらに、
特許文献3には、Al−M合金(ただし、MはMg,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,CuおよびZnのうち1種以上である)からなり、鏡面加工して走査型電子顕微鏡観察を行ったとき、平均粒径0.01〜2μmの前記Mリッチの微細粒を有するグレインをもち、このグレイン周囲にバウンダリー層を有し、このバウンダリー層中にMリッチの第2微細粒を有するAl合金スパッタ用ターゲットが記載されており、このAl合金スパッタ用ターゲットに含まれる原料の不純物等に由来する例えばSi,Fe,Cu等が1000ppm程度以下、またOやNなどが1000ppm程度含まれていてもよいことなどが記載されている。
そして、これら特許文献1〜3に記載のAl合金からなる反射膜およびターゲットはいずれも耐食性を有することが記載されている。
特開平5−210871号公報 特開平2005−158236号公報 特許第3545787号明細書
一般にこれら光記録媒体の書き込みおよび読み出しはレーザーを使用することは知られているが、近年、光記録媒体の大容量化のために記録膜へ形成される記録マークを小さくしていく必要性から通常のレーザーよりも波長の短い青紫色レーザーが用いられるようになってきた。かかる状況に対して光記録媒体に形成される反射膜の耐食性が十分でなかったり、形成された反射膜の表面が粗いとノイズが発生し易くなり、正確な書き込みおよび読み出しができなくなる。
したがって、青紫色レーザー使用の光記録媒体に形成されるアルミニウム合金反射膜は十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜であることが求められており、かかる十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜を形成することができるアルミニウム合金製ターゲットが求められている。
本発明者らは、これら要求を満たすべく研究を行なった。その結果、
(イ)Mg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金製ターゲットを用いて作製した反射膜は、ターゲットに含まれる前記不可避不純物を少なくするほど耐食性が向上しかつ表面が滑らかとなり、前記アルミニウム合金製ターゲットに含まれる前記不可避不純物を100ppm以下に規定した組成のアルミニウム合金からなるターゲットを用いてスパッタリングすることにより形成したMg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり不可避不純物を100ppm以下に規定した組成のアルミニウム合金からなる反射膜は耐食性に優れると共に表面平滑性に優れること、
(ロ)前記不可避不純物を100ppm以下に規定した前記(イ)記載のアルミニウム合金に、さらに希土類元素の内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有する組成のスパッタリングターゲットを用いて形成したアルミニウム合金からなる反射膜は耐食性に優れると共に表面平滑性が一層優れたものとなること、
(ハ)前記不可避不純物を100ppm以下に規定した前記(ロ)記載のアルミニウム合金に含まれる希土類元素はLa,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上であることが一層好ましいこと、などの研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいて成されたものであって、
(1)Mg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなる耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜、
(2)Mg:0.1〜15質量%を含有し、さらに希土類元素の内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなる耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜、
(3)前記希土類元素の内の1種または2種以上は、La,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上である前記(2)載の耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜、に特徴を有するものである。
前記(1)〜(3)記載の耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜は、これら光記録媒体用アルミニウム合金反射膜と同じ成分組成のターゲットを用いてスパッタリングすることにより形成される。したがって、この発明は、
(4)Mg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなる耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット、
(5)Mg:0.1〜15質量%を含有し、さらに希土類元素の内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなる耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット、
(6)前記希土類元素の内の1種または2種以上は、La,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上である前記(5)記載の耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットは、原料として純度:99.99質量%以上の高純度Alおよびいずれも純度:99.9質量%以上のMgおよび希土類元素を用意し、まず、高純度Alを高真空または不活性ガス雰囲気中で溶解して不純物が可及的に少ない高純度Al溶湯を作製し、得られた高純度Al溶湯にMgを所定の含有量となるように添加し、さらに必要に応じて希土類元素を添加し、その後、真空または不活性ガス雰囲気中で鋳造してインゴットを作製し、これらインゴットを熱間加工したのち機械加工することにより製造することができる。
次に、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットにおける成分組成を前記の如く限定した理由を説明する。
Mg:
Mg成分は、Alに固溶し、Al合金からなる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の表面平滑性を向上させると共に表面に緻密で透明な不働態膜を形成することにより高反射率を維持したまま耐食性を向上させる成分であるが、Mgを0.1質量%未満含んでも所望の効果が得られず、一方、15質量%を越えて含有すると、ターゲット製造時に割れが発生するようになるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるMg成分の含有量を0.1〜15質量%(一層好ましくは1〜10質量%)に定めた。
希土類元素:
希土類元素は、熱湿環境下における光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の耐食性を維持するとともにスパッタリングにより得られた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の表面を一層滑らかにする効果があるので添加するが、その含有量を0.1質量%未満含んでも所望の効果が得られず、一方、10質量%を越えて含有すると、孔食が発生するようになるので好ましくない。したがって、希土類元素の含有量は0.1〜10質量%(一層好ましくは1〜5質量%)に定めた。前記希土類元素はLa,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上であることが一層好ましく、これらの中でもCe、PrおよびEuがさらに一層好ましい。
不可避不純物:
この発明のスッパタリングして得られた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜に含まれる不可避不純物が少ないほど耐食性および表面平滑性を向上させるので好ましく、光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれる不可避不純物は100ppm以下であることが必要である。その理由は、光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれる不可避不純物が100ppmを越えると、光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の耐食性および表面平滑性が急激に悪化するからである。
この発明のアルミニウム合金反射膜は耐食性および表面平滑性に優れていることから経時変化による光記録媒体の劣化が少なく長期にわたって使用でき、かつ青紫色レーザーを用いてもノイズ発生が少なく書き込みおよび読み出しが可能な光記録媒体を提供することができる。
原料として、純度:99.99質量%以上の高純度Al、純度:99.9質量%以上のAlを用意し、さらにいずれも純度:99.9質量%以上のMg、La,Ce,Pr,Nd,Euを用意した。
まず、純度:99.99質量%以上の高純度Alを高周波真空溶解炉にて真空中で溶解したのち炉内圧力が大気圧となるまでArガスを充填し、前記Mg、La,Ce,Pr,Nd,Euを得られたAl溶湯に添加し、その後、黒鉛製鋳型に鋳造することによりインゴットを作製した。得られたインゴットを430℃、2時間加熱した後、熱間圧延し、機械加工することにより直径:125mm、厚さ:5mmの寸法を有し、表1〜2に示される成分組成を有する本発明ターゲット1〜20を製造した。
また、表1〜2に示される比較例ターゲット1、2は純度:99.99質量%以上の高純度Alを用い、比較例ターゲット3、4は純度:99.9質量%のAlを用いた以外は本発明ターゲット1〜20の製造条件と同じ条件で製造した。さらに、表1〜2に示される従来ターゲット1を製造した。
なお、表1〜2に示される不可避不純物としてはSi,Fe,Cu,Mn,Zn,TiをICP法にて分析し、検出下限を下まわる場合は0ppmとし、各分析値の合計で示した。
これら表1〜2に示される本発明ターゲット1〜20、比較ターゲット1〜4および従来ターゲット1をそれぞれ無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着し、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を1×10-4Paまで排気した後、Arガスを導入して1.0Paのスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットに250Wの直流スパッタ電力を印加し、前記ターゲットに対抗しかつ70mmの間隔を設けてターゲットと平行に配置した縦:30mm、横:30mm、厚さ:0.5mmのポリカーボネート基板と前記ターゲットの間にプラズマを発生させ、表1〜2に示される成分組成を有し、厚さ:100nmを有する本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1を形成した。
このようにして形成した厚さ:100nmを有する本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1について、下記の試験を行った。
(a)本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1を原子間力顕微鏡により平均粗さ(Ra)を5μm×5μmの範囲で測定し、その結果を表3〜4に示した。
(b)アルミニウム合金反射膜の初期反射率試験
作製した直後の本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1の各反射率を分光光度計により波長:650nmおよび青紫色レーザーの波長である405nmにて測定し、その結果を表3〜4に示した。
(c)耐アルカリ性試験
本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1をそれぞれ1質量%NaOH水溶液に120秒間浸漬したのち取出して乾燥させ、蛍光灯下における室内照度320ルックスの環境にてアルミニウム合金反射膜を蛍光灯側に向けるようにかざし、光の透過の有無を目視にて観察する光透過試験を行い、その結果を表3〜4に示した。
(d)耐酸性試験
本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1をそれぞれ1%HSO溶液に10分間浸漬したのち取出して、蛍光灯下における室内照度320ルックスの環境にてアルミニウム合金反射膜を蛍光灯側に向けるようにかざし、光の透過の有無を目視にて観察する光透過試験を行い、その結果を表3〜4に示した。
(e)耐熱湿性試験
本発明アルミニウム合金反射膜1〜20、比較アルミニウム合金反射膜1〜4および従来アルミニウム合金反射膜1をそれぞれ温度:40℃、相対湿度:85%の恒温恒湿槽に100時間保持したのち取出して反射率を分光光度計により波長:650nmおよび青紫色レーザーの波長である405nmにて測定し、その結果を表3〜4に示した。
Figure 2007066417
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Figure 2007066417
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表1〜4に示される結果から、この発明の本発明ターゲット1〜20を用いてスパッタリングを行うことにより得られた本発明アルミニウム合金反射膜1〜20は、従来ターゲット1を用いてスパッタリングを行うことにより得られた従来アルミニウム合金反射膜1に比べて表面平滑性に優れており、また、初期反射率に大差が無いが、本発明アルミニウム合金反射膜1〜20は従来アルミニウム合金反射膜1に比べて耐アルカリ性試験および耐酸性試験において耐食性が高く、また耐熱湿性試験後の反射率の低下が少ないことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れてMg、希土類元素および不可避不純物を含む比較ターゲット1〜4を用いて作製したアルミニウム合金反射膜は、ターゲット製造時に割れが生じたり、初期反射率が著しく低下したり各種試験後に膜が腐食され光を透過したりして好ましくない特性が現れることが分かる。

Claims (6)

  1. Mg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜。
  2. Mg:0.1〜15質量%を含有し、さらに希土類元素の内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜。
  3. 前記希土類元素の内の1種または2種以上は、La,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上であることを特徴とする請求項2記載の耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜。
  4. Mg:0.1〜15質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット。
  5. Mg:0.1〜15質量%を含有し、さらに希土類元素の内の1種または2種以上を合計で0.1〜10質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物は100ppm以下に規定されている組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット。
  6. 前記希土類元素の内の1種または2種以上は、La,Ce,Pr,Nd,Euの内の1種または2種以上であることを特徴とする請求項5記載の耐食性および表面平滑性に優れた光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット。
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