JP4553149B2 - 光記録媒体用半透明反射膜および反射膜、並びにこれら半透明反射膜および反射膜を形成するためのAg合金スパッタリングターゲット - Google Patents

光記録媒体用半透明反射膜および反射膜、並びにこれら半透明反射膜および反射膜を形成するためのAg合金スパッタリングターゲット Download PDF

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この発明は、半導体レーザーなどのレーザービームを用いて音声、映像、文字などの情報信号を再生あるいは記録・再生・消去を行う光記録ディスク(CD−RW,DVD−RW,DVD−RAMなど)などの光記録媒体の構成層である半透明反射膜および反射膜、並びにこれら半透明反射膜および反射膜をスパッタリング法にて形成するためのAg合金スパッタリングターゲットに関するものである。
近年、記録膜を2層有する2層記録型の光記録媒体が提案されており、この2層記録型の光記録媒体においては、入射光側に厚さ:5〜15nm程度の極めて薄い半透明反射膜が設けられており、かかる半透明反射膜は入射光側の記録層に対する反射膜としての機能の他に光を透過して第二の記録層に記録または再生させる機能を有している。この2層記録型の光記録媒体に形成する半透明反射膜として純Ag膜またはAg合金膜が使用されており、この純Ag膜またはAg合金膜は加熱された記録膜の熱を速やかに逃がす作用を有するとともに400〜800nmの幅広い波長域でのレーザー光に対する低い吸収率を有するところから広く使用されている。
光記録媒体用反射膜の一例として、Ca:0.001〜0.1質量%を含有し、残部がAgからなる成分組成を有する光記録媒体用反射膜が知られており、この反射膜はCa:0.001〜0.1質量%を含有し、残部がAgからなる組成を有するAg合金ターゲットを使用してスパッタリングすることにより形成することが知られている。そして前記Ca:0.001〜0.1質量%を含有し、残部がAgからなる成分組成を有する反射膜は、純Ag製の反射膜の反射率とほぼ同じであり、さらに純Ag製の反射膜と比べて再結晶化が抑制され、時間が経過しても反射率が低下しないという優れた特性を有している(特許文献1参照)。
特開2003−6926号公報
一般に、光記録媒体の半透明反射膜は、入射光を吸収すると、第二記録層において記録または再生する効率が劣化するという問題が生じることから、半透明反射膜においては入射光の半透明反射膜への吸収を低減させることが必要である。一方、半透明反射膜は入射側の第一の記録層への高倍速記録の要求から高熱伝導性も同時に実現しなければならない。
こうした特性を付与するのに最も好適な材料として純Agが知られているが、純Agからなる半透明反射膜は、使用直後の吸収率は最も低いが、記録、または記録/再生/消去の際に加熱されると膜が凝集することにより半透明反射膜に穴があいてしまい、さらに純Ag製の半透明反射膜は耐食性に劣るために短時間で急激に吸収率が上昇するという問題点がある。
一方、従来から知られているCa:0.001〜0.1質量%を含有し、残部がAgからなるAg合金からなる反射膜用のターゲットを用いて反射膜の約1/10の厚さの5〜15nmを有する薄膜を作製し、この薄膜を半透明反射膜として使用してみた。その結果、Ca:0.001〜0.1質量%を含有し、残部がAgからなるAg合金からなる半透明反射膜は、純Ag製の半透明反射膜に比べて記録、または記録/再生/消去の際に加熱されても膜が凝集することはなく耐食性に優れており、吸収率の経時変化抑制効果が見られるものの、依然として入射光の吸収率が高く十分なものではなかった。
そこで本発明者らは、耐凝集性および耐食性を有する特性を有しかつ入射光の吸収率の経時変化の少ないAg合金半透明反射膜を得るべく研究を行なった。その結果、
(イ)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成のAg合金に、さらにCu:0.1〜2質量%を含有せしめたAg合金ターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られた厚さ:5〜15nmのAg合金膜は、低吸収率を維持しつつ、さらに一層の高耐凝集性、高耐食性などの特性を有し、このAg合金膜は光記録媒体の半透明反射膜として優れた特性を有する、
(ロ)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成のAg合金に、さらにCu:0.1〜2質量%および希土類元素:0.05〜1質量%を含有せしめたAg合金ターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られた厚さ:5〜15nmのAg合金膜は、低吸収率を維持しつつ、さらに一層の高耐凝集性、高耐食性などの特性を有し、このAg合金膜は光記録媒体の半透明反射膜として優れた特性を有する、という研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいて成されたものであって、
(1)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなる光記録媒体用半透明反射膜、
(2)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%、希土類元素:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなる光記録媒体用半透明反射膜、に特徴を有するものである。
さらに、本発明者らは、前記(イ)、(ロ)記載の組成を有するAg合金ターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られた厚さ:50〜150nmのAg合金膜は、熱伝導性に優れ、さらに高耐凝集性、高耐食性などが優れていることから、このAg合金膜を光記録媒体の反射膜として優れた特性を有することを突き止めた。したがって、この発明は、
(3)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなる光記録媒体用反射膜、
(4)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%、希土類元素:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなる光記録媒体用反射膜、に特徴を有するものである。
前記(1)、(2)記載の銀合金からなる光記録媒体用半透明反射膜および前記(3)、(4)記載の銀合金からなる反射膜は、これらと同じ成分組成を有するAg合金スパッタリングターゲットを用いて作製することができる。したがって、この発明は、
(5)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなる光記録媒体用半透明反射膜および反射膜を形成するためのAg合金スパッタリングターゲット、
(6)Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%、希土類元素:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなる光記録媒体用半透明反射膜および反射膜を形成するためのAg合金スパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
この発明の半透明反射膜および反射膜を形成するためのAg合金スパッタリングターゲットは、原料として純度:9999質量%以上の高純度Ag、純度:99.9質量%以上の高純度Mg、純度:99.9質量%以上の高純度Caを用意し、まず、高純度Agを高真空もしくは不活性ガス雰囲気中で溶解して得られた高純度Ag溶湯を作製し、これらの高純度Ag溶湯にCaを所定の含有量となるように添加し、その後、真空または不活性ガス雰囲気中で鋳造することによりAg−Ca母合金を予め作製する。
さらに、高純度Agを高真空もしくは不活性ガス雰囲気中で溶解して得られた高純度Ag溶湯を作製し、これらのAg溶湯にMgを所定の含有量となるように添加し、このようにして得られたMg含有Ag合金溶湯に予め作製したAg−Ca母合金を添加してCa含有を所定の成分組成となるように成分調整し、その後、Cu、または、Cuおよび希土類元素を添加し、得られたAg合金溶湯を鋳型に鋳造してインゴットを作製し、これらインゴットを冷間加工したのち機械加工することによりAg合金スパッタリングターゲットを製造することができる。このようにして作製したAg合金ターゲットを用い、通常のスパッタリング装置を用いてこの発明のAg合金からなる半透明反射膜および反射膜を形成することができる。
次に、この発明のAg合金からなる半透明反射膜および反射膜、並びにこのAg合金からなる半透明反射膜および反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットにおける成分組成を前記の如く限定した理由を説明する。
Ca:
Caは、Agにほとんど固溶しないが、スパッタリングにより膜を形成することによりAgによって形成される結晶粒内に強制的に固溶され、それによって半透明反射膜および反射膜の結晶粒内でのAgの自己拡散を抑制し、さらに結晶粒界にも析出し、Ag内部への強制固溶と結晶粒界ヘの析出と言う両者の効果により膜が加熱されても結晶粒同士の結合を防止し、半透明反射膜および反射膜の凝集防止を促進する効果を有するので添加するが、Caを0.001質量%未満含んでも所望の効果が得られず、一方、Caが0.1質量%を越えて含有すると、Ag合金の半透明反射膜および反射膜の熱伝導率を低下させるので好ましくない。したがって、Ag合金の半透明反射膜および反射膜並びにこのAg合金の半透明反射膜および反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるこれらCaの含有量は0.001〜0.1質量%に定めた。一層好ましい範囲は0.01〜0.05質量%である。
Mg:
Mgは、Agに固溶して半透明反射膜および反射膜の経時変化を抑制し、耐凝集性および耐食性を高める作用を有するが、Mgを0.05質量%未満含んでも半透明反射膜の吸収率が短時間で増加するために経時変化の抑制および耐凝集性を高めるに十分な効果がなく、一方、1質量%を越えて含有すると、半透明反射層の入射光の吸収率が大きくなるとともに反射膜の反射率が低下するようになり、光記録ディスクの第二記録層の記録または再生効率が劣化するので好ましくない。したがって、Ag合金の半透明反射膜および反射膜並びにこのAg合金の半透明反射膜および反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるこれらMgの含有量を0.05〜1質量%未満に定めた。一層好ましい範囲は0.1〜0.3質量%である。
Cu:
Cuは、Agに固溶して半透明反射膜および反射膜の耐凝集性および耐食性を高める作用を有するので必要に応じて添加するが、その添加量が0.1質量%未満では耐凝集性を高める効果を発揮させることができず、一方、2質量%を越えて添加すると半透明反射膜の吸収率が増大し、さらに反射膜の反射率が低下することから、2層記録光ディスクの第二記録層の記録または再生効率が劣化するので好ましくない。したがって、Cuの添加量は0.1〜2質量%に定めた。一層好ましい範囲は0.2〜0.6質量%である。
希土類元素:
希土類元素は、Agに僅かに固溶するほかAgと金属間化合物を結晶粒界に形成し、半透明反射膜および反射膜の耐凝集性を高める作用を有するので必要に応じて添加するが、その添加量が0.05質量%未満では耐凝集性を高める効果を発揮させることができず、一方、1質量%を越えて添加すると半透明反射膜および反射膜の耐食性に悪影響を及ぼし、さらに熱伝導率を低下させるので好ましくない。したがって、希土類元素の添加量は0.05〜1質量%に定めた。一層好ましい範囲は0.2〜0.5質量%である。希土類元素はTb,Gd,Dy,Pr,Nd,Eu,La,Ceのうちの1種または2種以上であることが一層好ましい。
この発明のAg合金スパッタリングターゲットを用いて作製した光記録媒体用半透明反射膜および反射膜は、従来のAg合金スパッタリングターゲットを用いて作製した光記録媒体用半透明反射膜および反射膜に比べてほぼ同等の耐食性を有し、さらに、純Ag製の半透明反射膜および反射膜に近い高熱伝導率および低吸収率を有し、しかも半透明反射膜の経時変化による膜の吸収率増大および反射膜の経時変化による反射率の低下が抑制され、長期にわたって使用できる光記録媒体を製造することができ、メディア産業の発展に大いに貢献し得るものである。
原料として純度:99.99質量%以上のAg、純度:99.9質量%以上のCa、純度:99.9質量%以上のMg、純度:99.999質量%以上のCuおよび純度:99質量%以上のTb,Gd,Dy,Pr,Nd,Eu,La,Ceを用意した。
まず、Agを高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、このAg溶湯にCaが6質量%となるように添加し、溶解後炉内圧力が大気圧になるまでArガスを充填し、その後、黒鉛鋳型に鋳造し、Ag−6質量%Ca母合金を作製した。
次に、Agを高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、このAg溶湯にMgを添加し、さらに前記Ag−6質量%Ca母合金を添加して溶解し、さらに必要に応じてCu,Tb,Gd,Dy,Pr,Nd,Eu,La,Ceを添加して溶解し鋳造することによりインゴットを作製し、得られたインゴットを冷間圧延したのち、大気中で600℃、2時間保持の熱処理を施し、次いで機械加工することにより直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有し、表1、表2に示される成分組成を有する本発明ターゲット12〜18,35〜40,44〜46および比較ターゲット1〜12を作製した。
さらに比較のために、Agを高周波真空溶解炉にて溶解することによりAg溶湯を作製し、得られたAg溶湯を黒鉛製鋳型にArガス雰囲気中で鋳造することによりインゴットを作製し、得られたインゴットを所定の大きさに切断した後、室温にて冷間圧延し、その後550℃、1時間保持の条件で熱処理を加え、次いで機械加工することにより直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有し、表2に示される純Agからなる従来ターゲット1を製造した。
さらに比較のために、Agを高周波真空溶解炉にて溶解することによりAg溶湯を作製し、得られたAg溶湯に前記Ag−6質量%Ca母合金を添加してAg合金溶湯を作製し、このAg合金溶湯を黒鉛製鋳型にArガス雰囲気中で鋳造することによりインゴットを作製し、得られたインゴットを所定の大きさに切断した後、室温にて冷間圧延し、その後550℃、1時間保持の条件で熱処理を加え、次いで機械加工することにより直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有し、表2に示される成分組成のAg合金からなる従来ターゲット2を製造した。
実施例1
これら本発明ターゲット12〜18,35〜40,44〜46、比較ターゲット1〜12および従来ターゲット1〜2をそれぞれ無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着し、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を1×10-4Paまで排気した後、Arガスを導入して1.0Paのスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットに250Wの直流スパッタ電力を印加し、前記ターゲットに対向しかつ70mmの間隔を設けてターゲットと平行に配置した縦:30mm、横:30mm、厚さ:1mmの寸法を有する酸化膜付きSiウエハ基板および縦:30mm、横:30mm、厚さ:0.6mmの寸法を有するポリカーボネート基板と前記ターゲットの間にプラズマを発生させ、厚さ:100nmの表3、表4に示される成分組成を有するAg合金からなる本発明反射膜12〜18,35〜40,44〜46、比較反射膜1〜12および従来反射膜1〜2を形成した。
このようにして形成した厚さ:100nmの本発明反射膜12〜18,35〜40,44〜46、比較反射膜1〜12および従来反射膜1〜2について、下記の試験を行った。
(a)反射膜の熱伝導率測定
酸化膜付きSiウエハ基板に形成した厚さ:100nmの表3、表4に示される成分組成を有する本発明反射膜12〜18,35〜40,44〜46、比較反射膜1〜12および従来反射膜1〜2の比抵抗を四探針法により測定し、ウィーデマンフランツの法則に基づく式:κ=2.44×10−8T/ρ(ただし、κ:熱伝導率、T:絶対温度、ρ:比抵抗)により比抵抗値から熱伝導率を計算により求め、その結果を表3、表4に示した。
(b)反射膜の耐食性試験
ポリカーボネート基板に形成した反射膜の成膜直後の反射率を分光光度計により測定してその結果を表3、表4に示し、その後、形成したAg合金からなる反射膜を温度:80℃、相対湿度:85%の恒温恒湿槽にて200時間保持したのち、再度同じ条件で反射率を測定した。得られた反射率データから、波長:405nmおよび650nmにおける各反射率を求め、その結果を表3、表4に示して光記録媒体用反射膜として耐食性を評価した。
(c)反射膜の結晶粒の粗大化試験
酸化膜付きSiウエハ基板に形成した反射膜の成膜直後の平均面粗さを走査型プローブ顕微鏡により測定してその結果を表3、表4に示し、その後、形成した反射膜を真空中、温度:250℃、30分間保持したのち、再度同じ条件で表面粗さを測定し、その結果を表3、表4に示して結晶粒の粗大化のしやすさを評価した。
ただし、走査型プローブ顕微鏡にはセイコーインスツルメンツ株式会社製SPA−400AFMを用い、1μm×1μmの領域の平均面粗さ(Ra)を測定した。平均面粗さはJISB0601で定義される中心線平均粗さを面に対して適用できるように三次元に拡張したものであり、次式で表されるものである。
Ra=1/S∫∫|F(X,Y)−Z|dXdY
ただし、F(X,Y):全測定データの示す面、
:指定面が理想的にフラットであると仮定したときの面積、
:指定面内のZデータの平均値。
Figure 0004553149
Figure 0004553149
Figure 0004553149
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表1〜4に示される結果から、この発明の本発明ターゲット12〜18,35〜40,44〜46を用いてスパッタリングを行うことにより得られた本発明反射膜12〜18,35〜40,44〜46は、従来ターゲット1〜2を用いてスパッタリングを行うことにより得られた従来反射膜1〜2に比べて、熱伝導率がほぼ同じであり、温度:80℃、相対湿度:85%の恒温恒湿槽にて200時間保持後の反射率の低下が少なく、さらに結晶粒が粗大化しにくいことがわかる。しかし、この発明の範囲から外れた成分組成を有する比較ターゲット1〜12を用いてスパッタリングを行うことにより得られた比較反射膜1〜12は、反射率が低下したり、熱伝導率が低下したり、さらに結晶粒が粗大化したりして好ましくない特性が現れることが分かる。
実施例2
先に作製し用意した本発明ターゲット12〜18,35〜40,44〜46、比較ターゲット1〜12および従来ターゲット1〜2をそれぞれ無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着し、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を1×10-4Pa以下まで排気した後、Arガスを導入して1.0Paのスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットに100Wの直流スパッタ電力を印加し、前記ターゲットに対抗しかつ70mmの間隔を設けて前記ターゲットと平行に配置した縦:30mm、横:30mm、厚さ:0.6mmのポリカーボネート基板と前記本発明ターゲット12〜18,35〜40,44〜46、比較ターゲット1〜12および従来ターゲット1〜2の間にプラズマを発生させ、ポリカーボネート基板に厚さ:10nmの表5、表6に示される成分組成を有する本発明半透明反射膜12〜18,35〜40,44〜46、比較半透明反射膜1〜12および従来半透明反射膜1〜2を形成した。これら半透明反射膜について下記の測定を行い、その結果を表5、表6に示した。
(d)半透明反射膜の熱伝導率測定
半透明反射膜の熱伝導率は実施例1で得られた反射膜の熱伝導率と同じであるから、実施例1で得られた反射膜の熱伝導率を半透明反射膜の熱伝導率として表5、表6に示した。
(e)半透明反射膜の吸収率測定
ポリカーボネート基板に形成した厚さ:10nmの表8〜10に示される成分組成を有する本発明半透明反射膜12〜18,35〜40,44〜46、比較半透明反射膜1〜12および従来半透明反射膜1〜2について、波長:650nmでの半透明反射膜側からの反射率、および透過率を分光光度計にて測定し、「100−(反射率+透過率)」を吸収率と定義して求め、その結果を表5、表6に示した。
(f)半透明反射膜の耐凝集性測定
ポリカーボネート基板に厚さ:10nmの表8〜10に示される成分組成を有する本発明半透明反射膜12〜18,35〜40,44〜46、比較半透明反射膜1〜12および従来半透明反射膜1〜2を形成して得られた被覆板を耐凝集性評価サンプルとし、これら耐凝集性評価サンプルを温度:90℃、相対湿度:85%の恒温恒湿槽にて300時間保持したのち、波長:650nmでの半透明反射膜側からの反射率および透過率を分光光度計にて測定し、前記吸収率の定義により耐凝集性試験後の膜の吸収率を求めた。耐凝集性試験前の吸収率として前記(e)の半透明反射膜の吸収率測定で求めた値を用い、耐凝集性試験前後の吸収率増加量を求め、その結果を表5、表6に示して半透明反射膜の耐凝集性を評価した。
Figure 0004553149
Figure 0004553149
表1、表2および表5、表6に示される結果から、本発明ターゲット12〜18,35〜40,44〜46を用いてスパッタリングを行うことにより得られた半透明反射膜は、従来ターゲット1を用いてスパッタリングを行うことにより得られた半透明反射膜に比べて吸収率が小さく、さらに凝集による吸収率の増加が小さい点で優れており、さらに従来ターゲット2を用いてスパッタリングを行うことにより得られた半透明反射膜に比べて熱伝導率が高く、吸収率が低いので半透明反射膜として優れた特性を有することがわかる。しかし、この発明の範囲から外れてMg、Caを含む比較ターゲット1〜12を用いて作製した半透明反射膜は、吸収率が悪化したり、熱伝導率が低下したりして好ましくない特性が現れることが分かる。

Claims (6)

  1. Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体用半透明反射膜。
  2. Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%、希土類元素:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体用半透明反射膜。
  3. Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体用反射膜。
  4. Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%、希土類元素:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体用反射膜。
  5. Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体用半透明反射膜および反射膜形成用Ag合金スパッタリングターゲット。
  6. Ca:0.001〜0.1質量%、Mg:0.05〜1質量%、Cu:0.1〜2質量%、希土類元素:0.05〜1質量%を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体用半透明反射膜および反射膜を形成するためのAg合金スパッタリングターゲット。
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