JP5354149B2 - エキスパンド方法 - Google Patents

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本発明はエキスパンド方法に係り、特に半導体や電子部品材料等のワークに切断加工を行う際に適用されるエキスパンド方法に関する。
半導体装置や電子部品等の製造工程では、表面に半導体装置や電子部品等が形成されたウェーハに対して、プロービング、ダイシング、ダイボンディング、及びワイヤボンディング等の各工程を経た後、樹脂モールドされて半導体装置や電子部品等の完成品となるのが一般的である。
近年では、メモリーカードや薄型ICカード等に組み込まれる極薄の半導体装置や電子部品の需要が高まっており、厚さが100μm以下の極薄ウェーハの要求が増大している。
このような極薄ウェーハからチップを切り出す際にウェーハを高速に切断するためのステルスダイシングというレーザー光を用いたダイシング技術が知られている。ステルスダイシングによるダイシング工程は次のようにして行われている。
まず、ウェーハ内部に集光点を合わせたレーザー光の照射により、ウェーハ内部に多光子吸収による改質領域が形成される。そして、レーザー光の照射位置を移動させることにより、ウェーハを個々のチップに分割するためのダイシングライン(分割予定ライン)が形成される。ダイシングラインが形成されると、そのウェーハの裏面側(素子が形成されていない面)に、片面に粘着剤を有するダイシングテープ(又はダイシングシート)と呼ばれる粘着シートが貼着された後、粘着シートがエキスパンドされる(放射状に引き伸ばされる)。これにより、ウェーハに外部応力が与えられ、ダイシングラインが切断されてウェーハが個々のチップに分断される。
尚、このようなダイシング工程において、ウェーハに貼着した粘着シートをエキスパンドする工程を本明細書ではエキスパンド工程と称するものとする(エキスパンド工程に適用されるエキスパンド方法やエキスパンド装置は特許文献1、2等に開示されている)。
また、エキスパンド工程はステルスダイシングを用いる場合にのみ実施されるものではなく、ダイシング工程の次のダイボンディング工程において個々のチップをピックアップし易くするための工程としても実施されている。
また、上記粘着シートはウェーハをフレーム(所謂、ダイシングフレーム)にマウントするために用いられるシートでもあり、ウェーハにレーザー光を照射する前に貼着される場合もある。
特開2005−109044号公報 特開2005−057158号公報
ところで、エキスパンド工程での処理を開始する際のウェーハの状態は、ウェーハの表面側(素子が形成されている面)に、片面に粘着剤を有するバックグラインドテープと呼ばれる保護シートが貼着され、ウェーハの裏面側にDAF(Die Attach Filmの略)を介して上記粘着シートが貼着された状態となっている。DAFは、リードフレーム等のパッケージ基材にチップを実装する場合やチップを積層する際に使用される特殊粘着フィルムのことで、ダイボンディング工程の簡略化やスループットの向上に寄与する。尚、DAFは、粘着シートと共にウェーハに貼着される場合や、粘着シートとは別にダイシング工程前等に貼着される場合がある。
エキスパンド工程において、このような状態のウェーハに対して粘着シートをエキスパンドする場合に、まず、剥離テーブル上でウェーハ表面の保護シートが常温の環境下もしくは加熱された状態でウェーハから剥離される。続いて、冷却ステージに搬送され、ウェーハが冷却される。そして、冷却ステージにおいて粘着シートがエキスパンドされてウェーハがチップに分断される。これと共にウェーハの裏面に貼着されたDAFもウェーハと同様に個々のチップに貼着した状態で分断される。
ここで、ウェーハ表面の保護シートは冷却した状態では剥離することが困難であり、DAFは冷却した状態でないと粘着シートをエキスパンドしてもウェーハと共に分断することができないため、保護シートの剥離と、粘着シートのエキスパンドは別のステージで行われている。同じステージで行うためには、常温のステージ((テーブル)上で粘着シートを剥離した後、そのテーブルを冷却する必要があるためスループットが低下する
そのため、保護シートの剥離と、粘着シートのエキスパンドとは異なるステージで行われているが、剥離テーブルから冷却ステージにウェーハを搬送している間にレーザー光照射後(改質領域生成後)の未分割のチップに外力が働くため、チッピングが発生するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、エキスパンド工程において、ウェーハ表面の保護シートを剥離した後のウェーハの搬送時にチッピングが発生するという不具合を低減することができるエキスパンド方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係るエキスパンド方法は、チップに分断するための分割予定ラインが形成されたウェーハであって、表面に保護シートが貼着され、裏面にDAFを介して粘着テープが貼着されたウェーハを個々のチップに分断すると共に、前記粘着テープをエキスパンドすることによって個々のチップを前記粘着テープ上で離間した状態にするエキスパンド方法であって、前記保護シートを剥離テーブル上で前記ウェーハから剥離する保護シート剥離工程と、前記剥離テーブルにおいて、前記粘着シートをエキスパンドし、前記ウェーハのみを個々のチップに分断して各チップを離間させると共に、前記DAFを分断せずに伸張する第1のエキスパンド工程と、前記第1のエキスパンド工程後のウェーハを冷却ステージに搬送する搬送工程と、前記冷却ステージにおいて、前記DAFを冷却すると共に、前記粘着シートをエキスパンドし、前記DAFを前記分断された個々のチップと同じ区画で分断する第2のエキスパンド工程と、を備えたことを特徴としている。
請求項2に係るエキスパンド方法は、チップに分断するための分割予定ラインが形成されたウェーハであって、表面に保護シートが貼着され、裏面にDAFを介して粘着テープが貼着されたウェーハを個々のチップに分断すると共に、該分断した個々のチップを前記粘着テープ上で離間した状態にするエキスパンド方法であって、前記保護シートを剥離テーブル上で前記ウェーハから剥離する保護シート剥離工程と、前記剥離テーブルにおいて、エッチングにより、前記ウェーハのみを個々のチップに分断して各チップを離間させるウェーハ分断工程と、前記ウェーハ分断工程後のウェーハを冷却ステージに搬送する搬送工程と、前記冷却ステージにおいて、前記DAFを冷却すると共に、前記粘着シートをエキスパンドし、前記DAFを前記分断された個々のチップと同じ区画で分断するエキスパンド工程と、を備えたことを特徴としている。
請求項3に記載のエキスパンド方法は、請求項1、又は、2に記載の発明において、前記分割予定ラインは、ステルスダイシングにより形成されることを特徴としている。
本発明によれば、ウェーハ表面の保護シートを剥離するための剥離テーブル上においてウェーハのチップが分断されて離間されているため、ウェーハを剥離テーブルから冷却ステージに搬送する際に、チップ同士の接触がなくチッピングが発生する不具合が低減される。
本発明によれば、エキスパンド工程において、ウェーハ表面の保護シートを剥離した後のウェーハの搬送時にチッピングが発生するという不具合を低減することができる。
以下添付図面に従って、本発明に係るエキスパンド方法の好ましい実施の形態について詳説する。なお、各図において同一又は類似の部材には同一の番号又は符号を付してある。
ウェーハ(半導体ウェーハ)からチップを切り出すダイシング工程において、例えばレーザーダイシング装置によるステルスダイシングが行われたウェーハWは、本発明が適用されるエキスパンド工程に図1の斜視図及び図2の断面図のような状態で供給される。
図1及び図2に示すようにウェーハWは、剛性のあるリング状のフレームFと共に裏面側に、片面に粘着層を有するダイシングテープとも呼ばれる粘着シートSが貼り付けられ、フレームFにマウントされている。ウェーハWの表面側には、表面に形成された回路を保護するために片面に粘着層を有するバックグラインドテープとも呼ばれる保護シートHが貼り付けられている。
また、ウェーハWの裏面と粘着シートSとの間には、DAF(Die Attach Filmの略)(符号D:以下、DAF(D)と記す)を介して上記粘着シートSが貼着された状態となっている。DAF(D)は、例えば厚さ約50μmウェーハWに対して厚さ20〜60μmの特殊粘着フィルムであり、リードフレーム等のパッケージ基材にチップを実装する場合やチップを積層する際に使用される。
本発明が適用されたエキスパンド工程では、複数の小工程からなり、上記のような状態で供給されるウェーハWに対して図3(a)〜(f)で示す順序で各小工程が実施される。
エキスパンド工程に供給されたウェーハWは、まず、同図(a)に示すように剥離テーブル10に搬送され、保護シートHが貼着された表面側が上向きとなるように剥離テーブル10上に載置される。また、フレームFが不図示のフレーム固定機構により所定位置に固定される。そして、この状態で、ウェーハWの表面の保護シートHが不図示のアームによりウェーハWから剥離される。
続いて、同図(b)に示すように剥離テーブル10の周部を囲むように配置された昇降可能なリング12が下降位置(同図(a)参照)から上昇位置に図示しない昇降機構により押し上げられ、ウェーハWの裏面側に貼着された粘着シートSが放射状にエキスパンド(伸張)される。
これにより、ステルスダイシングによりダイシングライン(分割予定ライン)が形成されていたウェーハWが個々のチップTに分断されると共に、個々のチップTの間に隙間(約20〜30μm)が形成される。
一方、ウェーハWや剥離テーブル10等は特別な温度調整が行われることなく常温の環境下(約25度〜約60度)におかれており、この常温の環境下では、DAF(D)が切断されずに伸張された状態となる。
続いて、同図(c)に示すように剥離テーブル10の上方にテープ拡張保持リング14が昇降可能に配置されており、図示しない昇降機構によってそのテープ拡張保持リング14が上昇位置から下降位置に押し下げられ、粘着シートSが上記リング12とテープ拡張保持リング14とで挟み込まれる。そして、粘着シートSに対するリング12の当接面が剥離テーブル10の上面と程一致する高さとなるようにリング12とテープ拡張保持リング14が粘着シートSを挟み込んだ状態を維持しながら下降する。
これによって、粘着シートSにおいてリング12よりも外周側の部分にエキスパンドによる弛みが生じる。その弛み部分が図示しない加熱手段によって加熱され(熱風を吹きかける等)、加熱によって粘着シートSの弛み部分が収縮する。
続いて、テープ拡張保持リング14が上昇し、ウェーハWが剥離テーブル10上から他の場所に移動可能な状態となる。
ここで、粘着シートSのリング12よりも外側の部分を加熱して収縮させることによって、ウェーハW部分の粘着シートSが元の状態に収縮しないようにしている。但し、粘着シートSは一旦伸張されると上記のように加熱しない場合であってもある程度は伸張された状態を維持するため、必ずしも、図3(c)のような加熱工程は必要でない。
同図(b)、(c)のようにウェーハWを個々のチップTに分断すると、同図(d)に示すようにチップTの間隔を保持した状態でウェーハWが剥離テーブル10から離され、同図(e)に示す冷却ステージ20に搬送される。この搬送中のウェーハWの状態が同図(d)に示されている。このように保護シートHが剥離された状態のウェーハWを搬送する際に、個々のチップTが離間した状態にあり、搬送時にチップ同士が接触してチッピング、クラックが発生するという不具合が防止されている。
尚、剥離テーブル10から冷却ステージ20の搬送は、機械的に行われる場合、手動で行われる場合、又は、これらの両方が含まれる場合のいずれの場合も想定される。例えば、剥離テーブル10上での保護シートHの剥離と後述の冷却ステージ20上でのエキスパンドが一体的な装置で行われる場合には、アーム等で機械的に剥離テーブル10から冷却ステージ20にウェーハWが搬送される。一方、剥離テーブル10上での保護シートHの剥離と冷却ステージ20上でのエキスパンドが別々の装置である場合には、保護シートHを剥離する装置から冷却ステージ20でのエキスパンドを行う装置まで作業員によって運搬される。
また、同図(d)のような状態でウェーハWを搬送する場合に、チップTの間隔はできるだけ広くしておく方がチップ同士の接触を確実に防止することができるため好適である。一方、下記のように冷却ステージ20上で粘着シートSをエキスパンドして、DAF(D)を分断する際には、チップ間隔が狭い方が好適である。そこで、同図(b)、(c)のようにして行われた粘着シートSのエキスパンド後において、ウェーハWの搬送と、DAF(D)の分断との両方を考慮した好適なチップ間隔となるように必要に応じてウェーハWの部分のみを加熱する工程を設け、チップTの間隔が広すぎる場合などにウェーハWの部分を収縮させるようにしてもよい。
同図(e)に示すようにウェーハWが冷却ステージ20に搬送されると、ウェーハWの裏面側に張着されたDAF(D)が冷却される。冷却ステージ20は、例えば、約−10度〜約10度に図示しない冷却手段によって冷却されている。
続いて、同図(f)に示すように粘着シートSがエキスパンドされる。例えば、冷却ステージ20の外周部には、リング22が昇降可能に配置されると共に、新しいウェーハWが冷却ステージ20上に載置される前に保持リング24がセットされるようになっている。そして、ウェーハWが冷却ステージ20に載置され、DAF(D)が冷却されるのに要する所定時間が経過すると、リング22が図示しない昇降機構により上方に上昇し、粘着シートSがエキスパンドされる。
このとき、冷却されているDAF(D)は、粘着シートSのエキスパンドにより伸張するのではなく、チップTと同じ区画で分断される。これによって、同図(D)のように個々のチップTの裏面側に分断されたDAF(F)が張着された状態となる。
また、リング22と共に保持リング24も上昇し、保持リング22がフレームFとで粘着シートSを挟み込んだ状態でフレームFに固定される。これによって、エキスパンドされて個々のチップTと個々のDAF(D)に分断されて離間した状態が維持される。
以上のエキスパンド工程が終了すると、ウェーハWは、次のダイボンディング工程に搬送される。
以上、上記実施の形態では、ウェーハWはステルスダインシングにより内部に改質領域が形成されてダイシングラインが形成されている状態でエキスパンド工程に供給されるようになっているが、ダイシングブレードによりウェーハWに研削溝が形成された状態でエキスパンド工程に供給される場合であっても本発明を適用できる。
また、上記実施の形態では、ウェーハWの保護シートHを剥離した後、粘着シートのエキスパンドによってステルスダイシングにより形成されたダイシングラインに沿って個々のチップTのみを(DAF(D)を分断せずに)分断すると共に、個々のチップTを離間させて、冷却ステージ20に搬送するようにしている。この工程において、粘着シートのエクスパンドではなく、エッチングにより、ダイシングラインに沿って各々のチップTのみを((DAF(D)を分断せずに)分断すると共に、各々のチップTを離間させる(間隔を広げる)ようにしてもよい。ウェーハWの冷却ステージ20への搬送や、DAF(D)を分断するための粘着シートのエキスパンドは上記実施の形態と同様に行う。これによって、ウェーハWの冷却ステージ20への搬送時における、チップ同士の接触によるチッピング、クラックの発生が防止される。
本発明が適用されるエキスパンド工程に供給されるウェーハの状態を示した斜視図 本発明が適用されるエキスパンド工程に供給されるウェーハの状態を示した断面図 本発明が適用されるエキスパンド工程におけるフローを説明する断面図
符号の説明
W…ウェーハ、F…フレーム、S…粘着シート、H…保護シート、D…DAF、10…剥離テーブル、12、22…リング、14…テープ拡張保持リング、20…冷却ステージ、24…保持リング

Claims (3)

  1. チップに分断するための分割予定ラインが形成されたウェーハであって、表面に保護シートが貼着され、裏面にDAFを介して粘着テープが貼着されたウェーハを個々のチップに分断すると共に、前記粘着テープをエキスパンドすることによって個々のチップを前記粘着テープ上で離間した状態にするエキスパンド方法であって、
    前記保護シートを剥離テーブル上で前記ウェーハから剥離する保護シート剥離工程と、
    前記剥離テーブルにおいて、前記粘着シートをエキスパンドし、前記ウェーハのみを個々のチップに分断して各チップを離間させると共に、前記DAFを分断せずに伸張する第1のエキスパンド工程と、
    前記第1のエキスパンド工程後のウェーハを冷却ステージに搬送する搬送工程と、
    前記冷却ステージにおいて、前記DAFを冷却すると共に、前記粘着シートをエキスパンドし、前記DAFを前記分断された個々のチップと同じ区画で分断する第2のエキスパンド工程と、
    を備えたことを特徴とするエキスパンド方法。
  2. チップに分断するための分割予定ラインが形成されたウェーハであって、表面に保護シートが貼着され、裏面にDAFを介して粘着テープが貼着されたウェーハを個々のチップに分断すると共に、該分断した個々のチップを前記粘着テープ上で離間した状態にするエキスパンド方法であって、
    前記保護シートを剥離テーブル上で前記ウェーハから剥離する保護シート剥離工程と、
    前記剥離テーブルにおいて、エッチングにより、前記ウェーハのみを個々のチップに分断して各チップを離間させるウェーハ分断工程と、
    前記ウェーハ分断工程後のウェーハを冷却ステージに搬送する搬送工程と、
    前記冷却ステージにおいて、前記DAFを冷却すると共に、前記粘着シートをエキスパンドし、前記DAFを前記分断された個々のチップと同じ区画で分断するエキスパンド工程と、
    を備えたことを特徴とするエキスパンド方法。
  3. 前記分割予定ラインは、ステルスダイシングにより形成されることを特徴とする請求項1、又は、2のエキスパンド方法。
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