本発明は、中転駆動モータに対するトルク指令値を検出し、トルク指令値の検出結果に基づき二次転写ローラの周速度を制御することにより、中間転写ベルトと二次転写ローラの圧接部分における二次転写ローラの周速度及び中間転写ベルトの表面速度の速度変動をなくし、二次転写ローラの周速度と中間転写ベルトの表面速度とを一致させるように制御する。
以下に図面を参照して本発明の画像形成装置100について説明する。図2は、本発明の画像形成装置100全体の概要を示す図である。
画像形成装置100、スキャン部21により光源を原稿に照射しながら原稿を走査し、原稿からの反射光を3ラインCCD(Charge Coupled Device)センサにより画像を読み取る。読み取られた画像は、画像処理ユニットによりスキャナγ補正、色変換、画像分離、階調補正処理等の画像処理が施された後、画像書き込みユニット20へ送られる。画像書き込みユニット20では、画像データに応じてLD(Laser Diode)の駆動を変調する。感光体ユニット30では、一様に帯電された回転する感光体ドラム31にLDからのレーザビームにより静電潜像が書き込まれ、現像ユニット40によりトナーが付着されて顕像化される。
感光体ドラム上に形成された画像は、中間転写部50の中間転写ユニットの中間転写ベルト51上に転写される。画像形成装置100においてフルカラーコピーが実行された場合、中間転写ベルト51上には4色(ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー)のトナー像が順次重ねられる。全ての色の作像と転写が終了した時点で、中間転写ベルト51とタイミングを合わせて給紙トレイ60から記録紙が給紙され、二次転写部70で中間転写ベルト51から4色同時に記録紙へトナー像が二次転写される。トナー像が転写された記録紙は、搬送部80を経て定着部90へ送られ、定着ローラと加圧ローラによりトナー像が記録紙に定着された後に排紙される。
図3は、画像形成装置100の中間転写ベルト51とそれを駆動するための周辺の構成を説明する図である。
中転駆動ローラ52は、中間転写ベルト51を駆動させる第一の回転体であり、中転駆動モータ200は中転駆動ローラ52を回転させる第一のモータである。二次転写ローラ71は、中間転写ベルト51上のトナー像を記録紙へ二次転写させるための第二の回転体である。
画像形成装置100は、中転駆動モータ200により中転駆動ローラ52を回転させて中間転写ベルト51を駆動させる。中間転写ベルト51上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト51と二次転写ローラ71との圧接部分まで搬送される。搬送されたトナー像は、中間転写ベルト51と二次転写ローラ71との圧接部分において斥力ローラ72が二中間転写ベルト51と二次転写ローラ71とを圧接させて記録紙を挟持させることにより、中間転写ベルト51から記録紙へ二次転写される。
図4は、画像形成装置100の構成図である。
画像形成装置100は、中転駆動モータ200、プリドライバ210、FET(Field effect transistor)220、中転駆動モータ駆動部300、二次転写モータ駆動部400、出力監視部500、駆動制御部600とを有する。
中転駆動モータ200は、中間転写ベルト51を駆動させる中転駆動ローラ52を回転させる。中転駆動モータ駆動部300は、中転駆動モータ200の駆動を制御する。本実施形態の画像形成装置100では、中転駆動モータ駆動部300は、中間転写ベルトの表面速度が一定となるように中転駆動モータ200を制御する。プリドライバ210、FET220は、中転駆動モータ駆動部300からの出力信号を増幅して中転駆動モータ200へ伝達する。
二次転写モータ駆動部400は、二次転写ローラ71を回転させる二次転写モータ(図示せず)の駆動を制御する。出力監視部500は、中転駆動モータ200に対するトルク指令値を監視する。駆動制御部600は、出力監視部500の監視結果に基づき二次転写モータ駆動部400の駆動を制御する。
画像形成装置100の出力監視部500は、下限設定部501、トルク指令値検出部502、判定部503を有する。下限設定部501は、トルク指令値の下限値を設定する。トルク指令値検出部502は、中転駆動モータ駆動部300内のPWM値をトルク指令値として検出する。判定部503は、トルク指令値検出部502により検出されたPWM値が、下限設定部510に設定された下限値を超えているか否かを判定する。尚下限値と中転駆動モータ駆動300の詳細は後述する。
駆動制御部600は、出力監視部500による判定結果に基づき、二次転写モータ駆動部400へ二次転写ローラ71の駆動を制御するための信号(駆動制御信号)を出力する。二次転写モータ駆動部400は、駆動制御信号を受けて、二次転写ローラ71を回転させる二次転写モータに対するトルク指令値を制御する。二次転写モータ駆動部400は、トルク指令値を制御することにより、二次転写ローラ71の周速度を中間転写ベルト51の表面速度に近づける。
尚本発明の画像形成装置100では、二次転写ローラ71の周速度と中間転写ベルト51の表面速度との速度差の許容範囲を設定し、この速度差が許容範囲に納まるように二次転写ローラ71の駆動を制御する。以下の説明において、二次転写ローラ71の周速度と中間転写ベルト51の表面速度との速度差を、中間転写ベルト51の表面速度に対する二次転写ローラ71の相対速度と呼ぶ。また速度差の許容範囲を相対速度許容範囲と呼ぶ。画像形成装置100では、二次転写ローラ71の相対速度が0に近いほど、記録紙へのトナー像の転写の際に位置ずれを小さくすることができ、画質を向上させることができる。
尚本発明では、中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500、駆動制御部600を集積して半導体装置700とすることができる。また中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500を集積して半導体装置としても良いし、出力監視部500と駆動制御部600を集積して半導体装置としても良い。また出力監視部500と駆動制御部600と二次転写モータ駆動部400とを集積して半導体装置としても良いし、駆動制御部600と二次転写モータ駆動部400とを集積して半導体装置としても良い。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の画像形成装置100では、駆動制御部600による駆動制御を以下の2つの方法で実現させる。1つ目の方法は、二次転写ローラ71の回転速度を制御する方法である。2つ目の方法は、二次転写ローラに供給される電流制限値(電流制限値の詳細は後述する)を制御する方法である。
以下の本発明の実施形態のうち、第一の実施形態から第五の実施形態は、二次転写ローラ71の回転速度を制御する方法により駆動制御を行う形態である。第六の実施形態は、二次転写ローラ71に供給される電流制限値を制御する方法により駆動制御を行う形態である。
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図5は、本発明の第一の実施形態の画像形成装置100Aの構成図である。
本実施形態の画像形成装置100Aは、中転駆動モータ200、プリドライバ210、FET(Field effect transistor)220、中転駆動モータ駆動部300、二次転写モータ駆動部400、出力監視部500A、速度制御部600Aとを有する。
中転駆動モータ200は、ホール素子230、周波数発生器(以下、FG)240とを有する。ホール素子230は、中転駆動モータ200の回転角度を検知し、その結果をホール信号として出力する。FG240は、中転駆動モータ200の回転速度を検知する。
中転駆動モータ駆動部300は、速度基準クロック生成部310、位相比較部320、速度比較部330、デジタルフィルタ340、PWM(Pulse Width Modulation)部350、相切替部360とを有する。速度基準クロック生成部310は、速度指示値を受けて速度指示を与えるクロックに変換する。位相比較部320は、FG240により検知された回転速度と、速度基準クロック生成部210により生成されたクロックとの位相を比較する。速度比較部330は、FG240により検知された回転速度と速度基準クロック生成部210により生成されたクロックとの速度を比較する。
デジタルフィルタ340は、位相比較部320による比較結果及び速度比較部330による比較結果を加算して平滑化した結果をPWM値としてPWM部350へ出力する。PWM部350は、デジタルフィルタ340の出力をPWM信号として出力する。ここでPWM値とは、PWM部350から出力されるPWM信号のデューティを決定する電流指令値である。相切替部360は、PWM部350から出力されたPWM信号と、ホール素子230からのホール信号とに基づき中転駆動モータ200の相切替を行う。
二次転写モータ駆動部400は、中転駆動モータ駆動部300と同様の構成を有する。すなわち本実施形態の二次転写モータ駆動部400は、図示しない速度基準クロック生成部、位相比較部、速度比較部、デジタルフィルタ、PWM部、相切替部とを有する。二次転写モータ駆動部400では、速度基準クロック生成部により生成される速度基準クロックに基づき、二次転写ローラ71の回転速度を制御する。
出力監視部500Aは、上限下限設定部510、トルク指令値検出部520、判定部530、フラグセット部531、目標値指示部540とを有する。上限下限設定部510は、トルク指令値の上限値及び下限値を設定する。トルク指令値の上限値と下限値についての詳細は後述する。
トルク指令値検出部520は、中転駆動モータ駆動部300から中転駆動モータ200に対して出力されるトルク指令値を検出する。本実施形態のトルク指令値検出部520は、デジタルフィルタ340からの出力されるPWM値をトルク指令値として検出する。トルク指令値検出部520は、予め設定された所定間隔毎に定期的にPWM値を検出する。
判定部530は、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値が、上限下限設定部510に設定された上限値又は下限値を超えているか否かを判定する。本実施形態の判定部530は、PWM値が上限値を上回ったときPWM値が上限値を超えたものと判定する。また判定部530は、PWM値が下限値を下回ったときPWM値が下限値を超えたものと判定する。フラグセット部531は、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値が上限値又は下限値を超えたとき、速度制御部600Aに対して速度制御を行うことを示すフラグをセットする。
目標値指示部540は、判定部530によりPWM値が上限値を超えたと判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を上げる指示を速度制御部600Aへ出力する。また目標値指示部540は、判定部530によりPWM値が下限値を超えたと判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を下げる指示を速度制御部600Aへ出力する。
速度制御部600Aは、目標値格納部610、フラグ検出部612、目標値選択部620、速度指示出力部630、速度補正部640とを有する。
目標値格納部610には、二次転写ローラ71の速度を制御するための複数の目標値が格納されている。本実施形態の目標値とは、二次転写ローラ71を回転させる二次転写モータを制御するための速度指示値である。目標値の詳細は後述する。フラグ検出部612は、速度制御フラグがセットされるか否かを判断する。
目標値選択部620は、出力監視部500Aの目標値指示部540からの指示に応じて二次転写ローラ71の回転速度を上げる目標値又は二次転写ローラ71の速度を下げる目標値を目標値格納部610に格納された複数の目標値のなかから選択する。速度指示出力部630は、目標値選択部620により選択された目標値を二次転写モータ駆動部400へ出力する。速度補正部640は、二次転写ローラ71の温度特性に合わせた速度補正を行う。速度補正の詳細は後述する。
ここで、上限下限設定部510に格納されたトルク指令値の上限値及び下限値について説明する。本実施形態の上限下限設定部510に設定されるトルク指令値の上限値と下限値は予め実験値に基づき決められており、例えば画像形成装置100Aの出荷時などに予め上限下限設定部510に設定されるものとした。
図6は、中転駆動ローラの軸に働く負荷であるトルクと中間転写ベルト51の表面速度に対する二次転写ローラ71の相対速度との関係を示す図である。図6では、縦軸をトルク、横軸を相対速度とした。
まず、本実施形態の相対速度許容範囲H2について説明する。本実施形態では、相対速度許容範囲H2を設定し、相対速度を相対速度許容範囲H2に納めるように二次転写ローラ71の回転速度を制御する。このことにより、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の速度変動をなくすように適正な速度制御を行うことができる。
相対速度許容範囲H2は、画質から規定される相対速度範囲H1に余裕度H3を持たせた範囲である。相対速度範囲H1は、例えば画像形成装置100Aより出力された画像を規格で定められた一定画質の画像と比較した結果に基づき画質を規定して求めても良い。
図6では、画質の規定により決められた相対速度の下限値をS1、上限値をS2とし、相対速度S1から相対速度S2までを相対速度範囲H1とした。よって相対速度許容範囲H2は、相対速度S1から余裕度H3を加算した相対速度S3から、相対速度S2から余裕度H3を差し引いた相対速度S4までの範囲となる。
相対速度範囲H1は、例えば二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の0.5%程度であることが好ましい。また相対速度許容範囲H2及び余裕度H3は、例えば相対速度許容範囲H2が二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の0.4%程度となるように設定されることが好ましい。
次に本実施形態のトルク指令値の上限値と下限値について説明する。
図6に示すトルク上限値T1は、中転駆動モータ200の最大出力トルクから規定される。またトルク下限値T2は、中転駆動モータ駆動部300の制御性能から規定される。本実施形態では、トルク上限値T1及びトルク下限値T2にそれぞれ余裕度を持たせる。トルク上限値T1に対しては出力トルク余裕度I1、トルク下限値T2に対しては制御可能余裕度I2を持たせる。よって本実施形態では、トルク上限値T1からは出力トルク余裕度I1を差し引いたトルクT3から、トルク下限値T2に制御可能余裕度I2を加算したトルクT4までの範囲がトルク可変範囲I3となる。
本実施形態の画像形成装置100Aは、図6に示す相対速度許容範囲H2と、トルク可変範囲I3とにより決められる領域Z内に動作点が入るように、二次転写ローラ71の周速度を制御することで相対速度を制御する。よって本実施形態の上限下限設定部510では、領域Zのトルクに基づくトルク指令値の上限値及び下限値が設定される。
本実施形態の画像形成装置100Aにおけるトルクと相対速度との関係によれば、上限下限設定部510に設定されるトルク指令値の上限値は、動作点BのトルクT3に基づくトルク指令値(PWM値)である。またトルク指令値の下限値は、動作点AのトルクT5に基づくトルク指令値(PWM値)となる。
次に、速度制御部600Aの目標値格納部610に格納された目標値について説明する。
本実施形態の画像形成装置100Aでは、二次転写モータ駆動部400により二次転写モータのトルクを制御することにより、二次転写ローラ71の回転速度を変えて二次転写ローラ71の周速度を制御する。目標値格納部610に格納された目標値は、二次転写ローラ71の回転速度を変えるための速度指示値である。具体的には本実施形態の速度指示値は、二次転写モータ駆動部400の有する速度基準クロック生成部において生成される速度基準クロックの周期を変更させるための速度指示値である。
目標値格納部610には、複数の目標値が格納されている。複数の目標値は、例えばある時点の二次転写ローラ71の回転速度を0.10%遅くさせる値、0.05%遅くさせる値、0.05%早くさせる値、0.10%早くさせる値などである。尚本実施形態の目標値格納部610に格納された目標値は、0.05%刻みで二次転写ローラ71の回転速度を変える値に限定されるものではなく、所定の間隔で二次転写ローラ71の回転速度を変える値であれば良い。
次に、図7ないし図9を参照して本実施形態の画像形成装置100Aの動作を説明する。図7は、画像形成装置100Aの初期動作を説明するフローチャートである。
画像形成装置100Aが起動されると、中転駆動モータ200及び二次転写モータが駆動を開始し、中転駆動ローラ及び二次転写ローラ71が回転を開始する。ステップS41へ進み、中転駆動ローラ及び二次転写ローラ71の回転が安定すると、安定した状態での二次転写ローラ71の回転速度が二次転写ローラ71の回転速度制御における初期速度として設定される。ステップS41に続いてステップS42へ進み、中転駆動モータ200のトルク指令値を検出する検出モードが設定される。ステップS42に続いてステップS43へ進み、タイマ割り込み許可が設定される。
次に図8を参照して、出力監視部500AによるPWM値の検出について説明する。図8は、出力監視部500AによるPWM値の検出を説明するフローチャートである。出力監視部500Aは、定期的に中転駆動モータ駆動部300のデジタルフィルタからPWM部350へ出力するPWM値を検出する。
ステップS51において、出力監視部500Aは検出モードが設定されているか否かを判断する。検出モードが設定されている場合、ステップS51に続いてステップS52へ進み、出力監視部500Aはトルク指令値検出部520によりPWM値を検出する。ステップS52に続いてステップS53へ進み、判定部530は、検出したPWM値が上限下限設定部510に設定された上限値又は下限値を超えるか否かを判定する。
PWM値が上限値又は下限値を超える場合、ステップS53に続いてステップS54へ進み、フラグセット部531は速度制御部600Aに対し速度制御フラグをセットする。
また出力監視部500Aでは、PWM値が上限値又は下限値を超える場合、目標値指示部540により二次転写ローラ71の回転速度を下げる指示又は二次転写ローラ71の回転速度を下げる指示が速度制御部600Aへ出力される。
次に図9を参照して本実施形態の画像形成装置100Aにおける二次転写ローラ71の速度制御について説明する。図9は、画像形成装置100Aにおける二次転写ローラ71の回転速度制御を説明するフローチャートである。
速度制御部600Aは、ステップS61において、出力監視部500AにPWM値の検出モードが設定されていることを確認する。ステップS61に続いてステップS62へ進み、速度制御部600Aは、フラグ検出部612により速度制御フラグがセットされているか否かを判定する。
ステップS63において速度制御フラグがセットされていた場合、ステップS64へ進み、速度制御部600Aは、二次転写ローラ71の回転速度を制御する。
以下に本実施形態の速度制御部600Aにおける速度制御について説明する。本実施形態では、判定部530によりPWM値が下限値を超えると判定された場合について説明する。
PWM値が下限値を超えた場合には、二次転写ローラ71の回転速度を遅くする制御を行えば、PWM値を相対速度許容範囲H2内に納めることができる。よってこの場合出力監視部500Aの目標値指示部540からは、速度制御部600Aに対して二次転写ローラ71の回転速度を遅くする指示が出力される。
本実施形態の速度制御部600Aにおいて、目標値選択部620は、二次転写ローラ71の回転速度を遅くする指示を受けた時点で選択されていた目標値よりも、一刻み大きい値の目標値を選択する。例えば目標値格納部610に格納された目標値が二次転写ローラ71の回転速度を0.10%遅くさせる値、0.05%遅くさせる値であり、指示を受けた時点で選択されていた目標値が二次転写ローラ71の回転速度を0.05%遅くさせる値であった場合、目標値選択部540は、二次転写ローラ71の回転速度を0.10%遅くさせる値を選択する。
速度制御部600Aは、目標値選択部620により目標値が選択されると、速度指示出力部630から選択された目標値(速度指示値)を二次転写モータ駆動部400へ出力する。二次転写モータ駆動部400は、この目標値(速度指示値)に基づき速度基準クロックを生成し、二次転二次転写モータにより回転される二次転写ローラ71の回転速度を変動させる。
ステップS64において二次転写ローラ71の速度が変動されると、ステップS65へ進み、速度補正部640により二次転写ローラ71の温度特性に合わせた速度補正が行われて二次転写ローラ71の速度制御が終了する。
尚本実施形態において目標値をトルク指令値としても良い。この場合目標値選択部620は、例えばトルク指令値検出部520により検出されたPWM値と、目標値(トルク指令値)との差分を算出し、この差分に基づき目標値を選択しても良い。この場合目標値選択部620は、例えば差分と目標値とを対応づけたテーブルを有し、このテーブルを参照して出力監視部500Aで算出された差分に対応付けられた目標値を目標値格納部610から選択しても良い。
また目標値選択部620は、単に相対速度を相対速度可変範囲H内に納めるような目標値を選択しても良いし、相対速度をもっとも0に近づける目標値を選択しても良い。
例えば相対速度をもっとも0に近づける目標値を選択する場合には、目標値選択部620は、図6に示す相対速度0のときの動作点CにおけるトルクTcに対応したPWM値に対応する目標値を理想値として保持していても良い。目標値選択部620は、出力監視部500Aにより算出された差分と、理想値とを用いて相対速度をもっとも0に近づける目標値を選択しても良い。
以下に速度補正部640による速度補正について説明する。
二次転写ローラ71は、二次転写ローラ71の温度や画像形成装置100Aの筐体内の温度が上昇すると膨張して半径が大きくなり、周速度が変動する。よって、速度補正部640は、二次転写ローラ71の周速度と温度との関係に基づき二次転写ローラ71の周速度を補正する。図10に、二次転写ローラ71の周速度と温度との関係を示す。速度補正部640は、補正式Vc=V×(1+αΔK)により周速度の補正を行う。ここでαは熱膨張係数、Kは温度である。
図9に戻って、ステップS65に続きステップS66へ進み、出力監視部500Aは二次転写ローラ71の速度制御後のPWM値を検出する。出力監視部500Aは、判定部530により制御後のPWM値が上限値または下限値を超えるか否かを判定し、相対速度が相対速度許容範囲H2内にあるか否かを監視する。尚本実施形態の相対速度許容範囲H2は、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の0.4%とした。ステップS66において、相対速度が相対速度許容範囲H2内にない場合、ステップS61からステップS65までの処理を繰り返す。また出力監視部500Aは、相対速度が相対速度範囲H1を超えたとき、動作エラーとして画像形成装置100Aの動作停止指示を出力する。尚本実施形態の相対速度範囲H1は、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の0.5%とした。
以上に説明したように、本実施形態によれば、中間転写ベルト51を駆動させる中転駆動モータに対するトルク指令値に基づき、中間転写ベルト51の表面速度に対する二次転写ローラ71の相対速度を許容範囲内に維持するように二次転写ローラ71の回転速度を制御する。よって本実施形態によれば部品の増加やコストの増大を招くことなく、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の速度変動をなくすように適正な速度制御を行うことができる。また本実施形態によれば、相対速度を許容範囲内に納めるように制御することにより、中転駆動モータが制御不能状態に陥ることを防止し、二次転写ローラ71による中間転写ベルト51の連れ回りの発生を防止することができる。
尚本実施形態の中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500A、速度制御部600Aを集積して半導体装置700Aとしても良い。この場合画像形成装置100Aは、半導体装置700Aを実装することにより、上記各部の有する機能を実現することができる。
また本実施形態では、中間転写ベルト51の表面速度は一定であるものとして説明したが、二次転写ローラ71の回転速度を変えた場合に中間転写ベルト51の表面速度の微調整を行っても良い。この場合中転駆動モータ駆動部300は、二次転写モータ駆動部400へ出力された速度指示値に基づき中転駆動モータ200に対するトルク指令値を変動させて中転駆動モータ200を制御しても良い。
また本実施形態の画像形成装置100Aは、相対速度が相対速度許容範囲H2から外れる速度になったとき、警報を発する警報手段(図示せず)を有していても良い。また本実施形態の画像形成装置100Aは、二次転写ローラ71の温度を検出する温度センサ(図示せず)を有していても良い。
尚本実施形態では、 第二の回転体を二次転写ローラとして説明したが、本実施形態で説明した速度制御は、第二の回転体を二次転写ベルトとした場合にも適用可能である。第二の回転体を二次転写ベルトとした場合、速度制御部は、中間転写ベルトと二次転写ベルトの表面速度とが所定範囲内におさまるように、二次転写ベルトを回転させるローラの回転速度を調整すれば良い。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、出力監視部500の構成が第一の実施形態と相違する。よって第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置100Bでは、中転駆動モータ200が、制御不能状態となったことを判定して二次転写ローラ71の回転速度の制御を行う。画像形成装置100Bでは、トルク指令値であるPWM値が、所定時間内に第一の下限値から第二の下限値へ減少したとき、中転駆動モータ200が制御不能状態であると判定する。中転駆動モータ200の制御不能状態についての詳細は後述する。
図11は、第二の実施形態の画像形成装置100Bの構成図である。
本実施形態の画像形成装置100Bの有する出力監視部500Cは、上限下限設定部510A、タイマ値保持部511、トルク指令値検出部520、判定部530A、フラグセット部531、目標値指示部540を有する。
上限下限設定部510Aには、図6に示す領域Zのトルクに基づくトルク指令値の上限値及び下限値の他に、後述する第一の下限値P及び第二の下限値Qが設定される。上限下限設定部510Aに設定される第一の下限値P及び第二の下限値Qは、予め実験により求められた値であり、例えば画像形成装置100Bの出荷時などに上限下限設定部510Aに設定される。タイマ値保持部511は、画像形成装置100Bの備える図示しないタイマによりカウントされた値を保持する。
ここで図12ないし図15を参照して上限下限設定部510Aに設定される第一の下限値P及び第二の下限値Qについて説明する。
本実施形態の上限下限設定部510Aに設定される第一の下限値P及び第二の下限値Qは、中転駆動モータ200が制御不能状態にあるか否かを判定するための値である。以下に中転駆動モータ200の制御不能状態について説明する。
図12に画像形成装置100Bにおける二次転写ローラ71の周速度とトルクの関係を示す。
図12に示すように、二次転写ローラ71の周速度が中転駆動ローラの周速度よりも遅い場合、二次転写ローラ71と中間転写ベルト51との圧接部分での中間転写ベルト51に対する滑り摩擦により中転駆動ローラのトルクは大きくなる。二次転写ローラ71の周速度が中転駆動ローラの周速度よりも早い場合、中転駆動ローラのトルクは小さくなる。そして二次転写ローラ71の周速度が一定以上の早さになるとトルクの値が負の値になり、中間転写ベルト51は二次転写ローラ71に連れ回され、中転駆動ローラは制御不能状態となる。
図13は、制御不能状態における中転駆動モータ200のPWM駆動を説明する図である。画像形成装置100Bにおいて、中間転写ベルト51が二次転写ローラ71に連れ回されて中転駆動モータ200が制御不能状態にあるとき、中転駆動モータ200に対するトルクは負の値となっており、コイルには逆向きに起電力Eが働いている。
図13(A)に示すように、PWMオフの期間において電流がコイルを右向きに流れる場合、回生電流が流れる。図13(B)に示すように、電流がコイルの左向きに流れる場合回生電流は流れない。この非対称現象により、中転駆動モータ200は制御不能状態に陥る。
図14は制御不能状態における動作点を説明する図である。図14では、縦軸を平均電流、横軸をPWM値とし、中転駆動モータ200の電流値とPWM値との関係を示している。
図14に示すように、図13で説明した非対称現象により、中転駆動モータ200の電流値とPWM値との関係において動作点が点A−C間にある場合、点線Bをたどるような電流値の制御が行えず、動作点の動作は点A−O−Cとなる。すなわち動作点が点A−D間にある場合はPWM値にしたがって電流が制御されるが、動作点が点Aよりも左の点Fにくると、PWM値を減少させても効果が現れず、中転駆動モータ200は制御不能状態に陥る。
中転駆動モータ200が制御不能状態に陥ると、PWM値を小さくしてもトルクが変化しない。よって中転駆動モータ駆動部300はさらに続けてPWM値を小さくする制御を行う。
通常のPWM値の制御では、急激に中転駆動モータ200に対するPWM値が減少することはなく、制御不能状態に陥った場合にPWM値が急激に減少する。よって本実施形態では、PWM値が急激に減少したとき、制御不能状態と判定して二次転写ローラ71の回転速度の制御を開始する。
図15は、中転駆動モータ駆動部300がPWM値を小さくする制御を続けた場合を説明する図である。
本実施形態では、制御不能状態を判定するために、第一の下限値Pと第二の下限値Qとを設定する。第二の下限値Qは、PWM値をそれ以上小さくしても電流値が変化しない値として設定する。第一の下限値Pは、第二の下限値Qから所定の余裕度を持たせた値に設定する。本実施形態では、PWM値が所定時間t以内にPWM値が第一の下限値Pから第二の下限値Qへ減少したとき、PWM値が急激に減少したものとして制御不能状態と判定する。尚第一の下限値P、第二の下限値Q及び所定時間tは、実験値に基づき決定される値とした。
次に、図16を参照して本実施形態の画像形成装置100Bの出力監視部500CによるPWM値の検出について説明する。図16は、出力監視部500Cによる検出を説明するフローチャートである。
本実施形態の出力監視部500Cは、定期的に中転駆動モータ駆動部300のデジタルフィルタからPWM部350へ出力するPWM値を検出する。尚画像形成装置100Bの初期動作は第一の実施形態と同様である。
ステップS1301において、出力監視部500Cは検出モードが設定されているか否かを判断する。検出モードが設定されている場合、ステップS1301に続いてステップS1302へ進み、出力監視部500Cはトルク指令値検出部520によりPWM値を検出する。ステップS1302に続いてステップS1303へ進み、判定部530Aは、検出したPWM値が第一の下限値Pより小さいか否かを判定する。PWM値が第一の下限Pよりも小さい場合、ステップS1303に続いてステップS1304へ進み、判定部530Aは、検出したPWM値が第二の下限値Qより小さいか否かを判定する。
ステップS1304においてPWM値が第二の下限値Qよりも大きい場合、ステップS1304に続いてステップS1305へ進み、タイマ値保持部511は、検出したPWM値が第一の下限値Pより小さいと判定した時からPWM値と第二の下限値Qとを比較した時(ステップS1304の処理)までの時間を示すタイマ値を検出して保持する。
ステップS1304においてPWM値が第二の下限値Qよりも小さい場合、ステップS1306へ進み、判定部530Aはタイマ値保持部511に保持されているタイマ値を読み出す。ステップS1306に続いてステップS1307へ進み、判定部530Aは、読み出したタイマ値が所定時間t以下であるか否かを判定する。ステップS1307において、タイマ値が所定時間t以下であった場合、判定部530Aは制御不能状態と判定する。判定部530Aにより制御不能状態と判定されると、ステップS1308へ進みフラグセット部531は速度制御部600Aに対し速度制御フラグをセットする。
このとき目標値指示部540は、二次転写ローラ71の回転速度を遅くする指示を速度制御部600Aへ出力する。
本実施形態の速度制御部600Aによる速度制御は、第一の実施形態で説明した通りである。
以上に説明したように、本実施形態によれば、画像形成装置100Bは、中転駆動モータ200に対するトルク指令値であるPWM値から中転駆動モータ200の制御不能状態を判定し、二次転写ローラ71の回転速度を制御する。よって本実施形態によれば、部品の増加やコストの増大を招くことなく、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の速度変動をなくすように適正な速度制御を行うことができる。また本実施形態によれば、中転駆動モータが制御不能状態のまま動作を継続することを防止し、速やかに適切な速度制御を行うことができる。
尚本実施形態の中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500C、速度制御部600Aを集積して半導体装置700Bとしても良い。この場合画像形成装置100Bは、半導体装置700Bを実装することにより、上記各部の有する機能を実現することができる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、第二の実施形態の変形した形態であり、第二の実施形態における第一の下限値Pに相当するPWM値を出力検知部500Cにより検出する点で第二の実施形態と異なる。よって本実施形態の説明では、第二の実施形態との相違点についてのみ説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
図17は、第三の実施形態の画像形成装置100Cの構成図である。
画像形成装置100Cにおける出力監視部500Cは、上限下限設定部510B、トルク指令検出部520、判定部530B、フラグセット部531、PWM値保持部532、PWM値置き換え部533、余裕度加算部534、目標値指示部540を有する。
上限下限設定部510Bには、出力監視部500Cにより検出される下限値Psと第二の実施形態で説明した第二の下限値Qに相当する下限値Q1とが設定される。下限値Q1は、実験データに基づき予め設定された値である。下限値Psの詳細は後述する。
判定部530Bは、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値が後述するPWM値保持部532に保持されたPWM値の最小値よりも小さいか否かを判定する。また判定部530Bは、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値が後述するPWM値Ps1よりも小さいか否かを判定する。
PWM値保持部532は、これまでにトルク指令値検出部520に検出されたPWM値を保持する。PWM値置き換え部533は、あるPWM値を別のPWM値へ置き換える。余裕度加算部534は、PWM値置き換え部533に置き換えられたPWM値に所定の余裕度を加算する。本実施形態における所定の余裕度は、予め実験値に基づき決められているものとした。
以下に図18を参照して本実施形態の下限値Q1と下限値Psについて説明する。図18は、第三の実施形態の画像形成装置100CにおけるPWM値と時間との関係を示す図である。
画像形成装置100Cでは、中転駆動モータ200に対するPWM値がPa、Pbまで減少しても、時間が経過すると再び上昇に転じている。しかし、PWM値がPbまで減少した後にさらに所定量減少すると、PWM値は下限値Q1まで減少したまま上昇しない。PWM値が下限値Q1まで減少したまま上昇しない場合、中転駆動モータ200は制御不能状態に陥っていることを示す。
すなわちPWM値は、PWM値Pbから所定量減少したPWM値Psまで減少すると、その後WM値Q1まで落ち込み、中転駆動モータ200が制御不能状態となる。
そこで本実施形態では、PWM値Pbから所定量減少したPWM値Psを検出する。そしてPWM値Psに所定の余裕度を加算した値Ps1を上限下限設定部510Bへ設定する。本実施形態では、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値がPWM値Ps1より小さくなったとき、二次転写ローラ71の回転速度を制御する。
以下に図19を参照してPWM値Psの検出について説明する。図19は、第三の実施形態の画像形成装置100CにおけるPWM値Psの算出を説明するフローチャートである。
ステップS1601において出力監視部500Cは、検出モードが設定されているか否かを判断する。検出モードが設定されている場合、トルク指令値検出部520はPWM値を検出する。トルク指令値検出部520により検出されたPWM値をPWM値P1とする。ステップS1602に続いてステップS1603へ進み、判定部530Bは、PWM値P1がPWM値保持部532に保持されているこれまでに検出されたPWM値の最小のPWM値Pminよりも小さいか否かを判定する。
ステップS1603において、PWM値P1がPWM値Pminよりも大きい場合ステップS1604へ進み、PWM値が極小点(図18のPbに該当)を通過したものとする。そしてPWM値置き換え部533は、PWM値Pminを極小点の値PBとして置き換える。
ステップS1603において、PWM値P1がPWM値Pminよりも小さい場合、ステップS1605へ進み、PWM値置き換え部533はPWM値P1をこれまで検出されたPWM値の最小の値としてPWM値Pminへ置き換える。
ステップS1605に続いてステップS1606へ進み、判定部530Bは、PWM値P1が上限下限設定部510Bに設定された下限値Q1より小さいか否かを判定する。PWM値P1が下限値Q1よりも小さい場合、ステップS1606に続いてステップS1607へ進み、PWM値置き換え部533はPWM値Pminを極小点の値PBをPWM値Psに置き換かえる。
すなわちPWM値置き換え部533は、図18のPWM値Pbに相当する値をPWM値Psに置き換える。ここでPWM値Psは、中転駆動モータ200が制御不能状態になる場合のPWM値を示すものである。よって、実際に中転駆動モータ200が制御不能状態となるPWM値(図18に示すPs)はPWM値Pbよりも小さいはずであるが、図19で説明した処理を繰り返すことにより図19の処理で検出されるPWM値Psは近似的に図18に示すPWM値Psと近い値となる。
以上のようにしてPWM値Psが検出されると、余裕度加算部534により予め決定された余裕度をPWM値Psへ加算してPWM値Ps1を算出する。出力監視部500Cは、PWM値Ps1を上限下限設定部510Bへ設定する。
本実施形態では、判定部530Bにより、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値P1がPWM値Ps1より小さいと判定されたとき、フラグセット部531により速度制御部600Aに対して速度制御フラグをセットする。また目標値指示部540は、PWM値P1がPWM値Ps1より小さいと判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を遅くする指示を速度制御部600Aへ出力する。速度制御部600Aによる二次転写ローラ71の速度制御は、第一の実施形態で説明した通りである。
このように、本実施形態によれば中転駆動モータ200が制御不能状態に突入するPWM値を検出し、検出したPWM値に所定の余裕度を加えた値をトルク指令値の下限値とする。よって本実施形態によれば、部品の増加やコストの増大を招くことなく、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の速度変動をなくすように適正な速度制御を行うことができる。また本実施形態によれば、中転駆動モータが制御不能状態に陥ることを防止し、二次転写ローラ71による中間転写ベルト51の連れ回りの発生を防止することができる。
尚本実施形態の中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500C、速度制御部600Aを集積して半導体装置700Cとしても良い。この場合画像形成装置100Cは、半導体装置700Cを実装することにより、上記各部の有する機能を実現することができる。
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態は第一の実施形態を変形した形態である。本発明の第四の実施形態では、中転駆動モータ200に流れる電流値を算出し、算出された電流値をトルク指令値として検出する点で第一の実施形態と相違する。よって以下の本実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で使用した符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図20は第四の実施形態の画像形成装置100Dの構成図である。
本実施形態の画像形成装置100Dは、電流値算出部370を有する。電流値算出部370は、デジタルフィルタ340からPWM部350に対して出力されるPWM値と、FG240により検出される中転駆動モータ200の回転数とを取得し、中転駆動モータ200に流れる電流値を算出する。画像形成装置100DにおけるPWM値と電流値との関係は、中転駆動モータ200の回転数にしたがって図21のように変化する。図21は、画像形成装置100DにおけるPWM値と電流値との関係を示す図である。
画像形成装置100DにおけるPWM値と電流値との関係は、中転駆動モータ200の電流値をI、電源電圧をV、PWM値をD、誘起電圧係数をKE、中転駆動モータ200回転速度をω、中転駆動モータ200コイル抵抗をRとしたとき、VD=IR+ωKEとなる。よって電流値算出部370は、PWM値と電流値との関係から、中転駆動モータ200の電流値I=(VD−ωKE)/Rとして算出する。
本実施形態の画像形成装置100Dの出力監視部500Dは、電流値算出部370により算出された電流値をトルク指令値として検出し、検出した電流値が所定の値以下となったとき、二次転写ローラ71の回転速度を制御する。
本実施形態の出力監視部500Dは、第一の実施形態の出力監視部500と同様の機能構成を有するが、トルク指令値を電流値算出部370で算出された電流値とする点で第一の実施形態と相違する。
本実施形態の出力監視部500Dの有する上限下限設定部510Cには、図6に示す領域Zのトルクに基づくトルク指令値の上限値及び下限値が設定される。すなわち上限下限設定部510Cに設定されるトルク指令値の上限値はトルク指令値T3に対応する電流値であり、上限下限設定部510Cに設定される電流値の下限値は、トルク指令値T5に対応する電流値である。
トルク指令値検出部520Cは、電流値算出部370で算出された電流値を定期的に検出する。判定部530Cは、トルク指令値検出部520Cにより検出された電流値が、上限下限設定部510Cに設定された上限値又は下限値を超えたか否かを判定する。目標値指示部540は、トルク指令値検出部520Cにより検出された電流値が上限値を超えたと判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を速くする指示を速度制御部600Aへ出力する。また目標値指示部540は、トルク指令値検出部520Cにより検出された電流値が下限値を超えると判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を遅くする指示を速度制御部600Aへ出力する。
本実施形態の画像形成装置100Dの動作は、第一の実施形態におけるPWM値が電流値算出部370により算出された電流値とされる以外は第一の実施形態で説明した通りである。
このように本実施形態では、中転駆動モータ200の電流値を算出し、算出された電流値をトルク指令値として検出する。そして検出されたトルク指令値に基づき二次転写ローラ71の回転速度を制御する。よって本実施形態によれば、部品の増加やコストの増大を招くことなく、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の速度変動をなくすように適正な速度制御を行うことができる。
尚本実施形態の中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500D、速度制御部600ACを集積して半導体装置700Dとしても良い。この場合画像形成装置100Dは、半導体装置700Dを実装することにより、上記各部の有する機能を実現することができる。
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態は第一の実施形態及び第四の実施形態を変形した形態である。本発明の第五の実施形態では、中転駆動モータ200に流れる電流値をトルク指令値として検出する点で第一の実施形態と相違する。よって以下の本実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で使用した符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図22は、第五の実施形態の画像形成装置100Eにおける電流値の検出を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置100Eの出力監視部500Eは、中転駆動モータ200に流れる電流値をトルク指令値として検出する。出力監視部500Eは、FET220とグランドとの間に接続された抵抗RLにかかる電圧を検出することにより、中転駆動モータ200に流れる電流値を検出する。
以下に本実施形態の出力監視部500Eについて説明する。
本実施形態の出力監視部500Eは、上限下限設定部510C、トルク指令値検出部520D、判定部530D、フラグセット部531、目標値指示部540を有する。
上限下限設定部510Cは第四の実施形態で説明した通りである。トルク指令値検出部520Dは、PWM部350から出力されるPWM信号を基づき抵抗RLにかかる電圧を所定のタイミングでサンプリングし、中転駆動モータ200に流れる電流値を検出する。判定部530Dは、トルク指令値検出部530Dにより検出された電流値が上限下限設定部510Cに設定された上限値又は下限値を超えるか否かを判定する。目標値指示部540Dは、トルク指令値検出部530Dにより検出された電流値が上限値を超えたと判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を速くする指示を速度制御部600Aへ出力する。また目標値指示部540は、トルク指令値検出部520Cにより検出された電流値が下限値を超えると判定されたとき、二次転写ローラ71の回転速度を遅くする指示を速度制御部600Aへ出力する。
本実施形態の画像形成装置100Eの動作は、第一の実施形態におけるPWM値が中転駆動モータ200に流れる電流値とされる以外は第一の実施形態で説明した通りである。
このように本実施形態では、中転駆動モータ200に流れる電流値をトルク指令値として検出する。そして検出されたトルク指令値に基づき二次転写ローラ71の回転速度を制御する。よって本実施形態によれば、部品の増加やコストの増大を招くことなく、二次転写ローラ71の周速度及び中間転写ベルト51の表面速度の速度変動をなくすように適正な速度制御を行うことができる。
尚本実施形態の中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500E、速度制御部600Aを集積して半導体装置としても良い。この場合画像形成装置100Eは、中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500E、速度制御部600Aを有する半導体装置を実装することにより、上記各部の有する機能を実現することができる。
(第六の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第六の実施形態について説明する。本発明の第六の実施形態は、二次転写モータに流れる電流の制限値(以下、電流制限値)を制御する。尚以下に説明する本実施形態の説明において、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図23は、第六の実施形態の画像形成装置100Fの構成図である。画像形成装置100Fは、中転駆動モータ200、プリドライバ210、FET(Field effect transistor)220、中転駆動モータ駆動部300、二次転写モータ駆動部400A、出力監視部500F、電流制限部600Bを有する。
本実施形態では、出力監視部500Fからの出力に基づき、二次転写モータ駆動部400Aに供給される電流値を制限する。具体的には、二次転写モータ駆動部400Aに供給される電流制限値を制御することで、電流値を制限する。尚電流制限値とは、二次転写モータ駆動部400Aにおいて予め設定された値であり、二次転写モータ410に供給される電流値の上限の値である。
まず本実施形態の二次転写モータ駆動部400Aについて説明する。二次転写モータ駆動部400Aは、二次転写モータ410を回転させる。二次転写モータ駆動部400Aは、基準クロック生成部420、プリドライバ430、FET440、DAC(Digital to Analog Converter)650を有する。速度基準クロック生成部420は、速度指示値を受けて速度指示を与えるクロックに変換する。
プリドライバ430は、FET440の前段に設けられたドライバである。プリドライバ430は、位相比較部431、速度比較部432、デジタルフィルタ433、PWM部434、相切替部435、コンパレータ436を有する。
位相比較部431は、二次転写モータ410の有するFG(図示せず)により検知された回転速度と、速度基準クロック生成部420により生成されたクロックとの位相を比較する。速度比較部432は、FGにより検知された回転速度と速度基準クロック生成部420により生成されたクロックとの速度を比較する。
デジタルフィルタ433は、位相比較部431による比較結果及び速度比較部432による比較結果を加算して平滑化した結果をPWM値としてPWM部434へ出力する。PWM部434は、デジタルフィルタ433の出力をPWM信号として出力する。尚PWM値とは、PWM部434から出力されるPWM信号のデューティを決定する電流指令値である。相切替部435は、PWM部434から出力されたPWM信号と、二次転写モータ410の有するホール素子(図示せず)からのホール信号とに基づき二次転写モータ410の相切替を行う。
コンパレータ436は、DAC650から出力される電流制限値と、二次転写モータ410に流れる電流値とを比較する。尚二次転写モータ410に流れる電流値は、FET440とグランドとの間に接続された抵抗RL1により検出される。
DAC650は、電流制限部600Bから出力される電流制限値をアナログ値に変換する。変換されたアナログ値は、プリドライバ430内のコンパレータ436へ入力される。コンパレータ436の出力信号は、二次転写モータ410に流れる電流値が変換されたアナログ値を上回ったとき反転する。
本実施形態の出力監視部500Fは、上限下限設定部510、トルク指令値検出部520、判定部530、フラグセット部531を有する。フラグセット部531は、トルク指令値検出部520により検出されたPWM値が上限値又は下限値を超えたとき、電流制限部600Bに対して電流制限値制御を行うことを示すフラグをセットする。
電流制限部600Bは、フラグ検出部660、電流値設定部670を有する。フラグ検出部660は、電流制限部600Bに対して電流制限値制御を行うフラグがセットされているか否かを検出する。電流値設定部670は、フラグがセットされているとき、二次転写モータ410の電流制限値の再設定を行う。
次に、図24を参照して本実施形態の画像形成装置100Fの動作を説明する。図24は、第六の実施形態における電流制限値の制御を説明するフローチャートである。
本実施形態の電流制限部600Bは、ステップS2401において、出力監視部500FにPWM値を検出する検出モードが設定されていることを確認する。ステップS2401に続いてステップS2402に進み、フラグ検出部660は、電流制限部600Bに、電流制限値制御を行うフラグがセットされているか否かを確認する。ステップS2402に続いてステップS2403に進み、フラグがセットされていた場合、ステップS2404へ進む。尚本実施形態の出力監視部500Fでは、PWM値が下限値を下回った場合(下限値を超えたとき)にのみ、電流制限部600Bへフラグをセットしても良い。
ステップS2404において、電流値設定部670は、二次転写モータ410の電流制限値の再設定を行い、電流制限値を変更する。具体的には電流値設定部670は、PWM値が下限値を下回ったとき、二次転写モータ410の電流制限値を閾値IsからΔIs刻みで小さくするように電流制限値の設定の変更を行う。ステップS2404に続いてステップS2505へ進み、出力監視部500Fは、電流制限値の設定変更後のPWM値が下限値を下回っているか否かを判定する。
ステップS2405においてPWM値が依然として下限値を下回っている場合、電流値設定部670は、エラーとしてステップS2404の処理を繰り返し、PWM値が下限値を上回るまで電流制限値IsをΔIs刻みで下げる制御を行う。
電流値設定部670により設定された電流制限値は、DAC650によりアナログ値へ変換される。変換されたアナログ値は、コンパレータ436の一方の入力へ供給される。コンパレータ436の他方の入力には、抵抗RL1により検出された二次転写モータ410に流れる電流値が供給される。コンパレータ436の出力は、相切替部435へ供給される。コンパレータ436の出力は、二次転写モータ410に流れる電流値がアナログ値よりも大きくなった場合に反転する。
相切替部435は、コンパレータ436の出力信号の反転を受けると、二次転写モータ410に流れる電流値が電流制限値を超えたものと判断する。そして相切替部435は、電流制限値を超えると判断されたときの周期のPWM信号のオンデューティをカットして、二次転写モータ410に供給される電流を制限する。尚このPWM信号とは、PWM部434から相切替部435に対して出力される信号である。
このように本実施形態では、電流制限部600B、DAC650、コンパレータ436を有する構成により、二次転写モータ410に流れる電流の制限を行う。尚本実施形態では、二次転写モータ駆動部400AにDAC650が含まれる構成としたが、これに限定されない。DAC650は、二次転写モータ駆動部400Aの外部に設けられても良い。
図25は、第六の実施形態における中転駆動モータ200に対するトルク指令値と二次転写モータ410に流れる電流値の関係を示す図である。
本実施形態では、例えば中転駆動モータ200に対するトルク指令値が下限値T10を下回った場合、二次転写モータ410の電流制限値は、電流制限値制御によりIsからIs1へと少しずつ(ΔIsずつ)変化する。尚トルク指令値T10は、例えば図6に示す動作点AのトルクT5に基づくトルク指令値である。
図26は、第六の実施形態における二次転写モータ410に流れる電流値とトルク指令値との関係を示す図である。
二次転写モータ410は、二次転写モータ410に対するトルク指令値がモータの回転による逆起電圧を超えたときに電流が流れ始める。二次転写モータ410に流れる電流値はトルク指令値を大きくすると増加する。そして二次転写モータ410に流れる電流値は、電流制限値に達すると、トルク指令値に関わらず一定となる。
図26の実線26Aに示すように、本実施形態の二次転写モータ410において電流制限値がIsとした場合、二次転写モータ410に流れる電流値がIsに達すると、トルク指令値に関わらず電流値はIsで一定となる。二次転写モータ410において電流制限値をIs2とした場合には、実線26Bに示すように、二次転写モータ410に流れる電流値はIs2で一定となる。
このように本実施形態では、二次転写モータ410に流れる電流制限値を制御することで、二次転写ローラ71の駆動を制御することができる。よって本実施形態では、中間転写ベルト51の表面速度に対する二次転写ローラ71の相対速度が相対速度許容範囲H2(図6参照)に納まるように、二次転写ローラ71の回転速度を制御することができる。
尚本実施形態では、中転駆動モータ駆動部300、出力監視部500F、電流制限部600Bを集積して半導体装置700Eとしても良い。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態にあげた形状、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。