JP2013117611A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外乱による像担持体の回転速度変動をモータの電気的制動により抑制して、色ずれやバンディングの発生を防止する。
【解決手段】複数のコイルが結線された巻線を有し、複数のコイルに流れる電流の向きが切り替えられることにより像担持体を回転するモータ152と、モータを駆動するための複数のコイルに流れる電流の向きの切り替えとは別に、モータを制動するためにモータの複数のコイルに流れる電流の向きを切り替える制御手段690とを有し、制御手段690は、モータを駆動するための駆動信号682の周期よりも大きな周期を有する制動信号683に従って、モータの複数のコイルに流れる電流の向きを切り替えることによりモータを制動して像担持体の回転速度を制御する画像形成装置。
【選択図】図9

Description

本発明は、像担持体の回転速度を制御する画像形成装置に関する。
従来の画像形成装置には、中間転写体方式の電子写真プロセスを採用しているものがある。そのような画像形成装置において、画像を形成する際には、感光体ドラムの上に現像されたトナー像が中間転写ベルトへ転写され、その後、中間転写ベルトに転写されたトナー像は、記録媒体へ転写される。このとき、感光体ドラムの回転速度が一定ではなく時間変化すると(変動すると)、トナー像におけるトナー載り量にムラができてしまう。そのようなトナー載り量のムラは、バンディングと呼ばれる濃度ムラになる。
また、フルカラー画像を形成することができる画像形成装置は、典型的にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4つの感光体ドラムを備えている。一般的に、4つの感光体ドラムは中間転写ベルトの進行方向に沿って、色の薄い順、すなわち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に並んで配置されている。そして、イエローの感光体ドラムに現像されたトナー像が、回転している中間転写ベルト上に転写され、続いてマゼンタの感光体ドラムに現像されたトナー像が、中間転写ベルト上に転写されたイエローのトナー像に重なるように転写される。シアンおよびブラックの感光体ドラムからも同様にトナー像が、中間転写ベルト上のトナー像に重なるように転写される。この際、各感光体ドラムの回転速度が各々異なると、重ね合わせたトナー像に色ずれが生じる。
色ずれは、感光体ドラムの比較的低周波な回転速度の変動が要因であり、一方バンディングは、感光体ドラムの比較的高周波な回転速度の変動が要因であると言われている。従って、色ずれやバンディングに起因する画質の劣化を抑制するためには、感光体ドラムの回転速度を各色ともに一定且つ同一にする必要がある。
トナー像を感光体ドラムから中間転写ベルトに転写する効率を向上させるためには、感光体ドラムと中間転写ベルトの間に回転速度差があったほうがよいことが知られている。
しかしながら、感光体ドラムの回転速度が中間転写ベルトの回転速度より速い場合には、感光体ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写する際に、感光体ドラムの回転速度は減速され、一方、中間転写ベルトの回転速度は加速される。
逆に、感光体ドラムの回転速度が中間転写ベルトの回転速度より遅い場合には、感光体ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写する際に、感光体ドラムの回転速度は加速され、一方、中間転写ベルトの回転速度は減速される。
従って、感光体ドラムと中間転写ベルトの間に回転速度差を設けると、外乱としての回転速度差に起因して感光体ドラムおよび中間転写ベルトそれぞれの回転速度が変動することとなる。特に、中間転写ベルトに対して両端部に配置されているイエローの感光体ドラムおよびブラックの感光体ドラムが変動しやすい。
上記の問題を解決するために、感光体ドラムおよび中間転写ベルトの回転速度を検知して、回転速度の変動を抑制するフィードバック制御が用いられている。フィードバック制御においては、感光体ドラムおよび中間転写ベルトの回転速度を検知する。検知された回転速度が変動している場合は、変動を抑制するための駆動信号を感光体ドラム又は中間転写ベルトを駆動しているモータへ入力する。この駆動信号により、モータの回転速度の変動を抑制する。
しかしながら、制御帯域が十分に確保されていないフィードバック制御系では、制御帯域よりも高い帯域の周期外乱を打ち消すことは困難である。
また、従来の画像形成装置で使用している制御帯域は制御したい周波数領域に対して十分でない。
図12は、従来の画像形成装置における回転速度の制御の様子を示した図である。図12を見ると、加速されていた回転速度が時間Tから減速され始め、そして時間Tにおいて、また加速に転じている。点線352および353はそれぞれ、回転速度曲線351の接線、すなわち加速度を表している。加速度352に比べて加速度353の方が小さい、すなわち減速させる方が時間がかかるため、それによって制御帯域が制限されていた。
上記の問題を解決するために、感光体ドラムに負荷を設けて、速度変動を打ち消すように負荷の強さを制御することで、色ずれおよびバンディングを抑制する方法が提案されている。
しかしながら、電流の大きさによって負荷の強さを制御するような機械的な機構を用いた場合、モータや負荷における消費電力が大きくなる。また、コスト面から鑑みても、負荷を設けること自体好ましくない。さらに、必要とされる応答速度を得ることができない。
特許文献1は、負荷を設ける代わりにモータの回生制動を利用し、モータによって制動トルクを発生させ、速度制御を行うことを開示しており、これにより消費電力、コストおよび制御帯域不足の問題を解決することができる。
具体的には、特許文献1では、パルス幅変調(以下、PWMという。)信号のON期間は加速方向に電流経路を確保し、PWM信号のOFF期間は回生制動によって減速させる方向に電流経路を確保することで、減速追随性を改善させる方法が提案されている。
しかしながら、PWM信号の周波数が高く、相電流の変化に対して制動期間の設定が短い場合は、制動による制動トルクが働かないという問題がある。
逆に、制動期間の設定を長くするために、PWM信号の周波数を低くした場合には、制御周期が長くなるため、以下に示す問題が顕著になる。
一つは、制御周期が長くなることで、制御の応答性が低下することである。
もう一つは、ブラシレスDCモータにおいて、相の切り替えの周期に対して、制御周期が十分短くないと、トルクリップルが生じ、滑らかな駆動が困難になることである。
従って、特許文献1の構成において制御周期を長くすると、返って速度変動を増大させてしまう場合もある。
特開平11−27979号公報
電気的な制動による制動トルクを利用した速度制御を行う場合、コイル電流の向きを切り替えるために必要な時間よりも制動期間が短い場合は、制動トルクが働かないという問題がある。
そこで、本発明は、モータを駆動する駆動信号の周期よりも大きな周期を有する制動信号に従ってコイル電流の向きを切り替えることによりモータを制動して像担持体の回転速度を制御することができる画像形成装置を提供する。
本発明の画像形成装置は、複数のコイルが結線された巻線を有し、前記複数のコイルに流れる電流の向きが切り替えられることにより像担持体を回転するモータと、前記モータを駆動するための前記複数のコイルに流れる前記電流の向きの切り替えとは別に、前記モータを制動するために前記モータの前記複数のコイルに流れる電流の向きを切り替える制御手段とを有し、前記制御手段は、前記モータを駆動するための駆動信号の周期よりも大きな周期を有する制動信号に従って、前記モータの前記複数のコイルに流れる前記電流の向きを切り替えることにより前記モータを制動して前記像担持体の回転速度を制御する。
本発明によれば、モータを駆動する駆動信号の周期よりも大きな周期を有する制動信号に従ってコイル電流の向きを切り替えることによりモータを制動して像担持体の回転速度を制御することができる。
第1実施形態における画像形成装置1の概略図。 第1実施形態における画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152の回路図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における各信号、各電圧および各電流の時間変化を示した図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における電流の流れを示した図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における磁気センサ出力と励磁すべき相の関係を示した図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152のモータ軸に取り付けられるロータリエンコーダ231の斜視図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152におけるフィードバック制御によって回転速度制御を行った際の各信号および回転速度の時間変化を示した図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における回生制動を用いた回転速度制御によって発生するトルクの模式図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152に適用されている回転速度制御系のブロック図。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における回転速度制御のフローチャート。 第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における制御出力値及び該制御出力値をパルス幅変調及び周波数変調した信号を示した図。 従来の画像形成装置における回転速度制御を示した図。
図1は、第1実施形態における画像形成装置1の概略図を示しており、図1(a)および(b)は、画像形成装置1の全体概略図および画像形成装置1の駆動系を示した概略図をそれぞれ表している。
図1(a)に示すように、画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの画像形成ステーションPY、PM、PCおよびPKを有している。図1において、画像形成装置1のY、M、CおよびK各色の画像形成ステーションPY、PM、PCおよびPKは、使用する現像剤の色が異なる他は同一の構成であるので、以下、簡略化のためにY、M、C、Kを省略する場合がある。
各画像形成ステーションPでは、感光体ドラム(像担持体)100が1次帯電器12によって均一に帯電される。均一に帯電された感光体ドラム100の表面を露光部10から照射されるレーザー光によって走査露光することで感光体ドラム100上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像に現像器11によって現像剤であるトナーが付着され、静電潜像がトナー像に現像される。各感光体ドラム100に形成された各色のトナー像は、移動する中間転写ベルト(像担持体)101上に、一次転写外ローラ103によって順次重ね合わせて転写される。
そして、中間転写ベルト101上に形成されたカラーのトナー像は、対向する二次転写ローラ105および二次転写外ローラ104によって構成される二次転写ニップ部において、搬送されてきた転写材P上に一括転写される。一括転写された転写材Pは定着器20に搬送され、ここでトナー像の定着を受けた後、機外に排出され、カラー画像を得ることができる。
中間転写ベルト101に転写されずに感光体ドラム100上に残留したトナーは、クリーナー13によって除去される。同様に、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト101上に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナー16によって除去される。
図1(b)に示すように、感光体ドラム駆動系は、イエロー、マゼンタおよびシアンの感光体ドラム100においては、モータ152のトルクをギア150を介して伝達することによって、感光体ドラム100を回転させる。ブラックの感光体ドラム100Kにおいては、モータ152Kのトルクをギア151Kおよび150Kを介して伝達することによって、感光体ドラム100Kを回転させる。感光体ドラム100を速度制御するために必要となる回転速度情報は、感光体ドラム100の軸上に取り付けられたロータリエンコーダ(速度検出器)153によって取得される。
同様に、中間転写ベルト駆動系も、モータ152のトルクをギア250を介し伝達することによって、中間転写ベルト駆動ローラ(回転体)200を回転させ、それにより中間転写ベルト101が回転する。中間転写ベルト101を速度制御するために必要となる回転速度情報は、中間転写ベルト駆動ローラ200の軸上に取り付けられたロータリエンコーダ(速度検出器)253によって取得される。
図2は、第1実施形態における画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152の回路図を示している。いくつかの構成要素を示す参照符号には、それぞれU、V、Wが付されているが、これらはそれぞれU相、V相、W相に対応しており、以下、簡略化のためにU、V、Wを省略する場合がある。
三相ブラシレスDCモータ152は、3つのコイル400U、400V、400Wがスター結線によって結線された巻線を有する。
三相ブラシレスDCモータ152は、一般的に、ロータを内側にもつインナーロータと、ロータを外側にもつアウターロータの2つに分類されるが、本実施形態ではアウターロータを用いることにする。
アウターロータとしての三相ブラシレスDCモータ152では、ロータ624はN極625およびS極626をそれぞれ二つずつ有している。なお、磁極の数はこれに限定されない。
ロータ624は、モータ軸と繋がっており、軸を中心に回転する構造となっている。
ロータ624における磁束密度は、N極625とS極626の境界では小さく、境界から離れるほど大きくなる。
モータでは、所望の相を励磁させることで、ロータの磁極に対し、引力または斥力を生み出す。
本実施形態では、コイル400を通して、ロータ624からスター結線の中心に向かって電流が流れたときは、コイル400からロータ624に向かって磁束が発生し、N極625との間に斥力が発生し、S極626との間には引力が発生する。逆に、スター結線の中心からロータ624に向かって電流が流れたときは、ロータ624からコイル400に向かって磁束が発生し、N極625との間に引力が発生し、S極626との間には斥力が発生する。
この引力および斥力によってトルクが発生し、ロータ624が回転し始める。ロータ624の回転は、磁極位置に合わせて励磁する相を切り替えることによって維持される。トルクの大きさは、各相に流す相電流の大きさにトルク定数を乗じた量で表される。
励磁する相の切り替えの判断は、ロータ624近傍に設けられている磁気センサ645によってロータ624の磁極位置を検知することで、励磁すべき相と電流の向きを判断することによって行われる。磁気センサ645は、ロータ624の磁極がN極の時は正の電圧、S極の時は負の電圧を出力する。本実施形態では、磁気センサ645として、ホール素子を用いるが、本発明はこれに限定されない。
上記のように励磁する相を切り替えるために、コイル400U、400Vおよび400Wそれぞれに流す電流の向きと大きさを調整する回路として、一般にインバータ回路650が使用される。
また、磁気センサ645の出力電圧675に基づいて、インバータ回路650に対して、励磁する相の切り替えのシーケンスと、コイル400U、400Vおよび400Wそれぞれに流す電流の向きと大きさを指示する回路として、モータドライバ690が用いられる。
線621Uは、コイル400Uをスイッチング素子652U及びスイッチング素子653Uに電気的に接続する。線621Vは、コイル400Vをスイッチング素子652V及びスイッチング素子653Vに電気的に接続する。線621Wは、コイル400Wをスイッチング素子652W及びスイッチング素子653Wに電気的に接続する。
モータドライバ(制御手段)690は、三相ブラシレスDCモータ152を駆動するための駆動信号(パルス幅変調信号、以下、PWM信号という。)671をインバータ回路650へ送信する。インバータ回路650は、モータドライバ690から受信されるPWM信号671の電圧レベルがHighかLowかに応じて、スイッチング素子652によって、電源651とコイル400との間を導通又は非導通にさせる。
モータドライバ690は、励磁する相を切り替えるために、モータドライバ690の駆動信号端子692に入力されたPWM信号682に基づいて、3つのPWM信号671U、671Vおよび671Wをインバータ回路650に送信する。PWM信号682は、パルス幅変調された方形波信号であり、ここでは25kHzの周波数をもつ信号とする。従って、PWM信号682に基づいて、モータドライバ690は、励磁したい相のスイッチング素子652にPWM信号671を入力する。PWM信号671は、電源651をチョッピングし、コイル400にかかる電圧の平均値を調整することで、コイル400に流れる相電流(コイル電流)620の大きさを調整することができる。
またモータドライバ690は、励磁する相を切り替えるために、磁気センサ645からの出力に基づいて、相切替信号672をインバータ回路650に送信する。インバータ回路650は、相切替信号672の電圧レベルがHighかLowかに応じて、スイッチング素子653によって、コイル400と接地(以下、GNDという。)654との間を導通又は非導通にさせる。
次に、ロータ624を回転させるシーケンスの詳細を説明する。
図3(a)は、第1実施形態の画像形成装置1の三相ブラシレスDCモータ152における各信号、各電圧および各電流の時間変化を示している。
まず、モータドライバ690の回転方向切替端子691(図2)に回転方向切替信号681を入力し、回転方向切替信号681の電圧レベルがHighかLowかに応じて、ロータ624の回転方向が決まる。本実施形態では、回転方向切替信号681の電圧レベルがLowであるとし、負荷側から(紙面裏から)みて時計まわり方向(以下、CW(ClockWise)方向と称する)に回転することとする。
また、モータドライバ690の制動信号端子(以下、BRK信号端子という。)693(図2)に制動信号(以下、BRK信号という。)683を入力し、BRK信号683の電圧レベルがHighかLowかに応じて、ロータ624の制動がON又はOFFされる。本実施形態では、BRK信号683の電圧レベルがLowであるときに、制動はOFFされる。
そして上述したように、モータドライバ690の駆動信号端子692(図2)にPWM信号682を入力することで、ロータ624は回転する。なお本実施形態では、PWM信号682の周波数は25kHzである。
次に、図3(a)の区間801、802、803それぞれにおける、各相の励磁切り替えシーケンスを説明する。
図4(a)には、区間801におけるロータ624の位置が示されている。
上述したように、ロータ624の回転方向830は、負荷側からみてCW方向である。
図4(a)に示すロータ624の配置では、磁気センサ645U、645Vおよび645Wは、それぞれN極、S極およびN極に隣接している。従って、図3(a)の区間801に示すように、磁気センサ645U、645Vおよび645Wはそれぞれ、出力電圧の0Vライン674U、674Vおよび674Wを基準に所定の正の電圧675U、負の電圧675Vおよび正の電圧675Wを出力する。
この状態では、U相とV相が励磁されればよい(以下、これをUV相が励磁されていると称し、記述した相の順に電流が流れるとする。)。そのために、PWM信号671UにPWM信号682を入力し、PWM信号671V、671WにはLowレベルの電圧信号を入力し、また、相切替信号672VにHighレベルの電圧を入力し、相切替信号672U、672WにはLowレベルの電圧を入力する。それにより、図4(a)のロータ624の配置ではUV相が励磁され、出力電流ゼロのライン610Uおよび610Vを基準に正のU相電流620Uおよび負のV相電流620Vが流れることによって、トルクが発生し、ロータ624が回転する。
図4(b)には、区間802におけるロータ624の位置が示されている。
図4(b)に示すロータ624の配置では、磁気センサ645U、645Vおよび645Wは、それぞれN極、S極およびS極に隣接している。従って、図3(a)の区間802に示すように、磁気センサ645U、645Vおよび645Wはそれぞれ、出力電圧の0Vライン674U、674Vおよび674Wを基準に所定の正の電圧675U、負の電圧675Vおよび負の電圧675Wを出力する。
この状態では、UW相が励磁されればよい。従って、PWM信号671Uには区間801と同様に、PWM信号682を入力し、PWM信号671Vおよび671WにはLowレベルの電圧信号を入力する。一方で、相切替信号672については、V相からW相に切り替えるために、相切替信号672WにHighレベルの電圧を入力し、相切替信号672Uおよび672VにはLowレベルの電圧を入力する。それにより、UW相が励磁され、出力電流ゼロのライン610Uおよび610Wを基準に正のU相電流620Uおよび負のW相電流620Wが流れることによって、トルクが発生し、ロータ624が回転する。
図4(c)には、区間803におけるロータ624の位置が示されている。
図4(c)に示すロータ624の配置では、磁気センサ645U、645Vおよび645Wは、それぞれN極、N極およびS極に隣接している。従って、図3(a)の区間803に示すように、磁気センサ645U、645Vおよび645Wはそれぞれ、出力電圧の0Vライン674U、674Vおよび674Wを基準に所定の正の電圧675U、正の電圧675Vおよび負の電圧675Wを出力する。
この状態では、VW相が励磁されればよい。従って、PWM信号671については、U相からV相に切り替えるために、PWM信号671VにPWM信号682を入力し、PWM信号671Uおよび671WにはLowレベルの電圧信号を入力する。また、相切替信号672については、相切替信号672WにHighレベルの電圧を入力し、相切替信号672Uおよび相切替信号672VにはLowレベルの電圧を入力する。それにより、VW相が励磁され、出力電流ゼロのライン610Vおよび610Wを基準に正のV相電流620Vおよび負のW相電流620Wが流れることによって、トルクが発生し、ロータ624が回転する。
以上のようなシーケンスで励磁する相の切り替えを行うことによって、ロータ624の回転を維持することができる。
なお、ロータ624のCW方向の回転を維持するために、磁気センサ645の出力電圧675に対して、励磁すべき相をまとめたものが図5に示されている。
図3(a)に示すように、各区間801、802,803の間には、どの相も励磁しない無励磁区間がある。この無励磁区間は、スイッチング素子652と653(図2)がともに導通状態となり、電源651からGND654に電流が流れてしまう貫通電流を防ぐために設けられている。そのため、相電流620において不連続点882が生じているが、相電流620の変化に対して、時間的に短いため、動作の上では問題とならない。
相電流620のゆらぎ881は、ロータ624の回転によって、コイル400内を通過する磁束に変化が生じ、電磁誘導によって起電圧が生じることによるものである。
次に、第1実施形態における三相ブラシレスDCモータ152の回転速度制御について説明する。
図6は、三相ブラシレスDCモータ152のモータ軸に取り付けられるロータリエンコーダ231の斜視図を示している。
本実施形態では、モータ152の回転速度は、ロータリエンコーダ231によって検出し、求められる。ロータリエンコーダ231では、円盤232に等間隔にスリット234が切ってあり、その円盤232の面に垂直に、且つ円盤232の面を挟むように、発光素子233および受光素子235が配置されている。
発光素子233から発せられた光が、スリット234を通って受光素子235に受光されるか又はされないかに応じて、受光素子235はHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力する。
モータ152が回転すると、受光素子235が出力する電圧レベルが周期的に変化するため、ロータリエンコーダ231の出力はパルス状となり、その周期または周波数からモータ152の回転速度を検出することができる。
本実施形態では、回転速度制御の設定として、目標回転速度を3rps(revolutions per second:回転/秒)とし、目標回転速度とモータ152の実際の回転速度との間の偏差を制御器に入力する。
なお本実施形態では、制御器に、一般に用いられているPID制御器を用いる。PID制御器は、比例動作(Proportional)、積分動作(Integral)および微分動作(Derivative)からなり、それぞれから出力される値の和を出力する。PID制御器では、比例動作は偏差に対して所定の値(Pゲイン)を乗じた値を出力し、積分動作は偏差を積分した値に所定の値(Iゲイン)を乗じた値を出力し、微分動作は速度の変化量に所定の値(Dゲイン)を乗じた値を出力する。
そして、目標回転速度とモータ152の実際の回転速度との間の偏差に対応するPID制御器の出力がPWM信号682に変換される。PWM信号682は、モータ152を駆動するための駆動信号としてモータドライバ690に入力される。このPWM信号682の周波数は、本実施形態では25kHzに設定する。
PWM信号682に従って、モータ152の回転に寄与するトルクが変化して、モータ152の回転速度が変化する。そして、モータ152の実際の回転速度をロータリエンコーダ231から求める。実際の回転速度と目標回転速度との偏差を求め、求められた偏差がPID制御器に入力される。本実施形態では、このような動作を10msごとに繰り返す。
すなわち本実施形態では、上記のようなフィードバック制御を行う。
図7は、三相ブラシレスDCモータ152において、フィードバック制御によって回転速度制御を行った際の各信号および回転速度の時間変化を示している。
図7(a)は、モータ152の減速方向に外乱を入れた際の回転速度制御における各信号および回転速度の時間変化を示している。
モータ152の回転速度640が外乱により減速されると、実際の回転速度640と目標回転速度630との間に偏差が生じ、それによりPWM信号682のデューティ比が大きくなり、モータ152が加速される。ここで、PWM信号682のデューティ比は、PWM信号682の周期Tに対するHighレベル期間tの割合、すなわちt/T×100(%)で表される。すなわち、デューティ比が大きくなることは、PWM信号682の周期Tに対してPWM信号682のHighレベル期間tが長くなることを意味する。なお、この場合におけるデューティ比は、80%に設定されている。
PWM信号682の周波数Fと周期Tとの関係は、以下の式1で表される。
Figure 2013117611
ここで、tは、PWM信号のLowレベルの期間である。PWM信号の周波数Fが25kHzであるときのPWM信号の周期Tは、40マイクロ秒である。デューティ比が80%のときのPWM信号のHighレベル期間tは、32マイクロ秒である。
PWM信号682のデューティ比を80%に設定した後、回転速度640が目標回転速度630を超えて速くなると、今度はPWM信号682のデューティ比を小さくすることによって、回転速度640を減速させる。
これを繰り返すことによって、最終的に回転速度640は目標回転速度630に安定し、PWM信号682のデューティ比は、通常時のデューティ比と同じ50%に設定される。デューティ比が50%のときのPWM信号のHighレベル期間tは、20マイクロ秒である。
図7(b)は、モータ152の加速方向に外乱を入れた際の回転速度制御における各信号および回転速度の時間変化を示している。
モータ152の回転速度640が外乱により加速されると、PWM信号682のデューティ比を小さくすることによって、回転速度640を減速させる。なおこの場合におけるデューティ比は20%に設定されたとする。デューティ比が20%のときのPWM信号のHighレベル期間tは、8マイクロ秒である。
その後、回転速度640が目標回転速度630を超えて遅くなると、今度はPWM信号682のデューティ比を大きくすることによって、回転速度640を加速させる。
これを繰り返すことによって、最終的に回転速度640は目標回転速度630に安定し、PWM信号682のデューティ比は、通常時のデューティ比と同じ50%に設定される。
図7(a)をみると、t=0で外乱が入った後、回転速度640は加速され、時間tにおいて一旦回転速度640が目標回転速度630に到達する。一方、図7(b)をみると、t=0で外乱が入った後、回転速度640は減速され、時間tにおいて一旦回転速度640が目標回転速度630に到達する。また上述したように、図7(a)における加速時のデューティ比は80%であり、一方、図7(b)における減速時のデューティ比は20%である。すなわち、それぞれのデューティ比の通常時の50%からの差(すなわち80―50=50―20=30%の差)は同じであるにもかかわらず、時間tとtは大きく異なる。すなわち、図7(a)に示される目標回転速度630に到達するための加速時の速度変化の傾きと図7(b)に示される目標回転速度630に到達するための減速時の速度変化の傾き、すなわちそれぞれの加速度の大きさが大きく異なっている。
この理由としては、モータ152の回転を妨げる摩擦力が小さいことが挙げられる。摩擦力は、モータ152の軸受部において発生する。また画像形成装置1においては、例えば、感光体ドラム100のクリーナー13との接触によっても摩擦力は発生する。摩擦力が発生していることによって、デューティ比を下げると回転速度640が低下する。
従って、摩擦力が小さいと、減速時の加速度が小さくなり、結果として回転速度640の減速に多くの時間が必要となる。すなわち摩擦力によって外乱による急な回転速度640の加速変動を減速させることは困難である。
一般に、モータには回生制動や逆転制動等の急速にロータを停止させる制動方法があることがよく知られている。
以下に、制動方法の一つである回生制動について説明する。
相切替信号672U、672Vおよび672WにHighレベルの電圧信号を入力し、PWM信号671U、671Vおよび671WにはLowレベルの電圧信号を入力すると、スイッチング素子653U、653Vおよび653W(図2)が導通する。
以下では、この操作を行ったタイミングを、「回生制動をかけたとき」と称する。
この場合、図2に示すように、電源651はスイッチング素子652により遮断されるため、電源651から電流は流入しない。
モータ152が回転している時は、ロータ624の磁極による電磁誘導のためにコイル400には起電圧が発生している。この起電圧は逆起電圧(逆起電力)と呼ばれ、ロータ624の回転に寄与する相電流620とは逆方向に電流が流れるように働く。従って、電源651とコイル400との間の導通が遮断されているので、相電流620は徐々に小さくなり、最終的には、逆起電圧によって、コイル400には回生制動をかけたときより前に流れていた方向とは逆方向に電流が流れる。電流が逆方向に流れることでコイル400によって発生する磁束の向きも、回生制動をかけたときより前の磁束の向きとは逆になる。
従って、回転を加速させる加速トルクが発生していたロータ624に対して回生制動をかけることによって、加速トルクとは逆方向の、ロータ624の回転を抑制する制動トルクが発生し、ロータ624は急速に減速停止する。
図3(b)は、回生制動をかけたときの各信号、各電圧および各相電流の時間変化を示している。
図3(b)をみると、タイミング883において、BRK信号683の電圧がLowからHighになり、回生制動がかけられ始めたことがわかる。回生制動がかけられると、相電流620が制動トルクを発生させるように変化し、相電流620の波形が正弦波のようになり、且つ各相電流620の位相がそれぞれ120°ずつずれていることがわかる。これは、ロータ624の回転による磁束の変化に合わせて逆起電圧が変化するためであり、回転速度が低下するとともに、相に流れる相電流620は小さくなる。
従って、ロータ624の回転速度を減速させる為に回生制動をかける際には、モータドライバ690のBRK信号端子693(図2)に電圧レベルがHighのBRK信号683を入力することにより、上述の振る舞いを示しながらロータ624が減速される。
しかしながら図3(b)を詳しくみると、回生制動をかけ始めたタイミング883直後では、各相の相電流620は慣性により、タイミング883以前と同じ向きに流れている。そのため、タイミング883直後ではまだ制動トルクは発生していない。制動トルクは、加速トルクを発生させるために対応する相を励磁して流していた相電流620の向きとは逆向きに電流が流れ始めるタイミング885以降に発生する。
従って、タイミング883において回生制動の動作に移ってから制動トルクが発生するタイミング885までに遅延時間884が存在する。この遅延時間884は、回生制動の動作に移る際(すなわちタイミング883の時)の相電流620の大きさや、コイル400のレジスタンスやインダクタンスによって変わってくる。そのために、制動トルクを発生させるためには、BRK信号端子693に電圧レベルがHighのBRK信号683を所定の時間以上入力しなければならない。
所定の時間は、遅延時間884より大きいことが好ましい。遅延時間884は、BRK信号683がONになったとき(BRK信号683の電圧レベルがHighになったとき)からコイル400に相電流620の向きとは逆向きの電流が流れ始めるときまでの時間である。言い換えると、遅延時間884は、相電流(コイル電流)の向きを切り替えるために必要な時間である。
上述のことを考慮して、本実施形態では回生制動を用いた三相ブラシレスDCモータ152の回転速度制御を行う。回生制動を用いて、減速時の加速度を大きくすることで、制御帯域を高くすることができる。
回生制動を用いたモータ152の回転速度制御を行う際には、BRK信号683に、PWM信号682と逆位相の信号を出力し、且つ、PWM信号682およびBRK信号683の周波数を低くすることが好ましい。PWM信号682およびBRK信号683の周波数を低くするのは、上述のとおり、BRK信号端子693に電圧レベルがHighのBRK信号683を所定の時間以上入力しなければならないためである。
しかしながら、遅延時間884を考慮して、PWM信号682の制御周期を下げてしまうと、制御帯域が狭くなり、回転速度制御が破綻してしまうおそれがある。
そのような問題を解決するために、駆動信号端子692に入力するPWM信号682の周波数は、BRK信号683の周波数に合わせずに、25kHzのままとし、且つPWM信号682のデューティ比は一定に設定する。また、PID制御器の出力信号をPWM変換し、BRK信号端子693にBRK信号683として入力する。そしてBRK信号683の周波数Fは、遅延時間884を考慮して、低く設定する。
パルス幅変調されたBRK信号683の周波数Fと周期Tは、以下の式2で表される。
Figure 2013117611
ここで、t11は、BRK信号の電圧レベルがHighである期間を示す。t10は、BRK信号の電圧レベルがLowである期間を示す。
BRK信号の周期Tが遅延時間884よりも大きくなるように、BRK信号の周波数を設定することが好ましい。より具体的には、BRK信号のHighレベル期間t11が遅延時間884よりも大きくなるように、BRK信号の周期Tおよびデューティ比を設定することが好ましい。ここで、BRK信号683のデューティ比は、BRK信号683の周期Tに対するHighレベル期間t11の割合、すなわちt11/T×100(%)で表される。すなわち、デューティ比が大きくなることは、BRK信号683の周期Tに対してBRK信号683のHighレベル期間t11が長くなることを意味する。
図7(c)は、回生制動を用いた回転速度制御における各信号および回転速度640の時間変化を示している。
PWM信号682の周波数Fは、25kHzである。すなわち、PWM信号682の周期Tは、40マイクロ秒である。デューティ比は、所定の値の50%に固定する。PWM信号682のHighレベル期間tは、20マイクロ秒である。
BRK信号683の周波数Fの設定範囲における最大周波数FBmax及び最小周波数FBminは、本実施形態では以下のように決めている。
すなわち、BRK信号683の最大周波数FBmaxは、BRK信号683のデューティ比を100%としたときに、BRK信号683の周期Tの間で相電流620が逆に流れ始める周波数としている。
また、BRK信号683の最小周波数FBminは、速度制御で抑制したい速度変動の最大周波数の2倍としている。
しかしながら、BRK信号683の周波数Fを低く設定するとデューティ比の変化に対する制動トルクの感度が高くなりやすく、且つ制御周期も低くなるため、回転速度制御を滑らかに行うことが難しくなる。従って、BRK信号683の周波数Fを決めるためにはある程度の試行錯誤が必要となる。本実施形態では、BRK信号683の周波数Fは、2kHzとした。BRK信号683の周波数Fが2kHzであるときのBRK信号683の周期Tは、500マイクロ秒である。BRK信号683の周期Tは、PWM信号682の周期Tよりも大きくなるように設定されている。
PWM信号682の周波数Fは、BRK信号の周波数Fよりも大きい。
BRK信号683のデューティ比は、中間転写ベルト101の回転速度が目標回転速度になるような加速トルクまたは制動トルクが得られるように、制御器(後述するCPU602)により制御される。
図7(c)において、BRK信号683がON(BRK信号683の電圧レベルがHigh)になると、コイル400に流れる相電流620が低下する。BRK信号683がONになったとき(BRK信号683の電圧レベルがHighになったとき)から遅延時間784が経過すると、相電流620の向きは、逆向きになる。相電流620の向きが逆向きになると、モータ152に逆起電力が発生して回生制動が行われる。回生制動により、モータ152の回転速度640は、目標回転速度630まで低下する。
BRK信号683のHighレベル期間t11が経過すると、BRK信号683がOFF(BRK信号683の電圧レベルがLow)になり、相電流620が増大する。BRK信号683のHighレベル期間t11は、遅延時間784よりも大きくなるように設定されている。BRK信号683の周期Tが経過すると、BRK信号683がONになり、同様の動作を繰り返す。これによって、外乱によるモータ152の回転速度変動を抑制することができる。したがって、色ずれおよびバンディングを抑制することができる。
すなわち、モータドライバ(制御手段)690は、モータ152を駆動するためのPWM信号682の周期Tよりも大きな周期Tを有するBRK信号683に従って、モータ152の複数のコイル400に流れる相電流(コイル電流)620の向きを切り替える。電流の向きの切り替えによって、逆起電力が発生して回生制動によりモータ152を制動して中間転写ベルト101の回転速度を制御する。
制御器(後述するCPU602)は、PWM信号682に従ってモータ152の加速トルクが得られているときに、モータ152の制動トルクが得られるまでBRK信号683の電圧レベルをHighに維持する。これにより、モータ152の複数のコイル400に流れる相電流620の向きを切り替える。
一方、制御器は、BRK信号683に従ってモータ152の制動トルクが得られているときに、モータ152の加速トルクが得られるまでBRK信号683をOFFする。これにより、モータ152の複数のコイル400に流れる相電流620の向きを切り替える。
図8は、回生制動を用いた回転速度制御において発生するトルクの模式図を示している。
例えば、BRK信号683によって期間t21の間、制動トルク903を発生させ、その後、パルス幅固定のPWM信号682によって、一定の加速トルク902を発生させる。その結果、力積として所望の正のトルク901を出力することができる。
一方で、BRK信号683によって期間t31の間、制動トルク905を発生させ、その後、パルス幅固定のPWM信号682によって、一定の加速トルク906を発生させる。その結果、力積として所望の負のトルク904を出力することができる。
このように、制動トルク903または905を発生させる期間t21またはt31を制御することにより、任意に力積としての正のトルク901または負のトルク904を発生させることができる。従って、回生制動を用いた回転速度制御は、モータの加速方向に働く外乱が多いような系に対して、非常に有効となる。
画像形成装置1では、トナー像を感光体ドラム100から中間転写ベルト101に転写する効率を向上させるために、中間転写ベルト101の回転速度を感光体ドラム100の回転速度よりも小さくするように、回転速度差を設けている。
そのため、感光体ドラム100から中間転写ベルト101にトナー像を転写する際の接触において、中間転写ベルト101の回転速度は加速される。従って、中間転写ベルト101を減速させるためには、中間転写ベルト101を駆動させるモータ152に制動トルクを発生させることが好ましい。
回生制動を用いた回転速度制御は、制動トルクの制御範囲が広いため、感光体ドラム100および中間転写ベルト101の回転速度差の関係から、加速される方、すなわち中間転写ベルト101を制御対象として速度制御を行う。回生制動によれば、加速される方(回されてしまう方)を減速させる負方向のトルクを与えることができるからである。このように、回されてしまう方を速度制御することにより、効果的に速度変動を抑え、色ずれやバンディングを防止することができる。
図9は、画像形成装置1に適用されている回転速度制御系のブロック図を示している。また、図10は、本実施形態における回転速度制御のフローチャートを示している。
最初に、制御器(以下、CPUという。)602がユーザーからの印刷要求を受信する(S701)。また、印刷要求を受信する際に、CPU602は、ユーザーが紙種設定手段601により設定した紙種情報を取得する(S702)。
そして、CPU602は、紙種設定手段601により設定された紙種情報に応じたモータ152の目標回転速度VREFに対応する情報(BRK信号の周波数F)を記憶装置603のテーブルから取得する(S703)。
また、CPU602は、紙種設定手段601により設定された紙種情報に応じたPWM信号682のデューティ比を記憶装置603のテーブルから取得する(S704)。
次に、CPU602は、取得したデューティ比を有するPWM信号682を生成する(S705)。
そして、生成されたPWM信号682がモータドライバ690に入力される(S706)。
生成されたPWM信号682がモータドライバ690に入力された後、CPU602は、モータ152の実際の回転速度vをロータリエンコーダ231から取得し(S707)、制御出力uを求める(S708)。制御出力uは、以下の式3により表される。
u = K(VREF− v) ・・・(式3)
ここで、Kは、定数である。制御出力uは、目標回転速度VREFとモータ152の実際の回転速度vとの間の偏差(VREF−v)に定数Kを乗じることにより求めることができる。
そして、CPU602は、制御出力uをPWM信号682に変換し(S709)、変換されたPWM信号682がモータドライバ690に入力される(S710)。制御出力uをPWM信号682に変換する際には、制御出力uがとり得る最大値をデューティ比100%、最小値をデューティ比0%となるよう、PWM信号682に変換する。
なお、本制御において、PWM信号682の周波数は、可聴域外の25kHzとした。
また、PWM信号682のデューティ比は、制動トルクを使って速度制御を行うことから、オープンループ制御で目標回転速度VREFに達するデューティ比よりも大きめに設定する。この値はPID制御器の比例要素と同様の挙動を示すことから、PID制御器の設計時に試行錯誤を行うことによって決定することとし、その結果、本制御におけるデューティ比は72%に決定された。
さらに、BRK信号683の周波数については、上述した最大周波数と最小周波数の範囲内になるように、700Hzに決定した。
CPU602は、ロータリエンコーダ231からの回転速度vに従って、回生制動をかけるか否かを判断する(S711)。モータ152の回転速度を減速させる為に回生制動をかける際には(S711のYes)、CPU602は、モータドライバ690のBRK信号端子693(図2)に電圧レベルがHighのBRK信号683を入力する(S712)。
その後、CPU602は、印刷終了の信号が受信されたか否かを判断する(S713)。
一方、回生制動をかけない場合(S711のNo)は、S713へ進み、CPU602は、印刷終了の信号が受信されたか否かを判断する。
印刷終了の信号が受信されていない場合は(S713のNo)、S706に戻る。
印刷終了の信号が受信された場合(S713のYes)は、PWM信号682のデューティ比を0%とし(S714)、且つBRK信号683のデューティ比を100%とする(S715)ことによって、モータ152に回生制動をかけ停止させる。
本実施形態では、回生制動による速度制御について説明してきたが、回生制動の代わりに逆転制動を用いてもよい。
逆転制動による速度制御の場合は、制動をかける際に、制動前とは逆方向に対応する相に電流を流せばよい。すなわち、図7(d)に示すように、逆転制動は、回転方向切替信号681の電圧レベルを切り替え、加速トルクの向きを逆にすることによって実現することができる。
逆転制動をかけた際には、電磁誘導による逆起電圧に加えて、電源電圧から逆回転に必要となる電流が供給されるため、回生制動をかけた時よりも大きな電流を流すことができる。すなわち、逆転制動をかけた際に発生するトルクは回生制動時の制動トルクよりも大きくなるので、より急速な減速が可能となる。
その結果、制動トルクとして働くまでにかかる遅延時間785が回生制動のときの遅延時間784(図7(c))よりも短くすることができるので、制御帯域を向上させることができる。これによって、外乱によるモータ152の回転速度変動を抑制することができる。したがって、色ずれおよびバンディングを抑制することができる。
上述した回生制動や逆転制動では、制動用のPWM信号(パルス幅変調されたBRK信号)のデューティ比を変化させている。
しかしながら、図11に示すような制動用の制御出力値751をパルス幅変調信号752の代わりに、周波数変調信号(以下、FM信号という。)753を用いても、制動制御を実現することができる。ただし、制御出力値751を周波数変調するときは、電圧値が大きいほど周波数が低くなるようにする。
このような制動用のFM信号をBRK信号683として図7(e)に示すように使用することが可能である。
FM信号の最小周波数としては、搬送波周波数と最大周波数偏移の差がBRK信号683の最小周波数以上となるように設定する。
また、FM信号の最大周波数としては、最大周波数偏移と搬送波周波数の差がBRK信号683の最大周波数以下となるように設定する。
最終的には、FM信号の周波数の決定は、実際に速度制御を行いながら、制御性能が設計仕様に合うように設定する。
本実施形態は、三相ブラシレスDCモータを例にして説明されたが、本発明は、三相以外の相数を有するブラシレスDCモータにも適用することができる。
また、本発明は、モータの種類や構造に限定されず、相電流の向きを変えることによって制動トルクを発生することができるモータに適用することができる。
本実施形態によれば、電気的制動の動作周期を、電気的制動の遅延時間よりも長く設定することにより、制動トルクが有効に働くようにすることができる。
また、本実施形態によれば、電気的制動が働く期間を制御することにより、モータの加速方向に働く外乱を効果的に抑制することができる。
100・・・感光体ドラム(像担持体)
101・・・中間転写ベルト(像担持体)
152・・・三相ブラシレスDCモータ
400・・・コイル
601・・・紙種設定手段
602・・・CPU(制御器)
603・・・記憶装置
620・・・相電流(コイル電流)
630・・・目標回転速度
640・・・回転速度
682・・・PWM信号(駆動信号)
683・・・BRK信号(制動信号)
690・・・モータドライバ(制御手段)

Claims (7)

  1. 複数のコイルが結線された巻線を有し、前記複数のコイルに流れる電流の向きが切り替えられることにより像担持体を回転するモータと、
    前記モータを駆動するための前記複数のコイルに流れる前記電流の向きの切り替えとは別に、前記モータを制動するために前記モータの前記複数のコイルに流れる電流の向きを切り替える制御手段とを有し、
    前記制御手段は、前記モータを駆動するための駆動信号の周期よりも大きな周期を有する制動信号に従って、前記モータの前記複数のコイルに流れる前記電流の向きを切り替えることにより前記モータを制動して前記像担持体の回転速度を制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記駆動信号に従って前記モータの加速トルクが得られているときに、前記モータの制動トルクが得られるまで前記制動信号を維持することにより、前記モータの前記複数のコイルに流れる前記電流の向きを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記制動信号に従って前記モータの制動トルクが得られているときに、前記モータの加速トルクが得られるまで前記制動信号をOFFすることにより、前記モータの前記複数のコイルに流れる前記電流の向きを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記駆動信号および前記制動信号は、パルス幅変調信号であり、
    前記駆動信号の周波数は、前記制動信号の周波数よりも大きく、
    前記駆動信号のデューティ比は、所定の値に固定され、
    前記制動信号のデューティ比は、前記像担持体の前記回転速度が目標回転速度になるような加速トルクまたは制動トルクが得られるように、前記制御手段により制御されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 紙種情報を設定する紙種設定手段と、
    前記紙種情報に応じた前記目標回転速度に対応する情報を記憶する記憶装置とを有し、
    前記制御手段は、前記紙種設定手段により設定された前記紙種情報に応じた前記目標回転速度に対応する前記情報を前記記憶装置から取得し、取得した前記情報に従って前記駆動信号および前記制動信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記制動信号は、周波数変調信号であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記像担持体は、感光体ドラムまたは中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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