JP5351489B2 - 便座 - Google Patents

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Description

本発明は便座に関する。
特許文献1には、従来の便座が開示されている。この便座は、座表部材の縁部の下面と座裏部材の縁部の上面とが溶着され、座表部材と座裏部材とにより空洞部が形成されている。座表部材は、溶着部より外側の側面に沿って下方に延びるリブを有している。リブの先端下面は座裏部材の外周上面に溶着されずに当接している。これにより、座表部材の縁部の下面及び座裏部材の縁部の上面が溶融して溶着部の端からはみ出した溶融樹脂(以下、「溶着ビード」という。)は、リブにより隠蔽される。このため、溶着ビードの除去作業を不要にすることができる。
特開平10−165331号公報
しかし、従来の便座では、リブの先端下面と座裏部材の外周上面との当接面の外縁が一条の線となり使用者等に視認されてしまうため、デザイン性に欠ける。また、リブの先端下面と座裏部材の外周上面との当接部に段差が生じたり、隙間が生じたりしてしまう虞がある。段差や隙間が生じると、見栄えが悪くなるとともに、汚れが溜まり易くなる。汚れが段差や隙間に溜まると容易に除去することが出来ないため、さらに見栄えが悪くなってしまう虞がある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、デザイン性に優れ、汚れにくく、掃除を容易に行うことができる便座を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の便座は、座表部材の縁部の下面と座裏部材の縁部の上面とが溶着され、該座表部材と該座裏部材とにより空洞部が形成された便座において、
前記空洞部側の溶着部が残存し、前記座表部材の側面であって前記溶着部より上方位置から、前記溶着部の中間位置を通り、前記座裏部材の底面に及ぶ面一の傾斜面を形成するように、前記座表部材の縁部の一部と前記座裏部材の縁部の一部とともに外縁側の該溶着部が切削された切削面を有していることを特徴とする。
この便座では、空洞部側の溶着部が残存するように外縁側の溶着部が座表部材の縁部の一部と座裏部材の縁部の一部とともに切削され、各切削面が面一に形成されている。このため、座表部材と座裏部材との接合部が視認され難く、段差や隙間が形成されない。このため、汚れが溜まり難く、汚れが付着した場合も容易に拭き取ることができる。
したがって、本発明の便座は、デザイン性に優れ、汚れ難く、掃除を容易に行うことができる。
前記座表部材の縁部及び前記座裏部材の縁部は、溶着される際、少なくとも一方が該座表部材の側面よりも外側に延びて形成された突出部を有し得る。この場合、座表部材及び座裏部材の製造時に生じる寸法誤差や、座表部材及び座裏部材を溶着機への組み付ける際に生じる組み付け誤差を吸収し、座表部材の縁部の下面と座裏部材の縁部の上面とを確実に当接させることができ、強固に溶着することができる。また、座表部材の縁部及び座裏部材の縁部の両方に突出部が形成されると、溶着部からはみ出した溶着ビードが便座表面(側面)に付着することを防止することができる。
前記座裏部材は薄板状であり得る。この場合、座裏部材を容易に形成することができる。また、溶着機に容易に組み付けることができる。座裏部材は、座表部材の外形状よりも大きい外形状であると良い。このようにすると、溶着される際、座表部材の縁部を座裏部材の縁部に容易かつ確実に当接させることができ、強固に溶着することができる。
前記切削面は、前記座裏部材の底面に対して最大斜度が略45度である平坦な傾斜面に形成され得る。この場合、切削面の上端部の稜線が座表部材の側面の上方に行き過ぎないため、座表部材のうねりや引けにより生じる稜線の波うちを抑制することができる。
以下、本発明の便座を具体化した実施例1及び参考例を図面を参照しつつ説明する。
実施例1の便座は、図1に示すように、平面視において、外形の後端部が略直線状であり、前後方向に長い略半楕円状に形成されている。この便座の中央部には、前後方向に長い楕円状の開口が形成されている。便座の後端部には、左右の2個所に後方に延びた一対のヒンジ部11が形成されている。ヒンジ部11は、貫通孔12が形成されている。貫通孔12には、便器本体の上面に取り付けられる図示しない便座装置のケース本体から延出する軸部材が挿通される。便座装置が便器本体の上面に取り付けられることにより、便器本体に対して便座が回動自在に取り付けられる。
この便座は、座表部材10及び座裏部材20を有している。座表部材10は、図2に示すように、図1のX−X矢視断面において、上面が中央部の開口に向けて僅かに傾斜した上板部13と、上板部13の両端から連続して下方に延びる側板部14とから形成されている。上板部13の下面には、通電により発熱する図示しないニクロム線とアルミシートからなる発熱体が貼着されている。各側板部14の下端部15が座表部材10の縁部を形成している。溶着される前の各側板部14の下端部15には、側板部14の外表面(座表部材10の側面)より外側に延びて形成された突出部16を有している。
座裏部材20は薄板状に形成されている。このため、座裏部材20は容易に形成することができる。溶着される前の座裏部材20の縁部21は、各側板部14の下端部15(座表部材10の縁部)の間隔よりも座裏部材20の幅が広くなるように形成された突出部22を有している。つまり、各側板部14の下端部15の下面と座裏部材20の縁部21の上面とを当接させた際に、座裏部材20の縁部21の方が外側に突出するように形成されている。このため、座表部材10及び座裏部材20の製造時に生じる寸法誤差や、座表部材10及び座裏部材20を溶着機へ組み付ける際に生じる組み付け誤差を吸収し、各側板部14の下端部15の下面と座裏部材20の縁部21の上面とを確実に当接させることができ、強固に溶着することができる。
座表部材10及び座裏部材20は、溶着機に組み付けられ、側板部14の下端部15の下面17と座裏部材20の縁部21の上面23とが当接される。この状態で、加圧されながら振動が加えられる。これにより、図3に示すように、側板部14の下端部15の下面17と座裏部材20の縁部21の上面23とが溶着され、座表部材10と座裏部材20とにより空洞部30が形成される。この際、溶着部40の端から外側にはみ出した溶着ビード41は、座表部材10の突出部16よりも外側の座裏部材20の突出部22上に盛り上がる。このため、座表部材10の側板部14の外表面(便座表面)に溶着ビードが付着することを防止することができる。
側板部14の下端部15の下面17と座裏部材20の縁部21の上面23とを溶着した後、図4に示すように、空洞部30側の溶着部40が残存するように各側板部14の下端部15の一部と座裏部材20の縁部21の一部とともに外縁側の溶着部40を切削する。切削面50は、面一であり、座裏部材20の底面に対して傾斜した平坦な傾斜面に形成される。切削面50の座裏部材20の底面に対する角度αは、切削部位により変化し、略35度から略45度の傾斜となるように切削される。切削面50はバフ掛け等され仕上げられる。このようにして形成された便座は、座表部材10と座裏部材20との接合部が視認され難く、段差や隙間が形成されない。このため、汚れが溜まり難く、汚れが付着した場合も容易に拭き取ることができる。
したがって、実施例1の便座は、デザイン性に優れ、汚れ難く、掃除を容易に行うことができる。
また、切削面50の上端部の稜線51が側板部14の外表面の上方に行き過ぎないため、側板部14のうねりや引けにより生じる稜線51の波うちを抑制することができる。
<参考例>
参考例の便座は、図5に示すように、座裏部材20を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については、上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
参考例の座裏部材20は、底板部24と、底板部24の両端から連続して上方に延びる立壁部25とから形成されている。各立壁部25の上端部26が座裏部材20の縁部を形成している。立壁部25は、座表部材10に溶着される際に、側板部14に連続するように形成されている。溶着される前の座裏部材20は、各立壁部25の上端部26に側板部14の外表面(座表部材10の側面)より外側に延びて形成された突出部27を有している。
このように構成された座裏部材20は、立壁部25の上端部26上面と座表部材10の側板部14の下端部15の下面とが当接され、加圧されながら振動が加えられて溶着される。この際、座表部材10の突出部16及び座裏部材20の突出部27の外側面に溶着ビード41がはみ出す。このため、座表部材10の側板部14の外表面及び座裏部材20の立壁部25の外表面(便座表面)に溶着ビードが付着することを防止することができる。
座裏部材20の立壁部25の上端部26の上面と座表部材10の側板部14の下端部15の下面とを溶着した後、座表部材10の突出部16及び座裏部材20の突出部27を切削する。切削面50は、座表部材10の側板部14の外表面及び座裏部材20の立壁部25の外表面に連続し、面一に形成され、バフ掛け等されて仕上げられる。このように形成された便座は、座表部材10と座裏部材20との接合部が視認され難く、段差や隙間が形成されない。このため、汚れが溜まり難く、汚れが付着した場合も容易に拭き取ることができる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1及び参考例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術範囲に含まれる。
(1)上記実施例1及び参考例では、座表部材の縁部及び座裏部材の縁部に突出部を有しているが、どちらか一方のみに突出部を有するようにしてもよい。
(2)上記実施例1及び参考例では、座表部材と座裏部材との溶着を振動溶着方式で行う説明をしたが、超音波溶着方式、熱板溶着方式等の種々の溶着方式を採用することができる。
実施例1の便座をあらわす平面図である。 実施例1の溶着前の便座に係り、図1のX−X矢視断面図である。 実施例1の溶着後の便座をあらわす図1のX−X矢視断面図である。 実施例1の切削後の便座をあらわす図1のX−X矢視断面図である。 参考例の便座をあらわす断面図である。
符号の説明
10…座表部材
15…下端部(座表部材の縁部)
16、22、27…突出部
17…下面
20…座裏部材
21…(座裏部材の)縁部
23…上面
30…空洞部
40…溶着部
50…切削面

Claims (5)

  1. 座表部材の縁部の下面と座裏部材の縁部の上面とが溶着され、該座表部材と該座裏部材とにより空洞部が形成された便座において、
    前記空洞部側の溶着部が残存し、前記座表部材の側面であって前記溶着部より上方位置から、前記溶着部の中間位置を通り、前記座裏部材の底面に及ぶ面一の傾斜面を形成するように、前記座表部材の縁部の一部と前記座裏部材の縁部の一部とともに外縁側の該溶着部が切削された切削面を有していることを特徴とする便座。
  2. 前記座表部材の縁部及び前記座裏部材の縁部は、溶着される際、少なくとも一方が該座表部材の側面よりも外側に延びて形成された突出部を有していることを特徴とする請求項1記載の便座。
  3. 前記座裏部材は薄板状であることを特徴とする請求項1又は2記載の便座。
  4. 前記切削面は、前記座裏部材の底面に対して最大斜度が略45度である平坦な傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の便座。
  5. 平面視では前記切削面を視認できないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の便座。
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