JP2004306522A - エアスポイラ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不良品の発生を抑制することができるとともに、外観が良好で、製造に手間がかからないエアスポイラ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】下分割片10bの溶着面13の内周側に壁面11を形成する。そして、両分割片10a,10bを、前記壁面11によって位置決めがなされるように重ね合わせた後、それらをその溶着面15,13において振動溶着して一体化させてエアスポイラ10を形成する。そして、溶着面15,13において溶融した合成樹脂を、エアスポイラ10の外側へバリ18として突出させた後、このバリ18を除去する。
【選択図】 図5
【解決手段】下分割片10bの溶着面13の内周側に壁面11を形成する。そして、両分割片10a,10bを、前記壁面11によって位置決めがなされるように重ね合わせた後、それらをその溶着面15,13において振動溶着して一体化させてエアスポイラ10を形成する。そして、溶着面15,13において溶融した合成樹脂を、エアスポイラ10の外側へバリ18として突出させた後、このバリ18を除去する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、合成樹脂よりなる車両用のエアスポイラ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、前述のようなエアスポイラは、ブロー成形によって製造されていたが、その表面には、ブロー成形特有の凹凸が現れて、面精度が低い。この状態で表面に塗装を施しても外観品質が低い状態であるため、塗装の前工程においてエアスポイラの表面全体をサンディングして平滑にしなければならず、その作業に手間がかかっていた。さらに、ブロー成形品は、肉厚を厚くしたり、均一にしたりすることが困難なので、エアスポイラにかかる風圧または空圧による負荷に耐えるための十分な強度が得られないというおそれがあった。
【0003】
このため、従来、図8に示すように、2つの分割片100,101をそれぞれ射出成形によって形成し、これらの外周部の対向面104,105を溶着によって接合することによりエアスポイラ200とする方法が提案された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、エアスポイラ200の表面を平滑にすることができるものの、分割片100,101の成形誤差等のために、図9(a)に示すように、両分割片100,101の対向面104,105がずれる場合があったり、図9(b)に示すように、接合部に接合ライン103が発生したりした。このため、従来、射出成形品によるエアスポイラは、対向面104,105間の接合面をボディによって隠蔽できる箇所、例えば2ボックス車のルーフ後端等にしか用いられなかった。それでもなお、ずれや接合ライン103が目立つときには、費用対効果の点から修正することが難しく、エアスポイラ200を不良品として処分しなければならなかった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、不良品の発生を抑制することができるとともに、外観が良好で、製造に手間がかからないエアスポイラ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明においては、下分割片及び上分割片を、それらの外周部の対向面において溶着して構成した合成樹脂製のエアスポイラにおいて、溶着面の内周側に壁面を設け、溶着面間の溶融樹脂がその壁面によりブロックされるようにしたことを要旨とするものである。
【0007】
従って、溶着面から溶融した合成樹脂が、この壁面によりブロックされて、エアスポイラの内側に流れず、確実にエアスポイラの外側にはみ出させることができる。そして、塗装に先だってこのエアスポイラの外側にはみ出た合成樹脂(バリ)を除去すれば、両分割片間の接合ラインをほとんど見えなくすることができ、外観が良好なエアスポイラとすることができる。このように、溶融した樹脂を外側に確実にはみ出させて、それを除去できるため、接合面に接合ラインが残る等の不良品の発生を抑制できる。
【0008】
請求項2に記載の発明においては、請求項1において、前記壁面を、前記下分割片側に設けたことを要旨とするものである。
従って、溶融した合成樹脂が確実にブロックされ、請求項1と同様の効果を一層効果的に得ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2において、前記壁面が、前記両分割片の位置決め機能を備えることを要旨とするものである。
従って、前記両分割片を所定の位置関係をもって、確実に溶着することができ、外観が良好なエアスポイラを形成することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記壁面の外周側の溶着面に溝を設けたことを要旨とするものである。
従って、前記両分割片の溶着面の接触面積が小さくなって、この溶着面における単位面積当たりの接触圧力が高くなる。このため、両分割片の接合を摩擦溶着により行う場合、溶着面における合成樹脂の溶融を促進することができ、前記両分割片を素早く溶着して一体化させることができる。この結果、エアスポイラの生産能力を向上させることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記上下の分割片の長さ方向両端の溶着面に幅方向に沿って凹凸を設けるとともに、上下の凹凸を噛み合わせたことを要旨とするものである。
【0012】
従って、この凹凸が噛合うことにより、前記両分割片の位置決めができて、請求項3と同様の効果を一層効果的に得ることができる。
請求項6に記載の発明においては、請求項1〜5のいずれかに記載の下分割片と上分割片とを、それらの外周部における溶着面において接触させて、摩擦溶着により溶着面を溶着した後、外側にはみ出したバリを除去することを要旨とするものである。
【0013】
従って、前記両分割片を、ネジや金属クリップ、あるいは両分割片とは異なる材質の接着剤等を使うことなく接合することができるので、合成樹脂をリサイクルする際の解体作業を不要とすることができる。このため、合成樹脂のリサイクル効率を向上させることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明においては、請求項6において、前記摩擦溶着は、主としてエアスポイラの長さ方向に沿う振動を付与する振動溶着であることを要旨とするものである。
【0015】
従って、振動溶着を採用することで、樹脂成形品の中でも比較的大きな樹脂成形品であるエアスポイラを容易に接合することができる。また、振動の方向がエアスポイラの長さ方向に沿うものであるため、上下の分割片間の位置ずれが少ない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、合成樹脂よりなる平面ほぼ長方形のエアスポイラ10は、上分割片10aと下分割片10bとをそれらの外周部の対向面において接合することによって中空のウイング状に構成されている。図3及び図5(a)に示すように、下分割片10bの両長辺部の対向面は、その外周側に溶着面13を備えており、溶着面13の内周側には段部14を形成することにより、壁面11が形成されており、壁面11の外周側には、溝12が設けられている。また、図5(a)に示すように、上分割片10aの両長辺部の対向面は、その外周部に溶着面15を備えており、溶着面15の内周側には、前記段部14と凹凸の関係で対応する段部16が形成されている。
【0017】
図3、図4及び図6(a)に示すように、下分割片10bの両短辺部の対向面は、その外周側に、幅方向に沿って凹凸が形成され、この凹凸部分が溶着面19になっており、その溶着面19の内周側には段部21を形成することにより、壁面23が形成されている。また、図6(a)に示すように、上分割片10aの両短辺部の対向面は、幅方向に沿って形成された凹凸よりなる溶着面20を備えている。そして、溶着面19,20の凹凸は、互いに噛合っている。上分割片10aの溶着面20のほぼ中央部には、溝17が形成されており、溶着面20の内周側には、前記段部21と凹凸の関係で対応する段部22が設けられている。
【0018】
なお、図5(a)及び図6(a)においては、段部14,16間及び段部21,22間に、わずかな隙間が形成されているが、段部14,16間と段部21,22との間の接触圧が低ければ、すなわち、上下の溶着面13,15間及び溶着面19,20間の接触圧を確保できれば、隙間をなくして接触していてもよい。
【0019】
さて、エアスポイラ10を製造する場合、図2、図5(a)及び図6(a)に示すように、下分割片10bの前記両溶着面13,19と、上分割片10aの前記両溶着面15,20とがそれぞれ面接触するように、前記両分割片10a,10bを重ね合わせる。このとき、段部14と段部16とが互いに噛合うことにより、前記両分割片10a,10bの位置決めがなされる。
【0020】
そして、両分割片10a,10bを治具(図示しない)上にセットして、両分割片10a,10bの一方または双方を、それらの長さ方向に沿う方向に高速振動させる。このため、下分割片10bの溶着面13,19と、上分割片10aの溶着面15,20とは、それらの間の摩擦熱によって合成樹脂が溶融し、前記両分割片10a,10bが溶着により一体化する。このとき、前記対向面の溶着面13,15及び溶着面19,20以外の部分も接触していれば、溶着面13,15,19,20より溶融量は少ないが、同様に溶融して溶着により一体化する。
【0021】
そして、溶着面13,15及び溶着面19,20から溶融した合成樹脂は、エアスポイラ10の内側へ流れ込まないように壁面11,23によってブロックされ、エアスポイラ10の外側へはみ出して、図5(b)及び図6(b)に示すようなバリ18として突出する。このようにして、前記両分割片10a,10bが互いに溶着された後、前記バリ18を、グラインダ等を用いて除去し、エアスポイラ10の表面全体に塗装を施すことによって、外観が良好なエアスポイラ10が形成される。
【0022】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・ 溶着面13,19の内周側に壁面11,23を設けたので、溶着面13,15及び溶着面19,20から溶融した合成樹脂が、壁面11,23によりブロックされて、エアスポイラ10の内側に流れないようにすることができ、確実にエアスポイラ10の外側にバリ18としてはみ出させることができる。そして、このエアスポイラ10の外側にはみ出たバリ18を除去することにより、両分割片10a,10b間の接合ラインを隠蔽できる。従って、窪み等により接合部に接合ラインが残る不良品の発生を抑制でき、外観が良好なエアスポイラ10を形成することができる。よって、エアスポイラ10をルーフ後端はもちろんのこと、3ボックス車のトランク上等、目立つところに設置することができる。この場合、エアスポイラ10は射出成形品により構成されているため、ブロー成形品と較べて表面が平滑で見映えがよいばかりでなく、製造が容易で、しかも肉厚を一定にできるため、十分な強度を得ることができる。そして、このように肉厚を一定にして高強度を達成できるため、軽量化も可能となる。
【0023】
・ 段部14と段部16とが噛合うことにより、壁面11によって前記両分割片10a,10bの位置決めがなされるので、前記両分割片10a,10bを所定の位置において確実に溶着することができ、外観がさらに良好なエアスポイラ10を形成することができる。
【0024】
・ 溝12及び溝17を形成することにより、前記両分割片10a,10bの溶着面19,20及び溶着面13,15間の接触面積が小さくなり、単位面積当たりの接触圧力が大きくなる。このため、溶着面19,20及び溶着面13,15の合成樹脂の溶融を促進することができ、前記両分割片10a,10bを素早く、かつ確実に溶着して一体化させることができる。この結果、エアスポイラ10の生産能力を向上させることができるとともに、高強度なエアスポイラ10を得ることができる。
【0025】
・ 壁面11と溶着面13との間に溝12が形成されているため、上分割片10aの溶着面15の内端縁が下分割片10bの溶着面13と壁面11との間のコーナ部と干渉することがない。溝12が存在しないと、溶着面13と壁面11との間のコーナ部が円弧状に形成されて、その円弧部と溶着面15の内端縁とが干渉して上下の分割片10a,10bを密着させることができないおそれがあるが、この実施形態では、このようなおそれを未然に防止できる。
【0026】
従って、上下の分割片10a,10bを密着させて高品質のエアスポイラ10とすることができる。
・ 振動溶着により前記両分割片10a,10bを、ネジや金属クリップ、あるいは両分割片10a,10bとは異なる材質の接着剤等を使うことなく接合することができるので、合成樹脂をリサイクルする際の解体作業を不要とすることができる。このため、合成樹脂のリサイクル効率を向上させることができる。
【0027】
・ 振動溶着を採用することで、比較的大きな樹脂成形品であるエアスポイラ10を形成するための前記両分割片10a,10bであっても、これらを容易に接合することができる。しかも、振動が両分割片10a,10bの長さ方向に沿った方向であるため、両分割片10a,10b間の位置ずれを少なくすることが可能である。
【0028】
・ 前記両分割片10a,10bの短辺部を、両溶着面20,19の凹凸において互いに噛合わせることで、これらの溶着時の位置決めが容易になり、しかも溶着時の振動の振幅が大きくても、上下の凹凸が干渉することはない。
【0029】
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 図7に示すように、前記両分割片10a,10bの両短辺部の構成を、その両長辺部の対向面の構成と同じにすること。
【0030】
このようにした場合には、振幅がきわめて小さい超音波溶着を採用する場合に都合がよい。
・ 図5(b)及び図6(b)に2点鎖線で示すように、前記両分割片10a,10bの外周に溶着面の一部を形成する凸部24を設けること。そして、両分割片10a,10bを接合した後、この凸部24を同凸部24からはみ出したバリ18とともに除去すること。
【0031】
このようにすれば、何らかの原因によりバリ18がはみ出さない場合でも、両分割片10a,10b間の接合ラインを隠蔽できる。
・ 上下の分割片10a,10bの少なくとも一方の内面に、補強用のリブを形成すること。このようにすれば、エアスポイラ10の強度を、肉厚が薄くても、向上できる。
【0032】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明は、不良品の発生を抑制することができるとともに、外観が良好で、製造に手間がかからないエアスポイラ及びその製造方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のエアスポイラの斜視図。
【図2】実施形態のエアスポイラの分解斜視図。
【図3】実施形態の下分割片の一部破断平面図。
【図4】下分割片の側面図。
【図5】(a)は実施形態のエアスポイラの長辺部における接合部の溶着前を示す拡大断面図、(b)は同じく溶着後の拡大断面図。
【図6】(a)は実施形態のエアスポイラの短辺部における接合部の溶着前を示す拡大断面図、(b)は同じく溶着後の拡大断面図。
【図7】変更例の下分割片の一部破断平面図。
【図8】従来のエアスポイラの断面図。
【図9】(a)は従来のエアスポイラの接合部の拡大断面図、(b)は同じく従来のエアスポイラの接合部の拡大断面図。
【符号の説明】
10…エアスポイラ、10a…上分割片、10b…下分割片、11,23…壁面、12,17…溝、13,15,19,20…溶着面、14,16,21,22…段部、18…バリ
【発明の属する技術分野】
この発明は、合成樹脂よりなる車両用のエアスポイラ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、前述のようなエアスポイラは、ブロー成形によって製造されていたが、その表面には、ブロー成形特有の凹凸が現れて、面精度が低い。この状態で表面に塗装を施しても外観品質が低い状態であるため、塗装の前工程においてエアスポイラの表面全体をサンディングして平滑にしなければならず、その作業に手間がかかっていた。さらに、ブロー成形品は、肉厚を厚くしたり、均一にしたりすることが困難なので、エアスポイラにかかる風圧または空圧による負荷に耐えるための十分な強度が得られないというおそれがあった。
【0003】
このため、従来、図8に示すように、2つの分割片100,101をそれぞれ射出成形によって形成し、これらの外周部の対向面104,105を溶着によって接合することによりエアスポイラ200とする方法が提案された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、エアスポイラ200の表面を平滑にすることができるものの、分割片100,101の成形誤差等のために、図9(a)に示すように、両分割片100,101の対向面104,105がずれる場合があったり、図9(b)に示すように、接合部に接合ライン103が発生したりした。このため、従来、射出成形品によるエアスポイラは、対向面104,105間の接合面をボディによって隠蔽できる箇所、例えば2ボックス車のルーフ後端等にしか用いられなかった。それでもなお、ずれや接合ライン103が目立つときには、費用対効果の点から修正することが難しく、エアスポイラ200を不良品として処分しなければならなかった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、不良品の発生を抑制することができるとともに、外観が良好で、製造に手間がかからないエアスポイラ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明においては、下分割片及び上分割片を、それらの外周部の対向面において溶着して構成した合成樹脂製のエアスポイラにおいて、溶着面の内周側に壁面を設け、溶着面間の溶融樹脂がその壁面によりブロックされるようにしたことを要旨とするものである。
【0007】
従って、溶着面から溶融した合成樹脂が、この壁面によりブロックされて、エアスポイラの内側に流れず、確実にエアスポイラの外側にはみ出させることができる。そして、塗装に先だってこのエアスポイラの外側にはみ出た合成樹脂(バリ)を除去すれば、両分割片間の接合ラインをほとんど見えなくすることができ、外観が良好なエアスポイラとすることができる。このように、溶融した樹脂を外側に確実にはみ出させて、それを除去できるため、接合面に接合ラインが残る等の不良品の発生を抑制できる。
【0008】
請求項2に記載の発明においては、請求項1において、前記壁面を、前記下分割片側に設けたことを要旨とするものである。
従って、溶融した合成樹脂が確実にブロックされ、請求項1と同様の効果を一層効果的に得ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2において、前記壁面が、前記両分割片の位置決め機能を備えることを要旨とするものである。
従って、前記両分割片を所定の位置関係をもって、確実に溶着することができ、外観が良好なエアスポイラを形成することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記壁面の外周側の溶着面に溝を設けたことを要旨とするものである。
従って、前記両分割片の溶着面の接触面積が小さくなって、この溶着面における単位面積当たりの接触圧力が高くなる。このため、両分割片の接合を摩擦溶着により行う場合、溶着面における合成樹脂の溶融を促進することができ、前記両分割片を素早く溶着して一体化させることができる。この結果、エアスポイラの生産能力を向上させることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記上下の分割片の長さ方向両端の溶着面に幅方向に沿って凹凸を設けるとともに、上下の凹凸を噛み合わせたことを要旨とするものである。
【0012】
従って、この凹凸が噛合うことにより、前記両分割片の位置決めができて、請求項3と同様の効果を一層効果的に得ることができる。
請求項6に記載の発明においては、請求項1〜5のいずれかに記載の下分割片と上分割片とを、それらの外周部における溶着面において接触させて、摩擦溶着により溶着面を溶着した後、外側にはみ出したバリを除去することを要旨とするものである。
【0013】
従って、前記両分割片を、ネジや金属クリップ、あるいは両分割片とは異なる材質の接着剤等を使うことなく接合することができるので、合成樹脂をリサイクルする際の解体作業を不要とすることができる。このため、合成樹脂のリサイクル効率を向上させることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明においては、請求項6において、前記摩擦溶着は、主としてエアスポイラの長さ方向に沿う振動を付与する振動溶着であることを要旨とするものである。
【0015】
従って、振動溶着を採用することで、樹脂成形品の中でも比較的大きな樹脂成形品であるエアスポイラを容易に接合することができる。また、振動の方向がエアスポイラの長さ方向に沿うものであるため、上下の分割片間の位置ずれが少ない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、合成樹脂よりなる平面ほぼ長方形のエアスポイラ10は、上分割片10aと下分割片10bとをそれらの外周部の対向面において接合することによって中空のウイング状に構成されている。図3及び図5(a)に示すように、下分割片10bの両長辺部の対向面は、その外周側に溶着面13を備えており、溶着面13の内周側には段部14を形成することにより、壁面11が形成されており、壁面11の外周側には、溝12が設けられている。また、図5(a)に示すように、上分割片10aの両長辺部の対向面は、その外周部に溶着面15を備えており、溶着面15の内周側には、前記段部14と凹凸の関係で対応する段部16が形成されている。
【0017】
図3、図4及び図6(a)に示すように、下分割片10bの両短辺部の対向面は、その外周側に、幅方向に沿って凹凸が形成され、この凹凸部分が溶着面19になっており、その溶着面19の内周側には段部21を形成することにより、壁面23が形成されている。また、図6(a)に示すように、上分割片10aの両短辺部の対向面は、幅方向に沿って形成された凹凸よりなる溶着面20を備えている。そして、溶着面19,20の凹凸は、互いに噛合っている。上分割片10aの溶着面20のほぼ中央部には、溝17が形成されており、溶着面20の内周側には、前記段部21と凹凸の関係で対応する段部22が設けられている。
【0018】
なお、図5(a)及び図6(a)においては、段部14,16間及び段部21,22間に、わずかな隙間が形成されているが、段部14,16間と段部21,22との間の接触圧が低ければ、すなわち、上下の溶着面13,15間及び溶着面19,20間の接触圧を確保できれば、隙間をなくして接触していてもよい。
【0019】
さて、エアスポイラ10を製造する場合、図2、図5(a)及び図6(a)に示すように、下分割片10bの前記両溶着面13,19と、上分割片10aの前記両溶着面15,20とがそれぞれ面接触するように、前記両分割片10a,10bを重ね合わせる。このとき、段部14と段部16とが互いに噛合うことにより、前記両分割片10a,10bの位置決めがなされる。
【0020】
そして、両分割片10a,10bを治具(図示しない)上にセットして、両分割片10a,10bの一方または双方を、それらの長さ方向に沿う方向に高速振動させる。このため、下分割片10bの溶着面13,19と、上分割片10aの溶着面15,20とは、それらの間の摩擦熱によって合成樹脂が溶融し、前記両分割片10a,10bが溶着により一体化する。このとき、前記対向面の溶着面13,15及び溶着面19,20以外の部分も接触していれば、溶着面13,15,19,20より溶融量は少ないが、同様に溶融して溶着により一体化する。
【0021】
そして、溶着面13,15及び溶着面19,20から溶融した合成樹脂は、エアスポイラ10の内側へ流れ込まないように壁面11,23によってブロックされ、エアスポイラ10の外側へはみ出して、図5(b)及び図6(b)に示すようなバリ18として突出する。このようにして、前記両分割片10a,10bが互いに溶着された後、前記バリ18を、グラインダ等を用いて除去し、エアスポイラ10の表面全体に塗装を施すことによって、外観が良好なエアスポイラ10が形成される。
【0022】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・ 溶着面13,19の内周側に壁面11,23を設けたので、溶着面13,15及び溶着面19,20から溶融した合成樹脂が、壁面11,23によりブロックされて、エアスポイラ10の内側に流れないようにすることができ、確実にエアスポイラ10の外側にバリ18としてはみ出させることができる。そして、このエアスポイラ10の外側にはみ出たバリ18を除去することにより、両分割片10a,10b間の接合ラインを隠蔽できる。従って、窪み等により接合部に接合ラインが残る不良品の発生を抑制でき、外観が良好なエアスポイラ10を形成することができる。よって、エアスポイラ10をルーフ後端はもちろんのこと、3ボックス車のトランク上等、目立つところに設置することができる。この場合、エアスポイラ10は射出成形品により構成されているため、ブロー成形品と較べて表面が平滑で見映えがよいばかりでなく、製造が容易で、しかも肉厚を一定にできるため、十分な強度を得ることができる。そして、このように肉厚を一定にして高強度を達成できるため、軽量化も可能となる。
【0023】
・ 段部14と段部16とが噛合うことにより、壁面11によって前記両分割片10a,10bの位置決めがなされるので、前記両分割片10a,10bを所定の位置において確実に溶着することができ、外観がさらに良好なエアスポイラ10を形成することができる。
【0024】
・ 溝12及び溝17を形成することにより、前記両分割片10a,10bの溶着面19,20及び溶着面13,15間の接触面積が小さくなり、単位面積当たりの接触圧力が大きくなる。このため、溶着面19,20及び溶着面13,15の合成樹脂の溶融を促進することができ、前記両分割片10a,10bを素早く、かつ確実に溶着して一体化させることができる。この結果、エアスポイラ10の生産能力を向上させることができるとともに、高強度なエアスポイラ10を得ることができる。
【0025】
・ 壁面11と溶着面13との間に溝12が形成されているため、上分割片10aの溶着面15の内端縁が下分割片10bの溶着面13と壁面11との間のコーナ部と干渉することがない。溝12が存在しないと、溶着面13と壁面11との間のコーナ部が円弧状に形成されて、その円弧部と溶着面15の内端縁とが干渉して上下の分割片10a,10bを密着させることができないおそれがあるが、この実施形態では、このようなおそれを未然に防止できる。
【0026】
従って、上下の分割片10a,10bを密着させて高品質のエアスポイラ10とすることができる。
・ 振動溶着により前記両分割片10a,10bを、ネジや金属クリップ、あるいは両分割片10a,10bとは異なる材質の接着剤等を使うことなく接合することができるので、合成樹脂をリサイクルする際の解体作業を不要とすることができる。このため、合成樹脂のリサイクル効率を向上させることができる。
【0027】
・ 振動溶着を採用することで、比較的大きな樹脂成形品であるエアスポイラ10を形成するための前記両分割片10a,10bであっても、これらを容易に接合することができる。しかも、振動が両分割片10a,10bの長さ方向に沿った方向であるため、両分割片10a,10b間の位置ずれを少なくすることが可能である。
【0028】
・ 前記両分割片10a,10bの短辺部を、両溶着面20,19の凹凸において互いに噛合わせることで、これらの溶着時の位置決めが容易になり、しかも溶着時の振動の振幅が大きくても、上下の凹凸が干渉することはない。
【0029】
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 図7に示すように、前記両分割片10a,10bの両短辺部の構成を、その両長辺部の対向面の構成と同じにすること。
【0030】
このようにした場合には、振幅がきわめて小さい超音波溶着を採用する場合に都合がよい。
・ 図5(b)及び図6(b)に2点鎖線で示すように、前記両分割片10a,10bの外周に溶着面の一部を形成する凸部24を設けること。そして、両分割片10a,10bを接合した後、この凸部24を同凸部24からはみ出したバリ18とともに除去すること。
【0031】
このようにすれば、何らかの原因によりバリ18がはみ出さない場合でも、両分割片10a,10b間の接合ラインを隠蔽できる。
・ 上下の分割片10a,10bの少なくとも一方の内面に、補強用のリブを形成すること。このようにすれば、エアスポイラ10の強度を、肉厚が薄くても、向上できる。
【0032】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明は、不良品の発生を抑制することができるとともに、外観が良好で、製造に手間がかからないエアスポイラ及びその製造方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のエアスポイラの斜視図。
【図2】実施形態のエアスポイラの分解斜視図。
【図3】実施形態の下分割片の一部破断平面図。
【図4】下分割片の側面図。
【図5】(a)は実施形態のエアスポイラの長辺部における接合部の溶着前を示す拡大断面図、(b)は同じく溶着後の拡大断面図。
【図6】(a)は実施形態のエアスポイラの短辺部における接合部の溶着前を示す拡大断面図、(b)は同じく溶着後の拡大断面図。
【図7】変更例の下分割片の一部破断平面図。
【図8】従来のエアスポイラの断面図。
【図9】(a)は従来のエアスポイラの接合部の拡大断面図、(b)は同じく従来のエアスポイラの接合部の拡大断面図。
【符号の説明】
10…エアスポイラ、10a…上分割片、10b…下分割片、11,23…壁面、12,17…溝、13,15,19,20…溶着面、14,16,21,22…段部、18…バリ
Claims (7)
- 下分割片及び上分割片を、それらの外周部の対向面において溶着して構成した合成樹脂製のエアスポイラにおいて、溶着面の内周側に壁面を設けて、溶着面間の溶融樹脂がその壁面によりブロックされるようにしたことを特徴とするエアスポイラ。
- 前記壁面を、前記下分割片側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のエアスポイラ。
- 前記壁面が、前記両分割片の位置決め機能を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のエアスポイラ。
- 前記壁面の外周側の溶着面に溝を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアスポイラ。
- 前記上下の分割片の長さ方向両端の溶着面に幅方向に沿って凹凸を設けるとともに、上下の凹凸を噛み合わせたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアスポイラ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の下分割片と上分割片とを、それらの外周部における溶着面において接触させて、摩擦溶着により溶着面を溶着した後、外側にはみ出したバリを除去することを特徴とするエアスポイラの製造方法。
- 前記摩擦溶着は、主としてエアスポイラの長さ方向に沿う振動を付与する振動溶着であることを特徴とする請求項6に記載のエアスポイラの製造方法。
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