JP5350739B2 - フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体 - Google Patents

フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体 Download PDF

Info

Publication number
JP5350739B2
JP5350739B2 JP2008261542A JP2008261542A JP5350739B2 JP 5350739 B2 JP5350739 B2 JP 5350739B2 JP 2008261542 A JP2008261542 A JP 2008261542A JP 2008261542 A JP2008261542 A JP 2008261542A JP 5350739 B2 JP5350739 B2 JP 5350739B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fullerene
group
fullerene derivative
iii
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008261542A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009132680A (ja
Inventor
昌彦 橋口
和弘 渡辺
Original Assignee
フロンティアカーボン株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by フロンティアカーボン株式会社 filed Critical フロンティアカーボン株式会社
Priority to JP2008261542A priority Critical patent/JP5350739B2/ja
Publication of JP2009132680A publication Critical patent/JP2009132680A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5350739B2 publication Critical patent/JP5350739B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、フラーレン誘導体の製造方法に係り、特に金属化合物を作用させてフラーレン骨格に置換基を導入する方法、及びこの方法によって実現した新規フラーレン誘導体に関する。
1985年に発見されたフラーレンは、60個あるいはそれ以上の炭素原子が球状に結合した、第三の炭素同素体である。その特異な分子形状から、C60、C70に代表されるフラーレン類は、電子材料部品、医薬、化粧品などの新規機能材料として高く注目されている。
フラーレン類の合成方法としては、アーク放電法、抵抗加熱法、レーザー蒸発法、燃焼法、熱分解法などが知られており、いずれの製造方法においてもフラーレン類を含有する煤が生成する。有機溶媒に可溶なC60、C70、C76、C78、C82、C84などのフラーレン類は、煤を有機溶媒で抽出することによって得られる。さらにこれらのフラーレン類を化学修飾することにより、有機溶媒あるいは水への溶解性を向上させることが可能である。
フラーレンに炭化水素類などの置換基を付加する反応はいくつか報告されているが、いずれも複雑な工程や高価な試薬を必要とするため、実用的な方法は知られていない。安価な試薬のみを用いたフラーレンの修飾法としては、ベンゼン溶液中で塩化アルミニウムを作用させることにより、複数のフェニル基を付加させることができる手法が、非特許文献1に示すように、オラー等によって報告され、また、非特許文献2に示すように、中村等によって、その反応の改良及び構造決定が為されている。
そして、非特許文献3には、フラーレン骨格にアリール基を付加する反応として、グリニャール(Grignard)試薬等の有機金属化合物を用いる方法がある。更に、特許文献1には酸素等の酸化剤の存在下でフラーレン骨格に2個の有機基を付加した二重付加誘導体を製造することが提案されている。
特開2003−212880号公報 J.Am.Chem.Soc.,1991年,113巻,9387〜9388頁 Angew.Chem.Int.Ed.,2007年,46巻,3513頁 Angew Chem.,1992年,104巻,808頁
しかしながら、非特許文献1、2に記載の方法では、原料であるフラーレン類と、フラーレン類を良好に溶解する芳香族炭化水素類とが反応してしまうため、溶媒と基質との選択性が無く、実用的な方法としては適当ではない可能性がある。非特許文献3に記載の方法だと、ヒドロキシル基のような活性の高い置換基を導入する場合には、保護基が必要となる場合が多い。
また、特許文献1に記載の方法においては、酸素ガスを使用するので、フラーレン骨格が酸化されて生成物の生成比率が下がる傾向がある。このため、その濃度を調整することが好ましく、更には少なすぎると、2重付加体の選択的な生成反応が十分に促進されないという課題がある。
本発明者らは鋭意検討した結果、フラーレン類に、周期律表第8、9、10族中の少なくとも一種の金属化合物と、H−R−Xで表される化合物とを作用させることにより、フラーレン骨格に置換基を温和な条件で速やかに付加できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は前記した課題を解決するためになされたものであり、フラーレン誘導体を製造する簡便で実用的な方法及び新規なフラーレン誘導体を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法は、フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物と、塩化鉄(III)と、H−R−X(Xは、F、Cl、Br、Iからなる群から選択されるいずれか1)で表される化合物を作用させることにより、フラーレン骨格に置換基R´を4つ以上付加する。ここで、Rはヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボン酸基、又はカルボン酸エステル基で置換されていてもよいアリーレン基又はアルキレン基を、Hは水素を、R´はR、RH、又はRXを示す。
本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法において、前記塩化鉄(III)の量は、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物のモル量に対して0.01〜1000モル量の範囲にあって、また、前記H−R−Xで表される化合物の量は、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物のモル量に対して0.01〜1000モル量の範囲にあるのがよい。更には、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物は予め溶媒に溶かした状態で、前記塩化鉄(III)と、前記H−R−Xで表される化合物を作用させるのが好ましい。
本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法において、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物に前記塩化鉄(III)、及び前記H−R−Xで表される化合物を作用させる際の温度が、−30℃〜200℃の範囲にあるのがよい。
さらに、本発明に係るフラーレン誘導体は、下記構造式(1)で表される。
Figure 0005350739
式(1)中、Fはフラーレン(例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84又はこれらの混合物)を表し、Mはハロゲン化アリール基(ここで、ハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1)であり、Xは塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1である。nは4〜12であり、p(=0、1、2)は水素(H)の数を表し、kは(X)で表されるハロゲンの数を表し、k≧1、かつ1≦k+p≦3である。
以上説明された本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法によれば、フラーレン類に対し、金属化合物及びH−R−Xで表される化合物を作用させることにより、様々なフラーレン誘導体を、簡便かつ安価に得ることが可能となる。特に、フラーレン骨格に置換基R´(R、RH、又はRX)を4又は5以上付加した、溶解度の高い四重付加体又は五重付加体あるいはそれ以上の多重付加体の製造に好適である。
更に、構造式(1)で表される本発明に係るフラーレン誘導体は、フラーレン類の極性が向上し、溶解度を上げられ、しかも溶解度の調整も可能なので、このフラーレン誘導体を種々の反応の中間体として利用することが可能となる。
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を更に具体化した実施の形態について説明する。ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るフラーレン誘導体の製造方法の説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るフラーレン誘導体の製造方法は、フラーレン類と、周期律表第8、第9、第10族中の金属化合物と、H−R−X(Xは、F、Cl、Br、Iからなる群から選択されるいずれか1つの原子)で表される化合物を作用させることにより、フラーレン骨格に4つ以上の置換基R´(R´は、それぞれ独立に、R、RH、RXのいずれか示す。)を付加する。即ち、この反応によって、例えば、C60−R、H−C60−R、X−C60−R、C60−(RH)、C60−(RX)、H−C60−(RH)、X−C60−(RH)、H−C60−(RX)、X−C60−(RX)の1又は2以上を生成できる。ここで、n、k、pは整数であり、各フラーレン誘導体においてそれぞれ異なる数字をとる場合もある。また、この例で、C60は他の種類のフラーレン又はその混合物であってもよい。
特に、このフラーレン誘導体の製造方法においては、n=4〜12、k=1又は2、p=1又は2の範囲のフラーレン誘導体がこの実施の形態に係る方法を用いて容易に合成できる。
ここで使用する金属化合物は、周期律表第8、第9、第10族に属する金属(具体的には、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)を、少なくとも1つ含む(以下、これらを単に「金属化合物」という)。
該金属化合物として、好ましくは入手の容易さとコスト面で有利である第4周期の金属化合物、例えば、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化ルテニウム(III)などに代表される求電子性を有する金属化合物であるのが好ましい。より好ましくは塩化鉄(III)、臭化鉄(III)といった鉄の化合物を使用するのが好ましく、これによって、より効率的に(例えば、常温、常圧下又はそれに近い状態で)フラーレン類の骨格にアリール基又はアルキル基、アリーレン基又はアルキレン基(更に水素又はハロゲンを付加している場合もある)を付加できる。
なお、この金属化合物として、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)などIII価以外の金属化合物を使用することもできる。また、金属化合物は、周期律表第8、第9、第10族中の金属とハロゲンからなる構造に限定されない。例えば、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムなどを用いることもできる。また、アルキル基やアリール基を1つあるいは複数有していてもよいし、二種類以上の金属を含む錯体を用いてもよい。又は、これらを混合して用いても良い。これらの金属化合物として、好ましくはハロゲン原子を含むもの、より好ましくは入手のし易さとコスト面から金属ハロゲン化物を用いるのがよい。
この実施の形態で使用するH−R−Xで表される化合物は、少なくとも1つの置換基、例えばXがハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1つの原子)とされる。ここで、H−Rはアルキル基又はアリール基を表す。一般にアルキル基はC(2n+1)で表現され、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基などの鎖状アルキル基と、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基のいずれも用いることが可能である。また、一般にアリール基はフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チオフェニル基、フリル基などを用いることが可能である。好ましくはハロゲン化アリール基である。
これらのアルキル基及びアリール基は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、又は酸素、窒素、硫黄、ケイ素などの原子、又はフェニル基、トシル基、ナフチル基、ピリジル基などの芳香環、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基、あるいはヒドロキシル基、メルカプト基、スルホン基、スルホニル基、リン酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アセトキシ基、アルデヒド基、エステル基、アシル基、イミド基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ニトリル基、アルキルシリル基、ホスフィン基などの置換基で、一部が置換されていても良い。また、ビニル基やアリル基のようなアルケニル基、エチニル基やプロパギル基等のアルキニル基を有していてもよい。より好ましくは、溶解性が高く、あるいは中間体として利用しうる点で、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基が好ましい。
H−R−Xで表される化合物は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
ここで、使用されるフラーレン類は、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96など特定の分子量を持つフラーレン単体、2つ以上の成分を有するフラーレン混合物、フラーレンを有する煤などを含む。また、水素化フラーレン、フッ素化フラーレンなどのフラーレン誘導体、金属原子や水素分子などを内包した内包フラーレン、単層及び多層カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのフラーレン類似の炭素クラスター、及びそれらとフラーレンとの混合物に本発明を適用することが可能である。好ましくはこのフラーレン類のフラーレン骨格が、C60、C70又はその混合物であるのがよい。
この実施の形態で使用する金属化合物の量は、フラーレン類と作用するのに必要かつ十分な量であることが肝要である。具体的には、フラーレン類のモル量に対し、好ましくは0.01倍以上、より好ましくは0.5倍以上、さらに好ましくは1倍以上のモル量の金属化合物を用いる。また好ましくは1000倍以下、より好ましくは100倍以下、さらに好ましくは80倍以下のモル量の金属化合物を用いる。
また、ここで、使用するH−R−Xで表される化合物の量は、フラーレン類と反応するのに必要かつ十分な量であることが肝要である。具体的には、フラーレン類のモル量に対し、0.01倍以上のモル量のH−R−Xで表される化合物を用いることが好ましく、より好ましくは0.1倍以上、さらに好ましくは1倍以上である。また1000倍以下のモル量のH−R−Xで表される化合物を用いることが好ましく、より好ましくは100倍以下、さらに好ましくは50倍以下である。
本発明は、フラーレン類、金属化合物、及びH−R−Xで表される化合物を効果的に接触させることができれば、その接触方法については特に限定されない。フラーレン類を有機溶媒に溶解あるいは懸濁させると、効果的に接触させることが可能になるため好適である。又は、H−R−Xで表される化合物そのものを溶媒として用いても効果的である。
有機溶媒としては、フラーレン誘導体が可溶である溶媒、例えば芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が適しており、それらは環式、非環式いずれでもよく、また、これらの溶媒を単独又は2種類以上を任意の割合で用いてもよい。
ここで、溶媒として使用する芳香族炭化水素としては、分子内に少なくとも1つのベンゼン核を有する炭化水素化合物であればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、シメン等のアルキルベンゼン類、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン等のアルキルナフタレン類、テトラリン等が挙げられる。
また、脂肪族炭化水素としては、環式、非環式のいずれも使用できる。環式脂肪族炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の単環式脂肪族炭化水素、また、その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられ、多環式脂肪族炭化水素としては、デカリン等がある。非環式脂肪族炭化水素としてはn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカン等が挙げられる。
更に、ハロゲン化炭化水素としては、環式、非環式のいずれも使用できる。また脂肪族、芳香族のいずれも使用できる。例えばジクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、トリブロモエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、1−クロロナフタレン等が挙げられる。好ましくは塩素化炭化水素が好ましく、塩素化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が挙げられる。また、有機溶媒として、炭素数6以上のケトン、炭素数6以上のエステル類、炭素数6以上のエーテル類、及び二硫化炭素等を使用してもよい。
ここで、工業的観点から、これらの有機溶媒の中でも常温液体で沸点が通常30℃以上、中でも40℃以上のものが好適に使用でき、また通常300℃以下、中でも250℃以下のものが好適に使用できる。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチシレン、1−メチルナフタレン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン等のアルキルベンゼン及び/又はテトラリン等のナフタレン誘導体等の芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等の塩素化炭化水素を用いることが好ましい。さらに好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等の塩素化炭化水素を用いると、反応が進行しやすく好適である。
これらの溶媒は、1種単独としても、あるいは2種以上の混合溶媒としても使用することができる。
この実施の形態に係るフラーレン誘導体の製造方法では、金属化合物及びH−R−Xで表される化合物をフラーレン類と接触させた後、金属化合物そのものあるいは金属化合物に由来する物質(以下、両者を併せて「金属化合物等」という)、及びH−R−Xで表される化合物そのものあるいはH−R−Xで表される化合物に由来する物質(以下、両者を併せて「炭化水素類等」という)を系内から除去する。金属化合物等及び炭化水素類等が使用する有機溶媒に不溶の場合、濾過、デカンテーションなどにより、有機溶媒に溶解しているフラーレン類と不溶な金属化合物等及び炭化水素類等とに分離するのが好ましい。より好ましくは、シリカショートパスやアルミナショートパス、あるいは分液操作を用いて、不溶な金属化合物等を除去する。
金属化合物等及び炭化水素類等が、使用する有機溶媒に可溶な場合、晶析などによりフラーレン類を固体として析出させ、濾過、デカンテーションなどにより、固体のフラーレンと有機溶媒に溶解している金属化合物等あるいは炭化水素類等とに分離するのが好適である。沸点が低い炭化水素類等は、蒸留などによって除去することが好適である。あるいは、カラムクロマトグラフィーなどにより、精製するとより好ましい。
この実施の形態に係るフラーレン誘導体の製造方法を実施する温度は特に限定されないが、制御が容易であることから、−30℃から200℃の範囲で実施すると好適である。
なお、実施する雰囲気は特に限定されないが、酸素によりフラーレン類あるいはフラーレン誘導体が酸化される副反応を抑制するため、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で実施するのが好適である。
また、本発明に係るフラーレン誘導体は、下記構造式(1)で表される。
Figure 0005350739
式(1)中、Fはフラーレン(例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84又はこれらの混合物)を表し、Mは他の置換基を有してもよいハロゲン化アリール基(ここで、ハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1)であり、Xは塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1である。nは4〜12であり、p(=0、1、2)は水素(H)の数を表し、kは(X)で表されるハロゲンの数を表し、k≧1、かつ1≦k+p≦3である。
上記構造式(1)で表される本発明に係るフラーレン誘導体は、フラーレン類の極性が良好であり、かつ溶解度が高く、しかも溶解度の調整も可能なので、このフラーレン誘導体を種々の反応の中間体として利用すること等が可能となる。なお、上記構造式(1)で表されるフラーレン誘導体は、上述した本発明のフラーレン誘導体の製造方法により、製造可能である。
以下、本発明の作用効果を確認するために、本発明を構成する金属化合物、H−R−Xを適宜選択し、常温、常圧で行った実施例について詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。従って、以下実施例では、例えばC60を用い、特定の金属化合物の一例である塩化第2鉄、及びH−R−Xの一例である以下に記載するハロゲン化アリールを用いているが、当然のことながら、C60以外のフラーレン類、塩化第2鉄以外の金属化合物、その他のH−R−Xで表されるハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキルであってもよい。
<実施例1:塩化鉄(III)及びクロロベンゼンを用いたC60誘導体の合成>
501mgのC60を25mLのクロロベンゼンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を1.3g(C60に対して12当量)添加した。2時間後、HPLC分析によりC60が完全に反応したことを確認した。19時間後、付加反応がさらに進行していた。反応を停止し、反応液をシリカショートパスすることで不溶分を除去し、エバポレーターにて濃縮後、アセトン300mLを滴下して晶析を行い、803mgの茶褐色固体を得た。NMR分析及びMS分析により、これらのフラーレン誘導体はC60(4−Cl−C(Cl)、C60(4−Cl−C(H)の混合物であり、n=5〜12、k=1〜3であることが分析で確認された。図2にこのフラーレン誘導体の典型例を示す。ここで、メジャー(主生成物)はn=5、マイナー(副生成物)はn=6〜12であった。
この混合物の主生成物をHPLC(カラム:BuckyPrep、溶離液:トルエン)にて精製し、トルエン/メタノールで再沈殿を行った後、60℃で真空乾燥を行い、143mgの橙色固体を得た(回収率16%、HPLC純度95%)。各種分析により、この生成物はC60(4−Cl−CClであることが確認された。
(1)元素分析
理論値(C9020Cl16):C 82.28%、H 1.53%、Cl 16.19%; 測定値:C 81.90%、H 1.66%、Cl 16.34%
(2)APPI−MS測定
理論値m/z(C9020l5[M−Cl]−):1278.4; 測定値:1279.0
(3)H−NMR(400MHz、CDCl)測定
δ 7.02−7.08(m,4H,C),7.23(d,J=8.8Hz,4H,C),7.30(d,J=8.8Hz,4H,C),7.40−7.49(m,4H,C),7.61−7.80(m,4H,C).
(4)13C−NMR(100MHz、CDCl)測定
δ 57.28,59.96,62.65,75.85,128.06,128.94,129.00,129.36,129.49,130.85,133.90,134.33,134.36,134.99,136.50,141.13,142.58,142.62,142.86,143.01,143.34,143.36,144.12,144.18,144.28,144.44,144.56,144.71,145.75,146.95,147.09,147.61,148.07,148.25,148.43,148.53,148.54,148.57,149.41,150.26,151.90,153.19,155.23,155.81.
(5)単結晶X線構造解析
主生成分の単結晶のX線構造解析を行うことにより、この構造は、C60骨格のひとつのシクロペンタジエン環にCl基が結合し、シクロペンタジエン環に隣接した炭素にアリール基が5つ、パラ置換体の形で結合していることが判明した。
(1)〜(5)の結果より、単離した主生成物は図2に示すようなC60(4−Cl−CClの構造を有することが判明した。
<実施例2:塩化鉄(III)及びブロモベンゼンを用いたC60誘導体の合成>
203mgのC60を4mLのブロモベンゼンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を456mg(C60に対して10当量)を添加した。1時間後、HPLC分析により反応の進行を確認した(C60が0.2面積%残存)。11時間後、付加反応がさらに進行し、C60が完全に反応したことを確認した。反応を停止し、反応液をシリカショートパスすることで不溶分を除去し、エバポレーターにて濃縮後、メタノール200mLを滴下して晶析を行い、555mgの茶褐色固体を得た。NMR分析及びMS分析により、これらはC60(4−Br−CH及びその他の5付加体、それ以上の多付加体を含む混合物であった。
<実施例3:塩化鉄(III)及び1−クロロナフタレンを用いたC60誘導体の合成>
1.00gのC60を50mLの1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を11.3g(C60に対して50当量)、1−クロロナフタレンを1.78g(C60に対して10当量)添加した。1時間後、HPLC分析により反応の進行を確認した(C60が9.3面積%残存)。21時間後、付加反応がさらに進行し、C60が完全に反応したことを確認した。
<実施例4:塩化鉄(III)及びp−クロロアニソールを用いたC60誘導体の合成>
200mgのC60を4mLの1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を457mg(C60に対して10当量)、p−クロロアニソールを400mg(C60に対して10当量)添加した。1時間後、HPLC分析により反応の進行を確認した(C60が3.4面積%残存)。72時間後、付加反応がさらに進行したことを確認した(C60が2.3面積%残存)。反応を停止し、反応液をシリカショートパスすることで不溶分を除去し、エバポレーターにて濃縮後、ヘキサン300mLを滴下して晶析を行い、265mgの褐色固体を得た。NMR分析及びMS分析により、これらのフラーレン誘導体はC60(4−OMe−C(Cl)、C60(4−OMe−C(H)、C60(COMeCl)(Cl)、C60(COMeCl)(H)、及びこれらの異性体を含む混合物であり、n=4〜12、k=1〜3であることが分析で確認された。
<実施例5:塩化鉄(III)及びm−クロロアニソールを用いたC60誘導体の合成>
1.00gのC60を50mLの1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を2.25g(C60に対して10当量)、m−クロロアニソールを3.96g(C60に対して20当量)添加した。2時間後、HPLC分析により反応の進行を確認した(C60が20.3面積%残存)。4時間後、HPLC分析を行ったが、これ以上反応は進行していなかった。
<実施例6:塩化鉄(III)及びo−クロロアニソールを用いたC60誘導体の合成>
2.00gのC60を100mLの1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を4.50g(C60に対して10当量)、o−クロロアニソールを7.91g(C60に対して20当量)添加した。2時間後、HPLC分析により反応の進行を確認した(C60が17.8面積%残存)。24時間後、付加反応がさらに進行したことを確認した(C60が6.3面積%残存)。
<実施例7:塩化鉄(III)及びo−クロロアニソールを用いたC60誘導体の合成>
1.00gのC60を50mLの1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を11.3g(C60に対して50当量)、o−クロロアニソールを1.98g(C60に対して10当量)添加した。1時間後、HPLC分析により反応の進行を確認した(C60が0.3面積%残存)。
<実施例8:塩化鉄(III)及びクロロベンゼンを用いたフラーレン誘導体の合成>
500mgの混合フラーレン(C60を61.3重量%、C70を22.6重量%、高次フラーレン類を15.9重量%含む混合物)を25mLのクロロベンゼンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を1.30g(C60に対して19当量)を添加した。24時間後、C60およびC70が完全に反応したことを確認した。反応を停止し、反応液をシリカショートパスすることで不溶分を除去し、エバポレーターにて濃縮後、メタノール400mLを滴下して晶析を行い、696mgの茶褐色固体を得た。NMR分析及びMS分析により、これらはC60(4−Cl−C(Cl)、C60(4−Cl−C(H)、及びこれらの異性体を含む混合物C70(4−Cl−C(Cl)、C70(4−Cl−C(H)、及びこれらの異性体を含む混合物であり、n=4〜12、k=1〜3、m=1〜5、j=1〜2であることが確認された。
<比較例:塩化鉄(III)及びトルエンを用いたC60誘導体の合成>
50mgのC60を4mLのトルエンに溶解させ、25℃で攪拌しながら塩化鉄(III)を100mg(C60に対して8.8当量)を添加した。2時間攪拌しても、未反応のC60が大量に残存していた。HPLC分析によりC60の残存率は82面積%であった。以上の実施例1〜7、比較例を含む実験例を表1に示す。
Figure 0005350739
本発明の製造方法によって得られたフラーレン誘導体は、エッチング耐性、絶縁性、有機n型半導体としての優れた特性を生かして、フォトレジスト、ナノインプリンティング用の薄膜、層間絶縁膜、有機太陽電池、有機半導体薄膜、光導電性薄膜等の作成に有効である。以下に、具体的に説明するが、本発明によって製造されたフラーレン誘導体の用途は、以下の記載に限定されるものではない。
また、本発明方法によって製造されたフラーレン誘導体は加水分解反応等により、更に修飾が可能なため、任意の機能を付加することや、各種溶媒に対する溶解度をコントロールできる。これにより、反応中間体としても様々な用途に利用できる。
[フォトレジスト用途]
従来、フォトレジストは、被膜形成成分として(メタ)アクリル系、ポリヒドロキシスチレン系又はノボラック系の樹脂等の樹脂成分と、露光により酸を発生する酸発生剤や感光剤とを組み合わせた組成物が広く用いられている。本手法にて製造されたフラーレン誘導体は有機溶媒への溶解度が高いことにより、より高濃度でフォトレジストに複合化が可能である。また、フラーレン誘導体単独でもレジスト膜を形成することが可能である。
以上のようにして得られたフラーレン誘導体膜は、通常は均一な膜となる。また、上述のフラーレン誘導体膜は、分光エリプソメーターなどで屈折率(n値)及び消衰係数(k値)を測定することができる。また、これらの測定値を用い、フラーレン誘導体膜の誘電率や反射率を計算することができる。これらの光学定数は、そのフラーレン誘導体膜の用途によって求められる数値が大きく異なっている。さらに、前記の光学特性は、同じ用途でも、プロセスの種類や、フラーレン誘導体膜に含有される他の成分の種類や量によっても、求められる数値が大きく異なっている。よって、本発明の製造方法で製造されたフラーレン誘導体が有する優れた物性を効果的に活用できる用途に用いることが好ましい。なかでも、本発明の製造方法で製造されたフラーレン誘導体は、フラーレン骨格のπ電子共役を大量に保持しているため、高エッチング耐性が期待できることから、フォトレジスト用途に好適に用いられる。
このように本発明の製造方法で製造されたフラーレン誘導体をフォトレジストの分野に用いた場合、フラーレン骨格を有する事により、超芳香族分子としての高耐熱性、高エッチング耐性を有し、エッジラフネスの低減が可能であり、高解像度のフォトレジストの再現ができる。また、本発明の製造方法で製造されたフラーレン誘導体又はフラーレン誘導体の溶液を用いて形成したレジスト膜は、吸収スペクトルから明らかなように反射防止膜としての機能も有するので、多層膜の一層としても優れた機能を発揮することが期待される。
[半導体製造用途]
半導体製造等の分野では、例えば500μm以下の微細パターンを生産効率良く形成する方法としてナノインプリント法が検討されている。ナノインプリント法とは、微細パターンを有するモールドのパターンを転写層に転写する微細パターンの形成方法である。
このようなナノインプリント法としては、例えば、熱可塑性重合体からなる転写層を加熱して軟化させる工程と、転写層とモールドとを圧着してモールドのパターンを転写層に形成する工程と、モールドを転写層から離脱させる工程とを順次行なう方法;硬化性単量体からなる転写層をモールドに接触させる工程と、硬化性単量体を硬化させる工程と、硬化性単量体の硬化物からモールドを離脱させる工程とを順次行なう方法;などが知られている。本手法にて製造されたフラーレン誘導体は溶解度が高いことにより、上記熱可塑性重合体に高濃度で充填することが可能である。
このように本手法にて調整されたフラーレン誘導体をナノインプリント法に用いることにより、転写層の機械的強度、耐熱性及びエッチング耐性を向上させることが可能であることから、従来のナノインプリント材料の特性を大幅に改善することが可能となる。
[低誘電率絶縁材料用途]
近年、コンピュータの中央処理装置(CPU)用回路基盤には、樹脂薄膜を層間絶縁膜とする高密度かつ微細な多層配線に適した樹脂薄膜配線が適用されるようになってきた。将来のより高速な処理能力を有するコンピュータを実現するには、高密度かつ繊細な多層配線を活かし、かつ信号の高速伝播に適した低誘電率絶縁材料の開発が求められている。本手法にて製造されたフラーレン誘導体は溶解度を高く維持できることにより、より高濃度で他の材料と複合化することが可能である。また、フラーレン誘導体単独で成膜することも可能である。この際、本発明の製造方法で製造されたフラーレン誘導体は、フラーレン構造が本質的に有する高抵抗、低誘電率の性質を保持しており、複合化して用いる際にはフィラーとしての機械的強度の向上効果を有することができ、これにより、従来にない優れた性能の低誘電率の層間絶縁膜の実現が可能となる。
[太陽電池用途]
有機太陽電池への応用も可能である。この分野においては、シリコン系の無機太陽電池と比較して、優位な点が多数あるもののエネルギー変換効率が低く、実用レベルに十分には達していないことが多い。この点を克服するためのものとして、最近、電子供与体である導電性高分子と、電子受容体であるフラーレン並びにフラーレン誘導体とを混合した活性層を有するバルクヘテロ接合型有機太陽電池が提案されている。このバルクヘテロ接合型有機太陽電池では、導電性高分子とフラーレン誘導体それぞれとが分子レベルで混じり合い、その結果非常に大きな界面を作り出すことに成功し、変換効率の大幅な向上が実現されている。
本手法にて製造されたフラーレン誘導体は、上記用途で使用される有機溶媒への溶解度が高く、かつ溶解度を維持できるため、p型半導体と効率的なバルクへテロ接合構造を構成することが容易である。また、本手法にて製造されたフラーレン誘導体は、本質的にn型半導体としてのフラーレンの性質は保持している。これらのことにより、本発明の製造方法により製造されたフラーレン誘導体の溶液は、極めて高性能な有機太陽電池の実現が可能となる。
さらにこの高溶解性を利用し、本手法にて製造されたフラーレン誘導体は、導電性高分子等を含有した電子供与体層との層分離制御や、誘導体分子の整列配向性及び細密充填性などのモルフォロジー制御などを可能にし、これにより特性の向上が実現できる上、デバイス設計において高い柔軟性を与える。また、本手法にて製造されたフラーレン誘導体を用いれば、製造上も通常の印刷法やインクジェットによる印刷、更にはスプレー法等により、低コストで容易に大面積化を実現する事が可能である。
[半導体用途]
光センサー、整流素子等への応用が期待できる電界効果トランジスタの有機材料として、フラーレン及びフラーレン誘導体を使用することが研究されている。一般的にフラーレン及びフラーレン誘導体を半導体に用いて電界効果トランジスタを作製した場合、当該電界効果トランジスタはn型のトランジスタとして機能することが知られている。本手法にて製造されたフラーレン誘導体は、上記用途で使用される有機溶媒への溶解度が高いことにより、塗布による成膜が容易であり、また、n型半導体としてのフラーレンの本質的な性質は保持している。これにより、本手法にて製造されたフラーレン誘導体は、低コスト、高性能な有機半導体として期待できる。
本発明の一実施の形態に係るフラーレンの誘導体の製造方法の説明図である。 本発明の一実施例で確認されたフラーレンの誘導体の説明図である。

Claims (6)

  1. フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物と、塩化鉄(III)と、H−R−X(Xは、F、Cl、Br、Iからなる群から選択されるいずれか1)で表される化合物を作用させることにより、フラーレン骨格に置換基R´を4つ以上付加することを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
    ここで、Rはヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボン酸基、又はカルボン酸エステル基で置換されていてもよいアリーレン基又はアルキレン基を、Hは水素を、R´はR、RH、又はRXを示す
  2. 請求項1に記載のフラーレン誘導体の製造方法において、前記塩化鉄(III)の量は、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物のモル量に対して0.01〜1000モル量の範囲にあることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のフラーレン誘導体の製造方法において、前記H−R−Xで表される化合物の量は、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物のモル量に対して0.01〜1000モル量の範囲にあることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフラーレン誘導体の製造方法において、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物は予め溶媒に溶かした状態で、前記塩化鉄(III)と、前記H−R−Xで表される化合物を作用させることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフラーレン誘導体の製造方法において、前記フラーレン骨格がC 60 若しくはC 70 であるフラーレン又はその混合物に前記塩化鉄(III)、及び前記H−R−Xで表される化合物を作用させる際の温度が、−30℃〜200℃の範囲にあることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  6. 下記構造式(1)で表されることを特徴とするフラーレン誘導体。
    Figure 0005350739
    式(1)中、Fはフラーレンを表し、Mはハロゲン化アリール基(ここで、ハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1)であり、Xは塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択されるいずれか1である。nは4〜12であり、p(=0、1、2)は水素(H)の数を表し、kは(X)で表されるハロゲンの数を表し、k≧1、かつ1≦k+p≦3である。
JP2008261542A 2007-10-29 2008-10-08 フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体 Active JP5350739B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008261542A JP5350739B2 (ja) 2007-10-29 2008-10-08 フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007280716 2007-10-29
JP2007280716 2007-10-29
JP2008261542A JP5350739B2 (ja) 2007-10-29 2008-10-08 フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009132680A JP2009132680A (ja) 2009-06-18
JP5350739B2 true JP5350739B2 (ja) 2013-11-27

Family

ID=40864934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008261542A Active JP5350739B2 (ja) 2007-10-29 2008-10-08 フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5350739B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5792964B2 (ja) * 2011-02-09 2015-10-14 三菱商事株式会社 フラーレン誘導体の製造方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4109457B2 (ja) * 2002-01-24 2008-07-02 栄一 中村 フラーレン誘導体の製造方法
BR0311226A (pt) * 2002-05-23 2008-01-29 Columbian Chem material de carbono enxertado com polìmero condutor sulfonado para aplicações em células de combustìvel
KR20050012748A (ko) * 2002-05-23 2005-02-02 콜롬비안케미컬스컴파니 연료 전지 용도를 위한 전도성 중합체-그라프트된 탄소 물질
US7321012B2 (en) * 2003-02-28 2008-01-22 The University Of Connecticut Method of crosslinking intrinsically conductive polymers or intrinsically conductive polymer precursors and the articles obtained therefrom
JP4854996B2 (ja) * 2005-06-29 2012-01-18 国立大学法人大阪大学 フラーレン化ポリマースルホン酸からなるプロトン伝導体とその製造方法
JP4699233B2 (ja) * 2006-02-17 2011-06-08 独立行政法人科学技術振興機構 フラーレン誘導体およびその製造方法
JP4942220B2 (ja) * 2006-03-24 2012-05-30 独立行政法人科学技術振興機構 フラーレン誘導体およびその製造方法
JP4877800B2 (ja) * 2007-02-20 2012-02-15 独立行政法人科学技術振興機構 フラーレン誘導体の製造方法
JP2009084497A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Science Laboratories Inc 化学修飾フラーレンの結合方法及び膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009132680A (ja) 2009-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Clair et al. Controlling a chemical coupling reaction on a surface: tools and strategies for on-surface synthesis
Pradhan et al. Twisted polycyclic arenes by intramolecular Scholl reactions of C3-symmetric precursors
Lin et al. A nanoimprint lithography hybrid photoresist based on the thiol–ene system
KR20150000860A (ko) 그라펜 나노리본 전구체 및 그의 제조에 적합한 단량체
JP2009024147A (ja) フルオレン基を有するノルボルネン単量体およびその重合体
WO2014155960A1 (ja) 光塩基発生剤
WO2015083331A1 (ja) 光塩基発生剤
TW201229087A (en) Photoelectric conversion element
JP5350739B2 (ja) フラーレン誘導体の製造方法及びフラーレン誘導体
JP5332302B2 (ja) フラーレン誘導体並びにその溶液及びその膜
JP5792964B2 (ja) フラーレン誘導体の製造方法
De Silva et al. Hydroxyphenylbenzene derivatives as glass forming molecules for high resolution photoresists
JP5283494B2 (ja) フルオレン誘導体の製造方法
JP5155051B2 (ja) フラーレン誘導体の析出防止方法、フラーレン誘導体溶液の調製方法、及びフラーレン誘導体溶液
JP5966355B2 (ja) フラーレン誘導体及びその製造方法
JP5670068B2 (ja) フラーレン膜の製造方法
JP5690043B2 (ja) フラーレン誘導体溶液、フラーレン誘導体膜及びフラーレン誘導体
JP5910308B2 (ja) フラーレン類の製造方法
JP5292785B2 (ja) フラーレン誘導体、並びにその溶液及びその膜
JP5350718B2 (ja) アミノ化フラーレン
JP5792033B2 (ja) フラーレン誘導体及びその製造方法、並びにフラーレン誘導体組成物、フラーレン誘導体溶液及びフラーレン誘導体膜
JP5906942B2 (ja) フラーレン多量体の製造方法
Shaotang A study on the on-surface synthesis of novel carbon-based nanoribbon structures
JP5448565B2 (ja) アミノ化フラーレン及びアミノ化フラーレンの製造方法
Arslan Bottom-up synthesis of carbon nanostructures

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130813

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130822

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5350739

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250