JP5155051B2 - フラーレン誘導体の析出防止方法、フラーレン誘導体溶液の調製方法、及びフラーレン誘導体溶液 - Google Patents

フラーレン誘導体の析出防止方法、フラーレン誘導体溶液の調製方法、及びフラーレン誘導体溶液 Download PDF

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Description

本発明は、フラーレン誘導体の析出防止方法、フラーレン誘導体溶液の調製方法、及びフラーレン誘導体溶液に関し、より詳細には、フラーレン誘導体溶液からフラーレン誘導体結晶が析出するのを防止し、フラーレン誘導体の高濃度溶液を調製する方法、及び高いフラーレン誘導体濃度を有し安定した品質を有するフラーレン誘導体溶液に関する。
フラーレンは、球状の閉殻構造を有する炭素分子の総称であり、紫外線吸収特性、光導電性、光増感特性等の、分子構造に由来するユニークな性質を有している。例えば、フラーレン及びその誘導体よりなる薄膜は高いエッチング耐性を有するため、半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられる多層レジストの下層膜形成材料としての利用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、フラーレンが有機n型半導体分子として優れた特性を有することから、光電変換素子及び太陽電池等における有機半導体薄膜としての利用が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
フラーレン薄膜を気相成長法により形成することは非常に困難であるため、溶媒キャスト法等の湿式法によるフラーレン薄膜の形成に関する検討がなされてきた。しかしながら、無置換のフラーレンは溶媒に対する溶解性が低いため、十分な膜厚を有し、フラーレン分子が規則的に配向した膜を溶媒キャスト法等の湿式法により得ることは困難である。そこで、π電子の共役パターンの変化等によりフラーレン本来の性質を損なうことなく、フラーレンの膜形成特性及び溶媒に対する溶解性を向上させるために、各種フラーレン誘導体の検討がなされ、種々の誘導体が提示されている。例えば、非特許文献1には、フラーレン誘導体として、フェニル基及び3−メトキシカルボニルプロピル基を有するメタノフラーレン誘導体(例えば、[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(以下「PCBM」と略称する)及び[6,6]−フェニルC71−酪酸メチルエステル等)を用いた光電変換素子が開示されている。
特開2006−227391号公報 特開2006−278682号公報 ダービッド・ミュールバッヒャー(David Muehlbacher)他、「アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)」、(ドイツ)、ワイリーVCH社(Wiley VCH Verlag)、2006年10月、第18巻、第21号、p.2884−2889
しかし、多くの努力がなされてきたにもかかわらず、フラーレン本来の機能及び性質と高い溶解度との両立は未だに達成されていないのが現状である。例えば、フラーレン類に対する良溶媒であることが知られているODCB(o−ジクロロベンゼン)に対しても、PCBMの溶解度は高々5重量%程度であり、長時間放置しておくと徐々にPCBMが析出し、析出したPCBMが再溶解しにくく、その保存安定性にも課題がある。
有機デバイスの製造において、フラーレン誘導体とバインダーや有機p型半導体ポリマーとを溶液中で共存させる場合には、高濃度溶液を得ることが更に困難になる。例えば、上記非特許文献1に記載の光電変換素子の製造において、低バンドギャップポリマーとPC61BMとをODCBに溶解して得られた溶液の濃度は、3重量%程度でしかない。
溶液のハンドリングの改善や、溶媒の使用量の削減による環境負荷の低減等の観点からも、溶媒中に高い濃度でフラーレン誘導体を溶解させたフラーレン誘導体溶液が求められているが、これまで、保存安定性に優れ、品質の安定したフラーレン誘導体の濃厚溶液を得る方法は存在しなかった。
また、フラーレン誘導体の飽和溶解度付近の高濃度で調製したフラーレン誘導体溶液からは、長時間放置すると徐々にフラーレン誘導体が析出し、再溶解しにくいという課題があり、一般に高価なフラーレン誘導体の有効利用の観点からもその解決が強く望まれている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、フラーレン誘導体溶液からフラーレン誘導体が析出するのを防止し、フラーレン誘導体の高濃度溶液を調製する方法、及び高いフラーレン誘導体濃度を有し保存安定性に優れたフラーレン誘導体溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フラーレン誘導体と、他(フラーレン誘導体以外)のフラーレン骨格を有する化合物とを溶媒中で共存させることにより、フラーレン誘導体が再溶解しにくい結晶として析出するのを防止すると共に、フラーレン誘導体を単独で溶解させる場合よりも高濃度で溶媒中に溶解させることが可能であることを見出した。すなわち、本発明の本質は、溶質であるフラーレン誘導体と、フラーレン骨格を有する化合物とを溶媒中で共存させることによりフラーレン誘導体の析出を防止し、高濃度のフラーレン誘導体溶液を調製する方法に存する。
すなわち本発明の第一の態様は、下記構造式1又は2で表される少なくとも1種類のフラーレン誘導体が有機溶媒中に溶解した溶液から該フラーレン誘導体が析出するのを防止する方法であって、該有機溶媒がクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、及びo−キシレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記フラーレン誘導体と、無置換のフラーレンC60及び/又は無置換のフラーレンC70との両者が前記有機溶媒に溶解したフラーレン誘導体溶液中の前記フラーレン誘導体の濃度が1〜50重量%であり、前記フラーレン誘導体溶液中の前記無置換のフラーレンC60及び/又は前記無置換のフラーレンC70の濃度が0.01〜10重量%であるように、前記フラーレン誘導体と、前記無置換のフラーレンC60及び/又は前記無置換のフラーレンC70とを前記有機溶媒中で共存させることを特徴とするフラーレン誘導体の析出防止方法を提供することにより課題を解決するものである。
Figure 0005155051
なお、前記構造式1及び2において、R及びRは、R=C(フェニル基)、R=(CHCOOR(なお、Rは、炭素数1〜20の直鎖でも分岐していてもより炭化水素を表す)であり、前記構造式1の閉殻構造はフラーレンC 60 を、前記構造式2の閉殻構造はフラーレンC 70 をそれぞれ示す
本発明の第一の態様に係るフラーレン誘導体の析出防止方法において、無置換のフラーレン60及び無置換のフラーレン70のいずれか一方又は双方を含む溶液に前記フラーレン誘導体を溶解させることが好ましい。
本発明の第二の態様は、前記構造式1又は2で表される少なくとも1種類のフラーレン誘導体と、無置換のフラーレンC 60 及び/又は無置換のフラーレンC 70 とをクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、及びo−キシレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒中で共存させることにより、該フラーレン誘導体を単独で溶解させる場合よりも高い溶解度で該有機溶媒に溶解させるフラーレン誘導体溶液調製する方法であって、前記フラーレン誘導体溶液中の前記フラーレン誘導体の濃度が1〜50重量%であり、前記フラーレン誘導体溶液中の前記無置換のフラーレンC 60 及び/又は前記無置換のフラーレンC 70 の濃度が0.01〜10重量%であることを特徴とするフラーレン誘導体溶液の調製方法を提供することにより課題を解決するものである。
本発明の第二の態様に係るフラーレン誘導体溶液の調製方法において、無置換のフラーレン60及び無置換のフラーレン70のいずれか一方又は双方を含む溶液に前記フラーレン誘導体を溶解させることが好ましい。
本発明によれば、フラーレン誘導体と、該フラーレン誘導体以外のフラーレン骨格を有する化合物とを有機溶媒中で共存させることにより、フラーレン誘導体が析出するのを防止し、フラーレン誘導体を単独で溶解させる場合よりも安定かつ高濃度に溶解したフラーレン溶液を得ることができる。得られるフラーレン誘導体溶液を湿式法によるフラーレン誘導体薄膜の形成に用いると、膜厚が大きく、分子配向特性が良好なフラーレン誘導体薄膜を得ることができる。
また、使用する有機溶媒の量を削減することができるため、フラーレン誘導体溶液のハンドリングが改善されると共に、フラーレン誘導体溶液の調製の際の環境負荷を低減することができる。
更に、フラーレン誘導体が再溶解しにくい結晶を形成するのを抑制できるため、フラーレン誘導体を有効に活用することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係るフラーレン誘導体の析出防止方法及びフラーレン誘導体溶液の調製方法、並びにフラーレン誘導体溶液について詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
(1)フラーレン誘導体:
「フラーレン」とは、炭素のみから構成され、中空状の閉殻構造をなす球殻状又は略球殻状分子をいい、当該閉殻構造を形成する炭素数は、通常60〜130の偶数である。フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96のほか、これらよりも多くの炭素を有する球殻状又は略球殻状炭素分子を挙げることができる。
「フラーレン骨格」とは炭素のみから構成され、中空状の閉殻構造をなす球殻状構造又は略球殻状構造をいう。
なお、上記球殻状又は略球殻状分子及び上記球殻状構造又は略球殻状構造においては、これを構成する炭素の一部が欠損していてもよい。
「フラーレン誘導体」とは、フラーレンの炭素原子に有機又は無機の原子団を結合させた化合物又は組成物の総称をいう。例えばフラーレン骨格上に任意の置換基が付加した構造を有する化合物のほか、フラーレン骨格の内部に金属や分子を包含している内包フラーレン及びそのフラーレン骨格上に任意の置換基が付加した構造を有する化合物も、フラーレン誘導体に含まれる。
フラーレン誘導体の具体例としては、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、アミノ化フラーレン、硫化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、フレロイド、メタノフラーレン、ピロリジノフラーレン、アルキル化フラーレン類、アリール化フラーレン類等を挙げることができる。これらのフラーレン誘導体において、フラーレン骨格に付加する置換基の数は複数であってもよく、2種類以上の異なる種類の置換基が付加していてもよい。なお、フラーレン誘導体は、1種類を単独で用いても、複数種を任意の割合で混合したものを用いてもよい。このとき、フラーレン骨格の炭素数が同じで、置換基の種類が異なるフラーレン誘導体を混合したものを用いてもよく、また、置換基の種類が同じで、フラーレン骨格の炭素数が異なるフラーレン誘導体を混合して用いてもよい。
このうち、炭素原料からフラーレンを製造する際の主生成物であり、入手容易である点から、C60及びC70の誘導体が好ましく、これらの混合物の誘導体あるいはC60の誘導体がより好ましい。すなわち、フラーレン骨格がC60又はC70であるものが好ましく、フラーレン骨格がC60とC70であるものの混合物、あるいはC60及びC70のいずれか一方であるものがより好ましい。
好ましいフラーレン誘導体としては、下記の構造式1で表されるC60誘導体、下記の構造式2で表されるC70誘導体、下記の構造式3で表されるC60誘導体、下記の構造式4で表されるC70誘導体、及びこれらの任意の2以上の組み合わせを任意の割合で含む混合物を挙げることができる。
Figure 0005155051
なお、前記構造式1及び2において、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表し、前記構造式3及び4において、Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表し、Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。
これらのC60及びC70誘導体は、それぞれ公知の方法を用いて合成することができる。
例えば、構造式1で表されるC60誘導体のうち、R=COOR、R=COOR(なお、R及びRは、それぞれ独立して任意の置換、又は無置換の炭化水素基を表す)であるものは、DBU等の強塩基の存在下でC60とブロモマロン酸エステル誘導体とを反応(Bingel反応)させることにより合成することができる。
また、構造式1で表されるC60誘導体のうち、R=C(フェニル基)、R=(CHCOOR(なお、Rは、炭素数1〜20の直鎖でも分岐していてもよい炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8の直鎖でも分岐していてもよい炭化水素を表す)であるものは、C60と、対応する4−ベンゾイル酪酸アルキルエステルp−トシルヒドラゾンとの反応により合成することができる。
構造式3で表されるC60誘導体は、C60、窒素原子上に官能基Rを有するグリシン誘導体、及びR−CHOを原料とするprato反応により合成することができる。
構造式2及び4で表されるC70誘導体についても、出発原料としてC70を用いる以外は、それぞれ対応する置換基を有するC60誘導体と同様の方法を用いて合成することができる。
なお、構造式2ではC70を楕円で表しているが、構造式2で表されるC70誘導体は、構造式1で表されるC60誘導体同様、(6−6)閉環構造を有するメタノフラーレン誘導体である。C70分子には、4種類の非等価な(6−6)結合が存在するが、反応性の違いにより、構造式2で表されるC70誘導体には、通常2種類の位置異性体が主要な異性体として存在する。更に、R≠Rである場合には、一方の位置異性体には2種類の立体異性体が存在する。したがって、構造式2で表されるC70誘導体は、下記の構造式5、6a及び6bで表される3種類の異性体の混合物である。各異性体の存在比は、置換基R及びRの種類、反応条件等に応じて変化する。
構造式4で表されるC70誘導体(ピロリジノフラーレン誘導体)の場合も、分子式は省略するが、構造式2で表されるC70誘導体の場合と同様に、3種類の異性体の混合物となる。
Figure 0005155051
(2)フラーレン骨格を有する化合物:
「フラーレン骨格を有する化合物」の具体例としては、
(イ) 無置換のフラーレン
(ロ) フラーレン及びフラーレン誘導体のいずれかを有する金属錯体、金属内包フラーレン(メタロフラーレン)等を含むフラーレン誘導体
(ハ) フラーレン骨格を形成する2以上の球殻構造同士が、直接又は少なくとも1つの原子を介して結合したフラーレン多量体、及び
(ニ) 上記(イ)、(ロ)、(ハ)から選択される2以上の化合物を任意の割合で混合したものを挙げることができる。
これらのフラーレン骨格を有する化合物のうち好ましいものは、無置換のフラーレンであり、価格や入手の容易さを考慮すると、C60及びC70がより好ましい。フラーレン骨格を有する化合物として、これらのうちいずれか一方を単独で用いてもよく、両者を任意の割合で混合して用いてもよい。
(3)フラーレン誘導体溶液:
「フラーレン誘導体溶液」とは、フラーレン誘導体及びフラーレン骨格を有する化合物の両者が有機溶媒に溶解した均一な混合物をいう。ここで、「均一な混合物」とは、全ての成分が孔径0.1μmのろ紙又はメンブレンフィルター(以下、「ろ紙等」という)を通過する混合物を意味する。したがって、フラーレン誘導体及びフラーレン骨格を有する化合物の一方又は双方は、フラーレン誘導体溶液中で、サイズが0.1μm未満のクラスター等の集合体を形成していてもよい。
すなわち「フラーレン誘導体溶液」とは、孔径0.1μmのろ紙等を用いてろ過した後、ろ紙等の上にフラーレン誘導体及びフラーレン骨格を有する化合物の残渣が確認されない均一な混合物をいう。
フラーレン誘導体溶液の調製に用いることができる有機溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類、芳香族ハロゲン化炭化水素類、複素環分子系溶媒、アルカン分子系溶媒、ハロアルカン分子系溶媒、1価又は多価のアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ニトロメタン、ニトロエタン、N−メチル−2−ピロリドンを挙げることができる。
芳香族炭化水素類溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1−フェニルナフタレン等を挙げることができる。
芳香族ハロゲン化炭化水素類溶媒の具体例としては、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン(ODCB)、m−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等を挙げることができる。
複素環分子系溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、2−メチルチオフェン、ピリジン、キノリン、及びチオフェン等を挙げることができる。
アルカン分子系溶媒の具体例としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカン、デカリン、cis−デカリン、及びtrans−デカリン等を挙げることができる。
ハロアルカン分子系溶媒の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロジフルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、及び1,1,2,2−テトラクロロエタン等を挙げることができる。
ケトン類溶媒の具体例としては、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、2−ヘプタノン、メチルイソプロピルケトン、MIBK(メチルイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン(MIAK、5−メチル−2−ヘキサノン)等を挙げることができる。
1価又は多価のアルコール類溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3-メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等を挙げることができる。
エーテル類溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
エステル類溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、GBL(γ−ブチロラクトン)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち1種を単独で、あるいは2種以上を任意の組み合わせ及び任意の割合で混合して用いることができるが、フラーレン誘導体溶液の調製に用いることができる有機溶媒はこれらに限定されない。
好ましい有機溶媒の例としては、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン(ODCB)、トルエン、キシレン(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びこれらの混合物を挙げることができ、より好ましい例としてクロロベンゼン、ODCB、キシレン(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)を挙げることができる。
フラーレン誘導体溶液は、フラーレン誘導体とフラーレン骨格を有する化合物とを有機溶媒と混合することにより調製することができる。
フラーレン誘導体溶液の調製に用いることができる混合方法としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー等の任意の混合手段を用いて、混合物を撹拌又は混合する方法を挙げることができる。
フラーレン誘導体溶液の調製に用いるフラーレン誘導体は、合成後に単離精製したものを用いてもよいが、フラーレン誘導体の前駆体を含んだままの混合物の状態で用いてもよい。「フラーレン誘導体の前駆体」とは、フラーレン誘導体合成後の反応混合物に含まれるフラーレン骨格を有する化合物のうち、目的物であるフラーレン誘導体以外の出発原料や反応中間体をいい、好ましくは、出発原料である無置換のフラーレンである。
フラーレン誘導体溶液中のフラーレン誘導体の濃度は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。また好ましくは50重量%以下である。フラーレン誘導体の濃度が1重量%を下回ると、フラーレン誘導体溶液に占める溶媒の割合が大きくなりすぎ、フラーレン誘導体の濃度が50重量%を上回ると、フラーレン誘導体の析出が起こりやすくなる。なお、本発明においては、該フラーレン誘導体を単独で該有機溶媒中に溶解させる場合より、高い溶解度で該フラーレン誘導体を溶解させることが好ましい。
フラーレン誘導体溶液中のフラーレン骨格を有する化合物の濃度は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上である。また好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。フラーレン骨格を有する化合物の濃度が0.01重量%を下回ると、フラーレン誘導体の溶解度の向上や析出の防止について十分な効果が得られず、10重量%を上回ると、フラーレン誘導体溶液に占めるフラーレン骨格を有する化合物の割合が大きくなり過ぎる。
フラーレン誘導体溶液中の、フラーレン誘導体に対するフラーレン骨格を有する化合物の好ましい重量比は、用いられるフラーレン誘導体及びフラーレン骨格を有する化合物に依存するため、一義的に決定することは困難であるが、フラーレン誘導体としてPCBMを、フラーレン骨格を有する化合物としてC60をそれぞれ用いる場合、好ましいC60/PCBM比は0.01以上であり、より好ましくは0.03以上である。また好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.05以下である。C60/PCBM比が0.01を下回ると、フラーレン誘導体の溶解度の向上や析出の防止について十分な効果が得られず、0.1を上回ると、フラーレン誘導体溶液に占めるフラーレン骨格を有する化合物の割合が大きくなり過ぎる。
フラーレン誘導体溶液の調製の際に、フラーレン誘導体及びフラーレン骨格を有する化合物のうちどちらを有機溶媒に先に混合してもよく、あるいは両者を同時に混合してもよいが、先にフラーレン骨格を有する化合物を溶媒に混合して溶解させ、その後フラーレン誘導体を混合するのが、フラーレン誘導体が析出して再溶解しにくい結晶を形成するのを防止する上でより好ましい。
フラーレン誘導体溶液中にフラーレン骨格を有する化合物を含有させることにより、適切な大きさの微小クラスターを形成させ、粒子間凝集を抑制することができ、フラーレン誘導体を安定かつ高濃度で溶解させることが可能となると考えられる。
クラスターが大きすぎると析出・沈降が生じてしまうが、クラスターが適切な大きさであれば液中の粒子数が減少するため、粒子間の距離が長くなると推定される。そのため、粒子間凝集が抑制され、溶解度が高くとも安定であると考えられる。例えばC60/PCBMの場合、溶解度の低いC60がコアとなり、溶解度の高いPCBMがその周りを取り囲むようなクラスター構造を形成していると考えられる。
なお、「析出」とは、フラーレン誘導体溶液から、フラーレン誘導体及びフラーレン骨格を有する化合物のいずれか一方又は双方を含む固体が分離することをいう。
析出の有無の確認は、例えば、フラーレン誘導体溶液の目視による確認、及び孔径0.1μmのろ紙等を用いてフラーレン誘導体溶液をろ過後、ろ紙等の上に残留する残渣の目視による確認のいずれかにより行うことができる。
フラーレン誘導体溶液中のフラーレン誘導体の濃度は、例えば、フラーレン誘導体溶液をトルエン等の良溶媒で希釈し、フラーレン誘導体を、他のフラーレン骨格を有する化合物から分離して定量することができる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の分析装置を用いて測定することができる。より具体的には、フラーレン誘導体溶液の希釈液を、紫外可視検出器を有するHPLCで分析し、特定波長(例えば、290nm)の紫外光の吸光度より得られるフラーレン誘導体のピーク強度を測定し、予め濃度既知のフラーレン誘導体標準溶液(フラーレン誘導体溶液の希釈に用いた溶媒を用いて調製したもの)を用いて作成した検量線より、フラーレン誘導体溶液の希釈液中に含まれるフラーレン誘導体の濃度を求め、得られた値に希釈率を乗じることにより、元のフラーレン誘導体溶液中のフラーレン誘導体濃度を求める。上記「ピーク強度」とは、得られたピークの始まりから終わりにわたってピークの信号値とベースラインの信号値との差を積算したものとする。なお、データ処理装置を用いる場合は、表示された記録値、又は指示値による。データ処理はピークの形状に合わせ、適切な処理条件を選ぶ。
[フラーレン誘導体溶液の用途]
フラーレン誘導体溶液のいくつかの具体的な用途について以下に説明するが、これらはあくまで例示であり、フラーレン誘導体溶液の用途に関しては以下の記載に限定されるものではない。
[フォトレジスト用途]
従来、フォトレジスト用材料としては、(メタ)アクリル系、ポリヒドロキシスチレン系又はノボラック系の樹脂等の樹脂成分と、露光により酸を発生する酸発生剤や感光剤とを被膜形成成分として組み合わせた組成物が広く用いられている。本発明のフラーレン誘導体溶液中に溶解しているフラーレン誘導体は、単独で溶解している場合に比べ溶解度が向上しているため、より高濃度でフォトレジストに複合化が可能である。また、被膜形成成分を含まないフラーレン誘導体溶液単独でもレジスト膜を形成することが可能である。以上のようにして得られたフラーレン誘導体膜は、通常は均一な膜となる。また、上述のフラーレン誘導体膜は、分光エリプソメーター等により、屈折率(n値)及び消衰係数(k値)を測定することができる。また、これらの測定値を用い、フラーレン誘導体膜の誘電率や反射率を計算することができる。これらの光学定数は、そのフラーレン誘導体膜の用途によって求められる数値が大きく異なっている。更に、前記の光学特性は、同じ用途でも、プロセスの種類や、フラーレン誘導体膜に含有される他の成分の種類や量によっても、求められる数値が大きく異なっている。よって、フラーレン誘導体溶液に溶解したフラーレン誘導体の種類に応じて、その物性を効果的に活用できる用途に用いることが好ましい。中でも、本発明のフラーレン誘導体溶液は、その成分であるフラーレン誘導体が、フラーレン骨格のπ電子共役を大量に保持しているため、高エッチング耐性が期待できることから、フォトレジスト用途に好適に用いられる。
このように本発明のフラーレン誘導体溶液をフォトレジストの分野に用いた場合、フラーレン骨格を有する事により、超芳香族分子としての高耐熱性、高エッチング耐性を有し、エッジラフネスの低減が可能であり、高解像度のフォトレジストの再現ができる。また、本発明のフラーレン誘導体溶液を用いて形成したレジスト膜は、吸収スペクトルから明らかなように反射防止膜としての機能も有するので、多層膜の一層としても優れた機能を発揮することが期待される。
[半導体製造用途]
半導体製造等の分野では、例えば500μm以下の微細パターンを生産効率良く形成する方法としてナノインプリント法が検討されている。ナノインプリント法とは、微細パターンを有するモールドのパターンを転写層に転写する微細パターンの形成方法である。
このようなナノインプリント法としては、例えば、熱可塑性重合体からなる転写層を加熱して軟化させる工程と、転写層とモールドとを圧着してモールドのパターンを転写層に形成する工程と、モールドを転写層から離脱させる工程とを順次行なう方法、硬化性単量体からなる転写層をモールドに接触させる工程と、硬化性単量体を硬化させる工程と、硬化性単量体の硬化物からモールドを離脱させる工程とを順次行なう方法等が知られている。フラーレン誘導体溶液中に溶解しているフラーレン誘導体は、単独で溶解している場合に比べ溶解度が向上しているため、上記熱可塑性重合体に高濃度で充填することが可能である。
このように、フラーレン誘導体溶液をナノインプリント法に用いることにより、転写層の機械的強度、耐熱性及びエッチング耐性を向上させることが可能であることから、従来のナノインプリント材料の特性を大幅に改善することが可能となる。
[低誘電率絶縁材料用途]
近年、コンピュータの中央処理装置(CPU)用回路基板には、樹脂薄膜を層間絶縁膜とする高密度かつ微細な多層配線に適した樹脂薄膜配線が適用されるようになってきた。将来のより高速な処理能力を有するコンピュータを実現するには、高密度かつ繊細な多層配線を活かし、かつ信号の高速伝播に適した低誘電率絶縁材料の開発が求められている。本発明のフラーレン誘導体溶液は、フラーレン誘導体の溶解度を高く維持できるため、より高濃度で他の材料と複合化することが可能である。また、フラーレン誘導体溶液を単独で用いて成膜することも可能である。この際、形成されたフラーレン誘導体膜は、フラーレン構造が本質的に有する高抵抗、低誘電率の性質を保持しており、他の絶縁材料と複合化して用いる際には、更にフィラーとしての機械的強度の向上効果を有することができ、これにより、従来にない優れた性能の低誘電率の層間絶縁膜の実現が可能となる。
[太陽電池用途]
フラーレン誘導体溶液の有機太陽電池への応用も可能である。フラーレン誘導体を光電変換素子とする太陽電池は、シリコン系の無機太陽電池と比較して優位な点が多数あるもののエネルギー変換効率が低く、未だ実用レベルに十分には達していない。この点を克服するためのものとして、最近、電子供与体である導電性高分子と、電子受容体であるフラーレン及びフラーレン誘導体とを混合した活性層を有するバルクヘテロ接合型有機太陽電池が提案されている。このバルクヘテロ接合型有機太陽電池では、導電性高分子とフラーレン誘導体それぞれとが分子レベルで混じり合い、その結果非常に大きな界面を作り出すことに成功し、変換効率の大幅な向上が実現されている。
本発明のフラーレン誘導体溶液中に溶解しているフラーレン誘導体は、単独で溶解している場合に比べ上記用途で使用される有機溶媒への溶解度が高く、かつ高い溶解度を維持できるため、p型半導体と複合化することにより、効率的なバルクへテロ接合構造を構成することが容易である。また、本発明のフラーレン誘導体溶液は、n型半導体としてのフラーレンの性質を本質的に保持している。これらのことにより、本発明のフラーレン誘導体溶液を用いることにより、極めて高性能な有機太陽電池の実現が可能となる。
更に、本発明のフラーレン誘導体溶液に溶解したフラーレン誘導体の高い溶解性を利用し、導電性高分子等を含有した電子供与体層との層分離制御や、フラーレン誘導体分子の整列配向性及び細密充填性等のモルフォロジー制御等が可能になる。これにより特性の向上が実現できる上、デバイス設計において高い柔軟性を与える。また、本発明のフラーレン誘導体溶液は、通常の印刷法やインクジェットによる印刷、更にはスプレー法等により、低コストで容易に大面積化を実現する事が可能である。
[半導体用途]
光センサー、整流素子等への応用が期待できる電界効果トランジスタの有機材料として、フラーレン及びフラーレン誘導体を使用することが研究されている。一般的にフラーレン及びフラーレン誘導体を半導体に用いて電界効果トランジスタを作製した場合、当該電界効果トランジスタはn型のトランジスタとして機能することが知られている。本発明のフラーレン誘導体溶液に溶解したフラーレン誘導体は、上記用途で使用される有機溶媒への溶解度が向上しているため、塗布による成膜が容易であり、また、フラーレン誘導体溶液より得られるフラーレン誘導体膜はn型半導体としてのフラーレンの性質を本質的に保持している。これにより、本発明のフラーレン誘導体溶液は、低コスト、高性能な有機半導体として期待できる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。なお、本実施例においては、フラーレン誘導体としてPCBMを、フラーレン骨格を有する化合物としてC60を、有機溶媒としてODCBをそれぞれ用いた場合について説明する。
PCBMの合成
PCBMを、文献(Jan C.Hummelen,Brian W.Knight,F.LePeq,Fred Wudl;J.Org.Chem.,1995,60,532−538)記載の方法を参考に合成した。
窒素雰囲気下で4−ベンゾイル酪酸メチルp−トシルヒドラゾンをピリジンに溶解させた後、ナトリウムメトキシドを添加して15分攪拌した。o−ジクロロベンゼン(ODCB)に溶解させたC60を添加し、液温を65〜70℃に保持し22時間反応させた。その後、反応液を濃縮し、シリカゲルカラムにより精製を行った。ODCBにより未反応のC60を含むフラクションを溶出後、フェニル−ブトキシカルボニル置換体を含むフラクションを回収した。得られた溶液を濃縮した後、200℃にて10時間真空乾燥を行った。得られた置換体をトルエンに溶解した溶液を500Wランプで30分間照射し、光異性化を行なった。トルエンを濃縮除去し、メタノールで再結晶後真空乾燥し、目的のPCBMを得た。
PCBM溶液中のPCBM濃度の測定方法
後述する実施例1〜6、及び比較例1、2において調製したPCBM溶液中のPCBM濃度は、下記の方法により測定した。
(1)トルエンを用いて、濃度が既知の(100〜500ppm程度)PCBM標準溶液を作成した。PCBM及びトルエンを室温で1時間撹拌後、PCBMの析出が起こっていないことを目視により確認した。このようにして得られた各標準溶液をHPLCで分析し、波長290nmの吸光度よりPCBMのピーク強度を求めた。得られたピーク強度をPCBMの濃度に対してプロットし、検量線を作成した。
(2)PCBMが10重量%となるように、PCBM、ODCB、及び必要に応じてC60を仕込み、室温で1時間撹拌する。
(3)撹拌終了後、PCBM溶液を孔径0.1μmのろ紙を用いてろ過後、ろ液をトルエンで100倍に希釈した。
(4)希釈したPCBM溶液をHPLCで分析し、(1)と同様にしてPCBMのピーク強度を測定し、(1)で作成した検量線を用いて希釈したPCBM溶液中のPCBM濃度を求め、得られた値を100倍することにより、希釈前の溶液におけるPCBM濃度を求めた。
(5)PCBM溶液を調製後、室温で所定の時間放置した後、(3)及び(4)の操作を行い、PCBM溶液中のPCBM濃度の経時変化を追跡した。
実施例1
89.9重量部のODCBを撹拌しながら、0.1重量部のC60を徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。その後、溶液を撹拌しながら10重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
実施例2
89.7重量部のODCBを撹拌しながら、0.3重量部のC60を徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。その後、溶液を撹拌しながら10重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
実施例3
89.5重量部のODCBを撹拌しながら、0.5重量部のC60を徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。その後、溶液を撹拌しながら10重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
比較例1
90重量部のODCBを撹拌しながら、10重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
実施例1〜3、及び比較例1より得られた、PCBM濃度の経時変化を下記の表1に示す。なお、「C60/PCBM」は、PCBMに対するC60の仕込比(重量比)を表し、「0」、「0.01」、「0.03」、及び「0.05」は、それぞれ比較例1、実施例1、実施例2、及び実施例3に対応する。
Figure 0005155051
溶液中でPCBMがC60と共存しない場合(比較例1)には、日数の経過と共にPCBMの溶解度が低下し、12日経過後には約1/2に減少すると共に、PCBMの再溶解困難な結晶が析出するのが観測された。このことから、PCBMのみをODCBに溶解して得られる、濃度が10重量%程度のPCBM溶液は保存安定性が低く、再溶解困難な結晶を生成しやすいことがわかる。
一方、溶液中でPCBMをC60と共存させた場合(実施例1〜3)には、溶液の調製から12日経過した後も溶解度の減少は殆ど見られず、PCBMの析出も観測されなかった。特に、C60/PCBMが0.03以上の場合(実施例2及び3)には、PCBMの溶解度の減少は観測されなかった。これらの実験結果より、溶液中でC60をPCBMと共存させることにより、PCBMの析出を防止し、より安定かつ高濃度なPCBM溶液が得られることがわかる。
実施例4
94.95重量部のODCBを撹拌しながら、0.05重量部のC60を徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。その後、溶液を撹拌しながら5重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、75℃/10Torrで、容積が半分程度になるまで溶液を濃縮した。濃縮後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
実施例5
94.85重量部のODCBを撹拌しながら、0.15重量部のC60を徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。その後、溶液を撹拌しながら5重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、75℃/10Torrで、容積が半分程度になるまで溶液を濃縮した。濃縮後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
実施例6
94.75重量部のODCBを撹拌しながら、0.25重量部のC60を徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。その後、溶液を撹拌しながら5重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、75℃/10Torrで、容積が半分程度になるまで溶液を濃縮した。濃縮後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
比較例2
95重量部のODCBを撹拌しながら、5重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、75℃/10Torrで、容積が半分程度になるまで溶液を濃縮した。濃縮後、前記の方法によりPCBMの溶解度を測定した。更に、室温で5日間、8日間、及び12日間静置後に同様の測定を行い、溶解度の経時変化を追跡した。
実施例4〜6、及び比較例2より得られた、PCBM濃度の経時変化を下記の表2に示す。なお、「C60/PCBM」は、PCBMに対するC60の仕込比(重量比)を表し、「0」、「0.01」、「0.03」、及び「0.05」は、それぞれ比較例2、実施例4、実施例5、及び実施例6に対応する。
Figure 0005155051
実施例4〜6、及び比較例2においては、PCBM溶液の調製の際に、再溶解困難なPCBM結晶の析出を誘発しやすい濃縮操作を行った場合におけるC60の添加効果を検討するために、一旦PCBM濃度が5重量%となるように調製した溶液を濃縮することにより、PCBM濃度が10重量%程度のPCBM溶液を調製した。
溶液中でPCBMがC60と共存しない場合(比較例2)には、日数の経過に伴うPCBMの溶解度の低下が、濃縮操作を伴わない場合(比較例1)よりも顕著に見られた。このことから、PCBM溶液の保存安定性は、濃縮操作によって更に低下することがわかる。一方、溶液中でPCBMをC60と共存させた場合(実施例4〜6)には、C60/PCBMが0.01の場合(実施例4)には、日数の経過に伴いPCBMの溶解度が若干減少したものの、C60/PCBMが0.03以上の場合(実施例5及び6)には、日数の経過に伴うPCBMの溶解度の減少は観測されなかった。
これらの実験結果より、PCBMの析出が起こりやすくなる濃縮操作を伴うような場合であっても、ODCB中でC60をPCBMと共存させることにより、PCBMの析出を防止し、より安定かつ高濃度なPCBM溶液が得られることがわかる。
実施例1〜6において、PCBMの析出を防止し、より安定かつ高濃度なPCBM溶液が得られた、C60/PCBM=0.05の条件にて、他の溶媒での効果を確認した。
PCBM溶液中のPCBM濃度の測定方法
後述する実施例7〜9、及び比較例3〜5において調製したPCBM溶液中のPCBM濃度は、下記の方法により測定した。
(1)トルエンを用いて、濃度が既知の(100〜500ppm程度)PCBM標準溶液を作成した。PCBM及びトルエンを室温で1時間撹拌後、PCBMの析出が起こっていないことを目視により確認した。このようにして得られた各標準溶液をHPLCで分析し、波長290nmの吸光度よりPCBMのピーク強度を求めた。得られたピーク強度をPCBMの濃度に対してプロットし、検量線を作成した。
(2)実施例7〜9においては、C60/PCBMが0.05となるように、PCBM、溶媒、及びC60を仕込み、室温で1時間撹拌した。比較例3〜5においても、実施例7〜9と同じPCBM濃度となるように、PCBM及び溶媒を仕込み、室温で1時間撹拌した。
(3)室温で一日間放置した後、PCBM溶液を孔径0.1μmのろ紙を用いてろ過後、ろ液をトルエンで100倍に希釈した。
(4)希釈したPCBM溶液をHPLCで分析し、(1)と同様にしてPCBMのピーク強度を測定し、(1)で作成した検量線を用いて希釈したPCBM溶液中のPCBM濃度を求め、得られた値を100倍することにより、希釈前の溶液におけるPCBM濃度を求めた。
実施例7
60/PCBM=0.05になるように、C60のトルエン溶液97.5重量部を調製し、その後、溶液を攪拌しながら2.5重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、室温で1日間放置し、前記の方法によりPCBMの濃度を測定した。
実施例8
60/PCBM=0.05になるように、C60のo−キシレン溶液95.0重量部を調製し、その後、溶液を攪拌しながら5.0重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、室温で1日間放置し、前記の方法によりPCBMの濃度を測定した。
実施例9
60/PCBM=0.05になるように、C60のクロロベンゼン溶液92.0重量部を調製し、その後、溶液を攪拌しながら8.0重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、室温で1日間放置し、前記の方法によりPCBMの濃度を測定した。
比較例3
97.5重量部のトルエンを攪拌しながら2.5重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、室温で1日間放置し、前記の方法によりPCBMの濃度を測定した。
比較例4
95.0重量部のo−キシレンを攪拌しながら5.0重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、室温で1日間放置し、前記の方法によりPCBMの濃度を測定した。
比較例5
92.0重量部のクロロベンゼンを攪拌しながら8.0重量部のPCBMを徐々に添加し、添加終了後室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、室温で1日間放置し、前記の方法によりPCBMの濃度を測定した。
実施例7〜9、及び比較例3〜5より得られたPCBM濃度を下記の表3に示す。なお、「C60/PCBMは、PCBMに対するC60の仕込み比(重量比)を表し、「0」は比較例3〜5、「0.05」は実施例7〜9に対応する。
Figure 0005155051
60を共存させることにより(実施例7〜9)、PCBMの溶解度が何れの溶媒においてもC60を添加しなかった場合(比較例3〜5)と比較して、約1.5倍程度上昇している。これらの結果より、C60をPCBMと共存させることにより、種々の溶媒においても、PCBMの析出を防止し、より高濃度なPCBMが得られることが分かる。
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のフラーレン誘導体の析出防止方法、フラーレン誘導体溶液の調製方法、及びフラーレン誘導体溶液を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
本発明により得られたフラーレン誘導体溶液は、フラーレン誘導体の有するエッチング耐性、絶縁性、有機n型半導体としての優れた特性等を生かした様々な分野における、フラーレン薄膜及びそれを含むデバイスの作製に有用である。
例えば、フォトレジスト、ナノインプリンティング用の薄膜、層間絶縁膜、有機太陽電池、有機半導体(n型半導体)薄膜、光導電性薄膜等の機能性薄膜の作成等が挙げられる。

Claims (4)

  1. 下記構造式1又は2で表される少なくとも1種類のフラーレン誘導体が有機溶媒中に溶解した溶液から該フラーレン誘導体が析出するのを防止する方法であって、
    該有機溶媒がクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、及びo−キシレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記フラーレン誘導体と、無置換のフラーレンC60及び/又は無置換のフラーレンC70との両者が前記有機溶媒に溶解したフラーレン誘導体溶液中の前記フラーレン誘導体の濃度が1〜50重量%であり、前記フラーレン誘導体溶液中の前記無置換のフラーレンC60及び/又は前記無置換のフラーレンC70の濃度が0.01〜10重量%であるように、前記フラーレン誘導体と、前記無置換のフラーレンC60及び/又は前記無置換のフラーレンC70とを前記有機溶媒中で共存させることを特徴とするフラーレン誘導体の析出防止方法。
    Figure 0005155051
    なお、前記構造式1及び2において、R及びRは、R=C(フェニル基)、R=(CHCOOR(なお、Rは、炭素数1〜20の直鎖でも分岐していてもより炭化水素を表す)であり、前記構造式1の閉殻構造はフラーレンC 60 を、前記構造式2の閉殻構造はフラーレンC 70 をそれぞれ示す
  2. 請求項1に記載のフラーレン誘導体の析出防止方法において、前記無置換のフラーレン60及び前記無置換のフラーレン70のいずれか一方又は双方を含む溶液に前記フラーレン誘導体を溶解させることを特徴とするフラーレン誘導体の析出防止方法。
  3. 下記構造式1又は2で表される少なくとも1種類のフラーレン誘導体と、無置換のフラーレンC60及び/又は無置換のフラーレンC70とをクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、及びo−キシレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒中で共存させることにより、該フラーレン誘導体を単独で溶解させる場合よりも高い溶解度で該有機溶媒に溶解させるフラーレン誘導体溶液を調製する方法であって、
    前記フラーレン誘導体溶液中の前記フラーレン誘導体の濃度が1〜50重量%であり、前記フラーレン誘導体溶液中の前記無置換のフラーレンC60及び/又は前記無置換のフラーレンC70の濃度が0.01〜10重量%である
    ことを特徴とするフラーレン誘導体溶液の調製方法。
    Figure 0005155051
    なお、前記構造式1及び2において、R及びRは、R=C(フェニル基)、R=(CHCOOR(なお、Rは、炭素数1〜20の直鎖でも分岐していてもより炭化水素を表す)であり、前記構造式1の閉殻構造はフラーレンC 60 を、前記構造式2の閉殻構造はフラーレンC 70 をそれぞれ示す
  4. 請求項3に記載のフラーレン誘導体溶液の調製方法において、前記無置換のフラーレンC60及び前記無置換のフラーレンC70のいずれか一方又は双方を含む溶液に前記フラーレン誘導体を溶解させることを特徴とするフラーレン誘導体溶液の調製方法。
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