JP5690043B2 - フラーレン誘導体溶液、フラーレン誘導体膜及びフラーレン誘導体 - Google Patents

フラーレン誘導体溶液、フラーレン誘導体膜及びフラーレン誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、フラーレン誘導体溶液、フラーレン誘導体膜及びフラーレン誘導体に関する。
炭素系材料は、ダイヤモンドや黒鉛(グラファイト)等のバルク材料として古くから利用されてきたが、近年ではコーティング材料や機能性薄膜材料としても注目を集めつつある。中でも、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)に代表されるアモルファス炭素系薄膜は、摩擦係数が低く平滑性および耐磨耗性に優れるため、例えばアルミニウム加工用金型、工具等の保護膜、光学素子の保護膜、磁気ヘッドの摺動面へのコーティング等に用いられている。
アモルファス炭素系薄膜の形成には、例えば高周波プラズマ法やイオン化蒸着法などの気相成長法が主に用いられている。しかし、従来の炭素系材料は有機溶剤に不溶であり塗布等による簡便な成膜は不可能であったため、大型の真空機器を必要としていた。このため、成膜コストが高くなる傾向があり、大面積の成膜には適していなかった。
また、有機溶剤へ不溶であることは、化学反応による修飾が困難であることを意味し、ひいては溶解性の向上や、更なる機能性の付与ができないことも意味している。
ところで、近年注目を集める炭素系材料にフラーレン(fullerene)がある。フラーレンは、球状の閉殻構造を有する炭素分子の総称であり、紫外線吸収特性、光導電性、光増感特性等の、分子構造に由来するユニークな性質を有している。このため、例えば有機半導体等の電子材料、機能性光学材料、従来のアモルファス系炭素薄膜に代わるコーティング材料等への幅広い応用が期待されており、基材上へのフラーレン薄膜の形成に関する検討が近年盛んに行われている。
フラーレン薄膜を気相成長法により形成することは非常に困難であるため、溶媒キャスト法等の湿式法によるフラーレン薄膜の形成に関する検討がなされてきた(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、フラーレンは溶媒に対する溶解性が低い上に、対称性の高い球状の分子構造を有しているため配向性が低い。そのため、十分な膜厚を有し、フラーレン分子が規則的に配向した膜を溶媒キャスト法等の湿式法により得ることは困難である。
一方、フラーレン及びフラーレン誘導体よりなる薄膜は高いエッチング耐性を有するため、半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられる多層レジストの下層膜形成材料としての利用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、フラーレンを利用したレジスト組成物のエッチング耐性等の性能向上は、幾つかの報告がされている(特許文献2、非特許文献2、非特許文献3)。
また、フラーレンに溶解性を付与するために炭化水素類などの置換基を付加する反応はいくつか報告されている。例えば非特許文献4には、フラーレン骨格にアリール基を付加する反応として、グリニャール(Grignard)試薬等の有機金属化合物を用いる方法が提案されている。
また、安価な試薬のみを用いたフラーレンの修飾法として、ベンゼン溶液中で塩化アルミニウムを作用させることにより複数のフェニル基を付加させることができる手法がオラー等によって報告され(非特許文献5)、中村等によってその反応の改良及び構造決定が為されている(非特許文献6)。
特開2006−227391号公報 特許第3515326号公報 パベル・ヤンダ(Pavel Janda)他、「アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)」、(ドイツ)、ワイリーVCH社(WileyVCH Verlag)、1 998年12月、第10巻、第17号、p.1434−1438 Jpn.J.Appl.Phs.Vol.39(2000)pp.L1068−1070 Jpn.J.Appl.Phs.Vol.40(2001)pp.L478−480 Angew Chem.,1992年,104巻,808頁 J.Am.Chem.Soc.,1991年,113巻,9387〜9388頁 Angew.Chem.Int.Ed.,2007年,46巻,3513頁
しかしながら、従来の方法はいずれも複雑な工程や高価な試薬を使用するため、実用面で満足のいくものではなかった。
例えば、非特許文献4記載の方法では、ヒドロキシル基のような活性の高い置換基を導入する場合には保護基を用いることになるため、複数の工程を行うことになり、工程数が増加する傾向があった。また、非特許文献5,6記載の技術については、その具体的な用途について未だ報告例が無い。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、安価な試薬のみで簡便に製造できるフラーレン誘導体溶液、従来よりも安価に製造でき、エッチング耐性及び耐熱性に優れるフラーレン誘導体膜、及び安価な試薬のみで簡便に製造できるフラーレン誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(I)で表される構造を有するフラーレン誘導体を含む溶液、それから得られるフラーレン誘導体膜が、高いエッチング耐性や耐熱性を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記式(I)で表されるフラーレン誘導体を含むことを特徴とするフラーレン誘導体溶液に存する(請求項1)。
(式(I)において、 は置換基を有してもよいフェニル基を表し、aは11を表し、bは11を表し、cは4を表し、丸で示される構造は 60 フラーレン骨格を表す。)
本発明の別の要旨は、前記式(I)で表されるフラーレン誘導体を含むことを特徴とするフラーレン誘導体膜に存する(請求項2)。
本発明の更に別の要旨は、下記式(I)で表されることを特徴とするフラーレン誘導体に存する(請求項3)。
(式(I)において、 は置換基を有してもよいフェニル基を表し、aは11を表し、bは11を表し、cは4を表し、丸で示される構造は 60 フラーレン骨格を表す。)
本発明のフラーレン誘導体溶液は、安価な試薬のみで、簡便に製造できる。また、通常は本発明のフラーレン誘導体溶液を用いることにより、エッチング耐性及び耐熱性に優れるフラーレン誘導体膜を製造できる。
本発明のフラーレン誘導体膜は、従来よりも安価に製造でき、エッチング耐性及び耐熱性に優れる。
本発明のフラーレン誘導体は、安価な試薬のみで、簡便に製造できる。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.フラーレン誘導体]
[1−1.フラーレン誘導体の構造]
本発明に係るフラーレン誘導体は、下記式(I)で表されるものである。
(式(I)において、Rは置換基を有しても良い炭素数6〜18の芳香族性を有する炭化水素基を表し、aは1以上20以下の、Rの平均付加数を表し、bは1以上20以下の、Hの平均付加数を表し、cは0以上10以下の、Oの平均付加数を表し、丸で示される構造はフラーレン骨格を表す。)
〔フラーレン骨格〕
式(I)において、丸で示される構造はフラーレン骨格を表す。ここで「フラーレン」とは、閉殻構造を有する炭素クラスターである。フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数である。フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。なお、本明細書では、炭素数i(ここでiは任意の自然数を表す。)のフラーレン骨格を適宜、一般式「C」で表す。
また、「フラーレン誘導体」とは、フラーレン骨格を有する化合物又は組成物の総称である。即ち、フラーレン誘導体には、フラーレン骨格上に置換基を有したものの他、フラーレン骨格の内部に金属や化合物等を内包するもの及び他の金属原子や化合物と錯体を形成したもの等も含まれる。
本発明に係るフラーレン誘導体が有するフラーレン骨格は制限されないが、中でもC60又はC70が好ましく、C60がより好ましい。C60及びC70はフラーレンの製造時に主生成物として得られるので、入手が容易であるという利点がある。即ち、本発明に係るフラーレン誘導体は、C60又はC70またはその混合物の誘導体であることが好ましく、C60の誘導体であることがより好ましい。
〔炭化水素基R及びその平均付加数a〕
式(I)において、Rは芳香族性を有する炭化水素基を表す。このRはフラーレン骨格に結合している。ただし、Rの炭素数は、通常6以上、好ましくは7以上であり、通常18以下、好ましくは12以下である。炭素数が小さすぎると溶解性に乏しくなる傾向があり、大きすぎると反応性が低下する傾向がある。なお、後述するようにRは置換基を有していてもよいが、Rが置換基を有する場合は当該置換基を含めた炭素数が前記範囲に収まることが好ましい。
炭化水素基の例を挙げると、フェニル基、ナフチル基、アントラセルニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、Rを構成する炭化水素基は、本発明に係るフラーレン誘導体の優れた物性を大幅に損なうものでなければ、任意の置換基を有していてもよい。この際、置換基は1個でもよく、2個以上であってもよい。また、2個以上の置換基を有する場合、置換基の種類は1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
置換基の例を挙げると、メチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基;メトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシル基;アセチル基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、などが挙げられる。
の例としては、例えば、フェニル基;メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、エチルフェニル基等のアルキルフェニル基;メトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基等の水酸化フェニル基;ヒドロキシメチルフェニル基、エチルヒドロキシフェニル基、ヒドロキシジメチルフェニル基等のヒドロキシアルキルフェニル基;アセチルフェニル基;フッ化フェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基等のハロゲン化フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;メチルナフチル基等のアルキルナフチル基;ヒドロキシナフチル基等の水酸化ナフチル基;メトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基;アントラセニル基;フェナントラセニル基;ピレニル基などが挙げられる。
中でも、原料調達の観点から、フェニル基、アルキルフェニル基、水酸化フェニル基、ヒドロキシアルキルフェニル基、アルキルナフチル基、水酸化ナフチル基が好ましい。
さらにその中でも、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシメチルフェニル基、ヒドロキシジメチルフェニル基及びヒドロキシナフチル基がより好ましく、合成の容易さからメチルフェニル基が特に好ましい。
がフラーレン骨格と結合する位置は限定されず、任意である。
また、Rがフラーレン骨格に2個以上結合している場合、各Rは同じでもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、aはRの平均付加数を表す。具体的には、aは、溶解性の観点から通常1以上、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、また、フラーレン本来の性質を保持する観点から、通常20以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下の数を表す。
ここで、平均付加数aとはある系に存在するフラーレン誘導体が有するフラーレン骨格一つに対するRの付加数の平均値のことを表す。本発明に係るフラーレン誘導体が溶媒に溶解している場合(例えば、本発明のフラーレン誘導体溶液となっている場合)には、溶液とする前のフラーレン誘導体固体、もしくは溶液から溶媒を除去したフラーレン誘導体固体の分子組成式を元素分析によって測定し、MS等のデータから導き出される分子量から平均的な付加数を算出する。また、本発明に係るフラーレン誘導体が成膜されている場合(例えば、本発明のフラーレン誘導体膜となっている場合)には、フラーレン誘導体を削り取って算出することも出来る。
〔水素基H及びその平均付加数b〕
式(I)において、水素基(即ち、水素原子。ヒドロ基ともいう。)Hはフラーレン骨格に結合している。この際、Hがフラーレン骨格と結合する位置は限定されず、任意である。
式(I)において、bはHの平均付加数を表す。具体的には、bは、溶解性の観点から通常1以上、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、また、フラーレン本来の性質を保持する観点から、通常20以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下の数を表す。なかでも、bはa≧bの関係を満たすことが好ましく、a=bであることがより好ましい。
ここで、平均付加数bとはある系に存在するフラーレン誘導体が有するフラーレン骨格一つに対するHの付加数の平均値のことを表す。平均付加数bは、平均付加数aと同様にして算出することができる。
〔エポキシド及びその平均付加数c〕
式(I)において、エポキシド(即ち、三員環を成すオキシド)のOはフラーレン骨格に結合している。詳しくは、Oが有する2本の結合手を、フラーレン骨格の隣り合う2個の炭素原子にそれぞれ結合させることで、Oはフラーレン骨格に結合しているのである。すなわち三員環を成すオキシドの炭素はフラーレン骨格の隣り合う2個の炭素原子で構成されている。この際、Oがフラーレン骨格と結合する位置は限定されず、任意である。
式(I)において、cはOの平均付加数を表す。具体的には、cは、エポキシドを更なる反応の基点として利用する観点から、通常0以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、また、フラーレン本来の性質を保持する観点から、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下の数を表す。中でも、cは1以上が好ましい。エポキシドの導入によりフラーレン誘導体の極性が上がり、極性溶媒への溶解性が向上するからである。
ここで、平均付加数cとはある系に存在するフラーレン誘導体が有するフラーレン骨格一つに対するOの付加数の平均値のことを表す。平均付加数cは、平均付加数aと同様にして算出することができる。
なお、得られたフラーレン誘導体が単一化合物である場合は、平均付加数a、b及びcはその単一化合物の各付加数をいう。
[1−2.フラーレン誘導体の性質]
〔溶解性〕
本発明に係るフラーレン誘導体は、極性溶媒もしくは芳香族溶媒に可溶、即ち、極性溶媒もしくは芳香族溶媒に対する溶解性が高い。
なお、本明細書において、フラーレン誘導体が「極性溶媒に可溶」であるとは、フラーレン誘導体を極性溶媒に混合し、超音波照射を10分かけた後、目視で沈殿物や不溶分が検出されないことを意味する。具体的には、25℃、常圧下において、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(以下、適宜「PGMEA」ということがある。)又は乳酸エチルの何れかの極性溶媒に対して、極性溶媒の単位体積(1mL)あたり、フラーレン誘導体が10mg以上溶解する場合には、そのフラーレン誘導体は極性溶媒に対して可溶、即ち、極性溶媒に対する溶解性が高いと判断する。
また、本明細書において、フラーレン誘導体が「芳香族溶媒に可溶」であるとは、フラーレン誘導体を芳香族溶媒に混合し、超音波照射を10分かけた後、目視で沈殿物や不溶分が検出されないことを意味する。具体的には、25℃、常圧下において、トルエン又はキシレンの何れかの芳香族溶媒に対して、芳香族溶媒の単位体積(1mL)あたり、フラーレン誘導体が10mg以上溶解する場合には、そのフラーレン誘導体は芳香族溶媒に対して可溶、即ち、芳香族溶媒に対する溶解性が高いと判断する。
本発明に係るフラーレン誘導体を極性溶媒に溶解させて用いる場合、極性溶媒の種類は、本発明に係るフラーレン誘導体が溶解するものであれば制限されない。極性溶媒の例としては極性有機溶媒が挙げられ、その例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸フェニル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等の直鎖状のエステル類;γ―ブチロラクトン、カプロラクトン等の環状エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のエーテルアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。また、前記エーテルアルコール類と酢酸等の酸とのエステル化合物であるエーテルエステル類(エステル類に相当。)も挙げられる。中でも、工業的な用途で用いられることが多い観点で、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類及びエステル類を使用することが好ましく、中でもエステル類がより好ましく、その中でも、直鎖状のエステル類やエーテルエステル類が好ましく、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(即ち、PGMEA)、乳酸エチル等の高沸点エステル類が好ましい。
なお、極性溶媒は、何れか1種のみを用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
これらの極性溶媒は、DVD、CD等の光ディスク材料の製造、半導体集積回路の作製、半導体集積回路作製用マスクの製造、液晶用集積回路の作製、液晶画面製造用レジスト材料用等の溶媒として一般的に使用されている極性溶媒である。また、前記の極性溶媒は、特に、従来開発されているKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーに加えて、EUV(極端紫外光)やEB(電子ビーム)などの光源短波長化に適応したフォトレジスト、反射防止膜の機能を有した下層膜材料としてのフォトレジスト、ナノインプリント及び層間絶縁膜用として好適に用いられる溶媒である。したがって、前記の極性溶媒に可溶であること、即ち、前記の極性溶媒に対する溶解性が高いことは、本発明に係るフラーレン誘導体を、上記のような産業上広く使用されている溶媒に溶解することが可能であることを示している。また、フラーレン誘導体が前記の極性溶媒に溶解する場合、そのフラーレン誘導体は同様に他の有機溶媒に可溶である場合が多い。
したがって、本発明に係るフラーレン誘導体の極性溶媒に対する溶解性が高いことは、本発明に係るフラーレン誘導体を、例えば、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池等の有機太陽電池、有機トランジスタ、ダイオード、有機電界発光素子(有機EL素子)、非線形光学材等の有機デバイス全般;樹脂添加剤;潤滑剤;絶縁膜、リチウム二次電池、燃料電池、キャパシター等の電池における電池基材及びその添加剤、表面修飾等のコーティング材、その他セパレータ等の部材を構成する材料及び添加剤;金属、セラミクス添加剤;固体潤滑剤及び潤滑油添加剤等摺動用途への添加剤、触媒用、更には塗料、インク、医薬、化粧品、診断薬など、多方面での産業分野に適用可能であることを示している。
また、上述の極性溶媒に対するフラーレン誘導体の好ましい溶解度の値は、フラーレン誘導体の用途によって異なる。例えば、半導体集積回路作製、半導体集積回路作製用マスクの製造、液晶用集積回路作製及び液晶画面製造用レジスト材料用途の塗膜を本発明に係るフラーレン誘導体を用いて形成するためには、本発明に係るフラーレン誘導体は上述の極性溶媒に対して、通常10mg/mL以上、好ましくは50mg/mL以上、より好ましくは100mg/mL以上の溶解度を有することが望ましい。
本発明に係るフラーレン誘導体が極性溶媒に対する高い溶解性を有する理由は定かでは無いが、本発明者が推察するところによると、Rのフラーレン骨格への付加による分子の対称性低下による非結晶化効果が生じているものと推察される。したがって、これらの要因により、本発明に係るフラーレン誘導体は予想を上回る程度に極性溶媒への高い溶解性を発現しているものと考えられる。
一方、本発明に係るフラーレン誘導体を芳香族溶媒に溶解させて用いる場合、芳香族溶媒の種類は、本発明に係るフラーレン誘導体が溶解するものであれば制限されない。芳香族溶媒の例としては、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1−フェニルナフタレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類;などが挙げられる。
中でも工業的に好ましいのは、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クロロベンゼンである。
なお、芳香族溶媒は、何れか1種のみを用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
これらの芳香族溶媒は、塗料、インキ、農薬、医薬品などの一般溶剤として使用されている。したがって、前記の芳香族溶媒に可溶であること、即ち、前記の芳香族溶媒に対する溶解性が高いことは、本発明に係るフラーレン誘導体を、上記のような産業上広く使用されている溶媒に溶解することが可能であることを示している。
したがって、本発明に係るフラーレン誘導体の芳香族溶媒に対する溶解性が高いことは、本発明に係るフラーレン誘導体を、例えば、塗料、インク、農薬、医薬、化粧品、診断薬など、多方面での産業分野に適用可能であることを示している。
〔光の吸収スペクトル〕
本発明に係るフラーレン誘導体は、上述したような高い溶解性に加えて、膜状態で、特定の吸収スペクトルを有するという特有の性質を示す。このため、本発明に係るフラーレン誘導体は、特定の吸収スペクトルを有することにより、光学フィルター等の光学部品等へ応用することも可能である。
〔溶媒への接触角〕
本発明に係るフラーレン誘導体は、水等の溶媒に対して特定の接触角を有している。このため、液浸装置、洗浄装置などの構成部材として本発明に係るフラーレン誘導体を使用することができ、使用した場合には当該液浸処理、洗浄処理などにおいて高い処理効果が期待できると共に、当該処理中に液体の混合及び拡散の防止効果が期待できる。さらに、本発明に係るフラーレン誘導体は、特定の接触角を有することにより、塗布による保護膜形成等へ応用することも可能である。
〔熱的安定性〕
本発明に係るフラーレン誘導体は、熱的安定性が非常に高い。これは、本発明に係るフラーレン誘導体がフラーレン骨格のπ電子共役を大量に保持しているためであり、通常の有機物では熱分解が始まる温度においても、分解することなく安定に存在することができる。そのため、通常の有機物では分解して用いることができない耐熱性を要する用途に関しても、本発明に係るフラーレン誘導体を好適に用いることができる。
なお、本発明に係るフラーレン誘導体の熱安定性に関する評価は、高温による耐熱性試験を行ってもよいし、迅速に測定できるTG−DTA(示差熱熱重量同時測定)を用いて評価してもかまわない。なお、TG−DTAで評価する場合、流通させるガスの種類や量、パンの種類、昇温速度や測定上限温度、サンプル量などは、測定したい物性に併せて、任意に選択することができる。
[2.フラーレン誘導体の製造方法]
本発明に係るフラーレン誘導体を製造する方法には制限は無く、任意の方法により製造することができる。
従来、フラーレン骨格に芳香族性を有する炭化水素基及び水素を有するフラーレン誘導体の一般的な製造方法は既に確立されていた。例えば、非特許文献3や非特許文献4に記載されている方法等を参照することができる。
本発明に係るフラーレン誘導体も上記文献記載の方法で製造することも可能であり、その場合の反応温度、溶媒の種類、試薬の配合順序、反応時間等の諸条件としては、上記文献に記載の条件を採用することも可能である。
中でも、本発明に係るフラーレン誘導体は、以下に例示する製造方法により製造することが好ましい。ただし、以下に例示する製造方法は、本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法の一例であり、本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法は以下の例に限定されるものではない。
本発明に係るフラーレン誘導体の製造方法においては、フラーレン;金属ハロゲン化物;及び、置換基を有しても良い、炭素数6〜18の、少なくとも一つの水素基を有する、芳香族性を有する炭化水素化合物(以下、適宜「原料炭化水素化合物」という。);を用意し、これらを反応させて、本発明に係るフラーレン誘導体を得る。この際、反応溶媒を用いることも可能であり、通常は当該反応溶媒中で反応を進行させる。
[2−1.フラーレン]
フラーレンとしては、上記[1.フラーレン誘導体]の欄で説明した各種のフラーレンを用いることができる。なお、フラーレンは何れか1種のみを使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[2−2.金属ハロゲン化物]
本例の製造方法では、反応系に少なくとも1種の金属ハロゲン化物を存在させる。金属ハロゲン化物の種類は制限されないが、長周期型周期表の第8族、第13族、及び第15に属する金属から選択される金属のハロゲン化物であることが好ましく、中でも反応性の観点から、第13族金属のハロゲン化物が好ましく、アルミニウムのハロゲン化物が特に好ましい。
なお、反応系に存在させる金属ハロゲン化物としては、何れか1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
金属ハロゲン化物の例としては、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化ガリウム、塩化アンチモン等の金属塩化物;臭化鉄、臭化アルミニウム等の金属臭化物;フッ化アンチモン等の金属フッ化物;などが挙げられる。中でも、反応性及びコストの観点から塩化アルミニウムが好ましい。
反応系中の金属ハロゲン化物の含有量は、前記の反応が進行する限り任意であるが、フラーレンに対する比率で、通常1倍モル以上、好ましくは3倍モル以上、より好ましくは10倍モル以上、また、通常200倍モル以下、好ましくは100倍モル以下、より好ましくは30倍モル以下とすることが望ましい。金属ハロゲン化物の含有量が多過ぎると製造上コストが増大するうえ、フラーレン誘導体との分離が困難となる場合があり、少な過ぎると反応が完結しない場合がある。なお、2種以上の金属ハロゲン化物を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにすることが望ましい。
[2−3.原料炭化水素化合物]
本例の製造方法では、反応系に少なくとも1種の、置換基を有しても良い、炭素数6〜18の、少なくとも一つの水素基を有する、芳香族性を有する炭化水素化合物(即ち、原料炭化水素化合物)を存在させる。原料炭化水素化合物の種類は、製造しようとするフラーレン誘導体の構造に応じて適切なものを任意に選択すればよい。通常、式(I)の炭化水素基Rの結合手に水素原子が少なくとも1個結合した構造の炭化水素化合物を原料炭化水素化合物として用いる。
なお、反応系に存在させる原料炭化水素化合物としては、何れか1種のみを使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
原料炭化水素化合物の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、アニソール、フェノール、カテコール、クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、アセトフェノン、フッ化ベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、α−ナフトール、β−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、アントラセン、フェナントラセン、ピレン等が挙げられる。中でも、反応性の観点からトルエンが好ましい。
原料炭化水素化合物の含有量は、前記の反応が進行する限り任意であるが、フラーレンに対する比率で、通常10倍モル以上、好ましくは20倍モル以上、また、通常4000倍モル以下、好ましくは100倍モル以下とすることが望ましい。原料炭化水素化合物の含有量が多過ぎると製造上コストが増大するうえ、フラーレン誘導体との分離が困難となる場合があり、少な過ぎると反応が完結しない場合がある。
[2−4.反応溶媒]
本例の製造方法では、例えば原料炭化水素化合物が常温で固体状態の場合等においては、更に、反応溶媒を使用してもよい。反応溶媒を使用する場合、上述のフラーレン、金属ハロゲン化物及び原料炭化水素化合物を好適に溶解及び/又は分散させることが可能な溶媒であれば、その種類は任意である。
溶媒の例を挙げると有機溶媒が挙げられる。中でも、フラーレン誘導体が可溶である溶媒が好ましい。その例を挙げると、ハロゲン置換芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素等が挙げられる。なお、これらは環式でもよく、非環式でもよい。
ハロゲン置換芳香族炭化水素としては、例えば、オルトジクロロベンゼン(ODCB)、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素は、環式、非環式のいずれも使用できる。環式脂肪族炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の単環式脂肪族炭化水素;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等;デカリン等の多環式脂肪族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカン等の非環式脂肪族炭化水素などが挙げられる。
塩素化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が挙げられる。
また、その他の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類(好ましくは炭素数6以上のエーテル類);ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン等のピリジン類;炭素数6以上のケトン類;炭素数6以上のエステル類;二硫化炭素;などが挙げられる。
中でも、フラーレンを好適に溶解させることができる観点から、塩素化炭化水素及びハロゲン置換芳香族炭化水素が好ましく、1,1,2,2−テトラクロロエタン及びODCBが特に好ましい。
なお、反応溶媒は、何れか1種のみを使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
反応溶媒を使用する場合、その使用量は、反応溶媒中のフラーレンの濃度が、通常0.5mg/mL以上、好ましくは1.5mg/mL以上、また、通常100mg/mL以下、好ましくは50mg/mL以下となる量とすることが望ましい。反応溶媒の使用量が多過ぎると原料濃度が薄くなり、反応速度が遅くなる場合があり、少な過ぎると原料並びに生成物が溶解できず、反応が完全に進行しない場合がある。
なお、2種以上の反応溶媒を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにすることが望ましい。
なお、本例の製造方法では少なくとも上述のフラーレン、金属ハロゲン物及び原料炭化水素化合物を反応させることができればよい。したがって、原料炭化水素化合物が反応温度において液体であれば原料炭化水素化合物を反応媒として用いてもよい。
[2−5.操作及び反応条件]
上述のフラーレン、金属ハロゲン化物及び原料炭化水素化合物、並びに、必要に応じて用いられる反応溶媒を混合する順序及び反応条件は、本発明に係るフラーレン誘導体が製造できる限り任意である。また、反応系には、反応の進行を阻害しない限り上述したもの以外の成分を含有させても良い。
例えば反応溶媒を使用する場合は、反応溶媒中にフラーレンが溶解/懸濁している状態で金属ハロゲン化物を混合した後に、原料炭化水素化合物を混合することができる。また、例えば反応溶媒を使用しない場合は、原料炭化水素化合物中にフラーレンが溶解/懸濁している状態で金属ハロゲン化物を混合することができる。
反応時の温度条件は反応が進行する限り制限されないが、原料炭化水素化合物を混合した後の反応系の温度を、通常10℃以上、好ましくは20℃以上、また、通常150℃以下、好ましくは80℃以下とすることが望ましい。
反応時間も制限されないが、原料炭化水素化合物を混合した後、通常5分以上、好ましくは1時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは5時間以下に亘って反応させることが望ましい。
反応終了後、通常は、生成した本発明に係るフラーレン誘導体を反応液から常法により単離する。単離操作は、各反応の種類によって異なるが、例えば、反応液をそのままヘキサン等の貧溶媒で晶析して生成物を単離する方法が挙げられる。また、例えば、反応液にイオン交換水等を加えて反応を停止させ、そのまま適切な溶媒で抽出した後、分液し溶媒を留去することにより、生成物を単離する方法が挙げられる。
さらに、得られた本発明に係るフラーレン誘導体は、必要に応じて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、再結晶等の手法で精製してもよい。
なお、本発明に係るフラーレン誘導体は、通常、プロトン核磁気共鳴スペクトル法(以下適宜「H−NMR」という場合がある。)、カーボン核磁気共鳴スペクトル法(以下適宜「13C−NMR」という場合がある。)、赤外線吸収スペクトル法(以下適宜、「IR」という場合がある。)、質量分析法(以下適宜「MS」という場合がある。)、元素分析等の一般的な有機分析により、その構造を確認することができる。この他、フラーレン誘導体の結晶性がよい場合は、X線結晶回折法によって構造を確認できる場合もある。
本例の製造方法で使用するフラーレン誘導体の原料は、いずれも安価に入手できるものである。また上述したように、本例の製造方法では原料を反応させるだけで簡単に本発明に係るフラーレン誘導体を製造できる。したがって、本発明に係るフラーレン誘導体は安価な試薬のみで簡単に製造可能である。
[3.フラーレン誘導体溶液]
本発明のフラーレン誘導体溶液(以下、適宜「本発明の溶液」ということがある。)は、本発明に係るフラーレン誘導体を含有するものである。通常は、本発明の溶液において、本発明に係るフラーレン誘導体は溶媒に溶解した状態で存在する。
[3−1.溶媒]
本発明の溶液において、溶媒の種類は任意であるが、本発明に係るフラーレン誘導体を溶かしやすいものを用いることが好ましい。その例としては有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、これまで公知になっている任意の有機溶媒を用いることができる。中でも、本発明に係るフラーレン誘導体は芳香族溶媒及び極性溶媒に対して高い溶解性を示すので、本発明の溶液の溶媒としても、芳香族溶媒や極性溶媒を使用することが好ましい。
芳香族溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1−フェニルナフタレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類;などが挙げられる。中でも、工業的な用途で用いられることが多い観点で、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類を使用することが好ましい。
極性溶媒としては例えば極性有機溶媒が挙げられ、その例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のエーテルアルコール類;前記エーテルアルコール類と酢酸等の酸とのエステル化合物であるエーテルエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。中でも、工業的な用途で用いられることが多い観点で、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類及びエステル類を使用することが好ましく、特に、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、乳酸エチル等の高沸点エステル類を用いることが好ましい。
本発明の溶液において、溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、前記の芳香族溶媒及び極性溶媒は、いずれも、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、両者を併用してもよい。
[3−2.フラーレン誘導体]
本発明に係るフラーレン誘導体は、上述したとおりである。
ただし、本発明の溶液に含まれる本発明に係るフラーレン誘導体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の溶液における本発明に係るフラーレン誘導体と溶媒との比率は任意である。本発明の溶液中の本発明に係るフラーレン誘導体の具体的な濃度は、フラーレン誘導体の溶媒への溶解度、フラーレン膜の膜厚等により異なるため一義的に定めることは困難であるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。濃度が低すぎると、多量の溶媒を必要とし不経済であると共に、膜厚の大きなフラーレン誘導体膜を成膜することが困難となる傾向がある。また、濃度が高すぎると、溶液の粘性が高くなるため取り扱いが困難になり、均一な膜厚のフラーレン誘導体膜を得ることが困難になる傾向がある。
さらに、本発明の溶液において、本発明に係るフラーレン誘導体は全部が溶媒に完全溶解していることが好ましいが、一部溶解できずに溶液が懸濁していてもよく、或いは沈殿していても構わない。
[3−3.その他の成分]
本発明に係るフラーレン誘導体の優れた物性を大幅に損ねるものでなければ、本発明の溶液は、本発明に係るフラーレン誘導体及び溶媒以外にその他の成分を含有していてもよい。なお、その他の成分は1種のみを含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
[3−4.溶液の調製方法]
本発明に係るフラーレン誘導体を溶媒に溶解させることができれば、本発明の溶液の調製方法に制限はなく、例えば、所定の装置で攪拌しながら溶解させる手法;超音波を照射して溶解させる手法などで調製できる。また、本発明に係るフラーレン誘導体及び溶媒、並びに、必要に応じて用いられるその他の成分の混合順序も、特に制限はない。
本発明の溶液は、安定性や操作性の観点から通常25℃程度で調製されるが、溶媒の沸点以下であれば、加熱しながら溶解させ、保管することができる。また、本発明に係るフラーレン誘導体が析出する可能性があるが、25℃以下の低温下で調製、保管することも可能である。
上述したように、本発明に係るフラーレン誘導体は安価な試薬のみで簡単に製造可能である。したがって、本発明の溶液も安価な試薬のみで簡単に製造可能であり、従来と比較して少なくともコストの面で非常に有利である。
[4.フラーレン誘導体膜]
本発明のフラーレン誘導体膜は、本発明に係るフラーレン誘導体を含んで形成されるものである。
本発明のフラーレン誘導体膜は、本発明に係るフラーレン誘導体のみにより形成されていてもよいが、本発明に係るフラーレン誘導体が有する優れた物性を大幅に損ねるものでなければ、その他の成分が含有されていてもかまわない。なお、その他の成分は1種のみを含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
また、本発明のフラーレン誘導体膜は同一組成の単層膜であってもよく、異なる組成を有する構成膜が2層以上積層された多層膜であってもよい。
本発明のフラーレン誘導体膜の膜厚は、用途によって大きく異なり一律に限定することはできないが、通常10nm以上、好ましくは30nm以上であり、また、通常1,000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。
本発明のフラーレン誘導体膜は、耐熱性に優れる。これは、本発明に係るフラーレン誘導体が非常に高い熱的安定性を有するからである。
また、本発明のフラーレン誘導体膜は、その成分である本発明に係るフラーレン誘導体が、フラーレン骨格のπ電子共役を大量に保持しているうえ、置換基とし芳香族性を有する炭化水素基が導入されているため、高いエッチング耐性が期待できる。
さらに、本発明のフラーレン誘導体膜は、その成分である本発明に係るフラーレン誘導体が吸収スペクトル及び溶媒への接触角において特有の性質を有しているため、同様に吸収スペクトル及び溶媒への接触角において特有の性質を発揮できる。
また、本発明のフラーレン誘導体膜は、均一な膜が形成することが可能であり、分光エリプソメーターなどで屈折率(n値)、消衰係数(k値)を測定することができる。さらに、これらの測定値を用い、本発明のフラーレン誘導体膜の誘電率や反射率を計算することができる。これらの光学定数は、そのフラーレン誘導体膜の用途によって、また同じ用途でも製造プロセスの種類や、フラーレン誘導体膜に含有される他の成分の種類及び量によって求められる数値が大きく異なる。よって、本発明のフラーレン誘導体膜は、これらの優れた物性を効果的に活用できる用途に用いることが好ましい。なかでも、本発明のフラーレン誘導体膜は、上記のように高エッチング耐性が期待できることから、フォトレジスト用途に好適に用いられる。
本発明のフラーレン誘導体膜の製造方法に制限は無い。ただし、上述したように、本発明に係るフラーレン誘導体が上記の溶媒(特に芳香族溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒)に高い溶解性を示すことを利用して、本発明の溶液を基材上に塗布し、塗膜を乾燥させてフラーレン誘導体膜を製造することが好ましい。
基材には制限はなく、例えば、有機被膜;シリコン基板、ポリシリコン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等のシリコン被膜、金属配線等の無機被膜;などが挙げられる。
本発明の溶液の塗布方法にも制限は無く、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法などを用いることができる。
塗膜の形成後に行う乾燥としては、通常は加熱乾燥処理により行う。具体的な乾燥条件に制限は無いが、通常80〜300℃で、10秒から300秒の範囲で加熱を行うことが好ましい。本発明に係るフラーレン誘導体は通常の有機化合物に比べて熱安定性に優れるため、このような加熱乾燥処理においても熱分解することなく、安定な膜を形成することができる。なお、加熱は大気下や、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[5.フラーレン誘導体、フラーレン誘導体溶液及びフラーレン誘導体膜の用途]
本発明に係るフラーレン誘導体並びに本発明の溶液及びフラーレン誘導体膜は、例えば、前述した任意の用途に用いることができる。以下に、いくつかの用途の例に関して具体的に説明するが、本発明の効果が発揮できる用途に関しては、以下の記載に限定されるものではない。
[5−1.フォトレジスト用途]
従来、フォトレジストは、被膜形成成分として(メタ)アクリル系、ポリヒドロキシスチレン系またはノボラック系の樹脂等の樹脂成分と、露光により酸を発生する酸発生剤や感光剤とを組み合わせた組成物が広く用いられていた。本発明に係るフラーレン誘導体は、通常、フォトレジストに使用される有機溶媒への溶解度が高いことにより、特殊な溶媒を用いることなく、より高濃度でフォトレジストに複合化が可能である。また、フラーレン誘導体単独でもレジスト膜を形成することが可能である。
このように本発明に係るフラーレン誘導体又は本発明の溶液は、フォトレジストの分野に用いた場合、フラーレン骨格を有する事により、超芳香族分子としての高耐熱性、高エッチング耐性を有し、エッジラフネスの低減が可能であり、高解像度のフォトレジストの再現ができる。また、本発明のフラーレン誘導体又は本発明の溶液を用いて形成したレジスト膜は本発明のフラーレン誘導体膜に相当し、吸収スペクトルから明らかなように反射防止膜としての機能も有することより、多層膜の一層として、特に反射防止膜や塗布型のマスク材(ハードマスク)としても優れた機能を発揮することが期待される。特に、本発明のフラーレン誘導体膜は、193nmの波長におけるk値が低いことから、ArFエキシマレーザー用に好適に用いる事ができる。
[5−2.半導体製造用途]
半導体製造等の分野では、例えば500μm以下の微細パターンを生産効率良く形成する方法としてナノインプリント法が検討されている。ナノインプリント法とは、微細パターンを有するモールドのパターンを転写層に転写する微細パターンの形成方法である。
このようなナノインプリント法としては、例えば、熱可塑性重合体からなる転写層を加熱して軟化させる工程と、転写層とモールドとを圧着してモールドのパターンを転写層に形成する工程と、モールドを転写層から離脱させる工程とを順次行う方法;硬化性単量体からなる転写層をモールドに接触させる工程と、硬化性単量体を硬化させる工程と、硬化性単量体の硬化物からモールドを離脱させる工程とを順次行う方法;などが知られている。本発明に係るフラーレン誘導体は、通常、上記熱可塑性重合体や硬化性物質に使用される有機溶媒への溶解度が高いことにより、特殊な溶媒を用いることなく、上記熱可塑性重合体に高濃度で充填することが可能である。なお、フラーレン誘導体を充填された熱可塑性重合からなる転写層は、本発明のフラーレン誘導体膜に相当する。
このように本発明に係るフラーレン誘導体又は本発明の溶液をナノインプリント法に用いた場合、有機溶媒に対する本発明に係るフラーレン誘導体の溶解性が高いことから、本発明に係るフラーレン誘導体は熱可塑性重合体中での凝集が抑制され分子状分散となる。このため、高解像度を実現することが可能である。さらに、本発明のフラーレン誘導体又は本発明の溶液をナノインプリント法に用いることにより、転写層の機械的強度、耐熱性及びエッチング耐性を向上させることが可能であることから、従来のナノインプリント材料の特性を大幅に改善することが可能となる。
[5−3.低誘電率絶縁材料用途]
近年、コンピュータの中央処理装置(CPU)用回路基盤には、樹脂薄膜を層間絶縁膜とする高密度かつ微細な多層配線に適した樹脂薄膜配線が適用されるようになってきた。将来よりも高速な処理能力を有するコンピュータを実現するには、高密度かつ繊細な多層配線を活かし、更に信号の高速伝播に適した低誘電率絶縁材料の開発が求められている。本発明に係るフラーレン誘導体は、通常、上記用途に使用される有機溶媒への溶解度が高いことより、特殊な溶媒を用いることなく、より高濃度で他の材料と複合化することが可能である。また、フラーレン誘導体単独で成膜することも可能である。この際、本発明に係るフラーレン誘導体は、フラーレン構造が本質的に有する高抵抗、低誘電率の性質を保持しており、複合化して用いる際にはフィラーとしての機械的強度の向上効果を有することができ、これにより、従来にない優れた性能の低誘電率の層間絶縁膜の実現が可能となる。
[5−4.太陽電池用途]
有機太陽電池は、シリコン系の無機太陽電池と比較して、優位な点が多数あるものの、エネルギー変換効率が低く、実用レベルに十分には達していない。この点を克服するため、最近、電子供与体である導電性高分子と、電子受容体であるフラーレン又はフラーレン誘導体とを混合した活性層を有するバルクヘテロ接合型有機太陽電池が提案されている。このバルクヘテロ接合型有機太陽電池では、導電性高分子とフラーレン誘導体それぞれとが分子レベルで混じり合い、その結果非常に大きな界面を作り出すことに成功し、変換効率の大幅な向上が実現されている。
本発明に係るフラーレン誘導体は、上記用途で使用される有機溶媒への溶解度が高いため、p型半導体と効率的なバルクへテロ接合構造を構成することが容易である。また、本発明に係るフラーレン誘導体は、本質的にn型半導体としてのフラーレンの性質は保持している。
これらのことにより、本発明に係るフラーレン誘導体又は本発明の溶液を用いれば、極めて高性能な有機太陽電池の実現が可能となる。さらに高溶解性を利用し、導電性高分子等の電子供与体層との層分離制御や誘導体分子の整列配向性・細密充填性などのモルフォロジー制御を可能にし、これにより特性の向上が実現できる上、デバイス設計において高い柔軟性を与える。また、製造上も通常の印刷法やインクジェットによる印刷、更にはスプレー法等により、低コストで容易に大面積化を実現する事が可能である。
[5−5.半導体用途]
光センサー、整流素子等への応用が期待できる電界効果トランジスタの有機材料として、フラーレン及びフラーレン誘導体を使用することが研究されている。一般的に、フラーレン及びフラーレン誘導体を半導体に用いて電界効果トランジスタを作製した場合、当該電界効果トランジスタはn型のトランジスタとして機能することが知られている。
本発明に係るフラーレン誘導体は、上記用途で使用される有機溶媒への溶解度が高いことにより、塗布による成膜が容易であり、また、n型半導体としてのフラーレンの本質的な性質は保持している。これにより、本発明に係るフラーレン誘導体は、低コスト、高性能な有機半導体として期待できる。
[5−6:原料中間体としての用途]
本発明に係るフラーレン誘導体を出発原料として、エポキシ基に特定の有機基(保護基)を導入する工程を経て、新たな機能を有するフラーレン誘導体を製造することができる。以下、その有機基の導入方法に関して代表例を記すが、以下の例に限定されるものではない。
具体的な有機基の導入方法は、導入する有機基の種類に応じて様々であるが、例えば特表2006−513935号公報や特開2007−31298号公報に記載される方法によって、フラーレン1,3−ジオキソランを製造することが出来る。
また、原料炭化水素化合物が水酸基を有する場合、その水酸基に特定の有機基(保護基)を導入する工程を経て、新たな機能を有するフラーレン誘導体を製造することができる。以下、その有機基の導入方法に関して代表例を記すが、以下の例に限定されるものではない。
具体的な有機基の導入方法は、導入する有機基の種類に応じて様々である。その例を挙げると、以下のようなものが挙げられる。
(1)水酸基含有フラーレン誘導体をエステル化剤と反応させて、エステル化する。
(2)水酸基含有フラーレン誘導体をカーボネート化剤と反応させて、カーボネート化する。
(3)水酸基含有フラーレン誘導体をエーテル化剤と反応させて、エーテル化する。
(4)水酸基含有フラーレン誘導体をウレタン化剤と反応させて、ウレタン化する。
上記(1)〜(4)の方法をはじめとして、本発明に係るフラーレン誘導体に有機基を導入する条件は、特開2006−56878号公報他既存の方法を参照することができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。なお、本明細書の記載において、ODCBはオルトジクロロベンゼンを表し、Meはメチル基を表し、PMMAはポリメチルメタクリレートを表す。
[合成例1:C60(MeC1111(O)の製造]
〔合成〕
フラーレンC60(6g、8.3mmol)とテトラクロロエタン(150mL)を200mL三口フラスコに仕込み、塩化アルミニウム(無水)(東京化成製)(11.1g、83.2mmol)及びトルエン(15.3g、83mmol)を加え、30℃で5時間攪拌して反応を行った。HPLCで原料のピークが完全になくなったことを確認した後、別容器にて水を300mL加えて攪拌し、反応を停止させた。その後、分液ろうとで水相と有機相とを分離した。この分液操作を2度行った。その後、分離した有機相に2重量%炭酸水素ナトリウム水溶液を300mL添加し、未反応の塩化アルミニウムの除去を行った。分液操作後、有機相に水を300mL添加し、水相のpHが中性になったことを確認後、有機相をエバポレーターにて30g程度まで濃縮した。濃縮した液にトルエンを120mL添加し、攪拌後、MeOHを1200mL滴下し晶析を行った。晶析液を1時間攪拌後、定量ろ紙を用いて、減圧ろ過を行った。ろ別されたウエットケーキを減圧乾燥機で60℃にて約12時間乾燥させることにより、黄褐色の固体として下記構造式で表されるヒドロアリール化フラーレン酸化体(1)を化合物1として15.2gの収量で得た。
〔構造解析〕
化合物1を重水素化クロロホルム中にてH−NMR測定を行った。結果を図1に示す。図1において、3〜5.5ppm付近にフラーレン骨格に直接付加した水素のブロードなピーク、1.8〜2.6ppmにトリル部位のメチル基のブロードなピーク、6.5〜8ppmにトリル部位の芳香族プロトンのブロードなピークがほぼ1:3:4の面積比で観測されたことから、フラーレン骨格にトリル基と水素が多付加していることが確認された。
また、化合物1について赤外線吸収スペクトル(ATR法)を測定した。結果を図2に示す。図2において、原料C60に特徴的な1429、1182、576、526cm−1の4つの鋭い吸収は消失しており、3020〜2860cm−1付近に芳香族および脂肪族C−H伸縮振動に基づく吸収、1188cm−1と816cm−1にエポキシ環の対称伸縮に基づくと思われる吸収が見られた。
さらに、化合物1について元素分析を行った。この元素分析の結果、化合物1はC60(CCH11なる組成を有するものとよく一致した。上記組成の計算値はC:91.5%、H:4.9%、O:3.6%であり、実験値はC:92.5%、H:4.7%、O:3.9%であった。この結果から、導入されたトリル基の数はフラーレン1分子当り平均11個であり、また、酸素原子が平均して4個含まれると見積もられた。
また、化合物1について質量分析(MALDI−TOF法)を行った。結果を図3に示す。図3より、C60に対してトリル基が6〜13個付加した化合物が観測され、中でも10,11付加体がメインであり、それぞれの付加数に対応した酸化物も観測された。
以上の結果から、得られた化合物1が表題化合物C60(MeC1111(O)であることが確認され、式(I)で表される構造式において、a=11、b=11、c=4である式(I)で表される混合物であった。
〔評価〕
化合物1のPGMEAへの溶解度を目視法により測定したところ、20重量%であると決定された。そのほかの有機溶媒への溶解度と下記(表1)に示す。なお、表中「○」は溶解残が確認されなかったことを示し、「△」は溶解残が目視で確認されたことを示す。
さらに、化合物1の2重量%PGMEA溶液を調製し、アドバンテック製孔直径0.2μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって塗布液を調製した。当該塗布液をシリコン基板上に塗布して、シリコン基板を回転速度500rpmで10秒間、その後1500rpmで40秒間回転させて回転塗布を行った。その後、コンタクトベークにて(即ち、シリコン基板をホットプレートに直接置いて)100℃、1分間で乾燥させ、膜厚15nmの薄膜を形成した。目視により膜状態を評価したところ鏡面状態であり、膜塗布性が良好であることを確認した。
J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(M−2000)を用いて、得られた薄膜の波長193nm〜1680nmにおける屈折率(n値)及び消衰係数(k値)を求めた。その結果を表2に示す。また、測定された屈折率及び消衰係数の波長スペクトルは図4に示す。
さらに、得られた化合物1のTG−DTAを測定した。その結果を図5に示す。なお、TG−DTAは以下の条件で測定した。
サンプル質量:5.050mg
ガス流量:窒素ガス、200mL/min
パン:Pt
昇温速度:10℃/min
測定上限温度:30℃〜1000℃
[実施例1]
合成例1で得られた化合物1を用いて、以下に記載の方法でレジスト評価を行なった。
(1)レジスト組成物の調製
(i)ポリメチルメタクリレート系のポジ型電子線レジストであるOEBR−1000LB(東京応化工業製)を、乳酸エチル系シンナーで2倍に希釈した。
(ii)フラーレン誘導体として化合物1を、OEBR−1000LBの固形分に対して5重量%となるように添加し、スターラーにて一晩攪拌した。
(iii)攪拌後、孔直径0.1μmのフィルターでろ過し、レジスト組成物を得た。
(2)レジスト膜の形成
上記にて調製したレジスト組成物をSi基板上に厚さ100nmとなるように回転塗布し(塗布工程)、170℃にて60分間、加熱処理をした(加熱工程)。
(3)露光
EB露光装置:JBX−6000FS(日本電子製)を用い、加速電圧:50kVにて露光を行なった(露光工程)。
(4)現像・リンス
現像液としてキシレンを用い、これに45秒間浸漬した(現像工程)。その後、リンス液としてIPA(イソプロピルアルコール)を用い、これに30秒間浸漬して現像液をすすぎ落とした。
(5)評価
(5−1):エッチング耐性評価
(i)パターン形成後、パターンとSi基板との段差を測定した。測定された段差の大きさを膜厚A(レジスト膜厚)とした。
(ii)以下の要領で、それぞれの所要時間ごとにサンプルを準備し、エッチング処理を行なった。
(CFガスによるRIEエッチング)
装置:サムコインターナショナル製RIE−10NR
エッチング条件:CF、50W、70sccm、20Pa
エッチング時間:0秒、60秒、120秒、180秒、240秒、300秒
膜減り量測定:KLAテンコール社製アルファステップ500
(iii)パターンとSi基板との段差を測定した。測定された段差の大きさを膜厚Bとした。
(iv)アッシング後にパターン形成されていたSi基板と無パターン部のSi基板との段差を測定した。測定された段差の大きさを膜厚Cとした。
なお、アッシングは以下の要領で行なった。
(Oアッシングによるレジスト剥離)
装置:サムコインターナショナル製RIE−10NR
アッシング条件:O=20sccm、50W、20Pa、5分
膜減り量測定:KLAテンコール社製アルファステップ500
(v)以下の計算式により、レジスト膜及びSi基板の膜減り量を求めた。
レジスト膜の膜減り量=膜厚A+膜厚C−膜厚B
Si基板の膜減り量=膜厚C
(vi)エッチング時間と膜減り量のグラフの傾きからレジスト膜とSi基板のエッチング速度を算出した。
(vii)レジスト膜のエッチング速度をSi基板のエッチング速度で除し、規格化した。
(viii)規格化したフラーレン誘導体を添加していないレジスト膜(後述の比較例1)のエッチング速度を、規格化したフラーレン誘導体を添加したレジスト膜(実施例1)のエッチング速度で除し、低下した速度の割合を向上率([%])として算出し、比較を行なった。
以上の結果を表3に示す。
[比較例1]
フラーレン誘導体を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法でレジスト評価を行った。結果を表3に示す。
以上のように、フラーレン誘導体未添加のOEBR−1000LBである比較例1に対して、実施例1はフラーレン誘導体の添加により14%のエッチング耐性の向上効果が得られた。
[実施例2]
合成例1で得られた化合物1を用いて、以下に記載の方法でレジスト評価を行なった。
(1)レジスト組成物の調整
(i)ZEP520A(日本ゼオン製、アニソール溶媒)をアニソールで2倍に希釈した。
(ii)フラーレン誘導体として化合物1を、希釈前のZEP520A液に対して1重量%となるように添加し、スターラーにて一晩攪拌した。
(iii)攪拌後、孔直径0.1μmのフィルターでろ過し、レジスト組成物を得た。
(2)レジスト膜の形成
上記にて調整したレジスト組成物をSi基板上に厚さ100nmとなるように回転塗布し、170℃にて20分加熱処理をした(加熱工程)。
(3)露光
EB露光装置:JBX−6000FS(日本電子製)を用い、加速電圧:50kVにて露光を行なった(露光工程)。
(4)現像・リンス
現像液としてZED−N50(日本ゼオン製)を用い、これに45秒間浸漬した(現像工程)。その後、リンス液としてIPA(イソプロピルアルコール)を用い、これに30秒間浸漬して現像液をすすぎ落とした。
(5)評価
(5−1):解像力評価
線幅30nm〜200nmまでのLine&spacaパターンを形成し、SEM(日立S−5200)によって、上面観察及び断面観察を行った。結果を図6に示す。図6に示す結果より、フラーレン誘導体を添加したことによる解像力の低下が見られず、線幅50nmでパターン形成したものまで解像している事が分かる。
(5−2):エッチング耐性評価
実施例1と同様にしてエッチング耐性評価を行い、向上率([%])を算出した。結果を表4に示す。なお、ここでは向上率として比較例2に対する実施例2の向上率を求めた。
[比較例2]
フラーレン誘導体を添加しないこと以外は、実施例2と同様の方法でレジスト評価を行った。結果を表4に示す。なお、解像度評価の結果は図6に示す。
以上のように、フラーレン誘導体未添加のZEP520Aである比較例2に対して、実施例2はフラーレン誘導体の添加により22%のエッチング耐性の向上効果が得られた。
[比較例3]
非特許文献3に記載のフラーレンC60を添加したエッチング耐性のデータを、比較例3として図7に記載した。なお、エッチング条件はC、100W、40sccm、2.0Paであった。なお、図7ではエッチング速度の値は比較例2の結果により規格化した値を示す。また、図7には実施例2及び比較例2の結果も示した。
[比較例4]
非特許文献3に記載の、下記構造を有するフラーレン誘導体を添加したエッチング耐性のデータを、比較例4として図7に記載した。なお、エッチング条件は比較例3と同様であった。
図7から、エッチング耐性はフラーレン誘導体を添加したモル数に相関していることが分かる。また、非特許文献3におけるエッチング耐性向上効果に対し、本発明に係るフラーレン誘導体は同一添加量での効果が高い、ということが分かる。
[実施例3]
合成例1で得られた生成物を用いて、以下に記載の方法で樹脂への添加試験を行なった。
(1)樹脂組成物の調製
(i)PMMA(和光純薬製、ペレット状)をクロロホルムに10重量%になるように添加し、スターラーにて1時間攪拌した。
(ii)化合物1をクロロホルムに任意の濃度になるように添加し、スターラーにて1時間攪拌した。
(iii)(i)の溶液と(ii)の溶液を化合物1とPMMAが所定の割合になるように混合した。
(iv)(iii)の溶液をアルミ皿に滴下し、60℃のホットプレートで加熱、溶媒除去した。これにより、アルミ皿上に樹脂組成物膜が形成された。
(v)得られた樹脂組成物膜を4mmφに切り出し、減圧乾燥器で120℃、1時間、追加乾燥を行った。
(vi)得られた樹脂組成物膜についてTG−DTA測定を実施した。結果を図8及び図9に示す。なお、TG−DTAは以下の条件で測定した。
サンプル質量:5.050mg
ガス流量:窒素ガス(図8)及び空気(図9)、200mL/min
パン:Pt
昇温速度:10℃/min
測定上限温度:30℃〜1000℃
[比較例5]
フラーレン誘導体を添加しないこと以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物膜を作製し、TD−DTA測定を実施した。結果を図8及び図9に示す。
また、図10にTG−DTA測定において10重量%が減少した時点での加熱温度と、化合物1の添加量との関係を示す。図10から、フラーレン誘導体を添加していないPMMA樹脂と比較して、本発明に係るフラーレン誘導体を1重量%程度の非常に少量だけ添加した場合でも、耐熱性は窒素下で20℃、空気下で50℃程度向上していることが分かる。
本発明は、任意の分野で使用することが可能である。中でも、本発明に係るフラーレン誘導体はトルエン等の芳香族溶媒やPGMEA等の極性溶媒に対して高い溶解性を有し、且つ、低コストで容易に製造可能であることから、本発明は例えば、DVD、CD等の光ディスク材料の製造、半導体集積回路の作製、半導体集積回路作製用マスクの製造、液晶用集積回路の作製、液晶画面製造用レジスト材料等の用途に好ましく使用することができる。また、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーに加えて、EUV(極端紫外光)やEB(電子ビーム)などの光源短波長化に適応したフォトレジストや反射防止膜の機能を有した下層膜材料としてのフォトレジスト、ナノインプリント及び層間絶縁膜の用途に特に好ましく使用することができる。中でも、ドライエッチング耐性が高いことを利用した塗布型のマスク材に特に好ましく使用することができる。
本発明の合成例1で製造した化合物1のH−NMRチャートを示す図である。 本発明の合成例1で製造した化合物1の赤外吸収スペクトルを示す図である。 本発明の合成例1で製造した化合物1のマススペクトルを示す図である。 本発明の合成例1で製造した化合物1で形成したフラーレン誘導体膜の屈折率n及び消衰係数kの波長スペクトルを示す図である。 本発明の合成例1で製造した化合物1でTG−DTA測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例2及び比較例2で撮影したLine&spacaパターンの断面のSEMによる図面代用写真である。 本発明の実施例2及び比較例2〜4のエッチング耐性評価の結果を表わすグラフである。 本発明の実施例3の樹脂組成物の窒素ガス中におけるTG−DTA測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例3の樹脂組成物の空気中におけるTG−DTA測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例3の樹脂組成物のTG−DTA測定における、10重量%減少温度と、化合物1の添加量との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 下記式(I)で表されるフラーレン誘導体を含むことを特徴とするフラーレン誘導体溶液。
    (式(I)において、 は置換基を有してもよいフェニル基を表し、aは11を表し、bは11を表し、cは4を表し、丸で示される構造は 60 フラーレン骨格を表す。)
  2. 下記式(I)で表されるフラーレン誘導体を含むことを特徴とするフラーレン誘導体膜。
    (式(I)において、 は置換基を有してもよいフェニル基を表し、aは11を表し、bは11を表し、cは4を表し、丸で示される構造は 60 フラーレン骨格を表す。)
  3. 下記式(I)で表されることを特徴とするフラーレン誘導体。
    (式(I)において、 は置換基を有してもよいフェニル基を表し、aは11を表し、bは11を表し、cは4を表し、丸で示される構造は 60 フラーレン骨格を表す。)
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