JP4699233B2 - フラーレン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フラーレン誘導体の製造方法に関する。具体的には、ハロゲン化有機化合物とグリニャール試薬と有機銅試薬とを用いたフラーレン誘導体の製造方法に関する。
炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスター(以下、「フラーレン」ともいう)の合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成されてきた。
このようなフラーレン誘導体の具体例として、フラーレン骨格に5個の有機基が結合したフラーレン誘導体(以下、単に、「5重付加フラーレン誘導体」ともいう)の合成方法について報告されている[たとえば、特開平10−167994号公報(特許文献1)、特開平11−255509号公報(特許文献2)、J. Am. Chem. Soc., 118, 12850 (1996)(非特許文献1), Org. Lett., 2, 1919 (2000) (非特許文献2), Chem. Lett., 1098 (2000) (非特許文献3)]。
5重付加フラーレン誘導体の製造方法としては、たとえば、フェニルグリニヤール試薬とCuBr・S(CH32とから調製される有機銅試薬をフラーレンC60と反応させることにより、フェニルグリニヤール試薬を構成するフェニル基がフラーレンC60の一つの5員環の周囲を取り囲むように位置選択的に付加したフェニル化フラーレン誘導体(C60Ph5H)が定量的に得られることが知られている[たとえば、特開平10−167994号公報(特許文献1)]。
しかしながら、カルボキシル基やエステル基等の置換基を持つ化合物はグリニャール試薬に対して活性であるため、これらの置換基を有するグリニャール試薬を調整することが困難である。そのため、カルボキシル基やエステル基等の置換基を持つグリニャール試薬を用いて、カルボキシル基やエステル基等の置換基を持つフラーレン誘導体を簡便に合成する方法を用いることができなかった。その結果、これらの置換基を有するフラーレン誘導体を合成するには、たとえば、大過剰のブロモマロン酸エステル誘導体とフラーレンを多段階で反応させて5重付加体を製造する方法(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33, 2339 (1994)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1607 (1995)等)や、C60I6をベンゼンに対して求電子置換させる工程を含む多段合成法(J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1464 (1994))等の手間と時間のかかる方法を用いてフラーレン誘導体を合成せざるを得なかった。加えて、これらのフラーレン誘導体の製造方法では、位置選択的に5重付加フラーレン誘導体を得ることは極めて困難であり、またフラーレン誘導体の収率も低いという問題点もあった。
特開平10−167994号公報 特開平11−255509号公報 J. Am. Chem. Soc., 118, 12850 (1996) Org. Lett., 2, 1919 (2000) Chem. Lett., 1098 (2000) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33, 2339 (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1607 (1995)
上記の状況の下、たとえば、カルボキシル基やエステル基等の置換基を持つフラーレン誘導体の簡便な合成方法が求められている。また、たとえば、置換基が位置選択的に付加された5重付加フラーレン誘導体を簡便に得ることが求められている。
本発明者等は、フラーレン誘導体の製造において、フラーレンに対して、グリニャール試薬(B)と有機銅試薬(C)との他にさらにハロゲン化有機化合物(A)を添加して反応させることによって、新規なフラーレン誘導体および簡便なフラーレン誘導体の製造方法を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のようなフラーレン誘導体およびフラーレン誘導体の製造方法等を提供する。
[1] フラーレン、
下記式(1)
11 (1)
[式中、R1は有機基を示し;X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化有機化合物(A)、
下記式(2)
2MgX2 (2)
[式中、R2は有機基を示し;X2はハロゲン原子を示す。]
で表されるグリニャール試薬(B)、および、
1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)
を反応させることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
[2] フラーレン、
下記式(1)
11 (1)
[式中、R1は置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示し;X1はハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化有機化合物(A)、
下記式(2)
2MgX2 (2)
[式中、R2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはアリール基を示し;X2はハロゲン原子を示す。]
で表されるグリニャール試薬(B)、および、
1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)
を反応させることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
[3] C60フラーレン、
下記式(1)
11 (1)
[式中、R1は置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示し;X1はハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化有機化合物(A)、
下記式(2)
2MgX2 (2)
[式中、R2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し;X2はハロゲン原子を示す。]
で表されるグリニャール試薬(B)、および、
1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)
を反応させることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
[4] フラーレン誘導体が、下記式(4)
Cn(R4m(R5P (4)
[式中、nは60以上の偶数;mは3〜10の整数;pは1または2;R4はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示し;R5は水素原子、C1〜C20炭化水素基を示す。]
で表されるフラーレン誘導体である、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[5] フラーレン誘導体が、下記式(5)
Figure 0004699233

[式中、R4はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示し;R5は水素原子またはC1〜C20炭化水素基を示す。]
で表されるフラーレン誘導体C60(R455である、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[6] R4が、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[4]または[5]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[7] R4が、エステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基およびアリール基、からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[4]または[5]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[8] R5は水素原子、C1〜C20アルキル基を示す、[4]〜[7]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[9] R1が、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[10] R1が、エステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基およびアリール基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[11] X1がCl、BrまたはIである、[1]〜[10]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[12] R2が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基またはフェニル基である、[1]〜[11]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[13] X2がCl、BrまたはIを示す、[1]〜[12]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[14] 銅化合物がCuBr・S(CH32である、[1]〜[13]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[15] フラーレンとハロゲン化有機化合物(A)とグリニャール試薬(B)と有機銅試薬(C)とを反応させた後に、さらに、下記式(3)
33 (3)
[式中、R3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。]を示し;
3はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルキルを反応させることを特徴とする、[1]〜[14]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[16] ハロゲン化アルキルがヨウ化メチルである、[15]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[17] カルボキシル基を有するフラーレン誘導体の製造方法であって、
[1]〜[16]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法で得られたエステル基を有するフラーレン誘導体と、塩基とを反応させることを特徴とする、カルボキシル基を有するフラーレン誘導体の製造方法。
[18] 末端にアセチレン基を有するフラーレン誘導体の製造方法であって、
[1]〜[16]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法で得られたトリメチルシリルエチニル基を有するフラーレン誘導体とテトラブチルアンモニウムフルオライドとを反応させて、前記トリメチルシリルエチニル基をエチニル基に変換することを特徴とする、末端にアセチレン基を有するフラーレン誘導体の製造方法。
[19] 下記式(6)
Figure 0004699233

[式中、R5は水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R6はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示す。]
で表されるフラーレン誘導体。
[20] R5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、[19]に記載のフラーレン誘導体。
[21] R6は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C20アルケニル基、または、置換基を有してもよいC2〜C20アルキニル基を示す、[19]に記載のフラーレン誘導体。
[22] 下記式(6)
Figure 0004699233

[式中、R5は水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R7はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示す。]
で表されるフラーレン誘導体。
[23] R5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、[22]に記載のフラーレン誘導体。
[24] R7は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C20アルケニル基、または、置換基を有してもよいC2〜C20アルキニル基を示す、[22]に記載のフラーレン誘導体。
[25] 下記式(8)
Figure 0004699233
[式中、R5はそれぞれ独立して水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R6はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R7はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよい芳香族基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよい縮合多環芳香族基 または置換基を有してもよい縮合多環複素環基を示す。]
で表されるフラーレン誘導体。
[26] R5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、[25]に記載のフラーレン誘導体。
[27] R7は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、または置換基を有してもよいピレニル基を示す、[25]に記載のフラーレン誘導体。
[28] 下記式(9)
Figure 0004699233

[式中、R5はそれぞれ独立して水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R6はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R7はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよい芳香族基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよい縮合多環芳香族基 または置換基を有してもよい縮合多環複素環基を示す。]
で表されるフラーレン誘導体。
[29] R5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、[28]に記載のフラーレン誘導体。
[30] R7は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、または置換基を有してもよいピレニル基を示す、[28]に記載のフラーレン誘導体。
本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法を用いると、たとえば、カルボキシル基やエステル基等の置換基を持つフラーレン誘導体を簡便に得ることができる。本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法を用いると、たとえば、置換基が位置選択的に付加された5重付加フラーレン誘導体を簡便に得ることができる。また、本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法を用いると、たとえば、高い収率でフラーレン誘導体を得ることができる。
1.本発明の製造方法で得られるフラーレン誘導体
上述したとおり、本発明の製造方法で得られるフラーレン誘導体は、上記式(4)で表されるフラーレン誘導体である。ここで、フラーレンとは、炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスターの総称であり(現代化学2000年6月号46頁,Chemical Reviews, 98, 2527(1998)参照)、たとえば、フラーレンC60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。
(4)式中、nは60以上の偶数、フラーレン誘導体の製造原料に用いられるフラーレンの種類に依存する。具体的には、nは60、70、76、78、82、84、90、94、96等の偶数である。
(4)式中、mは、mは3〜10の整数であり、5〜10であることが好ましい。mが3〜5の場合pは1であることが好ましく、mが6,8または10の場合pは2であることが好ましく、mが7または9の場合pは1であることが好ましい。
また、(4)式中、R4は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示す。R4は互いに同一でも異なっていてもよい。
また、(4)式中、R5は水素原子、C1〜C20アルキル基を示す。
本発明の製造方法において、ハロゲン化有機化合物(A)を構成するR1がフラーレン骨格に付加されて、フラーレン誘導体の(4)式中のR4に対応する。したがって、原則としてR1とR4は一致するが、R1がフラーレン骨格に付加された後に、さらに別の置換基に変換等されることもでき、その場合には両者は一致しない。
同様に、本発明の製造方法において合成されたフラーレン誘導体にさらに添加できるハロゲン化アルキルを構成するR3がフラーレン骨格に付加されて、フラーレン誘導体の(4)式中のR5に対応する。したがって、原則としてR3とR5は一致するが、R3がフラーレン骨格に付加された後に、さらに別の置換基に変換等されることもでき、その場合には両者は一致しない。
本発明の製造方法で得られるフラーレン誘導体において、フラーレン骨格に付加する基(R4,R5)は、フラーレン骨格に対して位置選択的に付加され得る。たとえば、フラーレンC60を原料として用いた場合には、フラーレンC60の5員環を取り囲むようにR4がフラーレン骨格に付加し、前記5員環の1つの炭素にR5がフラーレン骨格に付加できる。
本明細書において、「C1〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1〜C20炭化水素基」には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C1〜C20アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C18アリール基」は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アルキルアリール基」は、C7〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アリールアルキル基」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C1〜C20アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
本明細書において、「C6〜C20アリールオキシ基」は、C6〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「アルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。)」において、Y1及びY3は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)」において、Y2及びY4は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
「C1〜C20炭化水素基」、「C1〜C20アルコキシ基」、「C6〜C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「置換基を有してもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
本明細書において、「芳香族基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等がある。
本明細書において、「複素環基」の例としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ビピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環芳香族基」の例としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環複素環基」の例としては、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等がある。
また、これらの、「芳香族基」、「複素環基」、「縮合多環芳香族基」および「縮合多環複素環基」が有しても良い置換基の例としては、制限するわけではないが、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
2.本発明のフラーレン誘導体の製造方法
本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、フラーレン、上記式(1)で表されるハロゲン化有機化合物(A)、上記式(2)で表されるグリニャール試薬(B)、および、1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)を反応させてフラーレン誘導体を合成することを特徴とする。
2.1 フラーレン
本発明のフラーレン誘導体の製造方法に用いられるフラーレンは、特に限定されるものではないが、たとえば、フラーレンC60(いわゆる「バックミンスター・フラーレン」)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。これらのフラーレンの中でも、入手の容易性から、本製造工程においてC60およびC70を用いることが好ましい。
2.2 ハロゲン化有機化合物(A)
本発明の製造方法で用いられるハロゲン化有機化合物(A)は上記式(1)で表される。
(1)式中、R1は有機基であれば特に限定されるものではないが、たとえば、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有していてもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有していてもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示す。
さらに具体的には、R1は、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基等の官能基を含む置換基を有することができる。ハロゲン化有機化合物の合成の容易性の点から、エステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基およびアリール基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を含むことが好ましい。この際、R1に含まれる官能基が2以上の場合、各官能基は同一であっても異なっていてもよい。
(1)式中、X1はハロゲン原子を示す。X1はハロゲン原子の中でも、Cl、BrまたはIが好ましい。
2.3 グリニャール試薬(B)
本発明の製造方法で用いられるグリニャール試薬(B)は上記式(2)で表される。
(2)式中、R2はグリニャール試薬の調整が可能な不活性置換基を有する有機基であれば特に限定されるものではない。上記置換基としては、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基が挙げられる。
(2)式中、X2はハロゲン原子を示す。X1はハロゲン原子の中でも、Cl、BrまたはIが好ましい。
2.4 有機銅試薬(C)
本発明の製造方法で用いられる有機銅試薬(C)は、1価または2価の銅化合物から調整されたものであれば、特に限定されるものではない。これらの中でも、精製が容易で純度を高めることができる点から、有機銅試薬としてCuBr・S(CH32を用いることが好ましい。
また、有機銅試薬の安定化や溶解度を向上させること等を目的として、場合により、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)や、N−ブチルピロリドン(NBT)などの添加剤を適時用いることもできる。
2.5 混合比等
通常、ハロゲン化有機化合物(A)、グリニャール試薬(B)および有機銅試薬(C)は、フラーレンに対して5〜50当量、好ましくは10〜20当量用いられる。
また、本件発明の製造方法に用いられるハロゲン化有機化合物(A)とグリニャール試薬(B)との混合比(モル比)は1:0.8〜1:1の範囲が好ましく、グリニャール試薬(B)と有機銅試薬(C)との混合比(モル比)は1:0.8〜0.8:1の範囲が好ましい。
高純度のフラーレン誘導体を合成するためには、グリニャール試薬に対してハロゲン化有機化合物と有機銅試薬をやや過剰に用いることが好ましい。
2.5 反応条件
本発明の製造方法における、フラーレン、ハロゲン化有機化合物(A)、グリニャール試薬(B)および有機銅試薬(C)の反応は、一般的には、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロベンゼン、またはそれらの混合溶媒などの不活性溶媒中で行われる。
当該反応は−70℃〜70℃の温度範囲で行われることが好ましく、−50℃〜50℃の温度範囲で行われることがさらに好ましい。
また、反応時間は用いられる溶媒や温度等に依存するが、一般的には、通常、数分〜5時間、好ましくは10分〜4時間程度で行われる。
本発明におけるフラーレン誘導体の合成反応の停止は、塩化アンモニウム水溶液などを反応系中に添加することによって行うことができる。
2.6 フラーレン誘導体の単離
本発明の合成反応の反応系からフラーレン誘導体を単離する方法は、特に限定されないが、たとえば反応液をそのままシリカゲルカラムに通すことによって、無機物等の副生成物を除くことによって行われる。必要に応じて、単離した物質について、HPLCや通常のカラムクロマトグラフィー等で更に精製し、フラーレン誘導体の純度を向上させてもよい。
2.7 フラーレン骨格に付加された置換基の変換
上記本発明のフラーレン誘導体合成反応によってフラーレン骨格に付加された置換基を変換することができる。
2.7.1 カルボキシル基が付加されたフラーレン誘導体の製造方法
上記本発明のフラーレン誘導体合成反応によって得られたフラーレン誘導体に付加された置換基がエステル基を有する場合、このフラーレン誘導体にNaHやNaOH等の塩基を添加して処理することによって、エステル基をカルボキシル基に変換することができる。
これによって、カルボキシル基が付加されたフラーレン誘導体を得ることができる。
2.7.2 末端にアセチレン基を有するフラーレン誘導体の製造方法
上記本発明のフラーレン誘導体合成反応によって得られたフラーレン誘導体に付加された置換基がトリメチルシリルエチニル基を有する場合、テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)を添加して処理することによって、トリメチルシリルエチニル基をエチニル基に変換し、末端にアセチレン基を有するフラーレン誘導体を得ることができる。
2.8 さらにハロゲン化アルキルを添加して得られるフラーレン誘導体の製造方法
フラーレン、ハロゲン化有機化合物(A)、グリニャール試薬(B)および有機銅試薬(C)を反応させた後に、さらにハロゲン化アルキル(R33)を添加して反応させることによって、R3をフラーレン誘導体に付加させることができる。
この反応によって付加するアルキル基はフラーレン骨格に位置選択的に付加できる。たとえば、フラーレンC60を原料として用いた場合には、付加した5つの基に取り囲まれたフラーレンC60の5員環を構成する炭素に、アルキル基が結合することができる。
添加されるハロゲン化アルキルを表す上記(3)式中、R3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示し、X3はハロゲン原子を示す。
ハロゲン化アルキルは、式(3)を満たせば特に限定されるものではないが、ヨウ化メチルが最も好ましい。
2.9 さらにフェニルグリニャール試薬等を添加して得られるフラーレン誘導体の製造方法
フラーレン、ハロゲン化有機化合物(A)、グリニャール試薬(B)および有機銅試薬(C)を反応させた後に、さらにハロゲン化有機化合物、フェニルグリニャール試薬および有機銅試薬等を添加して反応させることによって、R5およびR7をフラーレン誘導体に付加させることができる。
3.本発明の合成反応によって得られたフラーレン誘導体の用途
本発明のフラーレン誘導体合成反応を用いて得られた官能基を含む置換基を有するフラーレン誘導体は、従来のフラーレン誘導体と比べて異なる電気的性質および溶媒溶解性を示す。したがって、置換基の種類にもよるが、電池添加剤などの電子材料や、生理活性物質として用いることができる。
また、特にエステル基やカルボン酸基、アルキン基、シアノ基などの極性官能基を有するフラーレン誘導体では、極性官能基上でさらなる反応を行い、さらに置換基を導入することができる。このようにして得られたフラーレン誘導体は、ポリマーとシグマ結合で結合等させることができるため、原料としても有用である。
また、例えば、特開平10−167994号公報、特開平11−255509号公報等に記載された公知の方法を用いて、官能基を含む置換基を有するフラーレン誘導体の金属錯体を容易に製造することができる。このようなフラーレン誘導体の金属錯体には、フラーレン骨格に由来する電気的、光化学的、磁気的性質等に加えて金属原子固有の性質を付与することができるため、電子材料用素子としても有用である。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]C60(C64COOC25−4)5Hの製造
下記スキーム1に示すように、窒素雰囲気下において、72mgのフラーレンC60を5mLのオルトジクロロベンゼンに溶解させ、当該溶液に、ハロゲン化有機化合物(A)として12当量の4−ヨード安息香酸エチルエステル、グリニャール試薬(B)として11当量のイソプロピルグリニャール試薬(CH32CHMgClのTHF溶液(濃度約0.7M)、及び、有機銅試薬(C)として12当量の臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体CuBr・S(CH32を加え、−25℃で反応させた。その後、反応混合物を室温に昇温し、1時間放置した後、0.1mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。当該生成液に10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して副生するマグネシウム塩等を除去した。溶媒を留去し、メタノール100mLを加えて再沈して得られた固体をろ過した後、メタノール及びヘキサンで洗浄して、136mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64COOC25−4)5Hを得た(単離収率93%)。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): ( 1.40 (m, 15H, 5CH3), 4.40 (m, 10H, 5CH2), 5.34 (s, 1H, C60H), 7.42 (d, J = 8.00 Hz, 2H, ArH), 7.64 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 7.83 (d, J = 8.00 Hz, 2H, ArH), 7.84 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 7.88 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 8.03 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH).
13C NMR (CDCl3): ( 14.07 (1C, CH3), 14.28 (2C, 2CH3), 14.32 (2C, 2CH3), 58.55 (2C, 2C60(C()), 58.72 (1C, C60(C()), 60.74 (2C, 2C60(C()), 61.17 (3C, 3CH2), 61.26 (2C, 2CH2), 62.72 (1C, C60(CH)), 127.39, 127.64, 127.66, 129.67, 129.97, 130.15, 130.21, 130.35, 130.44, 143.21, 143.23, 143.89, 143.94, 143.97, 144.10, 144.17, 144.25, 144.38, 144.93, 145.23, 145.31, 145.33, 146.72, 146.92, 147.00, 147.63, 147.98, 148.13, 148.27, 148.56, 148.64, 148.68, 149.60, 150.64, 151.50, 152.57, 155.27, 165.84 (1C, CO2Et), 165.93 (2C, 2CO2Et), 165.95 (2C, 2CO2Et).
IR (powder, cm-1): 2977 (m, νC-H), 1694 (m, νC=O), 1607 (s), 1409 (s), 1258 (νC-O), 1181 (s).
APCI-MS (-): m/z 1466 (M-). APCI-HRMS (-): calcd. for C105H45O10 (M- - H) 1465.3013, found 1465.2966.
[実施例2]C60(C64CON(CH25−4)5Hの製造
下記スキーム2に示すように、窒素雰囲気下において、ハロゲン化有機化合物(A)として12当量のピペリジノ-4-ヨードベンズアミド4-C6H4CON(CH2)5、グリニャール試薬(B)として11当量のイソプロピルグリニャール試薬(CH32CHMgClのTHF溶液(濃度約0.7M)、N−ブチルピロリドン を0.6mL、および溶媒としてTHFを3.0mL加えて−30℃で1時間保持した。さらに、有機銅試薬(C)として12当量の臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体CuBr・S(CH32を加えて室温まで昇温し、36mgのフラーレンC60を3mLのオルトジクロロベンゼンに溶解した液を加えて反応を行った。8時間後、40mLの脱気した水を加えて反応を停止し、40mLのトルエンを加えて生成物を抽出した。得られた生成物のトルエン溶液をセライトパッドに通し、ろ過により溶媒を留去した後、分取HLCを用いて生成物を精製し、55mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64CON(CH25−4)5Hを得た(単離収率66%)。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 1.40-1.70 (m, 30H, NCH2CH2CH2CH2), 3.30 (m, 10H, NCH2), 3.68 (10H, NCH2), 5.24 (s, 1H, C60H), 7.16 (d, J = 8.00 Hz, 2H, ArH), 7.23 (d, J = 8.60 Hz, 4H, ArH), 7.39 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 7.40 (d, J = 8.00 Hz, 2H, ArH), 7.61 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 7.82 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH).
13C NMR (CDCl3): δ 24.42 (1C, CH2), 24.48 (2C, CH2), 24.50 (2C, CH2), 25.50 (br, 5C, CH2), 26.48 (br, 5C, CH2), 43.14 (br, 5C, NCH2), 48.77 (br, 5C, NCH2), 58.54 (2C, C60(Cα)), 58.69 (1C, C60(Cα)), 60.69 (2C, C60(Cα)), 62.69 (C59CH), 127.32, 127.45, 127.61, 127.68, 127.86, 128.07, 135.67, 135.90, 136.14, 140.51, 140.54, 143.26, 143.44, 144.14, 144.19, 144.23, 144.31, 144.40, 144.42, 145.11, 145.33, 145.52, 145.62, 146.28, 146.86, 147.06, 147.15, 147.20, 147.74, 148.10, 148.13, 148.26, 148.40, 148.68, 148.77, 148.82, 150.90, 151.58, 152.32, 155.74, 169.35 (2C, CON), 169.42 (3C, CON).
IR (powder, cm-1): 2921 (νC-H), 1615 (m, νC=O), 1428 (s), 1270 (s), 1108 (s), 999 (s).
APCI-MS (-): m/z 1661 (M-).
APCI-HRMS (-): calcd. for C120H70N5O5 (M- - H) 1660.5377, found 1660.5426.
[実施例3]C60(C64COOC64CH3−4)5Hの製造
下記スキーム3に示すように、窒素雰囲気下において、ハロゲン化有機化合物(A)として12当量の4-ヨード安息香酸p-トルイルエステル、グリニャール試薬(B)として11当量のイソプロピルグリニャール試薬(CH32CHMgClのTHF溶液(濃度約0.7M)、溶媒として THFを3.0mL加えて−45℃で30分間保持した。さらに、有機銅試薬(C)として12当量の臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体CuBr・S(CH32を加えた後、36mgのフラーレンC60を3mLのオルトジクロロベンゼンに溶解した液を加えて室温で反応を行い、1時間後、0.1mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。その後、生成液に10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して溶媒を留去した。得られた粗生成物を分取HPLCにより精製し40mgの5重付加フラーレン誘導体]C60(C64COOC64CH3−4)5Hを得た(単離収率45%)。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 2.36 (s, 6H, Me), 2.37 (s, 6H, Me), 2.38 (s, 3H, Me), 5.48 (s, 1H, C60H), 7.06-7.25 (m, 20H, OC6H4Me), 7.56 (d, J = 8.60 Hz, 2H, C6H4COO), 7.78 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4COO), 7.97 (d, J = 8.60 Hz, 4H, C6H4COO), 8.05 (d, J = 8.55 Hz, 2H, C6H4COO), 8.09 (d, J = 8.60 Hz, 4H, C6H4COO), 8.23 (d, J = 8.60 Hz, 4H, C6H4COO).
13C NMR (CDCl3): δ 20.89 (5C, Me), 58.71 (2C, 2C60(Cα)), 58.89 (1C, C60(Cα)), 60.90 (2C, C60(Cα)), 62.88 (C59CH), 121.29, 121.35, 127.67, 127.91, 128.69, 129.01, 129.07, 129.38, 129.63, 129.97, 130.00, 130.88, 130.98, 131.07, 131.16, 135.62, 135.67, 143.31, 143.43, 144.05, 144.31, 144.40, 144.45, 144.58, 144.69, 144.74, 145.01, 145.31, 145.33, 145.40, 146.91, 147.00, 147.10, 147.19, 147.83, 148.18, 148.22, 148.33, 148.44, 148.47, 148.49, 148.51, 148.76, 148.87, 148.91, 150.36, 150.63, 151.52, 152.72, 155.34, 164.63 (2C, COO), 164.71 (3C, COO).
IR (powder, cm-1): 1737 (m, νC=O), 1607 (s), 1507 (s), 1262 (νC-O), 1196 (νC-O), 1073 (s), 1017 (s).
APCI-MS (-): m/z 1776 (M-). APCI-HRMS (-): calcd. for C130H56O10 (M-) 1776.6873, found 1776.3902.
[実施例4]C60(C64C≡CSi(CH33−4)5Hの製造
下記スキーム4に示すように、窒素雰囲気下において、ハロゲン化有機化合物(A)として4-ヨード(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン
4−IC64C≡CSi(CH33を用い25℃で反応させた他は実施例1と同様の条件で反応を行い、3時間後、0.1mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。得られた生成液を10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して副生するマグネシウム塩等を除去した。溶媒を留去し、メタノール100mLを加えて再沈して得られた固体をろ過後、メタノール及びヘキサンで洗浄して151mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64C≡CSi(CH33−4)5Hを得た(単離収率95%)。
Figure 0004699233

得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.24 (s, 9H, SiMe3), 0.27 (s, 18H, 2SiMe3), 0.29 (s, 18H, 2SiMe3), 5.23 (s, 1H, C60H), 7.28 (s, 4H, C6H4), 7.31 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4), 7.45 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4), 7.48 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4), 7.68 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4).
13C NMR (CDCl3): δ -0.04 (3C, SiMe3), 0.00 (12C, 4SiMe3), 58.56 (2C, 2C60(Cα)), 58.70 (1C, C60(Cα)), 60.70 (2C, C60(Cα)), 62.87 (CH), 95.23 (2C, 2C≡CSiMe3), 95.28 (1C, C≡CSiMe3), 95.43 (2C, 2C≡CSiMe3), 104.68 (m, 5C, 5C≡CSiMe3), 122.36, 122.59, 122.88, 127.34, 127.67, 132.44, 132.57, 132.66, 139.64, 143.23, 143.39, 144.08, 144.19, 144.27, 144.38, 145.08, 145.40, 145.44, 145.57, 145.63, 146.83, 147.02, 147.11, 147.19, 147.69, 148.04, 148.08, 148.19, 148.34, 148.62, 148.72, 148.75, 150.84, 151.75, 152.42, 155.48.
IR (powder, cm-1): 2958 (m, νC-H), 2159 (s, νC≡C), 1505 (s), 1248 (s), 837 (s), 756 (s).
APCI-MS (-): m/z 1586 (M-). APCI-HRMS (-): calcd. for C115H65Si5 (M- - H) 1585.3933, found 1585.3948.
[実施例5]C60(1−ナフチル)5Hの製造
下記スキーム5に示すように、ハロゲン化有機化合物(A)として1−ヨードナフタレンを用い、25℃で反応させた他は実施例1と同様にして反応を行い、30分後、0.1mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。得られた生成液を10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して副生するマグネシウム塩等を除去した。溶媒を留去し、メタノール100mLを加えて再沈して得られた固体をろ過後、メタノール及びヘキサンで洗浄して130mgの5重付加フラーレン誘導体C60(1−ナフチル)5Hを得た(単離収率95%)。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): ( 5.16 (t, J = 8.00 Hz, 1H), 5.98 (s, 1H, C60H), 6.39 (t, J = 8.00 Hz, 1H), 7.09 (t, J = 8.00 Hz, 1H), 7.23 (m, 6H), 7.35 (d, J = 7.50 Hz, 2H), 7.46 (m, 4H), 7.53 (d, J = 7.50, 1H), 7.60 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 8.00 Hz, 2H), 7.77 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 7.91 (d, J = 8.00 Hz, 2H), 8.29 (d, J = 7.50 Hz, 2H), 8.35 (d, J = 8.00 Hz, 2H), 8.68 (d, J = 8.50 Hz, 1H), 9.20 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 9.57 9.20 (d, J = 8.50 Hz, 2H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3CS2): δ 157.80, 154.52, 153.86, 153.45, 149.16, 148.96, 148.83, 148.77, 148.57, 148.55, 148.41, 148.16, 147.97, 147.66, 147.60, 147.57, 146.32, 145.98, 145.83, 145.75, 145.00, 144.49 (overlapping, two peaks), 143.62, 143.44, 143.39, 142.03, 138.67, 135.15, 134.70, 134.56, 133.72, 133.32, 132.47, 132.31, 130.53, 130.27, 129.81, 129.68, 129.62, 129.60, 129.50, 129.18, 128.76, 128.57, 126.51, 126.49, 126.33, 126.25, 125.92, 125.63, 125.19 (overlapping, two peaks), 125.07, 124.97, 124.68, 124.53, 124.00, 63.79, 62.93, 60.04, 59.96.
[実施例6]C60(C64Br−4)5Hの製造
下記スキーム6に示すように、ハロゲン化有機化合物(A)として1−ヨード4−ブロモベンゼンを用いた他は実施例1と同様にして反応を行い、1時間後、0.1mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。得られた生成液を10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して副生するマグネシウム塩等を除去した。溶媒を留去し、メタノール100mLを加えて再沈して得られた固体をろ過後、メタノール及びヘキサンで洗浄して144mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64Br−4)5Hを得た(単離収率96%)。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): ( 5.11 (s, 1H, C60H), 7.15 (d, J = 8.05 Hz, 2H, ArH), 7.28 (d, J = 8.60 Hz, 2H, ArH), 7.32 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 7.37 (d, J = 8.60 Hz, 4H, ArH), 7.48 (d, J = 8.00 Hz, 4H, ArH), 7.60 (d, J = 8.60 Hz, 4H, ArH).
IR (powder, cm-1): 1486 (s), 1561 (s), 1077 (s), 1011 (s), 810 (s).
APCI-MS (-): m/z 1501 (M-). APCI-HRMS (-): calcd for C90H21 79Br3 81Br2 (M-) 1499.7519, found 1499.7520.
[実施例7]C60(C64COO(C25)−4)5CH3の製造
下記スキーム7に示すように、窒素雰囲気下において、72mgのフラーレンC60を5mLのオルトジクロロベンゼンに溶解させ、12当量の4−ヨード安息香酸エチルエステル、11当量のイソプロピルグリニャール試薬(CH32CHMgClのTHF溶液(濃度約0.7M)、及び12当量の臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体CuBr・S(CH32を加え、−25℃で反応させた。その後、反応混合物を室温に昇温し、2時間撹拌した後、ヨウ化メチルを加えて、70℃で2時間反応させた。生成液に10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して副生するマグネシウム塩等を除去した。溶媒を留去し、メタノール100mLを加えて再沈して得られた固体をろ過した後、メタノール及びヘキサンで洗浄して、100mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64COO(C25)−4)5CH3を得た(単離収率74%)。
Figure 0004699233

得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): ( 1.33 (t, J = 7.15 Hz, 3H, CO2CH2CH3), 1.42-1.46 (m, 15H, C60CH3 and 4CO2CH2CH3), 4.30 (q, J = 7.45 Hz, 2H, CO2CH2CH3), 4.43 (m, 8H, CO2CH2CH3), 7.24 (d, J = 8.60 Hz, 2H, Ar), 7.75 (d, J = 8.55 Hz, 2H, Ar), 7.78 (d, J = 8.60 Hz, 4H, Ar), 7.89 (d, J = 8.60 Hz, 4H, Ar), 8.03 (d, J = 8.60 Hz, 4H, Ar), 8.05 (d, J = 8.55 Hz, 4H, Ar). 13C NMR (CDCl3): ( 14.25 (1C, CH2CH3), 14.33 (4C, CH2CH3), 34.31 (C60CH3), 57.97 (2C, C60(C()), 60.84 (2C, C60(C()), 61.14 (1C, CH2CH3), 61.28 (2C, CH2CH3), 61.30 (2C, CH2CH3), 62.23 (1C, C60(C()), 62.33 (1C, C60(C)Me), 127.91, 128.44, 129.30, 129.49, 129.62, 130.13, 130.20, 130.39, 130.41, 142.43, 142.90, 143.30, 143.45, 143.64, 143.90, 144.13, 144.34, 144.49, 145.02, 145.28, 146.74, 146.99, 147.02, 147.20, 147.24, 147.78, 148.14, 148.21, 148.34, 148.42, 148.68, 148.72, 148.80, 151.05, 152.06, 156.37, 160.20, 165.85 (1C, CO2CH2CH3), 165.98 (2C, CO2CH2CH3), 166.01 (2C, CO2CH2CH3). IR (powder, cm-1): 2975 (νC-H), 1713 (m, νC=O), 1607 (s), 1268 (νC-O), 1100 (s), 1019 (s), 744 (s). APCI-MS (-): m/z 1480 (M-). APCI-HRMS (-): calcd for C106H48O10 (M-) 1480.3247, found 1480.3289.
[実施例8]C60(C64COOH−4)5CH3の製造
下記スキーム8に示すように、実施例7で製造されたC60(C64COO(C25)−4)5CH3(14.8mg,0.01mmol)をトルエン (5mL) に溶かし、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(0.5mol/L,0.20mL,0.10mmol) を加えた。反応混合物を60℃に加熱し、30分撹拌した。冷却後、沈殿した固体をろ取し、ヘキサンで洗浄した。得られたナトリウム塩の固体に、2mLの1mol/LHCl水溶液を加えてプロトン化処理した。固体をろ取し、水で洗浄し、70℃、6時間、減圧下で乾燥させて、13.0mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64COOH−4)5CH3の固体を得た (収率95%)。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (THF-d8): ( 1.59 (s, 3H, Me), 7.36 (d, J = 8.40 Hz, 2H, ArH), 7.75 (d, J = 8.40 Hz, 2H, ArH), 7.95 (d, J = 8.40 Hz, 4H, ArH), 8.05 (m, 12H, ArH), 11.53 (s, br, 5H, COOH). 13C NMR (THF-d8): ( 30.64 (C60CH3), 59.18 (2C, C60(C()), 62.12 (2C, C60(C()), 63.48 (1C, C60(C()), 63.50 (C60(C)Me), 129.00, 129.45, 130.45, 130.68, 130.92, 131.13, 131.40, 131.81, 131.99, 143.10, 143.47, 143.72, 144.53, 144.66, 144.73, 144.98, 145.18, 145.22, 145.32, 145.56, 146.34, 146.68, 147.57, 148.04, 148.24, 148.58, 148.78, 149.08, 149.14, 149.26, 149.38, 149.56, 149.70, 152.60, 153.61, 157.79, 161.63, 166.80 (1C, COOH), 167.01 (2C, COOH), 167.05 (2C, COOH). IR (powder, cm-1): 3390-2910 (br, νO-H), 1694 (m, νC=O), 1607 (s), 1270 (νC-O), 1102 (s), 1019 (s), 752 (s). APCI-MS (-): m/z 1340 (M-). APCI-HRMS (-): calcd for C96H28O10 (M-) 1340.1682, found 1340.1661.
[実施例9]C60(C64C≡CH−4)5Hの製造
下記スキーム9に示すように、実施例4で製造されたC60(C64C≡CSi(CH33−4)5H(116mg,0.073mmmol) のTHF(4mL)・CHCl3(6mL)混合溶媒に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF;0.7mL of 1.0M TBAF in THF(0.7mmol) を加えた。30分撹拌した後、溶媒の量が半分になるまで溶媒を減圧留去した。20mLのメタノールを加え、生成物を沈殿させた。沈殿物をろ取し、メタノールで洗浄して、81mgの5重付加フラーレン誘導体C60(C64C≡CH−4)5H(収率91%)を得た。
Figure 0004699233
得られた生成物のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3): ( 3.08 (s, 1H, C(CH), 3.12 (s, 2H, 2C(CH), 3.15 (s, 2H, 2C(CH), 5.22 (s, 1H, C60H), 7.31 (s, 4H, C6H4), 7.34 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4), 7.48 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4), 7.51 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4), 7.71 (d, J = 8.00 Hz, 4H, C6H4). 13C NMR (CDCl3): ( 58.46 (2C, 2C60(C()), 58.60 (1C, C60(C()), 60.60 (2C, C60(C()), 62.81 (C59CH), 78.21 (1C, C(CH), 78.23 (2C, 2C(CH), 78.41 (2C, 2C(CH), 82.76 (1C, C(CH), 82.94 (2C, 2C(CH), 82.98 (2C, 2C(CH), 121.44, 121.69, 121.96, 127.34, 127.68, 127.79, 128.15, 128.94, 132.47, 132.59, 132.66, 132.75, 139.70, 139.73, 143.26, 144.10, 144.19, 144.22, 144.30, 144.41, 144.99, 145.32, 145.47, 145.49, 145.54, 146.81, 147.00, 147.05, 147.09, 147.69, 148.06, 148.11, 148.21, 148.34, 148.62, 148.75, 148.79, 150.68, 151.54, 152.18, 155.46. IR (powder, cm-1): 3298 (s), 2923 (m, νC-H), 2111 (weak, νCC), 1505 (s), 1019 (s), 818 (s), 756 (s). APCI-MS (-): m/z 1226 (M-). APCI-HRMS (-): calcd for C120H26 (M-) 1226.2034, found 1226.2077.
[実施例10]C60(C64COO(C25)−4)5Ph5(CH32およびC60(C64COO(C25)−4)5Ph3(CH32の製造
下記スキーム10に示すように、実施例7で製造されたC60(C64COO(C25)−4)5CH3(200mg、0.14mmol)を1,2ジクロロベンゼン(10mL)に溶かし、臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体CuBr・S(CH32(410mg、2.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)とフェニルグリニャール試薬C66MgClのテトラヒドロフラン溶液(2.0mL、2.0mmol)の混合液に加えて、室温で反応を行い、15時間の撹拌の後、この暗褐色溶液にヨウ化メチル(0.32mL,5.0mmol)を加えて40℃でさらに2時間反応させた。溶媒を留去した後、反応生成液をトルエン/酢酸エチル溶媒(5/5)で希釈し、シリカゲルショートパスを通して副生するマグネシウム塩等を除去した。得られた生成液の溶媒を留去した後、分取液体クロマトグラフィ(HPLC)で分離を行い、47mgの十重付加フラーレン誘導体C60(C64COO(C25)−4)5Ph5(CH32(収率19%)および123mgの八重付加フラーレン誘導体C60(C64COO(C25)−4)5Ph3(CH32(収率55%)を得た。
Figure 0004699233
得られた十重付加フラーレン誘導体C60(C64COO(C25)−4)5Ph5(CH32のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 1.42-1.47 (m, 15H, CH3), 1.64-1.69 (m, 6H, CH3), 4.43-4.46 (m, 10H, OCH2), 7.35-7.42, 7.75-7.79, 7.82-7.87, 7.88-7.93, 7.95-8.00, 8.01-8.10 (m, 45H, arylgroup: overlapped). 13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 13.7-14.1, 33.9-34.2, 57.8, 58.1, 60.6-61.2, 61.7-62.3, 67.5-68.0, 126.8, 127.6, 128.2-128.3, 128.4-128.5, 128.7-128.9, 136.4-138.5, 140.0-140.2, 141.0-141.1, 141.7-141.9, 143.9, 144.1-144.2, 145.0-145.1, 145.3-146.0, 146.8, 147.0-147.5, 148.0, 148.3, 151.1-152.3, 155.0-155.8, 156.3-158.9, 159.3-159.5, 160.1-161.3, 161.4-162.0; IR (ReactIR diamond probe): 3066, 2979, 2966, 2929, 2900, 1715, 1607, 1493, 1445, 1407, 1310, 1212, 1181, 1106, 1019, 852.9 cm-1; APCI-MS (): calcd for C137H76O10 (M-) 1880.5438, found 1880.
得られた八重付加フラーレン誘導体C60(C64COO(C25)−4)5Ph3(CH32のNMR、IR、APCI−MSによる分析データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 1.25-1.50 (m, 21H, CH3: overlapped), 4.24-4.47 (m, 10H, OCH2), 7.35-7.63, 7.69-8.20 (m, 35H, aryl group: overlapped). 13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ13.8-14.1, 31.1-31.6, 53.8, 56.0-56.7, 59.5-61.0, 67.4-67.9, 126.8-129.1, 130.5-132.5, 134.0, 134.9, 136.4-136.6, 137.3-137.6, 138.1-138.3, 139.9-140.6, 142.0-142.3, 143.4-143.6, 144.8-157.0; IR (ReactIR diamond probe): 2979, 2964, 2929, 2898, 1717, 1607, 1505, 1493, 1447, 1407, 1316, 1272, 1183, 1104, 1021, 850.9 cm-1; APCI-MS (-): calcd for C125H66O10 (M-) 1726.4656, found 1726.
本発明で得られたフラーレン誘導体は、たとえば、電子材料、生理活性物質、金属錯体の配位子等に利用することができる。また、本発明で得られたフラーレン誘導体は、更なる転換反応を加えて、様々な種類のフラーレン誘導体を合成するための中間体として用いることができる。

Claims (29)

  1. フラーレン、
    下記式(1)
    11 (1)
    [式中、R1は置換基を有してもよいC〜C18アリール基を示し;X1はハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化有機化合物(A)、
    下記式(2)
    2MgX2 (2)
    [式中、R2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはアリール基を示し;X2はハロゲン原子を示す。]
    で表されるグリニャール試薬(B)、および、
    1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)
    を反応させ、フラーレンにR が付加されることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  2. 60フラーレン、
    下記式(1)
    11 (1)
    [式中、R1は置換基を有してもよいC〜C18アリール基を示し;X1はハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化有機化合物(A)、
    下記式(2)
    2MgX2 (2)
    [式中、R2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し;X2はハロゲン原子を示す。]
    で表されるグリニャール試薬(B)、および、
    1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)
    を反応させ、フラーレンにR が付加されることを特徴とするフラーレン誘導体の製造方法。
  3. 1が、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、請求項1または2に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  4. 1が、エステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基およびアリール基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、請求項1または2に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  5. 1がCl、BrまたはIである、請求項1〜のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  6. 2が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基またはフェニル基である、請求項1〜のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  7. 2がCl、BrまたはIを示す、請求項1〜のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  8. 銅化合物がCuBr・S(CH32である、請求項1〜のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  9. フラーレンとハロゲン化有機化合物(A)とグリニャール試薬(B)と有機銅試薬(C)とを反応させた後に、さらに、下記式(3)
    33 (3)
    [式中、R3は置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す。]を示し;
    3はハロゲン原子を示す。]
    で表されるハロゲン化アルキルを反応させることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  10. ハロゲン化アルキルがヨウ化メチルである、請求項に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  11. フラーレン誘導体が、下記式(4)
    Cn(R(R (4)
    [式中、nは60以上の偶数;mは3〜10の整数;pは1または2;R4はそれぞれ独立してC〜C18アリール基を示し;R5は水素原子、C1〜C20炭化水素基を示す。]
    で表されるフラーレン誘導体であり、
    とR が一致し、R とR が一致する、請求項9または10に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  12. フラーレン誘導体が、下記式(5)
    Figure 0004699233




    [式中、R4はそれぞれ独立してC〜C18アリール基を示し;R5は水素原子またはC1〜C20炭化水素基を示す。]
    で表されるフラーレン誘導体C60(R455であり、
    とR が一致し、R とR が一致する、請求項9または10に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  13. 4が、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、請求項11または12に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  14. 4が、エステル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基およびアリール基、からなる群から選ばれる1以上の置換基を有する、請求項11または12に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  15. 5は水素原子、C1〜C20アルキル基を示す、請求項11〜14のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
  16. カルボキシル基を有するフラーレン誘導体の製造方法であって、
    請求項1〜15のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法で得られたエステル基を有するフラーレン誘導体を製造し当該フラーレン誘導体と塩基とを反応させることを特徴とする、カルボキシル基を有するフラーレン誘導体の製造方法。
  17. 末端にアセチレン基を有するフラーレン誘導体の製造方法であって、
    請求項1〜15のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法で得られたトリメチルシリルエチニル基を有するフラーレン誘導体を製造し当該フラーレン誘導体とテトラブチルアンモニウムフルオライドとを反応させて、前記トリメチルシリルエチニル基をエチニル基に変換することを特徴とする、末端にアセチレン基を有するフラーレン誘導体の製造方法。
  18. 下記式(6)
    Figure 0004699233




    [式中、R5は水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R6はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、前記「置換基を有してもよい」の置換基は、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基またはアルコキシ基から選ばれる。]
    で表されるフラーレン誘導体。
  19. 5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、請求項18に記載のフラーレン誘導体。
  20. 6は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C20アルケニル基、または、置換基を有してもよいC2〜C20アルキニル基を示す、請求項18に記載のフラーレン誘導体。
  21. 下記式(7)
    Figure 0004699233




    [式中、R5は水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R7はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、前記「置換基を有してもよいC 1 〜C 20 炭化水素基」の置換基は、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基またはアルコキシ基から選ばれる。
    で表されるフラーレン誘導体。
  22. 5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、請求項21に記載のフラーレン誘導体。
  23. 7は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C20アルケニル基、または、置換基を有してもよいC2〜C20アルキニル基を示す、請求項21に記載のフラーレン誘導体。
  24. 下記式(8)
    Figure 0004699233


    [式中、R5はそれぞれ独立して水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R6はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、前記「置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基」の置換基は、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基またはアルコキシ基から選ばれる。
    また、R7はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよい芳香族基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよい縮合多環芳香族基 または置換基を有してもよい縮合多環複素環基を示し、前記「置換基を有してもよい」の置換基は、C〜C10炭化水素基、C〜C10アルコキシ基、C〜C10アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子またはシリル基から選ばれる。]
    で表されるフラーレン誘導体。
  25. 5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、請求項24に記載のフラーレン誘導体。
  26. 7は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、または置換基を有してもよいピレニル基を示す、請求項24に記載のフラーレン誘導体。
  27. 下記式(9)
    Figure 0004699233



    [式中、R5はそれぞれ独立して水素原子、または、置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、R6はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基を示し、前記「置換基を有してもよいC1〜C20炭化水素基」の置換基は、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基またはアルコキシ基から選ばれる。
    また、R7はそれぞれ独立して水素原子、または置換基を有してもよい芳香族基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよい縮合多環芳香族基 または置換基を有してもよい縮合多環複素環基を示し、前記「置換基を有してもよい」の置換基は、C〜C10炭化水素基、C〜C10アルコキシ基、C〜C10アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子又はシリル基から選ばれる。]
    で表されるフラーレン誘導体。
  28. 5は水素原子、置換基を有してもよいC1〜C20アルキル基を示す、請求項27に記載のフラーレン誘導体。
  29. 7は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、または置換基を有してもよいピレニル基を示す、請求項27に記載のフラーレン誘導体。
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