JP3919028B2 - 炭素クラスター誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素クラスター誘導体からなる新規な配位子及び該配位子を含む金属錯体、並びに該配位子及び該金属錯体の製造方法に関するものである。さらに詳しくいうと、本発明は、フラーレンC60 が有する炭素5員環の一つをシクロペンタジエニル配位子に変換した新規なη5 型配位子及び該配位子を含む金属錯体、並びに該配位子及び該金属錯体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シクロペンタジエニル錯体は、配位子であるシクロペンタジエニル基(C5H5:本明細書において「Cp」と略記する場合がある)と遷移金属などの各種金属との間で形成される金属錯体である。一般的なシクロペンタジエニル錯体は、η5(hepto-five: 5炭素結合)型錯体、すなわち5個の等価な金属−炭素結合によって金属原子とCp配位子とが結合した錯体として存在しており、有機化合物の合成触媒などの多様な用途を有していることが明らかにされている。
【0003】
一方、C60 に代表される炭素クラスターは、その特異な構造ゆえに注目を集めており、1990年になって大量合成法が開発されたことから、それ自体の多様な物性が解明されるようになった。また、種々の誘導体が製造されており、電気伝導材料、半導体などへの応用が図られている(本明細書においてC60 などの炭素クラスターを「フラーレン」と総称し、C60 炭素クラスターを「フラーレンC60 」と呼ぶ場合がある。「フラーレン」については総説として現代化学, 253, 4月号, p.19を参照のこと。) 。さらに、フラーレン誘導体を医薬などに応用する例も報告されている(特開平6-306014号公報, 同6-336458号公報, 同7-126216号公報, 及び同7-247297号公報などを参照)。
【0004】
従来、フラーレンを部分構造として含む金属錯体としては、エキソヘドラルなフラーレン遷移金属錯体が知られている (Fagan, P.J., et al., Acc. Chem. Res., 25, 134, 1992; Lerke, S.A., et al., J. Am. Chem. Soc., 114, 7807, 1992; 及び Yamago, S., et al., Tetrahedron, 52, 5091, 1996) 。これらの錯体では、フラーレンは低原子価で電子が豊富な中心金属に対してη2 型のオレフィン系配位子として作用している。しかしながら、フラーレン分子中に存在する炭素5員環を用いてη5 型のシクロペンタジエニル配位子を製造した例は従来全く報告がない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、C60 に存在する炭素5員環の一つをシクロペンタジエニル配位子に変換した新規なη5 型シクロペンタジエニル配位子を提供することにある。本発明の別の課題は、上記のシクロペンタジエニル配位子を有する新規な金属錯体を提供することにある。さらに本発明の別の課題は、上記配位子及び上記金属錯体の効率的な製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、フェニルグリニャール試薬とCuBr・ SMe2とから調製される有機銅試薬をフラーレンC60 と反応させると、フラーレンC60 の一つの5員環の廻りを取り囲むように5個のフェニル基が位置選択的に付加したフェニル化フラーレン誘導体(C60Ph5H) が定量的に得られることを見いだした。また、上記のフェニル化フラーレン誘導体に対して各種の金属アルコキシドを反応させると、フェニル化フラーレン誘導体からプロトンが引き抜かれて安定なシクロペンタジエニドアニオンが生成するとともに、このアニオンが金属に対して配位結合してη5 型金属錯体が得られることを見いだした。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0007】
すなわち本発明は、下記の式(I):
【化4】
Figure 0003919028
(上記式中、"Ph"は置換又は無置換の同一のフェニル基を示す。また、特に言及しない場合には、本明細書において"Ph"は置換又は無置換のフェニル基を示し、好ましくは無置換フェニル基を示す)で表されるシクロペンタジエニドイオンからなるη5 型シクロペンタジエニル配位子を提供するものである。本明細書では、上記配位子及び上記金属錯体を含めて、炭素クラスターC60 の誘導体の構造は、便宜上、分子の側面図などの概念図として記載されているが、この式は当該分子のすべての化学結合を正確に記載したものではない。炭素クラスターC60 は概ね球状のサッカーボール様の分子であり、このような概念図によっても化学構造の特定が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【0008】
また、本発明の別の態様により、上記のη5 型シクロペンタジエニル配位子を含む金属錯体が提供される。上記金属錯体中に含まれる金属原子は、上記式(I) で表されるシクロペンタジエニド配位子以外の任意の配位子を1個又は2個以上有していてもよい。本発明の好ましい態様の金属錯体では、上記金属原子はLi、K などのアルカリ金属、Tl(I) 、Cu(I) などの遷移金属、及びSm(III) などのランタノイドからなる群から選ばれる。本発明の金属錯体のうち特に好ましい錯体は、下記式(II):
【化5】
Figure 0003919028
(式中、Phは置換又は無置換の同一のフェニル基を示し、MLn は上記式(I) で表されるシクロペンタジエニド配位子以外の配位子を1個又は2個以上有することもある金属原子を示し、該金属原子は、Li、K 、Tl(I) 、Cu(I) 、及びSm(III) からなる群から選ばれる)で表される錯体である。
【0009】
また、本発明の別の態様によれば、下記式(III) で表される炭素クラスター誘導体(式中、Phは置換又は無置換の同一のフェニル基を示す)の製造方法であって、置換又は無置換フェニルグリニャール試薬とCuBr・ SMe2とから調製される有機銅試薬をフラーレンC60 と反応させる工程を含む方法が提供される。
【化6】
Figure 0003919028
【0010】
上記炭素クラスター誘導体(III) を各種の金属アルコキシドと反応させることにより、本発明の上記金属錯体を製造することが可能である。すなわち、本発明のさらに別の態様によれば、上記の式(I) 表されるη5 型シクロペンタジエニル配位子を含む本発明の金属錯体、好ましくは上記式(II)で表される金属錯体の製造方法であって、上記炭素クラスター誘導体(III) を金属アルコキシドと反応させる工程を含む方法が提供される。この発明の好ましい態様では、金属アルコキシドを構成する金属原子がLi、K 、Tl(I) 、Cu(I) 、及びSm(III) からなる群から選ばれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に従えば、上記炭素クラスター誘導体(III)(C60Ph5H: Avent, A.G., et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1463, 1994)は、フラーレンC60 (buckminsterfullerene)に対して、約16当量の有機銅試薬[置換又は無置換フェニルブロマイドと金属マグネシウムとから調製される置換又は無置換フェニルグリニャール試薬 (PhMgBr) 及びCuBr・ SMe2(該グリニャール試薬:CuBr・ SMe2=1:1)から調製される:Marfat, A., et al., J. Am. Chem. Soc., 99, 253, 1977]を反応させることにより製造することができる。反応は、一般的には、トルエン、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合溶媒などの不活性溶媒中で-78 ℃〜室温程度の温度下に行うことができ、塩化アンモニウム水溶液などを反応系中に添加することにより反応を停止することができる。反応は位置選択的に進行し、フラーレンC60 の持つ5員環を取り囲むように、置換又は無置換のフェニル基がほぼ定量的に5重付加する。
【0012】
置換フェニル基上の置換基は、グリニャール試薬の調製が可能な不活性置換基であれば特に限定されず、フェニル環上に1個又は2個以上存在していてもよい。グリニャール試薬の調製において不活性な置換基は当業者に適宜選択可能であるが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基などの炭素数1〜6個程度の低級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、tert- ブトキシ基などの炭素数1〜6個程度の低級アルコキシ基;フッ素原子などのハロゲン原子;メチレンジオキシ基などを用いることができる。
【0013】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、上記の反応は、反応活性種(Ph2Cu- ) が下記スキームに示されるように段階的に付加することにより進行している可能性がある。すなわち、まず1分子の Ph2Cu- がフラーレンC60 に付加して 1,4- 付加体の反応性中間体(2) を与え、この中間体にもう1分子の Ph2Cu- が付加して中間体(3) が形成される。さらに1分子の Ph2Cu- のうちの1個のフェニル基が中間体(3) に付加して安定なシクロペンタジエニル錯体である中間体 (4: Cu(η5-C60Ph5)(Ph)]- ) が生成し、反応停止時にはこの中間体が水由来のプロトンを受け取って安定な炭素クラスター誘導体(III) を生成する。なお、上記反応をD2O を添加して停止することにより、C60Ph5D をほぼ定量的な重水素化効率で製造することが可能である。
【0014】
上記炭素クラスター誘導体(III) の製造方法としては、従来、C60Cl6をベンゼンに対して求電子置換させる工程を含む多段階合成法が知られているが (Avent, A.G., et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1463, 1994) 、本発明の方法は一工程で完了し、収率も極めて高いという特徴を有しており、従来法に比べて極めて効率的かつ簡便な製造方法である。
【0015】
【化7】
Figure 0003919028
【0016】
上記の炭素クラスター誘導体(III) を金属アルコキシドと反応させることにより、上記の炭素クラスター(III) 誘導体からプロトンが引き抜かれて上記式(I) で表されるシクロペンタジエニドイオンが形成されるとともに、該シクロペンタジエニドイオンが該金属アルコキシドに由来する金属原子に対してη5 型配位子として結合して、η5 型シクロペンタジエニル配位子を含む本発明の金属錯体が形成される。なお、本発明の金属錯体を配位子であるシクロペンタジエニドの錯体であるとみなして説明したが、当業界の慣習的な命名法に従って、本発明の金属錯体をシクロペンタジエニル錯体と呼ぶ場合もある。また、本明細書においてη5 型錯体という用語は5炭素結合型錯体、すなわち、5個の等価な金属−炭素結合によって金属原子とCp配位子とが結合した錯体を意味している。
【0017】
式(II)で表される本発明の金属錯体は、1個の金属原子に対して、1分子の上記式(I) で表されるシクロペンタジエニドイオンがη5 型配位子として配位していることを特徴としている。本発明の金属錯体では、フラーレンC60 のうちの一個の5員環を構成する5個の炭素によってシクロペンタジエニル基が構成されているが、これらの5個の炭素原子はそれぞれ置換又は無置換の同一のフェニル基が結合した sp3炭素原子に結合しており、残りの 50 個のsp2 炭素原子からは隔絶されている。上記式(II)で表される本発明の金属錯体では金属原子は「MLn 」で示されているが、該金属原子には、式(I) で表されるシクロペンタジエニド配位子以外の配位子が1個又は2個以上結合していてもよい。置換フェニル基の置換基としては、上記炭素クラスター誘導体(III) において説明したものを用いることができる。なお、フェニル基が無置換の場合にはフェニル基は室温下では溶液中で自由回転しており、分子全体はキラリティーを有していないが、フェニル環上に立体的に嵩高い置換基を1個又は2個以上導入すると、溶液中においても置換フェニル基の自由回転が抑制され、分子全体にキラリティーを誘導することができる場合がある。
【0018】
金属原子としては、例えば、Li、K などのアルカリ金属、Tl(I) 、Cu(I) などの遷移金属、又はSm(III) などのランタノイドを用いることができる。また、例えば、Cu(I) には1個のPEt3などの配位子が結合していてもよく(式中、Etはエチル基を示す)、Sm(III) には2個のプロポキシアニオンが配位結合していてもよい。このような配位子の個数は使用する金属原子の性質によって決定されることは当業者に周知であり、また、配位子の種類は金属アルコキシドの種類や反応条件を変更することにより適宜選択可能であることも当業者に容易に理解されよう。
【0019】
本発明の金属錯体の製造に用いる金属アルコキシドとしては、Li、K などのアルカリ金属、Tl(I) 、Cu(I) などの遷移金属、又はSm(III) などのランタノイドの金属を含む金属アルコキシドを用いることができる。好適には、該金属アルコキシドを構成する金属原子は、Li、K 、Tl(I) 、Cu(I) 、及びSm(III) からなる群から選ばれる。また、金属アルコキシドを構成するアルコキシ基としては、例えば、C1-6アルコキシ基などの低級アルコキシ基を用いることができる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ基、ネオペントキシ基などを用いることができる。金属アルコキシドとして、例えば、リチウムtert- ブトキシド、カリウムtert- ブトキシド、タリウムエトキシド、又は銅tert- ブトキシドなどを用いることができる。
【0020】
炭素クラスター誘導体(III) と金属アルコキシドとの反応は、炭素クラスター誘導体(III) に対して 0.5〜1.5 当量程度、好ましくは約 1.0当量の金属アルコキシドを用いて、一般的には、-78 ℃〜室温程度の温度下に不活性溶媒中で行うことができる。溶媒の種類は反応において不活性であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶媒を用いることができる。金属原子に他の配位子を配位させる場合には、リン化合物などの存在下で反応を行うことができる。例えば、Cu(I) tert- ブトキシドを用いる場合にトリエチルホスフィンなどのホスフィン化合物を添加しておくと、ホスフィン化合物が金属原子に対して配位結合した金属錯体が得られる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:炭素クラスター誘導体(III)(C60Ph5H)の製造
トルエン 150 mL に330 mg (0.458 mmol) のフラーレンC60 を溶解し、溶液を-78 ℃に冷した。フェニルマグネシウムブロマイド(THF中 0.94M溶液, 7.81 mL, 7.33 mmol) 及びCuBr・ SMe2(1.51 g, 7.35 mmol) から調製した有機銅試薬溶液を攪拌下に-78 ℃で15分かけて滴下した。生成した暗緑色の懸濁液を3時間かけて -20℃まで徐々に戻したところ、この時点で上清の紫色が完全に消失した。一部を採取して NH4Cl溶液で反応停止したところ フラーレンC60 のみが回収されたので、固体物質は フラーレンC60-銅錯体であることが示唆された。
【0022】
その後、反応液を室温に戻し、同温で攪拌を続けながら反応の進行を HPLC でモニターした(nakalai tesque, Buckyprep, 10×250 mm, トルエン:ヘキサン = 7:3, 反応中には中間体は観察されなかった)。室温で2時間攪拌したところ、固体部分が明るいワインレッド色に変化し、上清の色は赤色になった。2日目に NH4Cl溶液を加えて反応を停止し、反応混合液を二相に分離して水相をトルエンで3回抽出した。有機相を合わせて食塩水で洗浄し、Na2SO4のカラムに通して乾燥した後に溶媒を留去した。残渣の粉末をヘキサンで4回洗浄してビフェニル (100%, 776 mg) を除去し、減圧乾燥して496 mg (収率94%)の炭素クラスター誘導体(III) (C60Ph5H) を得た。HPLC分析による純度は 99%であり、1H及び13C NMR スペクトル値は文献 (Avent, A.G., et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1463, 1994) 記載のものとよく一致していた。分析データは1/2 トルエン付加物について得た。C90H25・0.5トルエン 理論値 C, 97.30; H, 2.69;実測値 C, 97.04; H, 2.87.
【0023】
例2:本発明の金属錯体の製造
リチウムtert- ブトキシドのTHF-d8溶液 (0.018 M, 0.0090 mmol) 0.5 mlに例1で得た炭素クラスター誘導体(III) 10 mg (0.0090 mmol) を室温で加えたところ、溶液が赤色から暗青色に変化した。この溶液について1H- 及び 13C NMRスペクトルを測定したところ、炭素クラスター誘導体(III) のC5対称性とは異なる対称性 (C5ν) を有する本発明の金属錯体(リチウム錯体)の生成が認められた。同様にTHF-d8中でカリウムtert- ブトキシドと炭素クラスター誘導体(III) を反応させたところ、本発明の金属錯体(カリウム錯体)の生成が認められた。これらの錯体では、炭素クラスター誘導体(III) のCpH プロトンに由来するシングルピーク(1H-NMR, δ 5.31, CDCl3)が消失しており、一方、金属に配位したシクロペンタジエニル基の5個の炭素原子に由来するシングルピーク (62.41 ppm)が出現していた。また、炭素クラスター誘導体(III) 100 mgを30 ml のテトラヒドロフランに溶解して 10 mgのカリウムtert- ブトキシドを室温で添加し、30分攪拌した後に溶媒を留去して定量的に本発明のカリウム錯体を得た。
【0024】
THF-d8中のCu(Ot Bu)(PEt3) (0.018 M, 0.0090 mmol) 0.5 ml に炭素クラスター誘導体(III) 10 mg (0.0090 mmol) を室温で添加し、得られた暗青色の溶液について1H- 及び 13C NMRスペクトルを測定したところ、トリエチルホスフィンが配位した Cu(I)錯体の生成が認められた (Cp基の5個の炭素原子に由来するシングルピーク: 61.04 ppm)。同様に炭素クラスター誘導体(III) を THF-d8 中でタリウムエトキシドと室温で反応させてタリウム(I) 錯体を製造したところ、Cp基の5個の炭素原子に由来するシングルピーク (61.28 ppm)の出現が認められた。本発明の金属錯体の物理化学的性状を以下に示す。なお、これらの金属錯体は空気及び湿気に対する感受性が高いものの、いずれも室温下の溶液中において長時間安定であった。
【0025】
(a) リチウム錯体 (MLn =Li) 1H NMR (THF-d8)δ 7.05-7.07(m, 15H), 7.91-7.93(m, PhH, 10H); 13C NMR (THF-d8)δ 62.41(C60-sp3,5C), 126.11(Ph, 5C), 128.08(Ph, 10C), 128.87(Cp, 5C), 129.39(Ph, 10C), 143.21(C60, 10C), 146.34(5C), 146.59(5C), 147.32(C60, 10C), 149.36(5C), 149.43(C60, 10C), 160.04(C60, 10C).
(b) カリウム錯体 (MLn =K) 1H NMR (THF-d8) δ 7.05-7.10(m, 15H), 7.91-7.94(m, 10H); 13C NMR (THF-d8) δ 62.41(C60-sp3, 5C), 126.08(Ph, 5C), 128.07(Ph, 10C), 128.85(Cp, 5C), 129.41(Ph, 10C), 143.22(C60, 10C), 146.39(5C), 146.60(5C), 147.34(C60, 10C), 149.36(5C), 149.43(C60, 10C), 160.03(C60, 10C).
【0026】
(c) タリウム錯体 (MLn =Tl) 1H NMR (THF-d8)δ 7.13(dd, J=7.3, 6.89Hz, 10H), 7.21(t, J=6.9Hz, 5H),7.72(d, J=7.3Hz, 10H); 13C NMR (THF-d8) δ 61.28(C60-sp3, 5C), 127.87(Ph, 5C), 129.07(Ph, 10C), 129.35(Ph, 10C), 132.21(Cp, 5C), 144.19(C60, 10C), 146.36(5C), 146.99(C60, 10C), 147.57(5C), 148.37(C60, 10C), 149.53(C60, 5C), 155.10(C60, 10C); Anal. C100H45O2.5Tl(2.5THF付加物) 理論値 C, 80.56; H, 3.04. 実測値 C, 80.33; H, 3.77.
(d) 銅錯体 (MLn =Cu ・ PEt) 1H NMR (THF-d8)δ 0.48(tt, J=7.81, 7.10Hz, 9H), 1.06-1.18(m, 6H), 7.20-7.30(m, 15H), 7.99(dd, J=1.66, 6.35Hz, 10H); 13C NMR (THF-d8) δ 8.15(3C), 16.53(d, J C-P =26.7Hz, 3C), 61.04(C60-sp3, 5C), 122.29(Cp, 5C), 127.81(Ph, 5C), 129.08(Ph, 10C), 129.30(Ph, 10C), 144.11(C60, 10C), 145.18(5C), 147.25(C60, 10C), 147.49(5C), 148.42(C60, 10C), 149.51(C60, 5C), 155.11(C60, 10C).
【0027】
例3:本発明の金属錯体の構造解析及び物理化学的特性
炭素クラスター誘導体(III) 200 mgをテトラヒドロフラン 80 mlに溶解した。アルミホイルで遮光しつつ、この溶液にシリンジで無希釈のタリウムエトキシド (16 mg)を攪拌せずに加えた。2時間後、得られた暗赤色の懸濁液から室温下に溶媒を減圧留去して本発明のタリウム錯体を定量的に得た。THF/ヘキサンを用い緩速溶媒拡散法(slow solvent-diffusion technique)により再結晶し、遮光下で1日かけて本発明のタリウム錯体 Tl(η5-C60Ph5)・2.5THF(暗紅色板状結晶)の単結晶を製造し、X線結晶構造解析を行った。結果を図1に示す。結晶解析は25℃でデータを収集し(炭素単色 MoKα線を用いたRigaku AFC5R回折計、最大 2θ= 55.2°、回折数 11663個)、得られたデータを直接法 (SAPI 91)により解析し、I >3 σ(I) を満たす4443個の独立の回折について R=0.079、 RW =0.110の値を得た。結晶データは以下に示すとおりであった。単斜晶系 P21/n, a=27.509(4) Å, b=17.498(8) Å, c=14.275(3) Å, β=104.57(1)°, V=6650(5) Å3, Z=4.
【0028】
上記錯体の各原子間の結合距離(Å)は、Tl-Cp(質量中心), 2.60; Tl-C(1), 2.87(1); Tl-C(2), 2.88(1); Tl-C(3), 2.90(1); Tl-C(4), 2.83(1); Tl-C(5), 2.85(1); Tl-O 3.16(2); C(1)-C(2), 1.41(2); C(2)-C(3), 1.41(2); C(3)-C(4), 1.40(2); C(4)-C(5), 1.45(2); C(5)-C(1), 1.34(2) であった。図1では、分子構造の理解を容易にするために全ての水素原子を除いて記載した。(a) はテトラヒドロフラン1分子が弱く配位した状態の錯体分子の側面図を示しており、結晶格子上の他のテトラヒドロフラン分子は省略してある。(b) は錯体分子の平面図であり、全てのテトラヒドロフラン分子を省略して記載した。
【0029】
図1から明らかなように、この錯体はタリウムの単核錯体であり、フラーレンC60 の5員環がシクロペンタジエニル基として作用するとともに、5個のフェニル基はプロペラ型に捩じれていた。タリウム原子はフェニル基によって形成されたキャビティー内に深く埋もれており、5個の Cp 炭素 (η5-配位) に対して平均 Tl-C 距離 2.87 Å (2.83-2.90 Å) で結合していた。この結合距離は Tl[η5-C5(CH2Ph)5] について報告されている値 (Schumann, H., et al., J. Organomet. Chem., 354, 7, 1988)よりも 3% 程度長い。また、タリウム原子とη5-配位シクロペンタジエニル部分の質量中心との間の距離は 2.60 Åであった。
【0030】
テトラヒドロフラン分子のうちの1個はタリウム原子と弱い相互作用を有しているものと思われるが (Tl-O: 3.16Å) 、他のテトラヒドロフラン分子はこの錯体に対して相互作用を有していないと考えられる。上記タリウム錯体は、フェニル基がプロペラ型に捩じれて固定されているために分子全体にキラリティーが生じており、概ねC5対称配座を有していた。もっとも、THF-d8中で本錯体の1H- 及び 13C NMRスペクトルを測定したところ、上記フェニル基は室温の溶液中では自由回転していることが確認された。
【0031】
シクロペンタジエニル環に共有結合している5個の sp3炭素原子は、環平面からタリウム原子の方に平均で22°も傾いており、フラーレン核の構造的制約がCp環周辺の局所構造に大きな構造変化をもたらしていることが明らかになった。一方、Cp環周辺の大きな構造変化にもかかわらず、フラーレンC60 核の球体は、例えば、Cp5員環と底部5員環の間の距離、及び赤道位での直径に関して本来の大きさをほぼ維持していることも確認された。C50 部分の C-C二重結合 (1.38Å) 及び単結合 (1.44Å) の平均結合距離は、置換基を1個付加したフラーレンC60 誘導体の各結合距離と同等であった。
【0032】
例1で得た炭素クラスター誘導体(III) と本発明のタリウム錯体について紫外−可視スペクトル(溶媒:ジクロロメタン)を測定したところ、共役系がフラーレンC60 よりも大きく減少した50π系になっているにもかかわらず、Cp基より下のC50 部分がフラーレンC60 に匹敵する強度(ε=1.1×105M-1cm-1: 240 nm) を有していることが認められた。また、吸収はフラーレンC60 と同様に長波長域にも観測された(式(III) で表される炭素クラスター誘導体では670 nmまで;タリウム錯体では720 nmまで) 。これらの結果は、本発明の金属錯体がフラーレンC60 と同様の電子的特徴を持つことを示しており、本発明の錯体がフラーレンC60 と同様の有用性を有することを示唆している。
【0033】
【発明の効果】
本発明の配位子は種々の金属原子に対して配位可能であり、各種の性質を有する多様な金属錯体の製造に有用である。また、式(II)で表される本発明の金属錯体は、各種の有機化学反応のための触媒、例えばエチレン重合用触媒、活性メチレン化合物の共役付加反応用の触媒として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属錯体(タリウム錯体 Tl(η5-C60Ph5)・2.5THF)についてX線結晶構造解析を行った結果を示す図である。図中、(a) は錯体分子を横から透視した図であり、右上の分子は錯体に弱く配位したテトラヒドロフラン分子(1分子のみを示し他の分子は省略した)を示している。(b) は錯体分子を上側から透視した図であり、テトラヒドロフラン分子は省略した。なお、図中、全ての水素原子は省略して記載してある。

Claims (6)

  1. 下記の式(I):
    Figure 0003919028
    (式中、Phは置換又は無置換の同一のフェニル基を示す)で表されるシクロペンタジエニドイオンからなるη5 型シクロペンタジエニル配位子。
  2. 請求項1に記載のη5 型シクロペンタジエニル配位子を含む金属錯体。
  3. 下記式(II):
    Figure 0003919028
    (式中、Phは置換又は無置換の同一のフェニル基を示し、MLn は請求項1に記載の式(I) で表される上記シクロペンタジエニド配位子以外の配位子を1個又は2個以上有することもある金属原子を示し、該金属原子はLi、K 、Tl(I) 、Cu(I) 、及びSm(III) からなる群から選ばれる)で表される請求項2に記載の金属錯体。
  4. 下記式(III) :
    Figure 0003919028
    (式中、Phは置換又は無置換の同一のフェニル基を示す)で表される炭素クラスター誘導体の製造方法であって、フラーレンC60 に対して置換又は無置換フェニルグリニャール試薬とCuBr・ SMe2とから調製される有機銅試薬を反応させる工程を含む方法。
  5. 請求項2又は3に記載の金属錯体の製造方法であって、請求項4に記載の炭素クラスター誘導体(III) を金属アルコキシドと反応させる工程を含む方法。
  6. 金属アルコキシドを構成する金属原子がLi、K 、Tl(I) 、Cu(I) 、及びSm(III) からなる群から選ばれる請求項5に記載の方法。
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