JP5348329B2 - 車両制御システム及び制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両制御システム及び制御装置に関する。
従来の車両制御システム、あるいは、制御装置として、例えば、特許文献1には車体に設置されたカメラを用いてタイヤの温度とゆがみ量を推定し、得られたタイヤ温度とゆがみ量とに基づいて車両の旋回状態、例えば、アンダーステアやオーバーステアの発生の有無等を判定し舵角制御量を決定する車両運動制御装置が開示されている。
特開2006−142895号公報
ところで、上述のような特許文献1に記載の車両運動制御装置は、例えば、運転感覚のバラツキの抑制のために、更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、運転感覚のバラツキを抑制することができる車両制御システム及び制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御システムは、車両の挙動を調節可能なアクチュエータと、前記車両の車輪のタイヤのトレッド内部の温度を検出する温度検出装置と、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度に応じて、前記アクチュエータを制御し、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくする制御装置とを備えることを特徴とする。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを小さくするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が高いほど前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくし、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が低いほど前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを小さくするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記温度検出装置は、前記タイヤのトレッド内部の温度を検出するものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記アクチュエータは、前記車両の操舵特性を変更することで前記車両の挙動変化の抑制度合いを変更可能であるものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記アクチュエータは、前記車両のサスペンション特性を変更することで前記車両の挙動変化の抑制度合いを変更可能であるものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記アクチュエータは、操舵部材へ入力される操舵トルクに応じて前記車輪を転舵可能であり、前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記アクチュエータを制御し、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記操舵部材へ入力される操舵トルクに対する前記車輪の転舵量を小さくするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記アクチュエータは、前記車両の前輪のスリップ角と後輪のスリップ角とのスリップ角バランスを変更可能であり、前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記アクチュエータを制御し前記スリップ角バランスを調節し、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記アクチュエータは、前記車両の後輪のスリップ角を変更可能であり、前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記アクチュエータを制御し、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記車両の後輪のスリップ角を大きくするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記タイヤのトレッド内部の温度の増加に伴って減少する前記車輪のコーナリングパワー又は前記車輪のセルフアライニングパワーに基づいて、前記アクチュエータを制御し、前記車両の挙動変化の抑制度合いを変更するものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記タイヤのトレッド内部の温度を調節可能な調節装置を備え、前記制御装置は、前記調節装置を制御し、前記タイヤのトレッド内部の温度を予め設定された所定温度以上に調節するものとすることができる。
参考例として車両制御システムは、車両の車輪のタイヤの温度を調節可能な調節装置と、前記調節装置を制御し、前記タイヤの温度を、予め設定された所定温度であって前記タイヤのタイヤ特性の温度依存性が低減し当該タイヤ特性が安定する安定領域の境界の温度以上に調節する制御装置とを備える場合がある。
上記目的を達成するために、本発明に係る制御装置は、車両の車輪のタイヤのトレッド内部の温度を検出する温度検出装置が検出した当該タイヤのトレッド内部の温度に応じて、前記車両の挙動を調節可能なアクチュエータを制御し、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくすることを特徴とする。
参考例として制御装置は、車両の車輪のタイヤの温度を調節可能な調節装置を制御し、前記タイヤの温度を、予め設定された所定温度であって前記タイヤのタイヤ特性の温度依存性が低減し当該タイヤ特性が安定する安定領域の境界の温度以上に調節する場合がある。
本発明に係る車両制御システム及び制御装置は、運転感覚のバラツキを抑制することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図である。 図2は、タイヤ温度とコーナリングパワーとの関係を説明する線図である。 図3は、タイヤ温度とセルフアライニングパワーとの関係を説明する線図である。 図4は、タイヤ特性と挙動変化の抑制度合いとの関係の一例を説明する線図である。 図5は、EPSゲインマップの一例を示す線図である。 図6は、EPS制御の一例を示すフローチャートである。 図7は、実施形態2に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図である。 図8は、タイヤ温度と正規化コーナリングパワーとの関係を説明する線図である。 図9は、VGRS制御の一例を示すフローチャートである。 図10は、CP/Wマップの一例を示す線図である。 図11は、実施形態3に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図である。 図12は、ARS制御の一例を示すフローチャートである。 図13は、実施形態4に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図である。 図14は、ARSゲインマップの一例を示す線図である。 図15は、ARS制御の一例を示すフローチャートである。 図16は、実施形態5に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図である。 図17は、アクティブブッシュ装置の概略構成を示す模式図である。 図18は、ブッシュ温度とブッシュ剛性との関係の一例を示す線図である。 図19は、アクティブブッシュゲインマップの一例を示す線図である。 図20は、アクティブブッシュ制御の一例を示すフローチャートである。 図21は、実施形態6に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図である。 図22は、タイヤ特性の安定領域について説明する線図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図、図2は、タイヤ温度とコーナリングパワーとの関係を説明する線図、図3は、タイヤ温度とセルフアライニングパワーとの関係を説明する線図、図4は、タイヤ特性と挙動変化の抑制度合いとの関係の一例を説明する線図、図5は、EPSゲインマップの一例を示す線図、図6は、EPS制御の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の車両制御システム1は、図1に示すように車両2に搭載され、この車両2を制御するためのシステムであり、車両2の挙動を制御する車両挙動制御装置である。車両制御システム1は、典型的には、車両2の車輪3のタイヤ4の温度に基づいて、車両2の車両特性を可変とすることで、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制し、運転時における運転者の違和感を抑制する。
車両2は、車輪3として、左前輪3FL、右前輪3FR、左後輪3RL、右後輪3RRを備えるが、これらを特に分ける必要がない場合には単に車輪3という。車両2は、走行用駆動源(原動機)、例えば、内燃機関や電動機等が発生させる動力が駆動輪である車輪3(例えば、左前輪3FL、右前輪3FR)に作用することで、車輪3の路面との接地面に駆動力[N]が生じ、これにより走行することができる。また、車両2は、運転者が操舵部材としてのステアリングホイール5を回転操作(ステアリング操作)することで操舵輪である車輪3(例えば、左前輪3FL、右前輪3FR)を操舵することができ、これにより、旋回することができる。
なお、以下で説明する車両2の前後方向とは、車両2の走行方向に沿った方向であり、車両2の左右方向とは、前後方向及び鉛直方向と直交する車両2の幅方向である。また、ロール方向とは、車両の前後方向に沿った軸である前後軸まわり方向であり、ヨー方向とは、車両の鉛直方向に沿った軸である上下軸まわり方向である。
ところで、車輪3に装着されるタイヤ4のコーナリングパワー(以下、特に断りの無い限り「CP」と略記する。)やセルフアライニングパワー(以下、特に断りの無い限り「SAP」と略記する。)等を含むタイヤ特性は、温度依存性が相対的に高い傾向にある。このため、タイヤ4のCPやSAP等のタイヤ特性は、同じタイヤ4であっても、タイヤ4の温度に応じて変化する。
ここで、タイヤ4のCPとは、図1に示す単位スリップ角(横滑り角)β当たりのコーナリングフォースCFに相当する。スリップ角βとは、タイヤ4の進行方向とタイヤ中心面とがなす角度である。コーナリングフォースCFとは、車両2のコーナリング(旋回)時にタイヤ4の進行方向に対して直角方向へかかる分力である。タイヤ4のSAPとは、図1に示す単位スリップ角β当たりのセルフアライニングトルクSATに相当する。セルフアライニングトルクSATとは、タイヤ4の接地点周り(垂直軸周り)のモーメントであり、ステアリングホイール5を直進位置に戻そうとする復元力に相当する。タイヤ4は、所定のスリップ角βを有して転がっている場合、コーナリングフォースCFの着力点がタイヤ4の接地中心点とずれるために、接地中心回りにスリップ角βを小さくしようとする方向に力(トルク)が働く。この力がセルフアライニングトルクSATに相当する。セルフアライニングトルクSATは、直進安定性やステアリングホイール5の重さに影響を与える。
図2は、横軸をタイヤ温度、縦軸をタイヤ4のCPとし、図3は、横軸をタイヤ温度、縦軸をタイヤ4のSAPとしている。タイヤ4のCPは、図2に例示するように、垂直荷重が同等であれば、タイヤ温度が高いほどタイヤ4のトレッドゴムが柔らかくなって変形し易くなることから、当該タイヤ温度が高いほど小さくなり、タイヤ温度が低いほど大きくなる傾向にある。同様に、タイヤ4のSAPは、図3に例示するように、垂直荷重が同等であれば、タイヤ温度が高いほど小さくなり、タイヤ温度が低いほど大きくなる傾向にある。
この結果、車両2は、タイヤ4の温度が変化しCP、SAP等が変化することに伴って例えば、運転者による車両2の運転感覚にバラツキが生じるおそれがある。つまり、車両2は、例えば、運転・走行開始初期のタイヤ4の冷間時と、運転・走行開始後、所定期間経過後のタイヤ4の温間時とで運転者に与える運転感覚が相違してしまうおそれがある。典型的には、車両2は、タイヤ4の温度が高くなりCP、SAPが低下するに伴って同等の大きさの操作入力や外乱入力に対して、より動きが大きくなりやすい傾向にあり、すなわち、挙動が変化しやすくなる傾向にある。
そこで、本実施形態の車両制御システム1は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、同等の入力に対する車両2の挙動変化をより抑制する側に車両2の車両特性を変更する。言い換えれば、車両制御システム1は、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、同等の入力に対する車両2の挙動変化をより許容する側に車両2の車両特性を変更する。つまり、車両制御システム1は、図4に例示するように、タイヤ温度の上昇に伴って、車両2の挙動変化の抑制度合いL1を大きくすることで、タイヤ温度の上昇に伴ったタイヤ特性(CP、SAP等)の低下を車両特性の変更で補償する。言い換えれば、車両制御システム1では、後述のECU8は、後述の温度センサ7が検出したタイヤの温度が高いほど後述のアクチュエータによる車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくし、温度センサ7が検出したタイヤの温度が低いほどアクチュエータによる車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。これにより、車両制御システム1は、タイヤ4の低温時での運転感覚と、タイヤ4の高温時での運転感覚とに差が生じることを抑制し、運転感覚のバラツキを抑制する。
本実施形態では、車両制御システム1は、図1に示すように、アクチュエータとして電動パワーステアリング装置(EPS:Electronic Power Steering、以下、特に断りの無い限り「EPS装置」と略記する)6を備え、制御装置としてのECU8がタイヤ4の温度に応じてEPS装置6を制御することで、運転感覚のバラツキを抑制している。
具体的には、車両制御システム1は、EPS装置6と、温度検出装置としての温度センサ7と、制御装置としてのECU8とを備える。
EPS装置6は、運転者から操舵部材であるステアリングホイール5へ入力される操舵力である操舵トルクに応じて、操舵輪である車輪3を所定の転舵量で転舵可能である。EPS装置6は、電動機等の動力により運転者によるステアリングホイール5の操作を補助する。EPS装置6は、運転者によりステアリングホイール5に入力される操舵トルクを補助する操舵補助力としてのアシストトルクを出力し、操舵トルクとアシストトルクとにより(ステアリングホイール5と機械的に接続された)操舵輪を転舵する。EPS装置6は、例えば、ステアリングホイール5の回転軸にアシストトルクを作用させて、運転者の操舵操作をアシストする。EPS装置6は、ECU8に接続されており、ECU8により制御される。
このEPS装置6は、言い換えれば、車両2の挙動を調節可能なものであり、ここでは、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。EPS装置6は、車両2の操舵特性を可変とすることで車両2の挙動変化の度合い、言い換えれば、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。EPS装置6は、運転者からステアリングホイール5に加えられた操舵トルクに対するアシストの度合いを調節することで、ステアリングホイール5へ入力される操舵トルクに対する操舵輪の転舵量、例えば、操舵輪の舵角変化量を調節することができ、これを利用して、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節することができる。
例えば、EPS装置6は、運転者からステアリングホイール5に同等の操舵トルクが付加された際のアシストトルク(アシスト量)を相対的に小さくすることで、同等の操舵トルクに対する車輪3の転舵量を相対的に小さくすることができ、これにより、同等の操舵トルクに対する車両2の挙動変化を相対的に小さくすることができる。言い換えれば、この場合、EPS装置6は、アシストトルクを相対的に小さくすることで、同等の操舵入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくすることができる。一方、EPS装置6は、運転者からステアリングホイール5に同等の操舵トルクが付加された際のアシストトルク(アシスト量)を相対的に大きくすることで、同等の操舵トルクに対する車輪3の転舵量を大きくすることができ、これにより、同等の操舵トルクに対する車両2の挙動変化を相対的に大きくすることができる。言い換えれば、この場合、EPS装置6は、アシストトルクを相対的に大きくすることで、同等の操舵入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくすることができる。
温度センサ7は、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を検出するものであり、例えば熱電対、サーミスタ等を用いることができる。より詳細には、温度センサ7は、タイヤ4のトレッド内部の温度、例えば、トレッド内部の構造部材であるカーカス層、ベルト層、あるいは、トレッドゴムなどの温度を検出する。好ましくは、温度センサ7は、タイヤ4のトレッド表面とベルト層上面との間のトレッドゴム内部の温度を検出するとよい。ここでは、温度センサ7は、1つのみを図示しているが、4つの車輪3にそれぞれ対応して設けられていてもよい。温度センサ7は、ECU8に電気的に接続されており、検出したタイヤ4の温度信号をECU8に送信する。なお、温度センサ7は、赤外線等を利用した非接触式の温度センサを用いることもできる。また、温度センサ7は、例えば、タイヤ4が装着されたホイールの温度を検出し、これに基づいてタイヤ4のトレッド内部の温度を検出、推定するようにしてもよい。
ECU8は、車両2の各部の駆動を制御するものである。ECU8は、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。ECU8は、例えば、上述の温度センサ7等の車両2の各部に設けられた種々のセンサ、検出装置が電気的に接続されると共に、EPS装置6等の車両2の各部が電気的に接続される。ECU8は、種々のセンサ、検出装置が検出した検出結果に対応した電気信号が入力され、入力された検出結果に応じて車両2の各部に駆動信号を出力しこれらの駆動を制御する。
ECU8は、基本的な制御として、例えば、EPS装置6に含まれるトルクセンサによって検出されるステアリングホイール5への操舵トルク等に基づいて、EPS装置6を制御しアシストトルクを調節する。車両2は、運転者からステアリングホイール5に入力された操舵トルクと、EPS装置6が発生させるアシストトルクとに応じた大きさでタイロッドに生じる軸力によって操舵輪である車輪3が所定の転舵量で転舵される。
そして、本実施形態のECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、言い換えれば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じた車輪3のSAPであってタイヤ4の温度の増加に伴って減少する車輪3のSAPに基づいて、EPS装置6を制御し、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更する。ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度を用いる場合、4輪の温度の平均値を用いてもよいし、いずれか1つの温度を用いてもよい。
ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくする。すなわちこの場合、ECU8は、EPS装置6を制御し、アシストトルクを相対的に小さくすることで、同等の操舵入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくする。言い換えれば、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に低い場合に、タイヤ4の温度が相対的に高い場合と比較して、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。すなわちこの場合、ECU8は、EPS装置6を制御し、アシストトルクを相対的に大きくすることで、同等の操舵入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
ECU8は、例えば、図5に例示するEPSゲインマップm1に基づいて、EPSゲインを求める。EPSゲインマップm1は、横軸がタイヤ4のタイヤ温度、縦軸がEPSゲインを示す。EPS装置6は、EPSゲインが大きくなるほど付加するアシストトルクが大きくなり、EPSゲインが小さくなるほど付加するアシストトルクが小さくなる。このEPSゲインマップm1は、タイヤ4のタイヤ温度(言い換えればタイヤ温度に応じたSAP)と、EPSゲインとの関係を記述したものである。EPSゲインマップm1は、タイヤ温度とEPSゲインとの関係が、上記のタイヤ特性の温度依存性を踏まえて予め設定された上で、ECU8の記憶部に格納されている。このEPSゲインマップm1では、EPSゲインは、タイヤ温度の増加に伴って、言い換えれば、SAPの減少に伴って減少する。ECU8は、EPSゲインマップm1に基づいて、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度からEPSゲインを求める。そして、ECU8は、求めたEPSゲインに基づいて、EPS装置6を制御しアシストトルクを調節し、これにより、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節する。
つまり、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、同等の操舵入力に対するEPS装置6によるアシストトルクを減少させ、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、同等の操舵入力に対するEPS装置6によるアシストトルクを増加させる。これにより、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくし、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
この車両制御システム1は、タイヤ4の温度が上昇し、これに伴ってタイヤ4のSAPが低下すると、操舵輪である車輪3側からステアリングホイール5側に作用する反力が相対的に低下する。このため、車両制御システム1は、タイヤ4の温度が相対的に高い温度であるときに、運転者が相対的に低温であるときと同等の大きさの操舵トルク(操作入力)でステアリングホイール5を操作した場合、ステアリングホイール5に作用する反力が相対的に低下している分、低温時と比較して転舵量が大きくなり、車両2の挙動変化がより大きくなるおそれがある。
しかしながら、本実施形態の車両制御システム1は、例えば、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ECU8が同等の操舵入力に対するEPS装置6によるアシストトルクを減少させ、これにより、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、同等の操作入力に対して低温時と比較して車両2の旋回方向の挙動変化が大きくなることを抑制することができる。この結果、車両制御システム1は、同等の操作入力に対して、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとの車両2の挙動変化をほぼ同様にすることができる。
したがって、車両制御システム1は、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制することができ、例えば、運転時における運転者の違和感を抑制することができる。つまり、車両制御システム1は、タイヤ4の温度の変化にかかわらず、同等の運転感覚を実現することができ、タイヤ4の温度が変化しても運転者がほぼ同等の運転感覚を得ることができる。
また、車両制御システム1は、タイヤ4の温度が上昇し、これに伴ってタイヤ4のSAPが低下すると、ステアリングホイール5に作用する反力が相対的に低下するため、タイヤ4の温度が相対的に高温である場合には、運転者がステアリングホイール5を操作した際に、低温である場合と比較して、ステアリングホイール5が軽くなったように感じるおそれがある。逆に、運転者は、タイヤ4の温度が相対的に低温である場合には、ステアリングホイール5を操作した際に、高温である場合と比較して、ステアリングホイール5が重くなったように感じるおそれがある。
しかしながら、本実施形態の車両制御システム1は、上記のように、例えば、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ECU8が同等の操舵入力に対するEPS装置6によるアシストトルクを減少させることから、タイヤ温度の上昇に応じてステアリングホイール5に作用する反力が相対的に低下する分に応じて、アシストトルクを減少させることができる。
この結果、車両制御システム1は、運転者がステアリングホイール5を操作した際に、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとのステアリングホイール5の重さ、すなわち、ステアリングホイール5の回転方向への抵抗をほぼ同等にすることができる。つまり、車両制御システム1は、同じ転舵量で車輪3を転舵するためにステアリングホイール5に入力すべき操舵トルクがタイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとで異なってしまうことを抑制することができる。よって、車両制御システム1は、タイヤ特性の温度依存性に対して、必要な操舵トルクが温度に応じて変動しないように、操舵トルクの温度補償が可能となる。この点においても、車両制御システム1は、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制することができる。
また、この車両制御システム1は、温度センサ7がタイヤ4のCPやSAPを含むタイヤ特性に影響を与え易く、また、タイヤ4の表面より温度が変りにくいトレッド内部の温度、典型的には、トレッドゴム内部の温度を検出し、これを車両2の挙動変化の抑制度合いを調節する制御に用いることで、制御の精度をより向上することができ、運転感覚のバラツキをより効果的に抑制するこができる。
次に、図6のフローチャートを参照して車両制御システム1におけるEPS制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される(以下で説明する実施形態でも同様である。)。まず、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4のタイヤ温度を取得する(ST1)。次に、ECU8は、ST1で取得したタイヤ4のタイヤ温度に基づいて、図5のEPSゲインマップm1からEPSゲインを求める(ST2)。次に、ECU8は、ST2で決定したEPSゲインに基づいてEPS装置6を制御しEPS装置6によるアシストトルクを調節して(ST3)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
なお、本実施形態では、ECU8は、図5に例示するEPSゲインマップm1を用いてEPSゲインを求めたが、本実施形態はこれに限定されない。ECU8は、例えば、図5に例示するEPSゲインマップm1に相当する数式に基づいてEPSゲインを求めてもよい。以下で説明する種々のマップについても同様である(以下で説明する実施形態でも同様である。)。
また、図5のEPSゲインマップm1は、タイヤ4のタイヤ温度に応じたSAPとEPSゲインとの関係を記述したものであってもよい。この場合、ECU8は、ST1にて、タイヤ4のタイヤ温度を取得した後、タイヤ温度に基づいて現在のSAPを推定する。そして、ECU8は、ST2にて、予め設定されている基準となる基準SAPと推定した推定SAPとの差分(偏差)を算出し、この差分と上記マップとを用いてEPSゲインを算出してもよい(例えば、EPSゲイン∝基準SAP−推定SAP)。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム1によれば、車両2の挙動を調節可能なEPS装置6と、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を検出する温度センサ7と、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、EPS装置6を制御し、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを変更するECU8とを備える。したがって、車両制御システム1、ECU8は、運転感覚のバラツキを抑制することができる。
なお、以上で説明した車両制御システム1のアクチュエータは、EPS装置6にかえて、いわゆるステアバイワイヤ方式の操舵装置であってもよい。この場合、ステアバイワイヤ方式の操舵装置は、操舵部材であるステアリングホイール5と操舵輪をなす車輪3とが機構的に分離された構成をなす。そして、ステアバイワイヤ方式の操舵装置は、運転者によりステアリングホイール5が操作されると、このステアリングホイール5の操舵トルク(操作量)をセンサ等によって検出し、検出した操舵トルクに基づいてECU8が電動機等の操舵アクチュエータを駆動して操舵輪に所定の転舵力を付与することで、操舵輪を転舵させる。車両制御システム1のアクチュエータは、このようなステアバイワイヤ方式の操舵装置であっても、上記と同様に、ステアリングホイール5への操舵トルクに対する操舵輪の転舵量を可変とすることで、車両2の操舵特性を可変とすることができ、これにより、車両2の挙動変化の度合い、言い換えれば、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図、図8は、タイヤ温度と正規化コーナリングパワーとの関係を説明する線図、図9は、VGRS制御の一例を示すフローチャート、図10は、CP/Wマップの一例を示す線図である。実施形態2に係る車両制御システム、制御装置は、アクチュエータの構成が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する実施形態も同様である。)。
本実施形態の車両制御システム201は、図7に示すように、アクチュエータとしてギヤ比可変ステアリング装置(VGRS:Variable Gear Ratio Steering、以下、特に断りの無い限り「VGRS装置」と略記する)206を備え、制御装置としてのECU8がタイヤ4の温度に応じてVGRS装置206を制御することで、例えば、タイヤ温度の上昇に伴ったタイヤ特性の低下を車両特性の変更で補償し、運転感覚のバラツキを抑制している。
VGRS装置206は、ステアリングホイール5と操舵輪である車輪3(例えば、左前輪3FL、右前輪3FR)との間の操舵系に配置され、ステアリングホイール5のステアリングギヤ比(以下、特に断りの無い限り「ギヤ比」と略記する)を変更可能である。VGRS装置206は、運転状態に応じてギヤ比を変更することで、ステアリングホイール5への操舵トルクの入力に対する操舵輪の転舵量(操舵角)や転舵速度(操舵速度)等を可変とすることができる。VGRS装置206は、ECU8に接続されており、ECU8により制御される。
このVGRS装置206は、言い換えれば、車両2の挙動を調節可能なものであり、ここでは、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。VGRS装置206は、車両2の操舵特性を可変とすることで車両2の挙動変化の度合い、言い換えれば、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。VGRS装置206は、ギヤ比を変更し車両2の操舵特性を変更することで、運転者からステアリングホイール5に同等の操舵トルクが付加された際の車両2の左前輪3FL、右前輪3FRのスリップ角と左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角とのスリップ角バランスを変更可能である。これにより、VGRS装置206は、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節することができる。
そして、本実施形態のECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、言い換えれば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じた車輪3のCPであってタイヤ4の温度の増加に伴って減少する車輪3のCPに基づいて、VGRS装置206を制御し、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更する。ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、VGRS装置206を制御し前後輪のスリップ角バランスを調節し、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、VGRS装置206による車両の挙動変化の抑制度合いを大きくする。言い換えれば、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に低い場合に、VGRS装置206を制御し前後輪のスリップ角バランスを調節し、タイヤ4の温度が相対的に高い場合と比較して、VGRS装置206による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。つまり、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、VGRS装置206による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくし、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、VGRS装置206による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
この車両制御システム201は、図8に例示するように、タイヤ4の温度が上昇し、これに伴ってタイヤ4のCPが低下すると、いわゆる正規化コーナリングパワー(以下、特に断りの無い限り「正規化CP」と略記する)も低下する。正規化CPは、例えば、車軸荷重を「W」とした場合、[CP/W]によって表すことができる。また、このタイヤ4の温度上昇に伴った正規化CPの低下幅は、車軸荷重Wに応じて異なり、したがって、車両2の前輪側と後輪側とで異なることとなる。
ここで、車両2の旋回特性、あるいは、操縦安定性を表すパラメータとしていわゆるスタビリティファクタKhが知られている。このスタビリティファクタKhは、例えば、下記の数式(1)で表すことができる。数式(1)において、「g」は重力加速度、「l」は車両2のホイールベース、「等価CPf」は車両2の前輪側の等価CP、「等価CPr」は車両2の後輪側の等価CP、「Wf」は車両2の前輪側の車軸荷重、「Wr」は車両2の後輪側の車軸荷重を表す。また、数式(1)において、「等価CPf/Wf」、「等価CPr/Wr」は、それぞれ正規化した等価CPに相当する。

Kh=[1/(g・l)]・[{1/(等価CPf/Wf)}−{1/(等価CPr/Wr)}] ・・・ (1)
上記の等価CPとは、いわゆるロールステア、コンプライアンスステア等の影響を含めたCPであり、言い換えれば、車両2のロール特性やサスペンション特性等をタイヤ特性に取り込んだと仮定した場合のCPである。ここで、車両2のサスペンションは、車輪3と車体2Aとの間に介在する懸架装置であり、路面から車体2Aに伝わる衝撃や振動を緩和するものである。また、車両2のロールステアとは、車両2の車体2Aのロール方向へのロール運動に伴って発生するトー角変化(あるいはスリップ角)変化に相当し、車両2のコンプライアンスステアとは、車両2のサスペンションブッシュ等の各部のたわみに伴って発生するトー角変化(あるいはスリップ角)変化に相当する。
数式(1)で表されるスタビリティファクタKhは、タイヤ4の温度以外の条件が変化しないと仮定すると、タイヤ4の温度が変化した場合、正規化CPが変化することで等価CPが変化し、また、この正規化CPの変化幅が車両2の前輪側と後輪側とで異なることに起因して等価CPfと等価CPrとのバランスが変ることで変化するおそれがある。スタビリティファクタKhは、例えば、図8の例示のように、前輪側の車軸荷重が後輪側の車軸荷重よりも大きい場合には、タイヤ4の温度が相対的に低い温度であるときに相対的に大きくなり、タイヤ4の温度が相対的に高い温度であるときに相対的に小さくなる傾向にある。この結果、この車両制御システム1は、例えば、タイヤ4の温度が上昇し、これに伴ってタイヤ4のCPが低下すると、運転者が相対的に低温であるときと同等の大きさの操舵トルク(操作入力)でステアリングホイール5を操作した場合、スタビリティファクタKhが相対的に低下する分、低温時と比較して、車両2のヨー方向の動きが大きくなり、すなわち、車両2のヨー方向の挙動変化がより大きくなるおそれがある。
しかしながら、本実施形態の車両制御システム201は、例えば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、VGRS装置206のギヤ比を制御し前後輪のスリップ角バランスを調節し、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、VGRS装置206による車両の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、数式(1)における等価CPfと等価CPrとのバランスを適正に調節することができる。言い換えれば、車両制御システム201は、タイヤ4の温度の変化に対してスタビリティファクタKhが一定になるように、ECU8がタイヤ4の温度の変化に応じてVGRS装置206のギヤ比を制御し、等価的に前輪側の[CPf/Wf]を調節する。つまり、車両制御システム201は、タイヤ4の温度の変化に応じてVGRS装置206を制御し前後輪のスリップ角バランスを調節することで、タイヤ4の温度が変化し正規化CPが変化した場合であっても、この正規化CPの変化に応じて等価CPfと等価CPrとのバランスを適正に調節することができる。
これにより、車両制御システム201は、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときのスタビリティファクタKhと相対的に低温であるときとのスタビリティファクタKhとをほぼ同等にすることができ、タイヤ4の温度にかかわらず、スタビリティファクタKhを安定化させることができる。よって、車両制御システム201は、タイヤ特性の温度依存性に対して、スタビリティファクタKhが温度に応じて変動しないように、このスタビリティファクタKhの温度補償が可能となる。
そして、車両制御システム201は、例えば、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ECU8が同等の操舵入力に対するVGRS装置206による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、タイヤ4の温度にかかわらずスタビリティファクタKhを安定化させることができることから、同等の操作入力に対して低温時と比較して車両2の挙動変化、ここではヨー方向への動きが大きくなることを抑制することができる。この結果、車両制御システム201は、同等の操作入力に対して、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとの車両2の挙動変化をほぼ同様にすることができる。
したがって、車両制御システム201は、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制することができ、例えば、運転時における運転者の違和感を抑制することができる。
次に、図9のフローチャートを参照して車両制御システム201におけるVGRS制御の一例を説明する。まず、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4のタイヤ温度を取得する(ST201)。次に、ECU8は、ST201で取得したタイヤ4のタイヤ温度に基づいて、前輪の正規化CPf=CPf/Wf及び後輪の正規化CPr=CPr/Wrを求める(ST202)。
ECU8は、例えば、図10に例示するCP/Wマップm2に基づいて、前輪の正規化CP、後輪の正規化CPを求める。CP/Wマップm2は、横軸がタイヤ4のタイヤ温度、縦軸が正規化CP=CP/Wを示す。このCP/Wマップm2は、タイヤ4のタイヤ温度と、正規化CPとの関係を記述したものである。CP/Wマップm2は、タイヤ温度と正規化CPとの関係が、上記のタイヤ特性の温度依存性を踏まえて予め設定された上で、ECU8の記憶部に格納されている。このCP/Wマップm2では、正規化CPは、タイヤ温度の増加に伴って減少する。ECU8は、CP/Wマップm2に基づいて、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度から正規化CPを求める。ECU8は、前輪用のCP/Wマップm2に基づいて、前輪のタイヤ4の温度から前輪の正規化CPfを算出し、後輪用のCP/Wマップm2に基づいて、後輪のタイヤ4の温度から後輪の正規化CPrを算出する。
次に、ECU8は、ST202で求めた後輪の正規化CPrと目標スタビリティファクタKhtとに基づいて、前輪の目標正規化CPftを求める(ST203)。目標スタビリティファクタKhtは、要求される車両2の車両特性等に応じて予め設定される目標のスタビリティファクタKhである。前輪の目標正規化CPftは、制御の目標とする前輪の正規化CPfである。ECU8は、例えば、数式(1)において、Kh=Kht、等価CPr/Wr=正規化CPr、等価CPf/Wf=目標正規化CPftとし、前輪の目標正規化CPftを算出する。
次に、ECU8は、ST202で求めた前輪の正規化CPfと、ST203で求めた前輪の目標正規化CPftとに基づいて、前輪の正規化CPfが等価的に目標正規化CPftとなるように目標ギヤ比を算出する(ST204)。ECU8は、例えば、[目標ギヤ比=基準ギヤ比(予め設定されている基準のギヤ比)×(前輪の正規化CPf/前輪の目標正規化CPft)]、あるいは、[目標ギヤ比=基準ゲイン(予め設定されている基準のゲイン)×(前輪の目標正規化CPft−前輪の正規化CPf)]を用いて、目標ギヤ比を算出する。
そして、ECU8は、ST204で求めた目標ギヤ比に基づいてVGRS装置206を制御し、VGRS装置206により前後輪のスリップ角バランスを調節し等価CPfと等価CPrとのバランスを調節して(ST205)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム201によれば、車両2の挙動を調節可能なVGRS装置206と、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を検出する温度センサ7と、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、VGRS装置206を制御し、VGRS装置206による車両2の挙動変化の抑制度合いを変更するECU8とを備える。したがって、車両制御システム201、ECU8は、運転感覚のバラツキを抑制することができる。
[実施形態3]
図11は、実施形態3に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図、図12は、ARS制御の一例を示すフローチャートである。実施形態3に係る車両制御システム、制御装置は、アクチュエータの構成が実施形態2とは異なる。
本実施形態の車両制御システム301は、図11に示すように、アクチュエータとしてアクティブ後輪操舵装置(ARS:Active Rear Steering、以下、特に断りの無い限り「ARS装置」と略記する)306を備え、制御装置としてのECU8がタイヤ4の温度に応じてARS装置306を制御することで、例えば、タイヤ温度の上昇に伴ったタイヤ特性の低下を車両特性の変更で補償し、運転感覚のバラツキを抑制している。
ARS装置306は、左後輪3RL及び右後輪3RRを操舵輪として操舵するものであり、例えば、車両2の運転状態(例えば車速や旋回状態)に応じて、左前輪3FL、右前輪3FRの操舵角と同位相、あるいは逆位相で操舵される。ARS装置306は、ECU8に接続されており、ECU8により制御される。
このARS装置306は、言い換えれば、車両2の挙動を調節可能なものであり、ここでは、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。ARS装置306は、運転者からステアリングホイール5に加えられた操舵トルクに対する左後輪3RL、右後輪3RRの操舵角、転舵量を調節することで、運転者からステアリングホイール5に同等の操舵トルクが付加された際の車両2の左前輪3FL、右前輪3FRのスリップ角と左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角とのスリップ角バランスを変更可能である。これにより、ARS装置306は、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節することができる。
そして、本実施形態のECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、言い換えれば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じた車輪3のCPであってタイヤ4の温度の増加に伴って減少する車輪3のCPに基づいて、ARS装置306を制御し、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更する。ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、ARS装置306を制御し前後輪のスリップ角バランスを調節し、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、ARS装置306による車両の挙動変化の抑制度合いを大きくする。つまり、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくし、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
本実施形態の車両制御システム301は、例えば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、ARS装置306の後輪操舵角を制御し前後輪のスリップ角バランスを調節し、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、ARS装置306による車両の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、数式(1)における等価CPfと等価CPrとのバランスを適正に調節することができる。言い換えれば、車両制御システム301は、タイヤ4の温度の変化に対してスタビリティファクタKhが一定になるように、ECU8がタイヤ4の温度の変化に応じてARS装置306の後輪操舵角を制御し等価的に後輪側の[CPr/Wr]を調節する。
これにより、車両制御システム301は、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときのスタビリティファクタKhと相対的に低温であるときとのスタビリティファクタKhとをほぼ同等にすることができ、タイヤ特性の温度依存性に対して、スタビリティファクタKhが温度に応じて変動しないように、このスタビリティファクタKhの温度補償が可能となる。そして、車両制御システム301は、同等の操作入力に対して、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとの車両2の挙動変化、ここではヨー方向への動きをほぼ同様にすることができる。したがって、車両制御システム301は、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制することができ、例えば、運転時における運転者の違和感を抑制することができる。
次に、図12のフローチャートを参照して車両制御システム301におけるARS制御の一例を説明する。まず、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4のタイヤ温度を取得する(ST301)。次に、ECU8は、前輪用のCP/Wマップm2(図10参照)に基づいて、ST301で取得した前輪のタイヤ4の温度から前輪の正規化CPfを算出し、後輪用のCP/Wマップm2に基づいて、ST301で取得した後輪のタイヤ4の温度から後輪の正規化CPrを算出する(ST302)。
次に、ECU8は、ST302で求めた前輪の正規化CPfと目標スタビリティファクタKhtとに基づいて、後輪の目標正規化CPrtを求める(ST303)。ECU8は、例えば、数式(1)において、Kh=Kht、等価CPf/Wf=正規化CPf、等価CPr/Wr=目標正規化CPrtとし、後輪の目標正規化CPrtを算出する。
次に、ECU8は、ST302で求めた後輪の正規化CPrと、ST303で求めた後輪の目標正規化CPrtとに基づいて、後輪の正規化CPrが等価的に目標正規化CPrtとなるように目標後輪操舵角を算出する(ST304)。ECU8は、例えば、[目標後輪操舵角=基準ゲイン(予め設定されている基準のゲイン)×(後輪の目標正規化CPrt−後輪の正規化CPr)]を用いて、目標後輪操舵角を算出する。
そして、ECU8は、ST304で求めた目標後輪操舵角に基づいてARS装置306を制御し、ARS装置306により前後輪のスリップ角バランスを調節し等価CPfと等価CPrとのバランスを調節して(ST305)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム301によれば、車両2の挙動を調節可能なARS装置306と、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を検出する温度センサ7と、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、ARS装置306を制御し、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを変更するECU8とを備える。したがって、車両制御システム301、ECU8は、運転感覚のバラツキを抑制することができる。
[実施形態4]
図13は、実施形態4に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図、図14は、ARSゲインマップの一例を示す線図、図15は、ARS制御の一例を示すフローチャートである。実施形態4に係る車両制御システム、制御装置は、アクチュエータの制御の内容が実施形態3とは異なる。
本実施形態の車両制御システム401は、図13に示すように、アクチュエータとしてARS装置306を備え、制御装置としてのECU8がタイヤ4の温度に応じてARS装置306を制御することで、例えば、タイヤ温度の上昇に伴ったタイヤ特性の低下を車両特性の変更で補償し、運転感覚のバラツキを抑制している。
このARS装置306は、運転者からステアリングホイール5に加えられた操舵トルクに対する左後輪3RL、右後輪3RRの操舵角、転舵量を調節することで、車両2の左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角を変更可能である。これにより、ARS装置306は、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節することができる。
本実施形態のECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、言い換えれば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じた車輪3のCPであってタイヤ4の温度の増加に伴って減少する車輪3のCPに基づいて、ARS装置306を制御し、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更する。
ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくする。すなわちこの場合、ECU8は、ARS装置306を制御し、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、車両2の後輪のスリップ角を大きくすることで、同等の入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくする。言い換えれば、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に低い場合に、タイヤ4の温度が相対的に高い場合と比較して、EPS装置6による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。すなわちこの場合、ECU8は、ARS装置306を制御し、タイヤ4の温度が相対的に高い場合と比較して、車両2の後輪のスリップ角を小さくすることで、同等の入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
ECU8は、例えば、図14に例示するARSゲインマップm3に基づいて、ARSゲインを求める。ARSゲインマップm3は、横軸がタイヤ4のタイヤ温度、縦軸がARSゲインを示す。ARS装置306は、ARSゲインが大きくなるほど車両2の後輪操舵角が大きくなり後輪のスリップ角が大きくなり、ARSゲインが小さくなるほど車両2の後輪操舵角が小さくなり後輪のスリップ角が小さくなる。このARSゲインマップm3は、タイヤ4のタイヤ温度(言い換えればタイヤ温度に応じたCP)と、ARSゲインとの関係を記述したものである。ARSゲインマップm3は、タイヤ温度とARSゲインとの関係が、上記のタイヤ特性の温度依存性を踏まえて予め設定された上で、ECU8の記憶部に格納されている。このARSゲインマップm3では、ARSゲインは、タイヤ温度の増加に伴って、言い換えれば、CPの減少に伴って増加する。ECU8は、ARSゲインマップm3に基づいて、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度からARSゲインを求める。そして、ECU8は、求めたARSゲインに基づいて、ARS装置306を制御し車両2の後輪のスリップ角を調節し、これにより、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節する。
つまり、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ARS装置306による車両2の後輪のスリップ角を増加させ、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、ARS装置306による車両2の後輪のスリップ角を減少させる。これにより、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくし、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
この車両制御システム401は、タイヤ4の温度が上昇し、これに伴ってタイヤ4のCPが低下すると、ロールステア、コンプライアンスステア等の影響を含めて車両2のロール特性やサスペンション特性等をタイヤ特性に取り込んだと仮定した場合の車両2の後輪側の等価CPも低下するおそれがある。このため、車両制御システム401は、タイヤ4の温度が相対的に高い温度であるときに、操作入力や横風などの外乱入力が車体2Aに作用した場合に、後輪側の等価CPが相対的に低下する分、低温時と比較して、車両2のヨー方向の動きが大きくなり、すなわち、車両2のヨー方向の挙動変化がより大きくなるおそれがある。
しかしながら、本実施形態の車両制御システム401は、例えば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ECU8がARS装置306による後輪操舵角を大きくし後輪のスリップ角を大きくし、これにより、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、同等の入力に対して低温時と比較して車両2の挙動変化が大きくなることを抑制することができる。言い換えれば、車両制御システム401は、タイヤ4の温度の変化に対して車両2の後輪側の等価CPが一定になるように、ECU8がタイヤ4の温度の変化に応じてARS装置306の後輪操舵角を制御し後輪のスリップ角を調節することで、等価的に後輪側のCPを調節する。つまり、車両制御システム401は、タイヤ4の温度の変化に応じてARS装置306の後輪操舵角を制御し後輪のスリップ角を調節することで、タイヤ4の温度が変化しCPが変化した場合であっても、このCPの変化に応じて後輪のスリップ角を適正に調節し車両2の後輪側の等価CPをほぼ一定とすることができる。
これにより、車両制御システム401は、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときの後輪側の等価CPと相対的に低温であるときとの後輪側の等価CPとをほぼ同等にすることができ、タイヤ4の温度にかかわらず、後輪側の等価CPを安定化させることができる。よって、車両制御システム401は、タイヤ特性の温度依存性に対して、後輪側の等価CPが温度に応じて変動しないように、この後輪側の等価CPの温度補償が可能となる。
そして、車両制御システム401は、例えば、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ECU8がARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、タイヤ4の温度にかかわらず後輪側の等価CPを安定化させることができることから、同等の入力に対して、低温時と比較して車両2の挙動変化、ここではヨー方向への動きが大きくなることを抑制することができる。この結果、車両制御システム401は、同等の入力に対して、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとの車両2の挙動変化、すなわち、車両2のヨー方向への動きをほぼ同様にすることができる。
したがって、車両制御システム401は、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制することができ、例えば、運転時における運転者の違和感を抑制することができる。
次に、図15のフローチャートを参照して車両制御システム401におけるARS制御の一例を説明する。まず、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4のタイヤ温度を取得する(ST401)。次に、ECU8は、ST401で取得した後輪のタイヤ4のタイヤ温度に基づいて、図14のARSゲインマップm3からARSゲインを求める(ST402)。次に、ECU8は、ST402で決定したARSゲインに基づいてARS装置306を制御しARS装置306による後輪操舵角を調節し後輪のスリップ角を調節して(ST403)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
なお、図14のARSゲインマップm3は、タイヤ4のタイヤ温度に応じたCPとARSゲインとの関係を記述したものであってもよい。この場合、ECU8は、ST401にて、タイヤ4のタイヤ温度を取得した後、タイヤ温度に基づいて現在のCPを推定する。そして、ECU8は、ST402にて、予め設定されている基準となる基準CPと推定した推定CPとの差分(偏差)を算出し、この差分と上記マップとを用いてARSゲインを算出してもよい(例えば、ARSゲイン∝基準CP−推定CP)。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム401によれば、車両2の挙動を調節可能なARS装置306と、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を検出する温度センサ7と、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、ARS装置306を制御し、ARS装置306による車両2の挙動変化の抑制度合いを変更するECU8とを備える。したがって、車両制御システム401、ECU8は、運転感覚のバラツキを抑制することができる。
[実施形態5]
図16は、実施形態5に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図、図17は、アクティブブッシュ装置の概略構成を示す模式図、図18は、ブッシュ温度とブッシュ剛性との関係の一例を示す線図、図19は、アクティブブッシュゲインマップの一例を示す線図、図20は、アクティブブッシュ制御の一例を示すフローチャートである。実施形態5に係る車両制御システム、制御装置は、アクチュエータの構成が実施形態4とは異なる。
本実施形態の車両制御システム501は、図16に示すように、アクチュエータとしてアクティブブッシュ装置506を備え、制御装置としてのECU8がタイヤ4の温度に応じてアクティブブッシュ装置506を制御することで、例えば、タイヤ温度の上昇に伴ったタイヤ特性の低下を車両特性の変更で補償し、運転感覚のバラツキを抑制している。車両制御システム501は、左後輪3RLに対して設けられる左後輪側アクティブブッシュ装置506RLと、右後輪3RRに対して設けられる右後輪側アクティブブッシュ装置506RRとを備えるが、これらを特に分ける必要がない場合には単にアクティブブッシュ装置506という。
アクティブブッシュ装置506は、例えば、図17に示すように、車両2のサスペンションのブッシュ剛性を調節することで、車両2の左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角を変更可能であり、これにより、車両2の左後輪3RL、右後輪3RRにおけるコンプライアンスステアを調節可能なものである。この場合、車両2は、左後輪3RL、右後輪3RRにブッシュ剛性とコーナリングフォースとに応じたコンプライアンスステアが発生する。アクティブブッシュ装置506は、ECU8に接続されており、ECU8により制御される。アクティブブッシュ装置506は、例えば、ECU8が電熱線を介して一対のブッシュのうちの一方のブッシュ温度を変化させることでブッシュ剛性が変化する。ブッシュ剛性は、例えば、図18に例示するように、ブッシュ温度が相対的に高くなるほど相対的に小さくなる。ECU8は、ブッシュ温度を調節することで、アクティブブッシュ装置506のブッシュ剛性を調節し、車両2の左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角を調節する。
このアクティブブッシュ装置506は、言い換えれば、車両2の挙動を調節可能なものであり、ここでは、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。アクティブブッシュ装置506は、車両2のサスペンション特性を可変とすることで車両2の挙動変化の度合い、言い換えれば、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更可能である。アクティブブッシュ装置506は、ブッシュ温度が調節されブッシュ剛性が調節されることで、車両2の左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角を変更可能である。これにより、アクティブブッシュ装置506は、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節することができる。ここでは、アクティブブッシュ装置506は、例えば、ECU8から電熱線に供給される電力量が増加し、ブッシュ温度が相対的に高くなるほど、ブッシュ剛性が相対的に小さくなり、車両2の左後輪3RL、右後輪3RRのスリップ角が相対的に大きくなる。この結果、アクティブブッシュ装置506は、左後輪3RL、右後輪3RRに生じるコンプライアンスステアが大きくなる。
本実施形態のECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、言い換えれば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じた車輪3のCPであってタイヤ4の温度の増加に伴って減少する車輪3のCPに基づいて、アクティブブッシュ装置506を制御し、車両2の挙動変化の抑制度合いを変更する。
ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高い場合に、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、アクティブブッシュ装置506による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくする。すなわちこの場合、ECU8は、アクティブブッシュ装置506を制御し、タイヤ4の温度が相対的に低い場合と比較して、ブッシュ剛性を小さくし車両2の後輪のスリップ角を大きくすることで左後輪3RL、右後輪3RRに生じるコンプライアンスステアを大きくし、同等の入力に対する車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくする。
ECU8は、例えば、図19に例示するアクティブブッシュゲインマップm4に基づいて、アクティブブッシュゲインを求める。アクティブブッシュゲインマップm4は、横軸がタイヤ4のタイヤ温度、縦軸がアクティブブッシュゲインを示す。アクティブブッシュ装置506は、アクティブブッシュゲインが大きくなるほど車両2のブッシュ温度が高くなりブッシュ剛性が小さくなり後輪のスリップ角が大きくなる。一方、アクティブブッシュ装置506は、アクティブブッシュゲインが小さくなるほど車両2のブッシュ温度が低くなりブッシュ剛性が大きくなり後輪のスリップ角が小さくなる。このアクティブブッシュゲインマップm4は、タイヤ4のタイヤ温度(言い換えればタイヤ温度に応じたCP)と、アクティブブッシュゲインとの関係を記述したものである。アクティブブッシュゲインマップm4は、タイヤ温度とアクティブブッシュゲインとの関係が、上記のタイヤ特性の温度依存性を踏まえて予め設定された上で、ECU8の記憶部に格納されている。このアクティブブッシュゲインマップm4では、アクティブブッシュゲインは、タイヤ温度の増加に伴って、言い換えれば、CPの減少に伴って増加する。ECU8は、アクティブブッシュゲインマップm4に基づいて、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度からアクティブブッシュゲインを求める。そして、ECU8は、求めたアクティブブッシュゲインに基づいて、アクティブブッシュ装置506を制御し車両2の後輪のスリップ角を調節し、これにより、車両2の挙動変化の抑制度合いを調節する。
つまり、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、アクティブブッシュ装置506による車両2の後輪のスリップ角を増加させ、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、アクティブブッシュ装置506による車両2の後輪のスリップ角を減少させる。これにより、ECU8は、タイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、アクティブブッシュ装置506による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくし、タイヤ4の温度が相対的に低くなるにしたがって、アクティブブッシュ装置506による車両2の挙動変化の抑制度合いを小さくする。
この車両制御システム501は、例えば、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度が相対的に高くなるにしたがって、ECU8がアクティブブッシュ装置506による後輪のスリップ角を大きくし、これにより、アクティブブッシュ装置506による車両2の挙動変化の抑制度合いを大きくすることで、同等の入力に対して低温時と比較して車両2の挙動変化が大きくなることを抑制することができる。言い換えれば、車両制御システム501は、タイヤ4の温度の変化に対して車両2の後輪側の等価CPが一定になるように、ECU8がタイヤ4の温度の変化に応じてアクティブブッシュ装置506のブッシュ剛性を制御し後輪のスリップ角を調節することで左後輪3RL、右後輪3RRに生じるコンプライアンスステアを調節し、等価的に後輪側のCPを調節する。つまり、車両制御システム501は、タイヤ4の温度の変化に応じてアクティブブッシュ装置506のブッシュ剛性を制御し後輪のスリップ角を調節することで、タイヤ4の温度が変化しCPが変化した場合であっても、このCPの変化に応じて後輪のスリップ角を適正に調節し車両2の後輪側の等価CPをほぼ一定とすることができる。
これにより、車両制御システム501は、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときの後輪側の等価CPと相対的に低温であるときとの後輪側の等価CPとをほぼ同等にすることができ、タイヤ特性の温度依存性に対して、後輪側の等価CPが温度に応じて変動しないように、この後輪側の等価CPの温度補償が可能となる。そして、車両制御システム501は、同等の入力に対して、タイヤ4の温度が相対的に高温であるときと相対的に低温であるときとの車両2の挙動変化、すなわち、車両2のヨー方向への動きをほぼ同様にすることができる。したがって、車両制御システム501は、タイヤ4の温度の変化に伴った運転感覚のバラツキを抑制することができ、例えば、運転時における運転者の違和感を抑制することができる。
次に、図20のフローチャートを参照して車両制御システム501におけるアクティブブッシュ制御の一例を説明する。まず、ECU8は、温度センサ7が検出したタイヤ4のタイヤ温度を取得する(ST501)。次に、ECU8は、ST501で取得したタイヤ4のタイヤ温度に基づいて、図19のアクティブブッシュゲインマップm4からアクティブブッシュゲインを求める(ST502)。次に、ECU8は、ST502で決定したアクティブブッシュゲインに基づいてアクティブブッシュ装置506を制御しアクティブブッシュ装置506によるブッシュ剛性を調節し後輪のスリップ角を調節して、後輪に生じるコンプライアンスステアを調節し(ST503)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
なお、図19に例示するアクティブブッシュゲインマップm4は、タイヤ4のタイヤ温度に応じたCPとアクティブブッシュゲインと関係を記述したものであってもよい。この場合、ECU8は、ST501にて、タイヤ4のタイヤ温度を取得した後、タイヤ温度に基づいて現在のCPを推定する。そして、ECU8は、ST502にて、予め設定されている基準となる基準CPと推定した推定CPとの差分(偏差)を算出し、この差分と上記マップとを用いてアクティブブッシュゲインを算出してもよい(例えば、アクティブブッシュゲイン∝基準CP−推定CP)。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム501によれば、車両2の挙動を調節可能なアクティブブッシュ装置506と、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を検出する温度センサ7と、温度センサ7が検出したタイヤ4の温度に応じて、アクティブブッシュ装置506を制御し、アクティブブッシュ装置506による車両2の挙動変化の抑制度合いを変更するECU8とを備える。したがって、車両制御システム501、ECU8は、運転感覚のバラツキを抑制することができる。
なお、以上で説明したアクティブブッシュ装置506は、上記の構成のものに限られず、例えば、サスペンションのブッシュ内部に液室(流体室)が設けられており、この液室に供給する液圧を制御することで弾性係数(ブッシュ剛性)を変化させ、車輪3のスリップ角を可変とする液圧式のアクティブブッシュ装置であってもよい。
[実施形態6]
図21は、実施形態6に係る車両制御システムの概略構成を示す模式図、図22は、タイヤ特性の安定領域について説明する線図である。実施形態6に係る車両制御システム、制御装置は、調節装置を備える点で実施形態1から5とは異なる。
本実施形態の車両制御システム601は、図21に示すように、調節装置606を備え、制御装置としてのECU8がタイヤ4の温度に応じて調節装置606を制御することで、例えば、タイヤ温度自体を適正な温度で維持し、運転感覚のバラツキをさらに効果的に抑制している。
車両制御システム601は、左前輪3FLに対して設けられる左前輪側調節装置606FLと、右前輪3FRに対して設けられる右前輪側調節装置606FRと、左後輪3RLに対して設けられる左後輪側調節装置606RLと、右後輪3RRに対して設けられる右後輪側調節装置606RRとを備えるが、これらを特に分ける必要がない場合には単に調節装置606という。
調節装置606は、タイヤ4の温度を調節可能なものである。調節装置606は、例えば、エアコンからの風や排気ガス等をタイヤ4のタイヤハウスへ吐出してタイヤ温度を調節し、典型的には、これらをタイヤ4に吹き付けることでタイヤ温度を上昇させ、あるいは、所定温度以上で維持する。調節装置606は、ECU8に接続されており、ECU8により制御される。
ここで、タイヤ4のCPやSAPは、上述したように、タイヤ温度が高いほど小さくなる傾向にあるが、図22に示すように、所定温度以上になると、温度依存性が低減する。ここでは、タイヤ4は、タイヤ温度が境界温度T1以上である領域で、CPやSAPが安定する安定領域となり、すなわち、タイヤ温度の変化に対するCPやSAPの変化量が相対的に小さくなる。
そこで、本実施形態の車両制御システム601は、ECU8が調節装置606を制御し、タイヤ4の温度を予め設定された所定温度としての境界温度T1(例えば40℃程度)以上に調節する。ECU8は、温度センサ7が検出する各車輪3のタイヤ4の温度に基づいて各調節装置606を制御し、可能な限りタイヤ温度を境界温度T1以上に保つ。例えば、ECU8は、調節装置606を制御し、タイヤ4の暖機を促進し、タイヤ温度を早期に境界温度T1以上に上昇させることで、タイヤ4の温度が境界温度T1未満である冷間期間をできるだけ短縮し、その後、このタイヤ4の温度を境界温度T1以上で維持する。
車両制御システム601は、調節装置606によってタイヤ4の温度をCPやSAPの温度依存性が低減する境界温度T1以上に保つことで、タイヤ温度を適正な温度で維持することができ、CPやSAPを含むタイヤ特性自体の変化を抑制することができる。この結果、車両制御システム601は、CPやSAPを含むタイヤ特性を安定化させることができるので、車両2の挙動変化のバラツキを抑制し、運転感覚のバラツキを抑制することができる。
例えば、車両制御システム601は、タイヤ4の温度が境界温度T1に達するまでは、タイヤ4の温度に応じて上述の各種アクチュエータを制御しアクチュエータによる車両2の挙動変化の抑制度合いを変更することで、車両2の挙動変化のバラツキを抑制することができ、タイヤ4の温度が境界温度T1以上となった後は調節装置606によってタイヤ4の温度を境界温度T1以上に保つことで、タイヤ特性自体の変化を抑制することができる。この結果、車両制御システム601は、より適正に効果的に運転感覚のバラツキを抑制することができる。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム601によれば、車両2の車輪3のタイヤ4の温度を調節可能な調節装置606と、調節装置606を制御し、タイヤ4の温度を予め設定された境界温度T1以上に調節するECU8とを備える。したがって、車両制御システム601、ECU8は、運転感覚のバラツキを抑制することができる。なお、この車両制御システム601は、調節装置606を備えた上で、上述の各種アクチュエータを備えない構成であってもよい。
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両制御システム及び制御装置は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る車両制御システム及び制御装置は、以上で説明した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよい。
以上の説明では、車両制御システムの制御装置は、車両の各部を制御するECUであるものとして説明したが、これに限らず、例えば、ECUとは別個に構成され、このECUを介して相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。
以上で説明した車両2の挙動変化の抑制度合いは、車両2の挙動変化の抑制量にも相当する。つまり、制御装置は、温度検出装置が検出したタイヤの温度が高いほどアクチュエータによる車両の挙動変化の抑制量を増加し、温度検出装置が検出したタイヤの温度が低いほどアクチュエータによる車両の挙動変化の抑制量を減少するものでもある。
以上のように本発明に係る車両制御システム及び制御装置は、種々の車両に搭載される車両制御システム及び制御装置に適用して好適である。
1、201、301、401、501、601 車両制御システム
2 車両
3 車輪
4 タイヤ
5 ステアリングホイール
6 EPS装置(アクチュエータ)
7 温度センサ(温度検出装置)
8 ECU(制御装置)
206 VGRS装置(アクチュエータ)
306 ARS装置(アクチュエータ)
506 アクティブブッシュ装置(アクチュエータ)
606 調節装置
m1 EPSゲインマップ
m2 CP/Wマップ
m3 ARSゲインマップ
m4 アクティブブッシュゲインマップ

Claims (11)

  1. 車両の挙動を調節可能なアクチュエータと、
    前記車両の車輪のタイヤのトレッド内部の温度を検出する温度検出装置と、
    前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度に応じて、前記アクチュエータを制御し、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくする制御装置とを備えることを特徴とする、
    車両制御システム。
  2. 前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを小さくする、
    請求項1に記載の車両制御システム。
  3. 前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が高いほど前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくし、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が低いほど前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを小さくする、
    請求項1又は請求項に記載の車両制御システム。
  4. 前記アクチュエータは、前記車両の操舵特性を変更することで前記車両の挙動変化の抑制度合いを変更可能である、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  5. 前記アクチュエータは、前記車両のサスペンション特性を変更することで前記車両の挙動変化の抑制度合いを変更可能である、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  6. 前記アクチュエータは、操舵部材へ入力される操舵トルクに応じて前記車輪を転舵可能であり、
    前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記アクチュエータを制御し、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記操舵部材へ入力される操舵トルクに対する前記車輪の転舵量を小さくする、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  7. 前記アクチュエータは、前記車両の前輪のスリップ角と後輪のスリップ角とのスリップ角バランスを変更可能であり、
    前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記アクチュエータを制御し前記スリップ角バランスを調節し、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくする、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  8. 前記アクチュエータは、前記車両の後輪のスリップ角を変更可能であり、
    前記制御装置は、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記アクチュエータを制御し、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記車両の後輪のスリップ角を大きくする、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  9. 前記制御装置は、前記タイヤのトレッド内部の温度の増加に伴って減少する前記車輪のコーナリングパワー又は前記車輪のセルフアライニングパワーに基づいて、前記アクチュエータを制御し、前記車両の挙動変化の抑制度合いを変更する、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  10. 前記タイヤのトレッド内部の温度を調節可能な調節装置を備え、
    前記制御装置は、前記調節装置を制御し、前記タイヤのトレッド内部の温度を予め設定された所定温度以上に調節する、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車両制御システム。
  11. 車両の車輪のタイヤのトレッド内部の温度を検出する温度検出装置が検出した当該タイヤのトレッド内部の温度に応じて、前記車両の挙動を調節可能なアクチュエータを制御し、前記温度検出装置が検出した前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に高い場合に、前記タイヤのトレッド内部の温度が相対的に低い場合と比較して、前記アクチュエータによる前記車両の挙動変化の抑制度合いを大きくすることを特徴とする、
    制御装置。
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