JP2011201507A - 後輪操舵制御装置 - Google Patents

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仁 佐々木
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喜章 遠藤
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Abstract

【課題】 悪路走行時等に運転者が車両挙動に違和感を覚えることを抑制すべく、それぞれの輪荷重に応じて左右後輪の目標舵角を補正する後輪操舵制御装置を提供する。
【解決手段】 左右後輪3rl,3rrの輪荷重変動量のどちらか一方が判定閾値を超え、ステップS6の判定がYesになった場合、操舵ECU7は、ステップS7で、左右後輪3rl,3rrのうち輪荷重変動量が判定閾値を超えた方の悪路走行時目標舵角に対し、輪荷重変動量の値に応じた補正係数(0、あるいは、1より小さな値)を乗じた後、ステップS4に移行して補正後の悪路走行時目標舵角が得られるように左右後輪操舵アクチュエータ17l,17rを駆動する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、4輪操舵車両に搭載される後輪操舵制御装置に係り、詳しくは、左右後輪の目標舵角を輪荷重に応じて補正することにより、悪路走行時等に運転者が車両挙動に違和感を覚えることを抑制する技術に関する。
近年、運転者によるステアリングホイールの回転操作に応じて前輪のみが操舵される旧来の前輪操舵車両に代わり、前輪と後輪とがそれぞれ操舵されるようにすることで、高速走行時における操縦安定性の向上や駐車時における旋回半径の縮小等を実現した4輪操舵車両が種々開発されている。一般に、4輪操舵車両では、運転者のステアリング操作や車速、車体の運動状態量(ヨーレイトや横加速度)等に応じ、後輪操舵用のアクチュエータによって左後輪と右後輪とが同相同舵角で操舵される(特許文献1参照)。
一方、4輪自動車には、旋回走行時の安定性を向上させるべく、リヤサスペンションにトー干渉特性(車輪の上下動に伴ってトーが変化する特性)を付加したものが存在する。ところが、このような自動車で大きな凹凸が連続する悪路を直進走行した場合、左右後輪が非同期に(左右後輪が個別に)上下動して後輪側のトータルトー角と左右後輪の輪荷重とが変化し、後輪側に等価的なスラスト角が生じることでヨー振動が発生して直進性が低下することがある。
特開平8−175411号公報
前述したヨー振動を収斂させる(ヨーレイトを打ち消す)ために、電動パワーステアリングによって前輪側で操舵アシストを行うことが考えられるが、舵角に対するヨーレイト変化のゲインが小さいことも相俟ってステアリングホイールへの修正介入量や頻度が増大し、運転者に大きな違和感を与える問題がある。また、ステアバイワイヤ方式の自動車においては、ステアリングホイールとステアリングギヤとが機械的に連結されていないために運転者の違和感は生じないものの、ステアリングアクチュエータの作動量が大きくなるとともにその作動頻度も高くなることから、電流消費が無視し得ないほど増大する問題がある。
そこで、上述した特許文献1の4輪操舵車両では、悪路走行によって車体にヨーレイトが発生した場合、左右後輪を転舵することでヨー振動の抑制を図っている。図4に示すように、後輪を操舵する場合には、操舵周波数に対するヨーレイトゲインやヨーレイト位相の値が前輪の操舵に対して遙かに大きくなるため、比較的小さな舵角でヨー振動を抑制することができる。しかしながら、引用文献1は、単一の後輪操舵アクチュエータによって左右後輪を同相同舵角に転舵させる構成を採っているため、以下に述べるような問題をいまだ有していた。例えば直進走行時において、図5に示すように、左右後輪のうちどちらかの輪荷重が凹凸によって大きく変動すると、その後輪が発生する横力も大きく変動してしまい、ヨー振動の抑制が円滑に行えなくなって運転者が車両挙動に違和感を覚えることとなる。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、左右後輪の目標舵角を輪荷重に応じて補正することにより、悪路走行時等に運転者が車両挙動に違和感を覚えることを抑制した後輪操舵制御装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面では、左後輪用操舵アクチュエータ(17l)と右後輪用操舵アクチュエータ(17r)とを備えた後輪操舵車両(V)に搭載され、車両の走行に係る状態量を検出する走行状態量検出手段(15,21〜23)と、前記走行状態量検出手段の検出結果に基づき、車体の目標運動量を設定する目標運動量設定手段(7)と、前記目標運動量に基づき、前記左後輪の目標操舵角を左目標舵角として設定し、前記右後輪の目標操舵角を右目標舵角として設定する目標舵角設定手段(31)と、前記目標舵角設定手段の設定結果に基づき、前記左後輪用操舵アクチュエータと前記右後輪用操舵アクチュエータとを個別に駆動制御する駆動制御手段(34)とを有する後輪操舵制御装置であって、左後輪の輪荷重と右後輪の輪荷重とをそれぞれ検出または推定する輪荷重検出手段(24)と、前記左後輪の輪荷重の変動量と前記右後輪の輪荷重の変動量とに応じて、前記左目標舵角と前記右目標舵角との少なくとも一方を補正する目標舵角補正手段(33)とを備えた。
また、第2の側面では、前記車両が悪路走行状態であるか否かを判定する悪路判定手段(31)を更に備え、前記目標舵角補正手段は、前記悪路判定手段によって悪路走行状態であると判定された場合に前記補正を行う。
また、第3の側面では、前記車両が直進走行状態であるか否かを判定する直進判定手段(31)を更に備え、前記目標舵角補正手段は、前記直進判定手段によって直進走行状態であると判定された場合に前記補正を行う。
また、第4の側面では、前記補正は、前記左後輪と前記右後輪とのうち、輪荷重の変動量が大きい方の目標舵角の絶対値を小さくし、輪荷重の変動量が小さい方の目標舵角の絶対値を大きくするものである。
本発明によれば、例えば、左右後輪のうちで輪荷重変動量の大きい方(すなわち、後輪の発生する横力が大きく変動する方)の悪路走行時目標舵角を小さくする一方で、輪荷重変動量の小さい方の悪路走行時目標舵角を維持する(あるいは、増大する)ことで、車体のヨー振動の収斂が安定して行えるようになる。
実施形態に係る4輪自動車の概略構成図である。 実施形態に係る操舵ECUの要部を示すブロック図である。 実施形態に係る直進時後輪操舵制御の手順を示すフローチャートである。 操舵周波数に対するヨーレイトゲインやヨーレイト位相の変化を示すグラフである。 輪荷重の変動量と横力の変動量との相関を示すグラフである。
以下、本発明を4輪操舵自動車に適用した一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<自動車の概略構成>
先ず、図1を参照して、実施形態に係る4輪操舵自動車(以下、単に自動車と記す)の概略構成について説明する。説明にあたり、4本の車輪やそれらに対して配置された部材、すなわち、タイヤやサスペンション等については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、左前輪3fl、右前輪3fr、左後輪3rl、右後輪3rrと記すとともに、総称する場合には車輪3と記す。
図1に示すように、自動車(車両)Vの車体1にはタイヤ2が装着された車輪3が前後左右に設置されており、これら各車輪3がサスペンションアームやスプリング、ダンパ等からなるサスペンション4によって車体1に懸架されている。自動車Vには、左右前輪3fl,3frの操舵アシストに供されるEPS(Electric Power Steering:電動パワーステアリング)5と、左右後輪3rl,3rrの転舵にそれぞれ供される左右後輪転舵機構6l,6rと、EPS5および両後輪転舵機構6l,6rを駆動制御する操舵ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)7とが設置されている。
EPS5は、図示しないラックやピニオンからなるステアリングギヤ11と、ステアリングホイール12が後端に取り付けられたステアリングシャフト13と、ステアリングシャフト13に操舵アシスト力を与えるEPSモータ14とを主要構成要素としている。なお、ステアリングシャフト13には、ステアリングホイール12の操舵角を検出する操舵角センサ(操舵角検出手段)15が取り付けられている。また、両後輪転舵機構6l,6rは、車体1と後輪側ナックル16rl,16rrとの間に介装された直動式の後輪操舵アクチュエータ17l,17rや、図示しないポジションセンサ等から構成されている。
自動車Vには、車速を検出する車速センサ21の他、横加速度を検出する横Gセンサ22、車体1のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ23等が車体1の適所に設置される他、後輪側サスペンション4rl、4rrの変位を検出するサスペンション変位センサ(以下、単に変位センサと記す)24l、24rがホイールハウス内に設置されている。
<操舵ECU>
操舵ECU7は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、通信回線(本実施形態では、CAN(Controller Area Network))を介して各センサ15,21〜24、EPSモータ14および両後輪転舵機構6l,6r等と接続されている。
<直進時後輪操舵制御部の構成>
図2に示すように、操舵ECU7には、図示しない旋回時後輪操舵制御部等とともに、自動車Vの直進走行時における後輪操舵制御を行う直進時後輪操舵制御部30が収容されている。本実施形態の直進時後輪操舵制御部30には、目標舵角設定部31と、輪荷重補正係数設定部32と、目標舵角補正部33と、駆動電流生成部34とを有している。
目標舵角設定部31は、操舵角センサ15およびヨーレイトセンサ23からの入力信号に基づき、左右後輪3rl,3rrの後輪舵角ベース値を設定する。また、輪荷重補正係数設定部32は、両変位センサ24l、24rからの入力信号に基づき、左右後輪3rl,3rrの輪荷重補正係数を設定する。また、目標舵角補正部33は、後輪舵角ベース値を輪荷重補正係数によって補正することにより、左右後輪3rl,3rrの後輪舵角出力値を算出/設定する。また、駆動電流生成部34は、目標舵角補正部33からの入力信号に基づき駆動電流を設定し、これを後輪操舵アクチュエータ17l,17rに出力する。
≪実施形態の作用≫
自動車Vが運転を開始すると、操舵ECU7は、車速等に基づいて前輪3fl,3fr側のアシストトルクを設定し、EPSモータ14に駆動電流を出力する。また、旋回走行時において、操舵ECU7は、操舵角センサ15から入力した操舵角に基づき得られる前輪舵角や車速センサ21から入力した車速等に基づいて、左右後輪3rl,3rrの目標舵角(前輪舵角と同相あるいは逆相)を設定し、後輪操舵アクチュエータ17l,17rに駆動電流を出力する。
(直進時後輪操舵制御)
操舵角センサ15から入力した操舵角が所定値以下であり、自動車Vが直進走行を行っていると判定した場合、操舵ECU7は、図3のフローチャートにその手順を示す直進時後輪操舵制御を所定の制御間隔をもって繰り返し実行する。直進時後輪操舵制御を開始すると、操舵ECU7は、図3のステップS1でヨーレイトに基づいて車体1のヨー振動を検出した後、ステップS2でヨー振動が所定の悪路判定閾値を超えているか否か(すなわち、自動車Vが悪路走行中であるか否か)を判定する。そして、この判定がNoであれば、ステップS3で左右後輪3rl,3rrに対して所定の良路走行時目標舵角(例えば、微少トーイン)を設定した後、ステップS4でこの良路走行時目標舵角が得られるように左右後輪操舵アクチュエータ17l,17rを駆動する。
一方、自動車Vが悪路走行中であって、ステップS2の判定がYesになった場合、操舵ECU7は、ステップS5で、左右後輪3rl,3rrの悪路走行時目標舵角(ヨー振動を収束させる向きと角度)を設定する。次に、操舵ECU7は、ステップS6で、両変位センサ24l、24rの出力に基づいて、左右後輪3rl,3rrの輪荷重変動量の少なくとも一方が所定の判定閾値を超えたか否かを判定する。そして、この判定がNoであれば、操舵ECU7は、ステップS4に移行してステップS5で設定した悪路走行時目標舵角が得られるように左右後輪操舵アクチュエータ17l,17rを駆動する。
一方、左右後輪3rl,3rrの輪荷重変動量のどちらか一方が判定閾値を超え、ステップS6の判定がYesになった場合、操舵ECU7は、ステップS7で、左右後輪3rl,3rrのうち輪荷重変動量が判定閾値を超えた方の悪路走行時目標舵角に対し、輪荷重変動量の値に応じた補正係数(0、あるいは、1より小さな値)を乗じた後、ステップS4に移行して補正後の悪路走行時目標舵角が得られるように左右後輪操舵アクチュエータ17l,17rを駆動する。なお、ステップS7においては、左右後輪3rl,3rrのうちで輪荷重変動量が小さい方の悪路走行時目標舵角に対し、1より大きな値の補正係数を乗じるようにしてもよい。
これにより、左右後輪3rl,3rrのうち、輪荷重変動量の大きい方(すなわち、後輪の発生する横力が大きく変動する方)の悪路走行時目標舵角が小さくなる一方で、輪荷重変動量の小さい方の悪路走行時目標舵角が維持される(あるいは、増大される)ことで、車体1のヨー振動の収斂が安定して行えるようになる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明はこの実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態は直進走行時における後輪操舵制御に本発明を適用したものであるが、旋回走行時にも当然に適用可能である。また、自動車や後輪操舵制御部の具体的構成をはじめ、制御の具体的手順についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
1 車体
3 車輪
4 サスペンション
6 後輪転舵機構
7 操舵ECU
15 操舵角センサ(走行状態量検出手段)
17l 左後輪操舵アクチュエータ
17r 左後輪操舵アクチュエータ
21 車速センサ(走行状態量検出手段)
22 横Gセンサ
23 ヨーレイトセンサ(走行状態量検出手段)
24 サスペンション変位センサ(輪荷重検出手段)
30 直進時後輪操舵制御部(駆動制御手段)
31 目標舵角設定部(目標舵角設定手段)
32 輪荷重補正係数設定部
33 目標舵角補正部(目標舵角補正手段)
34 駆動電流生成部
V 自動車

Claims (4)

  1. 左後輪用操舵アクチュエータと右後輪用操舵アクチュエータとを備えた後輪操舵車両に搭載され、
    車両の走行に係る状態量を検出する走行状態量検出手段と、
    前記走行状態量検出手段の検出結果に基づき、車体の目標運動量を設定する目標運動量設定手段と、
    前記目標運動量に基づき、前記左後輪の目標操舵角を左目標舵角として設定し、前記右後輪の目標操舵角を右目標舵角として設定する目標舵角設定手段と、
    前記目標舵角設定手段の設定結果に基づき、前記左後輪用操舵アクチュエータと前記右後輪用操舵アクチュエータとを個別に駆動制御する駆動制御手段と
    を有する後輪操舵制御装置であって、
    左後輪の輪荷重と右後輪の輪荷重とをそれぞれ検出または推定する輪荷重検出手段と、
    前記左後輪の輪荷重の変動量と前記右後輪の輪荷重の変動量とに応じて、前記左目標舵角と前記右目標舵角との少なくとも一方を補正する目標舵角補正手段と
    を備えたことを特徴とする後輪操舵制御装置。
  2. 前記車両が悪路走行状態であるか否かを判定する悪路判定手段を更に備え、
    前記目標舵角補正手段は、前記悪路判定手段によって悪路走行状態であると判定された場合に前記補正を行うことを特徴とする、請求項1に記載された後輪操舵制御装置。
  3. 前記車両が直進走行状態であるか否かを判定する直進判定手段を更に備え、
    前記目標舵角補正手段は、前記直進判定手段によって直進走行状態であると判定された場合に前記補正を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された後輪操舵制御装置。
  4. 前記補正は、前記左後輪と前記右後輪とのうち、輪荷重の変動量が大きい方の目標舵角の絶対値を小さくし、輪荷重の変動量が小さい方の目標舵角の絶対値を大きくするものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された後輪操舵制御装置。
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