JP4736882B2 - 車両の操舵制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の操舵制御装置に係り、更に詳細には操舵アシスト力を制御する操舵アシスト力制御装置及び車両のロール剛性を可変制御するロール剛性制御装置を備えた車両の操舵制御装置に係る。
自動車等の車両の制御装置の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、一対のトーションバーと一対のトーションバーを相対的に回転駆動することによりロール剛性を可変制御するアクチュエータとを有するアクティブスタビライザ装置を備えた車両に於いて、操舵輪のグリップ状態を推定し、操舵輪のグリップ状態に応じてアクティブスタビライザ装置を制御することにより、車両のロール剛性を制御し車体のロール運動を制御する制御装置が従来より知られている。
かかる制御装置によれば、操舵輪のグリップ状態に応じて車両のロール剛性が制御されるので、操舵輪のグリップ状態に応じて車両のロール剛性が制御されない場合に比して、車体のロール運動を適正に制御することができる。
特開2005−96672号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
一般に、アクティブスタビライザ装置はアクチュエータによって左右のトーションバーを相対回転させることにより車両のロール剛性を変更するようになっているので、例えば車両の旋回中に左右のトーションバーを相対回転させた状態でアクチュエータに駆動不可の異常が生じると、左右のトーションバーは或る角度相対回転されたままの状態、即ち固着状態になる。そのため車両の直進時には左右一方の車輪がバウンド状態になると共に、左右他方の車輪がリバウンド状態になる。そしてこのバウンド、リバウンド状態の度合は固着した左右のトーションバーの相対回転角度の大きさに比例する。
また一般に、自動車等の車両に於いては、一端にて車体に枢支され他端にて車輪支持部材に枢着されたサスペンションアームにより車輪が支持されているため、車輪がバウンド、リバウンドすると車輪のトーが変化する現象、即ちロールステアが発生する。このロールステアは車両の通常走行時には瞬間的にしか発生しないが、車輪のバウンド、リバウンド状態が継続すると、ロールステアに起因して車両は車輪のトー変化方向へ偏向しようとし、運転者はこの偏向に抗して車両を運転しなければならない。そのため車両の旋回方向によって操舵反力が異なる不自然な操舵フィーリングが避けられず、また運転者は車両を直進走行させようとする際にも比較的高い操舵反力に抗してステアリングホイールを保持しなければならない。
しかるにアクティブスタビライザ装置を制御する上述の如き従来の制御装置に於いては、アクティブスタビライザ装置の固着に起因するロールステアに伴う問題及びその対策については十分な検討がなされておらず、この点で改善が必要とされている。
尚上記アクティブスタビライザ装置の固着の問題は、アクチュエータが電動機及び減速歯車機構を含む電動式のアクティブスタビライザ装置に限らず、アクチュエータが油圧により作動する油圧式のアクティブスタビライザ装置に於いても同様に発生することがあり、更にはロール剛性を可変する手段がサスペンションスプリングのばね力を可変するアクティブサスペンションである場合にも同様に発生することがある。
本発明は、ロール剛性制御装置を備えた車両の従来の制御装置に於ける上述の点に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、ロール剛性制御装置の固着異常が発生しているときには、ロールステアに起因する操舵反力の変化を抑制するよう操舵アシスト力を制御することにより、運転者が感じる不自然な操舵反力の変化を低減し、これにより従来に比して操舵フィーリングを向上させ、保舵トルクを低減することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち少なくとも操舵反力の検出値に基づいて操舵アシスト力を制御する操舵アシスト力制御手段と、車両のロール剛性を変更するロール剛性可変手段とを有する車両の操舵制御装置に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は車輌のロール方向によって車輌のロール剛性が異なる固着異常が前記ロール剛性可変手段に発生しているときには、運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量と操舵反力の検出値とに基づいて前記固着異常に起因する不必要な操舵反力を推定し、前記不必要な操舵反力に対抗する力が発生するよう操舵アシスト力を制御することを特徴とする車両の操舵制御装置によって達成される。
後に詳細に説明する如く、固着異常がロール剛性可変手段に発生しているときには、運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量に基づいて本来生ずべき操舵反力を推定することができるので、固着異常がロール剛性可変手段に発生しているときには、運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量と操舵反力の検出値とに基づいてロール剛性可変手段の固着異常に起因する不必要な操舵反力を推定することができる。
上記請求項1の構成によれば、固着異常がロール剛性可変手段に発生しているときには、運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量と操舵反力の検出値とに基づいて固着異常に起因する不必要な操舵反力が推定され、不必要な操舵反力に対抗する力が発生するよう操舵アシスト力が制御されるので、ロール剛性可変手段の固着異常に起因する不必要な操舵反力を確実に推定することができ、またロールステアに起因する操舵反力の変化を確実に抑制することができ、これにより運転者が感じる不自然な操舵反力の変化を低減し、従来に比して操舵フィーリングを向上させると共に保舵トルクを低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は運転者の操舵操作量若しくは実際の旋回状態量に基づく規範操舵反力と操舵反力の検出値との偏差に基づいて前記不必要な操舵反力を推定するよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、運転者の操舵操作量若しくは実際の旋回状態量に基づく規範操舵反力と操舵反力の検出値との偏差に基づいて不必要な操舵反力が推定されるので、運転者の操舵操作量、実際の旋回状態量、実際の操舵反力を検出することにより不必要な操舵反力を確実に推定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は運転者の操舵操作量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であるときの操舵反力の検出値に基づいて前記不必要な操舵反力を推定するよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、運転者の操舵操作量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であるときの操舵反力の検出値に基づいて不必要な操舵反力が推定されるので、後に詳細に説明する如く、ロール剛性可変手段の固着異常に伴う前輪のロールステアに起因する不必要な操舵反力を確実に推定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は運転者の操舵操作量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であるときの操舵反力の検出値に基づいて前記不必要な操舵反力を推定するよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、運転者の操舵操作量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であるときの操舵反力の検出値に基づいて不必要な操舵反力が推定されるので、後に詳細に説明する如く、ロール剛性可変手段の固着異常に伴う後輪のロールステアに起因する不必要な操舵反力を確実に推定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れかの構成に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は前記不必要な操舵反力にて補正された操舵反力の検出値に基づいて目標操舵アシスト力を演算し、前記目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力を制御するよう構成される(請求項5の構成)。
上記請求項5の構成によれば、不必要な操舵反力にて補正された操舵反力の検出値に基づいて目標操舵アシスト力が演算され、目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力が制御されるので、不必要な操舵反力の影響が低減された目標操舵アシスト力を演算することができ、これにより不必要な操舵反力の影響を確実に低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れかの構成に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は前記不必要な操舵反力に基づいて補正操舵アシスト力を演算し、少なくとも操舵反力の検出値に基づいて暫定目標操舵アシスト力を演算し、前記暫定目標操舵アシスト力を前記補正操舵アシスト力にて補正した目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力を制御するよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項6の構成によれば、不必要な操舵反力に基づいて補正操舵アシスト力が演算され、少なくとも操舵反力の検出値に基づいて暫定目標操舵アシスト力が演算され、暫定目標操舵アシスト力を補正操舵アシスト力にて補正した目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力が制御されるので、不必要な操舵反力の影響が低減された目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力を制御することができ、これにより不必要な操舵反力の影響を確実に低減することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の何れかの構成に於いて、ロール剛性可変手段はスタビライザの捩り剛性を変更することにより車両のロール剛性を変更するアクティブスタビライザ装置であるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の何れかの構成に於いて、ロール剛性可変手段は前輪側の車両のロール剛性を変更する前輪側のロール剛性可変手段と、後輪側の車両のロール剛性を変更する後輪側のロール剛性可変手段とを含むよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、前輪側又は後輪側のロール剛性可変手段に固着異常が発生しているときには、他方のロール剛性可変手段の作動が停止されるよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6又は上記好ましい態様1乃至3の何れかの構成に於いて、操舵制御装置は車両が定常的な走行状態にあるときの運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量と操舵反力の検出値とに基づいて固着異常に起因する不必要な操舵反力を推定するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6又は上記好ましい態様1乃至4の何れかの構成に於いて、操舵制御装置は車両が所定の走行状態にあるときの運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量と操舵反力の検出値とに基づいて固着異常に起因する不必要な操舵反力の初期値を推定し、不必要な操舵反力の初期値及び車速に基づいてその後の不必要な操舵反力を推定するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至6又は上記好ましい態様1乃至5の何れかの構成に於いて、操舵制御装置は操舵角及び車速に基づいて規範操舵反力を演算するよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至6又は上記好ましい態様1乃至5の何れかの構成に於いて、操舵制御装置は車両のヨーレート及び車速に基づいて規範操舵反力を演算するよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は5又は6又は上記好ましい態様1乃至5の何れかの構成に於いて、ロール剛性可変手段は前輪側の車両のロール剛性を変更する前輪側のロール剛性可変手段と、後輪側の車両のロール剛性を変更する後輪側のロール剛性可変手段とを含み、操舵制御装置は前輪側のロール剛性可変手段に固着異常が発生しているときに、運転者の操舵操作量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であるときの操舵反力の検出値に基づいて前記不必要な操舵反力を推定するよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4乃至6又は上記好ましい態様1乃至5の何れかの構成に於いて、ロール剛性可変手段は前輪側の車両のロール剛性を変更する前輪側のロール剛性可変手段と、後輪側の車両のロール剛性を変更する後輪側のロール剛性可変手段とを含み、操舵制御装置は後輪側のロール剛性可変手段に固着異常が発生しているときに、運転者の操舵操作量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であるときの操舵反力の検出値に基づいて前記不必要な操舵反力を推定するよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5又は上記好ましい態様1乃至9の何れかの構成に於いて、操舵制御装置は不必要な操舵反力を推定したときの車速を基準車速として、車速が基準車速であるときには1であり、車速が基準車速よりも高いほど大きく且つ車速が基準車速よりも低いほど小さくなるよう車速に基づいて正の補正係数を演算し、不必要な操舵反力と補正係数との積として不必要な操舵反力に基づく補正量を演算し、該補正量にて補正された操舵反力の検出値に基づいて目標操舵アシスト力を演算するよう構成される(好ましい態様10)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項6又は上記好ましい態様1乃至9の何れかの構成に於いて、操舵制御装置は不必要な操舵反力を推定したときの車速を基準車速として、車速が基準車速であるときには1であり、車速が基準車速よりも高いほど大きく且つ車速が基準車速よりも低いほど小さくなるよう車速に基づいて正の補正係数を演算し、不必要な操舵反力と補正係数との積として不必要な操舵反力に基づく補正量を演算し、該補正量に基づいて補正操舵アシスト力を演算するよう構成される(好ましい態様11)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は前輪側及び後輪側にアクティブスタビライザ装置を有し電動式のパワーステアリング装置を備えた車両に適用された本発明による車輌の操舵制御装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌12の左右の後輪を示している。左右の前輪10FL及び10FRの間にはアクティブスタビライザ装置16が設けられ、左右の後輪10RL及び10RRの間にはアクティブスタビライザ装置18が設けられている。アクティブスタビライザ装置16及び18はアンチロールモーメントを車輌(車体)に付与すると共に、それぞれ必要に応じて前輪側及び後輪側のロール剛性を増減するロール剛性可変手段として機能する。
アクティブスタビライザ装置16は車輌の横方向に延在する軸線に沿って互いに同軸に整合して延在する一対のトーションバー部分16TL及び16TRと、それぞれトーションバー部分16TL及び16TRの外端に一体に接続された一対のアーム部16AL及び16ARとを有している。トーションバー部分16TL及び16TRはそれぞれ図には示されていないブラケットを介して図には示されていない車体に自らの軸線の周りに回転可能に支持されている。アーム部16AL及び16ARはそれぞれトーションバー部分16TL及び16TRに対し交差するよう車輌前後方向に延在し、アーム部16AL及び16ARの外端はそれぞれ図には示されていないゴムブッシュ装置を介して左右前輪10FL及び10FRのサスペンションアームの如きサスペンション部材14FL及び14FRに連結されている。
アクティブスタビライザ装置16はトーションバー部分16TL及び16TRの間にアクチュエータ20Fを有している。アクチュエータ20Fは電動機を内蔵し、必要に応じて一対のトーションバー部分16TL及び16TRを相対的に回転駆動することにより、左右の前輪10FL及び10FRが互いに逆相にてバウンド、リバウンドする際に捩り応力により車輪のバウンド、リバウンドを抑制する力を変化させ、これにより左右前輪の位置に於いて車輌に付与されるアンチロールモーメントを増減し、前輪側の車輌のロール剛性を可変制御する。
同様に、アクティブスタビライザ装置18は車輌の横方向に延在する軸線に沿って互いに同軸に整合して延在する一対のトーションバー部分18TL及び18TRと、それぞれトーションバー部分18TL及び18TRの外端に一体に接続された一対のアーム部18AL及び18ARとを有している。トーションバー部分18TL及び18TRはそれぞれ図には示されていないブラケットを介して図には示されていない車体に自らの軸線の周りに回転可能に支持されている。アーム部18AL及び18ARはそれぞれトーションバー部分18TL及び18TRに対し交差するよう車輌前後方向に延在し、アーム部18AL及び18ARの外端はそれぞれ図には示されていないゴムブッシュ装置を介して左右後輪10RL及び10RRのサスペンションアームの如きサスペンション部材14RL及び14RRに連結されている。
アクティブスタビライザ装置18はトーションバー部分18TL及び18TRの間にアクチュエータ20Rを有している。アクチュエータ20Rは電動機を内蔵し、必要に応じて一対のトーションバー部分18TL及び18TRを相対的に回転駆動することにより、左右の後輪10RL及び10RRが互いに逆相にてバウンド、リバウンドする際に捩り応力により車輪のバウンド、リバウンドを抑制する力を変化させ、これにより左右後輪の位置に於いて車輌に付与されるアンチロールモーメントを増減し、後輪側の車輌のロール剛性を可変制御する。
尚アクティブスタビライザ装置16及び18の構造自体は本発明の要旨をなすものではないので、車輌のロール剛性を可変制御し得るものである限り当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよいが、例えば本願出願人の出願にかかる特願2003−324212(整理番号PA03−374)明細書及び図面に記載のアクティブスタビライザ装置、即ち一方のトーションバー部分の内端に固定され駆動歯車が取り付けられた回転軸を有する電動機と、他方のトーションバー部分の内端に固定され駆動歯車に噛合する従動歯車とを有し、駆動歯車及び従動歯車は駆動歯車の回転を従動歯車へ伝達するが、従動歯車の回転を駆動歯車へ伝達しない歯車であるアクティブスタビライザ装置であることが好ましい。
アクティブスタビライザ装置16及び18のアクチュエータ20F及び20Rは電子制御装置22によって電動機に対する制御電流が制御されることにより制御される。尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置22はCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。
また図示の実施例に於いては、図1に示されている如く、左右前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール24の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置26によりラックバー28及びタイロッド30L及び30Rを介して転舵される。
図示の実施例に於いては、電動式パワーステアリング装置26はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であり、電動機32と、電動機32の回転トルクをラックバー28の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構34とを有し、ハウジング36に対し相対的にラックバー28を駆動する操舵アシスト力を発生することにより、運転者の操舵負担を軽減する操舵アシスト力発生装置として機能する。尚電動式パワーステアリング装置26は電子制御装置38によって電動機32に対する制御電流が制御されることにより制御される。尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置38もCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また操舵アシスト力発生装置は当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
図1に示されている如く、電子制御装置22には横加速度センサ40により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号、車速センサ42により検出された車速Vを示す信号、回転角度センサ44F、44Rにより検出されたアクチュエータ20F及び20Rの実際の回転角度φF、φRを示す信号が入力される。
他方電子制御装置38には操舵角センサ46により検出された操舵角θを示す信号、トルクセンサ48により検出された操舵トルクTsを示す信号、ヨーレートセンサ50により検出された車両のヨーレートγを示す信号が入力される。電子制御装置22及び38は相互に通信し必要な信号の授受を行う。尚横加速度センサ40、操舵角センサ46、ヨーレートセンサ50はそれぞれ車輌の左旋回時に生じる値を正として横加速度Gy、操舵角θ、ヨーレートγを検出し、トルクセンサ48は左旋回方向へ前輪を転舵際の値を正として操舵トルクTsを検出する。
電子制御装置22は、図2に示されたフローチャートに従って、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているか否かを判定し、アクティブスタビライザ装置16及び18が正常であるときには、少なくとも車輌の横加速度Gyに基づき車輌に作用するロールモーメントを推定し、ロールモーメントの大きさが基準値以上であるときには、ロールモーメントを打ち消す方向のアンチロールモーメントが増大するよう車輌の目標アンチロールモーメントMatを演算する。
そして電子制御装置22は、目標アンチロールモーメントMat及び前輪の目標ロール剛性配分比Rmfに基づき前輪の目標アンチロールモーメントMaft及び後輪の目標アンチロールモーメントMartを演算し、目標アンチロールモーメントMaft及びMartに基づきそれぞれアクティブスタビライザ装置16及び18のアクチュエータ20F及び20Rの目標回転角度φFt、φRtを演算し、アクチュエータ20F及び20Rの回転角度φF、φRがそれぞれ対応する目標回転角度φFt、φRtになるよう制御し、これにより旋回時等に於ける車輌のロールを好ましい前後配分比のロール剛性にて低減する。
かくしてアクティブスタビライザ装置16及び18、電子制御装置22、横加速度センサ48等は、車輌に過大なロールモーメントが作用するときにはアンチロールモーメントを増減させて車輌のロール剛性を増減するロール剛性可変手段として機能し、車両の過大なロールを防止する。
また電子制御装置22は、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生しているときには、そのことを示すフラグFfを1にセットし、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているときには、そのことを示すフラグFrを1にセットする。フラグFf及びFrを示す信号は電子制御装置38へ出力される。
尚、アクティブスタビライザ装置16、18に固着異常が発生しているか否かの判定は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて達成されてよく、例えばアクチュエータ20F及び20Rがそれらに対する制御電流に応答して作動し、実際の回転角度φF、φRに対応して変化しているか否かの判定により行われてよい。
また電子制御装置38は、図3に示されたフローチャートに従って、トルクセンサ48により検出される操舵トルクTs及び車速Vに基づいて所定の操舵特性を達成するための暫定目標アシストトルクTabを演算する。そして電子制御装置38は、アクティブスタビライザ装置16及び18が正常であるときには、目標アシストトルクTaを暫定目標アシストトルクTabに設定し、操舵アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置26を制御する。かくして電動式パワーステアリング装置26、電子制御装置38、トルクセンサ48等は、操舵アシスト力としての操舵トルクを増減制御する操舵アシスト力制御手段として機能し、運転者の操舵負担を軽減する。
図11(A)に示されている如く、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生し、左右の前輪10FL及び10FRがロールステアにより正常な方向に対し左旋回方向へΔδf転舵された状態になっているとすると、ステアリングホイール24が中立位置にある場合にも左右の前輪10FL及び10FRは車両の直進方向に対し左旋回方向へΔδf転舵された状態になる。
そのため左右の前輪10FL及び10FRには旋回横力の反力としてそれらの車輪を右旋回方向へ転舵して車両の直進位置に戻そうとするモーメントMfが作用し、該モーメントMfに起因してステアリング系には車両を左旋回させる場合と同一の方向の不必要な操舵トルクΔTsが作用する。
従ってアクティブスタビライザ装置16及び18が正常であるが、アクチュエータ20F及び20Rが作動せず、アクティブスタビライザ装置16及び18が従来の一般的なスタビライザとして機能する場合に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsが、或る車速Vに於いて図11(B)に示された関係にあるとすると、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生した状況に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsは同一の車速に於いて図11(C)に於いて実線にて示された関係になる。即ち操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線はロールステアによる前輪の転舵角Δδfに対応する操舵角Δθ分操舵角θの軸に沿ってΔθとは逆方向へシフトする。
尚前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生し、左右の前輪10FL及び10FRがロールステアにより正常な方向に対し右旋回方向へΔδf転舵された状況に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsは、同一の車速に於いて図11(C)に於いて仮想線にて示された関係になる。また操舵角θと車両のヨーレートγとの間には一定の関係があるので、図11(B)及び(C)の横軸を車両のヨーレートγにしても同様の関係が成立する。
よって前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生している場合には、操舵角θが実質的に0であり且つ車両が旋回状態にあるときの操舵トルクTsは、前輪側のアクティブスタビライザ装置16の固着異常に伴う前輪のロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを表す。
従って電子制御装置38は、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生している場合には、操舵角θが実質的に0であり且つ車両の旋回状態量としてのヨーレートγの大きさが車輌の旋回判定の基準値以上であるときの操舵トルクTsを不必要な操舵トルクΔTsとして演算する。
また図12(A)に示されている如く、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生し、左右の後輪10RL及び10RRがロールステアにより正常な方向に対し左旋回方向(右側)へΔδr転舵された状態になっているとすると、ステアリングホイール24が中立位置にあり、左右の前輪10FL及び10FRが車両の直進方向にあっても、車両は左旋回方向へ偏向しようとする。
そのため左右の前輪10FL及び10FRには旋回横力が作用し、その反力としてそれらの車輪を後輪と同一の切れ角になるよう右旋回方向へ転舵して車両を直進走行させようとするモーメントMfが作用し、該モーメントMfに起因してステアリング系には車両を左旋回させる場合と同一の方向の不必要な操舵トルクΔTsが作用する。
従ってアクティブスタビライザ装置16及び18は正常であるが、アクチュエータ20F及び20Rが作動せずにアクティブスタビライザ装置16及び18が従来の一般的なスタビライザとして機能する場合に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsが、或る車速Vに於いて図12(B)に示された関係にあるとすると、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生した状況に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsは同一の車速に於いて図12(C)に於いて実線にて示された関係になる。即ち操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線はロールステアによる後輪の転舵角Δδrに対応する操舵角Δθ分操舵角θの軸に沿ってΔθとは逆方向へシフトする。
尚後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生し、左右の後輪10RL及び10RRがロールステアにより正常な方向に対し右旋回方向(左側)へΔδr転舵された状態になっている状況に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsは、同一の車速に於いて図12(C)に於いて仮想線にて示された関係になる。またこの場合にも操舵角θと車両のヨーレートγとの間には一定の関係があるので、図12(B)及び(C)の横軸を車両のヨーレートγにしても同様の関係が成立する。
また上記車輌の偏向に対処すべく、運転者が図12(A)に於いて仮想線にて示されている如く左右の前輪10FL及び10FRを車両の右旋回方向へ転舵すると、車両は左旋回することなく、換言すればヨーレートγが実質的に0の状態で、僅かに右方向へ移動しながら直進走行する。
よって後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、操舵角θが車両の旋回に対応する角度であり且つ車両が実質的に直進走行状態にあるときの操舵トルクTsは後輪側のアクティブスタビライザ装置18の固着異常に伴う後輪のロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを表す。
従って電子制御装置38は、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、操舵角θの大きさが車両の旋回判定の基準値以上であり且つ車両のヨーレートγの大きさが車両の直進判定の基準値以下であるときの操舵トルクTsを不必要な操舵トルクΔTsとして演算する。
そして電子制御装置38は、一旦不必要な操舵トルクΔTsを演算すると、その後不必要な操舵トルクΔTsに基づいて操舵トルクの補正量Tsaを演算し、目標アシストトルクTaを演算するための操舵トルクTsを操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正し、減算補正後の操舵トルクに基づいて目標アシストトルクTaを演算し、操舵アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置26を制御する。
この場合ロールステアに起因する前輪又は後輪の転舵角が一定であっても、実際に発生する不必要な操舵トルクの大きさは車速Vが低いほど小さく、車速Vが高いほど大きいので、不必要な操舵トルクΔTsを演算したときの車速Vを基準車速Vcとして、操舵トルクの補正量Tsaは、車速Vが基準車速Vcよりも高く基準車速Vcとの偏差の大きさが大きいほど大きくなり、車速Vが基準車速Vcよりも低く基準車速Vcとの偏差の大きさが大きいほど小さくなるよう、車速Vに応じて可変設定される。
次に図2及び図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於ける車両の走行制御について説明する。尚図2及び図3はそれぞれロール剛性の制御ルーチン及び操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートであり、各制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。このことは後述の他の実施例についても同様である。
図2に示されたロール剛性の制御ルーチンのステップ210に於いては、車両の横加速度Gyを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ215に於いては前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ220に於いてフラグFfが1にセットされた後図2に示されたルーチンによる制御が終了され、否定判別が行われたときにはステップ225へ進む。
ステップ225に於いては後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ230に於いてフラグFrが1にセットされた後図2に示されたルーチンによる制御が終了され、否定判別が行われたときにはステップ235に於いてフラグFf及びFrが0にリセットされた後ステップ240へ進む。
ステップ240に於いては車速Vが高いほど高くなるよう前輪の目標ロール剛性配分比Rmfが0よりも大きく1よりも小さい値として演算され、ステップ245に於いては例えば車輌の横加速度Gyの大きさが大きいほど目標アンチロールモーメントMatが大きくなるよう、車輌の横加速度Gyに基づき目標アンチロールモーメントMatが演算され、ステップ250に於いてはそれぞれ下記の式1及び2に従って前輪の目標アンチロールモーメントMaft及び後輪の目標アンチロールモーメントMartが演算される。
Maft=RmfMat ……(1)
Mart=(1−Rmf)Mat ……(2)
ステップ255に於いてはそれぞれ前輪の目標アンチロールモーメントMaft及び後輪の目標アンチロールモーメントMartに基づきアクティブスタビライザ装置16及び18のアクチュエータ20F及び20Rの目標回転角φft及びφrtが演算され、ステップ260に於いてはそれぞれアクチュエータ20F及び20Rの回転角φf及びφrがそれぞれ目標回転角φft及びφrtになるよう制御される。
図3に示された操舵アシストトルクの制御ルーチンのステップ310に於いては、操舵トルクTsを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ315に於いてはフラグFaが1であるか否かの判別、即ち前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18の固着異常に起因する不必要な操舵トルクΔTsの演算が完了しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ355へ進み、否定判別が行われたときにはステップ320へ進む。
ステップ320に於いてはフラグFfが1であるか否かの判別、即ち前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ330へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ325へ進む。
ステップ325に於いては操舵角θの絶対値が操舵角の中立位置判定の基準値θ1(0に近い正の定数)以下であり且つ操舵トルクTsの絶対値が基準値Ts1(正の定数)以上であり且つ車両のヨーレートγの絶対値が基準値γ1(正の定数)以上であるか否かの判別、即ちステアリングホイール24が実質的に中立位置にあるにも拘わらず、操舵トルクTsが発生し車両が旋回状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ345へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ350へ進む。
ステップ330に於いてはフラグFrが1であるか否かの判別、即ち後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ335に於いて目標アシストトルクTaの演算に供される操舵トルクの補正量Tsaが0に設定された後ステップ365へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ340へ進む。
ステップ340に於いては操舵角θの絶対値が操舵角の旋回位置判定の基準値θ2(正の定数)以上であり且つ操舵トルクTsの絶対値が基準値Ts2(正の定数)以上であり且つ車両のヨーレートγの絶対値が車両の直進判定の基準値γ2(0に近い正の定数)以下であるか否かの判別、即ちステアリングホイール24が車両の旋回位置にあり且つ操舵トルクTsが発生しているにも拘わらず、車両が実質的に直進走行状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ345に於いて操舵トルクの補正量Tsaが0に設定されると共にフラグFaが0にリセットされた後ステップ365へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ350に於いて不必要な操舵トルクΔTsが操舵トルクTsに設定され、基準車速Vcが現在の車速Vに設定され、フラグFaが1にセットされた後ステップ355へ進む。
ステップ355に於いては車速Vが低いほど補正係数Kaが小さくなり、車速Vが高いほど補正係数Kaが大きくなり、車速VがVcであるときには補正係数Kaが1になるよう、車速Vに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより補正係数Kaが演算され、ステップ360に於いては補正係数Kaと不必要な操舵トルクΔTsとの積として操舵トルクの補正量Tsaが演算される。
ステップ365に於いては操舵トルクTsが操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正され、ステップ370に於いては操舵トルクTsの大きさが大きいほど基本アシストトルクTabの大きさが大きくなるよう、操舵トルクTsに基づき図4に示されたグラフに対応するマップより基本アシストトルクTabが演算され、車速Vが高いほど車速係数Kvが小さくなるよう、車速Vに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算され、車速係数Kvと基本アシストトルクTabとの積として目標アシストトルクTaが演算される。
ステップ395に於いては操舵アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置26の電動機32が制御される。
かくして図示の実施例1によれば、アクティブスタビライザ装置16及び18が正常であるときには、ステップ215及び225に於いて否定判別が行われ、ステップ240に於いて前輪の目標ロール剛性配分比Rmfが演算され、ステップ245に於いて車輌の横加速度Gyに基づき目標アンチロールモーメントMatが演算され、ステップ250に於いて目標ロール剛性配分比Rmfにて目標アンチロールモーメントMatを達成するための前輪の目標アンチロールモーメントMaft及び後輪の目標アンチロールモーメントMartが演算され、ステップ255及び260に於いて目標アンチロールモーメントMaft及びMartが達成されるようアクティブスタビライザ装置16及び18が制御され、これにより車両の過大なロールが防止される。
これに対し前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生すると、ステップ215に於いて肯定判別が行われ、ステップ220に於いてフラグFfが1にセットされる。従ってまずステップ315に於いて否定判別が行われ、ステップ320に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ325の判別が行われる。
ステアリングホイール24が実質的に中立位置にあるにも拘わらず、操舵トルクTsが発生し車両が旋回状態にあるときには、ステップ325に於いて肯定判別が行われ、ステップ350に於いて不必要な操舵トルクΔTsが操舵トルクTsに設定され、基準車速Vcが現在の車速Vに設定され、フラグFaが1にセットされる。
従って前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生し、不必要な操舵トルクΔTsの演算が完了すると、ステップ315に於いて肯定判別が行われ、ステップ355及び360に於いて不必要な操舵トルクΔTsの影響を低減するための操舵トルクの補正量Tsaが不必要な操舵トルクΔTs及び車速Vに基づいて演算され、ステップ365に於いて操舵トルクTsが操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正され、ステップ370に於いて減算補正後の操舵トルクTs及び車速Vに基づいて目標アシストトルクTaが演算される。
また前輪側のアクティブスタビライザ装置16は正常であるが、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生すると、ステップ215に於いて否定判別が行われ、ステップ225に於いて肯定判別が行われ、ステップ230に於いてフラグFrが1にセットされる。従ってまずステップ315及び320に於いて否定判別が行われ、ステップ330に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ340の判別が行われる。
ステアリングホイール24が車両の旋回位置にあり且つ操舵トルクTsが発生しているにも拘わらず、車両が実質的に直進走行状態にあるときには、ステップ340に於いて肯定判別が行われ、ステップ350に於いて不必要な操舵トルクΔTsが操舵トルクTsに設定され、基準車速Vcが現在の車速Vに設定され、フラグFaが1にセットされる。
従って後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生し、不必要な操舵トルクΔTsの演算が完了すると、ステップ315に於いて肯定判別が行われ、ステップ355及び360に於いて不必要な操舵トルクΔTsの影響を低減するための操舵トルクの補正量Tsaが不必要な操舵トルクΔTs及び車速Vに基づいて演算され、ステップ365に於いて操舵トルクTsが操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正され、ステップ370に於いて減算補正後の操舵トルクTs及び車速Vに基づいて目標アシストトルクTaが演算される。
以上の説明より解る如く、図示の実施例1によれば、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生し、左右の前輪10FL及び10FRにロールステアが発生している場合、及び後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生し、左右の後輪10RL及び10RRにロールステアが発生している場合の何れの場合にも、ロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを確実に且つ正確に推定することができる。
また図示の実施例1によれば、不必要な操舵トルクΔTsの影響を排除した操舵トルクに基づいて目標アシストトルクTaを演算することができるので、ロールステアに起因する操舵反力の変化を確実に抑制することができ、これにより運転者が感じる不自然な操舵反力の変化を低減し、従来に比して操舵フィーリングを向上させると共に保舵トルクを低減することができる。
特に図示の実施例1によれば、操舵トルクTsが操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正され、減算補正後の操舵トルクTs及び車速Vに基づいて目標アシストトルクTaが演算されるので、例えば後述の実施例2及び4の場合の如く、不必要な操舵トルクΔTsの影響を含む暫定の目標アシストトルクより不必要な操舵トルクΔTsに対応するアシストトルクの補正量を減算することにより目標アシストトルクTaが演算される場合に比して、目標アシストトルクTaを能率よく演算することができる。
図7は実施例1の修正例として構成された本発明による車輌の操舵制御装置の実施例2に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図7に於いて、図3に示されたステップに対応するステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例2の電子制御装置38は、一旦不必要な操舵トルクΔTsを演算すると、その後不必要な操舵トルクΔTsに基づいて不必要な操舵トルクに起因して運転者が感じる操舵反力の増減を抑制するための操舵トルクの補正量Tsaを演算し、操舵トルクの補正量Tsaに基づいてアシストトルクの補正量ΔTabを演算する。また電子制御装置38は、操舵トルクTsに基づいて暫定アシストトルクTpaを演算し、暫定アシストトルクTpaをアシストトルクの補正量ΔTabにて減算補正することにより目標アシストトルクTaを演算し、操舵アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置26を制御する。
図7に示されている如く、この実施例2の操舵アシストトルクの制御ルーチンに於いては、ステップ335に於いてアシストトルクの補正量ΔTabが0に設定され、ステップ345に於いてアシストトルクの補正量ΔTabが0に設定されると共に、フラグFaが0にリセットされる。
またステップ360の次に実行されるステップ375に於いては、操舵トルクの補正量Tsaに基づいて図4に示されたグラフに対応するマップよりアシストトルクの補正量ΔTabが演算され、ステップ335の次に実行されるステップ380に於いては、操舵トルクTsに基づいて図4に示されたグラフに対応するマップより暫定目標アシストトルクTpaが演算される。
ステップ385に於いては暫定目標アシストトルクTpaよりアシストトルクの補正量ΔTabを減算した値として基本アシストトルクTabが演算され、ステップ390に於いては車速Vが高いほど車速係数Kvが小さくなるよう、車速Vに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算されると共に、車速係数Kvと基本アシストトルクTabとの積として目標アシストトルクTaが演算される。
かくして図示の実施例2によれば、前輪側のアクティブスタビライザ装置16及び後輪側のアクティブスタビライザ装置18の何れに固着異常が発生している場合にも、ロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを確実に且つ正確に推定することができ、また不必要な操舵トルクΔTsの影響を含む暫定目標アシストトルクTpaより不必要な操舵トルクΔTsに対応するアシストトルクの補正量ΔTabを減算することにより、不必要な操舵トルクΔTsの影響を排除した目標アシストトルクTaを演算することができるので、ロールステアに起因する操舵反力の変化を確実に抑制することができ、これにより運転者が感じる不自然な操舵反力の変化を低減し、従来に比して操舵フィーリングを向上させると共に保舵トルクを低減することができる。
特に図示の実施例1及び2によれば、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生しているか、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているかが区別して判定され、固着異常が前輪側及び後輪側の何れのアクティブスタビライザ装置に発生しているかに応じて車両がそれぞれ最適の走行状態にあるときに不必要な操舵トルクΔTsが演算されるので、固着異常が前輪側及び後輪側の何れのアクティブスタビライザ装置に発生しているかに関係なく同一の要領にて不必要な操舵トルクΔTsが演算される場合に比して、不必要な操舵トルクΔTsを正確に演算することができる。
また図示の実施例1及び2によれば、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生しているときには、ステップ325に於いてステアリングホイール24が実質的に中立位置にあるにも拘わらず、操舵トルクTsが発生し車両が旋回状態にあると判定されたときに不必要な操舵トルクΔTsが演算され、また後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているときには、ステップ340に於いてステアリングホイール24が車両の旋回位置にあり且つ操舵トルクTsが発生しているにも拘わらず、車両が実質的に直進走行状態にあると判定されたときに不必要な操舵トルクΔTsが演算されるので、車両が他の走行状態にあるときに不必要な操舵トルクΔTsが演算される場合に比して、不必要な操舵トルクΔTsを正確に演算することができる。
また図示の実施例1及び2によれば、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生している場合及び後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合の何れの場合にも、ステップ350に於いて不必要な操舵トルクΔTsが一旦演算されると、フラグFaが1にセットされ、ステップ315に於いて肯定判別が行われることにより、ステップ325又は340及びステップ350は実行されず、ステップ355以降が実行されるので、不必要な操舵トルクΔTsが毎回演算される場合に比して、操舵アシストトルクの制御を簡便に実行することができる。
更に図示の実施例1及び2によれば、ステップ325又は340に於いて肯定判別が行われると、不必要な操舵トルクΔTsは検出された操舵トルクTsに設定されればよいので、操舵角θや車速Vに基づいて規範操舵トルクを演算したり、規範操舵トルクと検出された操舵トルクTsとの偏差を演算したりする必要がないので、後述の実施例3及び4の場合に比して簡便に不必要な操舵トルクΔTsを演算することができる。
図8は前輪側及び後輪側にアクティブスタビライザ装置を有し電動式のパワーステアリング装置を備えた車両に適用された本発明による車輌の操舵制御装置の実施例3に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。
前述の如く、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生した状況に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線、及び後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生した状況に於ける操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線は、アクティブスタビライザ装置16及び18が通常のスタビライザとして機能する場合の位置に対し、それぞれロールステアによる前輪の転舵角Δδfに対応する操舵角Δθ分及びロールステアによる後輪の転舵に伴う前輪の転舵角Δδfに対応する操舵角Δθ分操舵角θの軸に沿ってΔθとは逆方向へシフトする。
またアクティブスタビライザ装置16及び18が通常のスタビライザとして機能する状況に於いて、後輪が転舵されることなく前輪が転舵されることにより発生する不必要な操舵トルクTsの大きさ、及び後輪が転舵されたことによる車両の旋回運動を相殺すべく前輪が転舵されることにより発生する不必要な操舵トルクTsの大きさは、図9(A)に示されている如く前輪の舵角の大きさが大きいほど大きくなり、また車速Vが低いほど小さく、車速Vが高いほど大きい。
従って図9(B)に示されている如く、車速Vに基づいて操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線を特定し、特定された曲線及び操舵角θに基づいて車速V及び操舵角θに対応する操舵トルクTsを規範操舵トルクTsbとして演算することができ、規範操舵トルクTsbとトルクセンサ48により検出される操舵トルクTsとの偏差は、車輪のロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを表す。
よって車輌が上述の実施例1及び2の場合の如き特定の走行状態にある場合以外に於いても、車輌の走行状態が定常的な走行状態であれば、車速V、操舵角θ、操舵トルクTsに基づいて規範操舵トルクTsbと操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsを求めることができる。
この実施例3の電子制御装置38は、上記の点に着目し、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、車輌が定常的な走行状態にあるときの車速Vに基づいて操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線を特定し、特定された曲線及び操舵角θに基づいて規範操舵トルクTsbを演算し、規範操舵トルクTsbとトルクセンサ48により検出される操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsを演算する。
またこの実施例3の電子制御装置38は、上述の実施例1の場合と同様、一旦不必要な操舵トルクΔTsを演算すると、その後不必要な操舵トルクΔTsに基づいて不必要な操舵トルクに起因して運転者が感じる操舵反力の増減を抑制するための操舵トルクの補正量Tsaを演算し、目標アシストトルクTaを演算するための操舵トルクTsを操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正し、減算補正後の操舵トルクに基づいて目標アシストトルクTaを演算し、操舵アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置26を制御する。
図8に示されている如く、この実施例3の操舵アシストトルクの制御ルーチンに於いては、ステップ810〜830、840、850〜865、890はそれぞれ上述の実施例1に於けるステップ310〜320、330、335、355〜370、390と同様に実行される。
ステップ820又は825に於いて肯定判別が行われると、即ち前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、ステップ835に於いて車速Vが車両の走行判定の基準値Vo(正の定数)以上であり且つ例えば車速Vの時間微分値として演算される車両の前後加速度Vdの絶対値が定常車速判定の基準値Vdo(0に近い正の定数)以下であり且つ操舵角θの時間微分値として演算される操舵角速度θdの絶対値が定常旋回判定の基準値θdo(0に近い正の定数)以下であるか否かの判別、即ち車両が定常的な走行状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ840へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ845へ進む。
ステップ845に於いては車速Vに基づいて図9(A)に示されたグラフに対応するマップが特定され、操舵角θに基づいて上記特定されたマップより図9(B)に示されている如く車速V及び操舵角θに対応する操舵トルクTsが規範操舵トルクTsbとして演算され、規範操舵トルクTsbとトルクセンサ48により検出された操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsが演算され、基準車速Vcが現在の車速Vに設定され、フラグFaが1にセットされた後ステップ850へ進む。
かくして図示の実施例3によれば、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、車両が定常的な走行状態にあるときに車速V及び操舵角θに基づいて規範操舵トルクTsbが演算され、規範操舵トルクTsbと操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsが演算されるので、ロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを確実に且つ正確に推定することができ、また上述の実施例1の場合と同様、不必要な操舵トルクΔTsの影響を排除した操舵トルクに基づいて目標アシストトルクTaを演算することによってロールステアに起因する操舵反力の変化を確実に抑制することができ、これにより運転者が感じる不自然な操舵反力の変化を低減し、従来に比して操舵フィーリングを向上させると共に保舵トルクを低減することができる。
特に図示の実施例3によれば、上述の実施例1の場合と同様、操舵トルクTsが操舵トルクの補正量Tsaにて減算補正され、減算補正後の操舵トルクTs及び車速Vに基づいて目標アシストトルクTaが演算されるので、例えば前述の実施例2及び後述の実施例4の場合の如く、不必要な操舵トルクΔTsの影響を含む暫定の目標アシストトルクより不必要な操舵トルクΔTsに対応するアシストトルクの補正量を減算することにより目標アシストトルクTaが演算される場合に比して、目標アシストトルクTaを能率よく演算することができる。
図10は実施例2の修正例として構成された本発明による車輌の操舵制御装置の実施例4に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図10に於いて、図8に示されたステップに対応するステップには図8に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例4の電子制御装置38は、上述の実施例3の場合と同様、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、車輌が定常的な走行状態にあるときの車速Vに基づいて操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線を特定し、特定された曲線及び操舵角θに基づいて規範操舵トルクTsbを演算し、規範操舵トルクTsbとトルクセンサ48により検出される操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsを演算する。
またこの実施例4の電子制御装置38は、上述の実施例2の場合と同様、一旦不必要な操舵トルクΔTsを演算すると、その後不必要な操舵トルクΔTsに基づいて不必要な操舵トルクに起因して運転者が感じる操舵反力の増減を抑制するためのアシストトルクの補正量ΔTabを演算し、暫定目標アシストトルクTaを補正量ΔTabにて減算補正することにより目標アシストトルクTaを演算し、操舵アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置26を制御する。
図10に示されている如く、この実施例4の操舵アシストトルクの制御ルーチンに於いては、ステップ810〜855、890はそれぞれ上述の実施例3に於けるステップ810〜855、890と同様に実行される。またステップ855の次に実行されるステップ870及びステップ830の次に実行されるステップ875〜885はそれぞれ上述の実施例2に於けるステップ375、880〜390と同様に実行される。
かくして図示の実施例4によれば、上述の実施例3の場合と同様、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、車両が定常的な走行状態にあるときに車速V及び操舵角θに基づいて規範操舵トルクTsbが演算され、規範操舵トルクTsbと操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsが演算されるので、ロールステアに起因する不必要な操舵トルクΔTsを確実に且つ正確に推定することができる。
また図示の実施例4によれば、上述の実施例2の場合と同様、不必要な操舵トルクΔTsの影響を含む暫定目標アシストトルクTpaより不必要な操舵トルクΔTsに対応するアシストトルクの補正量ΔTabを減算することにより、不必要な操舵トルクΔTsの影響を排除した目標アシストトルクTaを演算することができるので、ロールステアに起因する操舵反力の変化を確実に抑制することができ、これにより運転者が感じる不自然な操舵反力の変化を低減し、従来に比して操舵フィーリングを向上させると共に保舵トルクを低減することができる。
特に上述の実施例3及び4によれば、車輌が上述の実施例1及び2の場合の如き特定の走行状態にある場合以外に於いても、車輌の走行状態が定常的な走行状態であれば、車速V、操舵角θ、操舵トルクTsに基づいて規範操舵トルクTsbと操舵トルクTsとの偏差として不必要な操舵トルクΔTsを演算することができるので、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生した場合に、上述の実施例1及び2の場合よりも早期に不必要な操舵トルクΔTsを演算することができ、これによりロールステアに起因する操舵反力の変化の抑制や運転者が感じる不自然な操舵反力の変化の低減を早期に達成することができる。
また上述の各実施例によれば、ステップ355又は850に於いて車速Vが低いほど補正係数Kaが小さくなり、車速Vが高いほど補正係数Kaが大きくなり、車速VがVcであるときには補正係数Kaが1になるよう、車速Vに基づいて正の補正係数Kaが演算され、ステップ360又は855に於いて補正係数Kaと不必要な操舵トルクΔTsとの積として操舵トルクの補正量Tsaが演算されるので、例えば不必要な操舵トルクΔTsが操舵トルクの補正量Tsaとされる場合に比して、車速Vの変化に拘わらず操舵トルクの補正量Tsaを最適な値に演算することができ、これにより車速Vの変化に拘わらずロールステアに起因して実際に発生する不必要な操舵トルクに応じて操舵反力の変化の抑制や運転者が感じる不自然な操舵反力の変化の低減を適正に行うことができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、車両の旋回状態量は車両のヨーレートγであるが、車両の旋回状態量は例えば車両の横加速度Gyや車両の横加速度を車速Vにて除算した値等であってもよい。
また上述の各実施例に於いては、一旦不必要な操舵トルクΔTsが演算されると不必要な操舵トルクΔTsは更新されないようになっているが、フラグFaが省略され、不必要な操舵トルクΔTsが毎回演算されるよう修正されてもよく、また不必要な操舵トルクΔTsが演算又は更新された時点より所定の時間が経過するとステップ320へ進むことにより、不必要な操舵トルクΔTsが更新されるよう修正されてもよい。
また上述の実施例1及び2に於いては、前輪側のアクティブスタビライザ装置16に固着異常が発生しているときにはステップ325の判別が行われ、後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生しているときにはステップ340の判別が行われるようになっているが、前輪側又は後輪側のアクティブスタビライザ装置に固着異常が発生しているときには、まずステップ325の判別が行われ、ステップ325に於いて否定判別が行われたときにステップ340へ進むよう修正されてもよい。
また上述の実施例1及び2に於いては、車輌の走行状態が定常的な走行状態にあるか否かの判別は行われないようになっているが、車輌の走行状態が定常的な走行状態にあるか否かの判別が行われ、車輌の走行状態が定常的な走行状態にあるときにのみステップ325又は340の判別が行われるよう修正されてもよい。
また上述の実施例3及び4に於いては、前輪側のアクティブスタビライザ装置16又は後輪側のアクティブスタビライザ装置18に固着異常が発生している場合には、車輌が定常的な走行状態にあるときの車速Vに基づいて操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線を特定し、特定された曲線及び操舵角θに基づいて規範操舵トルクTsbを演算するようになっているが、前述の如く操舵角θ及び操舵トルクTsの関係を車両のヨーレートγ及び操舵トルクTsの関係に置き換えることができるので、車速Vに基づいて車両のヨーレートγ及び操舵トルクTsの関係を示す曲線を特定し、特定された曲線及び車両のヨーレートγに基づいて規範操舵トルクTsbを演算するよう修正されてもよい。
また上述の実施例3及び4に於いては、路面の摩擦係数は考慮されないようになっているが、ロールステアに起因する前輪又は後輪の転舵角が一定であっても、実際に発生する不必要な操舵トルクの大きさは路面の摩擦係数が低いほど小さく、路面の摩擦係数が高いほど大きいので、ステップ845に於いて車速V及び路面の摩擦係数に基づいてマップが特定され、操舵角θに基づいて上記特定されたマップより車速V及び操舵角θに対応する操舵トルクTsが規範操舵トルクTsbとして演算されるよう修正されてもよい。
前輪側及び後輪側にアクティブスタビライザ装置を有し電動式のパワーステアリング装置を備えた車両に適用された本発明による車両の操舵制御装置の実施例1を示す概略構成図である。 実施例1に於けるロール剛性の制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。 操舵トルクTs(操舵トルクの補正量Tsa)と基本アシストトルクTab(暫定アシストトルクTpa、アシストトルクの補正量ΔTab)との間の関係を示すグラフである。 車速Vと車速係数Kvとの間の関係を示すグラフである。 車速Vと補正係数Kaとの間の関係を示すグラフである。 前輪側及び後輪側にアクティブスタビライザ装置を有し電動式のパワーステアリング装置を備えた車両に適用された本発明による車両の操舵制御装置の実施例2に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。 前輪側及び後輪側にアクティブスタビライザ装置を有し電動式のパワーステアリング装置を備えた車両に適用された本発明による車両の操舵制御装置の実施例3に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。 操舵角θ及び車速Vと操舵トルクTsとの間の関係を示すグラフ(A)及び操舵角θ及び車速Vに基づいて規範操舵トルクTsbを演算する要領を示す説明図(B)である。 前輪側及び後輪側にアクティブスタビライザ装置を有し電動式のパワーステアリング装置を備えた車両に適用された本発明による車両の操舵制御装置の実施例4に於ける操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。 前輪側のアクティブスタビライザ装置に固着異常が発生し前輪にロールステアが発生している状況を示す説明図(A)、前輪側及び後輪側のアクティブスタビライザ装置が正常である場合に於ける操舵角θと操舵トルクTsとの間の関係を示すグラフ(B)、前輪側のアクティブスタビライザ装置に固着異常が発生し前輪にロールステアが発生している場合に於ける操舵角θと操舵トルクTsとの間の関係を示すグラフ(C)である。 後輪側のアクティブスタビライザ装置に固着異常が発生し後輪にロールステアが発生している状況を示す説明図(A)、前輪側及び後輪側のアクティブスタビライザ装置が正常である場合に於ける操舵角θと操舵トルクTsとの間の関係を示すグラフ(B)、後輪側のアクティブスタビライザ装置に固着異常が発生し後輪にロールステアが発生している場合に於ける操舵角θと操舵トルクTsとの間の関係を示すグラフ(C)である。
符号の説明
16、18 アクティブスタビライザ装置
20F、20R アクチュエータ
22 電子制御装置
26 電動式パワーステアリング装置
38 電子制御装置
40 横加速度センサ
42 車速センサ
44F、44R 回転角度センサ
46 操舵角センサ
48 トルクセンサ
50 ヨーレートセンサ

Claims (6)

  1. 少なくとも操舵反力の検出値に基づいて操舵アシスト力を制御する操舵アシスト力制御手段と、車両のロール剛性を変更するロール剛性可変手段とを有する車両の操舵制御装置に於いて、前記操舵アシスト力制御手段は車輌のロール方向によって車輌のロール剛性が異なる固着異常が前記ロール剛性可変手段に発生しているときには、運転者の操舵操作量若しくは車両の実際の旋回状態量と操舵反力の検出値とに基づいて前記固着異常に起因する不必要な操舵反力を推定し、前記不必要な操舵反力に対抗する力が発生するよう操舵アシスト力を制御することを特徴とする車両の操舵制御装置。
  2. 前記操舵アシスト力制御手段は運転者の操舵操作量若しくは実際の旋回状態量に基づく規範操舵反力と操舵反力の検出値との偏差に基づいて前記不必要な操舵反力を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
  3. 前記操舵アシスト力制御手段は運転者の操舵操作量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であるときの操舵反力の検出値に基づいて前記不必要な操舵反力を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
  4. 前記操舵アシスト力制御手段は運転者の操舵操作量の大きさが車両の旋回判定の基準値以上であり且つ実際の旋回状態量の大きさが車両の直進判定の基準値以下であるときの操舵反力の検出値に基づいて前記不必要な操舵反力を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
  5. 前記操舵アシスト力制御手段は前記不必要な操舵反力にて補正された操舵反力の検出値に基づいて目標操舵アシスト力を演算し、前記目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力を制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車両の操舵制御装置。
  6. 前記操舵アシスト力制御手段は前記不必要な操舵反力に基づいて補正操舵アシスト力を演算し、少なくとも操舵反力の検出値に基づいて暫定目標操舵アシスト力を演算し、前記暫定目標操舵アシスト力を前記補正操舵アシスト力にて補正した目標操舵アシスト力に基づいて操舵アシスト力を制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車両の操舵制御装置。
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