JP5347727B2 - 連続鋳造機および鋳片表面縦割れ発生予測方法 - Google Patents

連続鋳造機および鋳片表面縦割れ発生予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造機および鋳片表面縦割れ発生予測方法に関し、特に連続鋳造の過程にある鋳片の表面に割れが発生したか否かを予測する連続鋳造機および鋳片表面縦割れ発生予測方法に関する。
従来における鋳片表面の縦割れ検知技術としては、例えば以下に示す特許文献1〜3が開示するところの、メニスカスから鋳込み方向(鋳片の引き出し方向)に一定の距離をおいた箇所に鋳片の幅方向に並ぶ複数の熱電対を配置し、この熱電対で検出された鋳片幅方向の温度プロファイルの特徴から鋳片表面に異常が発生したか否かを予測する技術が存在する(以下、これを従来技術1とする)。具体的には、メニスカスからの鋳片に接触する銅板に鋳片幅方向に並ぶ複数の熱電対を固定し、この熱電対により検出された温度の経時的変化(温度プロファイル)を取得する。この際、鋳片表面縦割れの前駆段階である鋳片表面のディプレッションが生じることで鋳片から銅板までの伝熱抵抗が増大して銅板温度が低下するため、この温度の落ち込み(温度ディップ)を検知することで、鋳片表面に縦割れが生じているか否かを予測することができる。
また、例えば以下に示す特許文献4には、鋳片表面の縦割れに伴って発生するディプレッションによって生じる鋳片表面温度のディップ(落ち込み)の大きさを鋳型鋳込み方向における2点で検出し、それぞれの点で検出された温度より求めた共分散から上流で生じたディップが下流でも検出されているか否かを判定し、この判定結果に基づいて鋳片表面に縦割れが発生しているか否かを予測する技術が開示されている(以下、これを従来技術2とする)。
特開平2−151356号公報 特開2004−141906号公報 特開2004−181466号公報 特許第3093586号公報
しかしながら、熱電対が固定された銅板に生じる温度ディップは、鋳片表面のディプレッションに限らず、例えば鋳型内の溶綱流動や、局所的且つ一時的なモールドパウダーフィルム厚の変動などに起因しても生じる。このため、上記従来技術1では、鋳片表面に生じた縦割れ以外にも異常を検出してしまい、効率が良く且つ的確な連続鋳造処理の妨げとなってしまうという問題が生じる。
また、特に上記特許文献2が開示するところの技術では、縦割れを伴うディプレッションが発生したときの銅板温度の時系列的な温度ディップを温度プロファイルのパターン認識により検知する。そこで本従来技術2では、温度ディップの前半(温度プロファイルの下降部分)における温度下降量、単位時間あたりの温度下降率および最低温度と、温度ディップの後半(温度プロファイルの上昇部分)における温度上昇量および単位時間あたりの温度上昇率との各々を、データベースに蓄積しておいた過去の温度ディップのそれらと照らし合わせて類似度を計算し、得られた類似度を評価値とし、この評価値が予め決めておいた範囲内に含まれる場合に縦割れが発生したと予測している。
しかしながら、実際に生じる温度ディップのプロファイル形状には様々な形がある。このため、モデルケースとして蓄積しておく温度ディップのプロファイル形状を選別することが困難であるという問題が存在する。また、より正確に縦割れの発生を予測しようとすると、膨大な量のモデルケースを蓄積しておかなければならないため、データベースが大型化し、さらに、予測に要するデータ処理量が増大してしまうという問題も発生してしまう。
また、上記従来技術2では、銅板に固定した熱電対で得られた温度ディップの大きさ(ディップ量)を数値化するが、この際、銅板温度の時系列データの一次遅れ温度を計算し、この一次遅れ温度を正常時の銅板温度と仮定する。また、この一次遅れ温度と実際に検出した温度との較差をディップ量として取得する。
ここで、一次遅れ温度を計算するにあたり、一次遅れの量を決定するための時定数を設定する必要がある。ただし、縦割れに伴う鋳片表面のディプレッションで生じる温度ディップの温度降下勾配は一定の値とならず、様々に変化する。このため、例えば設定した時定数が温度降下勾配に対して過少であると、算出した一次遅れ温度が温度ディップの生じていない実際の銅板温度に近くなり、結果的に、銅板温度のディップ量が過少に評価されてしまうという問題が発生する。一方、設定した時定数が温度下降勾配に対して過大であると、算出された一次遅れ量が実際の銅板温度の低下に応じて減少するまでに時間を要するため、鋳造速度の低下などによる銅板温度の平均レベルの低下なども温度ディップとして認識してしまうという問題が発生する。
さらに、上記従来技術2では、共分散を求める際の処理において2点それぞれでのディップ量を掛け合わせるが、この過程でディップ量に含まれる誤差が自乗されて拡大してしまう。このため、共分散に対する閾値を用いて縦割れの発生を予測する場合に、誤差による影響が大きいため、閾値の設定が困難になるという問題が存在する。
このように、従来技術では、簡素な構成で正確に温度ディップを認識することができず、また、より精度良く温度ディップを認識しようとすると、認識用の判定パラメータやデータベース構造が大型化および複雑化してしまうという問題が存在した。
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でより正確に温度ディップを検出することができ、これにより正確な縦割れの発生を予測することが可能な連続鋳造機および鋳片表面縦割れ発生予測方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明による連続鋳造機は、上流から注入された溶鋼が下流から鋳込み方向に引き抜かれる鋳型と、該鋳型の側面に配置された第1温度センサと、前記鋳型の側面であって前記第1温度センサよりも前記鋳込み方向に沿って下流に配置された第2温度センサと、を備えた連続鋳造機であって、所定時間ごとに前記第1温度センサを用いて第1温度を検出する第1温度検出手段と、前後して検出された前記第1温度間の第1温度差を算出し、該第1温度差が連続して負を示す第1期間中における前記第1温度の落ち込み度合いを指標化した第1指標を算出する第1温度ディップ指標化手段と、前記所定時間ごとであって前記第1温度検出手段が前記第1温度を検出するタイミングよりも前記鋳込み方向における前記第1温度センサと前記第2温度センサとの距離を鋳込み速度で除算して得られた時間だけ遅いタイミングで第2温度を検出する第2温度検出手段と、前後して検出された前記第2温度間の第2温度差を算出し、該第2温度差が連続して負を示す第2期間中における前記第2温度の落ち込み度合いを指標化した第2指標を算出する第2温度ディップ指標化手段と、前記第1指標と前記第2指標とを乗算して第3指標を生成する上下指標乗算手段と、前記第3指標に基づいて前記鋳片の表面にディプレッションが発生したか否かを判定する縦割れ発生判定手段と、を備えたことを特徴としている。
上記した本発明による連続鋳造機は、前記第1温度ディップ指標化手段が、前記第1期間中に算出された前記第1温度差の合計値を前記第1指標として算出し、前記第2温度ディップ指標化手段が、前記第2期間中に算出された前記第2温度差の合計値を前記第2指標として算出することを特徴としている。
上記した本発明による連続鋳造機は、前記第1温度ディップ指標化手段が、前記第1期間中に算出された前記第1温度の合計値を前記第1指標として算出し、前記第2温度ディップ指標化手段が、前記第2期間中に算出された前記第2温度の合計値を前記第2指標として算出することを特徴としている。
上記した本発明による連続鋳造機は、前記第1温度センサが、前記鋳片の幅方向に沿って配列された複数の第1熱電対を含み、前記第2温度センサが、前記幅方向に沿って配列され、それぞれが前記第1熱電対に対して前記鋳込み方向に沿った下流に配置された複数の第2熱電対を含み、前記第1温度検出手段が、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1温度を検出し、前記第1温度ディップ指標化手段が、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1指標を算出し、前記第2温度検出手段が、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2温度を検出し、前記第2温度ディップ指標化手段が、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2指標を算出し、前記上下指標乗算手段が、前記複数の第1熱電対と前記複数の第2熱電対とのうち前記鋳込み方向に沿って上下に配置された第1熱電対および第2熱電対それぞれについての前記第1指標および前記第2指標を乗算することを特徴としている。
また、本発明による鋳片表面縦割れ発生予測方法は、上流から注入された溶鋼が下流から鋳込み方向に引き抜かれる鋳型と、該鋳型の側面に配置された第1温度センサと、前記鋳型の側面であって前記第1温度センサよりも前記鋳込み方向に沿って下流に配置された第2温度センサと、を備えた連続鋳造機における鋳片表面縦割れ発生予測方法であって、所定時間ごとに前記第1温度センサを用いて第1温度を検出する第1温度検出ステップと、前後して検出された前記第1温度間の第1温度差を算出し、該第1温度差が連続して負を示す第1期間中における前記第1温度の落ち込み度合いを指標化した第1指標を算出する第1温度ディップ指標化ステップと、前記所定時間ごとであって前記第1温度検出手段が前記第1温度を検出するタイミングよりも前記鋳込み方向における前記第1温度センサと前記第2温度センサとの距離を鋳込み速度で除算して得られた時間だけ遅いタイミングで第2温度を検出する第2温度検出ステップと、前後して検出された前記第2温度間の第2温度差を算出し、該第2温度差が連続して負を示す第2期間中における前記第2温度の落ち込み度合いを指標化した第2指標を算出する第2温度ディップ指標化ステップと、前記第1指標と前記第2指標とを乗算して第3指標を生成する上下指標乗算ステップと、前記第3指標に基づいて前記鋳片の表面にディプレッションが発生したか否かを判定する縦割れ発生判定ステップと、を含むことを特徴としている。
上記した本発明による鋳片表面縦割れ発生予測方法は、前記第1温度ディップ指標化ステップが、前記第1期間中に算出された前記第1温度差の合計値を前記第1指標として算出し、前記第2温度ディップ指標化ステップが、前記第2期間中に算出された前記第2温度差の合計値を前記第2指標として算出することを特徴としている。
上記した本発明による鋳片表面縦割れ発生予測方法は、前記第1温度ディップ指標化ステップが、前記第1期間中に算出された前記第1温度の合計値を前記第1指標として算出し、前記第2温度ディップ指標化ステップが、前記第2期間中に算出された前記第2温度の合計値を前記第2指標として算出することを特徴としている。
上記した本発明による鋳片表面縦割れ発生予測方法は、前記第1温度センサが、前記鋳片の幅方向に沿って配列された複数の第1熱電対を含み、前記第2温度センサが、前記幅方向に沿って配列され、それぞれが前記第1熱電対に対して前記鋳込み方向に沿った下流に配置された複数の第2熱電対を含み、前記第1温度検出ステップが、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1温度を検出し、前記第1温度ディップ指標化ステップが、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1指標を算出し、前記第2温度検出ステップが、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2温度を検出し、前記第2温度ディップ指標化ステップが、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2指標を算出し、前記上下指標乗算ステップが、前記複数の第1熱電対と前記複数の第2熱電対とのうち前記鋳込み方向に沿って上下に配置された第1熱電対および第2熱電対それぞれについての前記第1指標および前記第2指標を乗算することを特徴としている。
本発明によれば、温度の変化方向が負である期間中の温度の落ち込み度合いに基づいてディプレッションが発生したか否かを予測することが可能となるため、簡素な構成でより正確に温度ディップを検出することができ、これにより正確な縦割れの発生を予測することが可能な連続鋳造機および鋳片表面縦割れ発生予測方法を実現することが可能となる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造機の概略構成例を示す模式図である。 図2は、図1の連続鋳造機における鋳型ならびに温度センサの概略構成例を示す部分斜視図である。 図3は、本発明の一実施の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理の概略流れを示すフローチャートである。 図4は、本発明の一実施の形態による温度ディップ指標化処理の概略流れを示すフローチャートである。 図5は、本発明の一実施の形態による上下指標乗算処理の概略流れを示すフローチャートである。 図6は、本発明の一実施の形態による縦割れ発生判定処理の概略流れを示すフローチャートである。 図7は、本発明の一実施の形態による連続鋳造機を用いた実験により得られた縦割れが発生していない部位についての上流の温度センサにおける熱電対と下流の温度センサにおける熱電対とのそれぞれで検出された温度の経時的変化(温度プロファイル)を示す図である。 図8Aは、図7に示す上流の熱電対から得られた温度プロファイルより求めた変化量の経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図8Bは、図7に示す下流の熱電対から得られた温度プロファイルより求めた変化量の経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図9Aは、図8Aに示す上流の熱電対について得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図9Bは、図8Bに示す下流の熱電対について得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図10は、図9Aに示す上流の熱電対についての温度ディップ指標と図9Bに示す下流の熱電対についての温度ディップ指標とを乗算して得られた掛合せ指標の経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図11は、本発明の一実施の形態による連続鋳造機を用いた実験により得られた縦割れが発見された部位についての上流の温度センサにおける熱電対と下流の温度センサにおける熱電対とのそれぞれで検出された温度の経時的変化(温度プロファイル)を示す図である。 図12Aは、図11に示す上流の熱電対から得られた温度プロファイルより求めた変化量の経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図12Bは、図11に示す下流の熱電対から得られた温度プロファイルより求めた変化量の経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図13Aは、図12Aに示す上流の熱電対について得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図13Bは、図12Bに示す下流の熱電対について得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。 図14は、図13Aに示す上流の熱電対についての温度ディップ指標と図13Bに示す下流の熱電対についての温度ディップ指標とを乗算して得られた掛合せ指標の経時的変化(プロファイル)を示す図である。
以下、本発明による一実施の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係る連続鋳造機10の概略構成例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態による連続鋳造機10は、不図示の取鍋から溶鋼11が注入されるタンディッシュ12と、タンディッシュ12から浸漬ノズル14を介して注がれた介在物除去後の溶鋼11を表面の凝固シェル19が樹枝状晶に成長するまで整形しつつ半凝固させる銅製の鋳型15と、鋳型15から垂直下方(鋳込み方向D1)に引き抜かれた半凝固状態の鋳片17を水平方向まで搬送する複数の鋳片支持ロール16と、鋳型15内を鋳込み方向D1に平行移動する鋳片17表面に縦割れの原因となるディプレッションが発生したか否かを予測して予測結果に基づいて作業者に指令を発する鋳片表面縦割れ発生予測装置20と、を備える。
なお、タンディッシュ12と浸漬ノズル14との間には、浸漬ノズル14から鋳型15へ単位時間あたりに注がれる溶鋼11の量を調整するスライディングノズル13が設けられている。また、鋳片17の内部、すなわち断面における凝固シェル19で囲まれた領域は、鋳片17が鋳片支持ロール16によって水平方向に搬送されるまで、未凝固相18の状態を維持する。その後、水平方向まで搬送された鋳片17は、不図示のガス切断機によって適当な長さに切断される。これにより、目的のスラブが製造される。製造されたスラブは、例えば、順次、圧延工程などの後の工程へ送られる。
一方、鋳片表面縦割れ発生予測装置20は、図1に示すように、鋳型15に鋳込み方向D1に沿って2列に配置された複数の温度センサ21および22と、温度センサ21および22で検出された検出値(後述における熱電対の起電力に相当)から温度を検出する温度検出器24と、温度検出器24から入力された各温度センサ21および22の位置での温度とプロセスデータ26とから温度ディップ指標化処理、上下指標乗算処理および縦割れ発生判定処理等を含む鋳片表面縦割れ発生予測処理を実行する信号処理器25と、信号処理器25による鋳片表面縦割れ発生予測処理の結果に基づき、精整や熱間圧延等の次工程に鋳片手入れ指令や鋳片搬送指令を発する情報処理装置27と、を備える。
ここで図2に、図1の連続鋳造機10における鋳型15ならびに温度センサ21および22の概略構成例を示す部分斜視図を示す。図2に示すように、温度センサ21は、複数の熱電対21a〜21n(nは2以上の整数)を含み、銅製の鋳型15の側面または側面から所定深さの位置に配置されている。各熱電対21a〜21nは、鋳型15内に注入された溶鋼11の湯面(メニスカス17a)近傍に、鋳片17の幅方向D2に沿って等間隔に配置され、各配置位置での鋳型15の温度に応じた起電力を発生する。なお、温度センサ21は、メニスカス17aが存在可能な高さ方向の最下位よりも下流側に配置される。
一方、温度センサ22は、複数の熱電対22a〜22n(nは2以上の整数)を含み、銅製の鋳型15の側面における温度センサ21よりも下流側の位置であって、鋳型15の側面または側面から所定深さの位置に配置されている。各熱電対22a〜22nは、鋳片17の幅方向D2に沿って等間隔に配置され、各配置位置での鋳型15の温度に応じた起電力を発生する。
上流の温度センサ21における各熱電対21a〜21nと、下流の温度センサ22における各熱電対22a〜22nとは、それぞれと一対一に対応付けられる。例えば熱電対21aは熱電対22aと対応付けられる。また、対応関係にある熱電対21a〜21nと熱電対22a〜22nとは、鋳込み方向D1平行な直線上にそれぞれ位置する。
各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nに生じた電位差は、それぞれ信号線23を介して温度検出器24に入力される。温度検出器24は、信号線23を介して入力された起電力から各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nが固定された位置での温度を定期的または常時検出し、検出した温度の情報(以下、単に温度という)を信号処理器25に入力する。
また、信号処理器25には、プロセスデータ26も入力される。本実施の形態において、プロセスデータ26は、鋳造速度や鋳型幅などのいわゆる鋳造条件である。したがって、このプロセスデータ26には、予め定めておいたパラメータを用いることが可能である。
信号処理器25は、後述する温度ディップ指標化処理を実行する温度ディップ指標化部25aと、後述する上下指標乗算処理を実行する上下指標乗算部25bと、縦割れ発生判定処理を実行する縦割れ発生判定部25cとを含み、各部が各処理を実行することで、鋳片17表面に縦割れが発生したか否かを予測する鋳片表面縦割れ発生予測処理を実行する。なお、鋳片表面縦割れ発生予測処理については後述において触れるため、ここでは詳細な説明を省略する。
信号処理器25によって予測された結果は、情報処理装置27に入力される。情報処理装置27は、入力された予測結果に基づいて、鋳片17の作業者による手入れを指示する鋳片手入れ指令や、鋳片17の搬送先を指定する鋳片搬送先指令などの各種処理を実行する。
次に、本実施の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理について、図面を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理の概略流れを示すフローチャートである。図3に示すように、本実施の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理では、信号処理器25は、温度ディップ指標化処理(ステップS101)と、上下指標乗算処理(ステップS102)と、縦割れ発生判定処理(ステップS103)とを順次実行する。その後、信号処理器25は、動作を終了するか否かを判定し(ステップS104)、終了する場合(ステップS104のYes)、鋳片表面縦割れ発生予測処理を終了する。一方、終了しない場合(ステップS104のNo)、ステップS101へ帰還する。なお、信号処理器25の動作終了は、例えば作業者により不図示の操作パネルを操作することで入力される。
次に、図3の鋳片表面縦割れ発生予測処理において実行される温度ディップ指標化処理(ステップS101)と上下指標乗算処理(ステップS102)と縦割れ発生判定処理(ステップS103)とを、図面を用いて詳細に説明する。図4は、本実施の形態による温度ディップ指標化処理(ステップS101)の概略流れを示すフローチャートである。図5は、本実施の形態による上下指標乗算処理(ステップS102)の概略流れを示すフローチャートである。図6は、本実施の形態による縦割れ発生判定処理(ステップS103)の概略流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、温度ディップ指標化処理(ステップS101)では、温度ディップ指標化部25aは、まず、所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS111)、所定時間が経過した場合(ステップS111のYes)、銅製の鋳型15内のメニスカス17aから鋳型出口15aまでの間に配設した各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nの起電力に応じた温度を温度検出器24から入力する(ステップS112)。なお、温度検出器24は、所定時間間隔を隔てた時刻(以下、これを離散化測定時刻という)ごとに定期的に各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nの起電力に応じた温度を信号処理器25に入力する(第1/第2温度検出ステップ)。なお、所定時間が経過していなければ(ステップS111のNo)、温度ディップ指標化部25aは、所定時間が経過するまでその動作を待機する。
次に温度ディップ指標化部25aは、入力された温度から各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nの固定位置での温度の経時的挙動を算出し(ステップS113)、算出した経時的挙動から、鋳型15に生じたディプレッション(以下、ディプレッションが成長することで形成された縦割れを含む)起因による温度ディップを認識するための温度ディップ指標Kを熱電対21a〜21nおよび22a〜22nの固定位置ごとに算出する(ステップS114:第1/第2温度ディップ指標化ステップ)。その後、温度ディップ指標化部25aは、図3の鋳片表面縦割れ発生予測処理へリターンする。
なお、温度ディップ指標化処理では、具体的には、温度ディップ指標化部25aは、まず、入力された各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nでの温度を用いて、各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nに生じた所定時間間隔ごとの温度の変化量を算出する。ここで、任意の熱電対21a〜21nおよび22a〜22nにおいて、連続する離散化測定時刻ti−1から離散化測定時刻tまでの間(所定時間間隔)に生じた温度の変化量ΔTは、離散化測定時刻ti−1での温度をTi−1、離散化測定時刻tでの温度をTとすると、以下の式1で求めることができる。
Figure 0005347727
次に、温度ディップ指標化部25aは、上記式1で求められた温度の変化量ΔTが温度低下方向(ΔT<θ)にあるか否かを判定し、温度低下方向にある場合、以下の式2を用いることで、一つ前の離散化時刻ti−1までに積算された温度の変化量(以下、これを変化積算量ΣΔTi−1という)に、離散化時刻tにおける温度の変化量ΔTを加算する。なお、θは、温度低下方向にあるか否かを判定するために予め設定しておいた閾値であり、通常、‘0(ゼロ)’が設定される。したがって、本実施の形態では、温度の変化量ΔTが温度低下方向(ΔT<θ)にあるとは、変化量ΔTが負であることを意味する。
Figure 0005347727
また、温度ディップ指標化部25aは、上記式1で求められた温度の変化量ΔTが温度維持方向または温度上昇方向(ΔT≧θ)にある場合、これまでに積算しておいた変化積算量ΣΔTi−1を、以下の式3のように、ゼロリセットする。
Figure 0005347727
このように、温度ディップ指標化処理では、温度ディップ指標化部25aが、それぞれの熱電対21a〜21nおよび22a〜22nで検出された温度(第1/第2温度)の所定時間ごとの変化量ΔT(第1/第2温度差)が連続して負を示す期間(第1/第2期間)中における温度ディップの度合い(温度の落ち込み度合い)を指標化した温度ディップ指標(第1/第2指標)を算出する。これにより、本実施の形態では、鋳型15に生じた温度が時間連続的に下降する温度ディップを、その温度プロファイルの凹形状の差異に関わらず、温度ディップとして認識することが可能となる。なお、「温度プロファイルの凹形状の差異に関わらず」とは、「温度ディップの温度降下勾配の大きさが様々な値を取り得ることに影響されず」ということである。また、算出された温度ディップ指標Kは、上下指標乗算部25bに入力される。
次に、上下指標乗算処理(ステップS102)について説明する。本実施の形態では、鋳型15内でその水平方向の断面が成形された鋳片17が、鋳込み方向D1への引抜きによって鋳型出口15aに向かって平行移動する。ここで上述したように、温度センサ21における各熱電対21a〜21nは、下流の温度センサ22における熱電対22a〜22nそれぞれと一対一に対応付けられている。具体的には、上流の温度センサ21における各熱電対21a〜21nは、下流の温度センサ22における、各熱電対21a〜21nを始点とした鋳込み方向D1と平行な直線上に位置する熱電対22a〜22nとそれぞれ一対一に対応付けられている。
したがって、鋳片17における各熱電対21a〜21nの近傍を通過した部位は、後に下流に配置された熱電対22a〜22nのうちの対応関係にある熱電対の近傍をそれぞれ通過する。このため、上流の熱電対21a〜21nそれぞれで検出された温度変化は、下流の熱電対22a〜22nのうちの対応関係にある熱電対でもそれぞれ検出される。すなわち、上流の温度センサ21における各熱電対21a〜21nにおいて検出された鋳片17表面のディプレッションを原因とする温度ディップは、後に下流の温度センサ22における対応関係にある熱電対22a〜22nにおいても検出される。
さらに、上流の温度センサ21におけるいずれかの熱電対21a〜21nで鋳片17表面のディプレッションに起因した温度ディップが検出される時刻(説明の都合上、この時刻を時刻tとする)と、これと同じディプレッションによる温度ディップが下流の温度センサ22における熱電対22a〜22nのうちの対応関係にある熱電対で検出される時刻ti+τとの時間差τ(=ti+τ−t)は、温度センサ21および22間の鋳込み方向D1の距離Lを鋳片17の引抜き速度Vで除算した時間(L/V)と等しくなる(τ=L/V)。
そこで、本実施の形態による上下指標乗算処理(ステップS102)では、図5に示すように、上下指標乗算部25bは、上記した温度ディップ指標化処理の結果として温度ディップ指標化部25aから温度ディップ指標Kを入力し(ステップS121)、入力した温度ディップ指標Kに対して下記の式4を用いることで、上流の温度センサ21における熱電対21a〜21nごとにそれぞれ算出した時刻tの温度ディップ指標K(=ΣΔT )に、下流の熱電対22a〜22nごとにそれぞれ算出した温度ディップ指標Kのうちの対応関係にある熱電対の時刻ti+τの温度ディップ指標K(=ΣΔT i+τ)を乗算(掛合せ)する(ステップS122:上下指標乗算ステップ)。その後、上下指標乗算部25bは、図3の鋳片表面縦割れ発生予測処理へリターンする。なお、以下の式4において、Mは、掛合せにより算出される指標(以下、掛合せ指標という)である。また、ΣΔT は、温度ディップ指標化部25aにおいて算出された、時刻tにおける上流の熱電対21a〜21nごとの温度ディップ指標Kであり、ΣΔT i+τは、同じく温度ディップ指標化部25aにおいて算出された、時刻ti+τにおける下流の熱電対22a〜22nごとの温度ディップ指標Kである。
Figure 0005347727
以上のようにして求められた掛合せ指標Mは、縦割れ発生判定部25cに入力される。縦割れ発生判定部25cは、入力された掛合せ指標Mを用いて縦割れ発生判定処理(ステップS103:縦割れ発生判定ステップ)を実行することで、鋳片17表面にディプレッションが発生したおそれがあるか否かを予測する。
具体的には、図6に示すように、縦割れ発生判定部25cは、上下指標乗算部25bから掛合せ指標Mを入力すると(ステップS131)、入力された掛合せ指標Mが予め設定しておいた閾値φ以上であるか否かを判定し(ステップS132)、閾値φ以上であった場合(ステップS132のYes:M≧φ)、鋳片17表面に縦割れまたはこれの発生要因となるディプレッションが発生したおそれがあるとの予測結果を生成する(ステップS133)。一方、閾値φ未満であった場合(ステップS132のNo:M<φ)、縦割れ発生判定部25cは、鋳片17表面に縦割れまたはこれの発生要因となるディプレッションの発生はないとの予測結果を生成する(ステップS134)。なお、ステップS133またはS134の後、縦割れ発生判定部25cは、図3の鋳片表面縦割れ発生予測処理へリターンする。
以上のような鋳片表面縦割れ発生予測処理を実行することで、本実施の形態では、鋳型15に生じた温度ディップを、多数の判定パラメータを用いた複雑なロジックに依らず、また、温度ディップのプロファイル形状の差異に依存することなく、的確に認識することが可能となる。この結果、過去に発生した温度ディップのプロファイル形状と異なる形状の温度ディップであっても的確に認識することが可能となる。
次に、本実施の形態の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理により得られた実験結果の一例を、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実験を行うにあたり、連続鋳造機10の使用を以下の表1に示す仕様とし、ターゲットとする製品(スラブ)を製品するにあたり以下の表2に示す成分範囲の鋼を使用した。
Figure 0005347727
Figure 0005347727
また、本実験では、温度センサ21を鋳型15側面における湯面(メニスカス17a)から鋳込み方向D1に沿って下流に229mmの高さに配置し、一方、温度センサ22を鋳型15側面における湯面(メニスカス17a)から鋳込み方向D1に沿って下流に517mmの高さに配置した。さらに、温度センサ21および22の各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nは、鋳型15の側面から10mmの深さまで埋め込み、熱電対21a〜21nならびに22a〜22nの幅方向D2の間隔をそれぞれ88mmとした。
さらにまた、本実験では、各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nから1秒間隔で温度を検出した。さらにまた、本実験では、温度センサ21に対する温度検出タイミングを、温度センサ21に対する温度検出タイミングから上述の時間τ(=L/V)だけ遅らせた。
まず初めに、鋳造したスラブ表面を目視捜索し、縦割れが発見されたスラブを特定し、このスラブの中でも縦割れが発生していない部位についての本実施の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理の予測結果がどのような値を取るかを検証した。図7は、この検証結果、すなわち、縦割れが発生していない部位についての、温度センサ21における熱電対のいずれか(以下、この熱電対の符号を21cとする)と、温度センサ22のうちの熱電対21cと対応関係にある熱電対(以下、この熱電対の符号を22cとする)とのそれぞれで検出された温度の経時的変化(温度プロファイル)を示す図である。ただし、図7では、横軸を鋳込み長で表す。なお、鋳込み長とは、鋳込みした鋳片17の先端からの長さを指す。ここで、鋳込み速度Vを一定とすると、鋳込み長は鋳込み開始からの時間と鋳込み速度Vとで表すことができる。また、図7において、線L1は上流に配置された熱電対21cで検出された温度のプロファイルを示し、線L2は下流に配置された熱電対22cで検出された温度のプロファイルを示している。
続いて、図7に示すプロファイルの温度に対して、上述した温度ディップ指標化処理において使用した式1を用いて、連続する離散化測定時刻ti−1から離散化測定時刻tまでの間(所定時間間隔)に生じた温度の変化量ΔTを求める。図8Aは、上流の熱電対21cから得られた温度プロファイルより求めた変化量ΔT の経時的変化(プロファイル)を示す図である。図8Bは、下流の熱電対22cから得られた温度プロファイルより求めた変化量ΔT の経時的変化(プロファイル)を示す図である。ただし、図8Aおよび図8Bでは、横軸を鋳込み長で表す。
さらに、上述した温度ディップ指標化処理において使用した式2を用いて、図8Aに示す熱電対21cでの温度の変化量ΔT および図8Bに示す熱電対22cでの温度の変化量ΔT とから、それぞれの熱電対21cおよび22cでの温度ディップ指標Kを算出する。図9Aは、上流の熱電対21cについて得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。図9Bは、下流の熱電対22cについて得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。ただし、図9Aおよび図9Bでは、横軸を鋳込み長で表す。
さらにまた、上述した温度ディップ指標化処理において使用した式3を用いて、図9Aに示す熱電対21cについての温度ディップ指標Kと図9Bに示す熱電対22cについての温度ディップ指標Kとを乗算することで、温度ディップの発生を認識するための掛合せ指標Mを算出する。図10は、図9Aに示す上流の熱電対21cについての温度ディップ指標Kと図9Bに示す下流の熱電対22cについての温度ディップ指標Kとを乗算して得られた掛合せ指標Mの経時的変化(プロファイル)を示す図である。ただし、図10では、横軸を鋳込み長で示す。
図10に示すように、目視捜索で縦割れが発見されなかった部位での掛合せ指標Mの経時的変化(プロファイル)では、掛合せ指標Mの一時的なピークは現れるものの、そのピーク値は10[℃]程度以下と、比較的小さい値であった。
次に、目視捜索により縦割れが発見された部位についての本実施の形態による鋳片表面縦割れ発生予測処理の予測結果がどのような値を取るかを検証した。図11は、この検証結果、すなわち、縦割れが発生している部位についての、温度センサ21における熱電対のいずれか(以下、この熱電対の符号を21dとする)と、温度センサ22のうちの熱電対21dと対応関係にある熱電対(以下、この熱電対の符号を22dとする)とのそれぞれで検出された温度の経時的変化(温度プロファイル)を示す図である。ただし、図11では、横軸を鋳込み長で表す。また、図11において、線L3は上流に配置された熱電対21dで検出された温度のプロファイルを示し、線L4は下流に配置された熱電対22dで検出された温度のプロファイルを示している。さらに、図11において、点P1は上流の熱電対21dの時間軸を基準とした場合の熱電対21dから見た縦割れ発生箇所の鋳片17の先端からの鋳込み方向D1における位置を示し、点P2は縦割れ発生位置(鋳型出口15aから上流に1.5mの位置)に対応する上流の熱電対21dの位置(=203.07+1.5+0.229=204.799[m])を示す。さらにまた、図11において、点P3は上流の熱電対21dの時間軸を基準とした場合の下流の熱電対22dから見た縦割れ箇所の鋳片17の先端からの鋳込み方向D1における位置を示し、点P4は縦割れ発生位置(鋳型出口15aから上流に1.5mの位置)に対応する下流の熱電対22dの位置(=203.07+1.5+0.517=205.087[m])を示す。
続いて、図11に示すプロファイルの温度に対して、上述した温度ディップ指標化処理において使用した式1を用いて、連続する離散化測定時刻ti−1から離散化測定時刻tまでの間(所定時間間隔)に生じた温度の変化量ΔTを求める。図12Aは、上流の熱電対21dから得られた温度プロファイルより求めた変化量ΔT の経時的変化(プロファイル)を示す図である。図12Bは、下流の熱電対22dから得られた温度プロファイルより求めた変化量ΔT の経時的変化(プロファイル)を示す図である。ただし、図12Aおよび図12Bでは、横軸を鋳込み長で表す。
さらに、上述した温度ディップ指標化処理において使用した式2を用いて、図12Aに示す熱電対21dでの温度の変化量ΔT および図12Bに示す熱電対22dでの温度の変化量ΔT とから、それぞれの熱電対21dおよび22dでの温度ディップ指標Kを算出する。図13Aは、上流の熱電対21dについて得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。図13Bは、上流の熱電対22dについて得られた温度ディップ指標Kの経時的変化(プロファイル)を示す図である。ただし、図13Aおよび図13Bでは、横軸を鋳込み長で表す。
さらにまた、上述した温度ディップ指標化処理において使用した式3を用いて、図13Aに示す熱電対21dについての温度ディップ指標Kと図13Bに示す熱電対22dについての温度ディップ指標Kとを乗算することで、温度ディップの発生を認識するための掛合せ指標Mを算出する。図14は、図13Aに示す熱電対21dについての温度ディップ指標Kと図13Bに示す熱電対22dについての温度ディップ指標Kとを乗算して得られた掛合せ指標の経時的変化(プロファイル)を示す図である。ただし、図14では、横軸を鋳込み長で表す。
図14に示すように、目視捜索で縦割れが発見された部位については、掛合せ指標Mがピーク値を取る。また、そのピーク値は52[℃]程度と、図10に示すディプレッション以外の要因によるピークの値(10[℃]程度以下)と比較して非常に大きな値である。
以上のことから、本実施の形態では、ディプレッション起因による温度ディップとディプレッション以外を起因とする温度ディップとで十分に差のある指標(掛合せ指標M)を使用することが可能となるため、鋳片17表面に発生したディプレッション以外の原因によって生じる温度ディップをディプレッション起因の温度ディップとして誤認することが防止できる。
また、本実施の形態では、データベース等に積算しておいた温度ディップのプロファイル形状に依らずに、鋳型15に生じた温度ディップを認識可能であるため、温度ディップのプロファイル形状の差異に依存することなく、的確に認識することが可能となる。すなわち、過去に発生した温度ディップのプロファイル形状と異なる形状の温度ディップであっても的確に認識することが可能となる。
さらにまた、本実施の形態では、データベース等に蓄積しておいた温度ディップのプロファイル形状に依らずに、鋳型15に生じた温度ディップを認識可能であるため、多数の判定パラメータを用いた複雑なロジックに依らず、的確に温度ディップを認識することが可能となる。
なお、上記した実施の形態では、温度ディップ指標化部25aおよび第1/第2温度ディップ指標化ステップ(ステップS114)は、各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nで検出された温度(第1/第2温度)の変化量ΔT(第1/第2温度差)が連続して負を示す期間(第1/第2期間)中に熱電対21a〜21nおよび22a〜22nごとに算出された変化量ΔT(第1/第2温度差)の合計値を各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nについての温度ディップ指標K(第1/第2指標)として算出したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、温度ディップ指標Kに、変化量ΔT(第1/第2温度差)が連続して負を示す期間(第1/第2期間)中に各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nで検出された温度(第1/第2温度)の熱電対21a〜21nおよび22a〜22nごとの合計値を各熱電対21a〜21nおよび22a〜22nについての温度ディップ指標K(第1/第2指標)としてもよい。このような温度ディップ指標を用いた場合でも、上述した実施の形態と同様の効果を奏することが可能である。
また、上述した信号処理器25が備える各部(25a,25bおよび25c)ならびに信号処理器25が実行する鋳片表面縦割れ発生予測処理は、ROMやRAMやCD−ROM(RW等を含む)やDVD−ROM(RW等を含む)等の不図示の記録媒体に記録されたプログラムを信号処理器25を構成するCPUなどの情報処理部が読み出して実行することで実現されても、または、鋳片表面縦割れ発生予測処理を実行するハードウエアとして作り込まれたチップによって実現されても良い。
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
10 連続鋳造機
11 溶鋼
12 タンディッシュ
13 スライディングノズル
14 浸漬ノズル
15 鋳型
15a 鋳型出口
16 鋳片支持ロール
17 鋳片
17a メニスカス
18 未凝固相
19 凝固シェル
20 鋳片表面縦割れ発生予測装置
21、22 温度センサ
21a〜21n、22a〜22n 熱電対
23 信号線
24 温度検出器
25 信号処理器
25a 温度ディップ指標化部
25b 上下指標乗算部
25c 縦割れ発生判定部
26 プロセスデータ
27 情報処理装置
D1 鋳込み方向
D2 幅方向
L1、L2、L3、L4 線
P1、P2、P3、P4 点

Claims (8)

  1. 上流から注入された溶鋼が下流から鋳込み方向に引き抜かれる鋳型と、該鋳型の側面に配置された第1温度センサと、前記鋳型の側面であって前記第1温度センサよりも前記鋳込み方向に沿って下流に配置された第2温度センサと、を備えた連続鋳造機であって、
    所定時間ごとに前記第1温度センサを用いて第1温度を検出する第1温度検出手段と、
    前後して検出された前記第1温度間の第1温度差を算出し、該第1温度差が連続して負を示す第1期間中における前記第1温度の落ち込み度合いを指標化した第1指標を算出する第1温度ディップ指標化手段と、
    前記所定時間ごとであって前記第1温度検出手段が前記第1温度を検出するタイミングよりも前記鋳込み方向における前記第1温度センサと前記第2温度センサとの距離を鋳込み速度で除算して得られた時間だけ遅いタイミングで第2温度を検出する第2温度検出手段と、
    前後して検出された前記第2温度間の第2温度差を算出し、該第2温度差が連続して負を示す第2期間中における前記第2温度の落ち込み度合いを指標化した第2指標を算出する第2温度ディップ指標化手段と、
    前記第1指標と前記第2指標とを乗算して第3指標を生成する上下指標乗算手段と、
    前記第3指標に基づいて前記鋳片の表面にディプレッションが発生したか否かを判定する縦割れ発生判定手段と、
    を備えたことを特徴とする連続鋳造機。
  2. 前記第1温度ディップ指標化手段は、前記第1期間中に算出された前記第1温度差の合計値を前記第1指標として算出し、
    前記第2温度ディップ指標化手段は、前記第2期間中に算出された前記第2温度差の合計値を前記第2指標として算出することを特徴とする請求項1記載の連続鋳造機。
  3. 前記第1温度ディップ指標化手段は、前記第1期間中に算出された前記第1温度の合計値を前記第1指標として算出し、
    前記第2温度ディップ指標化手段は、前記第2期間中に算出された前記第2温度の合計値を前記第2指標として算出することを特徴とする請求項1記載の連続鋳造機。
  4. 前記第1温度センサは、前記鋳片の幅方向に沿って配列された複数の第1熱電対を含み、
    前記第2温度センサは、前記幅方向に沿って配列され、それぞれが前記第1熱電対に対して前記鋳込み方向に沿った下流に配置された複数の第2熱電対を含み、
    前記第1温度検出手段は、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1温度を検出し、
    前記第1温度ディップ指標化手段は、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1指標を算出し、
    前記第2温度検出手段は、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2温度を検出し、
    前記第2温度ディップ指標化手段は、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2指標を算出し、
    前記上下指標乗算手段は、前記複数の第1熱電対と前記複数の第2熱電対とのうち前記鋳込み方向に沿って上下に配置された第1熱電対および第2熱電対それぞれについての前記第1指標および前記第2指標を乗算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の連続鋳造機。
  5. 上流から注入された溶鋼が下流から鋳込み方向に引き抜かれる鋳型と、該鋳型の側面に配置された第1温度センサと、前記鋳型の側面であって前記第1温度センサよりも前記鋳込み方向に沿って下流に配置された第2温度センサと、を備えた連続鋳造機における鋳片表面縦割れ発生予測方法であって、
    所定時間ごとに前記第1温度センサを用いて第1温度を検出する第1温度検出ステップと、
    前後して検出された前記第1温度間の第1温度差を算出し、該第1温度差が連続して負を示す第1期間中における前記第1温度の落ち込み度合いを指標化した第1指標を算出する第1温度ディップ指標化ステップと、
    前記所定時間ごとであって前記第1温度検出手段が前記第1温度を検出するタイミングよりも前記鋳込み方向における前記第1温度センサと前記第2温度センサとの距離を鋳込み速度で除算して得られた時間だけ遅いタイミングで第2温度を検出する第2温度検出ステップと、
    前後して検出された前記第2温度間の第2温度差を算出し、該第2温度差が連続して負を示す第2期間中における前記第2温度の落ち込み度合いを指標化した第2指標を算出する第2温度ディップ指標化ステップと、
    前記第1指標と前記第2指標とを乗算して第3指標を生成する上下指標乗算ステップと、
    前記第3指標に基づいて前記鋳片の表面にディプレッションが発生したか否かを判定する縦割れ発生判定ステップと、
    を含むことを特徴とする鋳片表面縦割れ発生予測方法。
  6. 前記第1温度ディップ指標化ステップは、前記第1期間中に算出された前記第1温度差の合計値を前記第1指標として算出し、
    前記第2温度ディップ指標化ステップは、前記第2期間中に算出された前記第2温度差の合計値を前記第2指標として算出することを特徴とする請求項5記載の鋳片表面縦割れ発生予測方法。
  7. 前記第1温度ディップ指標化ステップは、前記第1期間中に算出された前記第1温度の合計値を前記第1指標として算出し、
    前記第2温度ディップ指標化ステップは、前記第2期間中に算出された前記第2温度の合計値を前記第2指標として算出することを特徴とする請求項5記載の鋳片表面縦割れ発生予測方法。
  8. 前記第1温度センサは、前記鋳片の幅方向に沿って配列された複数の第1熱電対を含み、
    前記第2温度センサは、前記幅方向に沿って配列され、それぞれが前記第1熱電対に対して前記鋳込み方向に沿った下流に配置された複数の第2熱電対を含み、
    前記第1温度検出ステップは、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1温度を検出し、
    前記第1温度ディップ指標化ステップは、前記複数の第1熱電対それぞれについて前記第1指標を算出し、
    前記第2温度検出ステップは、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2温度を検出し、
    前記第2温度ディップ指標化ステップは、前記複数の第2熱電対それぞれについて前記第2指標を算出し、
    前記上下指標乗算ステップは、前記複数の第1熱電対と前記複数の第2熱電対とのうち前記鋳込み方向に沿って上下に配置された第1熱電対および第2熱電対それぞれについての前記第1指標および前記第2指標を乗算することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の鋳片表面縦割れ発生予測方法。
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