JP5169096B2 - 品質予測装置、品質予測方法及び製品の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)例えば、プロセス操業データと品質データとの相関について解析する、製造プロセスにおける解析装置において、プロセス操業データの各パラメータが取り得る値を分割し、各分割領域における品質データの確率分布を算出して品質を予測する(例えば特許文献1参照)。
(b)また、鉄鋼プロセスの連続鋳造において、欠陥の発生しやすい流動状態からその時の温度パターンを推定することにより、欠陥の発生しやすい温度パターンを求め、実際の温度パターンから欠陥の発生を予測する(例えば特許文献2参照)。
(c)また、製品の製造にかかる各種の条件を示す条件データをN種類からN>PであるP変数に変換した上で、品質データとの関係を線形の方程式で定式化して品質を予測する(例えば特許文献3参照)。
(a)特許文献1においては、入力とする操業データの各パラメータが取り得る範囲に領域を分割し、データ数が多い領域は欠陥が少ない、データ数が少ない領域は多いとしているが、欠陥が発生する確率はデータ数とは無関係であり、実際の欠陥発生状況を反映させる必要がある。また、領域の決め方が不明瞭である。
(b)特許文献2においては、欠陥の発生原因を詳細に解析したうえで、発生しやすい温度パターンを抽出しているが、実際の欠陥はさまざまな要因の組合せとなっており、その他の原因による欠陥の判定が難しい。また、モールド鋳型内の溶鋼に、電磁力による流動を生じさせる技術はさまざま方法が提案されており、流動状態に対応した欠陥の発生しやすい温度パターンを用意するのには煩雑な作業を要する。
(c)特許文献3においては、操業データと品質データが線形の方程式で表現されているが、操業データ、品質データにはばらつきがあり、ある製造条件のもとでの製品の品質は、確率的事象である。また、線形方程式では予測すると誤差が大きい。品質予測においては、操業データと品質データを関連付けるモデル化が従来から課題となっており、この課題に対して有効な手段とはいえない。
前記類似度を、前記特徴量算出手段で算出された特徴量データと前記実績データベースに記憶された各特徴量データとのユークリッド距離とし、前記ユークリッド距離が最も近い前記実績データベースに記憶された特徴量データに対応する品質データを品質予測値とするものである。
前記類似度を、前記特徴量算出手段で算出された特徴量データと前記実績データベースに記憶された特徴量データとのユークリッド距離に基づいて算出し、前記ユークリッド距離が所定範囲内となる前記実績データベースに記憶された特徴量データに対応する品質データの平均値を算出し、該平均値を品質予測値とするものである。
前記類似度を、前記特徴量算出手段で算出された特徴量データと前記実績データベースに記憶された特徴量データとのユークリッド距離とし、前記実績データベースに記憶された特徴量データに対応する品質データの値に、前記ユークリッド距離に応じて定めた重み係数を乗じた重み付け平均値を算出し、該重み付け平均値を品質予測値とするものである。
また、本発明に係る品質予測装置は、前記特徴量データを、部分的最小二乗法における潜在変数にかかる係数として求めるものである。
また、本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された製品の品質予測値に基づいて、製造工程の操業異常を判定する操業異常検出工程を有するものである。
また、本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された製品の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造された当該製品の不良部を修正する修正工程を有するものである。
また、本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された製品の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造中の製品が所望の品質になるように操業条件を変更する工程を有するものである。
また、本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された品質予測値に基づいて、当該製品の品質を決定し、以降の工程における処理条件を決定する処理条件決定工程を有するものである。
また、本発明に係る製品の製造方法は、前記製品を、連続鋳造工程で製造される鋳片とし、前記品質予測値を、連続鋳造工程において鋳片を製造する際のモールド温度や鋳造速度を含む操業データから予測した、モールドで巻き込んだ不純物による鋳片の欠陥データとするものである。
図2は、本実施形態のデータ保存手段1での処理を示すフローチャートである。まず、製品ごとにデータ保存手段1に、製造工程を管理している製造管理用コンピュータから操業データを入力し、それらを蓄えておく。その後、品質検査工程において検査されたその製品の品質データを入力し、操業データと品質データとの突き合わせを行って、対応付けて蓄積、データ保存手段1の操業−品質データベース11に記憶する(関連付け)。操業データとは、例えば、製造する際の製品の温度、製品の搬送速度、寸法等で、製造設備への条件設定値や操業管理用計測機器の実測値などである。また、品質データは、品質検査工程で検査された欠陥に関する情報で、欠陥数、欠陥率、強度などである。
以下に、特徴量算出手段12の算出処理例を説明する。ここでは、各時刻のサンプリングされた操業データを横軸に操業データ種、縦軸に操業データの値をとって表示した場合の操業データ分布形態を、代表的な形態パターン(基本パターン)の組合せで表現することを考える。図5は、基本パターンの概念図を示したもので、横軸に操業データ種、縦軸に操業データの値である。図5の例では、データ種の代表パターン(基本パターン)を4パターンとし(但し、このパターン数は必要に応じて適宜変更し得る性質のものである)、各時刻の操業データの分布を、この4つパターンを組み合わせて表現する。組合せは、各パターンに重み係数を乗算(重み付け)をしたのち、それらを加算する。この時の、4つのパターンの各々の重み係数(以下では、「基本パターンの強さ」とも記す)を特徴量とする。
操業データX(j)(j=1、…N)から、主成分分析により特徴量を抽出する。以下に、主成分分析の一例を示す。まずは、Xを標準化したデータX’を得る。
Aは上述の1/(N−1)・X’tX’に、n次は上述のM次に対応する(Mは操業データの数(種類)である。)固有値の求め方については、さまざまな方法があるが、そのひとつ「ヤコビ法」について簡単に説明する。
第一主成分得点は、Tr1=X'・v1
第二主成分得点は、Tr2=X'・v2
となる。これらをまとめたものTrが特徴量(パターンの強さ)になる。
操業データX(j)が、隠れた特徴量S=[s1,s2,…,sm](種類はm個)の組合せで表されるとする。すなわち
X(j)=a1s1+a2s2+……+amsm
この場合のS=[s1,s2,…,sm]、A=[a1,a2,…,am]を求める手法に、独立成分分析がある。独立成分分析には、さまざまなアルゴリズムが提案されているが、そのうちの一つである、
とOjaの提唱したFastICAというアルゴリズムについて、その概略を説明する。
w1、w2、・・・wmと順に求めていく。
まず、乱数で発生させたwを初期値とする。また、定数ηはη≦1を満たす定数とする。
また、S=WXによりS(基本パターン)を求め、X=ASより、A=[a1,a2,…,am]を求める。このA=[a1,a2,…,am]を特徴量とする。これら手法により、操業データ、または操業データの特徴量と品質データの組合せZ2=[A,Y]を、データ保存手段1の特徴量−品質データベース13に保存しておく。これにより特徴量はm個として扱うことになる。
部分的最小二乗法は、操業データXと品質データYを以下の式で表される潜在変数tiで表す。XとYの直接的な関係に基づいて解く場合、データの種類数が多いので、扱う係数の数が多くなって、XとYとの因果関係を特定する際に、どのデータの寄与度かわかりにくい。潜在変数tiを用いた、下式により、もともとM個(M種類)のデータからなる操業データXを、寄与が大きいM個以下の値m(m個の特徴量、m≦M)として表して扱うことができ、因果関係の特定が扱いやすくなる。
このT=[t1,t2,……,tm]を操業データXの特徴量(m個(m種類))とする。以下に、Tの求め方の一例を示す。
(1)以下の式により、w1、p1、q1を求める。
(2)次に、以下の式に、(1)で求めた値を代入し、Y(1)とX(1)として算出する。
(3)さらに以下の式で、w2、P2、q2を求める。
w3(基本パターン)以降wmまでは、上記の(2)(3)のステップを繰り返し行い求めていく。m個(m種類)の特徴量が求められたら、T=[t1,t2,…,tm]を算出し、特徴量と品質データの組合せをZ2=[T,Y]をデータ保存手段1の特徴量−品質データベース13に保存する。
図1の特徴量算出手段2及び品質予測値算出手段3は、記憶装置を内蔵した演算手段(コンピュータ)からそれぞれ構成されており、データ保存手段1の特徴量−品質データベース13に保存されたデータ(特徴量、品質データ等)を利用し、品質予測を行う。
図8は、その概念図である。特徴量算出手段2(本発明の特徴量算出手段を構成している)は、品質を予測するべき製品の製造時の操業データを取得し、そして、予測対象の製品の操業データの特徴量(基本パターンの強さ)を求める。品質予測値算出手段3は、その特徴量と特徴量−品質データベース13のデータの内、基本パターンの強さ(特徴量)、品質データ(図6参照)とを対比し、類似度を算出して予測対象の製品の品質を予測する。特徴量算出手段2の処理は、上記の特徴量算出手段12の場合と同じであるから、以下の説明においては品質予測値算出手段3による予測方法の詳細について説明する。
Zs=[T,Y]
そして、Yの平均値Ymeanを次式により算出し、Ymeanを品質予測値とする。
保存されているデータの全てまたは、いくつかを選択(例えばユークリッド距離が所定範囲内のデータを選択)し、以下の値を算出する。
保存されているデータの全てまたは、いくつかを選択し、以下の値を算出する。
品質予測値は以下の利用方法がある。その概要を図10、図11、図12及び図13に示す。
図10は、予測された品質予測値により操業条件を変更することを示したフローチャートである。製品の品質を検査する工程は、製造工程の後に位置することがほとんどであり、製造後いくつかの工程を経た後で製品の品質を検査するような製造工程もある。このため、製品の品質を検査した後、操業条件を変更するのに時間がかかるため、その間、品質の悪い製品を製造しつづけることになる。このため、本実施形態による品質予測方法を適用して製造中に製品の品質を予測し、品質を左右する操業条件を品質予測値により変更を行う。これにより、低い品質の製品を大量に生産することを避けることができる。
図14は、鉄鋼製造プロセスにおける連続鋳造プロセスを模式的に表した図である。図14において、タンディッシュ20に満たされた溶鋼21は、タンディッシュ底部に設置されたスライディングノズル22の位置で定まる開度に応じて、浸漬ノズル23を経てモールド24内へ注入される。また、モールド24内へ注入された溶鋼21は、側壁から冷却されて表面から凝固しつつ、ピンチロール25によって引き抜き方向へ引き抜かれる。さらに、モールド24内に注入される溶鋼量は、前述のように、スライディングノズル22の開度に応じて定まるが、このスライディングノズル22は、アクチュエータによって駆動される。モールド24内では、浸漬ノズル23から注入された溶鋼により、溶鋼の流れが発生する。連続鋳造時のスラブの欠陥発生には、さまざまな原因が考えられているが、代表的なものは以下のものである。
(2)溶鋼の流れにより、パウダーの下部が溶鋼中に引き込まれる。
(3)ノズル詰まりを防止するためにノズルに流すArガスが気泡となり溶鋼中に引き込まれる。
これらは、モールド24内の流れが原因となり起こることが分かっている。このため、最近では、モールド24の周りに電磁石を設置して磁界を発生させ、強磁性体である溶鋼の流動を励起する装置が使用されている。一方、モールド24内の溶鋼流動状態を直接図る方法はないが、流速変化を温度変化として計測できることを利用し、モールド周辺に図15に示されるように温度計30を設置し、溶鋼の流動状態を推定することも行われている。ここでは、モールド24の温度状態と欠陥の発生が密接に関係していることに着目し、モールド24の温度状態から、欠陥発生を予測する。
また、モード内の溶鋼の流れは、鋳込み速度や、鋳造されるスラブの厚さや幅、Ar流量は圧力、溶鋼の温度によっても異なる。これらの操業条件を加味することによりさらに精度をあげることができる。
(1)欠陥が多いと予測された場合に鋳造速度等の製造方法を変更する。
(2)欠陥が多いと予測された場合、鋳造されたスラブの表面の手入れを行う。
(3)欠陥が多いと予測されたスラブは、汎用材として利用し、欠陥が少ないと予測されたものを高級素材として利用する。
Claims (13)
- 過去に製造された製品の品質データとその製品の製造時の操業データから算出した特徴量データとが対応付けられて記憶された実績データベースと、
品質を予測すべき製品の製造時の操業データから特徴量データを算出する特徴量算出手段と、
該特徴量算出手段で算出された特徴量データと、前記実績データベースに記憶された各特徴量データとの類似度を算出し、該類似度と前記実績データベース内の品質データとから、製品の品質予測値を算出する品質予測値算出手段と
を有し、
前記特徴量データは、操業データの分布状態を複数の代表的な基本パターンと重み係数の組み合わせで表現したときの重み係数であることを特徴とする品質予測装置。 - 前記品質予測値算出手段において、前記類似度を、前記特徴量算出手段で算出された特徴量データと前記実績データベースに記憶された各特徴量データとのユークリッド距離とし、前記ユークリッド距離が最も近い前記実績データベースに記憶された特徴量データに対応する品質データを品質予測値とすることを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
- 前記品質予測値算出手段において、前記類似度を、前記特徴量算出手段で算出された特徴量データと前記実績データベースに記憶された特徴量データとのユークリッド距離に基づいて算出し、前記ユークリッド距離が所定範囲内となる前記実績データベースに記憶された特徴量データに対応する品質データの平均値を算出し、該平均値を品質予測値とすることを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
- 前記品質予測値算出手段において、前記類似度を、前記特徴量算出手段で算出された特徴量データと前記実績データベースに記憶された特徴量データとのユークリッド距離とし、前記実績データベースに記憶された特徴量データに対応する品質データの値に、前記ユークリッド距離に応じて定めた重み係数を乗じた重み付け平均値を算出し、該重み付け平均値を品質予測値とすることを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
- 前記特徴量データを、主成分分析又は独立成分分析により求めることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置。
- 前記特徴量データを、部分的最小二乗法における潜在変数にかかる係数として求めることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置。
- 品質を予測すべき製品の製造時の操業データから特徴量データを算出し、
前記算出された特徴量データと、過去に製造された製品の品質データとその製品の製造時の操業データから算出された特徴量データとが対応付けられて記憶された実績データベースの各特徴量データとの類似度を算出し、
該類似度と前記品質データとに基づいて品質予測値を算出し、
前記特徴量データは、操業データの分布状態を複数の代表的な基本パターンと重み係数の組み合わせで表現したときの重み係数であることを特徴とする品質予測方法。 - 請求項1〜6の何れかに記載の品質予測装置で予測された製品の品質予測値に基づいて、当該製品を製造するための製造工程の操業条件を変更する操業条件変更工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の品質予測装置で予測された製品の品質予測値に基づいて、製造工程の操業異常を判定する操業異常検出工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の品質予測装置で予測された製品の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造された当該製品の不良部を修正する修正工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の品質予測装置で予測された製品の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造中の製品が所望の品質になるように操業条件を変更する工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の品質予測装置で予測された品質予測値に基づいて、当該製品の品質を決定し、以降の工程における処理条件を決定する処理条件決定工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 前記製品を、連続鋳造工程で製造される鋳片とし、
前記品質予測値を、連続鋳造工程において鋳片を製造する際のモールド温度や鋳造速度を含む操業データから予測した、モールドで巻き込んだ不純物による鋳片の欠陥データとすることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の製品の製造方法。
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