JP5471725B2 - 製造ロット作成方法、装置及びシステム - Google Patents

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Description

本発明は、製造業における生産管理技術に関し、特に、複数の製品を製造する順序を示す製造ロットの作成を支援する方法、装置及びシステムに関する。
鉄鋼業等の装置産業において製品を製造する際には、製造ロットを作成した上で各製造プロセスを実施することが多い。製造ロットとは、複数の製品を共通のプロセスで製造する際に組まれる製品の並び順のことである。
ここで、鉄鋼製造の熱間圧延プロセスを例として、製造ロットについて説明する。図14に示すように、熱間圧延プロセスにおいては、溶鋼100を連続鋳造機101に連続的に流し込む。それにより冷却して固まった鋼を所定の長さに切り分けることにより、スラブ102が作製される。このスラブ102を加熱炉103において熱し、粗圧延機104及び仕上圧延機105によって数ミリの厚さまで圧延することにより、圧延材106が作製される。この圧延材106は、冷却機107によるランナウト冷却プロセスを経て、巻取り機108によって巻き取られる。このようなプロセスで、例えば、厚さや幅が異なる複数の製品を順次製造する場合に、どのような順序でそれらの製品を製造するか、といった製品の一連の並び順のことを、製造ロットと呼ぶ。一般的に、製造ロットは、利用する設備や装置の能力を最大限発揮させ、高品質の製品を効率良く製造できるように作成される。
このような製造ロットは、製品の品質や生産能率を左右する大きな要因となっている。ここで能率(ton/h)とは、単位時間あたりに生産される製品の質量のことである。例えば、加熱プロセスには次のような製造上の制約がある。即ち、加熱炉103には、数十本〜百数十本のスラブ102が図の左側の装入端から順次装入され、炉内で加熱された後、図の右側の抽出端から抽出される。この加熱炉103内は、製品の成分系に応じて、加熱に要する時間や抽出時の目標温度等が管理されている。これは、加熱時間や温度が、製品の最終的な品質(材料強度等)に影響するからである。また、加熱炉103内においては、後のスラブ102が先のスラブを追い越すことはできない。そのため、品質に加えて能率の観点からも、製造ロットは、できるだけ同一の加熱時間及び加熱温度を要する製品が続けて装入されるように組まれることが多い。反対に、例えば、加熱温度が高温である材料(例えば電磁材)と、加熱温度が低温である材料を同じ製造ロットに混在させて加熱プロセスを行うことはほとんどない。
また、圧延プロセスにおいても、以下のような様々な制約がある。図15は、仕上りの厚さや幅に対する要求が厳しい製品を製造(圧延)する場合における製造ロットの例を示している。通常、1つの製造ロットの前後には、圧延ロールの組換え(交換)が行われる。そのため、ロール交換の直後には、新しい圧延ロールの温度を安定させる等の目的で、ならし圧延が行われる。例えば、圧延しやすい5mm程度の軟鋼のならし材121を圧延することにより、圧延ロールを温めたり、左右の2箇所からロールを押し込む圧下のバランスが左右均等になるように調整したりする。それにより、それ以降の圧延材の通板性や製品表面性状を良くすることができる。
ならし材121の次には、板幅の広い広幅材122が圧延され、続いて板幅が若干狭い中間幅材123が圧延される。これは、圧延ロールの磨耗や熱膨張によるロール形状の変化を滑らかにすることにより通板性を良くして、製品の寸法を一定の範囲に確保するためである。
続いて、準備材124及び難圧延材125が圧延される。ここで、難圧延材とは、製品厚が1.6mmを下回る材料(薄物)のことであり、仕上げ圧延プロセスにおける通板性を確保することが難しいため、このように呼ばれる。薄物の仕上り寸法や通板性は、圧延ロールのわずかな膨張や磨耗や左右の圧下バランスに左右されるからである。そこで、通常は、薄物の圧延を行う前に、厚さが1.8mm〜2mm程度の材料を準備材124として圧延することにより、圧延機の圧下バランスや速度設定値等を安定させている。
また、準備材124を圧延する理由には次のものもある。即ち、圧延プロセス後に行われるランナウト冷却プロセスにおいては、冷却水量が温度変化に与える影響が大きい。そのため、製品厚が薄い難圧延材125や、材料強度や伸び等の材質が温度履歴に敏感な材料は、ランナウト冷却プロセスにおけるわずかな冷却水量差によって材料強度が変わってしまうおそれがある。そのため、できるだけ厚さや鋼種が近い製品を準備材124として用いることにより、続けて処理される圧延材に対する輻熱や外気温や蒸気が近い状態を作る。それにより、所望の材料強度を得るために最適な冷却水量の設定値を求めやすくしている。
最後に、板幅の狭い幅狭材126が圧延される。そして、幅狭材127の圧延終了により、この製造ロットに対する圧延プロセスが終了し、圧延ロールの交換が行われる。
このような製造ロットの作成においては、経験の蓄積によって明らかになり、現場のノウハウとなっている制約が多い。例えば、準備材124と難圧延材125との関係については、厚さが2.0mmの製品の次に圧延するのは、厚さが1.4mm以上の製品でなければいけないという制約がある。また、幅については、幅が同じ製品を4本続けて圧延した後は、その幅+200mm未満の製品を圧延しなくてはいけないという制約がある。
それに対して、最近では、経験上明らかになった制約条件を式に表現し、この制約式を満足させる製品の並び順を計算機によって求めることにより、製造ロットを作成することも行われている。関連する技術として、特許文献1には、製品属性が同一もしくは一定範囲内である製品同士を品種グループとしてグループ化し、過去の実績データに基づいて、品種グループ毎の製造負荷を予測し、新たな生産計画について各製造設備の製造負荷を導出することが開示されている。
特開2008−27150号公報
ところで、近年の経営環境下においては高い製品スペックが要求されており、そのために、製品の品質(板厚、幅、材料強度、表面性状等)のばらつきをできるだけ小さく保ち、且つ、生産能率を落とさないような生産管理が求められている。しかしながら、上述のとおり、製造ロットに制約条件を付け加えることにより品質を確保することはできるが、長年に渡って制約条件が次々に付け加わった結果、多少歩留まりは落ちるが大部分の品質を保てるような制約まで加わっている場合がある。そして、そのような制約のために、全体の生産性が低くなっていることも考えられる。
例えば、難圧延材である製品を製造する際には、顧客からの要望の有無にかかわらず、準備材も併せて製造することになる。その後、この準備材は、顧客からの要望があるまで在庫として保管されるが、一定期間の間に顧客からの発注や出荷要求がなければ破棄されてしまう。このように、製造負荷のみを考慮して製造ロットを作成すると、製品の品質は確保できても、全体の生産性という観点では必ずしも最適にはならない場合がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製品の品質を確保しつつ、製造ロット全体で生産性を向上できる製造ロットの作成方法、装置及びシステムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る製造ロット作成方法は、複数の製品を製造する際の製品の並び順を表す製造ロットを作成する方法において、過去に製造された複数の製品の並び順、各製品の特性、並びに各製品における不良率及び生産能率に関する製造実績情報と、製造予定である複数の製品の並び順及び各製品の特性に関する製造予定情報とを取得する情報取得ステップと、前記製造実績情報に基づいて、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した不良率を示す実績不良率と、該関係の下における生産能率を示す実績能率とを求める条件付実績値算出ステップと、前記製造予定情報並びに前記条件付実績値算出ステップにおいて求められた実績不良率及び実績能率に基づいて、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係の下において期待される不良率を示す期待不良率と、該関係の下において期待される生産能率を示す期待能率とを求める条件付期待値算出ステップと、前記条件付期待値算出ステップにおいて求められた前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定する判定ステップとを含むことを特徴とする。
上記製造ロット作成方法において、前記条件付実績値算出ステップは、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した各製品の不良率の平均値及び生産能率の平均値を算出することにより、前記実績不良率及び前記実績能率をそれぞれ求めることを特徴とする。
上記製造ロット作成方法において、前記条件付期待値算出ステップは、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係と、該特性の関係が共通する製品の実績不良率及び実績能率を抽出することにより、前記期待不良率及び前記期待能率を求めることを特徴とする。
上記製造ロット作成方法は、前記期待不良率及び前記期待能率が許容される範囲を設定する設定ステップをさらに含むことを特徴とする。
上記製造ロット作成方法は、前記判定ステップにおいて前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まらないと判定された場合に、前記製造予定である複数の製品の並び順を修正する修正ステップをさらに含み、前記条件付期待値算出ステップは、前記修正ステップにおいて修正された並び順に基づいて、前記期待不良率及び前記期待能率を求め、前記判定ステップは、前記修正された並び順に基づいて算出された前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定することを特徴とする。
上記製造ロット作成方法において、前記修正ステップは、期待不良率又は期待能率が所定の範囲に収まらないと判定された製品の製造順序を、直前又は直後に製造予定となっている製品の製造順序と入れ替えることを特徴とする。
上記製造ロット作成方法において、前記修正ステップは、期待不良率又は期待能率が所定の範囲に収まらないと判定された製品の製造順序を、並び順の最初又は最後に挿入することを特徴とする。
上記製造ロット作成方法において、前記判定ステップは、前記期待不良率及び前記期待能率に対して行われた判定が所定の回数以下であるか否かを判定することを特徴とする。
上記製造ロット作成方法は、前記条件付期待値算出ステップにおいて算出された前記期待不良率及び前記期待能率を表示する表示ステップをさらに含むことを特徴とする。
上記製造ロット作成方法は、前記判定ステップにおいて前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まると判断された製品の並び順を表示する表示ステップをさらに含むことを特徴とする。
上記製造ロット作成方法は、前記判定ステップにおいて前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まると判断された製品の並び順を、前記製造予定情報に書き込む書込ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明に係る製造ロット作成装置は、複数の製品を製造する際の製品の並び順を表す製造ロットを作成する装置において、過去に製造された複数の製品の並び順、各製品の特性、並びに各製品における不良率及び生産能率に関する製造実績情報と、製造予定である複数の製品の並び順及び各製品の特性に関する製造予定情報とを記憶する記憶手段と、前記製造実績情報に基づいて、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した不良率を示す実績不良率と、該関係の下における生産能率を示す実績能率とを求める条件付実績値算出手段と、前記製造予定情報並びに前記条件付実績値算出手段によって求められた実績不良率及び実績能率に基づいて、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係の下において期待される不良率を示す期待不良率と、該関係の下において期待される生産能率を示す期待能率とを求める条件付期待値算出手段と、前記条件付期待値算出手段によって求められた前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
上記製造ロット作成装置において、前記条件付実績値算出手段は、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した各製品の不良率の平均値及び生産能率の平均値を算出することにより、前記実績不良率及び前記実績能率をそれぞれ求めることを特徴とする。
上記製造ロット作成装置において、前記条件付期待値算出手段は、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係と、該特性の関係が共通する製品の実績不良率及び実績能率を抽出することにより、前記期待不良率及び前記期待能率を求めることを特徴とする。
上記製造ロット作成装置は、前記期待不良率及び前記期待能率が許容される範囲を設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする。
上記製造ロット作成装置は、前記判定手段によって前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まらないと判定された場合に、前記製造予定である複数の製品の並び順を修正する修正手段をさらに備え、前記条件付期待値算出手段は、前記修正手段によって修正された並び順に基づいて、前記期待不良率及び前記期待能率を求め、前記判定手段は、前記修正された並び順に基づいて算出された前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定することを特徴とする。
上記製造ロット作成装置において、前記修正手段は、期待不良率又は期待能率が所定の範囲に収まらないと判定された製品の製造順序を、直前又は直後に製造予定となっている製品の製造順序と入れ替えることを特徴とする。
上記製造ロット作成装置において、前記修正手段は、期待不良率又は期待能率が所定の範囲に収まらないと判定された製品の製造順序を、並び順の最初又は最後に挿入することを特徴とする。
上記製造ロット作成装置において、前記判定手段は、前記期待不良率及び前記期待能率に対して行われた判定が所定の回数以下であるか否かを判定することを特徴とする。
上記製造ロット作成装置は、前記条件付期待値算出手段によって算出された前記期待不良率及び前記期待能率を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする。
上記製造ロット作成装置は、前記判定手段によって前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まると判断された製品の並び順を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る製造ロット作成システムは、上記製造ロット作成装置と、該製造ロット作成装置に接続され、過去に製造された複数の製品の並び順、各製品の特性、並びに各製品における不良率及び生産能率に関する製造実績情報と、製造予定である複数の製品の並び順及び各製品の特性に関する製造予定情報を格納する格納手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、過去に製造された製品に関する製造実績情報に基づいて、製造予定である製品の製造ロットにおける期待不良率及び期待能率を求め、これらの期待不良率及び期待能率に基づいて製品の並び順を評価するので、過去の経験の積み重ねによって見出された制約条件に束縛されることなく、柔軟に、製品の品質を確保しつつ生産性全体を向上できる製造ロットを作成することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造ロット作成システムの構成を示す図である。 図2は、図1に示す製造ロットDBに格納されている情報を示す図である。 図3は、図1に示す製造実績DBに格納されている情報を示す図である。 図4は、図1に示す注文情報DBに格納されている情報を示す図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る製造ロット作成方法を示すフローチャートである。 図6は、製品の期待不良率及び期待能率を示すグラフである。 図7は、実施例1において用いられる製造ロット情報を示す表である。 図8は、実施例1において用いられる製造実績情報を示す表である。 図9は、実施例1において用いられる注文情報を示す表である。 図10は、図7に示す製造ロットにおける製品の期待不良率及び期待能率を示す表である。 図11は、図10に示す製品の期待不良率及び期待能率を示すグラフである。 図12は、修正後の製造ロットにおける製品の期待不良率及び期待能率を示す表である。 図13は、図12に示す製品の期待不良率及び期待能率を示すグラフである。 図14は、熱間圧延プロセスを説明するための図である。 図15は、熱間圧延プロセスにおける製造ロットの例を示す図である。
以下に、本発明にかかる製造ロット作成方法、装置及びシステムの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下においては、鉄鋼業における熱間圧延プロセスを例として説明するが、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
また、本願において、生産能率(又は単に「能率」ともいう)とは、単位時間あたりの生産量のことを示し、本実施形態においては、1時間あたりに圧延された鋼材の質量(ton/h)のことをいう。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造ロット作成システムの構成を示す図である。このシステムは、製造ロット作成装置本体1と、製造ロットデータベース(DB)2と、製造実績データベース(DB)3と、注文情報データベース(DB)4とを備えている。製造ロットデータベース2、製造実績データベース3、及び、注文情報データベース4は、バス30を介して製造ロット作成装置本体1に接続されている。このうち、製造ロットデータベース2及び製造実績データベース3は、通信ケーブル等によって構成される双方向バス5を介して、各製造プロセスの拠点に置かれている製造管理コンピュータ200に接続されている。また、注文情報データベース4は、通信ケーブル等によって構成される双方向バス6を介して、本社等に置かれている受注管理コンピュータ300に接続されている。
製造ロット作成装置本体1は、演算処理部10と、記憶部20と、これらを互いに結ぶバス30とを有している。このような製造ロット作成装置本体1は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成される。
演算処理部10は、入力受付部11と、データ読込部12と、条件付実績値算出部13と、条件付期待値算出部14と、判定部15と、修正部16と、出力部17と、書込部18とを有している。これらの各部の動作については、後で詳しく説明する。このような演算処理部10は、例えば、中央演算処理装置(CPU)によって構成される。
記憶部20は、製造ロットデータベース(DB)2と、製造実績データベース(DB)3と、注文情報データベース(DB)4等から読み込まれた情報や、入力装置8を介して入力された情報を記憶する記憶装置である。記憶部20は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)によって構成される。
また、製造ロット作成装置本体1には、モニタ7及び入力装置8が接続されている。モニタ7は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、製造ロット作成装置本体1に入力された命令や、同装置本体1による演算結果等を画面に表示する。一方、入力装置8は、キーボードや、マウスや、タッチパネル等の入力デバイスであり、製造ロット作成装置本体1に命令や情報を入力する際に用いられる。
製造ロットデータベース2は、製造予定である複数の製品に関する情報を製造ロットごとに並べた製造ロット情報が格納されている。図2に示すように、製造ロット情報には、製品番号(製品No.)や、操業条件(ロット番号(ロットNo.)、製造(圧延)順序、スラブ番号(スラブNo.)、圧延された製品長さの合計(総圧延長)等)や、製品情報(圧延材の幅、厚さ、添加成分による圧延材の分類(鋼種)等の製品の特性)等が含まれる。このような製造ロット情報は、製造ロット作成装置本体1や他のコンピュータによって作成され、データベースに書き込まれる一方、所定の時期に製造管理コンピュータ200によって読み出され、各製造プロセスにおいて用いられる。
製造実績データベース3は、過去に製造された製品に関する製造実績情報が製造ロットごとに格納されている。図3に示すように、製造実績情報には、製品番号(製品No.)や、製品の不良(クラウン外れ・局部耳伸び、板厚外れ、材質外れ、表面性状荒れ等)が発生した割合を示す不良率や、操業条件(ロット番号(ロットNo.)、圧延順序、スラブ番号(スラブNo.)、総圧延長、生産能率等)や、製品情報(幅、厚さ、鋼種等の製品の特性)等が含まれる。これらの製造実績情報は、製造管理コンピュータ200により随時書き込まれて蓄積される。
注文情報データベース4は、需要家からの注文があった製品に関する注文情報が格納されている。図4に示すように、注文情報には、製品番号(製品No.)や、製品情報(幅、厚さ、鋼種等)や、納期や、需要家の名称又はコードや、スラブ番号(スラブNo.)等が含まれる。これらの注文情報は、受注管理コンピュータ300により随時書き込まれて蓄積される。
次に、製造ロット作成装置本体1の動作について、図1〜図5を参照しながら説明する。図5は、製造ロット作成装置本体1の動作を示すフローチャートである。
まず、オペレータは、入力装置8を用いて製造ロット作成開始の命令を入力し、併せて、製造ロット判定条件として、演算最大繰り返し回数Nと、期待不良率の最大許容値(即ち、許容上限値)PMAXと、期待能率の最小許容値(即ち、許容下限値)QMINとを入力する。それに応じ、ステップS1において、入力受付部11は、判定部15に対して、これらの製造ロット判定条件を設定する。なお、これらの製造ロット判定条件については、予めデフォルト値を設定しておくようにしても良い。
また、ステップS2において、データ読込部12は、製造ロットデータベース2、製造実績データベース3、及び注文情報データベース4から、製造ロット情報、製造実績情報、及び注文情報をそれぞれ読み込むと共に、注文情報に基づき暫定的な製造ロットを作成して製造ロット情報に追加する。この暫定的な製造ロットにおいては、初期値として、例えば製品番号順に圧延順序が設定されている。
次に、ステップS3において、条件付実績値算出部13は、製造実績データベース3から読み込まれた製造実績情報に基づいて、所定の条件下における実績不良率及び実績能率を算出する。
ここで、本実施形態においては、直前又はそれまでに圧延された製品の特性が、続いて製造される製品に与える影響に着目して、製造ロットを作成する。そのため、式(1−1)〜(1−4)及び(2)並びに(3)に示すように、製造順序が連続する2つの製品間の特性の関係や、それまでに連続して製造された製品間の特性の関係を条件として、実績不良率P1〜P4及びそれらのトータルの実績不良率P並びに実績能率Qを求める。
P1((W1, K1),…,(Wn, Kn)) = Pr(L1 | (W1, K1),…,(Wn, Kn) ) …(1−1)
P2((Tn-1, Kn-1),(Tn, Kn)) = Pr(L2 | (Tn-1, Kn-1),(Tn, Kn) ) …(1−2)
P3((Tn-1, Kn-1),(Tn, Kn)) = Pr(L3 | (Tn-1, Kn-1),(Tn, Kn) ) …(1−3)
P4(Rn, Kn) = Pr(L4 | Rn, Kn) …(1−4)
P = P1 + P2 + P3 + P4 …(2)
ここで、Wはi番目に圧延された圧延材の製品幅であり、Kはi番目に圧延された圧延材の鋼種であり、Tはi番目に圧延された圧延材の製品厚であり、Rは1〜i番目に圧延された圧延材の総圧延長である。
式(1−1)において、P1は、製品の幅と鋼種がそれぞれW、Kである製品(W1,K1)から圧延を開始し、製品(Wi, Ki) (i=2,..,n-1)の圧延を経て、製品(Wn, Kn)を圧延したという条件の下で、板クラウン許容はずれ又は局部耳伸びの不良が発生した割合を表す。なお、L1は、板クラウン許容はずれ又は局部耳伸び等の不良が発生した事象のことである。このP1は、製造実績情報の内から、製品(W1, K1),…,(Wn, Kn)を続けて圧延した場合に、n番目に圧延された製品に発生した板クラウン許容はずれや局部耳伸びの発生率(不良率)の平均値を算出することにより求められる。
式(1−2)において、P2は、製品の厚と鋼種がそれぞれTn−1、Kn−1である製品(Tn-1, Kn-1)を圧延した後に、続いて製品(Tn, Kn)を圧延したという条件の下で、板厚許容はずれの不良が発生した割合を表す。なお、L2は、板厚許容はずれの不良が発生した事象のことである。このP2は、製造実績情報の内から、製品(Tn-1, Kn-1)の次に製品(Tn, Kn)を圧延した場合に、製品(Tn, Kn)に発生した板厚許容はずれの発生率の平均値を算出することにより求められる。
式(1−3)において、P3は、製品の厚と鋼種がTn−1、Kn−1である製品(Tn-1, Kn-1)を圧延した後に、続いて製品(Tn, Kn)を圧延したという条件の下で、材質はずれの不良が発生した割合を表す。なお、L3は、材質はずれの不良が発生した事象のことである。P3は、製造実績情報の内で、製品(Tn-1, Kn-1)の次に製品(Tn, Kn)を圧延した場合に、製品(Tn, Kn)に発生した材質はずれの発生率の平均値を算出することにより求められる。
式(1−4)において、P4は、総圧延長がRとなる鋼種Kの製品を圧延したという条件の下で、製品の表面性状が荒れる不良が発生した割合を表す。なお、L4は、製品の表面性状が荒れる不良が発生した事象のことである。P4は、ロール替えから上記総圧延長がRとなる鋼種Kの製品の圧延までに圧延された、鋼種がKである製品xの圧延長をRとするとき、次式(1−4’)によって算出される。式(1−4’)においては、直前に圧延された製品ほど不良が発生する確率の重みが大きくなるように、加重平均を求める形式となっている。これにより、圧延が進むことによるロール表面の肌あれに加えて、肌あれの回復も考慮することができる。
Figure 0005471725
一方、n番目に圧延された製品の実績能率Q(n)は次式(3)によって求められる。
Q(n,n-1) = Average q((Tn-1, Wn-1, ln-1, Kn-1),(Tn, Wn, ln, Kn)) …(3)
Q(n,n−1)は、厚、幅、長さ、及び鋼種がそれぞれTn-1、Wn−1、ln−1、kn−1である製品(Tn-1, Wn-1, ln-1, Kn-1)の後に、厚、幅、長さ、及び鋼種がそれぞれTn、Wn、ln、Knである製品(Tn, Wn, ln, Kn)を圧延した場合における製品(Tn, Wn, ln, Kn)の能率q(生産された質量/生産に要した時間)の平均値を求めることにより算出される。
次に、ステップS4において、条件付期待値算出部14は、ステップS3において算出された実績不良率P1〜P4及び実績能率Qを用いて、製造ロットデータベース2から読み込まれた製造ロットに含まれる全製品に対する期待不良率及び期待能率を算出する。
次式(4−1)〜(4−4)及び(5)は、期待不良率を算出するための式である。
EP1(x) = P1((W1, K1),…,(Wx, Kx) ) …(4−1)
EP2(x) = P2((Tx-1, Kx-1),(Tx, Kx) ) …(4−2)
EP3(x) = P3((Tx-1, Kx-1),(Tx, Kx) ) …(4−3)
EP4(x) = P4(Rx, Kx) …(4−4)
EP(x) = E1(x) + E2(x) + E3(x) + E4(x) …(5)
ここで、EP1は、製品xに対して板クラウン許容はずれ又は局部耳伸びによる不良発生が予測される確率(期待不良率)である。また、EP2は、製品xに対して板厚許容はずれによる不良発生が予測される確率である。EP3は、製品xに対して材質はずれによる不良発生が予測される確率である。EP4は、製品xに対して表面性状荒れによる不良発生が予測される確率である。さらに、EP(x)は、製品xに対して不良発生が予測されるトータルの確率である。
一方、期待能率は、次式(6)によって求められる。
EQ(x)=Q(x, x-1) …(6)
ここで、EQ(x)は、製品xに対して予測される能率(期待能率)である。
条件付期待値算出部14は、ステップS3において算出された実績不良率P1〜P4及び実績能率Qの内から、製品の特性(厚さ、幅、長さ、及び鋼種)の関係が共通する実績不良率及び実績能率を抽出し、それらの値を上式(4−1)〜(4−4)及び(5)に代入することにより、製品xに関する期待不良率EP1(x)〜EP4(x)及び期待能率EQ(x)を求める。
次に、ステップS5において、判定部15は、オペレータによって入力された製造ロット判定条件が満たされるか否かを判定する。即ち、判定部15は、「ステップS3〜S5の繰返し回数が、演算最大繰り返し回数N以下」であり、且つ、製造ロットに含まれる全ての製品について、「ステップS4において算出された期待不良率EP(x)が期待不良率の最大許容値PMAX以上である、または、ステップS4において算出された期待能率EQ(x)が期待能率の最小許容値QMIN以下である」とき、製造ロット判定条件が満たされないと判断し、ステップS6に進む。
ステップS6において、修正部16は、製造ロットの修正を行う。ここで、製造ロットに含まれる製品の内で、期待不良率が許容値P以上、または、期待能率が許容値Q以下である製品を製品Aと呼ぶ。修正部16は、製造ロットの内から製品Aを抽出してその製造順序を変更し、変更後の製造ロット情報を条件付期待値算出部14に出力する。
条件付期待値算出部14は、変更後の製造ロットについて、製造ロットに含まれる全製品に対する期待不良率及び期待能率を算出する(ステップS4)。次いで、判定部15は、製造ロット判定条件に基づいて、変更後の製造ロットを確定するか否かを判定する(ステップS5)。判定部15において、変更後の製造ロットが製造ロット判定条件を満たさないと判定されると、修正部16は、再び、製造ロットに含まれる製品の内で、期待不良率が許容値P以上、または、期待能率が許容値Q以下である製品を抽出し、その製品の製造順序を変更する(ステップS6)。
このようなステップS4〜S6における探索は、製造ロットに含まれる全ての製品について、期待不良率が許容値P未満、且つ、期待能率が許容値Qより大きくなるか、又は、ステップS4〜S6の繰り返し回数が演算最大繰り返し回数Nに至るまで繰り返される。その際、ステップS6における製品Aの製造順序の探索は、どのような方法で行っても良い。例えば、製品Aを製造ロットの最初から順次挿入することにより全探索しても良いし、反対に、製造ロットの最後から逆順に挿入することにより全探索しても良い。或いは、製品Aの製造順序を隣接する(即ち、直前又は直後の)製品の製造順序と入れ替えるようにしても良い。
一方、ステップS5において、製造ロット判定条件が満たされると判定されると、ステップS7において、出力部17は、確定した製造ロットや、条件付期待値算出部14における演算結果を出力し、図6に示すように、全製品の期待不良率及び期待能率をモニタ7の画面に表示させる。
また、ステップS8において、書込部18は、確定した製造ロットを製造ロットデータベース2に書き込む。
このようにして作成された製造ロットは、双方向バス5を介して各プロセスに置かれている製造管理コンピュータ200に送られる。製造プロセスの現場では、この製造ロットの順序どおりに製品が製造される。
以上説明したように、本実施形態によれば、製造実績情報に基づいて期待不良率及び期待能率を求めるので、経験の積み重ねによって見出された制約条件に束縛されることなく、柔軟に、製造ロットを作成することができる。また、期待不良率及び期待能率に基づいて製品の並び順の適否を判定し、これらの値が期待不良率の最大許容値PMAXや期待能率の最小許容値QMINを満足しない場合には、並び順を繰り返し探索するので、製品の品質を確保しつつ生産性全体を向上できる製造ロットを作成することが可能となる。更に、予め演算最大繰り返し回数Nを設定しておくことにより、許容時間等の与えられた条件内で最適化された並び順を探索することができる。
なお、本実施形態においては、製造ロットデータベース2及び製造実績データベース3から製造ロット情報及び製造実績情報をそれぞれ読み込まれた情報に基づいて演算を行っているが、これらの情報を取得する方法はこれに限定されない。例えば、記憶媒体に格納された情報を読み込んだり、メールに添付された情報を読み込むことにより、製造ロット情報や製造実績情報を取得するようにしても良い。
また、本実施形態においては、ステップS4〜S6における探索の結果、確定した製造ロットをモニタ7に表示しているが、モニタ7に表示するタイミングはこれに限定されない。例えば、ステップS4における演算後に、そのときの(即ち、探索中の)製造ロットや期待不良率及び期待能率の演算結果をモニタ7に表示しても良いし、ステップS5における判定後の製造ロット並びに演算結果を、製造ロット判定条件を満たすか否かによらず、モニタ7に表示するようにしても良い。さらに、モニタ7に表示された製造ロット及び演算結果に基づいて、オペレータが、探索を継続するか否かをマニュアルで判定するようにしても良い。
さらに、本実施形態においては、ステップS3において実績不良率及び実績能率を算出したが、これらの値を予め算出してデータベースに格納しておいても良い。
また、本実施形態においては、製造順序が連続する2つの製品の特性に基づいて、実績不良率及び能率を算出しているが、製造順序が連続する3つ以上の製品の特性に基づいて、これらの値を算出しても良い。
(実施例)
本発明に係る製造ロット作成方法の具体的な実施例を、図5及び図7〜図13を参照しながら説明する。
まず、ステップS1において、製造ロット判定条件として、期待不良率の最大許容値PMAX=30%、期待能率の最小許容値QMIN=600ton/hが設定される。なお、本実施例においては、演算最大繰り返し回数Nを非常に大きい整数とし、上記期待不良率の最大許容値及び期待能率の最小許容値に関する条件が満足されるまで演算を繰り返すものとする。
次に、ステップS2において、製造ロットデータベース2、製造実績データベース3、及び注文情報データベース4から必要な情報が演算処理部10に読み込まれ、注文情報に基づく暫定的な製造ロットが作成される。図7は、図9に示す注文情報に基づいて作成された製造ロットL221に関する情報を示している。製造ロットL221において、製品P2111〜P2117の圧延順序は、初期値として製品番号順に設定されている。また、図8は、製造実績データベース3から読み込まれた製造実績情報を示している。製造ロットL111においては、製品P1111〜P1116がこの順序で圧延されており、その結果、図8に示す不良率が各製品に発生している。
次に、ステップS3において、式(1−1)〜(1−4)及び(3)と、図8に示す製品情報及び製品の不良率とに基づいて、実績不良率P1〜P4及び実績能率Qが算出される。それにより、次の結果が得られる。
P1((W1=1200, K1=1), (W2=1200, K2=1)) = 1%
P1((W1=1200, K1=1), (W2=1200, K2=1) , (W3=1200, K3=1)) = 1%
P1((W1=1200, K1=1), (W2=1200, K2=1) , (W3=1200, K3=1) , (W4=1200, K4=2)) = 3%

P2((T1=6, K1=1), (T2=6, K2=1)) = 2%
P2((T2=6, K2=1), (T3=6, K3=1)) = 2%
P2((T3=6, K3=1), (T4=6, K4=2)) = 2%

P3((T1=6, K1=1), (T2=6, K2=1)) = (2%+2%)/2 = 2.0%
P3((T2=6, K2=1), (T3=6, K3=1)) = (2%+3%)/2 = 2.5%
P3((T3=6, K3=1), (T4=1.4, K4=2)) = (3%+10%)/2 = 7.5%

P4(R1 =1500, K1=1) = 4%
P4(R2 =3000, K2=1) = 4%
P4(R3 =4500, K3=1) = 4%

Q(2,1) = Average q((T1=6, W1=1200, l1=1500, K1=1),
(T2=6, W2=1200, l2=1500, K2=1)) = 800ton/h
Q(3,2) = Average q((T2=6, W2=1200, l2=1500, K2=1),
(T3=6, W3=1200, l3=1500, K3=1)) = 800ton/h
Q(4,3) = Average q((T3=6, W3=1200, l3=1500, K3=1),
(T4=1.4, W4=1200, l4=1000, K4=2)) = 800ton/h
次に、ステップS4において、式(4−1)〜(4−4)及び(5)と、ステップS3において算出された上記実績不良率P1〜P4及び実績能率Qに基づいて、製品P2111〜P2117に関する期待不良率EP1〜EP4及びEP並びに期待能率EQが算出される。それにより、図10に示す結果が得られる。
次に、ステップS5において、製品P2111〜P2117の各々について、期待不良率及び期待能率が製品ロット判定条件を満たすか否か判定される。
図11は、図10に示す期待不良率及び期待能率をグラフ化したものである。図11より明らかなように、製品P2117の期待能率(500ton/h)が最小許容値QMIN(600ton/h)を下回っており、製造ロット判定条件を満たさない。そのため、ステップS6において、製造ロットの修正が行われる。
ステップS6においては、製品P2117の圧延順序の入れ替えが行われる。本実施例においては、製品P2117の圧延順序を直前の製品と入れ替えることとする。そして、圧延順序を入れ替えた製造ロットについて、ステップS4の演算及びステップS5の判定を行うことにより、圧延順序を探索する。
図12は、ステップS4〜S6を2回繰り返し、製品P2117の圧延順序を製品P2115の前に置いた場合における期待不良率及び期待能率を示している。図12に示すように、この場合には、全ての期待不良率が30%を下回っていると共に、全ての期待能率が600ton/hを上回っているので、製造ロット判定条件を満たす。
ステップS5において、図12に示す製造ロットが製造ロット判定条件を満たすと判断されると、ステップS7において、この製造ロットの期待不良率及び期待能率を示すグラフ(図13)が、モニタの画面に表示される。また、ステップS8において、この製造ロットが、製造ロットデータベース2に書き込まれる。
このようにして作成された製造ロットにおいては、不良率を勘案した能率(能率×(1−不良率))が、同じ厚さの製品を連続的に製造する製造ロット(図10)における不良率を勘案した能率よりも高くなる。即ち、より生産性の高い製造ロットを作成することができたと言える。
本発明は、製造業の生産管理において、複数の製品を製造する順序を示す製造ロットの作成する方法、装置及びシステムにおいて利用可能である。
1 製造ロット作成装置本体
2 製造ロットデータベース
3 製造実績データベース
4 注文情報データベース
5、6 双方向バス
7 モニタ
8 入力装置
10 演算処理部
11 入力受付部
12 データ読込部
13 条件付実績値算出部
14 条件付期待値算出部
15 判定部
16 修正部
17 出力部
18 書込部
20 記憶部
30 バス
100 溶鋼
101 連続鋳造機
102 スラブ
103 加熱炉
104 粗圧延機
105 仕上圧延機
106 圧延材
107 冷却機
108 巻取り機
121 ならし材
122 広幅材
123 中間幅材
124 準備材
125 難圧延材
200 製造管理コンピュータ
300 受注管理コンピュータ

Claims (13)

  1. 複数の製品を製造する際の製品の並び順を表す製造ロットを作成する方法において、
    過去に製造された複数の製品の並び順、各製品の特性、並びに各製品における不良率及び生産能率に関する製造実績情報と、製造予定である複数の製品の並び順及び各製品の特性に関する製造予定情報とを取得する情報取得ステップと、
    前記製造実績情報に基づいて、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した不良率を示す実績不良率と、該関係の下における生産能率を示す実績能率とを求める条件付実績値算出ステップと、
    前記製造予定情報並びに前記条件付実績値算出ステップにおいて求められた実績不良率及び実績能率に基づいて、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係の下において期待される不良率を示す期待不良率と、該関係の下において期待される生産能率を示す期待能率とを求める条件付期待値算出ステップと、
    前記条件付期待値算出ステップにおいて求められた前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定する判定ステップと、
    を含むことを特徴とする製造ロット作成方法。
  2. 前記条件付実績値算出ステップは、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した各製品の不良率の平均値及び生産能率の平均値を算出することにより、前記実績不良率及び前記実績能率をそれぞれ求めることを特徴とする請求項1に記載の製造ロット作成方法。
  3. 前記条件付期待値算出ステップは、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係と、該特性の関係が共通する製品の実績不良率及び実績能率を抽出することにより、前記期待不良率及び前記期待能率を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造ロット作成方法。
  4. 前記期待不良率及び前記期待能率が許容される範囲を設定する設定ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造ロット作成方法。
  5. 前記判定ステップにおいて前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まらないと判定された場合に、前記製造予定である複数の製品の並び順を修正する修正ステップをさらに含み、
    前記条件付期待値算出ステップは、前記修正ステップにおいて修正された並び順に基づいて、前記期待不良率及び前記期待能率を求め、
    前記判定ステップは、前記修正された並び順に基づいて算出された前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造ロット作成方法。
  6. 前記修正ステップは、期待不良率又は期待能率が所定の範囲に収まらないと判定された製品の製造順序を、直前又は直後に製造予定となっている製品の製造順序と入れ替えることを特徴とする請求項5に記載の製造ロット作成方法。
  7. 前記修正ステップは、期待不良率又は期待能率が所定の範囲に収まらないと判定された製品の製造順序を、並び順の最初又は最後に挿入することを特徴とする請求項5に記載の製造ロット作成方法。
  8. 前記判定ステップは、前記期待不良率及び前記期待能率に対して行われた判定が所定の回数以下であるか否かを判定することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造ロット作成方法。
  9. 前記条件付期待値算出ステップにおいて算出された前記期待不良率及び前記期待能率を表示する表示ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造ロット作成方法。
  10. 前記判定ステップにおいて前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まると判断された製品の並び順を表示する表示ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造ロット作成方法。
  11. 前記判定ステップにおいて前記期待不良率及び前記期待能率が前記所定の範囲に収まると判断された製品の並び順を、前記製造予定情報に書き込む書込ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造ロット作成方法。
  12. 複数の製品を製造する際の製品の並び順を表す製造ロットを作成する装置において、
    過去に製造された複数の製品の並び順、各製品の特性、並びに各製品における不良率及び生産能率に関する製造実績情報と、製造予定である複数の製品の並び順及び各製品の特性に関する製造予定情報とを取得する情報取得手段と、
    前記製造実績情報に基づいて、製造順序が連続する製品間における特性の関係と、該関係の下において発生した不良率を示す実績不良率と、該関係の下における生産能率を示す実績能率とを求める条件付実績値算出手段と、
    前記製造予定情報並びに前記条件付実績値算出手段によって求められた実績不良率及び実績能率に基づいて、製造予定順序が連続する製品間における特性の関係の下において期待される不良率を示す期待不良率と、該関係の下において期待される生産能率を示す期待能率とを求める条件付期待値算出手段と、
    前記条件付期待値算出手段によって求められた前記期待不良率及び前記期待能率が、所定の範囲に収まるか否かを判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする製造ロット作成装置。
  13. 請求項12に記載の製造ロット作成装置と、
    前記製造ロット作成装置に接続され、過去に製造された複数の製品の並び順、各製品の特性、並びに各製品における不良率及び生産能率に関する製造実績情報と、製造予定である複数の製品の並び順及び各製品の特性に関する製造予定情報を格納する格納手段と、
    を備えることを特徴とする製造ロット作成システム。
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