JP5169098B2 - 品質予測装置、品質予測方法及び製造方法 - Google Patents
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Description
(a)例えば、プロセス操業データと品質データとの相関について解析する、製造プロセスにおける解析装置において、プロセス操業データの各パラメータが取り得る値を分割し、各分割領域における品質データの確率分布を算出して品質を予測する(例えば特許文献1参照)。
(b)また、鉄鋼プロセスの連続鋳造において欠陥の発生しやすい流動状態からその時の温度パターンを推定することにより、欠陥の発生しやすい温度パターンを求め、実際の温度パターンから欠陥の発生を予測する(例えば特許文献2参照)。
(c)また、製品の製造にかかる各種の条件を示す条件データをN種類からN>PであるP変数に変換した上で、品質データとの関係を線形の方程式で定式化して品質を予測する(例えば特許文献3参照)。
(a)特許文献1においては、入力とする操業データの各パラメータが取り得る範囲に領域を分割し、データ数が多い領域は欠陥が少ない、データ数が少ない領域は多いとしているが、欠陥が発生する確率はデータ数とは無関係であり、実際の欠陥発生状況を反映させる必要がある。また、領域の決め方が不明瞭である。
(b)特許文献2においては、欠陥の発生原因を詳細に解析したうえで、発生しやすい温度パターンを抽出しているが、実際の欠陥はさまざまな要因の組合せとなっており、その他の原因による欠陥の判定が難しい。また、モールド鋳型内の溶鋼に、電磁力による流動を生じさせる技術はさまざま方法が提案されており、流動状態に対応した欠陥の発生しやすい温度パターンを用意するのには煩雑な作業を要する。
(c)特許文献3においては、操業データと品質データが線形の方程式で表現されているが、操業データ、品質データにはばらつきがあり、ある製造条件のもとでの製品の品質は、確率的事象である。また、線形方程式で予測すると誤差が大きい。品質予測においては、操業データと品質データを関連付けるモデル化が従来から課題となっており、この課題に対して有効な手段とはいえない。
本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、製造工程の操業異常を判定する操業異常検出工程を有するものである。
本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造中の鋳片が所望の品質になるように操業条件を変更する工程を有するものである。
本発明に係る製品の製造方法は、上記の品質予測装置(又は品質予測方法)で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、当該鋳片の品質を決定し、以降の工程における処理条件を決定する処理条件決定工程を有するものである。
データ保存手段1は、実績データベース(記憶装置)1aを内蔵した演算装置(コンピュータ)から構成されており、以下に説明するデータ蓄積ステップの処理を行う。
品質予測値算出手段2は、記憶装置を内蔵した演算手段(コンピュータ)から構成されており、データ保存手段1の実績データベース1aに保存されたデータ(図4参照)を利用し、品質予測値算出ステップの処理を行う。
図5は、その概要をフローチャートである。以下にその手順を述べる。品質を予測するべき製品の製造時の操業データを取得し、データ保存手段1の実績データベース1aに保存されたデータと比較することにより、品質予測値を算出する。
Zs=[X,Y]
Yの平均値Ymeanを次式により算出し、Ymeanを品質予測値とする。
保存されているデータの全てまたは、いくつかを選択(例えばユークリッド距離が所定の範囲のデータを選択する)し、以下の値を算出する。
品質予測値は以下の利用方法がある。その概要を図6、図7、図8及び図9に示す。
図6は、予測された品質予測値により、操業条件を変更することを示したフローチャートである。製品の品質を検査する工程は、製造工程の後に位置することがほとんどであり、製造後いくつかの工程を経た後で製品の品質を検査するような製造工程もある。このため、製品の品質を検査したあと、操業条件を変更するのに時間がかかるため、その間、品質の悪い製品を製造しつづけることになる。このため、本実施形態に係る品質予測方法を適用して製造中に製品の品質を予測し、品質を左右する操業条件を品質予測値により変更を行う。これにより、低い品質の製品を大量に生産することを避けることができる。
図10は、鉄鋼製造プロセスにおける連続鋳造プロセスを模式的に表した図である。図10において、タンディッシュ20に満たされた溶鋼21は、タンディッシュ底部に設置されたスライディングノズル22の位置で定まる開度に応じて、浸漬ノズル23を経てモールド24内へ注入される。また、モールド24内へ注入された溶鋼21は、側壁から冷却されて表面から凝固しつつ、ピンチロール25によって引き抜き方向へ引き抜かれる。さらに、モールド24内に注入される溶鋼量は、前述のように、スライディングノズル22の開度に応じて定まるが、このスライディングノズル22は、アクチュエータによって駆動される。モールド24内では、浸漬ノズル23から注入された溶鋼により、溶鋼の流れが発生する。連続鋳造時のスラブの欠陥発生には、さまざまな原因が考えられているが、代表的なものは以下のものである。
(2)溶鋼の流れにより、パウダーの下部が溶鋼中に引き込まれる。
(3)ノズル詰まりを防止するためにノズルに流すArガスが気泡となり溶鋼中に引き込まれる。
これらは、モールド24内の流れが原因となり起こることが分かっている。このため、最近では、モールド24の周りに電磁石を設置して磁界を発生させ、強磁性体である溶鋼の流動を励起する装置が使用されている。一方、モールド24内の溶鋼流動状態を直接図る方法はないが、流速変化を温度変化として計測できることを利用し、モールド周辺に図11に示されるように温度計30を設置し、溶鋼の流動状態を推定することも行われている。ここでは、モールド24の温度状態と欠陥の発生が密接に関係していることに着目し、モールド24の温度状態から、欠陥発生を予測する。
また、モールド内の溶鋼の流れは鋳込み速度や、鋳造されるスラブの厚みや幅、Ar流量は圧力、溶鋼の温度によっても異なる。これらの条件を加味することによりさらに精度をあげることができる。
(1)欠陥が多いと予測された場合に鋳造速度等の製造方法を変更する。
(2)欠陥が多いと予測された場合、鋳造されたスラブの表面の手入れを行う。
(3)欠陥が多いと予測されたスラブは、汎用材として利用し、欠陥が少ないと予測されたものを高級素材として利用する。
Claims (10)
- 連続鋳造工程で過去に製造された鋳片の品質データとその鋳片の製造時の操業データとが対応付けられて記憶された実績データベースと、
品質を予測すべき鋳片の製造時の操業データと、前記実績データベースに記憶された各操業データとの類似度を算出し、該類似度と前記実績データベース内の品質データとから、鋳片の品質予測値を算出する品質予測値算出手段と
を有する品質予測装置であって、
前記操業データには、連続鋳造工程において鋳片を製造する際のモールド温度や鋳造速度を含み、前記品質はモールドで巻き込んだ不純物による鋳片の欠陥データとし、前記品質予測値の算出は鋳片長手方向位置ごとにすることを特徴とする品質予測装置。 - 前記品質予測値算出手段において、前記類似度を、品質を予測すべき鋳片の製造時の操業データと前記実績データベースに記憶された各操業データとのユークリッド距離とし、前記ユークリッド距離が最も近い前記実績データベースに記憶された操業データに対応する品質データを品質予測値とすることを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
- 前記品質予測値算出手段において、前記類似度を、品質を予測すべき鋳片の製造時の操業データと前記実績データベースに記憶された各操業データとのユークリッド距離とし、前記ユークリッド距離が所定範囲内となる前記実績データベースに記憶された操業データに対応する品質データの平均値を算出し、該平均値を品質予測値とすることを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
- 前記品質予測値算出手段において、前記類似度を、品質を予測すべき鋳片の製造時の操業データと前記実績データベースに記憶された各操業データとのユークリッド距離とし、前記実績データベースに記憶された操業データに対応する品質データの値に、前記ユークリッド距離に応じて定めた重み係数を乗じた重み付け平均値を算出し、該重み付け平均値を品質予測値とすることを特徴とする請求項1に記載の品質予測装置。
- 品質を予測すべき鋳片の製造時の操業データから特徴量データを算出し、
前記算出された特徴量データと、連続鋳造工程で過去に製造された鋳片の品質データとその鋳片の製造時の操業データから算出された特徴量データとが対応付けられて記憶された実績データベースの各特徴量データとの類似度を算出し、
該類似度と前記品質データとに基づいて品質予測値を算出し、
前記操業データには、連続鋳造工程において鋳片を製造する際のモールド温度や鋳造速度を含み、前記品質はモールドで巻き込んだ不純物による鋳片の欠陥データとし、前記品質予測値の算出は鋳片長手方向位置ごとにすることを特徴とする品質予測方法。 - 請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、当該鋳片を製造するための製造工程の操業条件を変更する操業条件変更工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、製造工程の操業異常を判定する操業異常検出工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造された当該鋳片の不良部を修正する修正工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置で予測された鋳片の品質予測値に基づいて、品質予測値が不良と判定された場合は、製造中の鋳片が所望の品質になるように操業条件を変更する工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の品質予測装置で予測された品質予測値に基づいて、当該鋳片の品質を決定し、以降の工程における処理条件を決定する処理条件決定工程を有することを特徴とする製品の製造方法。
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