JP5195331B2 - 製造プロセスにおける品質予測装置、予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

製造プロセスにおける品質予測装置、予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、製造プロセスにおける品質予測装置、予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、複数の操業因子の結果として品質が決まる製造プロセスで、かつ操業変数と品質変数の間に非線形な特性があり、時間の経過に伴う設備の状態変化等に起因して操業変数と品質変数の関係が変化する製造プロセスで、更に操業変数から品質変数を推定する関係式が人間によって理解可能であることが求められる製造プロセスの品質予測に係わるものである。本発明では、製造プロセスの操業範囲全体を複数の局所領域に分割し、局所領域ごとに局所関係式を作成して、その組合せで全体の関係式を構築するため、非線形な特性を高い精度で予測し、かつ全体の関係式の構成や各局所関係式の係数の値から操業変数と品質変数の関係を人間が読み取ることができる。更に操業変数と品質変数の関係が変化して局所関係式の予測精度が劣化した場合は、予測誤差を改善するよう局所関係式の係数を更新する。従って、本発明は、非線形かつ時間変動のある特性を有する製造プロセスで、かつ品質予測の関係式の理解し易さが求められる製造プロセスにおいて、オペレータへのガイダンスや品質制御のための品質予測に用いて好適な技術である。
従来、操業条件に基づいて品質が決まる製造プロセスにおいて、製品の製造過程で品質を予測する手法としては、品質不良発生のメカニズムに関する知識を基に作成した物理モデルや、或いは操業データと品質データに重回帰分析を適用して得られる線形式のモデル(以下、重回帰モデル)を用いて、製品の操業データをモデルに入力し、品質の予測値を算出する方法が良く知られている。
また、特許文献1に開示された手法では、時間の経過に伴う設備の状態変化等に起因する製造プロセスの特性の変化に適応した品質予測を行うため、線形式で表現した圧延機のエッジドロップ量の予測モデルを対象に、この線形式モデルのパラメータを逐次最小二乗法にて更新することで、特性の変化に適応した品質予測を行う方法を実現している。
更に、特許文献2に開示された手法では、熱間圧延の仕上げ圧延における被圧延材の幅変化量予測を対象に、予測対象の被圧延材に類似した過去の圧延事例をデータベースから選択し、過去事例の操業データと仕上幅変化量データから、重回帰モデルをオンラインで作成して、被圧延材の幅変動予測値を算出することで、操業変数と品質変数の間に非線形性がある製造プロセスにおいても、精度良く予測を行う方法を実現している。この手法では、被圧延材の圧延実績に基づいて、データベースの内容を新しい事例に更新する処理を行うことで、圧延条件や設備の経時変化等に起因した操業条件と仕上幅変化量の特性の変化を反映して予測を行う方法も実現している。
また、特許文献3及び特許文献4に開示された手法では、操業データ及び品質データを基に、操業変数を基底ベクトルとする操業因子空間を幾つかの局所領域に分割して、各局所領域における操業因子と品質の関連性を人間が直感的に理解し易い線形式でモデル化している。そして、各局所線形式が全体の品質に対して、どの程度影響しているかを示す寄与率を操業変数空間の座標の関数として表す活性度関数を操業データから求めて、全体の操業変数と品質変数との関連を表す関係式を導出することにより、複雑な非線形特性を有する多変量の操業変数と品質変数との関係式を人間に理解し易い数式で表現して、品質予測に用いる装置を実現している。
特開2004−90074号公報 特開2007−50413号公報 特許第3875875号公報 特開2007−140694号公報 芳谷直治著「ベクトル型忘却係数を用いたパラメータ逐次推定とその実プラントへの適用」計測・制御自動学会論文集vol25、No5、579/585(1989年) 坂本慶行ら著「情報量統計学」共立出版株式会社(1983年)
しかしながら、前記の物理モデルに基づく方法では、品質不良発生のメカニズムが十分に解明されていない製造プロセスでは、物理モデルを作成することができないという問題があった。また、重回帰モデルを用いる方法では、操業変数と品質変数は線形の関係にあり、また全ての操業範囲において、両者を単一の線形式で表現できるとの前提条件に基づいてモデルを作成する。このため、操業変数と品質変数の間に非線形な関連がある製造プロセスや、各々異なる特性を有する複数の品質不良要因が存在する製造プロセスに対しては、必要な精度を有する品質予測モデルが作成できない問題があった。
特許文献1に開示された方法では、操業変数と品質変数を線形式で表現して十分な精度を実現できる製造プロセスに対しては、特性の変化があっても、それに適応して十分な予測精度を維持することが可能である。しかしながら、操業変数と品質変数の間に非線形性がある場合には、適用できないといった問題があった。
特許文献2に開示された手法では、操業変数と品質変数の間に非線形性があり、かつ製造プロセスの設備の経時変化等に起因して、操業変数と品質変数の関係が変化した場合にも高い精度で予測を行うことを可能とするものである。しかしながら、予測したい製品に類似した過去事例データをオンラインで選択し、都度、重回帰で線形モデルを作成する方法であるため、線形式の係数等モデルに関する情報を抽出しにくく、例えばある操業範囲で操業変数を変更した場合に、品質にどのような影響があるかをモデルから読み取るといった分析を行うことが難しいといった問題があった。
特許文献3及び特許文献4に開示された手法では、操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を幾つかの局所領域に分割して、各局所領域における操業変数と品質変数の関連性を人間が直感的に理解し易い線形式でモデル化し、該線形式と局所領域の活性度関数の積の和で全体の関係式を算出することで、非線形特性を有する多変量の操業と品質の関係式を人間に理解し易く表現していることから、各局所領域の線形モデルが適用される操業範囲や、各操業範囲での線形モデルの係数の値からモデルの妥当性を、従来の経験と照らし合わせて評価することが可能である。しかしながら、操業変数と品質変数の関係が変化した場合、モデルを再作成するに十分なデータ数が蓄積されるまでの時間が必要であることから、予測精度が改善されるまでに時間を要するといった問題があった。
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであり、人間が理解し易く、かつ非線形な特性を有する製造プロセスの品質を高い精度で予測し、更に設備の経時変化等に起因して、操業変数と品質変数の関係が変化した場合にもモデルを自動的に更新して高い予測精度を維持する品質予測装置、予測方法、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の製造プロセスにおける品質予測装置は、製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを前記関係式yに入力して品質予測値を算出する製造プロセスにおける品質予測装置であって、
予測対象製品の所定の複数pの操業データを前記製造プロセスから取り出して入力する操業データ入力手段と、
前記操業変数空間を複数M個に分けた前記各局所領域iにおける分割座標情報からなる分割パターンより、該各局所領域iにおける操業変数と品質変数との関係を表す所定の第1の関数形の局所関係式yiの、操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す、所定の第2の関数形の活性度関数Φiの係数を算出して記憶する活性度関数記憶手段と、
前記操業データと前記各局所領域iにおける前記活性度関数Φiに基づいて、該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率を算出する寄与率演算手段と、
前記各局所領域iにおける局所関係式yiの係数の初期値を算出して格納し、前記操業データと該局所関係式yiの係数に基づいて、該局所関係式yiの演算を行う局所関係式演算手段と、
前記局所関係式yiの演算結果と前記操業データに対する品質予測値への各局所領域iの寄与率との積の、全ての前記局所領域iに関する総和を算出して品質予測値とする品質予測値算出手段と、
前記品質予測値を外部に出力する品質予測値出力手段と、
製品の品質が測定された時点で、その品質データを前記製造プロセスから取り出して入力する品質データ入力手段と、
前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を前記各局所領域iごとに算出し、該予測誤差及び該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率に基づいて、前記局所関係式yiの係数の値を更新する局所関係式更新手段とを有し、
前記局所関係式y i が、前記複数の操業変数の全て又は少なくとも一つ以上を独立変数とする線形多項式であり、
前記局所関係式更新手段は、前記局所領域iにおける更新前の前記線形多項式の係数をW i (T−1)、前記操業データからなるベクトルをu(T)として下式(1)を用いて係数を算出することを特徴とする。
Figure 0005195331
本発明の製造プロセスにおける品質予測装置の他の特徴とするところは、前記活性度関数Φiが、前記局所領域iの重心に中心を持つ正規分布関数で構成される正規メンバシップ関数である点にある。
本発明の製造プロセスにおける品質予測装置の他の特徴とするところは、前記局所関係式yiの係数の初期値、及び前記分割パターンは、複数の製品の前記操業データ、及び前記品質データを格納したデータベースより、
(a)所定の選択条件に該当する前記操業データ及び品質データを抽出するデータ抽出手段と、
(b)前記操業変数空間を、複数M個の局所領域iに分ける分割パターン候補を、複数p通り作成する分割パターン候補作成手段と、
(c)前記分割パターン候補それぞれの分割座標情報に基づき、前記各局所領域iにおける活性度関数Φiの係数を算出する活性度関数算出手段と、
(d)前記分割パターン候補それぞれについて、前記各局所領域iにおける前記操業データと前記品質データに基づき、前記局所関係式yiの係数を算出する局所関係式算出手段と、
(e)前記分割パターン候補それぞれについて、前記各局所領域の局所関係式yiと活性度関数Φiの積を、全ての該局所領域に関して加算して前記関係式yを算出して、該操業変数空間全体における操業変数と品質変数の関連を表す関係式yを導出する関係式算出手段と、
(f)前記分割パターン候補それぞれに対して導出された前記関係式yに、前記抽出された操業データを入力して品質予測値を算出し、該品質予測値と該抽出された品質データとの差の二乗総和である予測誤差を算出し、該予測誤差の値が最も小さい分割パターン候補を選択する最小誤差関係式選択手段と、
(g)前記最も小さい予測誤差の値を、所定の誤差判定方法で予め設定した誤差判定指標と比較して、収束が十分であるか不十分であるかを判定する学習誤差評価手段とを具備し、
前記収束が不十分なときには、前記最小誤差関係式選択手段で選択された分割パターン候補を基にして、前記複数Mを1増やして、前記(b)〜(g)の手段による一連の処理を繰り返すことによって算出された局所関係式yiの係数の初期値、及び分割パターンである点にある。
本発明の製造プロセスにおける品質予測装置の他の特徴とするところは、前記製造プロセスは、鉄鋼プロセスであって、前記品質変数は、製品の表面疵、機械強度特性値、形状の平坦度、製品サイズ、内部応力、又はこれら品質に影響を及ぼすプロセス値である点にある。例えば前記製造プロセスは、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスであって、前記品質は、粗圧延出側の板幅と捲き取り入側における被圧延材の板幅の変化量であり、前記製造プロセスの操業変数は、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度から少なくとも一つ以上選択する。又は、前記製造プロセスは、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスであって、前記品質は、熱延ランアウトテーブル出側での捲き取り温度であり、前記製造プロセスの操業変数は、被圧延材が精錬工程を終了した時点での溶鋼内のC量、Si量、Mn量、P量、S量、Cu量、Ni量、Cr量、Mo量、Nb量、V量、Ti量、B量、Al量、N量、O量、Ca量、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度、圧延速度、冷却水水量密度、冷却水温から少なくとも一つ以上選択する。
本発明の製造プロセスにおける品質予測方法は、製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを前記関係式yに入力して品質予測値を算出する製造プロセスにおける品質予測方法であって、
予測対象製品の所定の複数pの操業データを前記製造プロセスから取り出して入力する操業データ入力手段を用いて操業データを入力する工程と、
前記操業変数空間を複数M個に分けた前記各局所領域iにおける分割座標情報からなる分割パターンより、該各局所領域iにおける操業変数と品質変数との関係を表す所定の第1の関数形の局所関係式yiの、操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す、所定の第2の関数形の活性度関数Φiの係数を算出して記憶する活性度関数記憶手段を用いて活性度関数を記憶する工程と、
前記操業データと前記各局所領域iにおける前記活性度関数Φiに基づいて、該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率を算出する寄与率演算手段を用いて寄与率を算出する工程と、
前記各局所領域iにおける局所関係式yiの係数の初期値を算出して格納し、前記操業データと該局所関係式yiの係数に基づいて、該局所関係式yiの演算を行う局所関係式演算手段を用いて局所関係式の演算を行う工程と、
前記局所関係式yiの演算結果と前記操業データに対する品質予測値への各局所領域iの寄与率との積の、全ての前記局所領域iに関する総和を算出して品質予測値とする品質予測値算出手段を用いて品質予測値を算出する工程と、
前記品質予測値を外部に出力する品質予測値出力手段を用いて品質予測値を出力する工程と、
製品の品質が測定された時点で、その品質データを前記製造プロセスから取り出して入力する品質データ入力手段を用いて品質データを入力する工程と、
前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を前記各局所領域iごとに算出し、該予測誤差及び該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率に基づいて、前記局所関係式yiの係数の値を更新する局所関係式更新手段を用いて局所関係式を更新する工程とを有し、
前記局所関係式y i が、前記複数の操業変数の全て又は少なくとも一つ以上を独立変数とする線形多項式であり、
前記局所関係式を更新する工程では、前記局所領域iにおける更新前の前記線形多項式の係数をW i (T−1)、前記操業データからなるベクトルをu(T)として下式(1)を用いて係数を算出することを特徴とする製造プロセスにおける品質予測方法。
Figure 0005195331
本発明のプログラムは、製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを前記関係式yに入力して品質予測値を算出するためのプログラムであって、
予測対象製品の所定の複数pの操業データを前記製造プロセスから取り出して入力する操業データ入力処理と、
前記操業変数空間を複数M個に分けた前記各局所領域iにおける分割座標情報からなる分割パターンより、該各局所領域iにおける操業変数と品質変数との関係を表す所定の第1の関数形の局所関係式yiの、操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す、所定の第2の関数形の活性度関数Φiの係数を算出して記憶する活性度関数記憶処理と、
前記操業データと前記各局所領域iにおける前記活性度関数Φiに基づいて、該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率を算出する寄与率演算処理と、
前記各局所領域iにおける局所関係式yiの係数の初期値を算出して格納し、前記操業データと該局所関係式yiの係数に基づいて、該局所関係式yiの演算を行う局所関係式演算処理と、
前記局所関係式yiの演算結果と前記操業データに対する品質予測値への各局所領域iの寄与率との積の、全ての前記局所領域iに関する総和を算出して品質予測値とする品質予測値算出処理と、
前記品質予測値を外部に出力する品質予測値出力処理と、
製品の品質が測定された時点で、その品質データを前記製造プロセスから取り出して入力する品質データ入力処理と、
前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を前記各局所領域iごとに算出し、該予測誤差及び該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率に基づいて、前記局所関係式yiの係数の値を更新する局所関係式更新処理とをコンピュータに実行させ
前記局所関係式y i が、前記複数の操業変数の全て又は少なくとも一つ以上を独立変数とする線形多項式であり、
前記局所関係式更新処理では、前記局所領域iにおける更新前の前記線形多項式の係数をW i (T−1)、前記操業データからなるベクトルをu(T)として下式(1)を用いて係数を算出することを特徴とするプログラム。
Figure 0005195331
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明のプログラムを記録したことを特徴とする。
以上のようにした本発明は、操業変数と品質変数の間に非線形な特性がある製造プロセスの品質予測を行うに当たり、多変量の操業変数からなる操業変数空間を複数の局所領域に分割して、各局所領域における操業因子と品質の関連性を人間が理解可能な数式で表現し、該数式と局所領域の活性度関数の積の和で全体の関係式を算出して、更に製品の品質が測定された時点で、品質の実績値とモデルによる品質予測値に基づき前記数式の係数を更新するものである。
本発明によれば、操業変数と品質変数の間に非線形な特性がある製造プロセスの品質予測を行う予測モデルを、高精度でかつ内容を人間が理解し易い形式で構築することができることから、予測結果に関する合理性を人間が判断しながら精度の高い品質予測を行うことができる。また、設備の経時変化等に起因して、操業変数と品質変数の関係が変化した場合においても、モデルを自動的に更新して高い予測精度を維持することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の製造プロセスにおける品質予測装置100の構成を示すブロック図である。品質予測装置100は、以下に詳述するが、製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを関係式yに入力して品質予測値を算出する。
図1の101は操業データ入力手段として機能する操業データ入力部であり、品質予測装置100には、製造プロセス200から収集された予測対象製品の操業データが入力される。具体的な操業データ入力部101としては、例えばキーボード、データシートを読み込むOCR、工場内に設置されたセンサによる測定信号を逐次収集して保存し、予め設定されたタイミングでLAN等を介してデータを取り込むコンピュータが考えられる。
操業データは、例えば鉄鋼プロセスでは、精錬工程で測定された溶鋼の各種元素の成分量や、連続鋳造工程における湯面変動量や鋳造速度、更には熱延工程での圧延荷重や捲き取り温度等である。また、これら操業データに基づいて予測を行いたい品質としては、例えば鉄鋼プロセスの場合では、薄板や厚板等の各種製品の、表面疵や内部欠陥の発生個数、抗張力や降伏応力、伸び率等の機械強度特性値、波高さ等の形状平坦度、板厚・板幅・板長さ等の製品サイズ、内部応力等、直接顧客から要求される最終製品の各種品質指標である。それに加え、これら最終品質に影響を及ぼすプロセス値も予測対象となる品質である。
ここで、複数p個の操業変数u1,u2,…,upに基づいて品質を予測する場合、品質はu1〜upを基底ベクトルとするp次元の操業変数空間における関数とみなすことができる。従って、操業変数と品質変数の関係を表す関係式yは、一般に、写像関数f(・)を介した式(3)で表すことができる。
Figure 0005195331
写像関数f(・)は、通常の製造プロセスの場合、非線形・多変量の複雑な関数であり、操業変数空間全体に渡る適正な関数式を見出すのは難しい。そこで、本発明においては、操業変数空間を複数の局所領域に分割し、各局所領域iにおける操業変数と品質変数の関係を表す局所関係式yi^(u_)(本実施形態では^を付す。なお、yi^は^がyiの上に、u_は_がuの下に付されているものとする。以下同様。)と、操業変数空間全体上の各点における局所関係式yi^の寄与率を表す活性度関数Φi(u_)の積の和である式(4)によって、全体の関係式yを表すものとする。ここで、Σは項の和、Mは局所領域の個数を表している。
Figure 0005195331
操業データ入力部101により入力される操業データは、操業変数u1〜upに対応する数値が記載されたデータであって、これに対して以降に述べる各部による演算処理を実行することで、上記の式(4)に等価な演算が実行され、品質予測値が算出される。
図1の102は活性度関数記憶手段として機能する活性度関数記憶部であり、式(4)における活性度関数Φiの係数を算出して、記憶する。活性度関数Φiの係数は、操業変数空間をM個の局所領域に分けた分割パターンの分割座標情報に基づいて算出する。図2に、u1及びu2の2個の操業変数からなる操業変数空間を、3つの局所領域に分割した場合の分割パターン例の模式図を示す。操業データは、操業変数空間上に存在する点とみなすことができ、図2の例では、操業データは局所領域2と局所領域3の境界域に位置している。具体的な分割座標情報としては、例えば各局所領域の頂点の座標値を用いる方法がある。又は、図2に示すように局所領域の分割を、操業変数の軸に平行な分割のみと限定する場合においては、局所領域iごとに得られるp次元空間内の超直方体である各局所領域の重心点の座標ci jと、各操業変数の軸方向の超直方体の長さΔi jを用いても良い。ここで、j=1・・・pは、操業変数を示す添え字である。本実施形態では、人間による分割の理解のし易さの観点から、分割パターンは操業変数に平行な分割のみと限定し、分割座標情報も重心点と超直方体の長さを用いるものとする。
また、活性度関数Φiには、操業変数空間の任意の位置で各関数値の総和が1となる式(5)の正規条件を満たす任意の関数を用いることができる。
Figure 0005195331
本実施形態では、隣接する局所領域の境界を滑らかに接続する関数として、式(6)に示すp次元の正規分布関数μiを式(7)に代入して得られる正規メンバシップ関数を活性度関数Φiとする。ここで、ci jは局所領域の重心点、σi jは正規分布関数の標準偏差を表しており、該重心点と該正規分布関数の標準偏差が、正規メンバシップ関数における係数である。
Figure 0005195331
上記の式(6)における局所領域の重心点には、前記分割座標情報における各局所領域の重心点の座標ci jを用いれば良く、また標準偏差σi jは各操業変数の軸方向の超直方体の長さΔi jを用いて、例えば次の式(8)で算出する方法がある。
Figure 0005195331
ここで、αは非負の実数値であって、このα値が小さいほど式(6)における正規分布関数の標準偏差が小さくなることから、式(7)にて計算される活性度関数Φiにおいては、局所領域の境界部分で領域が互いに重畳する部分が小さくなるよう活性度関数を設定したことに相当する。図3は、一次元の操業変数空間を2つの局所領域に分割する場合で、α値を変更した場合の活性度関数Φiの差異を模式的に説明した図である。α値は、局所領域に対応する対象プロセスの操業範囲に関する物理的な知見から経験的に設定してもよく、或いは予測精度を確認しながら、値を変更して最も良い精度が得られた値を用いるようにしても良い。図4には、二次元の操業変数空間における活性度関数の例として、u1とu2からなる操業因子空間を3つの領域に分割した場合の活性度関数を示す。
活性度関数記憶部102では、前記の手順で活性度関数Φiの係数を算出し、該係数を記憶して、以降の各部にて利用可能とする。なお、該係数の算出に用いた分割パターンの分割座標情報は、第2の実施形態に述べる装置にて決定しても良く、或いは製造プロセスに関する経験に基づいて分割を設定しても良い。
図1の103は寄与率演算手段として機能する寄与率演算部であり、活性度関数Φiに、前記操業データの値を代入することによって、各局所領域が予測値に寄与する率を算出する。活性度関数Φiが正規メンバシップ関数である場合は、式(6)におけるu1〜upに、操業データ入力部101より入力されたu1〜upに対応する数値を設定して、式(6)及び式(7)の数式演算を行うことで寄与率を算出する。また、活性度関数Φiに、ファジー推論の分野の研究成果として提案された台形メンバシップ関数や三角メンバシップ関数を用いた場合も、これら各関数式の操業変数に対応する変数に操業データの数値を設定して演算を行えば良い。
図1の104は局所関係式演算手段として機能する局所関係式演算部であり、局所関係式の係数値と、前記操業データに基づき、局所領域ごとに局所関係式yi^の値を算出する処理を行う。ここで、局所関係式yi^としては、連続値である品質変数と操業変数の関連を表現できる任意の数式を採用することができる。具体的には、操業変数の増減に対する品質変数の増減挙動を、係数の値より人間に読み取りやすく、かつ領域の分割が適正であれば十分な精度を有する式(9)の線形多項式を用いる方法がある。ここで、wijは線形多項式の係数である。
Figure 0005195331
局所関係式演算部104では、式(9)のように予め設定された局所関係式の数式と、その係数値を記憶しており、操業データ入力部101より入力されたu1〜upに対応する数値を設定して、局所関係式の演算処理を実行する。なお、局所関係式においては、入力された操業データu1〜upの全てに対応する操業変数を使用することに限定する必要はなく、一部のみを用いる局所関係式であっても良い。これは、操業変数のうち一部は、操業変数空間の分割のみに使用される変数であり、品質を予測する局所関係式には使用されない変数が存在する場合に相当する。
また、局所関係式の係数値は、後に述べる局所関係式更新部104によって更新されるが、その初期値の計算については、第2の実施形態にて行っても良く、或いは経験に基づいて適切な初期値を設定しても良い。なお、局所関係式に、線形多項式以外の数式を用いた場合には、該数式の操業変数に対応する変数に、操業データの数値を設定して局所関係式の演算を行えば良い。
図1の105は品質予測値算出手段として機能する品質予測値算出部である。局所領域iごとに算出された局所関係式yi^の演算結果と、寄与率の演算結果の積を算出し、この積の値を全ての局所領域に関する和をとる演算を行うことで、上記の式(4)の操業変数と品質変数の関係式に基づく品質予測値が算出される。
図1の106は品質予測値出力手段として機能する品質予測値出力部であり、品質予測値算出部105により算出された品質予測値をガイダンス情報として表示、或いは品質制御に利用するために製造プロセスの制御系へ出力する。表示された品質予測値に基づいて、操業オペレータは、望ましい品質を得るための操業条件を決定することが可能であり、また検査員は品質不良の懸念がある製品の重点検査を行うことで、顧客への不良品出荷を防止することができる。また、品質制御に利用する場合は、品質予測値に基づいて、品質が望ましい範囲となるよう操作端となる操業変数の目標値を算出する処理を制御系で行い、製造プロセスの操業に反映することで、品質不良の発生を抑制することができる。
図1の107は品質データ入力手段として機能する品質データ入力部であり、製品の品質が測定された時点で、その品質データを製造プロセスから抽出し、入力する。例えば鉄鋼プロセスの場合は、自動疵検査装置による表面疵や内部欠陥の個数、サンプル試験工程での機械強度測定値、形状計による波高さ測定値、板厚・板幅測定計による寸法情報、内部応力、更には最終品質に影響を及ぼす中間工程段階での元素成分量や温度、サイズといった情報が品質データであって、これら品質データは、例えばキーボード、データシートを読み込むOCR、センサによる測定信号を逐次収集してLAN等を介して伝送する計算機によって入力される。
図1の108は局所関係式更新手段として機能する局所関係式更新部であり、各局所領域において品質データと品質予測値の差である予測誤差を算出し、この予測誤差及び該操業データに対する各局所領域の寄与率に基づいて、局所関係式yi^の係数の値を更新する。局所関係式yi^に式(9)の線形多項式を用いる場合、係数の更新は、例えば以下のようにして行われる。いま、更新に使用する製品の操業データからなるベクトルをu(T)、局所領域iにおける前記線形多項式の更新前の係数からなるベクトルをWi(T−1)と表すものとし、更に品質データ入力部107より入力された更新に使用する製品の品質データをy(T)とする。このとき、局所領域iにおける局所関係式yi^の係数Wi(T)は、次の式(1)で更新される。ここで、Ki(T)は、局所領域iにおける更新率行列であり式(2)で算出する。
Figure 0005195331
式(1)及び式(2)は、例えば非特許文献1の73ページに記載された逐次最小二乗法の更新と同様の効果を、本発明における線形多項式の局所関係式yi^でも実現すべく、今回新たに考案した更新式である。式(1)は、右辺第2項の括弧内で算出される局所関係式の誤差に更新行列Ki(T)を乗じて得られるベクトルを修正量として、更新前の係数Wi(T−1)に加算することで更新後の係数を算出する。ここで、式(2)によれば、操業データu_(T)に対して、活性度関数の寄与率がΦi(u_(T))≒0であるような局所領域iの場合、Ki(T)≒0となることが分かる。従って、局所領域の寄与率がΦi(u_(T))≒0である場合には局所関係式の誤差が大きいときでも、前記修正量は殆ど零となり、係数Wi(T)は殆ど更新されない。すなわち、操業データに対して、殆ど寄与率を有しない局所関係式は、更新されないことを意味している。
なお、式(2)における局所領域iの適応ゲイン行列Pi(T−1)は、次回のWi(T+1)の更新に備えて、次の式(10)で更新される。
Figure 0005195331
ここで、Iは単位行列であり、またΛiは局所関係式yi^のp+1個の係数それぞれに対応した忘却係数λk(k=0、1、・・・、p)の逆数を対角成分とする式(11)の行列である。
Figure 0005195331
忘却係数とは、係数を更新する際の修正量を算出するに際して、最新の操業及び品質データによる修正を、どの程度まで修正量に反映させるかを設定するための係数で、次の式(12)で算出される。
Figure 0005195331
忘却係数λは0〜1の範囲を取り、λが小さいほど忘却効果が大きく、式(1)の更新行列Ki(T)が大きく評価される。逆にλ=1の場合、忘却効果は零であって、予測誤差の大きさに係わらず係数の更新は行われない。式(12)によれば、右辺の根号内の第2項を見ると、局所線形式の誤差が大きい場合にλ→0となり忘却効果が大きくなるが、操業データに対して活性度関数Φi(u_(T))≒0となるような局所領域の場合には、第2項は殆ど零となり、忘却効果は作用しないことが分かる。すなわち、操業データに対して、殆ど寄与率を有しない局所領域の関係式yi^に対しては、忘却効果が作用しないことを意味している。なお、式(12)における係数gkは、操業変数毎に忘却効果を個別に設定するための調整係数であり、各操業変数に対する物理的な知識から経験的に設定しても良く、或いは実操業を行いながら、品質予測精度が改善するように調整しても良い。
なお、局所関係式に式(9)の線形多項式以外の関数を用いた場合は、採用した局所関係式の関数に対応した更新式を用いて、上記と同様の手順で演算を行い、係数の更新を行えば良い。
以上、本発明で新たに考案した局所関係式yi^の更新式によって、操業変数と品質変数の関係が変化した場合、該局所関係式yi^の係数が迅速に更新されることから、予測精度が改善されるまでに要する時間を、大幅に短縮することが可能となった。
次に、図8に示す処理フロー図を用いて、本実施形態の品質予測装置100を用いて行う品質予測方法の各工程を説明する。
図8のステップS101は、操業データ入力工程であって、操業データ入力部101を用いて、製造プロセスから操業データを入力する工程である。
図8のステップS102は、活性度関数記憶工程であって、活性度関数記憶部102を用いて、分割座標情報に基づき活性度関数Φiの係数を算出し、メモリや記憶装置に格納する処理を行う。活性度関数Φiに正規メンバシップ関数を用いる場合は、重心点には局所領域の重心点を設定し、また式(8)に基づいて、正規分布関数の標準偏差を算出する。前記操業データが入力された時点で、活性度関数Φiの係数をメモリや記憶装置から抽出して、次の工程に送る処理を行う。
図8のステップS103は、寄与率演算工程であって、寄与率演算部103を用いて、操業データの値を式(6)〜式(8)の活性度関数Φiの式に設定し、各局所領域の寄与率を計算する処理を行う。
図8のステップS104は、局所関係式演算工程であって、局所関係式演算部104を用いて、局所関係式yi^の係数の値をメモリや記憶装置に格納しておき、前記操業データが入力された時点で係数を抽出して、局所関係式yi^の演算処理を行う。
図8のステップS105は、品質予測値算出工程であって、品質予測値算出部105を用いて、式(4)の操業変数と品質変数の関係式に基づく品質予測値を算出する処理を行う。
図8のステップS106は、品質予測値出力工程であって、品質予測値出力部106を用いて、該予測値をガイダンス情報として操業オペレータや検査員への表示画面等に出力する処理や、品質制御に利用するために製造プロセスの制御系への信号として伝送する処理を行う。
図8のステップS107は、品質データ入力工程であって、品質データ入力部107を用いて、製品の品質が測定された時点で、その品質データを製造プロセスから抽出して入力する処理を行う。
図8のステップS108は、局所関係式更新工程であって、局所関係式更新部108を用いて、前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を局所領域ごとに算出し、この予測誤差及び該操業データに対する各局所領域の寄与率に基づいて、局所関係式yi^の係数の値を更新する処理を行う。
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、局所関係式yi^の係数の初期値、及び分割パターンを算出する手順について述べる。図5は、局所関係式yi^の係数の初期値、及び分割パターンを算出するための構成を示す図である。
図5の400はデータベースであり、該製造プロセスにおける過去の操業及び品質データをセットとしたものを、製品の種類を示すコード情報や、各製造工程での製造時刻、向け先等の注文情報、製品を特定するための製品番号等と共に格納したものである。
図5の301はデータ抽出手段として機能するデータ抽出部であり、製品の種類を示すコード情報等外部より入力された品質予測を行う対象に関する選択条件に基づいて、データベース400より、所定の選択条件に該当する複数の操業データ及び品質データを抽出する。
図5の302は分割パターン候補作成手段として機能する分割パターン候補作成部であり、前記抽出された操業データに対応するp個の操業変数からなる操業変数空間を分割した複数p通りの分割パターン候補を作成する。図6に、二次元の操業変数空間(p=2)を例として、分割パターン候補を作成する手順を模式的に示す。まず全く分割されていない操業変数空間に対して、2つの局所領域(M=2)に分割する場合を説明する。分割は、各操業変数に平行な軸で、かつ領域を2等分するように分割点が設定されることから、p=2通りの分割パターン候補が作成される。
また、操業変数空間が既に幾つかの局所領域に分割されている場合は、活性度関数Φiによる重み付き誤差評価関数である後述する式(17)で各局所関係式yi^の誤差を算出し、この中で最も誤差の大きな局所領域を2つに分割する。図6には、既に3分割された操業変数空間をM=4に分割する手順を示すが、最も誤差の大きい領域が領域3−2である場合を例にとると、この領域3−2に対し、u1とu2それぞれの操業変数に平行な軸で、領域を2等分するように分割点が設定されることから、この場合もp=2通りの分割パターン候補が作成される。
以降の活性度関数算出部303から関係式算出部305までの処理は、ここで作成された分割パターン候補の全てに対して行われる。
図5の303は活性度関数算出手段として機能する活性度関数算出部であり、分割パターン候補作成部302で求めた分割パターンに対して、その分割座標情報に基づき活性度関数Φiを算出する。この活性度関数Φiは、図1の活性度関数設定部102と同一の関数式を用いる必要があり、本実施形態では、式(6)及び式(7)で定義される正規メンバシップ関数を用いる。
図5の304は局所関係式算出手段として機能する局所関係式算出部であり、局所領域で仮定された関数形に基づいて、局所関係式yi^の係数を計算する。局所関係式yi^が式(9)の線形多項式である場合、係数は、以下のように算出される。データ抽出部301より、N個のデータが抽出された場合、操業データはp行N列の行列データ、品質データはN次元のベクトルデータとなり、各局所関係式yi^は、式(13)の行列表現で表される。
Figure 0005195331
活性度関数Φiを考慮して係数wijを求めるには、活性度関数Φiによる重み付き誤差評価関数、式(17)が最小となるように係数を決定すれば良い。
Figure 0005195331
式(17)を最小とする係数は、式(18)を満たす係数に等しく、具体的には、式(19)の行列演算にて算出する。
Figure 0005195331
以上の行列演算を行うことで、線形多項式による局所関係式yi^の係数wijを算出することができる。
図5の305は関係式算出手段として機能する関係式算出部であり、分割パターン候補それぞれについて、各局所領域の局所関係式yi^と活性度関数Φiの積を、全ての該局所領域に関して加算して関係式yを算出して、該操業変数空間全体における操業変数と品質変数の関連を表す関係式yを導出する。すなわち、活性度関数算出部303で算出された活性度関数Φiと、局所関係式算出部304で求められた局所関係式yi^を用いて、式(4)の線形結合式を作成し、品質変数と操業変数の関係式を作成する。
図5の306は最小誤差関係式選択手段として機能する最小誤差関係式選択部であり、分割パターン候補それぞれに対して導出された関係式yに、前記抽出された操業データを入力して品質予測値を算出し、該品質予測値と該抽出された品質データとの差の二乗総和である予測誤差を算出し、該予測誤差の値が最も小さい分割パターン候補を選択する。すなわち、分割パターン候補作成部302で作成された複数の分割パターン候補全てに対して、活性度関数算出部303から関係式算出部305までの処理が行われ、品質変数と操業変数の関係式が作成されていることから、これらの関係式の中で、式(21)で定義される誤差が、最も少ない関係式を選択する処理を行う。
Figure 0005195331
図5の307は学習誤差評価手段として機能する学習誤差評価部であり、最も小さい予測誤差の値を、所定の誤差判定方法で予め設定した誤差判定指標(評価基準値)と比較して、収束が十分であるか不十分であるかを判定する。すなわち、最小誤差関係式選択部306で求めた誤差最小の関係式の誤差と、予め設定した評価基準値とを比較して、該誤差が該評価基準値以下であれば、十分な精度でデータを説明できる関係式が構築されたと判定する。収束判定の方法としては、例えば、関係式の誤差を収束判定因子と比較する方法、局所領域分割の増分に対する関係式誤差の変化量を収束判定因子と比較する方法、分割数と誤差を考慮した指標、例えば非特許文献2の43ページに記載された赤池の情報量指標等学習誤差のみならず局所領域の個数も評価に加えた指標を用い、分割の増加に対して該指標が増加した時点で分割を打ち切る方法等が用いられる。いずれの方法においても、収束が不十分と評価された場合には、分割数Mを1増やして、分割パターン候補作成部302以降の一連の処理を反復実行する。
図7に、二次元の操業変数空間を例として、分割数Mを増やしながら分割パターンを作成する手順を模式的に示す。初期分割に対して、2つの分割パターン候補を作成して、変数u1に平行な軸での分割パターンが誤差が小さい場合を例にとると、このu1に平行な軸での分割パターンを選択する。次に、各局所領域の誤差を評価して、最も誤差の大きい局所領域2−1を選択する。この局所領域2−1を分割した2つの分割パターン候補を作成し、この中で誤差の少ないu2に平行な軸での分割パターンが選択される。以下同様に、局所領域の誤差評価と分割パターン候補の作成、選択を繰り返す。
学習誤差評価部307で収束したと判定された場合は、操業変数と品質変数の関係式の分割パターンの分割座標情報、及び局所関係式の係数を抽出する処理を行う。このようにして得られた該分割パターンの座標情報及び該局所関係式の係数は、過去の操業データ及び品質データに基づいて、操業変数と品質変数の関連を所定の誤差内で近似するよう算出されたものであることから、第1の実施形態における分割パターンの分割座標情報、及び局所関係式yi^の係数の初期値に用いて、良好な予測精度を実現するものである。
なお、分割パターンの分割座標情報、及び前記局所関係式yi^の係数の初期値は、第2の実施形態以外に、例えば製造プロセスに関する経験に基づいて適切な初期値を設定しても良く、或いは数理最適化手法の研究分野で提案された非線形最適化手法を応用して設定しても良い。
本発明の製造プロセスにおける品質予測装置、予測方法はコンピュータにより実現可能である。図9に、本発明の製品材質値の予測装置として機能し得るコンピュータシステム1200の構成例を示す。コンピュータシステム1200は、CPU1201と、ROM1202と、RAM1203と、キーボード(KB)1209のキーボードコントローラ(KBC)1205と、表示部としてのCRTディスプレイ(CRT)1210のCRTコントローラ(CRTC)1206と、ハードディスク(HD)1211及びフレキシブルディスク(FD)1212のディスクコントローラ(DKC)1207と、LAN1220との接続のためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)1208とが、システムバス1204を介して互いに通信可能に接続された構成としている。
CPU1201は、ROM1202或いはHD1211に記憶されたソフトウェア、或いはFD1212より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス1204に接続された各構成部を総括的に制御する。すなわち、CPU1201は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM1202、或いはHD1211、或いはFD1212から読み出して実行することで、前記本実施形態での動作を実現するための制御を行う。
RAM1203は、CPU1201の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。KBC1205は、KB1209や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。CRTC1206は、CRT1210の表示を制御する。DKC1207は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び本実施形態における所定の処理プログラム等を記憶するHD1211及びFD1212とのアクセスを制御する。NIC1208は、LAN1220上の装置或いはシステムと双方向にデータをやりとりする。
前記コンピュータに対し、本発明の実施形態である品質予測装置の手段、及び品質予測装置の各工程の機能を実現するための処理を記載したソフトウェアのプログラムを供給して、コンピュータに格納された該プログラムに従って各種デバイスを動作させることによって実施したものは、本発明の範疇に含まれる。
また、この場合、前記ソフトウェアのプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体が、本発明の範疇に含まれる。なお、該プログラムコードの伝送媒体として、プログラムを電気信号として伝播させて供給するコンピュータネットワークシステム等の通信媒体を用いることもできる。
更に、前記プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した記憶媒体も本発明の範疇に含まれる。かかるプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
以上に述べた本実施形態による、製造プロセスにおける品質予測装置、予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、操業変数と品質変数との間に非線形な特性がある製造プロセスの品質予測を行う関係式を作成するに際して、多変量の操業変数からなる操業変数空間を複数の局所領域に分割して、各局所領域における操業変数と品質変数との関連性を人間が理解可能な数式で表現し、該数式と局所領域の活性度関数の積の和で全体の関係式を算出することで、非線形な特性を有する製造プロセスの品質を高い精度で予測し、更に関係式の内容を人間が理解し易い形式で構築することができる。更に製品の品質が測定された時点で、品質の実績値と関係式による品質予測値に基づき局所関係式の係数を更新することによって、設備の経時変化等に起因して、操業変数と品質変数の関係が変化した場合においても、関係式を自動的に更新して高い予測精度を維持することが可能となる。
(第1の実施例)
以下に、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスを対象として、粗圧延出側における被圧延材の板幅と捲取機入側における被圧延材の板幅の変化量を品質とし、操業変数には、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度を用いて品質予測を行った実施例を述べる。
図10は、薄鋼板の熱間圧延プロセスの概略を示す図である。スラブと呼ばれる被圧延材の母材は、加熱炉から抽出された後に、粗圧延にて厚み40〜50mmのバー状に圧延される。粗圧延機の出側には、板幅計が設置されており、この時点での被圧延材の板幅を測定している。次いで被圧延材は、直列に配置された仕上げ圧延機にて連続的に圧延され、その後捲取機にてコイル状に巻き取られる。ここで、捲取機の直前には、捲取板幅計が設置されており、被圧延材が所定の幅の範囲内に入っているかを判定する処理が行われている。捲き取り板幅が所定の範囲にない場合、当該コイルは他の向け先に降格振替、若しくは全量が屑化処理されて大きな損失が発生するため、熱間圧延プロセスにおいては、粗圧延出側と捲き取り入側間の板幅の変動量を品質予測モデルで推定し、この予測結果を粗圧延の目標幅設定値に反映する制御系を用いることで、板幅不良の発生率を低減させている。
従来は、この板幅の変動量を予測するために、目標板幅、目標板厚、鋼材の等価炭素量を操業変数とした線形重回帰モデルによる板幅変動量予測モデルを作成し、逐次最小二乗法による係数の更新で精度維持を図りつつ予測を行っていた。この従来法に代わり、本発明による板幅変動量予測モデルを適用した。操業変数には、従来の線形重回帰モデルでの変数に加え、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度を追加してモデルを作成している。図11に、従来方式による板幅の変動量予測の精度と本発明による予測精度を比較するために、予測誤差(=予測値−実績値)の度数分布を示す。予測誤差のバラツキを示す標準偏差は、1.82から1.25に低減し、本発明による予測精度の改善を確認することができた。
前記結果を踏まえて、本発明による幅変動予測モデルを継続して運用した結果、板幅不合の発生率が低減し、更に歩留まり向上、製品手入れの省力化、納期遅れの回避等の効果を得ることができた。
(第2の実施例)
次に、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスを対象として、捲き取りにおける鋼板温度を品質(熱延ランアウトテーブル出側での捲き取り温度)とし、操業変数には、被圧延材が精錬工程を終了した時点での溶鋼内のC量、Si量、Mn量、P量、S量、Cu量、Ni量、Cr量、Mo量、Nb量、V量、Ti量、B量、Al量、N量、O量、Ca量、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度、圧延速度、冷却水水量密度、冷却水温を用いて品質予測を行った実施例を述べる。
図10における捲取機の位置には、放射温度計による非接触式の温度計が設置されており、薄鋼板の機械特性値等の材質特性に影響を及ぼす重要な管理指標である捲き取り時の鋼板温度を測温している。鋼板温度を所定の範囲に制御するため、仕上圧延機出側から捲き取りに至るまでのランアウトテーブル上には、鋼板に水を散布することによる冷却設備が具備されている。熱間圧延プロセスにおいては、鋼板の成分やサイズ、仕上げ圧延出側や捲き取り等各段階での目標温度、冷却水量密度を入力として、鋼板捲き取り温度を推定する予測モデルを作成し、この予測モデルを用いて捲き取り温度が所定の範囲となる冷却水量密度を算出し、水量密度の設定値を変更する操業が行われる。
従来は、ランアウトテーブル上で鋼板に水を散布した場合の冷却現象を、伝熱方程式に基づく物理モデルで推定を行っていた。この物理モデルに代わり、本発明を適用し、捲き取り温度推定モデルを作成して、実ラインで実施した。その結果、捲き取り温度の予測誤差の標準偏差が改善する効果が得られ、このモデルを継続して運用した結果、捲き取り温度不合の発生率が低減し、更に機械特性値のバラツキ低減による品質改善、歩留まり向上等の効果を得ることができた。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態では、いずれもコンピュータ上のプログラムとして品質予測装置を実現したが、演算装置、メモリ等を組み合わせたハードウェアによって構成されるものであっても良い。また、本発明の品質予測装置は、複数の機器から構成されるものであっても、一つの機器から構成されるものであっても良い。
本実施形態の製造プロセスにおける品質予測装置の構成を示すブロック図である。 二次元の操業変数空間を3つの局所領域に分割した分割パターン例を説明する図である。 一次元の操業変数空間を2つに分割する場合、分割パラメータα値を変更した場合の活性度関数の差異を説明する図である。 二次元の操業因子空間を3つの領域に分割した活性度関数の例を説明する図である。 第2の実施形態の製造プロセスにおける品質予測装置において、局所関係式の係数の初期値、及び分割パターンを算出する場合の構成を示す図である。 二次元の操業変数空間で分割パターンの候補を作成する手順の模式図であり、(a)が操業変数空間が全く分割されていない場合(M=2に分割する場合)を示す図、(b)が操業変数空間が既に3つに分割されている場合(M=4に分割する場合)を示す図である。 二次元操業因子空間を例として、分割パターンの作成処理を模式的に説明する図である。 実施形態の製造プロセスにおける品質予測方法の処理フローを示す図である。 実施形態の製造プロセスにおける品質予測装置として機能し得るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。 薄鋼板の熱間圧延プロセスの概略を示す図である。 本発明の実施例である板幅の変動量予測モデルの精度を従来方式との比較で示す図であり、(a)が従来の幅変動予測モデルによる予測精度を示す図、(b)が本発明による予測精度を示す図である。
符号の説明
100:製造プロセスにおける品質予測装置
101:操業データ入力部
102:活性度関数記憶部
103:寄与率演算部
104:局所関係式演算部
105:品質予測値算出部
106:品質予測値出力部
107:品質データ入力部
108:局所関係式更新部
200:製造プロセス
301:データ抽出部
302:分割パターン候補作成部
303:活性度関数算出部
304:局所関係式算出部
305:関係式算出部
306:最小誤差関係式選択部
307:学習誤差評価部
400:データベース

Claims (9)

  1. 製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを前記関係式yに入力して品質予測値を算出する製造プロセスにおける品質予測装置であって、
    予測対象製品の所定の複数pの操業データを前記製造プロセスから取り出して入力する操業データ入力手段と、
    前記操業変数空間を複数M個に分けた前記各局所領域iにおける分割座標情報からなる分割パターンより、該各局所領域iにおける操業変数と品質変数との関係を表す所定の第1の関数形の局所関係式yiの、操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す、所定の第2の関数形の活性度関数Φiの係数を算出して記憶する活性度関数記憶手段と、
    前記操業データと前記各局所領域iにおける前記活性度関数Φiに基づいて、該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率を算出する寄与率演算手段と、
    前記各局所領域iにおける局所関係式yiの係数の初期値を算出して格納し、前記操業データと該局所関係式yiの係数に基づいて、該局所関係式yiの演算を行う局所関係式演算手段と、
    前記局所関係式yiの演算結果と前記操業データに対する品質予測値への各局所領域iの寄与率との積の、全ての前記局所領域iに関する総和を算出して品質予測値とする品質予測値算出手段と、
    前記品質予測値を外部に出力する品質予測値出力手段と、
    製品の品質が測定された時点で、その品質データを前記製造プロセスから取り出して入力する品質データ入力手段と、
    前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を前記各局所領域iごとに算出し、該予測誤差及び該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率に基づいて、前記局所関係式yiの係数の値を更新する局所関係式更新手段とを有し、
    前記局所関係式y i が、前記複数の操業変数の全て又は少なくとも一つ以上を独立変数とする線形多項式であり、
    前記局所関係式更新手段は、前記局所領域iにおける更新前の前記線形多項式の係数をW i (T−1)、前記操業データからなるベクトルをu(T)として下式(1)を用いて係数を算出することを特徴とする製造プロセスにおける品質予測装置。
    Figure 0005195331
  2. 前記活性度関数Φiが、前記局所領域iの重心に中心を持つ正規分布関数で構成される正規メンバシップ関数であることを特徴とする請求項1に記載の製造プロセスにおける品質予測装置。
  3. 前記局所関係式yiの係数の初期値、及び前記分割パターンは、複数の製品の前記操業データ、及び前記品質データを格納したデータベースより、
    (a)所定の選択条件に該当する前記操業データ及び前記品質データを抽出するデータ抽出手段と、
    (b)前記操業変数空間を、複数M個の局所領域iに分ける分割パターン候補を、複数p通り作成する分割パターン候補作成手段と、
    (c)前記分割パターン候補それぞれの分割座標情報に基づき、前記各局所領域iにおける活性度関数Φiの係数を算出する活性度関数算出手段と、
    (d)前記分割パターン候補それぞれについて、前記各局所領域iにおける前記操業データと前記品質データに基づき、前記局所関係式yiの係数を算出する局所関係式算出手段と、
    (e)前記分割パターン候補それぞれについて、前記各局所領域の局所関係式yiと活性度関数Φiの積を、全ての該局所領域に関して加算して前記関係式yを算出して、該操業変数空間全体における操業変数と品質変数の関連を表す関係式yを導出する関係式算出手段と、
    (f)前記分割パターン候補それぞれに対して導出された前記関係式yに、前記抽出された操業データを入力して品質予測値を算出し、該品質予測値と該抽出された品質データとの差の二乗総和である予測誤差を算出し、該予測誤差の値が最も小さい分割パターン候補を選択する最小誤差関係式選択手段と、
    (g)前記最も小さい予測誤差の値を、所定の誤差判定方法で予め設定した誤差判定指標と比較して、収束が十分であるか不十分であるかを判定する学習誤差評価手段とを具備し、
    前記収束が不十分なときには、前記最小誤差関係式選択手段で選択された分割パターン候補を基にして、前記複数Mを1増やして、前記(b)〜(g)の手段による一連の処理を繰り返すことによって算出された局所関係式yiの係数の初期値、及び分割パターンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造プロセスにおける品質予測装置。
  4. 前記製造プロセスは、鉄鋼プロセスであって、前記品質変数は、製品の表面疵、機械強度特性値、形状の平坦度、製品サイズ、内部応力、又はこれら品質に影響を及ぼすプロセス値であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の製造プロセスにおける品質予測装置。
  5. 前記製造プロセスは、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスであって、前記品質は、粗圧延出側の板幅と捲き取り入側における被圧延材の板幅の変化量であり、前記製造プロセスの操業変数は、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度から少なくとも一つ以上選択することを特徴とする請求項に記載の製造プロセスにおける品質予測装置。
  6. 前記製造プロセスは、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスであって、前記品質は、熱延ランアウトテーブル出側での捲き取り温度であり、前記製造プロセスの操業変数は、被圧延材が精錬工程を終了した時点での溶鋼内のC量、Si量、Mn量、P量、S量、Cu量、Ni量、Cr量、Mo量、Nb量、V量、Ti量、B量、Al量、N量、O量、Ca量、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上げ圧延出側目標温度、捲き取り目標温度、圧延速度、冷却水水量密度、冷却水温から少なくとも一つ以上選択することを特徴とする請求項に記載の製造プロセスにおける品質予測装置。
  7. 製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを前記関係式yに入力して品質予測値を算出する製造プロセスにおける品質予測方法であって、
    予測対象製品の所定の複数pの操業データを前記製造プロセスから取り出して入力する操業データ入力手段を用いて操業データを入力する工程と、
    前記操業変数空間を複数M個に分けた前記各局所領域iにおける分割座標情報からなる分割パターンより、該各局所領域iにおける操業変数と品質変数との関係を表す所定の第1の関数形の局所関係式yiの、操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す、所定の第2の関数形の活性度関数Φiの係数を算出して記憶する活性度関数記憶手段を用いて活性度関数を記憶する工程と、
    前記操業データと前記各局所領域iにおける前記活性度関数Φiに基づいて、該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率を算出する寄与率演算手段を用いて寄与率を算出する工程と、
    前記各局所領域iにおける局所関係式yiの係数の初期値を算出して格納し、前記操業データと該局所関係式yiの係数に基づいて、該局所関係式yiの演算を行う局所関係式演算手段を用いて局所関係式の演算を行う工程と、
    前記局所関係式yiの演算結果と前記操業データに対する品質予測値への各局所領域iの寄与率との積の、全ての前記局所領域iに関する総和を算出して品質予測値とする品質予測値算出手段を用いて品質予測値を算出する工程と、
    前記品質予測値を外部に出力する品質予測値出力手段を用いて品質予測値を出力する工程と、
    製品の品質が測定された時点で、その品質データを前記製造プロセスから取り出して入力する品質データ入力手段を用いて品質データを入力する工程と、
    前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を前記各局所領域iごとに算出し、該予測誤差及び該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率に基づいて、前記局所関係式yiの係数の値を更新する局所関係式更新手段を用いて局所関係式を更新する工程とを有し、
    前記局所関係式y i が、前記複数の操業変数の全て又は少なくとも一つ以上を独立変数とする線形多項式であり、
    前記局所関係式を更新する工程では、前記局所領域iにおける更新前の前記線形多項式の係数をW i (T−1)、前記操業データからなるベクトルをu(T)として下式(1)を用いて係数を算出することを特徴とする製造プロセスにおける品質予測方法。
    Figure 0005195331
  8. 製造プロセスにおける操業変数と品質変数との関係を表す関係式yを、該操業変数を基底ベクトルとする操業変数空間を分割した各局所領域iにおける該操業変数と該品質変数との関係を表す局所関係式yiと、該局所関係式yiの操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す活性度関数Φiとの積の、全ての該局所領域iに関する総和で表し、操業変数の実績値である操業データを前記関係式yに入力して品質予測値を算出するためのプログラムであって、
    予測対象製品の所定の複数pの操業データを前記製造プロセスから取り出して入力する操業データ入力処理と、
    前記操業変数空間を複数M個に分けた前記各局所領域iにおける分割座標情報からなる分割パターンより、該各局所領域iにおける操業変数と品質変数との関係を表す所定の第1の関数形の局所関係式yiの、操業変数空間全体上の各点における関係式yへの寄与率を表す、所定の第2の関数形の活性度関数Φiの係数を算出して記憶する活性度関数記憶処理と、
    前記操業データと前記各局所領域iにおける前記活性度関数Φiに基づいて、該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率を算出する寄与率演算処理と、
    前記各局所領域iにおける局所関係式yiの係数の初期値を算出して格納し、前記操業データと該局所関係式yiの係数に基づいて、該局所関係式yiの演算を行う局所関係式演算処理と、
    前記局所関係式yiの演算結果と前記操業データに対する品質予測値への各局所領域iの寄与率との積の、全ての前記局所領域iに関する総和を算出して品質予測値とする品質予測値算出処理と、
    前記品質予測値を外部に出力する品質予測値出力処理と、
    製品の品質が測定された時点で、その品質データを前記製造プロセスから取り出して入力する品質データ入力処理と、
    前記品質データと前記品質予測値の差である予測誤差を前記各局所領域iごとに算出し、該予測誤差及び該操業データに対する品質予測値への該各局所領域iの寄与率に基づいて、前記局所関係式yiの係数の値を更新する局所関係式更新処理とをコンピュータに実行させ
    前記局所関係式y i が、前記複数の操業変数の全て又は少なくとも一つ以上を独立変数とする線形多項式であり、
    前記局所関係式更新処理では、前記局所領域iにおける更新前の前記線形多項式の係数をW i (T−1)、前記操業データからなるベクトルをu(T)として下式(1)を用いて係数を算出することを特徴とするプログラム。
    Figure 0005195331
  9. 請求項に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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