JP7449776B2 - 熱間圧延ライン制御システムおよび熱間圧延ライン制御方法 - Google Patents

熱間圧延ライン制御システムおよび熱間圧延ライン制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、材質予測機能を有する熱間圧延ライン制御システムおよび熱間圧延ライン制御方法に関する。
熱間圧延ラインでは厚い鋼スラブを1200℃前後に加熱してから圧延することで、比較的低い圧延荷重で薄い鋼板を製造できる。一方、高温での圧延過程および圧延後の冷却過程で金属組織が変化するため、圧延鋼板の材質は原料成分のみならず圧延および冷却条件によっても変化する。原料成分と圧延条件および冷却条件に基づいて圧延鋼板の材質を予測する数学モデルを構築することも可能であり、そのような数学モデルは、例えば、非特許文献1に開示されている。このため、熱間圧延ライン制御システムの中には、圧延後の鋼板の材質を予測または推定する機能を有するシステムがある。
熱間圧延では多様な規格及び寸法の鋼板を製造するため、一つの熱間圧延ラインで製造される鋼板の種類は数十種から数百種になる。材質予測機能を有する熱間圧延ラインの制御システムは、これら数十種から数百種の鋼板に対して、原料成分と圧延条件および冷却条件に基づいて材質を予測する必要がある。
原料成分と圧延条件および冷却条件による多鋼種の材質を精度良く予測する技術として、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1によれば、過去に製造された製品毎に、素材成分実績、操業実績及び材質実績を蓄積する材質記憶手段と、入力される素材成分情報及び操業情報を用いて、材質に与える影響の大きい入力変数をルールに従って限定する入力変数限定手段と、該限定した入力変数を用いて距離関数を定義し、この距離関数を用いて前記材質記憶手段内の各データと入力値との距離を計算し、計算した距離に基づいて入力値に近いデータを抽出し、該抽出されたデータから材質の推定値を計算し、出力する、という。特許文献1によれば、この技術により、材質推定モデル作成における熟練や労力を削減し、モデルの構造と対象の構造の乖離により生じる推定誤差の発生を防止し、入力空間の全ての領域での推定精度を向上できるという。
原料成分と圧延条件および冷却条件による多鋼種の材質を精度良く予測する別の技術として、特許文献2に開示された技術がある。特許文献2によれば、圧延される鋼種を含まれる成分その他の情報により区分した鋼種コードを用いて、鋼種コード毎に学習項格納テーブルを作成する。学習項格納テーブルは、材質に関わる因子x,xなどが取り得る範囲において適宜数十区分に分割されたものである。特許文献2によれば、このようなテーブルの区分方法および構造を用いることで長期学習の学習速度と学習の安定性を改善することができ、さらに学習値の付近一世の欠点を解消し、安定した操業の実現と高品質の製品の製造を実現できる、という。
特開2002―236119号公報 特開2003-340508号公報
Y. Tomota et al., ISIJ Int. 32, pp. 343-349 (1992)
特許文献1に開示された従来技術には、次のような技術的な課題があると考えられる。第1に、鋼板上の一点の材質を予測する度に、その点の素材成分実績と操業実績を参照して、材質記憶手段に記憶された情報から該点に近いデータを抽出する処理が必要になるため、多数の点に対する材質予測ではデータ抽出処理の計算機負荷が高くなる。
第2に、素材成分実績と操業実績が近いデータだけを集めると、集まったデータの範囲から離れたデータに対する予測の精度が低下する。近いデータを回帰に用いる極端な例は、真の関係がy=xの時に、全く同じ(0,0)のデータ1000個を集めて回帰に用いることである。この例で回帰したモデルf(x)では、f(x)=1を得ることはできない。この例で示したように、近いデータだけを集めて回帰に用いると、回帰モデルの予測精度が低下する問題が生ずる可能性がある。
特許文献2に開示された従来技術では、数十種から数百種ある鋼種コードに対して、材質に関わる因子x,xなどが取り得る範囲において適宜数十区分に分割した学習項格納テーブルを鋼種コード毎に作るとしている。材質に関わる因子は数十種類になることが多いため、学習項格納テーブルのマス目が多くなり過ぎる課題がある。
例えば、材質に関わる因子がx~x10の10種の場合、各因子が取り得る範囲を10区分に分割すると、1鋼種コードの学習項格納テーブルは1010個のマス目を持つことになる。現実に圧延ラインで得られる実績データ数では、マス目が多すぎて学習が殆ど進めない可能性がある。また、各マス目に含まれる実績データは材質に関わる因子x~x10が近いデータのみとなる。従って、前記特許文献1と同じく、材質に関わる因子が近いデータだけを集めたことにより、集まったデータの範囲から離れたデータに対する予測の精度が低下する課題が発生し得る。
以上を鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、材質予測時の計算負荷を考慮しつつ、圧延条件および冷却条件による多鋼種の材質を精度良く予測することの可能な熱間圧延ライン制御システムおよび熱間圧延ライン制御方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明の熱間圧延ライン制御システムは、圧延条件を設定する圧延条件設定部と、前記設定された設定データと圧延中のラインの操業データを収集する操業データ収集部と、前記操業データを保存する操業データ保存部と、圧延鋼板の材質を測定した材質実測データを保存する材質測定データ保存部と、前記圧延鋼板の材質を予測する材質予測部と、前記材質予測部での材質予測データを保存する材質予測データ保存部と、を有し、前記材質予測部は、前記操業データを用いて組織モデル計算処理を行い、金属組織特徴量データを作成し、前記操業データと前記材質実測データと前記金属組織特徴量データを用いて、材質予測対象の前記圧延鋼板を複数の材質グループの一つに分類する層別基準を作成すると共に、該作成された層別基準に従って前記操業データと前記材質実測データを層別して、該層別された操業データと材質実測データとを回帰して層別毎の材質モデルを作成する層別基準作成および材質モデル回帰部を有することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
本発明の層別基準および材質モデル回帰部は、操業データと材質実測データを用いて、層別基準と材質モデルを一貫学習することから、層別・材質学習部(classification-property learning part)とも称する。
本発明によれば、材質予測時の計算負荷を考慮しつつ、圧延条件および冷却条件による多鋼種の材質を精度良く予測することの可能である。
本発明の第1実施形態に係る熱間圧延ライン制御システムの概略構成の一例を示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係る材質予測部の概略構成の一例を示す構成図である。 比較例の材質予測部の概略構成の一例を示す構成図である。 比較例の材質モデル回帰部の処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部の処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部が材質測定データ保存部から読み込む材質測定データの一例を示す表である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部が操業データ保存部から読み込む操業データの一例を示す表である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部で、組織モデル計算処理から層別基準作成および材質モデル係数計算処理へ入力されるデータの一例を示す表である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別基準作成および材質モデル係数計算処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別基準教師データ作成処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別基準データ作成処理で材質予測部と接続された表示装置上に表示される画面の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別基準データ作成処理で材質予測部と接続された表示装置上に表示される別の画面の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別基準データ作成処理で材質予測部と接続された表示装置上に表示される更に別の画面の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別処理で材質予測部と接続された表示装置上に表示される画面の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部での層別毎の回帰処理で材質予測部と接続された表示装置上に表示される画面の一例を示す図である。 従来技術で発生可能な課題を本発明の技術で解決できることを示す図である。 従来技術で発生可能な別の課題を本発明の技術で解決できることを示す図である。 本発明の第2実施形態に係る材質予測部の概略構成の一例を示す構成図である。 本発明の第3実施形態に係る熱間圧延ライン制御システムの概略構成の一例を示す構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱間圧延ライン制御システム20の概略構成の例を熱間圧延ライン12とともに示した図である。熱間圧延ライン12は、熱間圧延ライン制御システム20の圧延条件設定部21の設定データに従って圧延前鋼材11を圧延して圧延鋼板13を製造する。前記設定データは操業データ収集部22で収集され、操業データ保存部23に保存される。図示は省略するが、熱間圧延ライン12には温度計、ロードセル、板厚計などの多数の計測器が装備されており、これら計測器で計測された操業データも、操業データ収集部22で収集され、操業データ保存部23に保存される。操業データ収集部22で収集された設定データおよび操業データは、材質予測部26にも送信され、材質予測に用いられる。
圧延鋼板13は、全数または一部から材質測定用の試験片が採取された後、出荷鋼板14として出荷される。採取された試験片の材質は材質測定装置30で測定され、測定結果は材質測定データ保存部24に保存される。品質判定部25は、操業データ保存部23と材質測定データ保存部24に保存されたデータを用いて、出荷鋼板14に対する品質判定データを生成し、出荷鋼板14の出荷時に品質判定情報を添付する。
材質予測部26は操業データに基づいて材質を予測する材質予測モデルを実装している。材質予測モデルは、非特許文献1に示したように、圧延前鋼材の化学組成や圧延条件、金属組織の結晶粒径などを独立変数とし、従属変数を引張強度などの材質とする関数の形である。材質予測モデルの予測精度を上げるために、材質予測部26は、材質測定データ保存部24に保存された材質測定データ(材質実測データ)と、該データに対応する操業データ保存部23に保存された操業データを用いて、前記モデルの係数を計算する。この計算は、回帰(regression)またはフィッティング(fitting)と呼ばれる。
材質予測部26は、材質測定データのない圧延鋼板の箇所の材質を予測するため、操業データ収集部22で収集された操業データ、または、操業データ保存部23に保存された操業データを用いて、材質予測モデルの独立変数を作成し、材質予測モデルの従属変数である材質予測値を計算する。計算された材質予測値は材質予測データ保存部27に保存される。材質予測データ保存部27に保存された材質予測値は、圧延条件設定部21または品質判定部25から参照することができる。
本願発明は、熱間圧延ライン制御システム20の中でも特に材質予測部26に関するものである。
図2は、本発明の第1実施形態に係る材質予測部26の概略構成の一例を示した図である。材質予測部26の層別基準作成および材質モデル回帰部260は、材質測定データ保存部24に保存された材質測定データ(材質実測データ)と、該データに対応する操業データ保存部23に保存された操業データを読み取り、層別基準を作成する。層別基準作成および材質モデル回帰部260は、また、前記材質測定データと操業データを用いて層別毎の材質モデルの係数を回帰する。層別基準は層別基準保存部261に保存され、材質モデルの係数はモデル係数保存部263に保存される。
ここで、層別(classification)とは、原料成分、または圧延条件、または冷却条件、またはこれらから計算される量、またはこれらの組合せを用いて、材質予測対象の圧延鋼板を複数の材質グループの一つに分類することである。同じ材質グループに属する圧延鋼板には同じ係数の材質予測モデルが適用される。
材質予測対象の圧延鋼板の操業データは操業データ収集部22また操業データ保存部23から入力される。図2には操業データ収集部22から材質予測対象の圧延鋼板の操業データが入力される例を示した。組織モデル計算部264は入力された操業データを用いて、圧延鋼板の金属組織特徴量を計算する。金属組織特徴量は、例えば、フェライト組織の比率、パーライト組織の比率、結晶粒径などである。組織モデル計算部264は、計算した組織特徴量と操業データの全てまたは一部を層別判定部265および材質モデル計算部267に出力する。
層別判定部265は、組織モデル計算部264からの入力データに層別基準保存部261に保存された層別基準を適用して、材質予測対象の圧延鋼板を層別判定する。モデル係数読み出し部266は層別判定の結果に対応する材質モデルの係数をモデル係数保存部263から読み出し、材質モデル計算部267に出力する。材質モデル計算部267はモデル係数保存部263からの入力データを材質モデルの係数に設定した後、組織モデル計算部264からの入力データに基づいて、材質予測対象の圧延鋼板の材質を計算する。計算された材質は材質予測データ保存部27に保存される。
比較例と本願発明の違いを説明する。
図3は、比較例の材質予測部26の概略構成の一例を示す構成図である。比較例における材質予測部26には、本願と比べて層別基準作成を行う部分がなく、層別基準は材質予測部26の製造者または使用者またはその他の関係者によって作成され層別基準保存部261に保存される。
例えば、比較例として特許文献2に記載の技術は、層別テーブルの区分および構造に対しても最適な方式を提案するとするが、その層別テーブルについては、モデル式の複数のパラメータの実績計算値が取り得る範囲において、適宜、数十区分に分割したテーブルを特許文献2の図2または図4の如く作成することを開示し、また、該テーブルのキーとして上位計算機から設定された製品寸法、鋼種とするだけである。複数のパラメータの実績計算値またはキーが取り得る範囲を複数の区分に分割する基準、即ち、層別基準については、比較例としての特許文献には何も言及されてない。
比較例の材質モデル回帰部262は、層別基準が予め決定されているため、層別基準保存部261から層別基準を読み出して、その層別基準に基づいて材質測定データ保存部24と操業データ保存部23から材質データと操業データを読み出して、層別毎の材質モデルの係数を回帰した後、回帰した材質モデルの係数をモデル係数保存部263に保存する。比較例の材質モデル回帰部262の処理は後で図4を用いて詳しく説明する。
モデル係数保存部263に保存されたモデル係数は、操業データ収集部22から入力される操業データを基に層別判定部265が行った層別判定の結果に基づいて、モデル係数読み出し部266によって読み出され、材質モデル計算部267に設定される。比較例の材質モデル計算部267は、操業データ収集部22から入力される操業データに基づいて、材質モデルを用いて材質を計算する。計算された材質は材質予測データ保存部27に保存される。
図4は、比較例の材質モデル回帰部262の処理の一例を示すフローチャートである。処理を開始すると、初めに層別基準保存部261から予め決定されていた層別判定基準を読み込み(SP1)、層別毎の回帰ループを初期化する。次に、ループ内では材質測定データ保存部24から層別nに該当する材質測定データを読み込み、また、読み込んだ材質測定データに対応する操業データを操業データ保存部23から読み込む(SP2)。
次に、読み込んだ材質測定データと操業データを用いて層別nの材質モデル係数を計算する(SP3)。次に、計算した層別nの材質モデル係数をモデル係数保存部263に保存する(SP4)。次に、層別nと層別数Ncを比較する(SP5)。層別nがNc未満の場合はnを1増加させた後、SP2に戻る(SP6)。層別nが層別数Ncと一致したら処理を終了する。
以上の比較例の処理と対比して、本発明の実施形態における層別基準作成および材質モデル回帰部260の処理を図5に示す。
図5は、本発明の第1実施形態に係る層別基準作成および材質モデル回帰部260の処理の一例を示すフローチャートである。適宜図2を参照する。層別基準作成および材質モデル回帰部260は、処理を開始すると、材質測定データ保存部24から材質測定データを読み込み、また、読み込んだ材質測定データに対応する操業データを操業データ保存部23から読み込む(S1)。データ読み込みに層別基準を用いない点で比較例と異なる。次に、読み込んだ操業データを用いて、圧延鋼板の金属組織特徴量を計算する(S2)。計算に用いる組織モデルは、前記組織モデル計算部264と共通のモデルでよい。
次に、操業データと材質測定データと計算した組織特徴量の全てまたは一部を用いて、層別基準の作成および材質モデルの係数計算を行う(S3)。処理S3の詳細は図9を用いて後で詳しく説明する。次に、層別基準を層別基準保存部261に保存し、および、層別に回帰した材質モデルの係数をモデル係数保存部263に保存する(S4)。
図6は、材質測定データ保存部24から読み込まれる材質測定データ(材質実測データ)の一例である。材質測定データの1行は、各々、圧延鋼板13から採取された1つの試験片で測定された引張強度(TS)と降伏強度(YS)と伸び(EL)と硬さ(Hv)からなる。細長い形状を取る圧延鋼板13は一般的に熱間圧延ラインの終端部でスクロール状に巻き取られるため、巻き取り後に露出される圧延鋼板の尾端部から試験延を採取して材質を測定することが一般的である。
図7は、操業データ保存部23から読み込まれる操業データの一例である。操業データには炭素濃度C、珪素濃度Si、マンガン濃度Mnのような圧延前鋼材11の化学組成データと、鋼板の厚み(Thick.)のような寸法データと、鋼板の仕上げ圧延機入り口温度(Finishing mill Entry Temperature,FET)のようなラインデータが含まれる。操業データは一般に一本の圧延鋼板でも位置によって変化するため、材質測定データの試験片と対応する位置の操業データを用いることが好ましい。
図8は、組織モデル計算処理(S2)から層別基準作成および材質モデル係数計算処理(S3)へ入力されるデータの一例である。材質測定データと操業データに、組織モデル計算処理(S2)で計算されたフェライト組織の比率(Xf)、フェライト結晶の粒徑(Df)などの金属組織特徴量を加えたデータである。
図9は、本発明の第1実施形態における層別基準作成および材質モデル係数計算処理(S3)の一例を示すフローチャートである。層別基準作成および材質モデル回帰部260は、処理S3を開始すると、処理する材質のインデックスi(材質 loop index)を1に設定した後(S30)、材質Yに対する処理ループS31~S41に入る。材質Yは、例えば、図6に示した引張強度TS、降伏強度YS、伸びEL、硬さHvの中の1種類である。処理ループの中では、初めに、組織モデル計算処理から入力された操業データおよび金属組織特徴量データを用いて、材質Yに対するNx種の説明因子X、X、…、XNxを作成する(S31)。説明因子は、例えば、熱延鋼板の材質に対する物理冶金理論の知識に基づいた次のようなものである。
=Xf×Mn
=Xf/(Df1/2
=Xp
ここでXpは金属組織特徴量の一つでパーライト(pearlite)組織の比率である。
次に、材質Yと説明因子X、X、…、XNxの間の相関係数を計算(相関計算)する(S32)。相関係数には、例えば、線形相関として一般的に使われるPearson相関、または、非線形相関の評価に使われる最大情報係数(Maximal Information Coefficient、MIC、D.N. Reshef et al., Science 334, pp.1518-1524 (2011))などを使う。
次に、相関係数の絶対値の降順に説明因子を整列する(S33)。即ち、相関係数を求める関数corrに対して、

|corr(Y,X)|≧|corr(Y,X)|≧…≧|corr(Y,XNx)|

となるように説明因子を降順に整列する。これにより、後述するS35~S41のループでは材質Yとの相関係数の絶対値が最も大きい説明因子から順に処理される。
次に、説明因子に対するループのインデックスn(説明因子 loop index)を1にする(S34)。nは説明因子に対する処理S35~S41が1回終わる度に増加され(S41)、最大Nxまで増加する。
次に、説明因子Xに対する材質Yの分布を用いて、材質Yに対する層別基準の教師データを作成する(S35)。層別基準の教師データは、入力データ1行の説明因子のセット(X1,m、X2,m、…、XNx,m)を層別C、C、CNcの一つとだけ対応させたデータである。ここで、mはN個の入力データ行の中の1行を表すインデックスである。S35については後で図10を用いて詳しく説明する。
次に、S35で作成した層別基準教師データを用いて、層別基準を作成する(S36)。説明因子と層別を対応させた教師データを用いるため、S36では機械学習で「分類問題」と定義され、サポートベクトル分類(Support Vector Classification)、k近傍分類(k-Neighbor Classification)などの方法を適用することができる。説明因子と層別を対応させた教師データがない場合の層別は、機械学習で「クラスタリング(clustering)」問題と呼ばれ、k平均法(k-means)、DBSCAN法(Density-Based Spatial Clustering of Application with Noise)などの方法を適用できる。
しかし、発明者らの研究の結果、熱間圧延鋼板の材質モデルに対する層別においては、層別基準教師データを作成して分類問題の方法を用いる本発明の技術が、教師データを作成せずクラスタリング方法を適用する技術に比べて、圧延条件および冷却条件による多鋼種の材質を高い精度で予測できた。比較の結果は、後で例を持って示す。
次に、S36で作成した層別基準を用いて、入力データを層別して(S37)、層別毎に材質Yに対する材質モデルの係数を計算する(S38)。材質モデルの係数計算には、前記のとおり、同業他社で周知の回帰(regression)の方法を用いることができる。
次に、nと説明因子の数Nxを比較する(S39)。n<Nxの場合には(S39,Yes)、説明因子に対するループで未処理の説明因子があることを意味し、追加層別の可能性があるため、層別毎の判定処理(S40)に移る。一方、nがNxに達した場合には(S39,No)、全ての説明因子を処理したことになるため、説明因子に対するループを終了して、材質ループ終了の判定処理(S42)に移行する。
層別毎の判定処理(S40)では、層別毎に、S38で回帰した材質モデルの精度と、含まれるデータ数を基準に、S35~S39の処理を再度実施するかを判定する。材質モデルの精度が目標精度に達してなく、更に、含まれるデータ数が敷居値より多い層別に対しては(S40,No)、説明因子のindexを1増加させた後、S35処理に戻る(S41)。これにより材質Yとの相関係数の絶対値が、只今処理された説明因子の次に大きい説明因子に対して、S35~S39の処理が行われることになる。一方、材質モデルの精度が目標精度に達した層別や含まれるデータ数が敷居値より少ない層別に対しては(S40,Yes)、材質Yに対する処理ループを終了する。
最後に、材質ループの材質インデックスiと予測対象材質の数Npを比較する(S42)。iがNpと一致しない場合には(S42,No)、材質インデックスiをi+1に更新した後、S31に戻る(S43)。一方、iとNpが一致した場合には(S42,Yes)、全ての材質に対する処理が終わったため、層別基準作成および材質モデル係数計算処理(S3)を終了する。
図10は、本発明の一実施例における層別基準教師データ作成処理(S35)の一例を示すフローチャートである。説明因子X、材質Yに対する処理S35が始まると、層別基準作成および材質モデル回帰部260は、先ず、データ(X,Y)が分布する空間を格子で分割して、格子毎のデータ密度を計算する(S351)。次に、データ密度を基準に、格子を疎格子(sparse grid、S格子)と密格子(dense grid、D格子)の2種類に分割する(S352)。次に、各D格子とその最も近隣のD格子(最近隣D格子)との間の勾配を計算する(S353)。最も近隣のD格子が複数あるD格子については、複数の勾配値を持ってもよい。
以上のS351~S353で、(X,Y)の分布空間を格子に分割して、データが多く分布するD格子を抽出し、D格子間の勾配を計算したことは、次の効果を持つ。
第1に、データ毎ではなく格子毎の処理にすることで、処理に必要な計算時間を大幅に減らして、熱間圧延ラインに設置される一般的な計算機でも短時間で処理することができる。
第2に、操業データに記録されない外乱要因によって大きくばらついたデータの悪影響を低減できる。なぜなら、大きくばらついたデータは、他のデータと傾向が異なるため、S位置する可能性が高く、D格子同士の勾配には影響しないからである。
第3に、勾配を計算したことで、素材成分実績と操業実績が近いデータだけを集める比較例の課題を解決できる。比較例では、材質に関わる因子、即ち、説明因子が近いデータだけを集めて回帰していたため、集まったデータの範囲から離れたデータに対する予測の精度が低下する可能性があった。
本発明では、この課題を解決する方法を鋭意検討した結果、説明因子そのものではなく、材質と説明因子との間の勾配が近いデータを集める本発明の方法に至った。熱間圧延鋼板の材質は、本質的には、説明因子の非線形関数であるが、実用的な成分範囲、圧延条件範囲、冷却条件範囲を複数の範囲に分割すれば、分割後の範囲内ではテイラー展開などを用いて材質を説明因子の1次関数として表すことができる。材質モデルを説明因子の1次関数に表すと、回帰で決めるべきモデル係数は各説明因子に掛け算される係数であり、この係数は材質と説明因子の勾配として求めることができる。このことは、材質と説明因子との勾配が同じデータの群れは、説明因子や材質の値そのものは互いに離れていても、同じ材質モデルで精度よく材質を計算することができることを意味する。本発明はこの検討結果に基づいて、説明因子が近いデータを集めるのではなく、材質と説明因子との勾配の値が近いデータを集める。この方法により、集めたデータの範囲から離れたデータに対する予測の精度が低下する問題を解決できる。
次に、計算した勾配の値を基準に、D格子を層別準備グループPにクラスタリングする(S354)。クラスタリングには前記のk平均法やDBSCAN法などの方法を適用できる。最も近隣のD格子が複数あり、複数の勾配値を持つD格子は複数のPグループに属してもよい。次に、1つのPグループだけに属するD格子を教師格子Tとして抽出する(S355)。次に、T格子内のデータに対して、その説明因子とPグループ名のセット(X1,m、X2,m、…、XNx,m、C)を出力する(S356)。ここで、Cは説明因子(X1,m、X2,m、…、XNx,m)のデータが属するT格子のPグループ名である。S356の出力データが処理S35によって作成される層別基準の教師データである。
図11は、本発明の第1実施形態におけるS351処理で材質予測部26と接続された表示装置上に表示される画面の一例である。(X,Y)の空間上に100種以上の鋼種の圧延鋼板のデータが分布しており、空間は格子で分割されている。なお、図11の例では四角格子を示したが、三角格子、六角格子など、他の形状の格子を使ってもよい。図11では格子毎のデータ密度が計算されており、種々の方法で表示することができる。例えば、マウスのクリックやペンまたは指でのタッチで格子を指定するとデータ密度値を表示する方法や、表示方法を切り替えるとデータ点が消えて格子毎の密度値を表示する方法、表示方法を切り替えるとデータ点が消えて格子毎の密度値を異なる色で表示する方法などがある。
図12は、S354処理で材質予測部26と接続された表示装置上に表示される画面の一例である。データ密度の高いD格子がハッチングで表示され、最も隣接したD格子間の勾配を基準に、P-1からP-3までの3つの層別準備グループにクラスタリングされた。一部のD格子は最も隣接する格子が複数のため、複数の勾配値を持ち、複数のPグループに属する。上記のとおり、画面に表示されたデータは100種以上の鋼種の圧延鋼板のデータであり、各Pグループには複数鋼種のデータが含まれる。
図13は、S355処理で表示される画面の一例である。T-1はP-1グループにのみ属するD格子の集合を、T-2はP-2グループにのみ属するD格子の集合を、T-3はP-3グループにのみ属するD格子の集合を各々表す。複数のPグループに属するD格子は、T-1、T-2、T-3の何れにも含まれない。T-1、T-2、T-3に属するD格子に含まれるデータの説明因子とPグループ名のセット(X1,m、X2,m、…、XNx,m、C)が層別基準教師データとなる。
図14は、層別処理S37で表示される画面の一例である。図13に示したT-1、T-2、T-3の教師データにサポートベクトル分類法を適用して作成した層別基準を、全データに適用して層別した結果である。図12のS格子中のデータや、複数のPグループに含まれたD格子中のデータも、Class-1~Class-3に層別される。
図15は、S38の層別毎の材質モデル係数計算、即ち、層別毎の回帰処理で表示される画面の一例である。図14の層別毎に材質Yを説明因子(X、X、…、XNx)の1次関数として回帰する。
図16は、鋼種(Steel Grade)毎の層別で発生可能な課題を本発明の層別で解決できることを示す図である。SG-1、SG-2、SG-3は図15で示した本発明のClass-3に属する3つの鋼種である。実際は鋼種とデータ点がもっと多いが、分かりやすくするため、図16には必要最小限を示した。
比較例の鋼種毎の層別では、SG-1、SG-2、SG-3が各々、1つの層別またはclassとなり、回帰も鋼種毎に行われる。ひし形点で示したSG-2の材質モデルを例に説明する。回帰時に既に保存されていて、材料モデルの係数決定に用いられたデータを白塗りのひし形点とし、材料モデルを用いて材質を予測したい圧延鋼板のデータを黒塗りのひし形点で表した。同じ鋼種に属する白塗りのひし形点は、基本的に同じ素材成分を持ち、同じ圧延条件と冷却条件で圧延された鋼板のデータであるため、その分布は丸くなりやすい。丸い分布のデータに対する回帰は、データ全体が明確な勾配を持たないため、図中の破線で示した如く、データの小さいバラツキによって、大幅に異なる回帰結果をもたらす。このような層別および回帰では、黒塗りのひし形点のように、素材成分または圧延条件または冷却条件の変化によって、圧延鋼板のデータが旧データの丸い分布の中心から離れた場合、材質予測精度が著しく低下する恐れがある。
本発明の技術は、鋼種に関わらず、説明因子と材質データとの勾配を基準に層別するため、図16に示したSG-1、SG-2、SG-3を含んだClass-3のデータは明確な勾配を持ち、回帰した材質モデルもデータの小さなバラツキに影響されることなく、黒塗りのひし形点のような鋼種データの中心から離れたデータに対しても高い精度を持つことができる。
図17は、鋼種(Steel Grade)毎の層別で発生可能な別の課題を本発明の層別で解決できることを示す図である。比較例の鋼種毎の層別では、SG-1、SG-2、SG-3が各々、1つの層別またはclassとなるため、新しい鋼種SG-4に対する材質予測精度が低下する恐れがある。例えば、操業データが近い鋼種としてSG-2またはSG-3の材質モデルをSG-4に適用することができるが、前記の如く、比較例の材質モデルは鋼種データの中心から離れたデータに対して材質予測精度が低下する可能性があるためである。
一方、本発明の技術は、鋼種に関わらず、説明因子と材質データとの勾配を基準に層別するため、新しい鋼種SG-4のデータに対してもClass-3の材質モデルを適用することで、高い材質予測精度を持つことができる。また、計算負荷を増やすことがない。
≪第2実施形態≫
図18は、本発明の第2実施形態に係る材質予測部26の概略構成の一例を示す図である。第1実施形態との違いは、処理選択部268と、材質モデル回帰部262を有する点である。処理選択部268は、入力された操業データと材質測定データを、層別基準作成および材質モデル回帰部260で処理して層別基準までを作成または更新するか、あるいは、材質モデル回帰部262で処理して層別基準の作成または更新をせず材料モデルのみ作成するかを選択する。
第2実施形態の材質予測部26の構成は、第1の構成に比べて複雑になる反面、次の利点を持つ。即ち、既に大量のデータを用いて作成された層別基準が層別基準保存部に保存されている状態で、前記データと同様の少量のデータが追加で入力された時に、層別基準作成処理を省いて、材質モデルの回帰だけを行うことで、処理の手順と時間を短くできることである。
この構成によれば、例えば、層別基準作成と材質モデル回帰の両方を含む完全な処理は1年に1回、または、予測精度が低下した場合に行い、材質モデル回帰のみの処理は毎日1回行うことができる。
≪第3実施形態≫
図19は、本発明の第3実施形態に係る熱間圧延ライン制御ローカルシステム41と熱間圧延ライン制御リモートシステム42の概略構成の例を示した図である。第1実施形態との差は、複数の熱間圧延プラントからの操業データと材質測定データを統合して材質予測に用いる点である。
AとBという二つの熱間圧延プラントを例に説明する。熱間圧延プラントAとBでは、鋼種区分の仕方が違うため、鋼種によって層別する比較例では、プラントAの操業データと材質測定データを用いて回帰した材質モデルに、プラントBの操業データを入力してプラントBで圧延さられた鋼板の材質を予測することは、不可能ではなくても困難であった。本発明の技術は鋼種に依存しない層別であるため、プラントAの圧延鋼板とプラントBの圧延鋼板を合わせて層別することができ、プラントAのデータで回帰した材質モデルをプラントBの圧延鋼板の材質予測に用いることができる。複数のプラントのデータを合わせて層別できる本発明の技術は、例えば、既に熱間圧延プラントAを有する会社が新たな熱間圧延プラントBを建てた時、または、プラントAでは既に圧延されていたがプラントBでは圧延されたことのない鋼種をプラントBで圧延する時など、材質予測精度を上げることができる。
なお、複数のプラントの操業データと材質測定データを統合して材質予測に用いるならば、図19で熱間圧延ライン制御リモートシステム42中に示された要素の一部が熱間圧延ライン制御ローカルシステム41中にあってもよい。例えば、品質判定部25が熱間圧延ライン制御ローカルシステム41にあってもよい。また、本実施例の図19では熱間圧延ライン制御リモートシステム42が熱間圧延プラントと独立して存在する例を示したが、複数のプラントの操業データと材質測定データを統合して材質予測に用いるならば、熱間圧延ライン制御リモートシステム42を明示的に設けず、複数のプラントのローカルシステム間で操業データおよび材質測定データを共有する形態でもよい。同じデータを複数のサイトに複製して利用することは、情報通信分野で双方向同期(two-way synchronization)と呼ばれる技術を用いて実現できる。
以上、本実施形態の熱間圧延ライン制御システム20は、圧延条件を設定する圧延条件設定部21と、設定された設定データと圧延中のラインの操業データを収集する操業データ収集部22と、操業データを保存する操業データ保存部23と、圧延鋼板の材質を測定した材質実測データを保存する材質測定データ保存部24と、圧延鋼板の材質を予測する材質予測部26と、材質予測部での材質予測データを保存する材質予測データ保存部27と、を有し、材質予測部は、操業データと材質実測データを用いて層別基準を作成すると共に、該作成された層別基準に従って操業データと材質実測データを層別して、該層別された操業データと材質実測データとを回帰して層別毎の材質モデルを作成する層別基準作成および材質モデル回帰部260(層別・材質学習部)を有する。
本発明の技術を用いれば、熱間圧延ライン制御システム20は、操業データと材質実測データを用いて層別基準を作成すると共に、作成された層別基準に従って操業データと材質実測データを層別して、層別されたこれらデータを回帰して層別毎の材質モデルを作成することで、材質予測時の計算負荷を増やすことなく、圧延条件および冷却条件による多鋼種の材質を精度良く予測することができる。
11 圧延前鋼材
12 熱間圧延ライン
13 圧延鋼板
14 出荷鋼板
20 熱間圧延ライン制御システム(制御装置)
21 圧延条件設定部
22 操業データ収集部
23 操業データ保存部
24 材質測定データ保存部
25 品質判定部
26 材質予測部
260 層別基準作成および材質モデル回帰部(層別・材質学習部)
261 層別基準保存部
262 材質モデル回帰部
263 モデル係数保存部
264 組織モデル計算部
265 層別判定部
266 モデル係数読み出し部
267 材質モデル計算部
268 処理選択部
27 材質予測データ保存部
30 材質測定装置
41 熱間圧延ライン制御ローカルシステム
42 熱間圧延ライン制御リモートシステム

Claims (12)

  1. 圧延条件を設定する圧延条件設定部と、
    前記設定された設定データと圧延中のラインの操業データを収集する操業データ収集部と、
    前記操業データを保存する操業データ保存部と、
    圧延鋼板の材質を測定した材質実測データを保存する材質測定データ保存部と、
    前記圧延鋼板の材質を予測する材質予測部と、
    前記材質予測部での材質予測データを保存する材質予測データ保存部と、を有し、
    前記材質予測部は、
    前記操業データを用いて組織モデル計算処理を行い、金属組織特徴量データを作成し、前記操業データと前記材質実測データと前記金属組織特徴量データを用いて、材質予測対象の前記圧延鋼板を複数の材質グループの一つに分類する層別基準を作成すると共に、該作成された層別基準に従って前記操業データと前記材質実測データを層別して、該層別された操業データと材質実測データとを回帰して層別毎の材質モデルを作成する層別基準作成および材質モデル回帰部を有する
    ことを特徴とする熱間圧延ライン制御システム。
  2. 前記層別基準作成および材質モデル回帰部は、
    前記層別基準を作成する際に、説明因子Xと材質Yとの間の勾配を表示装置に表示する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延ライン制御システム。
  3. 前記層別基準作成および材質モデル回帰部から材質Yとの勾配が表示される説明因子Xには、前記金属組織特徴量データが含まれる
    ことを特徴とする請求項2に記載の熱間圧延ライン制御システム。
  4. 前記層別基準作成および材質モデル回帰部は、
    前記層別基準を作成する際に、説明因子Xと材質Yとの間の勾配を利用して前記層別基準の教師データを作成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延ライン制御システム。
  5. 前記層別基準作成および材質モデル回帰部から作成される前記層別基準の教師データには、前記金属組織特徴量データが含まれる
    ことを特徴とする請求項4に記載の熱間圧延ライン制御システム。
  6. 前記層別基準作成および材質モデル回帰部は、
    説明因子Xと材質Yの2次元データの空間を格子で分割して、前記格子毎のデータ密度を計算し、
    前記データ密度を基準に、前記格子を疎格子と密格子の2種類に分割し、
    それぞれの前記密格子とその最も近隣の密格子との間の勾配を計算し、
    前記計算した勾配の値を基準に、前記密格子を層別準備グループにクラスタリングし、
    1つの前記層別準備グループだけに属する前記密格子を教師格子として抽出し、
    前記教師格子内のデータに対して、その説明因子と層別準備グループ名を組として出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延ライン制御システム。
  7. 熱間圧延ラインの圧延条件を設定し、該設定された設定データと圧延中のラインの動作データを収集して操業データとして保存し、圧延鋼板の材質を測定した材質実測データを保存し、前記材質実測データと前記操業データを用いて材質モデルを回帰して、回帰した材質モデルと前記操業データを用いて前記圧延鋼板の材質を予測する制御装置の熱間圧延ラインの制御方法であって、
    前記制御装置は、前記操業データを用いて組織モデル計算処理を行い、金属組織特徴量データを作成し、前記操業データと前記材質実測データと前記金属組織特徴量データを用いて、材質予測対象の前記圧延鋼板を複数の材質グループの一つに分類する層別基準を作成すると共に、該作成された層別基準に従って前記操業データと前記材質実測データを層別して、該層別された操業データと材質実測データとを回帰して層別毎の材質モデルを作成する層別基準作成および材質モデル回帰処理を行う
    ことを特徴とする熱間圧延ライン制御方法。
  8. 前記層別基準作成および材質モデル回帰処理において、
    前記制御装置は、説明因子Xと材質Yとの間の勾配を表示装置に表示する
    ことを特徴とする請求項7に記載の熱間圧延ライン制御方法。
  9. 前記層別基準作成および材質モデル回帰処理で表示される説明因子Xnには、前記金属組織特徴量データが含まれる
    ことを特徴とする請求項8に記載の熱間圧延ライン制御方法。
  10. 前記層別基準作成および材質モデル回帰処理では、
    前記制御装置は、説明因子Xと材質Yとの間の勾配を用いて前記層別基準の教師データを作成する
    ことを特徴とする請求項7に記載の熱間圧延ライン制御方法。
  11. 前記層別基準作成および材質モデル回帰処理で作成される層別基準の教師データには、前記金属組織特徴量データが含まれる
    ことを特徴とする請求項10に記載の熱間圧延ライン制御方法。
  12. 前記層別基準作成および材質モデル回帰処理は、
    説明因子Xと材質Yの2次元データの空間を格子で分割して、前記格子毎のデータ密度を計算し、
    前記データ密度を基準に、前記格子を疎格子と密格子の2種類に分割し、
    それぞれの前記密格子とその最も近隣の密格子との間の勾配を計算し、
    前記計算した勾配の値を基準に、前記密格子を層別準備グループにクラスタリングし、
    1つの前記層別準備グループだけに属する前記密格子を教師格子として抽出し、
    前記教師格子内のデータに対して、その説明因子と層別準備グループ名を組として出力する
    ことを特徴とする請求項7に記載の熱間圧延ライン制御方法。
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