JP6372216B2 - 連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定方法、及び、装置 - Google Patents
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基底波形の解釈の例として、例えば、すべての湯面レベル計において同振幅・同位相で観測される基底波形は、湯面の均一な全体上下動成分(体積変動成分)の時系列の波形として考えることができる。また、他のパターンとして、ある特定の湯面レベル計の観測値では振幅が大きく、他の湯面レベル計の観測値では振幅が小さいような基底波形は、鋳型幅方向で高さが異なる湯面変動を表わしていることになる。このような変動を、幅方向で不均一な局所的変動(または単に「局所的変動」)と呼ぶこととし、このような変動を表わす波形は、局所的変動成分の時系列の波形として考えることができる。従来の単一の湯面レベル計の観測値からは、これらの湯面変動パターンを知ることは困難であった。
本発明者らは、鋭意研究の結果、湯面変動を支配する異なる物理現象に対応する基底波形ベクトル、および、その重み係数行列を求める具体的な方法として、独立成分分析や主成分分析を用いることができることを見出した。なお、独立成分分析は、音響信号処理におけるブラインド音源分離や、医用工学における脳波の解析をはじめとして、最近では様々な分野において使われている手法であり、その解説書としては、例えば、『村田昇、「入門独立成分分析」、東京電機大学出版局、p.28〜p.38、2004年」等を挙げることができる。
本発明は、このような知見に基づいて完成させた。以下、本発明について説明する。
独立成分分析のアルゴリズムとしては、分離行列Wを計算するための評価関数の違いや収束計算方法の選び方により、いくつかのアルゴリズムが提案されている。本発明では、いずれのアルゴリズムを用いても良く、例えばAapo HyvarinenらによるFastICAなどを用いることができる。
混合行列の同一列の各成分が同符号であり、且つ、同程度の大きさである場合、当該列と掛け合わされる基底波形ベクトルは、湯面全体の上下動(体積変動)成分を表わしていると判定することができる。ここで、「同程度」とは、例えば、混合行列の同一列の各成分の標準偏差を当該同一列の各成分の平均値で割ることにより得られる変動係数が、所定の閾値未満である場合に、「同程度」であると判定することができる。閾値は、例えば0.5とすることができる。変動係数は、下記式(8)で表わされる。
湯面全体の上下動(体積変動)成分は、混合行列の同一列が同符号、同程度の大きさである特徴を有する。この場合、変動係数が小さな値となるため、上記基準で判定することができる。
混合行列の同一列の各成分の値を用いて算出される均一性の指標(上記式(8)で表わされる変動係数)が閾値以上であって、且つ、基底波形ベクトルのスペクトルのピーク周波数が、鋳型幅によって規定される定在波の周波数と一致している場合、当該列と掛け合わされる基底波形ベクトルは、定在波成分を表わしていると判定することができる。例えば、鋳型の両側の短辺に湯面レベル計を設置した場合について説明する。1次の定在波の場合には、図3に示したように、定在波の節の位置が鋳型の中心であり、鋳型両側短辺の湯面レベル計取り付け位置では、基底波形ベクトルの重み係数が左右で逆符号になる。これに対し、2次の定在波の場合には、図4に示したように、定在波の節の位置が鋳型の1/4幅位置および鋳型の3/4幅位置であり、鋳型両側短辺の湯面レベル計取り付け位置では、基底波形ベクトルの重み係数が左右で同符号になる。ここで、鋳型幅をW[m]、重力定数をg[g/m2]、円周率をπ、定在波の次数をn(n=1、2、…)とするとき、n次の定在波の周波数fnは、下記式(9)で表される。
湯面レベル計の取り付け位置に応じて、混合行列の同一列の各成分が、符号・大きさに偏りがある場合、当該列と掛け合わされる基底波形ベクトルは、湯面の局所的変動成分を表わしていると判定することができる。ここで、「符号に偏りがある」とは、混合行列における同一列の成分に、他の成分と符号の異なる成分が含まれていることをいう。また、「大きさに偏りがある」とは、例えば、上記式(8)で表される変動係数が所定の閾値以上である場合に、「大きさに偏りがある」と判定することができる。閾値は、例えば0.5とすることができる。基底波形ベクトルのスペクトルのピーク周波数が、鋳型幅によって規定される定在波の周波数と一致しない場合に、「局所的変動成分」として判定する。
湯面の局所的変動成分は、混合行列の同一列の各成分が符号・大きさに偏りがある。そのため上記式(8)で表わされる変動係数の値が大きくなる。さらに、この基底波形ベクトルのスペクトルのピーク周波数が定在波の周波数とは一致しないものを局所的変動とするため、上記基準により、「局所的変動成分」として判定することができる。
湯面レベル計A〜Dによる観測結果を用いて、本発明により鋳型内湯面変動の状態を推定した。本実施例において、湯面レベル計A〜Dによる観測値の時系列情報を取得するサンプリング周期は0.1秒とし、取得した時系列情報を100秒区間に区切った(時系列データ取得工程)。この区間において、湯面レベル計A〜Dによる観測値を4つの基底波形ベクトルの線形和として表現すると、下記式(10)のように表わすことができる。
基底波形の解釈の例として、どの湯面レベル計にも同振幅・同位相で観測される基底波形は、湯面の均一な全体上下動成分の時系列の波形として考えることができる。他のパターンとしては、例えば、ある特定の湯面レベル計観測値では振幅が大きく、他の湯面レベル計観測値では振幅が小さいような基底波形は、鋳型幅方向で高さが異なる湯面変動を表わしていることになる。このような変動は、幅方向で不均一な局所的変動と呼ぶことができる。
これらの値を詳細に検討すると、鋳型の長辺側に設置した湯面レベル計Bによる観測値を表現する際に用いられる基底波形ベクトルの重み係数に相当する値、および、鋳型の長辺側に設置した湯面レベル計Cによる観測値を表現する際に用いられる基底波形ベクトルの重み係数に相当する値は、いずれも0であり、その値が小さい。これに対し、鋳型の短辺側に配置した湯面レベル計Aによる観測値を表現する際に用いられる基底波形ベクトルの重み係数に相当する−0.8、および、鋳型の短辺側に設置した湯面レベル計Dによる観測値を表現する際に用いられる基底波形ベクトルの重み係数に相当する1.8は、他の2つの値と比較して絶対値が大きく、且つ、異符号の値である。
また、図8に示したように、基底波形IC3のスペクトルは0.71Hzにピークを持つ。ここで、図3に示した鋳型両端において逆位相で変動する1次の定在波は、鋳型幅が1.5mの鋳型の場合、その周波数は0.72Hzである。これらの値は、周波数分解能の誤差の範囲内であるため、両者は一致しているとみなすことができる。したがって、基底波形IC3は、1次の定在波成分であると判定することができる。
2…湯面
3…湯面レベル計
4…観測データ
5…基底成分計算部
6…基底成分判定部
7…操業データベース
8…出力部
10…連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定システム
Claims (5)
- 複数の湯面レベル計を用いて取得した、連続鋳造機の鋳型内の湯面変動に関する観測値の時系列データを得るステップと、
得られた前記観測値の時系列データを用いて、該観測値の時系列データを基底波形ベクトルの線形和として表現し、該基底波形ベクトル、および、基底波形ベクトルの重み係数を求める問題を独立成分分析または主成分分析を用いて解くステップと、
前記問題を解くことにより得られた、基底波形ベクトルの重み係数を用いて、基底波形ベクトルの物理的意味を解釈するステップと、
を有することを特徴とする、連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定方法。 - 前記問題を解くことにより得られた、前記基底波形ベクトルの重み係数を成分とする行列における、同一列の成分の符号および値について、前記符号がすべて同じであり、且つ、前記値を用いて算出される均一性の指標が閾値未満である場合に、湯面全体の上下動を表わす基底波形ベクトルであると特定することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定方法。
- 前記問題を解くことにより得られた、前記基底波形ベクトルの重み係数を成分とする行列における、同一列の成分の符号および値について、前記値を用いて算出される均一性の指標が閾値以上である場合に、前記基底波形ベクトルのスペクトルのピークの周波数を用いて、定在波を表わす基底波形ベクトルを特定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定方法。
- 前記問題を解くことにより得られた、前記基底波形ベクトルの重み係数を成分とする行列における、同一列の成分の符号および値について、前記値を用いて算出される均一性の指標が閾値以上である場合に、前記基底波形ベクトルのスペクトルのピークの周波数を用いて、湯面の局所的変動を表わす基底波形ベクトルであると特定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定方法。
- 連続鋳造機の鋳型内の湯面変動に関する観測値の時系列データを得る、複数の湯面レベル計と、
得られた前記観測値の時系列データを用いて、該観測値の時系列データを基底波形ベクトルの線形和として表現し、該基底波形ベクトル、および、基底波形ベクトルの重み係数を求める問題を独立成分分析または主成分分析を用いて解く、基底成分計算部と、
前記問題を解くことにより得られた、基底波形ベクトルの重み係数を用いて、基底波形ベクトルの物理的意味を解釈する、基底成分判定部と、
を有することを特徴とする、連続鋳造鋳型内の湯面変動の状態推定装置。
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