JP4400253B2 - 品質影響要因解析方法、品質予測方法、品質制御方法、品質影響要因解析装置、品質予測装置、品質制御装置、品質影響要因解析システム、品質予測システム、品質制御システム、及びコンピュータプログラム - Google Patents

品質影響要因解析方法、品質予測方法、品質制御方法、品質影響要因解析装置、品質予測装置、品質制御装置、品質影響要因解析システム、品質予測システム、品質制御システム、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、製品の製造における品質への影響要因を解析する方法、解析結果に基づいて製品の品質を予測する方法、予測結果に基づいて製造の条件を操作することにより製品の品質を制御する方法、品質影響要因解析装置、品質予測装置、品質制御装置、品質影響要因解析システム、品質予測システム、品質制御システム、及びコンピュータプログラムに関する。
鉄鋼製品などの製品の品質が良好に維持されるように制御するためには、品質への影響要因を解析し、製品の製造に係る各種の条件のうち品質への影響要因となっている条件を操作する必要がある。
特許文献1には、連続鋳造による鉄鋼鋳片の製造において鋳片の表面割れと鋳造前の溶鋼の成分の分析値との関係を解析し、溶鋼中のTi/N比のある値を境にして鋳片の表面割れが発生するとの知見を得、この知見に基づいて溶鋼中のTi/N比を調整して鋳片の品質を制御する技術が開示されている。また特許文献2には、鋼管の拡管時に鋼管の状態を監視し、鋼管の状態の変化と品質の異常との関係に基づいて鋼管の品質変化を検出する技術が開示されている。
前述の技術の如く、製品の品質を良好に維持するためには、品質影響要因を解析することと品質の変化を予測することとが必要である。従来、品質影響要因の解析は、製品の製造の際に得られたデータに基づいて技術者が現場以外の場所で行っていた。また品質の変化の予測は、前述の品質影響要因の解析によって解明された品質への影響因子を監視することで行っていた。
特開2002−283021号公報 特開2000−158066号公報 特開平8−118443号公報
従来の品質の予測方法では、品質影響要因の解析によって解明された品質への影響要因を監視するのみであるので、新たな要因による品質の変化を予測することができないという問題がある。また、従来の品質影響要因の解析方法では、新たな要因の発生毎に新たな解析が必要になるので、品質影響要因の解析のために必要な時間と人手とが膨大になるという問題がある。
以上の問題を解決する方法としては、製品を製造する際の材料の成分又は製造条件等の種々の条件を示すデータを用いた多変量解析を行い、製造現場で品質影響要因を解明する方法がある。しかし、鉄鋼製品などの製品の製造現場から得られるデータは種類が多くしかもデータ間に相関関係があるので、多重共線問題が発生し、誤った解析結果が得られる可能性が高い。従って、この方法の実用化には問題が多い。
この問題を解決する技術として特許文献3には、製造に係る種々の条件を示す互いに相関のある複数のデータを、主成分分析の手法を用いて互いに無相関なより少数の主成分へ変換し、特定の主成分への変換係数を比較することで主成分の品質への影響度合いを解析する技術が開示されている。しかし、特定の主成分と品質との関係が明らかになっても、現実に製造現場で得られるデータと品質との関係は明らかにならないので、データから製品の品質を予測すること又は各条件を制御して品質を制御することは依然として困難である。
また、品質不良が発生する場合についてのデータ量は品質不良が発生しない場合のデータ量に比べて極めて少ないので、得られたデータを直接用いた多変量解析によって品質影響要因を解明することは困難であるという問題がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、製造に係る種々の条件を示す複数のデータを互いに無相関なより少数の成分へ変換し、変換した少数の成分について多変量解析を行い、多変量解析の結果を元の複数のデータに対応するデータへ変換することにより、現実に得られる製造の条件のデータと品質との関係を明らかにすることができる品質影響要因解析方法、品質影響要因解析装置、品質影響要因解析システム、及びコンピュータプログラム、この解析結果を利用した品質予測方法、品質予測装置、品質予測システム、及びコンピュータプログラム、並びに解析結果を利用して製品の品質を制御する品質制御方法、品質制御装置、品質制御システム、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
第1発明に係る品質影響要因解析方法は、記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造における品質への影響要因を解析する方法において、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データと該条件データに応じて製造された製品の品質を示す品質データとをM回(Mは自然数)サンプリングしてサンプリング毎に互いに関連づけたM通りの前記N種類の条件データ及び前記品質データを、前記記憶部で記憶するステップと、前記記憶部で記憶するM通りの前記N種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ前記演算部で変換する変換ステップと、前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を多変量解析により前記演算部で計算する影響指標計算ステップと、前記演算部で前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換した方法に応じた方法で前記P個の影響指標を逆にN個のデータへ変換することによって、前記N種類の条件データに関連づけられている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを求めるステップとを含むことを特徴とする。
第2発明に係る品質影響要因解析方法は、記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造における品質への影響要因を解析する方法において、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを、製造された製品の品質を示す品質データに関連づけて、各条件データ毎のM個(Mは自然数)のサンプリングデータからなるM行N列の行列Uとして前記記憶部で記憶するステップと、前記記憶部で記憶する夫々M個のN種類の条件データをM個の平均及び分散が夫々所定値になるようにスケーリングしたM行N列の行列Xを前記演算部で生成するステップと、前記演算部でスケーリングしたN種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換することにより、行列XをM行P列の行列Tへ前記演算部で変換する変換ステップと、前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を成分とするベクトルAを多変量解析により前記演算部で計算する影響指標計算ステップと、T=XWであるN行P列の行列Wを用いてベクトルB=WAを計算することにより、前記P個の影響指標から、前記N種類の条件データに関連づけられている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを成分とするベクトルBを前記演算部で計算するステップとを含むことを特徴とする。
第3発明に係る品質影響要因解析方法は、前記変換ステップでは、前記演算部でPの値を品質の変化が認められる品質データの数以下にすることを特徴とする。
第4発明に係る品質影響要因解析方法は、前記変換ステップでは、前記演算部で主成分分析を用いて前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換することを特徴とする。
第5発明に係る品質影響要因解析方法は、前記変換ステップ及び前記影響指標計算ステップでは、前記演算部で部分的最小二乗法を用いて前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換することを特徴とする。
第6発明に係る品質影響要因解析方法は、前記変換ステップでは、前記演算部で独立成分分析を用いて前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換することを特徴とする。
第7発明に係る品質影響要因解析方法は、前記影響指標計算ステップでは、前記演算部で線形判別分析を用いて前記P個の影響指標を計算することを特徴とする。
第8発明に係る品質影響要因解析方法は、前記影響指標計算ステップでは、前記演算部で重回帰分析を用いて前記P個の影響指標を計算することを特徴とする。
第9発明に係る品質予測方法は、記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測する方法において、第1乃至第8発明のいずれかに係る影響要因解析方法により求められた、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データを前記記憶部で記憶するステップと、製品の製造において得られた前記N種類の条件データを前記記憶部で記憶するステップと、前記記憶部で記憶している前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を前記演算部で計算するステップと、前記演算部で計算した判別指標の値に応じて製品の品質を前記演算部で予測するステップとを含むことを特徴とする。
第10発明に係る品質制御方法は、記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御する方法において、第1乃至第8発明のいずれかに係る影響要因解析方法により求められたN(Nは自然数)個の影響データが示す製品の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データの夫々の品質への影響に応じた、製品の製造に係る変更可能な条件の内の変更の優勢度が高い条件を指定する制御情報を前記記憶部で記憶するステップと、前記記憶部で記憶している前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を前記演算部で計算するステップと、前記演算部で計算した判別指標の値に応じて、前記制御情報が指定する前記条件の変更を前記コンピュータの外部へ前記演算部で指示するステップとを含むことを特徴とする。
第11発明に係る品質影響要因解析装置は、製品の製造における品質への影響要因を解析する装置において、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データと該条件データに応じて製造された製品の品質を示す品質データとをM回(Mは自然数)サンプリングしてサンプリング毎に互いに関連づけたM通りの前記N種類の条件データ及び前記品質データを記憶する手段と、該手段が記憶するM通りの前記N種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換する変換手段と、該手段が変換した前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を多変量解析により計算する影響指標計算手段と、前記変換手段が前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換した方法に応じた方法で前記P個の影響指標を逆にN個のデータへ変換することによって、前記N種類の条件データに関連づけれている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを求める手段とを備えることを特徴とする。
第12発明に係る品質予測装置は、製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測する装置において、第11発明に係る品質影響要因解析装置が求めた、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データを記憶する影響データ記憶手段と、製品の製造において得られた前記N種類の条件データを記憶する条件データ記憶手段と、該手段が記憶している前記N種類の条件データと前記影響データ記憶手段が記憶している前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算する手段と、該手段が計算した判別指標の値に応じて製品の品質を予測する手段とを備えることを特徴とする。
第13発明に係る品質制御装置は、製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御する装置において、第11発明に係る品質影響要因解析装置が求めたN(Nは自然数)個の影響データが示す製品の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データの夫々の品質への影響に応じた、製品の製造に係る変更可能な条件の内の変更の優勢度が高い条件を指定する制御情報を記憶する手段と、該手段が記憶している前記N種類の条件データと前記影響データ記憶手段が記憶している前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算する手段と、該手段が計算した判別指標の値に応じて、前記制御情報が指定する前記条件の変更を外部へ指示する手段とを備えることを特徴とする。
第14発明に係る品質影響要因解析システムは、製品の製造における品質への影響要因を解析するシステムにおいて、第11発明に係る品質影響要因解析装置と、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを取得する取得手段とを有し、前記影響要因解析装置は、前記取得手段が取得した前記N種類の条件データを受け付ける手段を備えることを特徴とする。
第15発明に係る品質予測システムは、製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測するシステムにおいて、第12発明に係る品質予測装置と、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを取得する取得手段とを有し、前記品質予測装置は、前記取得手段が取得した前記N種類の条件データを受け付ける手段を備えることを特徴とする。
第16発明に係る品質制御システムは、製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御するシステムにおいて、第13発明に係る品質制御装置と、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを取得する取得手段と、製品の製造に係る各種の条件の内の変更可能な条件を変更する変更手段とを有し、前記品質制御装置は、前記取得手段が取得した前記N種類の条件データを受け付ける手段を備え、前記変更手段は、前記品質制御手段から所定の条件の変更の指示を受け付ける手段と、該手段が受け付けた前記指示に従って前記条件を変更する手段とを備えることを特徴とする。
第17発明に係るコンピュータプログラムは、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データと該条件データに応じて製造された製品の品質を示す品質データとをM回(Mは自然数)サンプリングしてサンプリング毎に互いに関連づけたM通りの前記N種類の条件データ及び前記品質データを記憶するコンピュータに、製品の製造における品質への影響要因を解析させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、M通りの前記N種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換させる手順と、コンピュータに、前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を多変量解析により計算させる手順と、コンピュータに、前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換した方法に応じた方法で前記P個の影響指標を逆にN個のデータへ変換することによって、前記N種類の条件データに関連づけられている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを計算させる手順とを含むことを特徴とする。
第18発明に係るコンピュータプログラムは、第1乃至第8発明のいずれかに係る品質影響要因解析方法により求められた、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データ、及び製品の製造において得られた前記N種類の条件データを記憶するコンピュータに、製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算させる手順と、コンピュータに、計算した判別指標の値に応じて製品の品質を予測させる手順とを含むことを特徴とする。
第19発明に係るコンピュータプログラムは、第1乃至第8発明のいずれかに係る品質影響要因解析方法により求められたN(Nは自然数)個の影響データが示す製品の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データの夫々の品質への影響に応じた、製品の製造に係る変更可能な条件の内の変更の優勢度が高い条件を指定する制御情報を記憶するコンピュータに、製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算させる手順と、コンピュータに、計算した判別指標の値に応じて、前記制御情報が指定する前記条件の変更を前記コンピュータの外部へ指示させる手段と
を含むことを特徴とする。
第1、第2、第4、第5、第6、第7、第8、第11、第14及び第17発明においては、製品製造の過程で得られた、製品の製造における種々の条件を示す互いに相関があるN種類の条件データを互いに無相関なN>PであるP種類の成分へ変換し、P種類の成分に対して影響要因の解析を行ってP種類の成分の夫々の品質への影響を示すP個の影響指標を計算し、このP個の影響指標を、N個の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データへ変換する。
第3発明においては、Pの値は品質不良などの品質変化が認められるサンプル数以下とする。
第9、第12、第15及び第18発明においては、本発明の品質影響要因解析方法による解析結果を利用して、製品の製造現場で得られたN種類の条件データから製品の品質を予測する。
第10、第13、第16及び第19発明においては、本発明の品質影響要因解析方法による解析結果を利用して、製品の製造現場で得られたN種類の条件データから製品の品質を予測し、予測結果に応じて製造の条件を変更することにより、製品の品質を制御する。
第1、第2、第4、第5、第6、第7、第8、第11、第14及び第17発明にあっては、製品製造の過程で得られた、製品の製造における種々の条件を示す互いに相関があるN種類の条件データを互いに無相関なN>PであるP種類の成分へ変換し、P種類の成分に対して影響要因の解析を行うことにより、多重共線問題を回避して正確な解析を行うことができる。また、P種類の成分の夫々の品質への影響を示すP個の影響指標をN個の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データへ変換することにより、製造現場で得られる条件データと品質との関係を明らかにすることが可能となる。更に、特定の要因に固定することなく品質に対する種々の影響要因を調べることが可能であるので、新たな要因が原因で品質が悪化する都度人手で行っていた従来の解析方法に必要であった時間と人手とを節約することが可能となる。
第3発明にあっては、品質不良などの品質変化が認められるサンプル数以下のP個の成分に対して影響要因の解析を行うことにより、サンプル数が少ないことに起因する解析異常を回避して正確な解析を行うことができる。
第9、第12、第15及び第18発明にあっては、本発明の品質影響要因解析方法による解析結果を利用して、製品の製造現場で得られたN種類の条件データから製品の品質を予測することにより、品質の検査を早急に行うことができない製品の品質を簡便に予測することができる。
第10、第13、第16及び第19発明においては、本発明の品質影響要因解析方法による解析結果を利用して製品の品質を予測し、品質の不良が予測される場合は製品の品質が良となるように製造の条件を変更する制御を行うことにより、品質を検査するまでに時間がかかる製品の不良品が大量に製造されることを防止することができるので、製品の品質の向上及び製品製造の効率の向上が可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の品質影響要因解析システムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、熱間圧延により鋼板を製造する熱間圧延プロセスにおける鋼板の品質への影響要因を解析する形態を例として、本発明の品質影響要因解析方法を説明する。鋼板を製造する熱間圧延プロセスは、鋼片を加熱炉31で加熱し、所要の温度まで加熱した鋼片を粗圧延機32で圧延して鋼板を得、仕上げ圧延機33で鋼板の厚さ及び幅などの形状を整え、形状を整えた鋼板を冷却装置34で所定の温度まで冷却する工程で構成されている。加熱炉31、粗圧延機32、仕上げ圧延機33及び冷却装置34には、熱間圧延プロセスを制御するプロセス制御装置22が接続されている。プロセス制御装置22は、加熱炉31、粗圧延機32、仕上げ圧延機33及び冷却装置34の動作を制御し、更に、加熱炉31での内部の温度及び鋼板の温度、冷却装置34での鋼板の温度、粗圧延機32及び仕上げ圧延機33での圧下量、各工程での所要時間などの各種の製造条件を示すデータを取得する。また鋼板を製造する操業を指示する操業指示装置21が備えられている。操業指示装置21は、鋼板の材料である鋼片に含まれる元素の比率などの、熱間圧延プロセスへ投入される材料に関する、より上流の製造プロセスにて作り込まれた材料データを管理している。更に、熱間圧延プロセスで製造された鋼板の品質を検査する検査装置23が備えられている。検査装置23の内、品質を示すデータとして板厚及び板幅などを測定する検査装置23は熱間圧延プロセス内に設置されている。品質を示すデータとして疵の有無を測定する場合は、常温まで鋼板を冷却した後又は鋼板表面のスケールを除去した後でなければ測定を行うことができないため、一般的に熱間圧延プロセスよりも下流の工程で測定される。操業指示装置21、プロセス制御装置22及び検査装置23は、熱間圧延プロセスにおける品質への影響要因を解析する本発明の品質影響要因解析装置1に接続されている。品質影響要因解析装置1には、更に、品質影響要因解析装置1が解析した品質への影響要因に係る情報を記録する影響要因DB24が接続されている。
図2は、本発明の品質影響要因解析装置1の内部の機能構成を示す機能ブロック図である。品質影響要因解析装置1は、パーソナルコンピュータ又はサーバ装置などの汎用コンピュータを用いて構成されている。品質影響要因解析装置1は、演算を行うCPU(演算部)11と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM(記憶部)12と、CD−ROMドライブ等の外部記憶装置13と、ハードディスク等の内部記憶装置14とを備えている。CPU11は、CD−ROM等の記録媒体10から本発明のコンピュータプログラム100を外部記憶装置13にて読み取り、読み取ったコンピュータプログラム100を内部記憶装置14に記憶させる。コンピュータプログラム100は必要に応じて内部記憶装置14からRAM12へロードされ、ロードされたコンピュータプログラム100に基づいてCPU11は品質影響要因解析装置1に必要な処理を実行する。また、品質影響要因解析装置1は、操業指示装置21、プロセス制御装置22及び検査装置23に接続された入力部15を備えており、操業指示装置21、プロセス制御装置22及び検査装置23から入力部15を介して必要なデータを受け付ける構成となっている。更に、品質影響要因解析装置1は、影響要因DB24に接続された出力部16を備えており、出力部16を介して影響要因DB24へ情報を出力する構成となっている。
なお、本発明のコンピュータプログラム100は、品質影響要因解析装置1に接続された図示しない外部のサーバ装置から品質影響要因解析装置1へロードされて内部記憶装置14に記憶される形態であってもよい。
次に、フローチャートを用いて、本発明の品質影響要因解析方法を説明する。図3は、本発明の品質影響要因解析装置1が行う品質への影響要因を解析する処理の手順を示すフローチャートである。品質影響要因解析装置1のCPU11は、RAM12にロードした本発明のコンピュータプログラム100に従って以下の処理を実行する。CPU11は、プロセス制御装置22から受け付ける加熱炉31内の温度、粗圧延機32での圧下量及び各工程での所要時間などの各種の製造条件を示すデータ、及び操業指示装置21から受け付ける熱間圧延プロセスへ投入される材料に関する材料データからなる、鋼板の製造に係る各種の条件を示すN(Nは自然数)種類の条件データを入力部15にて受け付け、更に、条件データに応じて製造された鋼板の表面の疵の有無などに対応して鋼板の品質の良又は不良を示す品質データを入力部15にて受け付ける(S11)。
CPU11は、次に、受け付けた条件データと当該条件データの基で製造された鋼板の品質を示す品質データとを互いに関連づけて内部記憶装置14に記憶させる(S12)。CPU11は、次に、内部記憶装置14が記憶している条件データ及び品質データについて、品質の不良を示す品質データのサンプリング数が予め定められている所定の数Mas(Masは自然数)より大きく、同時に品質の良を示す品質データのサンプリング数が予め定められている所定の数Mbs(Mbsは自然数)より大きいか否かを判定する(S13)。品質の不良を示す品質データ又は品質の良を示す品質データのサンプリング数がMas又はMbs以下である場合は(S13:NO)、CPU11は、処理をステップS11へ戻し、次に製造される鋼板の条件データ及び品質データを受け付ける。内部記憶装置14は、品質データを受け付けるサンプリング数をMとして、品質データ毎のN種類の条件データをM行N列の行列Uとして記憶している。品質データ毎のN種類の条件データからなるM行N列の行列Uを下記(1)式に示す。
Figure 0004400253
温度又は時間などの種々の次元を持った各行のN種類の条件データが、各一の品質データに関連づけられている。各列の条件データは、品質データに対応する鋼板を製造する際の同じ種類の条件データを示している。品質データは、品質の不良を示すデータが1、品質の良を示すデータが−1等の形で内部記憶装置14に記憶されている。
ステップS13にて、品質の不良を示す品質データのサンプリング数がMasより大きく、同時に品質の良を示す品質データのサンプリング数がMbsより大きい場合は(S13:YES)、CPU11は、内部記憶装置14に記憶しているN種類の条件データをP<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換する条件データ変換処理を行う(S14)。ここで、CPU11は、(1)式に示すM行N列の行列UをM行P列の行列Tへ変換する。
図4は、ステップS14の条件データ変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は、行列Uに夫々M個含まれる各種類の条件データuj,i (i=1〜N;j=1〜M)の平均Xmi及び分散Xsiを計算する(S141)。ここでCPU11は、(1)式に示すM行N列の行列Uの成分uj,i を用いて、下記(2)式により平均Xmi及び分散Xsiを計算する。
Figure 0004400253
CPU11は、次に、i=1〜Nの夫々について計算した平均Xmi及び分散Xsiを内部記憶装置14に記憶させる(S142)。CPU11は、次に、各種類の条件データを平均0及び分散1のデータへ変換した成分からなる行列Xを生成する(S143)。下記(3)式に行列Xを示す。
Figure 0004400253
(1)式に示す行列Uの成分u1,i 〜uM,i を、平均0及び分散1の成分x1,i〜xM,i へ変換することによって行列Xが生成される。ここでCPU11は、行列Uの成分uj,i を用いて、下記(4)式により行列Xの成分xj,iを計算する。
Figure 0004400253
CPU11は、次に、行列Xに含まれるN種類の成分からなるM組のデータについての主成分分析により、N種類の成分をP個の主成分へ変換したM行P列の行列Tと、行列Xを行列Tへ変換するための行列Wを生成する(S144)。このときのPの値は、P<Nであり、しかも品質の不良を示す品質データの数Ma と品質の良を示す品質データの数Mb との小さい方の数よりも小さい値が用いられる。行列T及び行列Wを下記(5)式に示す。
Figure 0004400253
M行P列の行列Tの各成分は、主成分分析によって生成された主成分得点である。各行に含まれるP種類の成分は互いに無相関な成分となっている。行列Wは、T=XWの演算によってM行N列の行列Xから行列Tを生成することができるようなN行P列の行列である。ステップS14の処理によって互いに相関のあるN種類の条件データが互いに無相関なP種類の成分へ変換されたことになる。
CPU11は、次に、生成した行列T及び行列Wを内部記憶装置14に記憶させ(S145)、処理をメインルーチンへ戻す。
CPU11は、次に、行列Tに含まれるP種類の成分の内いずれの成分が鋼板の品質へのより大きい影響要因となっているかを線形判別分析の手法を用いて解析する影響要因解析処理を行う(S15)。図5は、ステップS15の影響要因解析処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。
CPU11は、行列Tに含まれる各行の内、関連づけられている品質データが品質の不良を示している行と品質データが品質の良を示している行とを分離し、品質データが品質の不良を示している行の成分からなる行列Ta と品質データが品質の良を示している行の成分からなる行列Tb とを生成する(S151)。行列Ta はMa 行P列の行列となり、行列Tb はMb 行P列の行列となる。CPU11は、次に、行列Ta 及び行列Tb に含まれるP種類の各成分についての平均値からなるベクトルμa 及びμb を生成し、更に、行列Ta 及び行列Tb に含まれるP種類の成分の共分散からなるP行P列の共分散行列Sa 及び共分散行列Sb を生成する(S152)。ベクトルμa 及びμb を下記(6)式に示す。
Figure 0004400253
CPU11は、次に、ベクトルμa、ベクトルμb 、共分散行列Sa 及び共分散行列Sb を用いて、グループ内分散Swith-in 及びグループ間分散Sbetween を計算する(S153)。グループ内分散Swith-in及びグループ間分散Sbetween は、品質の不良を示す品質データの数Ma と品質の良を示す品質データの数Mb とを用いて、下記(7)式で定義される。
Figure 0004400253
グループ内分散Swith-in 及びグループ間分散Sbetween を計算することにより、P次元の空間における品質が不良のグループと品質が良のグループとのグループ内分散及びグループ間分散とが得られた。
CPU11は、次に、グループ内分散Swith-in 及びグループ間分散Sbetween を1次元へ射影し、しかも射影後のグループ内分散バーSwith-inと射影後のグループ間分散バーSbetween との比が最大になるような射影ベクトルAを計算する(S154)。射影ベクトルAを求めるためには、下記(8)式で定義されるJF(A)を最大にすれば良い。
Figure 0004400253
従って、∂JF (A)/∂A=0を解けばよいので、CPU11は、下記(9)式により射影ベクトルAを計算する。
Figure 0004400253
射影ベクトルAは、P行1列の行列である。射影ベクトルAのP個の成分は、本発明に係る影響指標であり、行列Tに含まれるP種類の成分のいずれがより品質に影響しているかを示している。行列Tと射影ベクトルAとの積により、品質の不良と良とを判別するための判別指標を成分とするベクトルJが下記(10)式により求めることができる。
Figure 0004400253
行列Tと射影ベクトルAとの積により得られるJ1 ,J2 ,…,JM の夫々の値は、行列Tの各行に対応する製品の品質の不良と良とを分離する指標である。図6は、線形判別分析によるデータ分離のイメージを示す模式図である。行列Ta とで表される品質が不良であるデータのグループと行列Tb で表される品質が良であるデータのグループとが1次元に射影され、J=TAの直線上に、品質が不良であるデータのグループと品質が良であるデータのグループとが互いに分離されて分布している。射影ベクトルAが決められている場合に、行列Tの一行分に対応するP種類の成分が得られると、これらの成分と射影ベクトルAとの一次結合により判別指標Jn が計算できる。このJn の値が、品質が不良であるデータのグループでの値の範囲と品質が良であるデータのグループでの値の範囲とのいずれに含まれるかによって、品質の不良又は良が判別できることとなる。
CPU11は、次に、品質の不良を示す判別指標の閾値である危険閾値Jas、及び品質の良を示す判別指標の閾値である安全閾値Jbsを計算する(S155)。例えば、CPU11は、Jas>Jbsである場合、その値より大きいJn の値が得られるデータの95%が品質が不良のデータであるような判別指標の値をJasとし、その値より小さいJn の値が得られるデータの95%が品質が良のデータであるような判別指標の値をJbsとする。この場合、新たに得られたデータから計算したJn の値がJasよりも大きいときにはこのデータに対応する鋼板の品質は不良であり、Jn の値がJbsよりも小さいときには鋼板の品質は良であると判別できるようになる。
CPU11は、次に、計算した射影ベクトルA、危険閾値Jas及び安全閾値Jbsを内部記憶装置14に記憶させ(S156)、影響要因解析処理を終了して処理をメインルーチンへ戻す。
CPU11は、次に、条件データの内のいずれが品質への影響要因となっているかを明らかにするために、P個の影響指標からなる射影ベクトルAを、N種類の条件データの夫々が品質に影響している度合いを示すN個の影響データへ変換する解析結果変換処理を行う(S16)。
射影ベクトルAにより、行列Tに含まれるP種類の成分のいずれがより品質に影響しているかが示されているが、N種類の条件データのいずれがより品質に影響しているかはわからない。(10)式よりJ=TAであり、また、(5)式よりT=XWであるので、下記(11)式が成り立つ。
J=XWA=XB …(11)
ここで、B=WAである。行列WはN行P列の行列であるので、BはN行1列のベクトルである。N種類の条件データからなる行列XとベクトルBとの積により判別指標を成分とするベクトルJが計算できるので、ベクトルBのN個の成分は、本発明に係る影響データであり、行列Xに含まれるスケーリングされたN種類の条件データの夫々が品質に影響している度合いを示している。例えば、Jasの値が正でJas>Jbsであり、行列Xの成分と当該成分に対応するベクトルBの成分との積が正であってベクトルBのこの成分の絶対値が他の成分の絶対値より大きい場合は、ベクトルBのこの成分と積をつくる行列Xの成分が大きくなることが品質に強い悪影響を及ぼすことがわかる。
図7は、ステップS16の解析結果変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は、内部記憶装置14が記憶している射影ベクトルA及び行列WをRAM12へ読み出し(S161)、ベクトルB=WAを計算する(S162)。CPU11は、次に、計算したベクトルBを内部記憶装置14に記憶させ(S163)、解析結果変換処理を終了して処理をメインルーチンへ戻す。
CPU11は、次に、N種類の影響データを成分とするベクトルB、危険閾値Jas、安全閾値Jbs、ステップS14の条件データ変換処理で計算したN種類の条件データの平均Xmi及び分散Xsi(i=1,2,…,N)を、出力部16から影響要因DBへ出力して影響要因DBに記憶させ(S17)、処理を終了する。
次に、本発明の品質影響要因解析方法を用いて、熱間圧延プロセスにおける品質への影響要因を解析した結果を示す。品質影響要因解析装置1への入力データとしてN=73の条件データを得た。また、これらの条件データのサンプリング数Mは、M=62とした。なお、M=62の内訳は、鋼板表面に疵が発生した品質不良のサンプル数Ma =19と、疵が未発生の品質良のサンプル数Mb =43とである。
まず最初に従来の方法による解析結果を示す。73個の条件データをそのまま利用して線形判別分析を行い、各サンプルについて判別指標Jn を計算した。図8は、73個の条件データを利用して計算した判別指標Jn のヒストグラムを示す特性図である。横軸は判別指標Jn の値を示し、縦軸はそのJn の値のサンプルが発生する発生頻度を示す。品質が不良のサンプルと品質が良のサンプルとがJn の値によって完全に分離されている。
図9は、73個の条件データを利用した線形判別分析によって得られた影響データの値を棒グラフで示した特性図である。横軸には、Jn の計算の際に夫々の影響データとの積をつくることによって夫々の影響データに対応する条件データの内容を配列してあり、縦軸は影響データの値を示す。ここで、第1設備間通過時間及び第2設備間通過時間は、加熱炉31から鋼片が抽出されてから鋼片の先端が第1の設備及び第2の設備に到達するまでの時間であり、第3炉内温度は加熱炉31中に設置されている3番目の温度計での測定温度であり、成分1はこの成分の材料中の含有量である。図9中には、73個の影響データの中から絶対値が大きい10個の影響データを示している。
第1裏面温度と第1表面温度とは、特定の温度計位置での鋼板の裏面と表面との温度であり、互いの変数間に強い正の相関が認められたので、本来は鋼板の品質に対して及ぼす影響の度合いは同程度であるはずである。しかし、図9に示す解析結果では、影響データの符号が互いに逆であり、前述の見解とは異なって互いに逆の影響を及ぼす解析結果となっている。また、製造幅と製造厚との間には強い負の相関が認められたので、本来は鋼板の品質に対して互いに逆の影響を及ぼすはずである。しかし解析結果では、影響データの符号が等しく、互いに同程度の影響を及ぼすようになっている。これらの解析結果は、多重共線問題に起因する解析異常であると考えられる。
また、図9に示す解析結果では、第1設備間通過時間が品質への影響が最も大きい条件データであるとして抽出されている。しかし、現場技術者の判断では、第1設備間通過時間は鋼板表面の疵発生については無関係な要因である。これは、品質が不良であるサンプル数Ma =19が少ないにも拘わらず、N=73の多くの条件データを用いたことに起因する解析異常であると考えられる。
次に、本発明の品質影響要因解析方法を用いた解析結果を示す。図10は、P=10とした本発明の品質影響要因解析方法を用いて計算した判別指標Jn のヒストグラムを示す特性図である。横軸は判別指標Jn の値を示し、縦軸はそのJn の値のサンプルが発生する発生頻度を示す。73個の条件データをそのまま利用してJn を計算した場合に比べて判別精度は劣るが、品質不良のサンプル数19よりも少ない10個の成分を用いた場合でも実用的に問題ない程度に品質不良のサンプルと品質良のサンプルとを判別できることがわかる。
図11は、P=10とした本発明の品質影響要因解析方法を用いて得られた73個の影響データの値を棒グラフで示した特性図である。横軸には、夫々の影響データに対応する条件データの内容を配列してあり、縦軸は影響データの値を示す。図11には、73個の影響データの中から絶対値が大きい10個の影響データを示している。
粗圧延での鋼板の厚さを示す粗厚と圧延前の鋼片の厚さを示すスラブ厚とは互いに正の相関が強く、鋼板の品質に対して同方向の影響を及ぼすはずである。図11に示す解析結果では、粗厚とスラブ厚とは品質に対して同方向の影響を及ぼすことが示されている。このことから、本発明の品質影響要因解析方法を用いた場合は、多重共線問題が発生していないことがわかる。解析結果で品質への影響が大きいとされた第2表面温度及び第3表面温度などの条件データについては、実験装置による検証およびテスト圧延を実施した結果、鋼板表面の疵の発生に対しておおむね影響が大きいことが確かめられた。従って、サンプリング数が少ないことに起因する解析異常も発生しておらず、本発明の品質影響要因解析方法によって製品の品質への影響要因を有効に解析することが可能であることが確認できた。
本発明による品質への影響要因の解析は、1週間の間又は1ヶ月の間などのようなある程度の期間に渡るデータを蓄積しておき、1週間に一度又は1ヶ月に一度などのように定期的に行われる。毎回の解析の都度、品質への影響が大きい要因を判別することができる。またPの値については、Ma 又はMb よりも小さい値、例えばP=10程度で実用的な解析が可能である。
以上詳述した如く、本発明においては、製品製造の過程で得られた互いに相関があるN個の条件データを互いに無相関なより少数のP個の成分へ変換し、P個の成分に対して影響要因の解析を行うことにより、多重共線問題を回避して正確な解析を行うことができる。また、サンプル数が少ない品質不良のサンプル数よりも小さい数のP個の成分に対して影響要因の解析を行うことにより、サンプル数が少ないことに起因する解析異常を回避して正確な解析を行うことができる。また本発明においては、P個の成分に対する影響要因の解析結果を、N個の条件データをP個の成分へ変換した方法に応じて、N個の条件データの夫々が品質へ影響している度合いを示すN個の影響データへ変換することにより、現実に製品製造の過程で得られる条件データと品質との関係を明らかにすることが可能となる。更に、特定の要因に固定することなしに品質に対する種々の影響要因を調べることが可能であるので、新たな要因が原因で品質が悪化する都度人手で行っていた従来の解析方法に必要であった時間と人手とを節約することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、互いに相関があるN個の条件データを互いに無相関なより少数のP個の成分へ変換するステップS14の条件データ変換処理において、主成分分析により条件データを変換する処理を示したが、その他の方法を用いて条件データを変換する処理を行う形態であってもよい。例えば、部分的最小二乗(PLS:Partial Least Square)法又は順位付けした独立成分分析を用いてもよい。
PLS法を用いる場合の処理を以下に示す。(1)式の行列Uの各行に関連づけられている各品質データを、品質の不良を示すデータが1、品質の良を示すデータが−1としたM行1列のベクトルYを目的変数とする。目的変数Yの例を下記(12)式に示す。
Figure 0004400253
図4に示すフローチャートにおいて、品質影響要因解析装置1のCPU11は、ステップS144で主成分分析を行う代わりに、PLS法により、(3)式の行列Xと(12)式の目的変数Yとから、P次までの潜在変数Lを計算する。下記(13)式にM行P列の行列である潜在変数Lを示す。
Figure 0004400253
ここで計算された行列Lが、主成分分析での行列Tと同様に互いに無相関なP種類の成分からなる行列である。ステップS145では、CPU11は、行列Lを生成し、更に、L=XW’であるN行P列の変換行列W’を生成する。行列W’は、主成分分析での行列Wと同様に行列Xから行列Lを生成するための行列である。行列L及び行列W’を用いることにより、主成分分析を用いた場合と同様にして本発明の品質影響要因解析方法を実行することができる。
次に、順位付けした独立成分分析を用いる場合の処理を示す。図12は、順位付けした独立成分分析を用いる場合のステップS14の条件データ変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。品質影響要因解析装置1のCPU11は、行列Uに夫々M個含まれる各種類の条件データuj,i (i=1〜N;j=1〜M)の平均Xmi及び分散Xsiを計算し(S1401)、その結果を内部記憶装置14に記憶させ(S1402)、各種類の条件データを平均0及び分散1のデータへスケーリングした成分からなる行列Xを生成する(S1403)。CPU11は、次に、行列Xに含まれるN種類の成分からなるM組のデータについての独立成分分析を行う(S1404)。ここでCPU11は、各行のN種類の成分から、互いに無相関なZ種類の独立成分を計算する。
CPU11は、次に、行列Xの各行について得られたZ個の成分からなるM行Z列の行列Sを生成し、また行列Xに対して後ろから積をとることによって行列Sを生成するN行Z列の行列Φを生成する(S1405)。行列S及び行列Φを下記(14)式に示す。
Figure 0004400253
CPU11は、次に、i=1〜Zとして行列Φの各列を分離した行列φi=(φ1,i φ2,i …φN,iT のノルム‖φi‖を計算する(S1406)。CPU11は、次に、行列Φに含まれる各成分φj,i (i=1〜Z;j=1〜N)を各列の行列のノルム‖φi‖で割った行列Λを生成し(S1407)、S’=XΛである行列S’を生成する(S1408)。行列Λ及び行列S’を下記(15)式に示す。
Figure 0004400253
CPU11は、次に、行列S’の各列に夫々M個含まれる各成分S’j,i (i=1〜Z;j=1〜M)の分散devi(i=1〜Z)を計算する(S1409)。CPU11は、次に、分散deviの降順に行列ΦのZ個の列の内のP個の列を選択し、選択したP個の列を分散deviの降順に並べたN行P列の行列Φ’を生成する(S1410)。行列Φ’を下記(16)式に示す。
Figure 0004400253
例えば、分散devi(i=1〜Z)の内のdev3が最も大きかった場合は、行列Φに含まれる第3列(φ1,3 φ2,3 …φN,3Tが、行列Φ’の第1列(φ’1,1 φ’2,1 …φ’N,1T となる。CPU11は、次に、S”=XΦ’であるM行P列の行列S”を生成する(S1411)。行列S”を下記(17)式に示す。
Figure 0004400253
ここで生成された行列S”が、主成分分析での行列Tと同様に互いに無相関なP種類の成分からなる行列である。また行列Φ’は、主成分分析での行列Wと同様に行列Xから行列S”を生成するための行列である。CPU11は、次に、行列S”及び行列Φ’を内部記憶装置14に記憶させ(S1412)、処理をメインルーチンへ戻す。行列S”及び行列Φ’を用いることにより、主成分分析を用いた場合と同様にして本発明の品質影響要因解析方法を実行することができる。
なお、本実施の形態においては、鋼板製造の熱間圧延プロセスにおける品質影響要因解析の例を示したが、これに限るものではなく、高炉による鉄鋼製造のプロセス又は鋼片の連続鋳造のプロセス等のその他の製造プロセスにおいても本発明の品質影響要因解析方法を適用することが可能である。また、連続鋳造及び熱間圧延などの複数のプロセスをまとめて本発明の品質影響要因解析方法を適用することも可能である。更に、鉄鋼の製造に限ることなく、他の金属製品、機械又は電子機器などのその他の製品の製造に関して、本発明の品質影響要因解析方法を適用することが可能である。
(実施の形態2)
図13は、本発明の品質制御システムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、実施の形態1と同様に熱間圧延により鋼板を製造する熱間圧延プロセスにおいて鋼板の品質を制御する形態を例として、本発明の品質制御方法を説明する。鋼板を製造する熱間圧延プロセスは、実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。実施の形態1の品質影響要因解析システムと同様に、加熱炉31、粗圧延機32、仕上げ圧延機33及び冷却装置34にはプロセス制御装置22が接続されており、また、操業指示装置21、検査装置23及び影響要因DB24が備えられている。検査装置23は、熱間圧延プロセスで製造された鋼板の品質を検査するが、冷却の必要がある等の原因により、鋼板の製造から検査までに数日乃至一ヶ月程度の時間が必要である。影響要因DB24は、本発明の品質影響要因解析方法により得られた、N種類の影響データを成分とするベクトルB、危険閾値Jas、安全閾値Jbs、N種類の条件データの平均Xmi及び分散Xsi(i=1,2,…,N)を記憶している。本発明の品質制御システムは、更に本発明の品質制御装置4を備えている。品質制御装置4には、プロセス制御装置22、操業指示装置21及び影響要因DB24が接続されている。
図14は、本発明の品質制御装置4の内部の機能構成を示す機能ブロック図である。品質制御装置4は、パーソナルコンピュータ又はサーバ装置などの汎用コンピュータを用いて構成されており、本発明の品質予測装置の機能を兼ね備えている。品質制御装置4は、演算を行うCPU(演算部)41と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM(記憶部)42と、CD−ROMドライブ等の外部記憶装置43と、ハードディスク等の内部記憶装置44とを備えている。CPU41は、CD−ROM等の記録媒体40から本発明のコンピュータプログラム400を外部記憶装置43にて読み取り、読み取ったコンピュータプログラム400を内部記憶装置44に記憶させる。コンピュータプログラム400は必要に応じて内部記憶装置44からRAM42へロードされ、ロードされたコンピュータプログラム400に基づいてCPU41は品質制御装置4に必要な処理を実行する。また、品質制御装置4は、操業指示装置21、プロセス制御装置22及び影響要因DB24に接続された入出力部45を備えている。CPU41は、入出力部45を介して必要なデータを操業指示装置21、プロセス制御装置22及び影響要因DB24との間で交換する構成となっている。
なお、本発明のコンピュータプログラム400は、品質制御装置4に接続された図示しない外部のサーバ装置から品質制御装置4へロードされて内部記憶装置44に記憶される形態であってもよい。
内部記憶装置44は、本発明の品質影響要因解析方法により得られた、N種類の影響データを成分とするベクトルB、危険閾値Jas、安全閾値Jbs、N種類の条件データの平均Xmi及び分散Xsi(i=1,2,…,N)を、影響要因DB24から読み出して記憶している。また、ベクトルBが含む影響データの値に応じて品質への影響が大きいと判別されている複数の条件データの内、製造に係る条件を変更することで量を変更可能な条件データと、品質への影響の大きさに応じた条件データの変更の優先順位と、変更可能な条件データの変更範囲とを記録した制御情報を記憶している。制御情報の内容は、ベクトルBが含む影響データの値に応じて品質制御装置4が生成してもよく、また人手で作成して入力してもよい。
次に、フローチャートを用いて、本発明の品質制御方法を説明する。図15は、本発明の品質制御装置4が行う品質を制御する処理の手順を示すフローチャートである。ここで、Jas>Jbsであるとしておく。品質制御装置4のCPU41は、RAM42にロードした本発明のコンピュータプログラム400に従って以下の処理を実行する。CPU41は、熱間圧延プロセスにおいて鋼板を製造する操業に際して、プロセス制御装置22及び操業指示装置21からN個の条件データを入出力部15にて受け付ける(S21)。受け付けたN個の条件データは、ベクトルUa としてRAM42が記憶する。CPU41は、次に、受け付けた各条件データuai(i=1〜N)に対して、内部記憶装置44が記憶しているXmiを減算してからXsiの平方根で除することによって、N個の条件データの夫々をスケーリングする(S22)。スケーリングされた条件データは、ベクトルXa としてRAM42が記憶する。ベクトルUa 及び行列Xa を下記(18)式に示す。
Figure 0004400253
CPU41は、次に、行列Xa と内部記憶装置44が記憶しているベクトルBを用いて、Jn =Xa Bにより判別指標Jn を計算する(S23)。CPU41は、次に、計算した判別指標Jn が、内部記憶装置44が記憶している危険閾値Jasより大きいか否かを判定する(S24)。Jn がJasより大きい場合は(S24:YES)、受け付けた条件データの基で製造される鋼板の品質は不良であると予測されるので、CPU41は、内部記憶装置44が記憶している制御情報の内容に応じて、入出力部45を介して変更可能な条件の変更指示を操業指示装置21又はプロセス制御装置22へ送信して、次に製造される鋼板の品質が良になるように製造の条件を変更させる(S25)。
ステップS24にてJn がJas以下であった場合(S24:NO)、又はステップS25が終了した場合は、CPU41は、熱間圧延プロセスでの鋼板製造の操業が終了したか否かを判定する(S26)。操業が終了していない場合は(S26:NO)、CPU41は、処理をステップS21へ戻して次の条件データを受け付ける。操業が終了している場合は(S26:YES)、CPU41は、処理を終了する。
前述の処理では、Jasを用いて鋼板の品質を予測したが、Jbsを用いて鋼板の品質を予測する処理を行ってもよい。また、Jas及びJbsの両方を用いることにより、Jn がJasよりも大きい場合は品質が不良であると予測し、Jn がJbsよりも小さい場合は品質が良であると予測し、Jn がJasとJbsの間である場合は品質が不良である可能性があるとして所定の制御を行う処理を行ってもよい。また、Jas<Jbsである場合でも、同様にして品質の予測と制御とを行うことが可能である。また、ベクトルB及び制御情報などの処理に必要なデータを内部記憶装置44が記憶している形態を示しているが、必要に応じてデータを影響要因DB24から読み出す形態であってもよい。
以上詳述した如く、本発明においては、本発明の品質影響要因解析方法による解析結果を利用して条件データから製品の品質を予測することにより、品質の検査を早急に行うことができない製品の品質を簡便に予測することができる。製品の品質を予測し、品質の不良が予測される場合は次に製造される製品の品質が良となるように製造の条件を変更する制御を行うことにより、品質を検査するまでに時間を要する製品の不良品が大量に製造されることを防止することができるので、製品の品質の向上及び製品製造の効率の向上が可能となる。
なお、本発明の品質制御方法は、鉄鋼の製造に限ることなく、他の金属製品、機械又は電子機器などのその他の製品の製造に関して適用することが可能である。
(実施の形態3)
実施の形態1に示した品質影響要因解析方法では、影響要因解析処理において線形判別分析の手法を用いているが、その他の分析手法を用いても本発明の品質影響要因解析方法を実現することが可能である。本実施の形態においては、重回帰分析の手法を用いて本発明の品質影響要因解析方法を実現する形態を示す。
本実施の形態に係る品質影響要因解析システムの構成及び品質影響要因解析装置1の構成は図1及び図2に示す実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。但し、検査装置23は、熱間圧延プロセスで製造された鋼板の幅の偏差など、鋼板の品質を数値で示す品質データを取得する構成となっている。
図16は、実施の形態3に係る本発明の品質影響要因解析装置1が行う品質への影響要因を解析する処理の手順を示すフローチャートである。品質影響要因解析装置1のCPU11は、RAM12にロードした本発明のコンピュータプログラム100に従って以下の処理を実行する。CPU11は、鋼板の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データ及び品質データを入力部15にて受け付ける(S31)。CPU11は、次に、受け付けた条件データと当該条件データの基で製造された鋼板の品質を示す品質データとを互いに関連づけて内部記憶装置14に記憶させる(S32)。CPU11は、次に、条件データ及び品質データのサンプリング数Mが条件データの種類の数N以上であるか否かを判定する(S33)。サンプリング数MがNよりも小さい場合は(S33:NO)、CPU11は、処理をステップS31へ戻し、次に製造される鋼板の条件データ及び品質データを受け付ける。なお、ステップS33では、サンプリング数MがNより大きい所定数以上であるか否かを判定する処理を行ってもよい。内部記憶装置14は、実施の形態1と同様にして条件データをM行N列の行列Uとして記憶し、品質データをベクトルVとして記憶している。行列Vを下記(19)式に示す。
Figure 0004400253
ステップS33にて、サンプリング数MがN以上である場合は(S33:YES)、CPU11は、内部記憶装置14に記憶しているN種類の条件データをP<Nである互いに無相関なP種類の成分へ変換する条件データ変換処理を行う(S34)。CPU11は、ステップS34において、図4に示す如き実施の形態1と同様の処理を行い、(1)式に示すM行N列の行列Uから、(3)式に示すM行N列の行列X、(5)式に示すM行P列の行列T及びN行P列の行列Wを生成する。
CPU11は、次に、行列Tに含まれるP種類の成分の内いずれの成分が鋼板の品質へのより大きい影響要因となっているかを重回帰分析の手法を用いて解析する影響要因解析処理を行う(S35)。図17は、ステップS35の影響要因解析処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。
CPU11は、行列VにM個含まれる品質データvi (i=1〜M)の平均Vm 及び分散Vs を計算し(S351)、計算した平均Vm 及び分散Vs を内部記憶装置14に記憶させる(S352)。CPU11は、次に、平均Vm 及び分散Vs を用いて品質データを平均0及び分散1のデータへ変換した成分からなるベクトルYを生成する(S353)。ベクトルYを下記(20)式に示す。
Figure 0004400253
CPU11は、次に、行列Tを説明変数とし、ベクトルYを目的変数とした重回帰分析により、重回帰の結果であるYの推定値Y’をY’=TAで表すことができる回帰係数のベクトルAを計算する(S354)。ここでCPU11は、回帰係数のベクトルAを下記(21)式を用いて計算する。
Figure 0004400253
ベクトルAの各成分は、行列Tに含まれるP種類の成分の夫々の品質への回帰係数であるので、Yの推定値Y’が充分な推定精度で推定されていれば、回帰係数の比較により各成分の品質への影響の度合いが分かる。ベクトルAの各成分は、本発明に係る影響指標である。
CPU11は、次に、回帰係数のベクトルAを内部記憶装置14に記憶させ(S355)、影響要因解析処理を終了して処理をメインルーチンへ戻す。
CPU11は、次に、条件データの内のいずれが品質への影響要因となっているかを明らかにするために、回帰係数のベクトルAをN個の影響データへ変換する解析結果変換処理を行う(S36)。図18は、ステップS36の解析結果変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は、内部記憶装置14が記憶している回帰係数のベクトルA、及びステップS34にて生成した行列WをRAM12へ読み出し(S361)、ベクトルB=WAを計算する(S362)。CPU11は、次に、計算したベクトルBを内部記憶装置14に記憶させ(S363)、解析結果変換処理を終了して処理をメインルーチンへ戻す。ベクトルBのN個の成分が本発明に係る影響データである。実施の形態1と同様にベクトルBの各成分の値に対応して、N種類の条件データの品質への影響の度合いが明らかとなる。
CPU11は、次に、N種類の影響データを成分とするベクトルB、ステップS34の条件データ変換処理で計算したN種類の条件データの平均Xmi及び分散Xsi(i=1,2,…,N)、並びにステップS35で計算した品質データの平均Vm 及び分散Vs を、出力部16から出力して影響要因DB24に記憶させ(S37)、処理を終了する。影響要因DB24が記憶したデータを用いて、操業の際に得られた条件データから品質データの推定値を計算し、計算した推定値を本発明に係る判別指標として用いることにより、実施の形態2と同様の品質の予測及び制御が可能となる。
なお、本実施の形態においては、主成分分析と重回帰分析との手法を用いて本発明の品質影響要因解析方法を実施する形態を示したが、PLS法を用いて本発明の品質影響要因解析方法を実施する形態であってもよい。この場合は、Yの推定値Y’をY’=LAで表すことができる潜在変数L及び回帰係数のベクトルAを計算し、L=XW’である行列W’を用いて影響データを計算する。
次に、本実施の形態に係る品質影響要因解析方法を用いた解析結果を示す。品質データとして、熱延コイルの長手方向での疵発生割合を用いた。条件データは13種類であり、サンプリング数Mは13とした。このデータに対して、P=3としてPLSを行い、疵発生割合の回帰式を作成した。図19は、Yの成分とYの推定値との対応をグラフ上で示した特性図である。横軸はベクトルYの各成分の値を示し、縦軸は各成分に対応する推定値を示す。各データが傾き1の直線上にほぼ乗っているので、予測精度が比較的良好であることがわかる。図20は、夫々の条件データに対応する回帰係数の値をヒストグラムで示した特性図である。横軸には条件データを配列してあり、縦軸はそれらの条件データに対応する回帰係数の値を示す。図20中に示すように、品質に対して、材料に添加している成分1の影響が大きいことがわかる。そこで成分1の添加量を減らすことで疵発生割合が低下した。
以上詳述した如く、重回帰計算の手法を用いた場合でも本発明の品質影響要因解析方法を実現することが可能であり、実用的な品質影響要因の解析が可能となる。
(実施の形態4)
実施の形態2に示した品質制御方法では、品質のフィードバック制御を行っているが、品質のフィードフォワード制御を行うことも可能である。本実施の形態においては、品質のフィードフォワード制御を行う本発明の品質制御方法を実現する形態を示す。
図21は、実施の形態4に係る品質制御システムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、高炉51、転炉52、連続鋳造機53、熱間圧延プロセス54及び冷間圧延プロセス55の各工程を経て製造される鉄鋼の品質を制御するシステムを例として本発明の品質制御方法を説明する。本実施の形態に係る品質制御システムには、操業指示装置21が備えられている。操業指示装置21は、各工程に設置されているプロセス制御装置22に接続されており、更に上位の図示しないホストコンピュータに接続されている。操業指示装置21は、ホストコンピュータから製造すべき製品の規格を受け付け、各プロセス制御装置22に対して操業指示を与え、更に各工程での操業データ等の条件データを各プロセス制御装置22から取得する。また、製造された鉄鋼の品質を検査する検査装置23が備えられている。更に、影響要因DB24が備えられている。影響要因DB24は、操業指示装置21及びプロセス制御装置22,22から得られた条件データと検査装置24から得られた品質データとから本発明の品質影響要因解析方法を用いて得られた種類の影響データを成分とするベクトルB等のデータを記憶している。
操業指示装置21、プロセス制御装置22,…及び影響要因DB24には、本実施の形態に係る品質制御装置4が接続されている。品質制御装置4の内部の構成は図14に示した実施の形態2の場合と同様であるのでその説明を省略する。
図22は、実施の形態4に係る品質制御装置4が行う品質を制御する処理の手順を示すフローチャートである。ここで、Jas>Jbsであるとしておく。品質制御装置4のCPU41は、RAM42にロードした本発明のコンピュータプログラム400に従って以下の処理を実行する。CPU41は、連続鋳造機53の工程までの条件データ等のような、鉄鋼を製造する全ての工程の内の途中までの工程で得られた複数の条件データを入出力部45にて受け付ける(S41)。CPU41は、次に、受け付けた各条件データに対して、内部記憶装置44が記憶しているXmiを減算してからXsiの平方根で除することによって、受け付けた複数の条件データの夫々をスケーリングする(S42)。
CPU11は、次に、受け付けてスケーリングされた条件データと、まだ受け付けていない条件データに対応する平均的なデータの値とを用いて、ベクトルXa を生成し、行列Xa と内部記憶装置44が記憶しているベクトルBとを用いて、Jn =Xa Bにより判別指標Jn を計算する(S43)。CPU41は、次に、計算した判別指標Jn が、内部記憶装置44が記憶している危険閾値Jasよりも大きいか否かを判定する(S44)。Jn がJasよりも大きい場合は(S44:YES)、受け付けた条件データの基で途中まで製造された鉄鋼は完成した時点で品質が不良となっていることが予測されるので、CPU41は、内部記憶装置14が記憶している制御情報の内容に応じて、入出力部45を介して変更可能な条件の変更指示を操業指示装置21又はプロセス制御装置22,22へ送信して、現在予測されている品質不良を相殺するように、受け付けた条件データに係る工程以降の工程での製造の条件を変更させる(S45)。
ステップS44にてJn がJas以下であった場合(S44:NO)、又はステップS45が終了した場合は、CPU41は、鉄鋼製造の操業が終了したか否かを判定する(S46)。操業が終了していない場合は(S46:NO)、CPU41は、処理をステップS41へ戻して次の鉄鋼に係る条件データを受け付ける。操業が終了している場合は(S46:YES)、CPU41は、処理を終了する。なお、以上の処理で判別指標として品質データの推定値を用いる形態であってもよい。
以上の如く、本発明においては、製品の品質のフィードフォワード制御を行い、製品製造の途中で品質の不良が予測される場合に不良が相殺されるように品質を制御することができる。これにより、製品の品質の不良率を減少させることができるので、製品の品質の向上及び製品製造の効率の向上が可能となる。
なお、本発明の品質制御方法は、鉄鋼の製造に限ることなく、他の金属製品、機械又は電子機器などのその他の製品の製造に関して適用することが可能である。また、複数の工場での操業を経て製造される製品についても本発明を適用することが可能であり、途中の工場までで製造された半製品の段階で製品の品質の不良が予測される場合に、以降の工場での操業で不良が相殺されるように品質を制御することも可能となる。
本発明の品質影響要因解析システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の品質影響要因解析装置の内部の機能構成を示す機能ブロック図である。 本発明の品質影響要因解析装置が行う品質への影響要因を解析する処理の手順を示すフローチャートである。 ステップS14の条件データ変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。 ステップS15の影響要因解析処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。 線形判別分析によるデータ分離のイメージを示す模式図である。 ステップS16の解析結果変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。 73個の条件データを利用して計算した判別指標のヒストグラムを示す特性図である。 73個の条件データを利用した線形判別分析によって得られた影響データの値を棒グラフで示した特性図である。 P=10とした本発明の品質影響要因解析方法を用いて計算した判別指標のヒストグラムを示す特性図である。 P=10とした本発明の品質影響要因解析方法を用いて得られた73個の影響データの値を棒グラフで示した特性図である。 順位付けした独立成分分析を用いる場合のステップS14の条件データ変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の品質制御システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の品質制御装置の内部の機能構成を示す機能ブロック図である。 本発明の品質制御装置が行う品質を制御する処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る本発明の品質影響要因解析装置が行う品質への影響要因を解析する処理の手順を示すフローチャートである。 ステップS35の影響要因解析処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。 ステップS36の解析結果変換処理のサブルーチンの処理の手順を示すフローチャートである。 Yの成分とYの推定値との対応をグラフ上で示した特性図である。 夫々の条件データに対応する回帰係数の値をヒストグラムで示した特性図である。 実施の形態4に係る品質制御システムの構成例を示すブロック図である。 実施の形態4に係る品質制御装置が行う品質を制御する処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 品質影響要因解析装置
11 CPU(演算部)
12 RAM(記憶部)
10、40 記録媒体
100、400 コンピュータプログラム
21 操業指示装置
22 プロセス制御装置
23 検査装置
4 品質制御装置(品質予測装置)
41 CPU(演算部)
42 RAM(記憶部)

Claims (19)

  1. 記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造における品質への影響要因を解析する方法において、
    製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データと該条件データに応じて製造された製品の品質を示す品質データとをM回(Mは自然数)サンプリングしてサンプリング毎に互いに関連づけたM通りの前記N種類の条件データ及び前記品質データを、前記記憶部で記憶するステップと、
    前記記憶部で記憶するM通りの前記N種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ前記演算部で変換する変換ステップと、
    前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を多変量解析により前記演算部で計算する影響指標計算ステップと、
    前記演算部で前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換した方法に応じた方法で前記P個の影響指標を逆にN個のデータへ変換することによって、前記N種類の条件データに関連づけられている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを求めるステップと
    を含むことを特徴とする品質影響要因解析方法。
  2. 記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造における品質への影響要因を解析する方法において、
    製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを、製造された製品の品質を示す品質データに関連づけて、各条件データ毎のM個(Mは自然数)のサンプリングデータからなるM行N列の行列Uとして前記記憶部で記憶するステップと、
    前記記憶部で記憶する夫々M個のN種類の条件データをM個の平均及び分散が夫々所定値になるようにスケーリングしたM行N列の行列Xを前記演算部で生成するステップと、
    前記演算部でスケーリングしたN種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換することにより、行列XをM行P列の行列Tへ前記演算部で変換する変換ステップと、
    前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を成分とするベクトルAを多変量解析により前記演算部で計算する影響指標計算ステップと、
    T=XWであるN行P列の行列Wを用いてベクトルB=WAを計算することにより、前記P個の影響指標から、前記N種類の条件データに関連づけられている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを成分とするベクトルBを前記演算部で計算するステップと
    を含むことを特徴とする品質影響要因解析方法。
  3. 前記変換ステップでは、前記演算部でPの値を品質の変化が認められる品質データの数以下にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の品質影響要因解析方法。
  4. 前記変換ステップでは、前記演算部で主成分分析を用いて前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の品質影響要因解析方法。
  5. 前記変換ステップ及び前記影響指標計算ステップでは、前記演算部で部分的最小二乗法を用いて前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の品質影響要因解析方法。
  6. 前記変換ステップでは、前記演算部で独立成分分析を用いて前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の品質影響要因解析方法。
  7. 前記影響指標計算ステップでは、前記演算部で線形判別分析を用いて前記P個の影響指標を計算することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の品質影響要因解析方法。
  8. 前記影響指標計算ステップでは、前記演算部で重回帰分析を用いて前記P個の影響指標を計算することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の品質影響要因解析方法。
  9. 記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測する方法において、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の影響要因解析方法により求められた、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データを前記記憶部で記憶するステップと、
    製品の製造において得られた前記N種類の条件データを前記記憶部で記憶するステップと、
    前記記憶部で記憶している前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を前記演算部で計算するステップと、
    前記演算部で計算した判別指標の値に応じて製品の品質を前記演算部で予測するステップと
    を含むことを特徴とする品質予測方法。
  10. 記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御する方法において、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の影響要因解析方法により求められたN(Nは自然数)個の影響データが示す製品の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データの夫々の品質への影響に応じた、製品の製造に係る変更可能な条件の内の変更の優勢度が高い条件を指定する制御情報を前記記憶部で記憶するステップと、
    前記記憶部で記憶している前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を前記演算部で計算するステップと、
    前記演算部で計算した判別指標の値に応じて、前記制御情報が指定する前記条件の変更を前記コンピュータの外部へ前記演算部で指示するステップと
    を含むことを特徴とする品質制御方法。
  11. 製品の製造における品質への影響要因を解析する装置において、
    製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データと該条件データに応じて製造された製品の品質を示す品質データとをM回(Mは自然数)サンプリングしてサンプリング毎に互いに関連づけたM通りの前記N種類の条件データ及び前記品質データを記憶する手段と、
    該手段が記憶するM通りの前記N種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換する変換手段と、
    該手段が変換した前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を多変量解析により計算する影響指標計算手段と、
    前記変換手段が前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換した方法に応じた方法で前記P個の影響指標を逆にN個のデータへ変換することによって、前記N種類の条件データに関連づけれている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを求める手段と
    を備えることを特徴とする品質影響要因解析装置。
  12. 製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測する装置において、
    請求項11に記載の品質影響要因解析装置が求めた、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データを記憶する影響データ記憶手段と、
    製品の製造において得られた前記N種類の条件データを記憶する条件データ記憶手段と、
    該手段が記憶している前記N種類の条件データと前記影響データ記憶手段が記憶している前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算する手段と、
    該手段が計算した判別指標の値に応じて製品の品質を予測する手段と
    を備えることを特徴とする品質予測装置。
  13. 製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御する装置において、
    請求項11に記載の品質影響要因解析装置が求めたN(Nは自然数)個の影響データが示す製品の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データの夫々の品質への影響に応じた、製品の製造に係る変更可能な条件の内の変更の優勢度が高い条件を指定する制御情報を記憶する手段と、
    該手段が記憶している前記N種類の条件データと前記影響データ記憶手段が記憶している前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算する手段と、
    該手段が計算した判別指標の値に応じて、前記制御情報が指定する前記条件の変更を外部へ指示する手段と
    を備えることを特徴とする品質制御装置。
  14. 製品の製造における品質への影響要因を解析するシステムにおいて、
    請求項11に記載の品質影響要因解析装置と、
    製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを取得する取得手段とを有し、
    前記影響要因解析装置は、前記取得手段が取得した前記N種類の条件データを受け付ける手段を備える
    ことを特徴とする品質影響要因解析システム。
  15. 製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測するシステムにおいて、
    請求項12に記載の品質予測装置と、
    製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを取得する取得手段とを有し、
    前記品質予測装置は、前記取得手段が取得した前記N種類の条件データを受け付ける手段を備える
    ことを特徴とする品質予測システム。
  16. 製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御するシステムにおいて、
    請求項13に記載の品質制御装置と、
    製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データを取得する取得手段と、
    製品の製造に係る各種の条件の内の変更可能な条件を変更する変更手段とを有し、
    前記品質制御装置は、前記取得手段が取得した前記N種類の条件データを受け付ける手段を備え、
    前記変更手段は、
    前記品質制御手段から所定の条件の変更の指示を受け付ける手段と、
    該手段が受け付けた前記指示に従って前記条件を変更する手段と
    を備えることを特徴とする品質制御システム。
  17. 製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データと該条件データに応じて製造された製品の品質を示す品質データとをM回(Mは自然数)サンプリングしてサンプリング毎に互いに関連づけたM通りの前記N種類の条件データ及び前記品質データを記憶するコンピュータに、製品の製造における品質への影響要因を解析させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、M通りの前記N種類の条件データを、前記品質データが関連づけられた状態で、P<Nである互いに無相関なP種類(Pは自然数)の成分へ変換させる手順と、
    コンピュータに、前記P種類の成分に関連づけられている品質データが示す品質に対する前記P種類の成分の夫々の影響を示すP個の影響指標を多変量解析により計算させる手順と、
    コンピュータに、前記N種類の条件データを前記P種類の成分へ変換した方法に応じた方法で前記P個の影響指標を逆にN個のデータへ変換することによって、前記N種類の条件データに関連づけられている品質データが示す品質に対する前記N種類の条件データの夫々の影響を示すN個の影響データを計算させる手順と
    を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
  18. 請求項1乃至8のいずれかに記載の品質影響要因解析方法により求められた、製品の製造に係る各種の条件を示すN種類(Nは自然数)の条件データの夫々の品質への影響を示すN個の影響データ、及び製品の製造において得られた前記N種類の条件データを記憶するコンピュータに、製品の製造に係る各種の条件から製品の品質を予測させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算させる手順と、
    コンピュータに、計算した判別指標の値に応じて製品の品質を予測させる手順と
    を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
  19. 請求項1乃至8のいずれかに記載の品質影響要因解析方法により求められたN(Nは自然数)個の影響データが示す製品の製造に係る各種の条件を示すN種類の条件データの夫々の品質への影響に応じた、製品の製造に係る変更可能な条件の内の変更の優勢度が高い条件を指定する制御情報を記憶するコンピュータに、製品の製造に係る各種の条件の変更を指示することにより製品の品質を制御させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、前記N種類の条件データと前記N個の影響データとの互いに対応する成分同士の積の和により、品質を判別するための値である判別指標を計算させる手順と、
    コンピュータに、計算した判別指標の値に応じて、前記制御情報が指定する前記条件の変更を前記コンピュータの外部へ指示させる手段と
    を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
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