JP2008055443A - 金属材料の材質分析方法および材質安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理工程から出力された段階での材質を安定化させる材質分析方法および材質安定化方法を提供する。
【解決手段】複数の処理工程を経て製造される金属材料を分析する方法において、各処理工程に配設されている検出手段若しくは制御手段によって検出若しくは制御された処理条件データと、製品試験を行うことにより得られた製品試験データとを、製造された製品毎に対応付けて記録し、製品試験データとしての品質合否を数値化し、処理条件データについては階層に分類するとともに階層ランク値に置き換え、階層ランク値を製品単位で複数または全数組み合わせ、組み合わされた階層ランク値と製品試験データの散布図を作成し、両データにおける相関の有無を判定することを特徴とする。
【選択図】図15
【解決手段】複数の処理工程を経て製造される金属材料を分析する方法において、各処理工程に配設されている検出手段若しくは制御手段によって検出若しくは制御された処理条件データと、製品試験を行うことにより得られた製品試験データとを、製造された製品毎に対応付けて記録し、製品試験データとしての品質合否を数値化し、処理条件データについては階層に分類するとともに階層ランク値に置き換え、階層ランク値を製品単位で複数または全数組み合わせ、組み合わされた階層ランク値と製品試験データの散布図を作成し、両データにおける相関の有無を判定することを特徴とする。
【選択図】図15
Description
本発明は、複数の処理工程を経て製造される板材、棒材、線材、押出し材等の金属材料について、処理工程から出力された段階での材質を安定化させるのに好適な材質分析方法および材質安定化方法に関するものである。
従来、燃費の向上や軽量化を図ることを目的として、自動車用の鉄鋼材料やアルミ合金等の構造材料について高強度化が行われている。
上記構造材料の素材となる鋼板を製造するラインでは、温度、荷重等の処理条件をモニタリングする管理ポイントが要所に設けられており、各管理ポイントに備えられた複数のセンサによって検出される処理条件を管理することで従来から材質の安定化が図られている(例えば、特許文献1参照)。
処理条件の管理は上記したように従来から行われており所定の製品仕様を満足し得るレベルまで到達しているが、それ以上に精度の高い管理を行うためには試行錯誤で適切な操業条件を見つけだすという作業が必要になる。
なぜなら、製造ラインでは製品の材質に影響を与える様々な変動因子が存在し、しかもこれらの変動因子が相互に影響し合って材質に影響を与えているという複雑な事情があるからである。
例えば、製品の材質に影響を与える複数の因子のうちの1つの因子について条件を3段階に変えて実機による製造実験を行った場合、他の因子が一定であれば、1つの因子によって材質が受ける影響を把握することができる。しかしながら、実際は他の因子が常に一定であることは限らない。
また、製造ライン上に配置されている各種センサによって測定される鋼板の温度は上記因子となるが、例えば加熱工程においては鋼板が高温でしかも高速で走行しているため測定誤差が含まれる。また、信頼性を高めるのには多数の測定結果が必要となり、測定結果の多いことも因子の特定を困難にしている。
特許第2509481号公報
熱間圧延プロセスにおいて鋼中に発生する金属学的現象は強度、伸び等の材料特性に大きな影響を及ぼし、また、鋼表面に発生する現象は製品の表面品質に大きな影響を与えるため、これらの現象に影響を与える因子を特定することは高品質で特性が安定した製品を製造する上で重要な課題となっている。
強度等のように材料特性と直接相関のある因子を特定して材料を安定化させる方法を本発明の発明者は先に提案している(特願2005−077706)。しかしながら、因子が材料特性と直接相関のないまたは影響度合いが非常に小さい場合、或いはプロセス全般にわたって因子が材料特性に影響を受けているような場合については、材質を安定化させる方法が確立されていなかった。
本発明は以上のような従来の材質管理方法における課題を考慮してなされたものであり、処理工程に配設されている各種センサから検出される多数の処理条件データから材質に影響を与える変動因子を効率良く特定し、処理条件における調整項目として選択することができる金属材料の材質分析方法および材質安定化方法を提供することにある。
本発明は、複数の処理工程を経て製造される金属材料を分析する方法において、各処理工程に配設されている検出手段若しくは制御手段によって検出若しくは制御された処理条件データと、製品試験を行うことにより得られた製品試験データとを、製造された製品毎に対応付けて記録し、上記製品試験データとしての品質合否を数値化し、上記処理条件データについては階層に分類するとともに階層ランク値に置き換え、上記階層ランク値を製品単位で複数または全数組み合わせ、組み合わされた上記階層ランク値と上記製品試験データの散布図を作成し、両データにおける相関の有無を判定する金属材料の材質分析方法である。
本発明の金属材料の材質分析方法において、処理条件データを階層に分類するための変換テーブルを参照することにより、複数の処理工程から検出される各処理条件データを階層ランク値に置き換え、製品単位で上記階層ランク値を複数または全数合計することにより上記処理条件データを組み合わせることができる。
本発明の金属材料の材質分析方法において、上記階層ランク値の合計が同じもの同士を因子グループとして分類し、各因子グループ毎に上記品質合否を数値化し、その結果を因子グループの構成数で除算することにより各因子グループの品質合否平均値を求め、上記因子グループにおける上記階層ランク値の合計と上記品質合否平均値の散布図を作成することができる。
本発明の金属材料の材質分析方法において、上記処理条件データの一具体例としては、鉄系金属材(鋼材等)、非鉄系金属材(アルミニウム,チタン,銅等)の圧延、押出、熱処理、冷却のいずれかの最終工程の温度が示される。
本発明は、複数の処理工程を経て製造される金属材料について製造された段階での材質を安定化させる金属材料の安定化方法において、上記材質分析方法によって得られた散布図から相関式を求め、この相関式に基づいて所定の製品試験データを満足する処理条件データの組み合わせ情報を得る金属材料の材質安定化方法である。
本発明は、複数の処理工程を経て製造される金属材料を分析する方法において、各処理工程に配設されている検出手段によって検出された処理条件データおよび各処理毎のサンプリング試験によって得られた試験データに基づき、上記処理条件データと上記試験データの散布図を作成し、各散布図における上記処理条件データについてデータ幅を所定の間隔に分割して階層化し、各階層内で上記試験データの平均値を算出し、算出された上記平均値に基づいて相関式を求めることにより相関の有無を判定し、相関の認められなかった場合に、さらに上記の材質分析方法を行う金属材料の材質分析方法である。
なお、本発明における製品試験データとは、製造された製品の材料特性が示され、この材料特性には品質の合否、金属の組織状態、具体的には、鋼材組織の分率も含まれる。
本発明の材質分析方法および材質安定化方法によれば、処理工程に配設されている各種センサから検出される多数の処理条件データから材質に影響を与える変動因子を効率良く特定し、処理条件における調整項目として選択することができる。
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、金属材料としての鋼板を製造するラインにおいて、そのラインの中の一つの処理工程として連続式亜鉛めっき設備を示したものである。
同図において、払い出しリール1から連続的に巻き解かれる鋼板2は、入側洗浄装置3によって表面が洗浄され、予熱炉4に送られ、次に加熱炉5にて鋼板表面の酸化鉄の還元が行なわれる。次いで鋼板は徐冷炉6、調整炉7を経て溶融亜鉛ポット8に浸漬される。
亜鉛浴を通過した鋼板は上方に引き上げられ、合金化炉9で合金化処理され、鋼板表面に亜鉛めっき層が強固に密着する。
次いで亜鉛めっき鋼板は冷却装置10で冷却され、乾燥された後、巻取リール11に巻き取られる。
このような亜鉛めっき設備においては、めっき前、めっき処理中、めっき後の各処理温度によって鋼板の材質が変化する。
具体的には、加熱炉5における加熱温度によって鋼板の材質が変化し、溶融亜鉛ポット8の亜鉛浴温度によっても材質が変化し、さらには、合金化炉9における合金化温度によっても材質が変化する。
このような亜鉛めっき設備の各プロセスにおける処理条件をモニタリングする方法として、図2に示すような散布図が従来から作成されている。
同図において、横軸は溶融亜鉛ポット8に入る前の加熱温度を示しており、縦軸は延性(穴拡げ性λ)を示している。
上記鋼板温度は、亜鉛めっき処理前の加熱炉5における管理ポイントに配設されている複数の温度センサによって検出されるようになっており、また、延性は亜鉛めっき設備から出力される段階でサンプリングされた鋼板を測定することによって試験データとして求められる。
したがって上記散布図を分析すれば、変動因子としての加熱温度と金属材料特性である延性との相関関係を解析することができる。
なお、測定の信頼性を高めるため延性データは散布図中に多数プロットされる。これは、例えば高速で走行する鋼板の表面温度を非接触で測定する場合、センサを介して測定される測定温度と実際の鋼板温度との間に測定誤差が含まれることは避けられないからであり、絶えず変動する環境条件の中ではそれらの温度間で相関を求めることも現実的には不可能である。そこで、プロット数を増やして散布図を作成し、全体として傾向を把握するという手法が従来から採られている。
例えば図3の(a)や(b)に示す散布図のように変動因子と特性の間に明かな相関があるような場合には変動因子を調整することによって材料の特性も制御することができる。
図3の(a)や(b)に示す散布図では、プロットした点の全体に右下がりの傾向が見られ、変動因子の値を大きくする(X軸上で右)ことで特性値を小さく(Y軸上で下)することができる。
このような場合、散布図から材質を支配している変動因子を特定することができ、その変動因子を処理条件の調整項目として選択することで材料の特性を制御することができる。
ところが、図3の(c)に示されるような散布図が得られた場合、変動因子と特性との間に相関関係があるかどうかを判断することは不可能になる。
従来の解析手法によると、縦軸方向に分散した特異点(他のプロット点に比べて大きく外れた点)があると、その特異点の存在によって散布図が縦軸方向に幅広く分散してしまい傾向の有無を判断することができなくなる。
本発明の材質安定化方法は、散布図による単純な解析では変動因子の抽出が困難であるような場合であっても、材質に影響を与える変動因子を特定できるようにするものであり、詳しくは、プロセス毎に散布図を作成し相関関係を分析してもなお変動因子を特定することができないような場合に適用されるものである。
まず、上記プロセス毎に散布図を作成し相関関係を分析する分析方法から説明する。
図4は上記分析方法に使用する装置の基本構成をブロック図で示したものである。
なお、説明を簡単にするため、同図では各製造ラインで測定されるプロセス因子データと成分因子データと前工程因子データとをそれぞれ一つ代表的に選択している。
鋼板を製造するラインの処理工程には、連続焼鈍炉、連続めっきライン、バッチ焼鈍炉、熱間圧延設備、冷間圧延設備、押出し設備等の各製造設備が配置されており、各製造設備の管理ポイント毎に温度、荷重或いは応力(プロセス因子)等の処理条件をモニタリングするためのセンサが設けられている。
例えば、表面処理ラインでは、亜鉛めっき処理前の加熱炉5における管理ポイントに複数の温度センサSa1〜Sanが設けられており、これらの複数の温度センサSa1〜Sanから出力される加熱温度信号はセンサ位置を表す位置情報が付加され、材質安定化装置20のプロセス因子データ蓄積部20aに与えられる。
プロセス因子データ蓄積部20aは、位置情報と対応する位置インデックスを有し、与えられた位置情報に該当する位置インデックスに加熱温度データを順次蓄積する。
また、製品の成分分析値、例えば鋼材中のC、Si、Mn、P、S等の成分濃度を示す成分因子データはセンサSb1〜Sbnによって検出され成分因子データ蓄積部20bに順次蓄積される。
さらに、熱間圧延等の前工程因子データはセンサSc1〜Scnによって検出され前工程因子データ蓄積部20cに順次蓄積される。
以前の処理条件データとして予め設定された期間にわたって各変動因子データがプロセス因子データ蓄積部20a、成分因子データ蓄積部20b、前工程因子データ蓄積部20cにそれぞれ蓄積されると、散布図作成部20dは管理ポイント毎に散布図を作成する。
例えば図2に示したような加熱温度と延性の相関について散布図を作成する。ただし、延性は、ある処理工程から出力された段階でサンプリングされた鋼板を試験した結果として得られるものとする。
散布図作成部20dによって散布図が作成されると、次いで階層化処理部20eは、図2に示した変動因子(加熱温度)の横軸を適当な間隔に分割し階層化する。
なお、階層化するにあたっては各階層内で十分なサンプル数nが確保できるように階層の数を決定する。具体的には本実施形態では22階層、サンプル数nを5点以上とした。次いで階層化処理部20eは各階層内での平均値を求める。
図5は図2に示した散布図を階層化したものである。
図中×印は階層化内のプロット点を示しており、Aは各階層内のプロット点の値を平均した平均値を示している。これらの平均値は各階層での材質の期待値となる。
図6〜図8は各管理ポイント毎に測定された因子データを階層化処理部20eによって階層化処理した具体例を示したものである。
図6のプロセス因子を表すグラフにおいて、各グラフの横軸は温度を示し、縦軸は強度を示している。
ある管理ポイントで測定された「温度1」では温度が上昇するにつれて強度が低下する傾向がある。別の管理ポイントで測定された「温度2」についても「温度1」に比べると勾配は緩やかなものの、温度が上昇するにつれて強度が低下する傾向がある。「温度5」については勾配は緩やかなものの、温度が上昇するにつれて強度も上昇する傾向がある。「温度3」、「温度4」、「温度6」については相関関係がなく分析の対象外となる。
また、図7の成分因子を表すグラフにおいて、各グラフの横軸は成分を示し、縦軸は強度を示している。
鋼材の成分中、「C」はその濃度が高くなるにつれて強度が高くなる傾向があり、「Mn」は「C」に比べると勾配は緩やかなものの、濃度が高くなるにつれて強度が高くなる傾向がある。「Si」,「P」,「S」では相関関係がなく、分析の対象外となる。
また、図8の前工程因子を表すグラフにおいて、各グラフの横軸は温度を示し、縦軸は強度を示している。前工程因子のグラフではいずれも相関関係がなく、分析の対象外となる。
次に、材質分析装置20の相関式算出部20fは上記階層化された各グラフで求められた平均値に基づいて期待直線(回帰直線)を求める。
図9は図5で得られた平均値から回帰直線Bを求めた例を示したものである。
同図に示す回帰直線Bの傾きθは鋼板の材質に影響を及ぼす感度となる。
材質変動因子抽出部20gは、図6〜図8に示した散布図の中から有意性のある回帰直線が求められた変動因子、すなわち相関関係の認められた変動因子を抽出し、抽出された変動因子は抽出因子記憶部20hに記憶される。
処理条件出力部20iは、抽出因子記憶部20hに記憶されている変動因子について回帰直線の傾きθの大きいものから並び替えて優先順位を付け、並び替えた変動因子のうち優先順位の高い因子(傾きθの大きい変動因子)を、鋼板の材質に影響を与える因子として製造ラインのプロセスコンピュータ21に出力する。
上記材質変動因子抽出部20g、抽出因子記憶部20h、処理条件出力部20iは相関の認められた因子を抽出するとともに、その抽出した因子を材質に影響を与える因子として次回の処理条件における調整項目に設定する設定部として機能する。
プロセスコンピュータ21では処理条件出力部20iから出力された変動因子を処理条件における調整項目として選択し、調整することにより、例えば現状の加熱温度を10℃下げるといった調整を行なう。
この調整によって材質に変化がなく所望する鋼板が得られなかった場合は、プロセスコンピュータ21から処理条件出力部20iに対して変動因子要求指令が与えられ、処理条件出力部20iは優先順位2番目の変動因子を読み出し、鋼板の材質に影響を与える因子として再度、プロセスコンピュータ21に出力する。
所望する材質が得られるまで、処理条件出力部20iは優先順位の高いものから順番に変動因子を読み出し、プロセスコンピュータ21に与える。
図10は上記分析方法によって得られる効果を示したグラフである。
同図に示すグラフは鋼材の延性の指標を示し、縦軸は頻度を示している。
材質安定化を行う前の鋼材はその延性(白抜きで示した棒グラフ)が5.5ポイント(5.5%)の範囲でばらついていたが、本発明の材質安定化を行えばその延性(黒塗りで示した棒グラフ)が3.5ポイント(3.5%)の範囲に収まり、材質安定化を図ることができる。
次に、本発明の材質分析方法について説明する。
本発明の材質分析方法は、上記階層化処理によってもなお、相関関係が認められないような場合に適用される。
以下、図11〜15を参照しながら上記材質分析方法について説明する。
図11はプロセスA〜Dを経て製造される各鋼板(本実施形態では製品番号1〜201)について各プロセス毎の点数判定結果と合格値とを記録したものである。
なお、上記プロセスとは、例えば熱間圧延を例に取ると、加熱炉で所定温度に加熱されたスラブを、数基の圧延機で連続的に加工した後に、所定厚さの製品コイルとして巻き取る一連の工程を意味しており、プロセスAは加熱炉における加熱工程、プロセスBは圧延工程、プロセスCは冷却工程、プロセスDは巻取工程を示している。
表の第1列は製品番号を、第2〜4列のA〜Dはプロセスを、第5列は製品試験データとしての製品の合格値をそれぞれ示している。なお、合格値では1を合格、0を不合格とし、例えば製造された2枚の鋼板のうち一方が合格、他方が不合格の場合は1/2=0.5を合格値とし、品質合否の数値化を図っている。
なお、この場合の合格とは例えば表面品質における硬さが挙げられる。
また、上記A〜Dの各欄内の数値は、図12に示す点数判定表に基づいて決定される。
同図に示す点数判定表は、プロセスA〜Dについてそれぞれ処理条件データとしての温度条件を階層に分類、具体的には5段階(点数1〜5)に分類しており、この点数判定表を使用することにより、製造された鋼板がどの温度条件で実施されたかを簡単な点数(階層代表値)に置き換えることができる。
例えば製品番号1の鋼板は、プロセスAでは点数が1であるから1100℃以下の温度で処理され、プロセスBでは点数が2であるから800〜850℃の温度範囲内で処理され、プロセスCでは点数が5であるから950℃以上の温度で処理され、プロセスDでは点数が4であるから925〜950℃の温度範囲内で処理されたことを示している。このような点数判定を製品番号1〜201(途中省略)について行っている。
次に、プロセスAについて点数1を列方向に合計し(表のチェックマーク参照)、合格値の平均値を求める、具体的には、製品番号1〜13および193についての合格値を合計し、得られた合格値12を上記点数1の出現回数14で除算し、平均合格値0.86を得る。
上記平均合格値を計算する処理を、点数2〜5についても同様に行う。ただし、プロセスAでは点数5が存在しないため、点数2〜4について行われる。
プロセスAにおける点数毎の平均合格値は以下の通りである。
同様に、プロセスBにおける点数毎の平均合格値は以下の通りである。
同様に、プロセスCにおける点数毎の平均合格値は以下の通りである。
同様に、プロセスDにおける点数毎の平均合格値は以下の通りである。
図13(a)〜(d)は上記プロセス毎に計算した平均合格値をグラフに表したものである。横軸は点数、縦軸は平均合格値を示している。しかしながら、この散布図の段階では、プロセスA〜Dのいずれにも相関関係は見出せない。
次に、先に図11に示した表の各製品番号1〜201について、プロセスA〜Dの点数を行方向に合計して合計点数を求め、同じ合計点数のものをグループ分けする。
図14において、表の第1列はプロセスA〜Dの各点数の合計を示しており、例えば製品番号1では12、製品番号2では13、製品番号3では12……として表される。
この第1列において同じ合計点数のものが同じグループとして扱われる。例えば表にチェックマークを付した合計点数8については同じグループとなる。
この合計点数が8のグループの合格値を列方向に合計すると2が得られる。この合計合格値2を、8のグループの出現回数7で除算すると、“0.285714”が求められる。
下記表5は、グループ毎に平均合格値を計算したものである。
なお、説明を簡単にするため、合計点数が8以下のグループは省略している。
図15に示す散布図は、上記表5に基づいて作成したものであり、横軸は合計点数、縦軸は平均合格値を示している。
同図から、合計点数と平均合格値との間には相関関係のあることがわかる。
このように相関関係のある散布図が得られると、図4に示した相関式算出部20fによって有意性のある回帰直線Tを求めることができ、例えば、合格値0.6以上を目標とするならば、プロセスA〜Dの合計点数が10.5以上となるようにし、各プロセスの温度条件を設定することにより、材料を安定化させることができ、また、合格値0.8以上を目標とするならば、プロセスA〜Dの合計点数が13.5以上となるように各プロセスの温度条件を設定することにより、材料を安定化させることができる。
このように、プロセス毎の分析では相関関係が認められなかったものについてもプロセスA〜D、すなわち、プロセス全体の温度履歴を対象とした場合には傾向の現れる場合がある。
図5に示した加熱温度と延性の関係のように、最終的に得られた製品の材料特性に直接影響する因子を特定する場合には、上述したように散布図の階層化を行う材質分析手法が有効である。
一方、各因子における材料特性への影響度合いが非常に小さいか、若しくは製造全般にわたって材料特性が影響を受けるような場合に本発明の材質分析方法が有効になる。
例えば、金属組織(フェライト、ベイナイト、マルテンサイト、パーライト分率等)は、製造工程全般にわたって形成されるが、金属組織自体が材質として判定される場合は、本発明の材質分析方法の適用が極めて有効になる。この場合、フェライト分率やベイナイト分率等が材料特性に影響を与える因子となる。
なお、上記した散布図の階層化を行う分析手法と本発明の材質安定化方法とを組み合わせることにより材質の分析することもできる。例えば、散布図の階層化を実施しても傾向の見つからなかった場合に、さらに本発明の材質分析方法を実施して製品に影響する因子の組み合わせを見つけだすようにしてもよい。
また、製品に影響を与える因子の組み合わせが特定できれば、所定の製品試験データを満足する処理条件データの組み合わせ情報を得ることができ、その組み合わせ情報を図4で説明したように処理条件出力部20iを介してプロセスコンピュータ21に出力することにより、材質を安定化させることができる。
1 払い出しリール
2 鋼板
3 洗浄装置
4 予熱炉
5 加熱炉
6 除冷炉
7 調整炉
8 溶融亜鉛ポット
9 合金化炉
10 冷却装置
11 巻取リール
20 材質安定化装置
20a プロセス因子データ蓄積部
20b 成分因子データ蓄積部
20c 前工程因子データ蓄積部
20d 散布図作成部
20e 階層化処理部
20f 相関式算出部
20g 材質変動因子抽出部
20h 抽出因子記憶部
20i 処理条件出力部
21 プロセスコンピュータ
2 鋼板
3 洗浄装置
4 予熱炉
5 加熱炉
6 除冷炉
7 調整炉
8 溶融亜鉛ポット
9 合金化炉
10 冷却装置
11 巻取リール
20 材質安定化装置
20a プロセス因子データ蓄積部
20b 成分因子データ蓄積部
20c 前工程因子データ蓄積部
20d 散布図作成部
20e 階層化処理部
20f 相関式算出部
20g 材質変動因子抽出部
20h 抽出因子記憶部
20i 処理条件出力部
21 プロセスコンピュータ
Claims (6)
- 複数の処理工程を経て製造される金属材料を分析する方法において、
各処理工程に配設されている検出手段若しくは制御手段によって検出若しくは制御された処理条件データと、製品試験を行うことにより得られた製品試験データとを、製造された製品毎に対応付けて記録し、
上記製品試験データとしての品質合否を数値化し、
上記処理条件データについては階層に分類するとともに階層ランク値に置き換え、
上記階層ランク値を製品単位で複数または全数組み合わせ、
組み合わされた上記階層ランク値と上記製品試験データの散布図を作成し、
両データにおける相関の有無を判定することを特徴とする金属材料の材質分析方法。 - 処理条件データを階層に分類するための変換テーブルを参照することにより、複数の処理工程から検出される各処理条件データを階層ランク値に置き換え、
製品単位で上記階層ランク値を複数または全数合計することにより上記処理条件データを組み合わせる請求項1記載の金属材料の材質分析方法。 - 上記階層ランク値の合計が同じもの同士を因子グループとして分類し、
各因子グループ毎に上記品質合否を数値化し、その結果を因子グループの構成数で除算することにより各因子グループの品質合否平均値を求め、
上記因子グループにおける上記階層ランク値の合計と上記品質合否平均値の散布図を作成する請求項2記載の金属材料の材質分析方法。 - 上記処理条件データが、金属材料の圧延、押出、熱処理、冷却のいずれかの最終工程の温度である請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属材料の材質分析方法。
- 複数の処理工程を経て製造される金属材料について製造された段階での材質を安定化させる金属材料の安定化方法において、
請求項1〜4のいずれかに記載の材質分析方法によって得られた散布図から相関式を求め、この相関式に基づいて所定の製品試験データを満足する処理条件データの組み合わせ情報を得ることを特徴とする金属材料の材質安定化方法。 - 複数の処理工程を経て製造される金属材料を分析する方法において、
各処理工程に配設されている検出手段によって検出された処理条件データおよび各処理毎のサンプリング試験によって得られた試験データに基づき、
上記処理条件データと上記試験データの散布図を作成し、
各散布図における上記処理条件データについてデータ幅を所定の間隔に分割して階層化し、
各階層内で上記試験データの平均値を算出し、
算出された上記平均値に基づいて相関式を求めることにより相関の有無を判定し、
相関の認められなかった場合に、さらに請求項1〜4のいずれかに記載の材質分析方法を行うことを特徴とする金属材料の材質分析方法。
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