JPH06154982A - 連続鋳造の鋳型温度監視方法および装置 - Google Patents

連続鋳造の鋳型温度監視方法および装置

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JPH06154982A
JPH06154982A JP33779792A JP33779792A JPH06154982A JP H06154982 A JPH06154982 A JP H06154982A JP 33779792 A JP33779792 A JP 33779792A JP 33779792 A JP33779792 A JP 33779792A JP H06154982 A JPH06154982 A JP H06154982A
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JP
Japan
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mold
slab
temperature
measuring means
frequency
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Application number
JP33779792A
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English (en)
Inventor
Shigenao Anzai
栄尚 安斎
Hirofumi Maede
弘文 前出
Mitsuru Nikaido
満 二階堂
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、鋼の連続鋳造を行う場合に鋳型温
度情報を監視し、鋳片凹みを予測し無欠陥鋳片を確実に
製造する方法を提供する。 【構成】 鋼の連続鋳造鋳型に温度測定手段を複数設
け、鋳型温度変化の周波数スペクトルを求める装置と接
続した鋳型温度監視装置とする。更に、周波数のスペク
トル強度から求まる周期が20秒以下である周波数成分
が含まれる場合、20を越え60秒以下の場合とそれ以
外の3通りに区別し、20秒以下を含む場合に鋳片横方
向凹み、20〜60秒を鋳片縦方法凹み、それ以外を凹
み無しとして鋳片凹みを格付けする品質判定し、鋳片の
凹み疵発生判定部位を手入れする。以上の装置、方法に
より、表面疵のない製品製造を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素鋼など鉄鋼材料の
連続鋳造に用いる鋳型の鋳片冷却状態の監視と鋳片品質
予測ならびに品質格付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造は、一般に上下が開放され
た水冷鋳型内に溶鋼を連続的に注入され、注入量を制御
して所定の引抜き速度で鋳造される。
【0003】鋼の連続鋳造では、鋳型内にパウダーと称
する鋳型潤滑材(SiO 2、CaO、Al23などの酸
化物を主体とした成分からなる)を添加して、溶融状態
を形成せしめ、鋳型と鋳片間に流入させて潤滑を図るこ
とが行われる。
【0004】パウダーの均一流入は、凝固殻を均一に成
長させる点で必要な事項であるが、例えば炭素鋼で0.
08〜0.18重量%C鋼は凝固中および凝固後δ相か
らγ相に変態するため、格子構造の差に起因した凝固殻
の変形が起りやすく、鋳片凹みやひどい場合には鋳片割
れを伴って、品質欠陥ばかりでなく操業障害を招くこと
がある。この炭素量の鋼種を中炭素鋼と呼ぶ。
【0005】従来、こうした問題点に関してパウダーを
改善し、均一流入性、鋳型抜熱の緩冷却化を指向して対
策としてきた。
【0006】しかし、パウダーによる改善は実際に使用
してから鋳片表面を確認することが必要で設計段階から
予測することは困難であった。
【0007】こうした背景から、鋳造中の鋳片品質状況
をなんらかの手段で把握することが望まれていた。
【0008】また、鋳造中品質予測が可能であれば、そ
の場で操業判断ができること、劣悪鋳片を製造すること
を回避できることなど、安定した製造を達成することが
できるので、品質予測の具体的手段が熱望されていたの
である。
【0009】本発明者らは、こうした背景に立ち、鋳型
内凝固現象の解明に努め、実鋳片製造プロセスで適用可
能でかつ確実な品質予測、品質格付けシステムを構築す
るに至った。
【0010】本発明者らの経験では、中炭素鋼で特に鋳
片凹みが発生しやすく、凹み部は鋳片割れを伴い易いこ
とを発見した。割れは、表面に露出するばかりでなく、
皮下1〜2mmの浅い位置に存在するものもある。
【0011】これらの皮下の割れは、鋳片観察では発見
することができず、圧延工程で製品割れとして顕在化す
るのである。
【0012】結果として、中炭素鋼の製品歩留りは劣悪
な状態となるため、圧延前の重手入れを行うことも少な
くない。
【0013】従って、表面凹み、割れ、極表層下の割れ
を手入れまたは圧延前に的確に把握することが重要であ
る。
【0014】鋳片の凹みを予測する手段として特公平3
―77944を例示できる。
【0015】該開示は、鋳型内に温度測定手段を設け、
温度変化量(正常時の20℃以上30℃未満下降)とそ
の後の温度上昇速度(変化速度が2℃/秒)をしきい値
として異常を判定するものである。
【0016】ここで正常時の値としては直近の時系列平
均や操業条件から規定した値などが用いられる。
【0017】これは、鋳片表面が鋳型内のδ/γ変態に
起因して歪み凹みが発生した場合には鋳型との接触が低
下するため結果として鋳型銅板温度が低下する、凹みが
減少した場合には鋳型銅板温度が上昇する現象を利用し
たものであり、鋳造引抜きによって温度変動が下方に移
動する現象を合せて考慮したものである。
【0018】このシステムは巧みに構築されたものであ
るが、温度や変動速度は連続鋳造機の仕様、鋳造速度、
鋳型の材質、温度測定手段の取り付け状況などに依存す
るものである。
【0019】従って、当該方法を採用するには連続鋳造
機の特性に合った条件を設定しなければならず技術的汎
用性には極めて乏しいシステムである。
【0020】即ち、温度などの絶対値を用いたシステム
は測定精度が結果を左右し信頼性に欠ける。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中炭
素鋼のように目に見えない欠陥を伴いやすい鋼種であっ
ても容易に鋳片品質判定が可能でかつ品質保証、品質格
付けを可能ならしめる手段を提供するものである。
【0022】勿論、温度測定素子の種類、精度、取付け
誤差などに起因した外乱の影響の全くない装置と同装置
を活用した品質判定を具体的に提示するもので、工業的
規模で無欠陥鋳片を製造可能な手段を提供することにあ
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点に関して実験的検討を重ね以下の結論を得た。即
ち、本発明の主旨は、
【0024】炭素鋼および合金鋼連続鋳造鋳型の湯面
位置より鋳型下端側900mm範囲内鋳型壁に温度測定
手段を複数箇設け鋳型内鋳片の接触状態を監視するに当
り、該温度測定手段からの温度情報を周波数分析しスペ
クトル強度を求め、該周波数分析での周期の違いにより
鋳片凹み状態を判定する方法。
【0025】炭素鋼および合金鋼連続鋳造鋳型の湯面
位置より鋳型下端側900mm範囲内鋳型壁に温度測定
手段を複数箇設け、該温度測定手段と、測定した温度の
経時変化の周波数スペクトルを逐次求める装置とを接続
したことを特徴とする鋳型温度監視装置。
【0026】上記において温度情報を周波数分析す
るに当り、サンプリング周期を10秒以下とすることを
特徴とする鋳型内温度監視方法。
【0027】上記において、温度測定手段を湯面か
ら30mm以上200mmの範囲に少なくとも1つ設け
ることを特徴とする鋳型内温度監視装置。
【0028】上記とにおいて温度測定手段として
熱電対を用いたことを特徴とする鋳型内温度監視装置。
【0029】上記とにおいて温度測定手段として
熱流束測定子を用いたことを特徴とする鋳型内温度監視
装置。
【0030】上記との温度情報を用いた周波数分
析において、周波数のスペクトル強度から求まる周期が
20秒以下である周波数成分が含まれる場合、20を越
え60秒以下の場合とそれ以外の3通りに区別し、20
秒以下を含む場合に鋳片横方向凹み、20〜60秒を鋳
片縦方法凹み、それ以外を凹み無しとして鋳片凹み疵を
判定する方法。
【0031】上記の品質判定に従って、鋳造鋳片毎
に凹み疵発生判定部位の手入れを行うことを特徴とする
鋳片品質保証方法。
【0032】
【作用】本例では本発明の作用を明確にする為に、最も
欠陥の出易い中炭素鋼の場合の例を用いて説明する。
【0033】鋳造に用いた炭素鋼の主要成分および連続
鋳造パウダー成分は第1表、第2表に示す通りである。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】鋳造条件を以下に示す。
【0037】連続鋳造は、鋳片断面サイズが162mm
×162mmの連続鋳造機を用いて行った。
【0038】鋳造速度は、1.8m/min〜3.0m
/minの範囲である。
【0039】温度測定手段には、銅―コンスタンタン熱
電対、クロメル―アロメル熱電対などの通常の熱電対を
用いた。各熱電対の径は、φ1.6mmである。
【0040】更に、別な温度測定手段として、熱流束子
も使用した。用いた素子は銅―コンスタンタン―銅で構
成した素子である。
【0041】これらの温度測定手段は、連続鋳造鋳型銅
板に埋設して設置し、鋳造中の温度情報を測定すること
ができる。鋳型は、チューブラ鋳型と称するφ162鋳
片用筒型銅板で構成し、銅板厚は10mm、長さ900
mmである。
【0042】このチューブラ鋳型の外側に水冷箱を設
け、銅板を強制的に冷却して鋳造に用いる。
【0043】なお、溶鋼や鋳片と接触する鋳型内面はN
iメッキを施し、鋳型Cuに起因した鋳片表面割れを防
止する構造とした。
【0044】本例で鋳造する際には、温度測定手段を鋳
型上面より75mmから下方に向かって35mm間隔で
15本を銅板内の水冷側皮下3mm(溶鋼側より7m
m)に溶接施工して使用した。
【0045】鋳造中の湯面位置は、80±3mm位置で
ある。従って、本例に当っては、最上段熱電対(75m
m位置)は鋳片品質判定には使用しなかった。
【0046】温度測定手段即ち上記熱電対まはた熱流束
素子の出力をリニアライズ後、マイクロコンピュータに
よる取り込みを行って周波数スペクトル解析を行った。
【0047】周波数スペクトル解析には、高速フーリエ
変換(FFT)法と最大エントロピー法などスペクトル
解析で通常行われる手段を用いた。サンプリングデータ
数が少ない時は最大エントロピー法が有効であった。
【0048】また、FFT法は、計算時間も短く高速応
答性に優れ、計算機負荷が小さい傾向にあった。
【0049】更に、逐次求まる周波数スペクトルを記録
し、鋳造後鋳片観察結果と対比し、鋳造欠陥と周波数ス
ペクトルの関係を求めた。
【0050】温度情報のサンプリング間隔は、0.1、
0.2、0.5、1、2、5、10、15および20秒
間隔で実験し、鋳片品質予測に必要なサンプリング周期
を調査した。
【0051】即ち、サンプリング周波数は、それぞれ1
0、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.067
および0.05Hzである。
【0052】図3〜図5は、熱電対で測定した温度をサ
ンプリング間隔2秒でサンプリングしたデータを用いて
周波数スペクトルを求め、鋳造後に解析位置に相当する
部位の鋳片の表面状態との関係を示したものである。
【0053】図3は横凹みが発生した場合、図4は縦凹
みの場合、図5は凹みがない場合である。
【0054】図3、図4より、鋳型温度変化の周波数が
高い(周期が短い)ほど鋳片横凹みが発生し、周波数が
低い(周期が長い)ほど鋳片縦凹みが発生することが分
る。更に、変動周期が長い領域では表面凹みが見られな
いことが分った。
【0055】温度測定手段の影響について述べる。温度
測定手段が、熱電対あるいは熱流束測定子いづれの場合
でも予測された鋳片凹みの判定結果は同一であった。
【0056】その理由は、本発明方法が、温度、熱流束
の絶対値を用いるのではなく、その時間変動の解析であ
ることによる。
【0057】次に、温度測定手段の設置位置毎に同様の
スペクトル解析を行った結果、温度測定位置が鋳型上端
から110mm(湯面下30mm)〜425mm(湯面
下345mm)では全く同じスペクトル分布を示した。
【0058】また、更に下方の460〜600mmのス
ペクトル分布では、横凹みを示す短周期のスペクトル強
度が若干低下した。
【0059】従って、鋳型湿度情報の周波数スペクトル
解析により鋳片表面状態を予測することが可能であるこ
とが明らかである。
【0060】第3表は、温度測定手段のサンプリング間
隔(周波数)と鋳片表面凹みとの対応関係ならびにサン
プリングおよび周波数スペクトル計算に用いた計算機の
負荷を示したものである。
【0061】
【表3】
【0062】表から、サンプリング間隔は10秒以下で
ある必要がある。
【0063】また、サンプリング間隔が細かいほど良好
な結果を与えると考えられるが、逆に計算負荷が増大し
計算能力の優れた計算機を設置する必要がある。
【0064】従って、実用的には0.5〜5秒周期で十
分であり、より高精度化を期するには0.5秒以下とす
ることが望ましい。
【0065】勿論、計算機、マイクロコンピュータの進
歩が著しい現代では計算機負荷は無視し得るとも言えよ
う。
【0066】一方、リアルタイム方式で周波数スペクト
ル分析専用の機器が接続可能であるので、これを用い特
定周波数の出現に注目することで鋳片凹みを予測可能で
ある。
【0067】次に、温度測定手段について示す。
【0068】温度測定手段を湯面位置より鋳型下端側9
00mm以内に設ける理由は、鋳型長さは鋳型摺動抵抗
と凝固殻の強度バランスから長くとも1〜1.5mであ
る。
【0069】また、鋳型内に溶鋼湯面を保って鋳造する
のが一般的で通常鋳型上端から100mm程度下がった
位置を設定する。
【0070】かかる条件下で鋳造を行った場合、鋳型冷
却により凝固殻が生成すると湯面下約200〜400m
m程度の範囲までは良好な接触を示すが、それ以降鋳型
から鋳片が離脱する傾向となる。
【0071】無論、これは鋳型内凝固厚と鋳造速度、鋳
型冷却能で決まる値であるが、高々900mm以内を見
積ることで実用上十分である。
【0072】従って、温度測定手段の設ける範囲は、湯
面位置から鋳型下端側900mm以内で十分である。
【0073】更に、温度測定手段を湯面から30mm以
上200mmの範囲に少なくとも1つ設ける理由は、前
述のように湯面から200mm程度は鋳型と鋳片の接触
が比較的良好で、鋳型温度を測定することによって鋳片
の接触状態を確度良く測定できることによる。
【0074】一方、湯面から30mm以上に規定する理
由は、溶鋼湯面は鋳造中一定位置を維持しているもので
はなく、通常±2〜10mm程度変動している。
【0075】かかる状態では、湯面近傍の鋳型温度変動
が大きく、鋳片との接触状態の良否と湯面位置の影響を
分離することが困難であるためである。
【0076】従って、湯面近傍に温度測定手段を設ける
ことで湯面変動を評価可能であるが、本発明の主目的
は、鋳片の凹み即ち鋳片の状態を推定、評価することで
あるから、湯面変動の影響の少ない位置、即ち湯面から
30mm以上を設置範囲とした。
【0077】これらの温度測定手段は、少なくとも1つ
以上前記範囲内に設けることで実施可能である。
【0078】しかし、特に限定するものではないが、温
度測定手段の断線、劣化などを考慮すれば望ましくは複
数個設けることが得策である。
【0079】次に、温度測定手段の設置方法について説
明する。温度測定手段は、少なくとも鋳型に1つ設ける
ことで鋳片の状態を推定可能であるが、スラブ連鋳機や
大断面連鋳機など鋳型との接触面積が大きい場合には、
各面に少なくとも1つ以上設けることで、凹みが発生し
た面を特定することができる。
【0080】また、後述する、実施例のように正方形断
面に近く周方向の差があまりない小断面鋳型の場合に
は、1つの面で代表させることができる。
【0081】更に、温度測定手段を鋳型面内に複数設け
る場合には、格子状配置、千鳥配置など任意の設置でな
んら問題がない。
【0082】設置間隔は、凹み位置を特定する精度を考
慮して設置すればよく、横方向の間隔は短い間隔である
ことにこしたことはないが100〜200mmに最低1
個の間隔で設置すれば実用に耐える。
【0083】鋳型温度情報をサンプリングし、データ解
析を行うにはサンプリング周期が前述のとうり重要であ
る。
【0084】サンプリング周期は目標とする凹み推定精
度で決定すれば良く、目標精度を与えれば理論的に決定
可能である。
【0085】例えば、鋳造速度2m/minで操業する
状態において10cmの精度で推定したければ、除算を
行ってその周期は3秒、即ち0.33Hzが求まる。
【0086】サンプリング定理から、0.66Hz以上
の周波数でサンプリングすればよく、例えば1Hz(1
秒周期)を採用すれば問題がない。
【0087】データサンプリングは、現在のコンピュー
タ技術では、μsec〜msecのオーダーまで可能で
あるので、上記サンプリング周期は十分に達成できるば
かりでなく、更に小さくし推定位置の精度を高めること
は容易である。
【0088】即ち、鋳片凹み位置の特定精度を決定すれ
ばほぼ自由に選択することができる。
【0089】次に、鋳片凹み状態を判断する周期として
20秒、60秒を採用する理由について説明する。
【0090】本発明者らの経験では、鋳片の凹みは鋳造
速度の影響を受けることを見出した。
【0091】即ち、鋳造速度が速くなればなるほど発生
し易くなる傾向にあることを確認した。
【0092】しかし、凹みが発生する場合、発生間隔と
鋳造速度で求まる時間間隔、すなわち周期がある特定の
範囲に存在することを見出した。
【0093】すなわち、鋳型温度変化のスペクトル解析
と鋳片凹みの特徴から、図3〜5で示すように20秒以
下の範囲では横凹み疵、20〜60秒の範囲では縦凹み
に変化したのである。また、60秒を越える場合には凹
みがほとんど観察されなかった。
【0094】従って、鋳型温度情報の変動周期を求める
ことで確実の鋳片の表面状態を推定可能であるとの結論
に至った。その変化を予測するに有効な周期は、20秒
および60秒である。
【0095】
【実施例】本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0096】図1は、鋳型温度測定手段と鋳型内温度変
化の周波数スペクトル解析を用いた場合の鋳型監視方法
を示す説明図で、鋳片格付け、鋳片凹み判断表示装置お
よび鋳片手入れ指示、手入れ実績監視システムの全体図
を示す。
【0097】図2は、鋳型温度情報の周波数スペクトル
解析と鋳片格付けフローチャートを示す説明図。
【0098】図3〜図5は、鋳片の表面状態(縦凹み、
横凹み)と同時に求めた鋳型温度情報の周波数スペクト
ル解析結果の関係を示す説明図である。
【0099】まず図1を用いて、構成を説明する。1は
連続鋳造鋳型、2は溶鋼、3は凝固殻、4は温度測定手
段、5は鋳片、6は鋳片ガイドロール、7は鋳片引抜き
手段、8は鋳造長さ測定手段、9は鋳片切断機、10は
切断後の鋳片、11は鋳片手入れ手段である。なお、情
報の流れを図中のフローで示した。
【0100】鋳型1内に注入された溶鋼2は、凝固を開
始し凝固殻3を形成する。この際例えば中炭素鋼はδ/
γ変態を起こし凝固殻が凹みを生じる。
【0101】鋳片5は下方に引き抜き手段7によっで引
き抜かれ、鋳片ガイドロール6によって支えられつつ進
行する。
【0102】鋳片は、途中の冷却によって収縮するため
鋳造長さ測定手段8によって逐次計測されている。
【0103】鋳片5がやがて切断機9に到達すると所望
の長さに切断され鋳片10となる。
【0104】この段階で、統轄鋳片品質管理手段は半製
品として個別に品質情報を付加し管理下に置く。
【0105】一方、鋳型1内で凹みが、凝固殻3に起っ
た場合には、凝固殻3と鋳型1の接触状態が変化するた
め、温度測定手段4の情報は時間と共に変化する。
【0106】温度測定手段4のリニアライズと温度情報
の取り込みを一定周期(後述するサンプリング周期)で
行い、その情報は逐次異常判定手段に伝送され温度情報
を時間依存関数として周波数スペクトル解析を行う。
【0107】スペクトル解析の結果、特定の周波数また
は周期成分の有無を図2のフローチャート基づき異常有
無の判断を行い、上位の統轄鋳片品質管理手段に伝送す
る。
【0108】以上の、フローにより異常発生部は、鋳片
長さ毎に管理され、鋳片切断が完了した時点で、鋳片の
凹みなど品質情報を付与する。同時に、異常が生じた鋳
片は下工程の手入れ対象とする命令が下される。
【0109】手入れ指示後、手入れ完了情報の伝達をも
って当該鋳片は後の加工工程である圧延工程に搬送され
る。
【0110】次に、システム構成例について説明する。
【0111】例えば異常判定手段に用いるコンピュータ
を中心に上位コンピュータ(統轄鋳片品質管理手段)、
下位コンピュータ(鋳片長さ変化計測手段)を設ける。
【0112】下位コンピュータ(鋳片長さ変化計測手
段)は、メジャーロールとパルスカウンタなどにより鋳
片の鋳造長を逐次測定し温度降下による収縮などの影響
を排除した正確な鋳造長さ情報を上位コンピュータであ
る異常判定手段伝送する。
【0113】一方、異常判定手段は、スペクトル解析結
果から鋳片長さを考慮して鋳片切断完了時点で切断鋳片
毎に異常コード、異常内容(凹み発生部位等)を出力
し、上位の統轄鋳片品質管理手段に伝送する。
【0114】統轄鋳片品質管理手段は、鋳片の切断完了
毎に鋳片の表面手入れを指示、手入れ実績管理を同時に
行なう。以上の方法により、システム構築可能である。
【0115】勿論、同じ機能を1つのコンピュータで行
うことでも問題がない。ただし、信頼性、保守、機能増
強の点で機能分割した形式を採ることが一般的である。
【0116】図2は、異常判定手段内で行う、周波数ス
ペクトル解析を用いた異常判定と鋳片格付けのフローチ
ャートを示す。
【0117】異常判定手段では、周波数スペクトル解析
に当り異常と見なされる経過時間すなわち鋳造長さを監
視する。
【0118】また、スペクトル解析により含まれるスペ
クトルの周期(周波数でも同義)が20秒以下(0.0
5Hz以上)が存在すれば横凹みと判断し、それ以外は
更に長周期のスペクトル有無をチェックし20秒を越え
60秒以下(0.016Hz以上0.05Hz未満)以
下の場合縦凹みと判断しそれ以外は凹みなしとする。
【0119】更に、下位コンピュータなどから得られる
鋳片長さを勘案し凹み位置を逐次特定しつつ鋳片の切断
時に凹みを鋳片毎に格付けする。
【0120】同時に、上位の統轄鋳片品質管理手段(コ
ンピュータ)に伝送し、必要に応じて鋳片手入れの指
示、手入れの実績を収集管理する。これにより表面疵の
全くない鋳片を製造、保証する。
【0121】鋳片の疵予測を行う上で重要なのは、検出
精度であり疵の見逃し率と過剰検出率で評価することが
できる。
【0122】最初に周波数スペクトルを用いた場合の表
面疵(凹み)見逃し率を説明する。
【0123】第1表で示す成分の中炭素鋼を第2表で示
すパウダーを使用して断面サイズ162m×162m
m、鋳造速度1.8〜3.0m/minで20ヒート累
計5000トン鋳造し、φ50mm圧延後の表面疵発生
率で鋳片段階での疵の見逃し率と考え評価した。
【0124】また、比較として従来の土場返しによる目
視判断による手入れ工程との比較を行った。
【0125】スペクトル解析による鋳片凹み監視によっ
て、製品での疵発生率は0.1%で目視判断の12%を
大幅に改善した。
【0126】次に、周波数スペクトルを用いた場合の表
面庇(凹み)の過剰検出(誤判定)率を説明する。
【0127】鋳片疵の見逃し率が大幅に改善されたこと
から、過剰に手入れを行った可能性がある。
【0128】そこで、20ヒート5000トン中で異常
と判断した鋳片中で各ヒート5本づつ合計100本を抜
き取り目視観察して対比した。その結果、スペクトル解
析で異常と判断したビレット100本の内、2本が極め
て軽微な凹み(0.5mm)で無手入れ可能と判断され
た。
【0129】従って、過剰検出率は、2%程度で高々数
%レベルと判断された。
【0130】従って、鋳造オンラインで確実に品質判断
ができ迅速で効率的製造が可能であることが分る。
【0131】
【発明の効果】以上、示したように、鋳型に設けた温度
測定手段の周波数スペクトル解析を行うことで、鋳片表
面品質を確実に予測でき、かつこの情報により鋳片手入
れ、品質格付けを行うことによって製品欠陥の全くない
製品製造可能であることを具体的に示した。
【0132】従って、本発明方法によって品質保証が十
分に図れる製品の製造が可能であり、産業上極めて有益
な発明と言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳型温度測定手段と鋳型内温度変化の周波数ス
ペクトル解析を用いた場合の鋳型監視方法を示す説明図
で、鋳片格付け、鋳片凹み判断表示装置および鋳片手入
れ指示、手入れ実績監視システムを示す。
【図2】鋳型温度情報の周波数スペクトル解析と鋳片格
付けフローチャートを示す説明図。
【図3】鋳片の表面状態と周波数スペクトルの関係を示
す説明図。
【図4】鋳片の表面状態と周波数スペクトルの関係を示
す説明図。
【図5】鋳片の表面状態と周波数スペクトルの関係を示
す説明図。
【符号の説明】
1 連続鋳造鋳型 2 溶鋼 3 凝固殻 4 温度測定手段 5 鋳片 6 鋳片ガイドロール 7 鋳片引抜き手段 8 鋳造長さ測定手段 9 鋳片切断機 10 切断後の鋳片 11 鋳片手入れ手段

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素鋼および合金鋼連続鋳造鋳型の湯面
    位置より鋳型下端側900mm範囲内鋳型壁に温度測定
    手段を複数箇設け鋳型内鋳片の接触状態を監視するに当
    り、該温度測定手段からの温度情報を周波数分析しスペ
    クトル強度を求め、該周波数分析での周期の違いにより
    鋳片凹み状態を判定する方法。
  2. 【請求項2】 炭素鋼および合金鋼連続鋳造鋳型の湯面
    位置より鋳型下端側900mm範囲内鋳型壁に温度測定
    手段を複数箇設け、該温度測定手段と、測定した温度の
    経時変化の周波数スペクトルを逐次求める装置とを接続
    したことを特徴とする鋳型温度監視装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において温度情報を周波数分析
    するに当り、サンプリング周期を10秒以下とすること
    を特徴とする鋳型内温度監視方法。
  4. 【請求項4】 請求項2において温度測定手段を湯面か
    ら30mm以上200mmの範囲に少なくとも1つ設け
    たことを特徴とする鋳型内温度監視装置。
  5. 【請求項5】 請求項2及び請求項4において温度測定
    手段として熱電対を用いたことを特徴とする鋳型内温度
    監視装置。
  6. 【請求項6】 請求項2及び請求項4において温度測定
    手段として熱流束測定子を用いたことを特徴とする鋳型
    内温度監視装置。
  7. 【請求項7】 請求項1及び請求項3の温度情報を用い
    た周波数分析において、周波数のスペクトル強度から求
    まる周期が20秒以下である周波数成分が含まれる場
    合、20を越え60秒以下の場合とそれ以外の3通りに
    区別し、20秒以下を含む場合に鋳片横方向凹み、20
    〜60秒を鋳片縦方法凹み、それ以外を凹み無しとして
    鋳片凹み疵を判定する方法。
  8. 【請求項8】 請求項7の品質判定に従って、鋳造鋳片
    毎に凹み疵発生判定部位の手入れを行なうことを特徴と
    する鋳片品質保証方法。
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