JP7091901B2 - 鋳造状態判定装置、鋳造状態判定方法、およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造状態判定装置、鋳造状態判定方法、およびプログラムに関し、特に、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトに関する操業異常を検出するために用いて好適なものである。
図15に、連続鋳造設備の概要の一例を示す。転炉および二次精錬で作られた溶鋼は取鍋51に入れられ、タンデッシュ52を介して鋳型4へ注がれる。鋳型4に接触した溶鋼は冷やされて凝固し、鋳造速度がコントロールされながらロール54で運ばれて、ガス切断機55で適当な長さに切断され、スラブ、ブルーム、ビレット等、断面の形状が異なる鋳片が製造される。
図16に、連続鋳造設備の鋳型付近の断面を示す。1は溶鋼、2は凝固シェル、3はモールドフラックス層、4は鋳型、5は冷却水、6は浸漬ノズルである。
図16に示すように、連続鋳造工程では、浸漬ノズル6から鋳型4内に溶鋼1が注入される。鋳型4内に注入された溶鋼1は、鋳型4で冷却され、その表面から凝固シェル2が形成されて凝固する。表面は凝固シェル2となっているが内部は凝固していない鋼が、鋳型4の下端部から連続的に引き出される。このようにして鋳型4から引き出される過程で、鋳型4の下方に配置される2次冷却部分(冷却スプレーから噴射される冷却水)によって鋼の冷却を進めることで、内部まで鋼が凝固される。
このような連続鋳造設備における操業トラブルとしてブレークアウトと称される操業トラブルがある。ブレークアウトは、凝固シェル2の一部が破断して、溶鋼が連続鋳造設備内に流出する操業トラブルである。ひとたびブレークアウトが発生すると、操業を中断して、連続鋳造設備内に流出して凝固した鋼の撤去や設備修繕を行う必要がある。このため、操業復旧に多大な時間がかかり、損失も大きい。
このようなブレークアウトとして、割れ性ブレークアウトがある。割れ性ブレークアウトは、鋳型4内の凝固シェル2の厚みが不均一になること(具体的には、鋳型4のコーナー部付近の領域において溶鋼4の凝固が遅れることにより凝固シェル2の厚みが薄くなること)に起因して、鋳型4の直下において縦方向(鋳造方向)に凝固シェル2が割れる形態で生じるブレークアウトである。
割れ性ブレークアウトを予測する技術として特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1には、鋳型4の短辺近傍の湯面レベル(溶鋼の表面の高さ位置)の単位時間当たりの変動量が、予め設定された上限値を上回る場合に、鋳造速度を低下させることが記載されている。
また、特許文献2には、鋳型4内を鋳造方向に移動する凝固シェル2の特定位置が、鋳型4内において熱電対が埋設されている各位置を通過するときの熱流束の時間変化量の積に基づいて、ブレークアウトの発生の判定を行うことが記載されている。
特開平4-143054号公報 特開2012-86249号公報 国際公開第2015/115651号公報
しかしながら、鋳型4内において凝固シェル2の厚みが不均一になるのは、湯面レベルの変動だけが原因ではなく、鋳型4内における溶鋼1の流動や、モールドフラックス層3(パウダー)が不均一であること等によっても起こり得る。また、湯面レベルの変動は、割れ性ブレークアウトの予兆を間接的に示す情報に過ぎない。従って、特許文献1に記載の技術では、割れ性ブレークアウトの予兆を精度よく検出することが容易ではない。
また、熱流束の異常も、鋳型4内における凝固シェル3の厚みが不均一であることだけでなく、鋳型4内における溶鋼1の流動や、モールドフラックス層3(パウダー)が不均一であること等によっても起こり得る。更に、熱流束も、割れ性ブレークアウトの予兆を間接的に示す情報に過ぎない。従って、特許文献2に記載の技術でも、割れ性ブレークアウトの予兆を精度よく検出することが容易ではない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、連続鋳造工程において割れ性ブレークアウトが発生するか否かを精度よくオンラインで予測することができるようにすることを目的とする。
本発明の鋳造状態判定装置の第1の例は、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定装置であって、鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得手段と、前記温度取得手段により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出手段と、前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出手段と、前記相関導出手段により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係とに基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
本発明の鋳造状態判定装置の第2の例は、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定装置であって、鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得手段と、前記温度取得手段により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出手段と、前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出手段と、前記相関導出手段により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定手段と、を有し、前記相関導出手段は、前記2つの位置の組として、少なくとも何れか一方の位置が相互に異なる複数の組のそれぞれについて、当該2つの位置における前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出し、前記判定手段は、前記相関導出手段により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係を、前記複数の組に対する前記指標のそれぞれについて導出し、導出した複数の関係に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする。
本発明の鋳造状態判定装置の第3の例は、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定装置であって、鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得手段と、前記温度取得手段により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出手段と、前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出手段と、前記相関導出手段により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定手段と、を有し、前記鋳型は、水平断面における長手方向の長さが相対的に長い長辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの長辺部と、水平断面における長手方向の長さが相対的に短い短辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの短辺部と、を有し、前記2つの長辺部と前記2つの短辺部とを組み合わせることにより形成される中空の領域に溶鋼が注入される構成であり、前記測温手段は、前記短辺部の領域、または、前記長辺部の第1の位置から第2の位置までの間の領域に埋設され、前記長辺部の第1の位置は、前記長辺部の前記短辺部と接触している位置のうち、前記鋳型の最も中心側の位置であり、前記長辺部の第2の位置は、前記長辺部の第1の位置から、前記鋳型の水平断面の長辺の方向に沿って前記鋳型の中心側に100mm離れた位置であることを特徴とする。
本発明の鋳造状態判定方法の第1の例は、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定方法であって、鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得工程と、前記温度取得工程により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出工程と、前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出工程と、前記相関導出工程により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係とに基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定工程と、を有することを特徴とする。
本発明の鋳造状態判定方法の第2の例は、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定方法であって、鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得工程と、前記温度取得工程により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出工程と、前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出工程と、前記相関導出工程により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定工程と、を有し、前記相関導出工程では、前記2つの位置の組として、少なくとも何れか一方の位置が相互に異なる複数の組のそれぞれについて、当該2つの位置における前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出し、前記判定工程では、前記相関導出工程により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係を、前記複数の組に対する前記指標のそれぞれについて導出し、導出した複数の関係に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする。
本発明の鋳造状態判定方法の第3の例は、連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定方法であって、鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得工程と、前記温度取得工程により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出工程と、前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出工程と、前記相関導出工程により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定工程と、を有し、前記鋳型は、水平断面における長手方向の長さが相対的に長い長辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの長辺部と、水平断面における長手方向の長さが相対的に短い短辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの短辺部と、を有し、前記2つの長辺部と前記2つの短辺部とを組み合わせることにより形成される中空の領域に溶鋼が注入される構成であり、前記測温手段は、前記短辺部の領域、または、前記長辺部の第1の位置から第2の位置までの間の領域に埋設され、前記長辺部の第1の位置は、前記長辺部の前記短辺部と接触している位置のうち、前記鋳型の最も中心側の位置であり、前記長辺部の第2の位置は、前記長辺部の第1の位置から、前記鋳型の水平断面の長辺の方向に沿って前記鋳型の中心側に100mm離れた位置であることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記鋳造状態判定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、連続鋳造工程において割れ性ブレークアウトが発生するか否かを精度よくオンラインで予測することができる。
図1は、連続鋳造設備の鋳型付近の断面の一部を示す図である。 図2は、熱電対の鋳造方向における埋設位置の一例を示す図である。 図3は、鋳型をその上方から見た様子の一例を示す図である。 図4は、鋳造状態判定装置の機能的な構成の第1の例を示す図である。 図5は、鋳造状態判定方法の第1の例を説明するフローチャートである。 図6は、凝固シェル厚み相関係数の時系列データの第1の例を示す図である。 図7は、凝固シェル厚み相関係数の時系列データの第2の例を示す図である。 図8は、凝固シェル厚み相関係数の時系列データの第3の例を示す図である。 図9は、鋳造状態判定装置の機能的な構成の第2の例を示す図である。 図10は、鋳造状態判定方法の第2の例を説明するフローチャートである。 図11は、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の第1の例を示す図である。 図12は、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の第2の例を示す図である。 図13は、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の第3の例を示す図である。 図14は、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の変形例を示す図である。 図15は、連続鋳造設備の概要の一例を示す図である。 図16は、連続鋳造設備の鋳型付近の断面を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<着想>
前述したように、湯面レベルの変動や熱流束といった指標を用いても割れ性ブレークアウトの発生を正確に予測することは容易ではない。割れ性ブレークアウトは、凝固シェル2の厚みが不均一であることにより発生することから、本発明者らは、凝固シェル2の厚みを捉えることにより、割れ性ブレークアウトの発生を予測することを指向し、以下の着想に想到した。即ち、鋳型4のコーナー部付近の領域において凝固シェル2の厚みが薄くなると、当該厚みが薄い凝固シェル2の領域にかかる応力が急激に大きくなる。このような応力の急激な変動により、割れ性ブレークアウトが生じると考えられる。従って、鋳造方向(鋳型4の高さ方向)における凝固シェル2の厚みの分布が急激に変動する場合に割れ性ブレークアウトが生じると考えられる。また、凝固シェル2は、鋳造方向の上から下に移動する。従って、或る時刻において鋳造方向の相対的に上側の第1の位置にある凝固シェル2の厚みは、相対的に下側の第2の位置に移動すると、当該時刻において当該第2の位置にある凝固シェル2の厚みになると推測することができる。そこで、本発明者らは、各時刻において、鋳造方向の複数の位置における凝固シェル2の厚みの相関がとれているか否かを判定することで、割れ性ブレークアウトの予兆を精度よくオンラインで検出することができると考えた。以下に説明する本発明の各実施形態は、このような着想の下でなされたものである。
このような着想の下で割れ性ブレークアウトの予兆を検出するためには、鋳造方向の複数の位置における凝固シェル2の厚みをオンラインで導出する必要がある。凝固シェル2の厚みをオンラインで導出する方法自体は、例えば、特許文献3に記載のように公知の技術で実現することができる。そこで、まず、特許文献3に記載の技術を例に挙げ、凝固シェル2の厚みをオンラインで導出する手法の一例を説明する。
<鋳型4内の凝固状態の推定方法>
図1は、連続鋳造設備の鋳型付近の断面の一部(浸漬ノズルを除く右半分)を示す図である。溶鋼1から鋳型4用の冷却水5までの間に凝固シェル2、モールドフラックス層3、および鋳型4の各熱伝導体が存在する。鋳型4には、複数の測温手段である熱電対7が鋳造方向(鋳型4の高さ方向、z軸方向)に位置をずらして埋設されている。また、鋳造状態を判定する装置として機能する鋳造状態判定装置100が装備されている。鋳造状態判定装置100は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備えた情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
本実施形態において使用する数理モデルについて説明する。一般に、数理モデルは現象の要因となる構成の簡略化によって異なるものが考えられるため、同じ現象を表すにも複数の選択肢がある。本実施形態で使用する数理モデルは、図1に示すように、鋳型内壁面垂直方向(鋳型4の幅(鋳造幅)方向(x軸方向))、および、鋳造方向(z軸方向)の2方向からなる2次元断面上で、溶融金属から、凝固シェル2、モールドフラックス層3、鋳型4、冷却水5までの範囲における凝固伝熱現象を表す数理モデルであり、その数理モデルの枠組みの中で後述する逆問題が成立し、なおかつ、その逆問題を数値的・近似的に解くことができるものである。前記条件を満たすモデルのうち、計算機で実行可能となるものには、鋳型4内の凝固伝熱現象を表す式(1)~式(5)を連立した偏微分方程式と、鋳型4を通過する熱流束を異なる表現で表した式(6)~式(8)を組み合わせたものがある。
Figure 0007091901000001
ここで、tは時間である。zはz=0を溶鋼1の湯面レベルとした鋳造方向の座標である。xはx=0を鋳型4の内壁面の位置とした鋳型内壁面垂直方向の座標である。zeは鋳型4に埋設された熱電対7のうち、最下端にある熱電対7の鋳造方向の位置である。csは凝固シェル2の比熱、ρsは凝固シェル2の密度、λsは凝固シェル2の熱伝導率、Lは凝固潜熱である。Vcは鋳造速度である。T0は溶鋼1の温度、Tsは凝固温度、Tm=Tm(t,z)は鋳型4の内壁面の温度、T=T(t,z,x)は凝固シェル2の温度である。s=s(t,z)は凝固シェル2の厚み(鋳型4の内壁面に垂直な方向の長さ(x軸方向、以下、必要に応じて鋳型内壁面垂直方向と称する))である。α=α(t,z)は凝固シェル2と鋳型4との間の熱伝達係数である。β=β(t,z)は溶鋼1と凝固シェル2との間の熱伝達係数である。qout=qout(t,z)は鋳型4を通過する熱流束である。λmは鋳型4の熱伝導率である。d1は鋳型4の内壁面からの熱電対7の埋め込み深さ(鋳型内壁面垂直方向の距離)、d2は熱電対7から冷却水5までの鋳型内壁面垂直方向の距離である。hwは鋳型4と冷却水5との間の熱伝達係数である。Tc=Tc(t,z)は熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度である。Tw=Tw(t,z)は冷却水5の温度である。
この数理モデルは、鋳型4の内壁面に並行な水平方向に関し温度変化がほとんどなく、凝固シェル2内の鋳造方向の熱流束が鋳型内壁面垂直方向に比べて極端に小さい鋳型4内の状態を模擬するモデルと、熱伝導率の高い鋳型4の伝熱現象を模擬するモデルとの組み合わせである。後述するプロファイル法によってα、βおよびTmが与えられていれば、凝固シェル2の温度分布Tと凝固シェル2の厚みsの近似解を構成することができ、現象を模擬する上で十分な精度と数値計算負荷の軽量化が両立する。この特徴から、後述する逆問題を解くリアルタイム計算が可能となる。
次に、前記数理モデルのプロファイル法による近似解の導出を説明する。プロファイル法は、対象としている偏微分方程式そのものを解く方法ではなく、偏微分方程式の解が満たす条件をいくつか導出しておき、その条件を満たす解に関して、プロファイルに制約を設けて求める方法である。具体的には以下のようにする。まず、変数(t,z)から式(9)による変数変換によって、(t0,η)を新たな変数とし、式(1)~式(5)を変換し、式(6)を用いてαを消去すると、それぞれ式(10)~式(14)となる。
Figure 0007091901000002
式(10)~式(14)には、t0の微分が現れないため、以降では、t0を固定値として取り扱う。次に、プロファイル法に利用する関数Ψを式(15)で定義する。
Figure 0007091901000003
このΨをηで微分し、式(10)~式(13)を用いると、熱流束の収支を表す式(16)を得る。
Figure 0007091901000004
式(16)は、式(15)の両辺をηで微分して式(17)を代入することにより得られる。
Figure 0007091901000005
また、式(13)の両辺をηで微分すると、式(18)が得られ、式(10)と式(13)を満たすTが存在すれば、境界でも式(10)の等号が成り立つことから、式(12)を用いて式(18)から∂T/∂η及び∂s/∂ηを消去すると、式(19)を得る。
Figure 0007091901000006
以上をまとめて、プロファイル法による近似解が満たす条件として、式(20)~式(26)を採用する。
Figure 0007091901000007
Tのプロファイルをxに関し2次として、式(25)を常に満たすように、式(27)でTを与える。
Figure 0007091901000008
ここで、a=a(η)およびb=b(η)はxと独立であり、式(27)を式(22)および式(24)に代入することで具体的に求めることができる。式(27)をxで微分すると式(28)が成り立ち、式(22)および式(24)~式(29)が得られるため、熱流束が溶鋼1側から凝固シェル2へ向かうことを表す∂T/∂x|x=s>0の条件の下、式(30)および式(31)を得る。
Figure 0007091901000009
また、式(27)をxについて積分すると式(32)になることから、式(20)に式(32)、式(31)、式(30)を代入することで、式(33)を得る。
Figure 0007091901000010
一方、式(27)にx=0、式(31)および式(30)を代入すると、式(34)を得る。
Figure 0007091901000011
この式(34)に式(23)を代入し、T|x=0-Tmで整理すれば、式(35)を得る。
Figure 0007091901000012
ただし、上記A2、A1、およびA0はそれぞれ式(36)、式(37)、および式(38)で与えられる。
Figure 0007091901000013
式(34)でs=0であればT|x=0=Tsになることを考慮すると、T|x=0に関する式(35)の2つの解のうち、式(39)で与えられるT|x=0が、式(34)と式(23)を同時に満足する。
Figure 0007091901000014
以上をまとめると、プロファイル法による近似解は、式(40)~式(44)を満たす。
Figure 0007091901000015
ただし、式(41)のA2、A1、及びA0は式(36)~式(38)で与えられるものである。式(40)~式(44)を満たすsを構成できれば、式(42)からqoutが求まる。このため、式(30)および(31)から式(27)でTが定まり、式(20)~式(26)を満たすことが判る。従って、式(40)~式(44)を満たすsが求まれば、プロファイル法による近似解が構成できることになる。これは、式(43)を差分化することで、数値的に得ることができる。具体的には下記のようになる。cs、ρs、λs、L、T0、Tsを既知定数とし、ηに関し、計算点をη0=0、ηi=ηi-1+dη(dη>0、i=1、2、・・・、n)、ηn=ze/Vcとする。α、β、およびTmがη=ηiで与えられているとして、それぞれαi、βi、およびTmiとする。式(43)をオイラー法で差分化し、Ψ(ηi)の近似値をΨiで表すと、式(45)のようになる。
Figure 0007091901000016
このようにするとs(ηi)の近似値siは、以下に示すように帰納的に計算することができる。まず、式(40)よりs0=0となり、式(44)からΨ0=0となる。次に、si及びΨiが与えられている場合、式(36)~式(38)のα、β、Tm、およびsにそれぞれαi、βi、Tmi、およびsiを代入すると、式(41)からT|x=0が求まり、式(42)からqoutが求まり、従って、式(45)からΨi+1が求まる。次に、式(44)のΨ及びβにそれぞれΨi+1及びβi+1を代入し、qoutに式(42)で得られているqoutを代入して、sについて解き、si+1とする。この方法によりsi及びΨiからsi+1及びΨi+1が求まる。このため、帰納的にsiを定めることができる。
以上により、cs、ρs、λs、L、T0、Ts、Vcが既知であり、α、β、Tmが与えられれば、t0を任意時刻として、η∈[0,ze/Vc]に対しt=t0+η、z=Vc・η上で、Tとsを、プロファイル法を用いて求めることができる。以下、前記プロファイル法で得られるTおよびsをα、β、およびTmに因っているとして、式(46)のように表す。
Figure 0007091901000017
次に、逆問題としての定式化とその解法について説明する。逆問題は、結果から原因を推定する問題の総称である。鋳型4内の凝固伝熱現象を表す数理モデルの枠組みの中では、次のようになる。λm、d1、d2、hw、cs、ρs、λs、L、T0、Ts、Tw、およびVcを既知とし、z1∈(0,ze)に対し、t1-z1/Vcが鋳造時間中になるような(t1,z1)において、t0=t1-z1/Vcとし、η∈(0,z1/Vc)に対し鋳型4に埋設された熱電対7による計測値をt=t0+η、z=Vc・η上で補間したTcが得られているとき、式(7)および式(8)から鋳型4の内壁面の温度および鋳型4を通過する熱流束である式(47)および式(48)は直ちに計算できる。
Figure 0007091901000018
一方、式(6)および式(7)から、モールドフラックス層3を通過する熱流束は式(49)で表せる。
Figure 0007091901000019
従って、式(48)で与えられるqoutに対し、式(49)が成り立つようにαおよびβを推定する問題が鋳型4内の凝固伝熱現象における逆問題となるこの逆問題は、式(48)で与えられるqoutに対し、式(50)で表せる最小自乗法による最小化問題を解くことに帰着される。
Figure 0007091901000020
ここで、η0=0、ηi=ηi-1+dη(dη>0、i=1、2、・・・、n)、ηn=z1/Vcであり、前述したとおり、Tprof(α、β、Tm)が数値的に計算できることから、前記最小化問題は、ガウス・ニュートン法等を用いた一般的な数値解法で解くことができる。この式(50)の最小化問題を解くことにより各時刻、各位置(t,z)において決定したα、β、およびTmを式(46)に代入すれば、凝固シェル2の厚み、及び凝固シェル2の温度が得られる。このため、(t,z)における鋳型内凝固状態推定量である熱伝達係数α、熱伝達係数β、凝固シェル2の厚みs、凝固シェル2の温度Tが得られる。この鋳型内凝固状態推定量を、以下では、それぞれαest(t,z)、βest(t,z)、sest(t,z)、Test(t,z,x)と表すことにする。
以上のように、複数の熱電対7により測定された温度を用いて、非定常伝熱逆問題解析を行うことにより、鋳型内凝固状態推定量が導出される。ここで、非定常伝熱逆問題とは、計算領域を支配する非定常熱伝導方程式を基にして、当該非定常熱伝導方程式で求める解となる領域内部の温度情報を既知として、領域境界での温度や熱流束や熱伝達係数などの、当該非定常熱伝導方程式を解く際の境界条件または初期条件を推定する問題を指す。これに対して、非定常伝熱順問題は、既知である境界条件を基にして、領域内部の温度情報を推定する問題を指す。
以上が、特許文献3に記載の鋳型4内の凝固状態の推定方法である。
<熱電対7の位置>
熱電対7の埋設位置は、鋳造状況を監視するために従来から使用している熱電対7の埋設位置(既存の鋳型4における熱電対7の埋設位置)でもよい。ただし、鋳型4内の凝固状態の推定を行うに際しては、以下のように鋳型4に熱電対7が埋設されるようにするのが好ましい。以下、鋳型4内の凝固状態の推定を行うに際し、好適な熱電対7(測温手段)の埋設位置について説明する。
まず、鋳造方向(z軸方向)における熱電対7の埋設位置の好適な例を説明する。
鋳造方向(z軸方向)における熱電対7の埋設位置は、特許文献3に記載のように定めるのが好ましい。即ち、鋳型4において想定されている溶鋼1の湯面レベルと、当該湯面レベルから鋳造方向において下方に95mmだけ離れた位置とにより定まる範囲内の任意の位置をP1とする。また、溶鋼1の湯面レベルから鋳造方向において下方に220mm以上400mm以内だけ離れた範囲内の任意の位置をP2とする。このようにして定義される位置P1から位置P2までの範囲に鋳造方向において120mm以下の間隔で熱電対7を設け、且つ、鋳型4の下端から300mm以内の位置に少なくとも1つ熱電対7を設けるのが好ましい。また、鋳造方向において異なる位置に埋設される熱電対7の数は、5以上であるのが好ましい。
図2は、想定されている溶鋼1の湯面レベルが鋳型4の上端から85mmの位置にあり、鋳造方向の長さ(高さ)が1090mmである鋳型4への好適な熱電対7(測温手段)の鋳造方向における埋設位置の一例を示す図である。図2において、●で示す位置が、熱電対7の鋳造方向における埋設位置を示す。
配置パターン1は、鋳型4の上端から100mm以上340mm以内の範囲において間隔が120mmとなるように熱電対7を埋設すると共に、鋳型4の下端から250mmまでの位置に1つ熱電対7を埋設することを示す。
配置パターン2は、鋳型4の上端から40mm以上400mm以内の範囲において間隔が120mmとなるように熱電対7を埋設すると共に、鋳型4の下端から250mmまでの位置に2つ熱電対7を埋設することを示す。
配置パターン3は、鋳型4の上端から100mm以上340mm以内の範囲において間隔が60mmとなるように熱電対7を埋設すると共に、鋳型4の下端から250mmまでの位置に1つ熱電対7を埋設することを示す。
配置パターン4は、鋳型4の上端から100mm以上340mm以内の範囲において間隔が120mm以下で不等間隔となるように熱電対7を埋設すると共に、鋳型4の下端から250mmの位置に1つ熱電対7を埋設することを示す。
前述の埋設位置が好ましい理由については、特許文献3に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
一般的な連続鋳造機では、溶鋼1の湯面の、鋳型4の上端からの距離が80mm以上120mm以内の位置になるように溶鋼1の注入量を調整していることから、位置P1を鋳型4の上端から120mm以上175mm以下の任意の位置とし、位置P2を鋳型4の上端から340mm以上480mm以下の任意の位置とすれば、溶鋼1の湯面がいずれの位置であっても、鋳造方向の熱電対7の埋設位置の好適な条件を満足することになる。
次に、水平面(鋳造方向(z軸方向)に垂直な面)における熱電対7の埋設位置の好適な例を説明する。図3は、鋳型4をその上方から見た様子の一例を示す図である。スラブは、幅の方が厚みに比べて長いため、スラブを連続鋳造する場合、鋳型4は、長辺部4aと短辺部4bとを用いて構成される。長辺部4aおよび短辺部4bの外形は、概ね直方体の形状である。図3に示すように、鋳型4の水平断面において、長手方向の長さは、長辺部4aの方が短辺部4bよりも長い。2つの長辺部4aを、浸漬ノズル6を介して相互に対向するように配置すると共に、2つの短辺部4bを、浸漬ノズル6を介して相互に対向するように配置して、2つの長辺部4aおよび2つの短辺部4bにより概ね直方体の中空領域が形成されるように2つの長辺部4aおよび2つの短辺部4bを組み合わせることにより、鋳型4が構成される。
このようなスラブを連続鋳造する場合の鋳型4においては、熱電対7を、短辺部4bの領域と、長辺部4aの短辺部側領域と、の少なくとも何れか一方の領域に埋設するのが好ましい。長辺部4aの短辺部側領域とは、長辺部4aの第1の位置から第2の位置までの範囲の領域である。長辺部4aの第1の位置は、長辺部4aの短辺部4bと接している位置のうち鋳型4の最も中心側の位置である。長辺部4aの第2の位置は、第1の位置から、鋳型4の幅方向(鋳型4の水平断面の長辺の方向)に沿って鋳型4の中心側に100mm離れた位置である。このように、水平面における熱電対7の埋設位置は、図3において、グレーで示す領域であるのが好ましい。尚、図3の長辺部4aの長手方向の両側の領域(短辺部4bの領域および長辺部4aの短辺部側領域の少なくとも何れか一方の領域)のそれぞれに熱電対7を配置すれば、図3の長辺部4aの長手方向の両側のそれぞれにおける割れ性ブレークアウトの予兆を予測することができるので好ましい。
前述した領域(短辺部4bの領域および長辺部4aの短辺部側領域)に熱電対7を配置するのが好ましいのは、当該領域付近の領域では、溶鋼1の流動や鋳型4における抜熱といった、溶鋼1の凝固に影響を与える因子は似通った状態になり、溶鋼1の流れや、モールドフラックス層3(パウダー)の厚みの変化が似通った傾向になるからである。
尚、ビレットの幅および厚み(水平断面の縦横の長さ)は200mm以下になる。ブルームにも、幅および厚み(水平断面の縦横の長さ)が200mm以下にものがある。従って、これらを鋳片として連続鋳造する場合には、水平面における熱電対7の埋設位置は、鋳型4内の領域であればどの位置であってもよい。
以下、凝固シェル2の厚みをオンラインで導出する手法として<鋳型4内の凝固状態の推定方法>で説明した手法を用いると共に、熱電対7の埋設位置が<熱電対7の位置>で説明した位置であるものとして、本発明の鋳造状態判定装置100の実施形態を説明する。
<鋳造状態判定装置100の実施形態>
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
図4は、鋳造状態判定装置100の機能的な構成の一例を示す図である。
[温度取得部401]
温度取得部401は、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる複数の熱電対7で測定された温度を取得する。温度取得部401は、取得した温度を用いて補間処理および補外処理の少なくとも何れか一方を行うことにより、鋳造方向における鋳型4の温度分布を導出する。これにより、熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc(t,z)が得られる。温度取得部401は、複数の熱電対7で測定された温度を0.01s以上、20s以下の間隔で取得するのが好ましい。複数の熱電対7で測定された温度の取得間隔(サンプリング間隔)を0.01s未満とすると、鋳型状態判定装置100のメモリ容量が足りなくなる。このため、処理がオーバーフローを起こす虞がある。また、複数の熱電対7で測定された温度の取得間隔を0.01s未満としても、割れ性ブレークアウトの予兆の検出精度は大きく向上しない。一方、複数の熱電対7で測定された温度の取得間隔が20sを上回ると、凝固シェル2の厚みsest(t,z)の導出間隔が大きくなる。このため、割れ性ブレークアウトの予兆の検出精度が低下する虞がある。
尚、鋳型4のサイズや物性値、および、鋳造対象となる溶鋼1の物性値に関し、事前に知ることのできる鋳型4の熱伝導率λm、鋳型4の内壁面からの熱電対7の埋め込み深さd1、熱電対7から冷却水5までの鋳型内壁面垂直方向の距離d2、鋳型4と冷却水5との間の熱伝達係数hw、凝固シェル2の比熱cs、凝固シェル2の密度ρs、凝固シェル2の熱伝導率λs、凝固潜熱L、および凝固温度Tsは既知とする。鋳造中に変化する可能性のある溶鋼1の温度T0、冷却水5の温度Tw、および鋳造速度Vcに関しては、平均的な値を用いることで既知とできるが、熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tcと同じく計測することが好ましい。
[熱流束導出部402]
熱流束導出部402は、温度取得部401で得られた、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc(t,z)から式(48)を用いて、鋳型4を通過する熱流束qout(t,z)を導出する。
[鋳型内壁面温度導出部403]
鋳型内壁面温度導出部403は、温度取得部401で得られた、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc(t,z)から式(47)を用いて、鋳型4の内壁面の温度Tm(t,z)を導出する。
[熱伝達係数導出部404]
熱伝達係数導出部404は、温度取得部401で得られた、熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tcと、熱流束導出部402で得られた、鋳型4を通過する熱流束qoutと、鋳型内壁面温度導出部403で得られた、鋳型4の内壁面の温度Tmとを用いて式(50)の最小化問題を解くことにより、熱伝達係数αest(t,z)、βest(t,z)を同時に導出(決定)する。
[凝固シェル厚導出部405]
凝固シェル厚導出部405は、鋳型内壁面温度導出部403で得られた、鋳型4の内壁面の温度Tmと、熱伝達係数導出部404で得られた、熱伝達係数αest(t,z)、βest(t,z)とを式(46)に適用して、凝固シェル2の厚みsest(t,z)および凝固シェル2の温度Test(t,z,x)を導出する。これにより、熱電対7による温度の測定時刻t、各熱電対7の鋳造方向の埋設位置zにおける凝固シェル2の厚みsest(t,z)が得られる。尚、凝固シェル2の温度Test(t,z,x)については必ずしも導出する必要はない。温度取得部401、熱流束導出部402、鋳型内壁面温度導出部403、熱伝達係数導出部404、凝固シェル厚導出部405における処理は、熱電対7で測定された温度が取得される度に繰り返し行われる。
[相関係数導出部406]
相関係数導出部406は、所定時間分の凝固シェル2の厚みsest(t,z)が得られたか否かを判定する。そして、相関係数導出部406は、所定時間分の凝固シェル2の厚みsest(t,z)が得られると、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置のそれぞれにおける凝固シェル2の厚みsest(t,z)の相関係数を導出する。尚、以下の説明では、この相関係数を、必要に応じて凝固シェル厚み相関係数と称する。また、相関係数は、2変数の共分散を、2変数の標準偏差の積で割った値である。
鋳造状態判定装置100の起動後、所定時間が経過するまでは、凝固シェル厚み相関係数は導出されない。相関係数導出部406は、鋳造状態判定装置100の起動後、所定時間が経過すると、当該所定時間の間に凝固シェル厚導出部405で得られた、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置のそれぞれにおける凝固シェル2の厚みsest(t,z)から、当該所定の時間が経過した時刻における凝固シェル厚み相関係数を導出する。
そして、相関係数導出部406は、凝固シェル厚導出部405で得られた、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の位置のそれぞれにおける凝固シェル2の厚みsest(t,z)のうち、最も古い凝固シェル2の厚みsest(t,z)を破棄し、その他の凝固シェル2の厚みsest(t,z)を保持する。
その後、相関係数導出部406は、凝固シェル厚導出部405により、鋳造方向の埋設位置が異なる2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置のそれぞれにおける凝固シェル2の厚みsest(t,z)が新たに導出されると、当該凝固シェル2の厚みsest(t,z)を、保持しておいた凝固シェル2の厚みsest(t,z)に追加する。そして、相関関係導出部406は、それらの凝固シェル2の厚みsest(t,z)を用いて、凝固シェル2の厚みsest(t,z)が新たに導出された時刻における凝固シェル厚み相関係数を導出する。
相関係数導出部406は、以上のような凝固シェル2の厚みsest(t,z)の破棄、保持、追加を、凝固シェル厚導出部405により凝固シェル2の厚みsest(t,z)が導出される度に繰り返し行うことにより、熱電対7で測定された温度の取得間隔(サンプリング間隔)で、各時刻における凝固シェル厚み相関係数を導出することができる。
本発明者らは、凝固シェル厚み相関係数の導出対象となる凝固シェル2の厚みsest(t,z)の鋳造方向の位置(鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置)や、所定時間を適切に定めることにより、正常な鋳造状態であるときの凝固シェル厚み相関係数と、割れ性ブレークアウトの発生の予兆が生じているときの凝固シェル厚み相関係数とに明確な差がでるので好ましいという知見を得た。以下に、この点について説明する。
まず、凝固シェル厚み相関係数の導出対象となる凝固シェル2の厚みsest(t,z)の鋳造方向の位置の間隔は、5mm以上、400mm以下であるのが好ましい。この間隔が5mmを下回ると、割れ性ブレークアウトの予兆が生じても凝固シェル厚み相関係数が略1になるため、割れ性ブレークアウトの予兆を検出することが容易でなくなる。一方、この間隔が400mmを上回ると、逆に、割れ性ブレークアウトが生じていなくても凝固シェル厚み相関係数が1を大きく下回るため、割れ性ブレークアウトの予兆を検出することが容易でなくなる。一般に、鋳造方向で相互に隣接する2つの熱電対7の鋳造方向における間隔は、5mm以上、400mm以下の範囲である。このため、凝固シェル厚み相関係数の導出対象となる凝固シェル2の厚みsest(t,z)の鋳造方向の位置として、鋳造方向で隣接する2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置を採用することができる。このようにする場合、鋳造方向の埋設位置が最も近い位置にある2つの熱電対7で測定された温度を用いて凝固シェル厚み相関係数を導出することになる。従って、正常な鋳造状態であるときの凝固シェル厚み相関係数と、割れ性ブレークアウトの予兆が発生したときの凝固シェル厚み相関係数との差を最大にすることができる。
また、凝固シェル厚み相関係数の導出対象となる凝固シェル2の厚みsest(t,z)の鋳造方向の位置の組として、複数の組を予め設定するのが好ましい。複数の凝固シェル厚み相関係数を導出することにより、割れ性ブレークアウトの予兆の未検出および過検出を抑制することができるからである。例えば、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる熱電対7の数が5つであり、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の位置として、鋳造方向で相互に隣接する2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置を採用する場合、4組の位置が予め設定される。即ち、一番上の熱電対7の鋳造方向の埋設位置と、上から二番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置との組と、上から二番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置と、上から三番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置との組と、上から三番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置と、上から四番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置との組と、上から四番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置と、上から五番目の熱電対7の鋳造方向の埋設位置との組と、が予め設定される。以下では、凝固シェル厚み相関係数の導出対象となる凝固シェル2の厚みsest(t,z)の鋳造方向の位置の組として、鋳造方向で相互に隣接する2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置の組を予め設定する場合を例に挙げて説明する。
また、前述した所定の時間は、2分以上、20分以下の時間であるのが好ましい。凝固シェルの厚みsest(t,z)の相関の低下は、割れ性ブレークアウト以外の要因(例えば、溶鋼1の乱流)によっても発生する。従って、この時間が2分を下回ると、凝固シェル厚み相関係数の値が、割れ性ブレークアウトよりも、それ以外の要因に大きく影響を受ける虞がある。また、割れ性ブレークアウトの予兆を捉えることができなくなる虞がある。このため、割れ性ブレークアウトの予兆を検出することが容易でなくなる虞がある。
一方、割れ性ブレークアウトの予兆が発生することにより凝固シェル厚み相関係数の値が乱れる期間はそれ程長くない。従って、この時間が20分を上回ると、凝固シェル厚み相関係数の値が、割れ性ブレークアウトよりも、正常な操業であるときの鋳造状態(凝固シェル2等の状態)に大きく影響を受ける虞がある。このため、割れ性ブレークアウトの予兆を検出することが容易でなくなる虞がある。
[凝固シェル状態判定部407]
凝固シェル状態判定部407は、相関係数導出部406により得られた、凝固シェル厚み相関係数の値に基づいて、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。
本実施形態では、相関係数導出部406は、各時刻において、複数の凝固シェル厚み相関係数を導出する。従って、複数の凝固シェル厚み相関係数について、それらの時系列データが得られる。そこで、本実施形態では、凝固シェル状態判定部407は、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データを用いて、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。以下に、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データを用いた、割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無の判定方法の一例を説明する。
凝固シェル状態判定部407は、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られたか否かを判定する。そして、凝固シェル状態判定部407は、複数の凝固シェル厚み相関係数の所定時間分の時系列データが得られると、当該時系列データに基づいて、複数の凝固シェル厚み相関係数のうち、前記所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上であるか否かを判定する。凝固シェル状態判定部407は、前記所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上である場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定し、そうでない場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定する。
鋳造状態判定装置100の起動後、所定時間が経過するまでは、割れ性ブレークアウトの予兆の有無の判定は行われない。凝固シェル状態判定部407は、鋳造状態判定装置100の起動後、所定時間が経過すると、当該所定時間の間に相関係数導出部406で得られた、複数の凝固シェル厚み相関係数を用いて、当該所定の時間が経過した時刻において割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。
そして、凝固シェル状態判定部407は、相関係数導出部406で得られた、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データのうち、最も古いデータを破棄し、その他のデータを保持する。
その後、凝固シェル状態判定部407は、相関係数導出部406により、複数の凝固シェル厚み相関係数が新たに導出されると、当該複数の凝固シェル厚み相関係数を保持しておいた複数の凝固シェル厚み相関係数に追加して、それらを用いて、複数の凝固シェル厚み相関係数が新たに導出された時刻において割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。
凝固シェル状態判定部407は、このような複数の凝固シェル厚み相関係数の破棄、保持、追加を、相関係数導出部406により複数の凝固シェル厚み相関係数が導出される度に繰り返し行うことにより、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを、複数の熱電対7で測定された温度の取得間隔(サンプリング間隔)で判定することができる。
以上の判定に用いられる、所定時間、閾値、および所定数は、例えば、連続鋳造設備ごとに行われるキャリブレーションにより予め設定される。例えば、以下のようにして所定時間、閾値、および所定数を予め設定することができる。
まず、連続鋳造設備を実際に操業して、割れ性ブレークアウトが発生した場合と、そうでない場合とのそれぞれについて、凝固シェル厚み相関係数の時系列データを収集する。そして、割れ性ブレークアウトが発生したときの凝固シェル厚み相関係数の時系列データと、割れ性ブレークアウトが発生していないときの凝固シェル厚み相関係数の時系列データと、を見比べて、前述した所定時間、閾値、および所定数としてどのような値が適切であるのかを定める。例えば、所定時間として10分、閾値として0.75、所定数として3を採用することができる。尚、閾値としては、凝固シェル厚み相関係数の導出対象となる凝固シェル2の厚みsest(t,z)の鋳造方向の位置の組の間隔(凝固シェル厚み相関係数を導出するために用いる2つの熱電対7の鋳造方向の間隔)が短いほど大きな値を採用するのが好ましい。
[出力部408]
出力部408は、凝固シェル状態判定部407により、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定されると、そのことを示す情報を出力する。この情報の出力の形態は、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、鋳造状態判定装置100の外部、内部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信の少なくとも何れか1つにより実現される。尚、出力部408は、凝固シェル状態判定部407により、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定された場合に、そのことを示す情報を出力してもよい。
[動作フローチャート]
次に、図5のフローチャートを参照しながら、鋳造状態判定装置100による鋳造状態判定方法の一例を説明する。尚、図5のフローチャートは、温度取得部401により、鋳造方向の位置が異なる複数の熱電対7で測定された温度が取得される度に、繰り返し実行されるものとする。また、前述した計算で使用する既知の値については、図5のフローチャートの開始前に得られているものとする。
まず、ステップS501において、温度取得部401は、鋳造方向の位置が異なる複数の熱電対7で測定された温度を取得し、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc(t,z)を取得する。
次に、ステップS502において、熱流束導出部402は、ステップS501で得られた、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc(t,z)から式(48)を用いて、鋳型4を通過する熱流束qout(t,z)を導出する。
次に、ステップS503において、鋳型内壁面温度導出部403は、ステップS501で得られた、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tc(t,z)から式(47)を用いて、鋳型4の内壁面の温度Tm(t,z)を導出する。
次に、ステップS504において、熱伝達係数導出部404は、ステップS501で得られた、各熱電対7の埋め込み深さ位置での鋳型4の温度Tcと、ステップS502で得られた、鋳型4を通過する熱流束qoutと、ステップS503で得られた、鋳型4の内壁面の温度Tmとを用いて式(50)の最小化問題を解くことにより、熱伝達係数αest(t,z)、βest(t,z)を同時に決定する。
次に、ステップS505において、凝固シェル厚導出部405は、ステップS503で得られた、鋳型4の内壁面の温度Tmと、ステップS504で得られた、熱伝達係数αest(t,z)、βest(t,z)とを式(46)に適用して、凝固シェル2の厚みsest(t,z)を導出し、各熱電対7の鋳造方向の埋設位置zにおける凝固シェル2の厚みsest(t,z)を導出する。
次に、ステップS506において、相関係数導出部406は、所定時間(例えば、2分以上20分以下の時間)分の凝固シェル2の厚みsest(t,z)が得られたか否かを判定する。この判定の結果、所定時間分の凝固シェル2の厚みsest(t,z)が得られていない場合、図5のフローチャートによる処理が終了する。一方、所定時間分の凝固シェル2の厚みsest(t,z)が得られている場合、処理は、ステップS507に進む。
次に、ステップS507において、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置のそれぞれにおける、凝固シェル2の厚みsest(t,z)の相関係数(凝固シェル厚み相関係数)を導出する。本実施形態では、鋳造方向の埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置の組として、複数の組が予め設定されている。従って、1回のステップS507の処理で、複数の凝固シェル厚み相関係数が導出される。
次に、ステップS508において、凝固シェル状態判定部407は、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間(例えば、10分)分の時系列データが得られたか否かを判定する。この判定の結果、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られていない場合、図5のフローチャートによる処理が終了する。一方、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られている場合、処理は、ステップS509に進む。
次に、ステップS509において、凝固シェル状態判定部407は、複数の凝固シェル厚み相関係数のうち、前記所定時間(例えば、10分間)において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上であるか否かを判定する。この判定の結果、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上でない場合、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないとし、図5のフローチャートによる処理が終了する。
一方、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上である場合、処理は、ステップS510に進む。
次に、ステップS510において、出力部408は、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることを示す情報を出力する。そして、図5のフローチャートによる処理が終了する。尚、ステップS509において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上でないと判定された場合に、出力部408は、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないことを示す情報を出力してもよい。
[実施例]
試験用の鋳型を用いて実際の操業を模擬し、当該鋳型に埋め込まれた熱電対で測定された温度を本実施形態の鋳造状態判定装置100に与えて前述した処理により、凝固シェル厚み相関係数の時系列データを得た。位置P1から位置P2までの範囲に鋳造方向において20mm間隔で15個の熱電対を配置し、位置P2よりも下方に4個の熱電対を配置した。鋳型4の下端から300mm以内の位置に配置される熱電対の数は1個とした。また、各熱電対は、鋳型の短辺部の幅方向および厚み方向の中央の位置に配置した。
鋳造状態判定装置100における解析条件として、熱電対7の温度の取得間隔を1sとした。また、4分間分の凝固シェル2の厚みsest(t,z)から凝固シェル厚み相関係数を導出した(相関係数導出部406の判定に用いられる所定時間を4分とした)。また、10分間の間に、3個以上の凝固シェル厚み相関係数が0.75未満になると、割れ性ブレークアウトの予兆が発生するものとした(凝固シェル状態判定部407の判定に用いられる所定時間を10分、閾値を0.75、所定数を3とした)。
図6~図8にその結果を示す。
図6(a)は、前述した15個の熱電対のうち、上から5番目の熱電対の埋設位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)と、上から6番目の熱電対の埋設位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)との相関係数(凝固シェル厚み相関係数)を示す。
同様に、図6(b)、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)は、前述した15個の熱電対のうち、上から6、7番目、7、8番目、8、9番目、9、10番目、10、11番目の熱電対の埋設位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)の相関係数(凝固シェル厚み相関係数)を示す。
図6~図8において、エッジ割れ範囲とは、割れ性ブレークアウトの予兆が発生している時間帯を示す。割れ性ブレークアウトが発生したタイミングは、4800sである。尚、図6~図8では、この4800sのタイミングで発生した割れ性ブレークアウトによる溶鋼の漏れは少量であり、割れ性ブレークアウトは(操業条件を変更することなく自然に)解消したケースを示す。よって、割れ性ブレークアウトの発生後も凝固シェル厚み相関係数の導出を継続している。
図7(b)、図8(a)、および図8(b)に示すように3200s~3800sの間において、3個の凝固シェル厚み相関係数が0.75未満となっており、この期間は、エッジ割れ範囲に含まれる。従って、割れ性ブレークアウトの予兆が発生するタイミングに対応して、3個の凝固シェル厚み相関係数が0.75未満となっていることが分かる。
また、図6(a)において、他要因範囲で示す期間において、相関係数(凝固シェル厚み相関係数)が0.75より大きく下回っている。しかしながら、図6(b)、図7(a)、図7(b)、図8(a)、および図8(b)に示すように、この期間において、その他の相関係数(凝固シェル厚み相関係数)は0.75を下回っていない。このため、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているとは判定されない。よって、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることが過検出されることが抑制されることが分かる。
[まとめ]
以上のように本実施形態では、鋳造状態判定装置100は、鋳造方向における埋設位置が相互に異なる2つの熱電対7の埋設位置における凝固シェル2の厚みの相関係数(凝固シェル厚み相関係数)を複数導出する。そして、鋳造状態判定装置100は、所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上である場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定し、そうでない場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定する。従って、割れ性ブレークアウトが発生する際の凝固シェルの挙動を推測して、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定することができる。よって、湯面レベルや、熱電対7で測定された温度そのものや、熱流束そのものといった、割れ性ブレークアウトに対する間接的な評価指標を用いる場合よりも、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを精度よく判定することができる。連続鋳造工程において割れ性ブレークアウトが発生するか否かを精度よくオンラインで予測することができる。
[変形例]
本実施形態のように、複数の凝固シェル厚み相関係数を導出し、それらを用いて、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定すれば、割れ性ブレークアウトの予兆の検出精度を向上させることができるので好ましい。しかしながら、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定するために用いる凝固シェル厚み相関係数の数は1つであってもよい。例えば、鋳型4の構造や特性等により、割れ性ブレークアウトの予兆を顕著に表す凝固シェルの鋳造方向の範囲が特定される場合には、当該範囲内の2つの位置における凝固シェル2の厚みから凝固シェル相関係数を導出し、当該凝固シェル相関係数が閾値を下回る場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定してもよい。
また、鋳造方向における2つの位置における凝固シェル2の厚みの相関を示す指標を用いて、割れ性ブレークアウトが発生するか否かを判定していれば、必ずしも前述した相関係数を用いなくてもよい。例えば、共分散を用いてもよい。また、鋳造方向における2つの位置における凝固シェル2の厚みの相関を示す指標として、本実施形態で説明した相関係数の逆数を用いる場合には、当該指標が、閾値を上回るか否かを判定することになる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態では、凝固シェル厚み相関係数と閾値とを比較することにより、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(ヒストグラム)に基づいて、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かの判定基準が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1~図8に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図9は、鋳造状態判定装置100の機能的な構成の一例を示す図である。
[温度取得部401~相関係数導出部406]
温度取得部401、熱流束導出部402、鋳型内壁面温度導出部403、熱伝達係数導出部404、凝固シェル厚導出部405、および相関係数導出部406は、第1の実施形態で説明したものと同じ機能で実現することができる。
[凝固シェル状態判定部907]
凝固シェル状態判定部907は、相関係数導出部406により、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られたか否かを判定する。そして、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られると、凝固シェル状態判定部907は、当該複数の凝固シェル厚み相関係数のそれぞれについて、当該凝固シェル厚み相関係数の所定時間分の時系列データを用いて、当該凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を導出(作成)する。このとき、凝固シェル状態判定部907は、凝固シェル厚み相関係数を対数目盛で表示する片対数グラフで、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を表す。また、凝固シェル厚み相関係数の階級(ビン)の幅は、0.01以上且つ0.1以下とするのが好ましい。ここでは、頻度分布として相対頻度分布を用いた例を挙げて説明する。相対頻度分布とは、ここでは、横軸を凝固シェル厚み相関係数、縦軸を凝固シェル厚み相関係数の各階級に属する相対頻度で示す片対数グラフを意味する(尚、相対頻度とは、各階級に属する個数を全個数で割った値である。このことは、以下の説明でも同じである)。尚、頻度分布として相対頻度分布に代えて絶対頻度分布(縦軸を相対頻度ではなく、各階級に属する個数そのもの(絶対頻度)を用いた頻度分布)を用いてもよい。
凝固シェル状態判定部907は、複数の凝固シェル厚み相関係数のそれぞれについて、片対数グラフにおける値から、凝固シェル厚み相関係数の頻度を、当該凝固シェル厚み相関係数の一次関数で表した線形式を、回帰分析等の手法により導出し、当該線形式(一次関数)の傾きを導出する。以下の説明では、この傾きを、必要に応じて、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きと称する。第1の実施形態で説明したように、凝固シェル厚み相関係数の値が低下すると、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると推測することができる。従って、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布において、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きが小さいということは、値が小さい凝固シェル厚み相関係数の発生頻度が多いことを示す。また、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を片対数グラフとして表すのは、一般に、相対的に小さい値の凝固シェル厚み相関係数の発生頻度は、相対的に大きい値(1に近い値)の凝固シェル厚み相関係数の発生頻度に比べて極端に少ないため、凝固シェル厚み相関係数と、その頻度との関係を所定の関数で明瞭に表現することが容易ではないからである。
尚、凝固シェル状態判定部907は、片対数グラフを明示的に作成しなくてもよい。即ち、凝固シェル状態判定部907は、凝固シェル厚み相関係数の頻度の対数をとり(例えば、常用対数をとる場合、凝固シェル厚み相関係数の頻度をYとするとlog10Yを導出し)、凝固シェル厚み相関係数と、当該凝固シェル厚み相関係数の頻度の対数とにより定まる点の値から、凝固シェル厚み相関係数の頻度を、当該凝固シェル厚み相関係数の一次関数で表す線形式を、回帰分析等の手法により導出すればよい。
凝固シェル状態判定部907は、以上のようにして得られた複数の凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの代表値を導出する。代表値としては、平均値、中央値、または最頻値を用いることができる。そして、凝固シェル状態判定部907は、このようにして導出した代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上であるか否かを判定する。凝固シェル状態判定部907は、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上である場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定し、そうでない場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定する。
鋳造状態判定装置100の起動後、所定時間が経過するまでは、割れ性ブレークアウトの予兆の有無の判定は行われない。凝固シェル状態判定部907は、鋳造状態判定装置100の起動後、所定時間が経過すると、当該所定時間の間に相関係数導出部406で得られた、複数の凝固シェル厚み相関係数を用いて、当該所定の時間が経過した時刻において割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。
そして、凝固シェル状態判定部907は、相関係数導出部406で得られた、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データのうち、最も古いデータを破棄し、その他のデータを保持する。
その後、凝固シェル状態判定部907は、相関係数導出部406により、複数の凝固シェル厚み相関係数が新たに導出されると、当該複数の凝固シェル厚み相関係数を保持しておいた複数の凝固シェル厚み相関係数に追加して、それらを用いて、複数の凝固シェル厚み相関係数が新たに導出された時刻において割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定する。
凝固シェル状態判定部907は、このような複数の凝固シェル厚み相関係数の破棄、保持、追加を、相関係数導出部406により複数の凝固シェル厚み相関係数が導出される度に繰り返し行うことにより、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを、複数の熱電対7で測定された温度の取得間隔(サンプリング間隔)で判定することができる。
以上の判定に用いられる、所定時間および所定数としては、連続鋳造設備ごとに行われるキャリブレーションにより予め設定される。例えば、以下のようにして所定時間および所定数を予め設定することができる。
まず、連続鋳造設備を実際に操業して、割れ性ブレークアウトが発生した場合と、そうでない場合とのそれぞれについて、凝固シェル厚み相関係数の発生頻度の傾きを導出する。そして、割れ性ブレークアウトが発生したときの凝固シェル厚み相関係数の発生頻度の傾きと、割れ性ブレークアウトが発生していないときの凝固シェル厚み相関係数の発生頻度の傾きとを見比べて、前述した所定時間および所定数としてどのような値が適切であるのかを定める。例えば、所定時間として10分、所定数として3を採用することができる。
[出力部908]
出力部908は、凝固シェル状態判定部907により、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定されると、そのことを示す情報を出力する。この情報の出力の形態は、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、鋳造状態判定装置100の外部、内部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信の少なくとも何れか1つにより実現される。尚、出力部908は、凝固シェル状態判定部907により、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定された場合に、そのことを示す情報を出力してもよい。
[動作フローチャート]
次に、図10のフローチャートを参照しながら、鋳造状態判定装置100による鋳造状態判定方法の一例を説明する。尚、図10のフローチャートは、温度取得部401により、鋳造方向の位置が異なる複数の熱電対7で測定された温度が取得される度に、繰り返し実行されるものとする。また、前述した計算で使用する既知の値については、図10のフローチャートの開始前に得られているものとする。
ステップS501~S507の処理は、図5のステップS501~S507の処理と同じである。
ステップS507の処理の後、ステップS1001に進む。ステップS1001において、凝固シェル状態判定部907は、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間(例えば、10分)分の時系列データが得られたか否かを判定する。この判定の結果、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られていない場合、図10のフローチャートによる処理が終了する。一方、複数の凝固シェル厚み相関係数の時系列データとして所定時間分の時系列データが得られている場合、処理は、ステップS1002に進む。
次に、ステップS1002において、凝固シェル状態判定部907は、複数の凝固シェル厚み相関係数のそれぞれについて、凝固シェル厚み相関係数の所定時間分の時系列データを用いて、当該凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を導出(作成)する。このとき、凝固シェル状態判定部907は、頻度分布における凝固シェル厚み相関係数の頻度の値を、対数で表す。
次に、ステップS1003において、凝固シェル状態判定部907は、ステップS1002で得られた、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布に基づいて、対数で表された凝固シェル厚み相関係数の頻度を、当該凝固シェル厚み相関係数の一次関数で表す線形式の傾き(凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾き)を導出する。1回のステップS507の処理で、複数の凝固シェル厚み相関係数が導出されるので、1回のステップS1003の処理で、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きとして、複数の凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きが導出される。
次に、ステップS1004において、凝固シェル状態判定部907は、ステップS1003で得られた、複数の凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの代表値を導出する。
次に、ステップS1005において、凝固シェル状態判定部907は、ステップS1003で導出された凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きのうち、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上であるか否かを判定する。この判定の結果、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上でない場合、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないとし、図10のフローチャートによる処理が終了する。
一方、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上である場合、処理は、ステップS1006に進む。
次に、ステップS1006において、出力部908は、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることを示す情報を出力する。そして、図10のフローチャートによる処理が終了する。尚、ステップS1005において、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上でないと判定された場合に、出力部908は、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないことを示す情報を出力してもよい。
[実施例]
第1の実施形態の[実施例]で得られた凝固シェル厚み相関係数の時系列データから、本実施形態で説明した処理により、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(階級の幅は0.05)を導出した(凝固シェル厚み相関係数の時系列データについては図6~図8を参照)。本実施例では、10分間の間に、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きとして3個以上の傾きが平均値を下回ると、割れ性ブレークアウトの予兆が発生するものとした(凝固シェル状態判定部907の判定に用いられる所定時間を10分、所定数を3、代表値を平均値とした)。その他の鋳造状態判定装置100における解析条件は、第1の実施形態の[実施例]で説明したものと同じである。
図11~図13にその結果を示す。
図11(a)は、第1の実施形態の[実施例]で説明した15個の熱電対のうち、上から5番目の熱電対の位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)と、上から6番目の熱電対の位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)との相関係数(凝固シェル厚み相関係数)の頻度分布を示す。
同様に、図11(b)、図12(a)、図12(b)、図13(a)、図13(b)は、第1の実施形態の[実施例]で説明した15個の熱電対のうち、上から6、7番目、7、8番目、8、9番目、9、10番目、10、11番目の熱電対の埋設位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)の相関係数(凝固シェル厚み相関係数)の頻度分布を示す。
図11~図13において、グラフ1101、1111、1201、1211、1301、1311は、健全部に対するグラフを示し、図6~図8に示すエッジ割れ範囲および他要因範囲以外の同一の期間における凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を示す。グラフ1102、1112、1202、1212、1302、1312は、割れ部(割れ性ブレークアウトによる割れ部)に対するグラフを示し、エッジ割れ範囲の期間における凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を示す。グラフ1103、1113、1203、1213、1303、1313は、図6(a)に示す他要因範囲の期間における凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を示す。また、グラフ1104、1114、1204、1214、1304、1314は、全ての凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの平均値を示す。
図12(b)、図13(a)、および図13(b)において、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(グラフ1212、1302、1312)の傾きが、全ての凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(グラフ1214、1304、1314)の傾きの平均値を下回った。従って、割れ性ブレークアウトの予兆が発生するタイミングに対応して、3個の凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きが、全ての凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの平均値を下回っていることが分かる。
また、図11(a)において、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(グラフ1103)の傾き(図6(a)に示す他要因範囲の期間における凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾き)は、全ての凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(グラフ1104)の傾きの平均値を下回る。しかしながら、図11(b)、図12(a)、図12(b)、図13(a)、および図13(b)に示すように、この期間において、その他の凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(グラフ1113、1203、1213、1303、1313)の傾きは、全ての凝固シェル厚み相関係数の頻度分布(グラフ1114、1204、1214、1304、1314)の傾きの平均値を下回っていない。このため、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているとは判定されない。よって、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることが過検出されることが抑制されることが分かる。
[まとめ]
以上のように本実施形態では、鋳造状態判定装置100は、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きを複数導出し、それらの代表値を下回る傾きが所定数以上ある場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定し、そうでない場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定する。このようにしても第1の実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
[変形例]
本実施形態のように、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きを複数導出し、それらを用いて、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定すれば、割れ性ブレークアウトの予兆の検出精度を向上させることができるので好ましい。しかしながら、割れ性ブレークアウトの予兆が発生しているか否かを判定するために用いる凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数は1つであってもよい。図14は、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の変形例を示す図である。第1の実施形態の[変形例]の項で説明したように、鋳型4の構造や特性等により、割れ性ブレークアウトの予兆を顕著に表す凝固シェルの鋳造方向の範囲が特定される場合には、当該範囲内の2つの位置における凝固シェル2の厚みから凝固シェル相関係数を導出し、当該凝固シェル相関係数の頻度分布の傾きを導出し、当該凝固シェル相関係数の頻度分布の傾きが閾値を下回る場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定してもよい。
図14は、第1の実施形態の[実施例]で説明した15個の熱電対のうち、上から5、11番目の熱電対の位置における凝固シェル2の厚みsest(t,z)の相関係数(凝固シェル厚み相関係数)の頻度分布を示す。尚、図14におけるグラフ1401は、図11~図13におけるグラフ1101、1111、1201、1211、1301、1311と同じ内容であり、グラフ1402は、図11~図13におけるグラフ1102、1112、1202、1212、1302、1312と同じ内容であり、グラフ1403は、図11~図13におけるグラフ1103、1113、1203、1213、1303、1313と同じ内容である。図13に示すように、鋳造方向における熱電対の位置が離れると、凝固シェル2の厚みの相関に乱れが生じるが、凝固シェル厚み相関係数が小さいと、その頻度は、割れ部(グラブ1302、1312を参照)の方が健全部(グラフ1301、1311を参照)よりも大きくなる傾向は捉えられる。従って、凝固シェル厚み相関係数を導出する際に、必ずしも、鋳造方向で隣接する2つの熱電対7の鋳造方向の埋設位置を採用する必要はない。
また、本実施形態では、凝固シェル厚み相関係数を対数目盛で表示する片対数グラフで、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を表す場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、両対数グラフで、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を表してもよい(凝固シェル厚み相関係数に対しても対数をとるようにしてもよい)。また、対数をとらずに凝固シェル厚み相関係数の頻度分布を表してもよい。また、傾きではなく、例えば、所定値以下の凝固シェル厚み相関係数の頻度の総和が閾値を上回る場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定してもよい。
また、本実施形態では、凝固シェル厚み相関係数の頻度を、当該凝固シェル厚み相関係数の一次関数で表した線形式を用いる場合を例に挙げて説明した。これに対し、凝固シェル厚み相関係数を、当該凝固シェル厚み相関係数の頻度の一次関数で表した線形式を用いることとし、当該線形式の傾きを、凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きと称することとする場合、凝固シェル状態判定部907は、ステップS1005において、代表値を上回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上であるか否かを判定することになる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。本実施形態では、割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無の判定基準として、第1の実施形態で説明した判定基準と、第2の実施形態で説明した判定基準とを組み合わせる場合について説明する。従って、本実施形態の説明において、第1~第2の実施形態と同一の部分については、図1~図12に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態の鋳造状態判定装置100の機能的な構成は、図9に示したものと同じもので実現することができる。
ただし、凝固シェル状態判定部907は、第1の実施形態で説明した凝固シェル状態判定部407と同様に、所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定数以上であるか否かを判定する。即ち、本実施形態では、凝固シェル状態判定部907は、割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定するために、第1の判定と第2の判定を行う。
第1の判定は、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上であるか否かの判定である。第2の判定は、所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定値以上であるか否かの判定である。
凝固シェル状態判定部907は、第1の判定において、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上である場合、または、第2の判定において、所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定値以上である場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定し、そうでない場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定する。
本実施形態の鋳造状態判定装置100による鋳造状態判定方法は、例えば、図10のフローチャートにおいて、ステップS1005でNOと判定されると、図5のステップS509の判定を行い、当該ステップS509でYESと判定されると、図10のステップS1006に進み、当該ステップS509でNOと判定されると、図10のフローチャートによる処理が終了するようにすることにより実現される。
以上のようにすれば、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることを、より確実に予測することができる。
また、凝固シェル状態判定部907は、このようにすることに代えて、第1の判定において、代表値を下回る凝固シェル厚み相関係数の頻度分布の傾きの数が、所定値以上であり、且つ、第2の判定において、所定時間において、閾値を下回る凝固シェル厚み相関係数の数が所定値以上である場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していると判定し、そうでない場合に、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していないと判定してもよい。このようにすれば、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることが過検出されることを、より確実に抑制することができる。
例えば、割れ性ブレークアウトの予兆が発生していることの過検出と未検出のどちらをより確実に抑制したいかに応じて、第1の判定と第2の判定との少なくとも何れか一方の判定基準を選択すればよい。
また、第1、第2の実施形態の[変形例]の項で説明した判定基準を組み合わせてもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1:溶鋼、2:凝固シェル、3:モールドフラックス層、4:鋳型、5:冷却水、6:浸漬ノズル、7:熱電対、100:鋳造状態判定装置、401:温度取得部、402:熱流束導出部、403:鋳型内壁面温度導出部、404:熱伝達係数導出部、405:凝固シェル厚導出部、406:相関係数導出部、407、907:凝固シェル状態判定部、408、908:出力部

Claims (16)

  1. 連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定装置であって、
    鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得手段と、
    前記温度取得手段により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出手段と、
    前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出手段と、
    前記相関導出手段により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係とに基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定手段と、
    を有することを特徴とする鋳造状態判定装置。
  2. 前記判定手段は、前記関係を線形式で表現した場合の傾きを導出し、導出した傾きと、閾値とを比較した結果に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする請求項に記載の鋳造状態判定装置。
  3. 連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定装置であって、
    鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得手段と、
    前記温度取得手段により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出手段と、
    前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出手段と、
    前記相関導出手段により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定手段と、
    を有し、
    前記相関導出手段は、前記2つの位置の組として、少なくとも何れか一方の位置が相互に異なる複数の組のそれぞれについて、当該2つの位置における前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出し、
    前記判定手段は、前記相関導出手段により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係を、前記複数の組に対する前記指標のそれぞれについて導出し、導出した複数の関係に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする鋳造状態判定装置。
  4. 前記判定手段は、前記相関導出手段により導出された前記複数の組に対する前記指標と、閾値とをそれぞれ比較した結果に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする請求項に記載の鋳造状態判定装置。
  5. 前記判定手段は、前記関係を線形式で表現した場合の傾きを、前記複数の関係のそれぞれについて導出し、導出した傾きと、閾値とを比較した結果に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする請求項3または4に記載の鋳造状態判定装置。
  6. 連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定装置であって、
    鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得手段と、
    前記温度取得手段により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出手段と、
    前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出手段と、
    前記相関導出手段により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定手段と、
    を有し、
    前記鋳型は、水平断面における長手方向の長さが相対的に長い長辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの長辺部と、水平断面における長手方向の長さが相対的に短い短辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの短辺部と、を有し、前記2つの長辺部と前記2つの短辺部とを組み合わせることにより形成される中空の領域に溶鋼が注入される構成であり、
    前記測温手段は、前記短辺部の領域、または、前記長辺部の第1の位置から第2の位置までの間の領域に埋設され、
    前記長辺部の第1の位置は、前記長辺部の前記短辺部と接触している位置のうち、前記鋳型の最も中心側の位置であり、
    前記長辺部の第2の位置は、前記長辺部の第1の位置から、前記鋳型の水平断面の長辺の方向に沿って前記鋳型の中心側に100mm離れた位置であることを特徴とする鋳造状態判定装置。
  7. 前記判定手段は、前記相関導出手段により導出された前記指標と、閾値とを比較した結果に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする請求項に記載の鋳造状態判定装置。
  8. 前記指標を対数で表すことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の鋳造状態判定装置。
  9. 前記指標は、相関係数であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の鋳造状態判定装置。
  10. 前記複数の測温手段の数は、5以上であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の鋳造状態判定装置。
  11. 前記2つの位置は、前記鋳造方向において相互に隣接する位置にある2つの前記測温手段の前記鋳造方向における位置であることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の鋳造状態判定装置。
  12. 前記鋳型、前記凝固シェル、前記鋳型内の溶鋼を含む領域における熱伝導を表現する熱伝導方程式における解となる温度から、当該熱伝導方程式の解を導出する際に用いる境界条件を求める問題である逆問題を解くことによって、前記鋳型内の凝固シェルと前記鋳型との間の単位温度差あたりの熱流束である熱伝達係数αと、前記鋳型内の溶鋼と前記凝固シェルとの間の熱伝達係数βとを導出する熱伝達係数導出手段を更に有し、
    前記凝固シェル厚導出手段は、前記熱伝達係数導出手段により導出された前記熱伝達係数αおよび前記熱伝達係数βを用いて前記凝固シェルの厚みを導出することを特徴とする請求項1~1の何れか1項に記載の鋳造状態判定装置。
  13. 連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定方法であって、
    鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得工程と、
    前記温度取得工程により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出工程と、
    前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出工程と、
    前記相関導出工程により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係とに基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定工程と、
    を有することを特徴とする鋳造状態判定方法。
  14. 連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定方法であって、
    鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得工程と、
    前記温度取得工程により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出工程と、
    前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出工程と、
    前記相関導出工程により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定工程と、
    を有し、
    前記相関導出工程では、前記2つの位置の組として、少なくとも何れか一方の位置が相互に異なる複数の組のそれぞれについて、当該2つの位置における前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出し、
    前記判定工程では、前記相関導出工程により導出された前記指標と、当該指標の頻度との関係を、前記複数の組に対する前記指標のそれぞれについて導出し、導出した複数の関係に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定することを特徴とする鋳造状態判定方法。
  15. 連続鋳造工程における割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する鋳造状態判定方法であって、
    鋳型に埋設された複数の測温手段であって、鋳造方向における位置が相互に異なる複数の測温手段で測定された温度を取得する温度取得工程と、
    前記温度取得工程により所定時間内の複数の時刻に取得された温度を用いて、前記鋳造方向における複数の位置での凝固シェルの厚みを前記所定時間内の複数の時刻のそれぞれにおいて導出する凝固シェル厚導出工程と、
    前記鋳造方向における2つの位置での前記凝固シェルの厚みの相関を示す指標を導出する相関導出工程と、
    前記相関導出工程により導出された前記指標に基づいて、前記割れ性ブレークアウトの予兆の発生の有無を判定する判定工程と、
    を有し、
    前記鋳型は、水平断面における長手方向の長さが相対的に長い長辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの長辺部と、水平断面における長手方向の長さが相対的に短い短辺部であって、相互に間隔を有して配置される2つの短辺部と、を有し、前記2つの長辺部と前記2つの短辺部とを組み合わせることにより形成される中空の領域に溶鋼が注入される構成であり、
    前記測温手段は、前記短辺部の領域、または、前記長辺部の第1の位置から第2の位置までの間の領域に埋設され、
    前記長辺部の第1の位置は、前記長辺部の前記短辺部と接触している位置のうち、前記鋳型の最も中心側の位置であり、
    前記長辺部の第2の位置は、前記長辺部の第1の位置から、前記鋳型の水平断面の長辺の方向に沿って前記鋳型の中心側に100mm離れた位置であることを特徴とする鋳造状態判定方法。
  16. 請求項1~1の何れか1項に記載の鋳造状態判定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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