JP7014203B2 - 連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置 - Google Patents

連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置に関するものである。
現在の製鉄プロセスにおいては、精錬した溶鋼を鋳造して鋳片を製造する方法として、連続鋳造法と呼ばれる手法が一般に用いられている。この手法では、適切な冷却条件での制御による温度の適正な管理が求められている。そこで、経験的な知見に基づいた温度推定方法などが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
また、連続鋳造機内では、平均的な鋳造条件などを考慮して、図9に示すように、連続鋳造機の場所に応じて異なる冷却装置を配置していることが一般的であることを利用し、鋳造鋳片の進行方向の場所a~dに応じて熱伝達係数を求める式を変化させ、温度推移を予測する方法が広く行われている(例えば、特許文献3、4、5参照)。なお、図9において、符号aは、鋳造鋳片支持ロール8との接触による抜熱要因であり、符号bは、輻射熱による抜熱要因であり、符号cは、強制対流による抜熱要因であり、符号dは冷却スプレー10による抜熱要因である。
また、特許文献6においては、さらなる予測精度向上のために、図10に示すように、鋳造鋳片の表面をメッシュ状に分割し、冷却装置を配置によって決定せずに、その場面において予想される熱伝達係数を複数計算し、その計算された複数の熱伝達係数の中から最適な熱伝達係数を選定することで温度推移を予測する手法が提案されている。
これらの手法によれば、得られた温度推定結果をもとに連続鋳造機内にある鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定することが可能であり、推定されたクレータエンド位置が連続鋳造機の末端(機端)を超える、所謂、機外抜けが発生するかどうかを検知、推定することができることから、機外抜けに起因したバルジングや溶鋼漏れによる操業トラブルの発生を未然に防ぐ用途に用いられている(例えば、特許文献7、8参照)
ここに、鋳造鋳片のクレータエンド位置とは、連続鋳造機内の溶鋼および鋳造鋳片の状態において、鋳造鋳片の鋳込み方向に対して垂直な面を断面としたとき、その断面内部に溶鋼が存在する領域(溶鋼が凝固していない領域)と溶鋼が存在しない領域(溶鋼が全て凝固している領域)とが発生し、この2つの領域の境界部分と定義され、その位置は、図11(a)(b)に示すように、操業状態(鋳込み速度、冷却条件)によって変動する。
特開昭63-235055号公報 特開平08-276258号公報 特開昭60-54257号公報 特開昭60-54258号公報 特開2003-136208号公報 特開2013-35011号公報 特許第5585739号公報 特開2002-35907号公報
ところで、従来の手法を適用して鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定し、機外抜けを検知する場合においては、以下に述べるような不具合が残されていた。
すなわち、クレータエンド位置から機外抜けを検知するには、推定されるクレータエンド位置が適正な位置から外れていないかどうか、連続鋳造機の機端付近に閾値を設けて判定を行うことになるが、クレータエンド位置が閾値を超えた時点で即座に機外抜けを防止するべく、操業条件の変更を行なおうとしても、機外抜けの検知が実際に機外抜けの予測される直前であるため時間的な猶予がなく、その対策としては鋳込み速度を減速させることしかできず、結果として生産能力の低下が避けられない状況にあった。
本発明の課題は、鋳込み速度を低下させることなしに機外抜けを回避することができる連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置を提案するところにある。
本発明は、連続鋳造用鋳型より引き抜かれた鋳造鋳片の引き抜き移動中に該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定する方法において、前記鋳造鋳片の固相率が80%以下の領域の少なくとも一箇所にて該鋳造鋳片の温度分布を求めるとともに、その求められた温度分布とその箇所において予めシミュレーションにより取得されている該鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データとを比較しその比較結果に基づいて該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定することを特徴とする連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法である。本発明において固相率とは、鋳造鋳片の垂直断面において、固相の、全垂直断面に対する割合(固相/(固相+液相)×100%)をいうものとし、固相率が100%で完全凝固状態となる。なお、操業条件を余裕をもって変更可能とする観点から鋳造鋳片の温度分布は、固相率が50%以下の領域で求めるのがより好ましい。
前記鋳造鋳片の温度分布は、連続鋳造用鋳型のメニスカスから鋳造鋳片の温度分布を求める位置までの距離を入力する入力ステップと、固体との接触による冷却以外の複数の冷却手段の熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する操業条件取得ステップと、前記操業条件に基づいて前記鋳片の前記位置までに鋳片に施される前記複数の冷却手段それぞれの熱伝達係数を計算する熱伝達係数計算ステップと、前記それぞれの熱伝達係数のうち最大値を選択する選択ステップと、前記位置における鋳片の表面の計算区画における、鋳片と前記固体との鋳片進行方向の接触長さを計算するための設備条件を取得する設備条件取得ステップと、前記設備条件に基づいて前記計算区画における鋳片と前記固体との鋳片進行方向に沿った接触長さを計算する接触長さ計算ステップと、前記計算区画内の前記接触長さに対応する接触領域における前記固体の接触による抜熱量と、同計算区画内の残部である非接触領域における前記選択した熱伝達係数を用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量を計算する全抜熱量計算ステップと、前記全抜熱量を用いて伝熱計算を行う伝熱計算ステップと、を経て求めるのが好ましい。
また、前記全抜熱量計算ステップは、前記選択した熱伝達係数を用いて前記計算区画の全領域の仮の全抜熱量を計算する仮全抜熱量計算ステップと、前記計算区画内の前記接触長さに対応する接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算する固体抜熱量計算ステップと、前記仮全抜熱量から、前記計算区画の全領域に対する前記接触領域の割合分を減算する減算調整ステップと、前記固体の接触による抜熱量を加算する加算調整ステップと、を含むことが好ましく、前記全抜熱量計算ステップは、前記選択した熱伝達係数を用いて前記非接触領域の抜熱量を計算する非接触領域抜熱量計算ステップと、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算する接触領域抜熱量計算ステップと、前記非接触領域の抜熱量と、前記固体の接触による抜熱量とを合算する合算ステップと、を含むことが好ましい。
前記伝熱計算ステップにて求められた鋳造鋳片の温度分布をもとに、鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データを取得した位置に一致する位置の温度分布を計算する温度分布計算ステップを含むことが好ましい。
さらに、本発明は、連続鋳造用鋳型より引き抜かれた鋳造鋳片の引き抜き移動中に該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定する装置であって、連続鋳造用鋳型のメニスカスから鋳造鋳片の温度分布を求める位置までの距離を入力する入力部と、固体との接触による冷却以外の複数の冷却手段の熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する操業条件取得部と、前記操業条件取得部で取得された操業条件に基づいて鋳造鋳片の温度分布を求める位置までに施される前記複数の冷却手段それぞれの熱伝達係数を計算する熱伝達係数計算部と、前記それぞれの熱伝達係数のうち最大値を選択する選択部と、前記位置に対応する鋳片の表面の計算区画における、鋳片と前記固体との鋳片進行方向の接触長さを計算するための設備条件を取得する設備条件取得部と、前記設備条件に基づいて前記計算区画における鋳片と前記固体との鋳片進行方向の接触長さを計算する接触長さ計算部と、前記計算区画内の前記接触長さに対応する接触領域における前記固体の接触による抜熱量と、同計算区画内の残部である非接触領域における前記選択した熱伝達係数を用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量を計算する全抜熱量計算部と、前記全抜熱量を用いて伝熱計算を行う伝熱計算部と、前記伝熱計算部にて求められた鋳造鋳片の温度分布と該鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データとを比較しその比較結果に基づいて該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定する判定部とを備えることを特徴とする連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定装置である。
上記の構成からなる装置においては、前記全抜熱量計算部は、前記選択した熱伝達係数を用いて前記計算区画の全領域の仮の全抜熱量を計算し、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算し、計算した前記仮全抜熱量から、前記計算区画の全領域に対する前記接触領域の割合分を減算し、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を加算するよう構成されていることが好ましく、また、前記全抜熱量計算部は、前記選択した熱伝達係数を用いて前記非接触領域の抜熱量を計算し、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算し、前記非接触領域の抜熱量と前記固体の接触による抜熱量とを合算するよう構成されていることが好ましい。
前記伝熱計算部求められた鋳造鋳片の温度分布をもとに、鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データを取得した位置に一致する位置の温度分布を計算する温度分布計算部を含むことが好ましい。
本発明によれば、前記鋳造鋳片の固相率が80%以下の領域の少なくとも一箇所にて該鋳造鋳片の温度分布を求めるとともに、その求められた温度分布とその箇所において予めシミュレーションにより取得されている該鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データとを比較しその比較結果に基づいて該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定するようにしたため、機外抜けのリスクをより早い段階で検知することが可能となり、操業トラブルを回避しつつ、生産性の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、計算区画内の固体の接触長さに対応する接触領域における固体の接触による抜熱量と、同計算区画内の残部である非接触領域における選択した熱伝達係数を用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量を計算し、その全抜熱量を用いて伝熱計算するようにしたので、同一計算区画内で固体の接触による抜熱と、それ以外の冷却手段による抜熱とが生じる場合においてもその両方の抜熱要因が考慮され、計算区画内の抜熱量を最大の熱伝達係数のみから求める従来手法に比べて、より高い精度で連続鋳造機における鋳片の局所的な温度分布を予測することが可能となる。
本発明の実施に用いて好適な連続鋳造機の概略図である。 (a)(b)は、鋲打ち試験を説明する図である。 図1中のA-A線に沿う鋳片の垂直断面である。 本発明の一実施形態のクレータエンド位置の推定方法を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態のクレータエンド位置の推定方法を説明する図であり、(a)は鋳片上面側からみた斜視図であり、(b)は側面図である。 予めシミュレーションにより取得した基準データの位置で鋳造鋳片の温度分布を求める要領の説明図である。 操業条件の変更フローの概略を示した図である。発明の一実施形態のクレータエンド位置の推定装置のブロック図である。 本発明の実施の形態に係るクレータエンド位置の推定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 従来技術の温度推定方法を説明する図である。 他の従来技術の温度推定方法を説明する図である。 (a)は、クレータエンド位置が連続鋳造機の機端を超えて位置する場合を概略的に示した図であり、(b)は、クレータエンド位置が連続鋳造機の機端よりも過度に手前に位置する場合を概略的に示した図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置について説明する。
まず、図1を参照し、本発明の実施形態の鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置を適用する連続鋳造機の概略構成について説明する。
連続鋳造機は、転炉や脱ガスなどの精錬の過程を経た溶鋼を凝固させ、鋳造鋳片を製造する設備である。図1に示すように、連続鋳造機1は、溶鋼2が注入されるタンディッシュ3と、浸漬ノズル4を介してタンディッシュ3から注がれた溶鋼2を表面の凝固シェル5が樹枝状晶に成長するまで成形しつつ半凝固させる連続鋳造用鋳型6と、この連続鋳造用鋳型6から半凝固状態の鋳造鋳片7を垂直下方に引き抜きつつ冷却する鋳片支持ロール8aと、鋳片支持ロール8aによって引き抜かれた鋳造鋳片7を冷却搬送する鋳片支持ロール8bと、鋳片支持ロール8bによって搬送された鋳造鋳片7を水平方向に冷却搬送する鋳片支持ロール8cと、鋳片支持ロール8cによって搬送された鋳造鋳片7を所定の長さに切断するガス切断機9とを備える。ガス切断機9によって切断された鋳造鋳片7は、圧延工程等の後工程へと順次送られる。
連続鋳造機1における鋳造鋳片7は、連続鋳造用鋳型6により鋳型表面からの抜熱により冷却される。その後、鋳片支持ロール8aから鋳片支持ロール8cまでの搬送区間(すなわち二次冷却帯)において、鋳造鋳片7は、スプレー10から噴射された水および/または空気による抜熱と、固体としての鋳片支持ロール8a、8b、8c(以下、単に符号「8」と記す場合がある。)との接触による抜熱と、輻射による抜熱と、対流による抜熱との組み合わせにより冷却される。ここで、スプレー10の噴霧には、水スプレー冷却、ミストスプレー冷却等があるがこれらに限定されない。
連続鋳造機1は、鋳造鋳片7の凝固管理を適切に行うことで、高い生産性と操業安定性を両立することが求められている。凝固管理を行ううえではタンディッシュ3内の溶鋼温度や連続鋳造用鋳型6での攪拌等様々な指標があるが、その中でも重要なものの一つにクレータエンド位置がある。
鋳込み速度が速く、クレータエンド位置が連続鋳造機1の機端E(鋳片支持ロール8cの最終段出口位置)を超える機外抜け発生するとバルジングや溶鋼漏れによる操業トラブルを招くおそれがある一方、機外抜けを懸念して鋳込み速度を遅くした場合には、クレータエンド位置は連続鋳造機1の機端よりも過度に手前になり、鋳造鋳片7の生産性が低下する。そのため、操業トラブルの防止と生産性の向上のために、鋳込み速度や冷却条件の設定によって、クレータエンド位置を連続鋳造機1付近の適切な位置に制御することが要求される。
これまでは、鋲打ち試験の実験結果に基づきクレータエンド位置を推定し、その推定結果から鋳込み速度を決定していた。鋲打ち試験の概略を図2(a)(b)に示す。鋲打ち試験とは、図2(a)に示すように、表面にアルミニウムをコーティングした鋲11を連続鋳造機1内の鋳造鋳片7の所定位置に打ち込み、図2(b)に示すように、鋲11が打ち込まれたときの鋳造鋳片7の凝固シェル厚を求める試験のことである。アルミニウムの溶融状態等の鋲11の表面の様子をEPMA(Electoron Probe Micro Analyzer)により組織を分析することで凝固シェル厚を測定することができる。
この鋲打ち試験の結果から得られた実測値である凝固シェル厚の値と下記式(1)を用いてクレータエンド位置を求めることができる。実際の操業では、鋳込み速度をはじめとする操業条件は常に変化するため、クレータエンド位置も常に鋲打ち試験の結果通りにはならない。そのため、増速後に操業条件によっては機外抜けなどの不具合が発生することがあった。このような不具合を予防することで初めて増速が可能となるので、操業中のクレータエンド位置を知ることは非常に重要である。そのため、現在は操業条件の変化を踏まえたリアルタイムでのクレータエンド位置の測定を行う技術の研究および導入が進められている。
Figure 0007014203000001
このクレータエンド位置を推定する手法の一つにクレータエンド位置を操業データから演算により推定するクレータエンドモニタがある。
クレータエンドモニタは、鋳込方向に対するある垂直断面において、主として以下に示す3つのステップからなる演算を行うものである。図3には、図1中の鋳片のA-A線に沿う垂直断面を例として示す。
第1ステップ:垂直断面を格子状に区画し、温度分布を持たせる。
第2ステップ:冷却因子から算出した各地点(鋳片表面上の計算区画)の抜熱量を断面境界に与える。
第3ステップ:抜熱を受けた断面内部の熱の移動を計算する。
第2ステップの抜熱量については下記式(2)より導出され、熱伝達率は後述する方法に基づいて最も適切なものを選択する。また、第3ステップの熱伝導率は、下記式(3)より導出され、変換温度は下記式(4)の計算結果を、熱伝導率は過去の知見により推定された定数を利用する。この計算を繰り返すことで、断面の温度変化を求めることができる。この温度変化からクレータエンド位置をリアルタイムで推定するために、図3のような鋳片の垂直断面を鋳込方向の複数位置でそれぞれ生成し、上記の計算により垂直断面内の最高点温度が固相点温度を下回った断面を検出し、その中で最もメニスカスに近い垂直断面の位置をクレータエンド位置と判定することができる。
Figure 0007014203000002
Figure 0007014203000003
Figure 0007014203000004
かかる手法によれば、クレータエンド位置が連続鋳造機1の末端位置である機端Eを超えてしまう機外抜けを検知できるようになったが、機外抜けを検知できるのは機外抜けの直前であることから、機外抜けを検知した時点で即座に操業アクションを起し機外抜けを未然に防止すべく、冷却条件を強化しても、冷却効果が十分に得られず、鋳込み速度を減速させるしかアクションがとれないケースがあることは先にも述べた通りである。
本発明は、鋳造鋳片7の固相率が80%以下の領域の少なくとも一箇所にて該鋳造鋳片7の温度分布を求めるとともに、その求められた温度分布と、その部位において予めシミュレーションにより取得されている鋳造鋳片7の基準データとを比較しその比較結果に基づいて該鋳造鋳片7のクレータエンド位置を推定するものであり、これにより、機外抜けのリスクをより早い段階で検知し生産性を低下させることなしに操業トラブルを回避するものである。
まず、本発明の説明に前提として用いる、境界条件および熱伝達係数について説明する。ここで云う境界条件とは、鋳造鋳片7の伝熱計算する際の鋳片表面における境界条件である。本発明では、時間および位置に応じた局所的な温度を正確に予測するためにこの境界条件を時間および位置に応じて変化させる。その変化させるピッチは、どの程度の短い時間あるいは細かい領域の温度を予測するかに応じて任意に設定すればよい。温度の変化を予測したい時間の間隔をδt(s)とする場合、δtより小さな値とすることにより、境界条件の時間変化を反映させた温度を予測することが可能となる。また、位置による変化については、鋳造速度をv(m/s)とするとき、位置による変化がv(m/s)×δt(s)より大きな値であれば、境界条件の位置による変化を反映させた温度を予測することが可能となる。
なお、境界条件の変化は、実際の熱伝達の形態が変化していることを再現させるためのものであり、実際の熱伝達の形態が変化していないところにおいては、変化させる必要がないことは当然である。実用的には、計算の複雑さ及び計算量並びに境界条件の測定の確かさ、さらに対象物である鋼材の熱伝導率などを考慮すると、時間については1(s)程度が下限となり、位置については5(mm)程度が実質的な下限となる。
ここでいう熱伝達係数とは、鋳造鋳片7とその外部との間の熱エネルギーの伝え易さを表す値である。温度予測のための境界条件としては、温度および熱伝達係数などが挙げられるが、本発明では、熱伝達係数を用いる。表面温度を境界条件として規定した場合、内部温度の予測は容易となる。しかしながら、連続鋳造方法における鋳造鋳片7のように高温の媒体では、温度計によって測定された温度は必ずしも鋳造鋳片7の実際の温度と対応しないことがあり、その正確な温度を知ることが困難であることが多い。とりわけ、時間および位置によって局所的に変化する温度を予測したい場合、そのような正確な温度を知ることは一層困難である。したがって、温度を境界条件として与えることは望ましくない。一方、熱伝達係数は、本発明の実施形態にかかる温度予測方法のように、時間および位置によって局所的に熱伝達の形態が変化した場合の温度を予測する用途に好適である。
なお、境界条件の設定は、連続鋳造のように鋳造鋳片7の表面に液体または固体からなる媒体を噴射または接触させることによって冷却させるような装置の場合、鋳造鋳片7の表面に対して設定することが通常である。
ここで、本発明は、時間および位置による局所的に変化する熱伝達の形態を推定するにあたって、鋳片支持ロール8a~8c等の固体との接触による抜熱は事前に定義した手法により算出し、固体接触以外の冷却手段による抜熱は、その場面において予想される熱伝達係数を複数計算し、その複数の熱伝達係数の中から最適な熱伝達係数を選定することによって行うものである。
図4は、鋳造鋳片7の温度分布を求めるフローチャートを示した図である。まず、ステップS101では、本発明の実施形態に係る温度推定方法を用いて温度推定を行う位置(メニスカスからの鋳片進行方向に沿った距離[m])を入力する(入力ステップ)。ステップS102では、その位置および時間におけるスプレー10の送水量および空気の送り量など、熱伝達係数の計算に必要な操業条件の値を取得する(操業条件取得ステップ)。これらの操業条件の値は、操業のデータをスプレーノズルなどの配置、性能などオフラインで求められた情報を使って計算して求めてもよいし、何らかの方法で実測した値を用いてもよい。
ステップS103~S107では、ステップS102で取得した値に基づいて、ステップS101で入力した位置および時間における固体(鋳片支持ロール8等)接触による熱伝達係数以外の複数の熱伝達係数を計算する(熱伝達係数計算ステップ)。
固体接触による熱伝達係数以外の複数の熱伝達係数としては、例えば、水スプレーの熱伝達係数Hと、ミストスプレーの熱伝達係数Hと、強制対流の熱伝達係数Hと、輻射による熱伝達係数Hと、自然対流による熱伝達係数Hとの5種類の熱伝達係数を計算する。
ステップS103は、水スプレーの熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数Hを計算する式としては、「日本鉄鋼協会:「鉄鋼製造プロセスにおける冷却技術」(1988),p.70」に基づく下式を用いることができる。
Figure 0007014203000005
ステップS104は、ミストスプレーの熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数Hを計算する式としては、「日本鉄鋼協会:「鉄鋼製造プロセスにおける冷却技術」(1988),p.71」に基づく下式を用いることができる。
Figure 0007014203000006
ステップS105は、強制対流の熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数Hを計算する式としては、以下の式を用いることができる。
Figure 0007014203000007
ステップS106は、輻射による熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数Hを計算する式としては、以下のステファン‐ボルツマンの式を用いることができる。
Figure 0007014203000008
なお、放射率は定形境界条件ファイルなど、雰囲気温度は計算設定ファイルなどに別途保存したデータを参照して用いる。
ステップS107は、自然対流による熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数Hを計算する式としては、以下の式を用いることができる。ただし、雰囲気温度Tambientは計算設定ファイルに別途保存したデータを参照して用いる。
Figure 0007014203000009
ステップ108では、水スプレーの熱伝達係数Hと、ミストスプレーの熱伝達係数Hと、強制対流の熱伝達係数Hと、輻射による熱伝達係数Hと、自然対流による熱伝達係数Hとを計算した後、これらの中から最大値のものを熱伝達係数Hとして選択する(選択ステップ)。
ステップS109では、温度分布を求める鋳造鋳片7の位置に対応する表面の各計算区画(10mm四方)7a(図5参照)における、鋳造鋳片7と鋳片支持ロール8等の固体との鋳片進行方向(鋳込方向)の接触長さLおよび後述のロール抜熱量Qrollを計算するための設備条件を取得する(設備条件取得ステップ)。設備条件には、鋳片支持ロール8の位置、接触圧、ロール径などが含まれる。
ステップS110では、ステップS109で取得した設備条件に基づき、図5に示すように温度分布を求める位置での各計算区画7aにおいて、鋳造鋳片7と鋳片支持ロール8a~8cとの鋳片進行方向(鋳込方向)の接触長さLを計算する。
ステップS111では、温度推定を行う位置での各計算区画7aについて、鋳片支持ロール8と鋳造鋳片7とが接触する接触領域における鋳片支持ロール8との接触による抜熱量と、同計算区画7a内の残部である非接触領域における、ステップS108で選択した熱伝達係数Hを用いて計算される抜熱量とからなる計算区画7a内の全抜熱量Qtotalを計算する(全抜熱量計算ステップ)。例えば、この計算区画7a内の全抜熱量Qtotalを計算する式としては、以下の式を用いることができる。この式中、ロール抜熱量Qrollは、或る計算区画7aで鋳片支持ロール8が全面接触したと仮定したときの抜熱量であり、選定抜熱量Qmaxは、或る計算区画7aで鋳片支持ロール8が接触せず、ステップS108で選択した熱伝達係数Hのみを用いて計算される抜熱量である。
Figure 0007014203000010
つまり、ある計算区画7a内の全抜熱量Qtotalは、該計算区画7a内での接触長さLを考慮し、ステップ108で選択した熱伝達係数Hを用いて非接触領域の抜熱量(Qmax×(10-L)/10)を計算する非接触領域抜熱量計算ステップと、接触領域における鋳片支持ロール8の接触による抜熱量(Qroll×L/10)を計算する接触領域抜熱量計算ステップと、非接触領域の抜熱量(Qmax×(10-L)/10)と、鋳片支持ロール8の接触による抜熱量(Qroll×L/10)とを合算する合算ステップとから求めることができる。あるいは、計算区画7a内の全抜熱量Qtotalは、上記選択した熱伝達係数Hを用いて計算区画7a内の仮の全抜熱量(選定抜熱量Qmax)を計算する仮全抜熱量計算ステップと、同計算区画7a内の接触長さLに対応する接触領域における鋳片支持ロール8の接触による抜熱量(Qroll×L/10)を計算する固体抜熱量計算ステップと、上記仮全抜熱量(選定抜熱量Qmax)から、同計算区画7aに対する接触領域の割合(面積割合)分(Qmax×L/10)を減算する減算調整ステップと、接触領域の抜熱量(Qroll×L/10)を加算する加算調整ステップとから求めることができる。
そして、ステップS112では、ステップS108dで得た各計算区画7aの全抜熱量Qtotalを使って伝熱計算を行う(伝熱計算ステップ)。
上記のステップを経て求められた鋳造鋳片7の温度分布(推定温度分布)の位置については、非定常なものであり、基準データを取得した位置における温度分布とは必ずしも一致するとは限らない場合がある。このため、鋳造鋳片7の温度分布の位置を、基準データを取得した位置と一致させるべく、その位置を前後に挟んで隣接する少なくとも2箇所の垂直断面の温度分布をそれぞれ上記のステップを経て求める。そして、その求められた温度分布をもとに近似等で推定を行い、基準データを取得した位置と一致する位置での温度分布を求めるのが好ましい。例えば、図6に概略を示すように、基準データを導出した位置kの垂直断面Tにおいて、その垂直断面Tを前後に挟んで隣接する断面i、i-1間の温度が距離の一次関数になるとの仮定のもと、断面iとi-1の情報(垂直断面を格子状に区画したときの格子点(n、m)の温度等)から次のように求めることができる。
Figure 0007014203000011
断面Tにおける鋳造鋳片7の温度分布の計算は、伝熱計算終了ごとに行われるものであって、その結果と基準データとの比較を行い、クレータエンド位置が基準データよりも機端Eに近づくと判定された場合には、冷却水量を増やす等の対処を実施する。基準データと比較する要素は、様々なものが考えられるが、例えば、温度分布の平均温度を用いるようにしてもよい。操業条件の変更フローの概略を図7に示す。
次に、本発明にしたがうクレータエンド位置の推定方法を実施するのに適した、本発明の実施の形態に係るクレータエンド位置の推定装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態に係るクレータエンド位置の推定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
クレータエンド位置の推定装置13は、図8に示すように、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータを用いて実現され、演算処理部14と記憶部15とを備える。また、クレータエンド位置の推定装置13は、付随的に入力部16と表示手段17を備える。
入力部16は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の各種入力装置によって実現されるものであり、操作入力に応じた入力信号を演算処理部14に出力する。表示手段17は、LCDやELディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置によって実現されるものであり、演算処理部14から入力される表示信号をもとに各種画面を表示する。
記憶部15は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスク、CD-ROM等の情報記憶媒体およびその読取装置等によって実現されるものである。この記憶部15には、クレータエンド位置の推定装置13を動作させ、このクレータエンド位置の推定装置13が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が予め保存され、あるいは処理の都度一時的に保存される。記憶部15には、例えば、操業条件15a、熱伝達係数15b、設備条件15c等が格納され得る。
操業条件15aは、上述説明した温度推定方法における、送水量および空気の送り量など、熱伝達係数の計算に必要なデータである。すなわち、操業条件15aは、先述の定形境界条件ファイルおよび計算設定ファイルなどを格納する。熱伝達係数15bは、水スプレーの熱伝達係数H、ミストスプレーの熱伝達係数H、強制対流の熱伝達係数H、輻射による熱伝達係数H、および自然対流による熱伝達係数Hを計算するための計算式を示すデータおよびプログラムである。設備条件15cは、鋳片表面の計算区画7aにおいて、鋳造鋳片7と鋳片支持ロール8のような固体との鋳片進行方向の接触長さLおよび上述のロール抜熱量Qrollを計算するための各種条件、例えばロール径やロール位置、ロール接触圧などを格納する。
演算処理部14は、固体との接触による冷却以外の複数の冷却手段の熱伝達係数H~Hを計算するための操業条件を記憶部15あるいは外部のデータベースから取得する操業条件取得部14aと、取得した操業条件に基づいて鋳造鋳片7の温度推定を行う位置まで鋳造鋳片7に施される複数の冷却手段のそれぞれの熱伝達係数H~Hを計算する熱伝達係数計算部14bと、計算により得られた熱伝達係数H~Hのうち最大値Hを選択する選択部14cと、温度を推定する位置に対応する鋳片7の表面の計算区画7aにおける鋳片7と固体との鋳片進行方向の接触長さLを計算するための設備条件を記憶部15あるいは外部のデータベースから取得する設備条件取得部14dと、取得した設備条件に基づいて計算区画7aにおける鋳片7と固体との鋳片進行方向の接触長さLを計算する接触長さ計算部14eと、計算区画7a内の接触長さLに対応する接触領域における固体の接触による抜熱量と、同計算区画7a内の残部である非接触領域における上記選択した熱伝達係数Hを用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量Qtotalを計算する全抜熱量計算部14fと、全抜熱量Qtotalを用いて伝熱計算を行う伝熱計算部14gと、温度分布計算部14iにて得られた鋳造鋳片7の温度分布と鋳造鋳片7の温度分布に係わる基準データとを比較しその比較結果に基づいて鋳造鋳片7のクレータエンド位置を推定する判定部14hとを備える。
本発明のクレータエンド位置の推定装置13においては、伝熱計算部14gにて求められた鋳造鋳片7の温度分布が、基準データを導出した位置と一致しない場合には、基準データを取得した位置の垂直断面を前後に挟んで隣接する少なくとも2箇所の断面の温度分布を、上記操業条件取得部14a、熱伝達係数計算部14b、選択部14c、記憶部15あるいは設備条件取得部14d、接触長さ計算部14e、全抜熱量計算部14f、伝熱計算部14gで求め、その情報から、該基準データを導出した位置での温度分布を計算する温度分布計算部14iを備えることができる。
全抜熱量計算部14fは、選択した熱伝達係数Hを用いて計算区画7aの全領域の仮の全抜熱量(選定抜熱量Qmax)を計算し、接触領域における固体の接触による抜熱量を計算し、計算した仮全抜熱量から、計算区画7aの全領域に対する接触領域の割合(面積割合)分を減算し、接触領域における固体の接触による抜熱量を加算するよう構成されている。あるいは、全抜熱量計算部14fは、選択した熱伝達係数Hを用いて非接触領域の抜熱量を計算し、接触領域における固体の接触による抜熱量を計算し、非接触領域の抜熱量と固体の接触による抜熱量とを合算するよう構成されている。これら各部14a~14gの機能は、記憶部15に格納されたプログラムによって実現することも、ハードウェアとして実現することも可能である。
以上のように、本発明にしたがうクレータエンド位置の推定方法および装置によれば、鋳造鋳片の固相率が80%以下の領域で鋳造鋳片の温度分布を求めるとともに、その温度分布と予めシミュレーションにより取得されている鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データを比較してクレータエンド位置を推定するようにしたため、機外抜けのリスクをより早い断簡で検知することが可能となる。
本発明においては、計算区画7a内の鋳片支持ロール8等の固体の接触長さLに対応する接触領域における固体の接触による抜熱量と、同計算区画7a内の残部である非接触領域における選択した熱伝達係数Hを用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量Qtotalを計算し、その全抜熱量Qtotalを用いて伝熱計算するようにしたので、同一計算区画7a内で固体の接触による抜熱と、それ以外の冷却手段による抜熱とが生じる場合においてもその両方の抜熱要因が考慮されより高い精度で連続鋳造機1における鋳造鋳片7の温度分布を求めることが可能となる。
全長が45mの連続鋳造機を用いて過去の操業実績において機外抜けが予測された鋳造条件のもとで鋳造鋳片の連続鋳造を行い、本発明にしたがう方法および装置を用いることにより生産性を低下させることなしに機外抜けを抑制することができるかどうかについての調査を行った。
メニスカスから15mの位置(固相率50%)で鋳造鋳片の温度分布を本発明による方法および装置により求めるとともに、その箇所において予め取得されている基準データとを比較したところ、鋳造鋳片の温度分布は、平均温度で1329°Cであり、基準データの鋳造鋳片の温度分布は、平均温度は、1325°C(クレータエンド位置は、機端より0.8m短い44.2m)であって、このまま連続鋳造が続行された場合には、鋳造鋳片のクレータエンド位置は、連続鋳造機の機端から0.9m超える45.9mになることが予想された。
そこで、メニスカスから15~30m領域で冷却水の流量を1.3倍とする条件に変更して冷却を行った。その結果、鋳造鋳片のクレータエンド位置は、44.6mとなり、鋳込み速度を低下させることなしに機外抜けを回避できることが確認された。
本発明によれば、生産性を低下させることなしに機外抜けを回避し得るクレータエンド位置の推定方法およびその装置を提供することができる。
1 連続鋳造機
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 浸漬ノズル
5 凝固シェル
6 連続鋳造用鋳型
7 鋳造鋳片
8a、8b、8c 鋳片支持ロール
9 ガス切断機
10 スプレー
11 鋲
13 クレータエンド位置の推定装置
14 演算処理部
15 記憶部
16 入力部
17 表示手段

Claims (6)

  1. 連続鋳造用鋳型より引き抜かれた鋳造鋳片の引き抜き移動中に該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定する方法において、
    前記鋳造鋳片の固相率が80%以下の領域の少なくとも一箇所にて該鋳造鋳片の温度分布を
    連続鋳造用鋳型のメニスカスから鋳造鋳片の温度分布を求める位置までの距離を入力する入力ステップと、固体との接触による冷却以外の複数の冷却手段の熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する操業条件取得ステップと、前記操業条件に基づいて前記鋳片の前記位置までに鋳片に施される前記複数の冷却手段それぞれの熱伝達係数を計算する熱伝達係数計算ステップと、前記それぞれの熱伝達係数のうち最大値を選択する選択ステップと、前記位置における鋳片の表面の計算区画における、鋳片と前記固体との鋳片進行方向の接触長さを計算するための設備条件を取得する設備条件取得ステップと、前記設備条件に基づいて前記計算区画における鋳片と前記固体との鋳片進行方向に沿った接触長さを計算する接触長さ計算ステップと、前記計算区画内の前記接触長さに対応する接触領域における前記固体の接触による抜熱量と、同計算区画内の残部である非接触領域における前記選択した熱伝達係数を用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量を計算する全抜熱量計算ステップと、前記全抜熱量を用いて伝熱計算を行う伝熱計算ステップと、前記伝熱計算ステップにて求められた鋳造鋳片の温度分布をもとに、鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データを取得した位置に一致する位置の温度分布を計算する温度分布計算ステップと、を経て求めるとともに、その求められた温度分布とその箇所において予めシミュレーションにより取得されている該鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データとを比較しその比較結果に基づいて該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定することを特徴とする連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法。
  2. 前記全抜熱量計算ステップは、前記選択した熱伝達係数を用いて前記計算区画の全領域の仮の全抜熱量を計算する仮全抜熱量計算ステップと、前記計算区画内の前記接触長さに対応する接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算する固体抜熱量計算ステップと、前記仮全抜熱量から、前記計算区画の全領域に対する前記接触領域の割合分を減算する減算調整ステップと、前記固体の接触による抜熱量を加算する加算調整ステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法。
  3. 前記全抜熱量計算ステップは、前記選択した熱伝達係数を用いて前記非接触領域の抜熱量を計算する非接触領域抜熱量計算ステップと、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算する接触領域抜熱量計算ステップと、前記非接触領域の抜熱量と、前記固体の接触による抜熱量とを合算する合算ステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法。
  4. 連続鋳造用鋳型より引き抜かれた鋳造鋳片の引き抜き移動中に該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定する装置であって、
    連続鋳造用鋳型のメニスカスから鋳造鋳片の温度分布を求める位置までの距離を入力する入力部と、固体との接触による冷却以外の複数の冷却手段の熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する操業条件取得部と、前記操業条件取得部で取得された操業条件に基づいて鋳造鋳片の温度分布を求める位置までに施される前記複数の冷却手段それぞれの熱伝達係数を計算する熱伝達係数計算部と、
    前記それぞれの熱伝達係数のうち最大値を選択する選択部と、前記位置に対応する鋳片の表面の計算区画における、鋳片と前記固体との鋳片進行方向の接触長さを計算するための設備条件を取得する設備条件取得部と、前記設備条件に基づいて前記計算区画における鋳片と前記固体との鋳片進行方向の接触長さを計算する接触長さ計算部と、前記計算区画内の前記接触長さに対応する接触領域における前記固体の接触による抜熱量と、同計算区画内の残部である非接触領域における前記選択した熱伝達係数を用いて計算される抜熱量とからなる全抜熱量を計算する全抜熱量計算部と、前記全抜熱量を用いて伝熱計算を行う伝熱計算部と、前記伝熱計算部で求められた鋳造鋳片の温度分布をもとに、鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データを取得した位置に一致する位置の温度分布を計算する温度分布計算部と、前記温度分布計算部にて求められた鋳造鋳片の温度分布と該鋳造鋳片の温度分布に係わる基準データとを比較しその比較結果に基づいて該鋳造鋳片のクレータエンド位置を推定する判定部とを備えることを特徴とする連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定装置。
  5. 前記全抜熱量計算部は、前記選択した熱伝達係数を用いて前記計算区画の全領域の仮の全抜熱量を計算し、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算し、計算した前記仮全抜熱量から、前記計算区画の全領域に対する前記接触領域の割合分を減算し、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を加算するよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定装置。
  6. 前記全抜熱量計算部は、前記選択した熱伝達係数を用いて前記非接触領域の抜熱量を計算し、前記接触領域における前記固体の接触による抜熱量を計算し、前記非接触領域の抜熱量と前記固体の接触による抜熱量とを合算するよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定装置
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