JP3062723B2 - 鋳型内の凝固収縮による鋳片表面凹み形状の測定方法 - Google Patents

鋳型内の凝固収縮による鋳片表面凹み形状の測定方法

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JP3062723B2 JP6333637A JP33363794A JP3062723B2 JP 3062723 B2 JP3062723 B2 JP 3062723B2 JP 6333637 A JP6333637 A JP 6333637A JP 33363794 A JP33363794 A JP 33363794A JP 3062723 B2 JP3062723 B2 JP 3062723B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の連続鋳造における
鋳型内凝固シェルの凝固収縮により生ずる鋳片表面凹み
の形状を連続測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造においては鋳型内での溶鋼の正
常な凝固シェルの発達は鋳片表面欠陥および内部欠陥等
の防止から重要であり、安定して均一な凝固シェルの生
成が求められる。しかし、中炭素鋼の鋳造においてはラ
ンダムに繰り返す特有な鋳片表面の凹みが発生する傾向
がある。
【0003】本発明者がビレット(165角)連鋳機で
種々の実験検討を重ねた結果、C=0.07〜0.18
%程度の中炭素鋼の鋳造において鋳片表面の凹みが繰り
返し発生する傾向があること、また、鋳片表面に大きな
凹みが繰り返し発生した後にブレークアウトした鋳片が
あり、これを解体調査したところ鋳片表面の凹みは鋳型
内の湯面位置近傍から発生していること等を確認してい
る。
【0004】この鋳片表面の凹みは、鋳型内での凝固収
縮が大きいために凝固シェルの生成が不安定となり、鋳
型内の凝固シェル表面に特有な凹みが発生するものと考
えられている。
【0005】そして、この凹みの谷部には割れを伴うこ
とが多く、特に大きな凹みが発生した場合には鋳型を出
た後に溶鋼静圧をうけてシェルが破断してブレークアウ
トを生ずることがある。
【0006】また、ブレークアウトに至らないまでも鋳
造後の圧延時に割れ等の表面疵を発生することがある。
【0007】ブレークアウトは連続鋳造の操業トラブル
の中で最大のもので復旧までに相当の期間で操業停止を
余儀なくされ、また、圧延時の表面疵は成品歩留りを低
下させる。
【0008】このため、C=0.07〜0.18%程度
の中炭素鋼の鋳造においては鋳型内の凝固シェル表面に
発生する特有な凹みを測定し、軽微なうちに操業条件の
適正化により過大な凹みの発生を防止する技術の確立が
望まれていた。
【0009】鋳型内鋳片表面の凹みを計測する手段とし
ては、連続鋳造設備の高熱、粉塵、水、振動と言った悪
環境に耐えるセンサの設置が困難であるため、二次冷却
帯以降で鋳片を目視観察するか、鋳造後の冷片表面形状
を測定する方法等が一般的に行われていた。
【0010】したがって、冷片表面で過大な凹みが観測
されたとしても操業条件の適正化には必然的にアクショ
ン遅れが生じるものであった。
【0011】このようなアクション遅れを解消できる方
法として、特公平3―77944号公報ではC=0.0
8〜0.15%の包晶域の鋼種を鋳造する際に、連続鋳
造用鋳型の湯面下所定範囲における鋳型壁温度が正常時
の所定値より20℃以上30℃未満あるいは30℃以上
下降し、これに続いて上記所定値に向かう上昇変化率が
2℃/秒を超えることをもって鋳型内凝固シェル表面に
縦または横凹みが発生していることを検出する方法が提
案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、中炭素
鋼の鋳造において鋳型内凝固シェル表面にランダムに繰
り返し発生する凹みの形状(平面的な大きさ、深さ等)
を連続的に測定する方法については述べられていない。
【0013】鋳型内凝固シェル表面の凹みの形状を連続
的に測定することができれば、その変化傾向と操業条件
の対応付けが可能となり、操業条件の適正化が容易に行
える。
【0014】更に、鋳型内凝固シェル表面の凹みの形状
から凝固完了時の鋳片の表面の凹みの形状が予測できれ
ば、操業条件の適正化を効果的に行え、鋳片品質保証も
可能となる。
【0015】従来方法(特公平3―77944号公報)
では、鋳型内凝固シェル表面に異常な凹みが発生してい
るか否かをオンオフ的に判定することは一応可能であ
る。しかし、鋳型内凝固シェル表面の凹みの形状を連続
的に測定することはできなかった。
【0016】したがって、連続鋳造最終段階の凝固完了
した鋳片表面の凹みの形状を連続的に測定することも不
可能であった。
【0017】本発明は、鋳型内凝固シェル表面の凹みの
形状を連続的に測定し、更に、その結果に基づいて凝固
完了した鋳片表面の凹みの形状を予測する鋳片表面凹み
の測定方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の方法においては連続鋳造用鋳型の湯面上所
定範囲と湯面下所定範囲各々で鋳型壁温度を測定し、そ
の測定時点の湯面上所定範囲における鋳型壁温度を鋳型
壁ベース温度とし、その測定時点の直近過去の所定期間
での湯面下所定範囲における鋳型壁温度の標準偏差およ
び平均値を求め、下記(1)式に従って算出した温度変
動比を用いて、前記所定期間での鋳造長さ当たりの鋳造
方向の鋳片表面凹み長さ(以下、鋳片凹み長さ率)を予
測することを特徴とする。
【0019】
【数3】 温度変動比=標準偏差/(平均値−鋳型壁ベース温度)×100% ・・・( 1)
【0020】また、連続鋳造用鋳型の湯面下所定範囲に
おける鋳型壁温度を複数の温度センサで測定し、その測
定時点の直近過去の所定期間での各温度センサ毎の標準
偏差および平均値を求め、(1)式に従って算出した各
温度センサ毎の温度変動比どうしを比較して求めた最大
のものを最大温度変動比とし、その最大温度変動比を用
いて前記所定期間での鋳片凹み長さ率を予測することを
特徴とする。
【0021】
【作用】中炭素鋼の連続鋳造において鋳型内凝固シェル
表面にランダムに繰り返し発生する凹みの発生機構を図
4〜6で説明する。C=0.07〜0.18%程度の中
炭素鋼では鋳型内での凝固収縮が大きいために凝固シェ
ルの生成が不安定となり、図4に示すようにシェル厚み
の薄い凝固遅れ部が生成する。
【0022】この凝固遅れ部のシェルには鋳型と接する
部分では収縮方向の歪みε1が加わり、シェルの溶鋼側
では伸び方向の歪みε2が加わり、ε1,ε2の合成で上
向きのモーメントMが作用し図5に示すような凝固遅れ
部の浮き上がりが発生し、その後、溶鋼静圧により図6
に示すような凝固遅れ部の鋳型への押し付けが行われ、
この繰り返しにより鋳型内の凝固シェル表面に凹みがラ
ンダムに発生するものと考えられる。
【0023】本発明者は、上記凝固シェル表面の凹みの
発生機構より、凝固シェル表面の凹みの形状を測定する
方法として以下の点に着想した。
【0024】即ち、凝固遅れ部と対面する鋳型表層部の
温度は、鋳型が水冷されているので、凝固シェルの浮き
上がり発生時には温度が低下し、また、溶鋼静圧による
凝固遅れ部の鋳型への押し付け時には高温の凝固シェル
が鋳型を加熱するため温度が上昇する。
【0025】浮き上がり時間が長い程、鋳型の表層部の
温度低下が大きく、また、浮き上がったシェルの温度が
より高温になるため凝固遅れ部の鋳型への押し付け時に
も鋳型表層部の温度上昇が大きくなる。
【0026】したがって、鋳型の温度変動幅と凝固シェ
ルの浮き上がり時間は相関関係があると考えられる。
【0027】そこで、鋳型に熱電対等の温度センサを埋
設し鋳型温度を測定し、凝固シェル表面の凹みが鋳造に
伴って移動する際の鋳型壁温度の変動幅から凝固シェル
表面の凹み長さを測定することに着想した。
【0028】即ち、温度センサの出力変化から鋳型壁温
度の変動幅を求め、これより凝固シェルの浮き上がり時
間を求め、凝固シェルの浮き上がり時間から凝固シェル
表面の凹み長さを求める本発明の方法である。
【0029】そこで、本発明者はビレット(165角)
連鋳機で種々の調査試験を行い、前記着想について検証
を行った。その結果を以下に示す。
【0030】調査試験の条件として、鋳型表層部の温度
を鋳型壁表面から7mmの深さで図7(鋳型4面の展開
図)のとおり熱電対を配置して、凝固シェル表面の凹み
が発生し易い中炭素鋼(C=0.07〜0.15)とそ
れ以外の凹みが発生しない鋼種について測定した。鋳片
表面の凹みについては、鋳造後常温まで冷却し、オフラ
インで実測した。
【0031】その鋳型壁温度チャートを図8〜9に示す
が、鋳片表面の凹み有無で鋳型壁温度の変動幅に大きな
差があることが判る。
【0032】そこで、この温度の変動幅を定量化するた
めに鋳片一本内での温度データのバラツキを示す指標と
して各熱電対ごとに標準偏差を求め、併せて平均値を求
めて鋳片表面の凹み有の場合(図10)と鋳片表面の凹
み無の場合(図11)について比較した。
【0033】鋳片表面の凹み有の場合は標準偏差が10
℃を超えるものがあり、鋳片表面の凹み無の場合は8℃
以下であることから、各熱電対毎の標準偏差のうちの最
大値と、鋳造後の冷間鋳片を実測して下記(2)式で求
めた鋳片一本毎の鋳片表面凹み長さ率との相関を調査し
たが図12に示す様に大きなバラツキがあり鋳型固有の
プロセス上の外乱を受けていることが分かった。
【0034】
【数4】 表面凹み長さ率=鋳片表面凹み長さの総計/鋳片長さ ・・・(2)
【0035】そこで、各熱電対毎の温度変動幅の標準偏
差を高精度に評価するために、前記プロセス外乱の原因
と除去技術について対策を検討した。
【0036】第1の外乱は、湯面位置付近の鋳型壁温度
が湯面変動、およびパウダーの流入の影響を受けること
であるが、図10,図11の平均値を見ても判る様に略
湯面直下の熱電対が最高温度を示すことに着目し、最高
温度を示す熱電対よりも1本下の熱電対から上方の熱電
対を標準偏差の演算から除外することとした。
【0037】第2の外乱は、凝固シェルの表面温度には
シェルの成長に伴う温度勾配があり、シェルの表面温度
が高い程鋳型壁の温度変動幅が大きいことであるが、こ
の対策として各熱電対の時系列平均温度に対する温度変
動幅の標準偏差の割合で評価することとした。
【0038】第3の外乱は、鋳型冷却水温度の変動によ
り各熱電対の平均温度が変化することであるが、湯面変
動時の熱影響を無視できる最上部熱電対で測定した鋳型
壁温度を鋳型壁ベース温度とし、これを各熱電対の平均
温度から減算し補正することとした。
【0039】これらの外乱除去対策に基づき、鋳型壁の
温度変動幅の標準偏差を評価する新たな指標として、温
度変動比という考え方を下記(1)式にて導いた。
【0040】
【数5】 温度変動比=標準偏差/(平均温度−鋳型壁ベース温度)×100% ・・・ (1)
【0041】この温度変動比により前記プロセス外乱を
除去し対象とする熱電対を全て同一条件で比較すること
が可能となったので、各熱電対毎の温度変動比の最大値
(以下、最大温度変動比と称す)と鋳片表面凹み長さ率
との相関を鋳片一本毎に解析した。
【0042】その結果を図13に示したが、最大温度変
動比と鋳片表面凹み長さ率は強い相関関係があることが
判り、オンラインの鋳型壁温度データから最大温度変動
比を求めることで鋳造後の凝固完了した鋳片表面の凹み
形状、即ち、鋳造長さ当たりの鋳片表面凹み長さ率を予
測することができることが判った。
【0043】この結果は、鋳型壁温度データから最大温
度変動比を求めることで鋳型内の凝固シェル表面の凹み
についても予測可能であることを証明するものである。
【0044】したがって、鋳型壁温度データのサンプリ
ング期間を適切に短く調整し、実績に基づいて最大温度
変動比を換算すれば、略リアルタイムで連続して鋳片表
面凹み長さの計測が可能となる。
【0045】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
き具体的に説明する。
【0046】図1は本発明に係る鋳型内の凝固収縮によ
る鋳片表面凹みの測定方法の実施状態を示す模式図であ
る。
【0047】図中、溶鋼1は浸漬ノズル2を経て、図示
しないタンディッシュ等の中間容器から上下振動してい
る水冷式の鋳型3に注入される。
【0048】鋳型3内の溶鋼1は、潤滑用の投入パウダ
6が鋳型3の内壁に沿って流れ込んで形成されたパウダ
膜を介して一次冷却されて凝固シェル5を形成し、これ
を周壁とする鋳片4はピンチロール7により下方に引き
抜かれて連続鋳造が行われる。
【0049】鋳型3には鋳片4の鋳造方向(矢印方向)
に沿って、複数の熱電対10が鋳型表層部に埋設されて
おり、各熱電対10にて測定された鋳型壁温度は入力処
理装置11で定周期Spでサンプリングしアナログ/デ
ジタル変換されて最新データが各々範囲選択回路12へ
与えられ、また、その最新データを含む過去の所定のサ
ンプリング期間St(St=Sp×データ数N)内のデ
ータが格納されサンプリング毎に更新される。
【0050】範囲選択回路12では、後述する鋳型壁温
度範囲選択ロジックに従い鋳型壁温度を湯面上所定範囲
と湯面下所定範囲に区分し、湯面上所定範囲の鋳型壁温
度はベース温度算出回路13へ、湯面下所定範囲の鋳型
壁温度は平均値算出回路14,標準偏差算出回路15へ
与えられる。
【0051】ベース温度算出回路13の出力Tbと平均
温度算出回路14の出力Taおよび標準偏差算出回路1
5の出力Tsは各々温度変動比算出回路16に与えられ
る。温度変動比算出回路16の出力Tcvが各々最大値
判定回路17に与えられ、その出力Tcv(max)が
鋳片凹み長さ率算出回路18に与えられる。
【0052】また、ピンチロール7を制御するピンチロ
ール制御装置8から単位鋳造長さ当たりに1パルス(例
えば1パルス/20mm)の鋳造パルスLpを区間鋳造
長算出回路9に与える。
【0053】区間鋳造長算出回路9では入力処理装置1
1からサンプリング期間Stを入力し、サンプリング期
間St内での鋳造パルスLpを積算し区間鋳造長Lkを
算出する。但し、本発明を全鋳造長に亘って適用する必
要がなく鋳造速度が略一定の範囲について適用する場合
は、区間鋳造長Lkは固定定数としても構わない。
【0054】鋳片凹み長さ率算出回路18では、前記T
cv(max)と前記区間鋳造長Lkを入力し、下記
(3)式に従って鋳片凹み長さ率Ldpを算出し、モニ
ター19および警報装置20に出力する。
【0055】
【数6】 鋳片凹み長さ率Ldp=(k1×Tcv(max)+k2)/Lk ・・・(3 )
【0056】モニター19は、操業中にオペレータが鋳
片凹み長さ率Ldpの変化傾向を監視し鋳片凹み長さが
軽微なうちから操業条件の調整を可能とするためのもの
である。
【0057】警報装置20は、ブークアウトの危険性が
ある過大な鋳片凹み長さ率Ldpとなった時点で警報を
発し、オペレータに迅速な対応を喚起するためのもので
ある。
【0058】前記鋳型壁温度範囲選択ロジックについ
て、図2及び図3に基づき以下に説明する。図2は湯面
位置と鋳型壁温度分布を示すもので、鋳片表面凹みが発
生していないときの鋳型壁温度分布を測定したものであ
る。
【0059】湯面下降時(○印)と湯面上昇時(●印)
の鋳型壁温度を折れ線グラフで示し、その時の湯面位置
を渦流式レベル計で実測し*印で示した。熱電対は鋳型
壁表面から7mmの深さで図7に従った配置としたが、
図2中には、熱電対No.〜のデータのみを示し
た。
【0060】湯面変動時には湯面位置近傍の鋳型壁温度
変動が大きいことが判り、また、湯面変動時でも湯面直
下の鋳型壁温度が最高温度を示すことが判る。
【0061】そして、湯面を約40mmという大きな幅
で変化させたが、鋳型温度変動の大きい範囲は最高温度
を示す熱電対を基準に上下1本以内の熱電対埋設範囲で
あることが判る。
【0062】したがって、鋳型壁温度範囲選択ロジック
は図3に示すとおり、鋳型壁の最高温度位置を基準とし
て所定距離Ruを除いた上方側の範囲を湯面上所定範囲
とし、最高温度位置を基準として所定距離Rdを除いた
下方側の範囲を湯面下所定範囲とする。
【0063】この場合は、Ru,Rd共に20mm程度
にすればよいが、熱電対の埋め込み条件、鋳型冷却条件
によっては鋳型壁温度分布が異なる場合には、上述のよ
うな湯面変動時の鋳型壁温度分布を測定し適切な値を決
定すればよい。
【0064】実際に、本発明の方法をビレット連鋳機に
適用し、過大な鋳片表面凹みの発生を抑制した例を図1
4に示す。
【0065】図14は、中炭素鋼鋳造時に観測された本
発明による鋳片表面凹み長さ率の予測値と鋳片観察で得
られた実績値の対応を示すグラフである。
【0066】この時の鋳造状況及び操業処置は、中炭素
鋼(C=0.10%)を、鋳片サイズ165角が得られ
る連鋳機によって、引抜き速度を鋳造開始後約2分で定
常の2m/分で鋳造中に、鋳造開始から約3分で実線で
示す本発明の予測値が警報レベルを越えた時点で警報装
置20から警報が発せられ、オペレータが鋳片表面凹み
長さ率の異常をモニター19で確認した上で、鋳型への
投入パウダー6の銘柄を鋳造開始から8分で変更した
が、投入パウダー6の変更後に本発明の予測値が徐々に
低下し定常的に低位安定化し、無事に鋳造を完了した。
【0067】この時の鋳片を冷却しオフラインで実測し
た鋳片表面凹み長さ率の実績値を4m毎に前記(2)式
に従って整理し、図14中に破線でプロットしてみたと
ころ本発明の予測値と実績値が良く対応していることが
分かった。
【0068】また鋳造開始から10分間の実績値は品質
上有害である過大な鋳片表面凹みが多数連続しているこ
とが分かり、このまま鋳造を継続すればブレークアウト
も十分予想されるものであった。
【0069】この結果から、本発明の予測値に基づく操
業条件の適正化がブレークアウトを防止し、良好な鋳片
品質を確保したと言える。
【0070】
【発明の効果】以上の通り、本発明は鋳型内凝固シェル
表面の凹みの形状を連続的に測定することができるの
で、凹みの形状が軽微なうちから、その変化傾向と操業
条件の対応付けが可能となり、操業条件の適正化が容易
且つ効果的に行え、良好な鋳片品質を確保することがで
きる。また、凝固完了時の鋳片の表面の凹みの形状が予
測できるので、鋳片品質保証も可能となる。
【0071】更に、鋳型内凝固シェル表面の大きな凹み
に起因するブレークアウト及び圧延時の表面割れを防止
することができ、連続鋳造の操業率の向上及び圧延歩留
りの向上等多大の効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施状態を示す模式図である。
【図2】湯面位置と鋳型壁温度分布を示すグラフであ
る。
【図3】鋳型壁温度範囲選択ロジックの説明図である。
【図4】凝固シェル凹み発生機構の模式図である。
【図5】凝固シェル凹み発生機構の模式図である。
【図6】凝固シェル凹み発生機構の模式図である。
【図7】鋳型壁の熱電対配置を示す展開図である。
【図8】鋳造中の鋳型壁温度チャートである。
【図9】鋳造中の鋳型壁温度チャートである。
【図10】温度データの各熱電対ごとに標準偏差と平均
値を示すグラフであって鋳片表面の凹み有の場合であ
る。
【図11】温度データの各熱電対ごとに標準偏差と平均
値を示すグラフであって鋳片表面の凹み無しの場合であ
る。
【図12】各熱電対毎の標準偏差のうちの最大値と鋳片
一本毎の鋳片表面凹み長さ率との相関を示すグラフであ
る。
【図13】各熱電対毎の温度変動比のうちの最大値と鋳
片一本毎の鋳片表面凹み長さ率との相関を示すグラフで
ある。
【図14】中炭素鋼鋳造時に観測された本発明による鋳
片表面凹み長さ率の予測値と鋳片観察で得られた実績値
の対応を示すグラフである。
【符号の説明】
1 溶鋼 2 浸漬ノズル 3 鋳型 4 鋳片 5 凝固シェル 6 投入パウダ 7 ピンチロール 8 ピンチロール制御装置 9 区間鋳造長算出回路 10 熱電対 11 入力処理装置 12 範囲選択回路 13 ベース温度算出回路 14 平均値算出回路 15 標準偏差算出回路 16 温度変動比算出回路 17 最大値判定回路 18 鋳片凹み長さ率算出回路 19 モニター 20 警報装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−154982(JP,A) 特開 昭63−30146(JP,A) 特開 昭58−148063(JP,A) 特開 平2−59157(JP,A) 特開 昭56−66364(JP,A) 特開 平8−117944(JP,A) 特開 平6−182511(JP,A) 特開 昭63−256250(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/16 104 G01N 25/06

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造用鋳型の湯面上所定範囲と湯面
    下所定範囲各々で鋳型壁温度を測定し、その測定時点の
    湯面上所定範囲における鋳型壁温度を鋳型壁ベース温度
    とし、その測定時点の直近過去の所定期間での湯面下所
    定範囲における鋳型壁温度の標準偏差および平均値を求
    め、下式に従って算出した温度変動比を用いて前記所定
    期間での鋳造長さ当たりの鋳造方向の鋳片表面凹み長さ
    (以下、鋳片凹み長さ率)を予測することを特徴とする
    鋳片表面凹みの測定方法。 【数1】温度変動比=標準偏差/(平均値−鋳型壁ベー
    ス温度)×100%
  2. 【請求項2】 連続鋳造用鋳型の湯面上所定範囲におけ
    る鋳型壁温度を測定し、これをその測定時点の鋳型壁ベ
    ース温度とし、連続鋳造用鋳型の湯面下所定範囲におけ
    る鋳型壁温度を複数の温度センサで測定し、その測定時
    点の直近過去の所定期間での各温度センサ毎の標準偏差
    および平均値を求め、下式に従って算出した各温度セン
    サ毎の温度変動比どうしを比較して求めた最大のものを
    最大温度変動比とし、その最大温度変動比を用いて前記
    所定期間での鋳造長さ当たりの鋳造方向の鋳片表面凹み
    長さ(以下、鋳片凹み長さ率)を予測することを特徴と
    する鋳片表面凹みの測定方法。 【数2】温度変動比=標準偏差/(平均値−鋳型壁ベー
    ス温度)×100%
  3. 【請求項3】 前記鋳型壁ベース温度が、連続鋳造用鋳
    型の湯面上所定範囲に温度センサを複数配置して各温度
    センサ毎に鋳型壁温度を測定し、その測定時点の鋳型壁
    温度を比較して求めた最小値であることを特徴とする請
    求項1、請求項2記載の鋳片表面凹みの測定方法。
  4. 【請求項4】 前記鋳型壁ベース温度が、連続鋳造用鋳
    型の湯面上所定範囲に温度センサを複数配置し、その各
    温度センサ毎に鋳型壁温度を測定し、その測定時点の直
    近過去の所定期間での各温度センサ毎の最小値を求め、
    その各温度センサ毎の最小値どうしを比較して求めた最
    小のものであることを特徴とする請求項1、請求項2記
    載の鋳片表面凹みの測定方法。
  5. 【請求項5】 前記湯面上所定範囲が、鋳型壁温度を測
    定し、最大温度位置よりも上方に所定距離だけ除いた上
    方の範囲であることを特徴とする請求項1、請求項2記
    載の鋳片表面凹みの測定方法。
  6. 【請求項6】 前記湯面上所定範囲が、実湯面を測定
    し、実湯面位置よりも上方に所定距離だけ除いた上方の
    範囲であることを特徴とする請求項1、請求項2記載の
    鋳片表面凹みの測定方法。
  7. 【請求項7】 前記湯面下所定範囲が、鋳型壁温度を測
    定し、最大温度位置よりも下方に所定距離だけ除いた下
    方の範囲であることを特徴とする請求項1、請求項2記
    載の鋳片表面凹みの測定方法。
  8. 【請求項8】 前記湯面下所定範囲が、実湯面を測定
    し、実湯面位置よりも下方に所定距離だけ除いた下方の
    範囲であることを特徴とする請求項1、請求項2記載の
    鋳片表面凹みの測定方法。
  9. 【請求項9】 前記鋳型壁ベース温度が請求項3、請求
    項4いずれかの方法で決められ、前記湯面上所定範囲が
    請求項5、請求項6いずれかの方法で決められ、前記湯
    面下所定範囲が請求項7、請求項8いずれかの方法で決
    められることを特徴とする請求項1、請求項2記載の鋳
    片表面凹みの測定方法。
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